みんな!もうすぐ母の日だよ!・・・処女ブリっ子(真野恵里菜)VS処女ヤンキー(夏帆)
春ドラマの圧巻は「みんな!エスパーだよ!」なのだが、朝ドラマは「あまちゃん」である。
「あまちゃん」は岩手県が今の処、舞台となっていて・・・「みんな!エスパーだよ!」は愛知県が舞台。
田舎の片隅の物語である。
そこに転校性がやってくるのだな。
「あまちゃん」ではアキ(能年玲奈)・・・こちらでは浅見さん(真野恵里菜)である。
アキは母(小泉今日子)に連れられてやってくるが・・・浅見さんは父(安田顕)と一緒である。
アキは親友となるユイ(橋本愛)にめぐりあい、浅見さんはヤンキーの美由紀(夏帆)に巡り合う。
アキはヒロシ(小池徹平)に一目惚れされて、浅見さんは嘉郎(染谷将太)のマドンナとなる。
ある意味、二つのドラマは双子のようにそっくりだ・・・どこがだよっ。
いや、少なくともかなり似ている。・・・おまえ的にはな。
それはコインの裏表・・・青春の光と影なのだ。
時には娼婦のように・・・時にはこの世に生んだお母さんのように・・・世界が愛に満ちていることを告げるドラマなのである。
とにかく・・・週末はタイトなのである。
で、『みんな!エスパーだよ!・第5回』(テレビ東京201305110012~)原作・若杉公徳、脚本・演出・鈴木太一を見た。なぜか、性行為はタブーなのである。性行為がなければ誰も存在しないにも関わらずだ。限りなく神聖なものがなぜそこはかとなく汚らわしいのか。そこには無知や無教養が関わってくるし、性的コンプレックスや、制度の抑圧も無関係ではない。何よりも・・・聖母信仰と・・・近親相姦の問題が多いに問題となってくるだろう。しかし・・・普通の人々は・・・まあ、母親の愛に包まれて・・・男子はお母さんみたいな女の子を伴侶にしたいと願い、女子はお母さんのような母親になりたいと夢見る・・・それでそこそこ幸せになれるらしい。
その幸せを手にしていない男が今回の主役である。
フリーターの英雄(鈴之助)は母子家庭で育ち、母親を三年前になくしていた。
少年時代、スナック明美を経営していた母親(宮田早苗)と従業員の男(下條アトム)の会話が英雄の心の傷となっていた。
「ねえ・・・しようよ」
「昨日もしただろう・・・今日は疲れた・・・明日にしよう」
「きっとだよ」
母が「男に抱かれること」に不潔なものを感じた英雄は・・・処女しか抱けない男になってしまったのである。
今度こそ・・・「処女だ」と思って付き合いだした女・マリコ(田代さやか)との初めての夜。
突如、愛知県東三河地方を襲う超能力発現現象によって・・・サイコメトリー(物質的残留思念読みとり)の能力が覚醒する英雄。
渡された男ものの部屋着から・・・マリコの過去の男関係を読みとる英雄。
「ねえ・・・しようよ・・・」
「俺は・・・ヤリマンとはセックスせん」
「ひでぶ」
愛知県東三河地方に悲しきサイコメトラー英雄が誕生したのである。
一方・・・超能力によって世界を救い、ヒロインである処女の転校性・浅見紗英(真野恵里菜)のヒーローとなることを夢見る嘉郎(染谷将太)は親友のヤス(柄本時生)から借りた星美りかのアダルト・ビデオを母親(筒井真理子)に発見され、父親(イジリー岡田)とそれを見た両親が刺激されて濃厚なセックスをしたことを知り、朝からげんなりする悲しきテレパシストである。
超能力者である仲間は続々と見つかるのだが、すれちがう男がすべて自分に性的妄想を抱くために鬱になっているテレパシストの平野美由紀(夏帆)、エロいことにしか発動しない念力者の永野輝光(マキタスポーツ)、全裸でしかテレポートできない故に露出狂としか思えない榎本洋介先輩(深水元基)、焦点を調節できない透視能力者・矢部(柾木玲弥)と・・・ヒーローの仲間としてはかなり問題があるのである。
