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2013年6月28日 (金)

あなたも怪物になりますか?(栗山千明)私は怪物になりました!(多部未華子)

擬似谷間に突入である。

しかし、週末にはまだ「みんエス」が残っているし、「あまちゃん」「八重の桜」と長編が居座っているのである。

なんとなく・・・春ドラマが終わった感じがしないのであった。

そういうわけで・・・二枠が埋まっているために残り5枠を賭けた「・・・を待ちながら」記事のシーズンなのであるが・・・多部未華子と栗山千明の豪華共演をスルーするわけにもいかないのである。

ここの処の日本テレビの長編ドラマは・・・「アホか・・・」という出来具合で、今回もかなりヨレヨレである。

しかし・・・最後は・・・佐藤浩市、向井理、多部未華子の怪物トリオVS純情可憐刑事・栗山千明という構図になってそこそこ爽やかに幕切れた。

実は・・・大藪春彦なら・・・ここからが面白いところなのである。

罪悪感を克服した悪と・・・未熟な正義の戦い・・・胸躍るピカレスク・ロマンの開幕なのだな。

まあ・・・そういうドラマを作らないところが・・・世の中、平和なんだな・・・と思う他ないのが悪魔の胸に一抹の寂寥感を生じさせるのだった。

で、『読売テレビ開局55周年記念ドラマ・怪物』(日本テレビ20130627PM9~)原作・福田和代、脚本・森下直、演出・落合正幸を見た。ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)は著書「善悪の彼岸」(1886年)の中で、「怪物と戦うものは自らが怪物化することに注意しなければならない。汝が永きに渡り深淵を覗く時、深淵もまた汝を同じように見つめ返している」と記している。最愛の女・ルー・ザロメに手ひどく失恋して、まったく売れなかった「ツァラトゥストラはかく語りき」を猛然と描き上げた余熱で記されたこの言葉はそれなりに人々の心の琴線に触れるものらしい。もちろん・・・それは凶悪な妹エリザーベトに翻弄されて狂気へと導かれる過程の産物なのである。

例によって結構、重要な設定が原作とドラマとでは異なるが・・・妄想はドラマ版に準拠します。

15年前に発生したくるみちゃん誘拐殺害事件。

小学2年生の女児・遠藤くるみが行方不明になり、殺害されたことが判明する。

捜査線上に浮かんだ容疑者の中で白い車の男・堂島昭(要潤)が犯人だと知っていた刑事がいた。

香西武雄刑事(佐藤浩市)は堂島の部屋で「不審死の匂い」を嗅ぎつけたのである。

香西刑事は「非業の死を遂げた死者の遺した痕跡」を嗅覚で感じることができる特殊な能力の保持者だったのである。しかし、超能力で犯人を断定することのできる法がない以上、物証が必要となる。

