同盟に叛いて信義を失い降伏して生命永らえても後世の嘲笑いかんとするやでごぜえやす(綾瀬はるか)
「死を賭してこそ義は守られるべき」・・・と言いつつも二本松藩の藩主・丹羽長国は米沢に避難する。
城を守るのは家老・丹羽一学と老人と子供たちの守備隊である。
「風に散る霞の我が身はいとわねど心にかかる君が行く末」・・・と辞世を残し一学は自害する。
とにかくお家大事の時代なのだ。
そういう時代ゆえに憐れな末路をたどり射殺される少年兵・成田才次郎を演じる吉井一肇は14才の中学生。
今週は「家族ゲーム」でも自殺する中学生・真田宗多を演じており、一週間で二度死にました。
両方とも、ドラマの中核となる「死」であり、ある意味、少年俳優・吉井一肇の一週間だったのである。
死ぬ者は死に、生きるものは生きる・・・それが歴史を作って行くのだが・・・最後は誰もが死ぬのである。
それだけは今の処、間違いないのである。
で、『八重の桜・第24回』(NHK総合20130616PM8~)作・山本むつみ、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は会津武士の中で一人・高級将校となった感じの日光口担当武官・山川大蔵重栄のお色直しヴァージョン・・・そしてついに登場、一刀流溝口派の奥義伝授者にして千五百石取りの会津藩家老・萱野権兵衛長修の二大描き下ろしイラスト公開でお得でございます。いよいよ・・・会津藩の主な家老グループも梶原平馬を残すのみですな。すごく楽しみでございまする。しかし、あくまでマイ・ペースでお願いいたします。
慶応四年(1868年)の七月の戊辰戦争の動向は流動的である。何よりも参戦している新政府軍も奥羽越列藩同盟軍も烏合の衆であり、それぞれが記録を残しているために誰がどこで何をしたのか・・・辻褄が合わないことが多いのである。降伏した藩が戦場でも裏切ったとか、裏切らなかったとか、降伏した藩が最初から戦意がなかったとか、あったとか、敗走したのか、いやいや戦術的撤退なのか・・・死人に口なしなので都合の悪い事は死者に押しつけられたり、勝った方は勝った方でそれぞれに手柄を言いたてるのだった。七月四日、久保田(秋田)藩(藩主・佐竹義堯)は仙台より撤退した奥羽鎮撫総督九条道孝の引き渡しを求める仙台藩の使者を殺害し、新政府軍としての旗色を明らかにする。これに続いて新庄藩・本荘藩・矢島藩・亀田藩などが続々と新政府軍に恭順を示す。白河城の攻防戦において六月の棚倉城落城に続いて、七月十六日、三春藩(藩主・秋田映季)が降伏して開城。七月二十九日には守備隊を殲滅した板垣退助の迅衝隊が二本松城を占拠する。奇しくも同日、越後側では長岡城が新政府軍によって落城する。すでに孤立した日光口守備隊も戦術的撤退を終えており、会津藩は三方からの包囲を受けていた。八月上旬、新政府軍は会津攻めの準備をほぼ完了する。
宇都宮城が落城し、撤退してきた敗残兵と日光東照宮周辺付近で合流した会津藩山川歩兵隊は東照宮からの使者の訪問を受けていた。
「なに・・・山(日光)を下りよと申されるか・・・」
「権現様のご霊廟をお焼きするわけにはいきませぬ」
使いの僧侶は冷たく静かに言葉を続ける。
「それは不遜と申せましょう」
「しかし・・・我々は徳川家の御為に・・・戦っておるのだぞ」
「それはそれ・・・これはこれでございます・・・帝の使者は下山のための停戦を申し入れておりまする」
「手出しはせぬから・・・尻尾を巻いて逃げろ・・・ということか」
「所詮は・・・多勢に無勢・・・会津にて勢力を結集するのも戦の常道でしょう・・・食料・弾薬共に尽きているのではございませぬか」
山川大蔵は唇をかみしめた。
傷病兵を抱えた会津軍は山を下り、北を目指す。
日光に少数の守備兵を残した新政府軍は白河方面に移動し、一部は奥州街道に展開する。
神出鬼没の板垣退助は白河城落城後、東北方面に進出し、会津東側に包囲の腕を広げていた。
織田信長配下の戦国武将、丹羽長秀の血脈を伝える丹羽氏支配の二本松藩にはキリシタン弾圧の後に隠れキリシタンしのびとなった一族がいる。
板垣退助はこれを味方につけ、二本松藩軍を追い詰めて行った。
拠点を通報するキリシタンしのびの誘導により・・・配下の鉄砲忍びを二手に分けて常に十字砲撃を加えていくのである。
次第に数を減らす二本松軍はついに七月二十八日、藩主を城から脱出させた。
「いよいよ・・・明日は城攻めじゃきに・・・先手をキリシタンしのびにまかせるぜよ」
「ありがたき幸せ」
キリシタンしのびの長・三太夫は板垣退助に平伏する。
「まるや・・・さんがむりやありかんじょ・・・じゅすきり・・・ぱらいそ」
「おらしょ」
「おらしょ」
二百年の沈黙を破り、乱入したきりしたん忍びは二本松城内に残る老人・子供を虐殺した。
その光景を板垣退助は微笑んで見守る。
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