夜の繁華街で・・・「エスパーはいませんか」と思わず絶叫する嘉郎。
ふと振り返ると狂人を見る目で自分を見ている浅見さんと目が合うのだった。
(ちがう・・・ちがうんだ・・・浅見さん)
その時、夜の風が吹いて・・・浅見さんのスカートがめくれあがり・・・純白の下着が嘉郎の目に飛び込む。
たちまち・・・勃起する嘉郎だった。
(ちがう・・・ちがうんだ・・・浅見さん)
何が違うのかは不明である。
喫茶「シーホース」でヤスが語りかける。
「どうだった・・・星美りか」
「母ちゃんにとられた・・・」
「母ちゃんか・・・気不味いよな」
高校生の会話に割り込むマスターのテルさんこと輝光。
「そりゃ、違うで・・・俺たちはみんな母ちゃんのエロスによって生み出されたんだ・・・それを忘れちゃいかん」
「なるほど・・・早速、義理の母シリーズを借り出してきます」
レンタルビデオ屋に走るヤス。
残された嘉郎は美由紀にぼやく。
「これじゃ・・・いつまでたってもヒーローになれん」
「そんなの・・・最初から無理だよ」
「そんなことないて・・・俺たちには凄い能力があるんだ」
「こんな能力・・・なんの役にもたたない」
「そんなことない・・・美由紀ちゃんは取り柄が他にもあるけど・・・俺にははじめて取り柄ができたんだに」
「あたしだって取り柄なんか・・・」
その時、例によって風が吹いて美由紀の下着がパンチラされるのだった。
たちまち勃起する嘉郎だった。
そこで・・・店内にいた英雄たちの会話が耳に入る。
「俺・・・左手で触ると・・・その品物の持ち主の過去が頭に浮かんでくるんだ」
(サイコメトラーだ)
興奮する嘉郎。
そこに浅見さんが女友達のユウコ(伊藤沙莉)やレナ(村田唯)とやってくる。
「そうだ・・・合コンしましょう」
思わず提案する嘉郎・・・みんな暇だったのでボーリングをすることになる。
念力でいいところを見せようとするテルさんはガーターなのにストライクを連発する。
嘉郎は心を読んでいることを浅見さんに気付かれないように会話を避ける。
浅見さんがボールを拭う姿を「娼婦が少年を弄ぶようだに」と讃えるテルさんだった。
美由紀はそんな浅見さんの心を読むのだった。
≪ああ・・・こんな田舎の合コン・・・レベルが低すぎて話にならんわ≫
浅見さんのドス黒さに目を見張る美由紀。表層意識を誘導するために訊いてみる。
「あのさ・・・あんた処女なの」
≪なんだ・・・このヤンキー女≫
「よく・・・わからないけど・・・」
「セックスしてるのかってことだに」
≪少なくともあんたよりいいセックスしてるわよ≫
「あいつら・・・あんたのことを処女だって思っているんだ・・・だからあいつらの前では処女のふりしてやってくれないか・・・」
≪いわれなくたって・・・私は今でも処女ぶってるけど≫
「・・・あんた・・・ある意味、おもしろい女だに」
なぜか・・・浅見さんに好意を感じる美由紀だった。美由紀の心の広さは海の如しである。
そんな・・・女たちのやりとりも知らず・・・英雄を勧誘しようとする嘉郎。
「素晴らしい力で世界を救うのに協力してほしいだに・・・サイコメトラーがいれば犯罪事件をすぐに解決できるだがや」
「そんなことに興味はない」
つれない・・・英雄だった。
「知りたくもない事・・・知ってどうする」
「その気持ち・・・分る」
英雄に共感する美由紀。しかし、あきらめきれない嘉郎は英雄の家を訪ね・・・英雄のトラウマの原因となっている男と出会うのだった。
英雄と男は険悪だった。
嘉郎は男に事情を聴く。
「英雄君は・・・英雄君の母親と私の関係を誤解してるんです・・・英雄君は・・・彼の父親が死んだ後・・・母親が彼のためにだけ生きていたことを知らないんだ」