結局、事件は未解決のまま・・・時はすぎ・・・警察官僚で政治家だった父の地盤を継ぎ、堂島昭は国会議員選挙に立候補するまで全くの無傷であった。

苦渋にまみれた香西刑事は堂島の主宰するパーティーにもぐりこみ、悔し紛れの恫喝を試みる。

「殺人事件の時効はなくなったんだ・・・俺はお前を追い続ける」

「・・・」

堂島昭は侮蔑の表情を浮かべるのみだった。

そんな二人のやりとりを聞いて蒼白となる一人の女性があった。

くるみちゃんが行方不明になる二日前に白い車に乗った男に車に連れ込まれ、性的凌辱を受けた・・・もう一人の小学生がいた。

母親に沈黙を強いられ・・・事件について無言を通してきた藤井寺里紗(多部未華子)であった。

堂島昭の立候補を知り、告発するためにやってきたのだが・・・心の闇に自縛され、ただ立ちすくんでいたのだ。

里紗は・・・香西に希望を見出した。

一方、言動に異常が見られるために捜査の一線から外されている香西は・・・監視役を命じられている石川えみ刑事(栗山千明)とともに上司から失踪人捜索を命じられる。

失踪人・橋爪行雄は最新鋭のゴミ処理施設「日本循環環境ラボラトリ」で足取りが途絶えていた。

香西刑事と石川刑事は・・・そこで超未来技術である亜臨界水によるゴミ処理機械を操作するエンジニア・真崎亮(向井理)と出会うのだった。

「これは・・・超圧力鍋みたいなものですか・・・」と質問する石川刑事。

「まあ・・・料理で肉を軟らかくするのてはなく、ゴミをDNAレベルまで粉砕し、無機質化してしまう装置ですよ・・・つまり・・・有機物を消滅させてしまうのです」

「人間も消えますか・・・」と香西。

「ええ・・・人間も有機体の一種ですから・・・」

香西は真崎から「不審死の匂い」を嗅ぎつけていた。

やがて・・・行方不明の橋爪と真崎の接点が浮かび上がる。橋爪は過去に金融詐偽事件に関与しており、真崎の両親は被害者で・・・真崎が十歳の時に自殺していた。

「おそらく・・・真崎は・・・あの超機械で・・・橋爪を消してしまったんだ」と香西。

「まさか・・・」と石川。

「しかし・・・物証がなければお手上げさ・・・」

香西刑事は苦悩の果てに闇に落ちかかっていた。

そんな折、香西刑事を里紗が訪ねてくる。

「堂島を告発したいのです」

里紗は凌辱によって男性恐怖症になり、暗い闇の中で生きて来たのだった。

「無理だ・・・君の事件とくるみちゃんの事件は別件だし・・・圧力がかかる」

「でも・・・私は沈黙に耐えられないのです・・・このままでは壊れてしまいそう・・・」

香西は里紗の熱意に打たれ・・・存在しない物証を餌に・・・堂島の言質を引き出すための罠を仕掛けることに協力する。

堂島は監視カメラと盗聴器の仕掛けられたホテルの一室にまんまと誘き出される。

「金か・・・金が欲しいのか」

「私は謝罪してもらいたいの・・・あなたの犯した罪を・・・」

「そんなことができるか・・・」

「それならば・・・あなたの体液のついた私の服をしかるべき所に提出します」

「ふざけるな・・・」

逆襲行為に転じた堂島は里紗をベッドに押し倒す。

別室で監視していた香西刑事はあわてて部屋に駆けつけるのだった。

しかし、香西刑事が見たのは死体となった堂島だったのだ。

里紗の抵抗にあい、転倒した堂島は・・・後頭部を強く打って絶命してしまったのである。

「私・・・自首します・・・」

「君は何も悪くない・・・君はここにいなかった・・・全部、俺にまかせてくれ・・・」

香西刑事は里紗を説得し、現場から去らせた後で・・・真崎に連絡をとるのだった。

「本当に・・・人間を消してしまえるのか・・・」

「正直に言えばいいじゃないですか・・・消してしまいたい人間がいると・・・」

香西刑事と真崎は・・・超機械に堂島の身体を挿入した。

堂島は消滅する。

「こうやって・・・何人・・・消したんだ」

「さあ・・・消えてしまったものを数えても意味がないでしょう」

正義を行うのにあまりに無力な法と警察組織に絶望していた香西刑事は・・・しかし、心に残る罪悪感に懊悩する。

「俺たちは・・・善を為したのか・・・悪を為したのか・・・」

「そんなことで悩むのは・・・無意味ですよ・・・偽善的と言っても良い・・・」

「俺には・・・お前のような・・・完全な虚無の存在が信じられないのだ」

「人殺しの匂いがするからといって私を告発しても・・・どうにもなりませんよ」

香西刑事はしかし・・・死体を消滅させる・・・真崎の行動にささやかな抵抗を始める。

殺人者が遺体の始末を依頼した・・・その証拠がつかめればいい。

やがて・・・失踪者の妻と息子が捜査線上に浮かぶ。

夫の捜索願いを出している山本雪子(いしのようこ)と一人息子の優(藤原薫)の部屋で死の匂いを嗅ぎつける香西。

そして・・・雪子は真崎と接触していたのだった。

しかし・・・雪子は・・・夫の殺害も・・・真崎への遺体の始末依頼も否定するのだった。

怪物的能力と人間的情緒の間で苦悶する香西は真崎と対峙する。

「お前は・・・確かに犯罪の犠牲者で・・・不幸が生みだした怪物だ・・・」

「だから・・・どうだと言うんです・・・」

「警察官として私は・・・」

「あなたは・・・藤井寺里紗に・・・悪を唆したではないですか・・・」

「私が・・・」

「そうよ・・・私は堂島を殺したの」と姿を見せる里紗。

「君が・・・」

「彼女は罪を償うつもりだった・・・それを制したのはあなたでしょう・・・香西さん・・・なぜなら・・・彼女を守りたかったから・・・」

「お、俺は・・・」

罪の意識に翻弄され、拳銃自殺を試みる香西。

「こっちにくればいいじゃないですか・・・」

真崎と・・・里紗は微笑むのだった。

犯罪者に両親を殺された少年。

犯罪者に凌辱された少女。

二人を救うことのできなかった無力な刑事は悪の領域に身を投げるのだった。

裁かれぬ犯罪者を闇の中で消滅させる・・・怪物トリオの誕生だった。

その頃、石川は・・・自首してきた山本優の言葉に驚愕していた。

山本優は父親を殺害した凶器を持参し、死体の始末を真崎に依頼したことを告白する。

石川は・・・香西刑事が・・・死体隠滅に深く関与していることを悟る。

「香西刑事・・・あなたは・・・間違っている」

汚れを知らない石川刑事は香西刑事を逮捕するために走り出すのだった。

闇と光の戦いの幕が今、きっておとされたのだった。

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大奥

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