嘉郎と美由紀にとっては・・・男の言葉に嘘がないのは明白な事実なのだった。
「何か・・・お母さんの遺品はありませんか・・・それがあれば・・・きっと・・・お母さんの気持ちが伝わると思うんです」
男は怪訝に思ったが・・・店に残っていた母親のグローブを取りだすのだった。
しかし・・・英雄は汚らわしいものとしてそれに触れようとはしない。
「全員集合だ」
こうして・・・店にエスパーたちが集う。
「男の仲間なんか・・・欲しくないが・・・あの男は・・・母親の愛を冒涜しとる・・・それは認められんだに」
その時、行きずりのパンチラが発生する。
全員勃起する男たち。顔をそむける紅一点の美由紀。
「勃起を否定せんで・・・」
「そうだで・・・みんな勃起と母ちゃんから生まれて来たんだに・・・」
「はいはい・・・」
適当に合わせる優しい美由紀だった。
美由紀、天使だよ美由紀である。
小悪魔・浅見さんとの両輪が世界を回していくのだな。
矢部くんの透視で・・・英雄が自宅でオナニー中であることを確認したエスパーたち。
裏窓の鍵をテルさんのサスコキネシスで解錠するために・・・嘉郎がエロい妄想を炸裂させる。
「この部屋に昔住んでた女子大生はあそこを鍵におしつけてオナニーばかりして大学を辞めたんだに・・・」
「おおお・・・」
しかし、騒ぎに気がついた英雄が鍵を抑える。すかさず、全裸テレポートで英雄の背後にジャンプする榎本先輩。
顔をそむけつつ・・・「最初からそれでよかったで」とツッコム美由紀。
恐怖に襲われた英雄は夜の街を逃走する。
しかし、行く手を阻むエスパー軍団である。
テルさんは新必殺技・TENGA連射砲を放つのだった。
ついに疲れ果てた英雄は倒れる。
「あんたの気持・・・分かる・・・けど・・・力を抜いて」
優しく囁きかける美由紀に・・・ふと心を許す英雄だった。
その手に母親のグローブを触れさせる美由紀。
「まるで狼に避妊具をかぶせる娼婦のようだに」と美由紀を賛美するテルさんだった。
霊的な電撃が走り・・・強力な残留思念により過去世界に連結された英雄。
美由紀と嘉郎は英雄の心を通じて母親の霊が降臨したことを悟るのだった。
幼い英雄とキャッチボールをする亡き母親。
しかし・・・母親の悲しさで練習相手としては不足である。
そこで・・・男とキャッチボールの特訓をする母親。
「ねえ・・・【キャッチボール】しよう」
英雄は自分の誤解を悟るのだった。
誤解した英雄は母親を拒絶した。
「ねえ、キャッチボールしよう・・・」
「嫌だ」
「私・・・上手になったんだよ」
残念そうな母親。
「ごめん・・・母ちゃん・・・ごめん」
幻の河川敷で・・・母の投げるボールをキャッチする英雄。
そのボールを母に投げ返すと母は大リーガー野茂のトルネード投法までマスターしていたのだった。
「母ちゃん・・・」
「英雄・・・バイバイ」
英雄の負の感情複合体は反転し・・・母親の愛で満たされる。
そして、母は時空連続体の彼方に溶けて逝ったのだった。
新たなる同志を迎えてエスパーたちの心にまた・・・新たなる絆が生まれたのである。
その頃・・・教授(安田顕)は助手(神楽坂恵)の胸を背後から激しく揉みしだいていた。
「事態は急速に動いている・・・」
そこへ、娘の浅見さんがやってくる。
「お父さん・・・私、もうこんな田舎の生活・・・耐えられない」
父は・・・何を考えてか・・・助手の胸に手を置いたまま・・・無言だった。
もはや、笑いあり、涙ありで・・・名作の香り高くなってきたのである。
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