みんな!ニンジン残すなよ!(夏帆)
さて、とりあえず「醜女狩り/芝妃美子」(1975年)を聴いて前を向いていくわけである。
古き歌の世界では隔離されてしまった醜女を愛する男が醜女に変装して密会しに来たり、穴掘って大脱走したりのスペクタクルが展開するわけだが・・・こちらではせつないラブ・ストーリーが展開していく。
醜女と醜男の愛に共感するヒロインが美少女というところがさらにせつないわけなのだなあ。
まあ、たまたま、美しく生まれたり、たまたま醜く生まれたりする。
ただ、それだけのことなんだけどなあ。
でも、美しい人間が言っても嫌味に聞こえるかもしれないのだよなあ。
だけど・・・そういう美しさもはかなく消えて行くんだけどねえ。
しかし、そんなことを言うとまた年寄りが僻むんだけどさ。
見て見ぬフリをしたいところなんですよお。
で、『みんな!エスパーだよ!・第8回』(テレビ東京201306080012~)原作・若杉公徳、脚本・田中眞一、演出・月川翔を見た。愛知県立東三河の地に一人の女エスパーが現れた。何者かの指令を受けて彼女は正義のエスパーたちを滅ぼすために行動を開始する。彼女の超能力はラブ・コントロール(愛情制御)・・・。他者の脳内の化学物質を変化させ、幻想の理想の恋人を演じることができるのだった。他人の心を読める超能力が発現した愛知県立東三河高校の男子生徒・鴨川嘉郎(染谷将太)はこの危機を乗り切ることができるのだろうか。今、彼らの愛が試されるのだった。・・・本当(マジ)かよっ。
無垢な変態・喫茶「シーホース」のマスター輝光(マキタスポーツ)の前に絶世の美女・二宮サリー(河井青葉)が現れる。マスターは一目で心を奪われるのだった。
その頃、エスパー仲間の美由紀(夏帆)と帰宅途上の嘉郎は東京からの転校生・浅見紗英(真野恵里菜)に声をかけられる。
「私も一緒に帰っていい」
(パパの秘密をこのオナニー狂いのクソメガネから聞き出してやる)
紗英は超能力研究家の教授(安田顕)の娘だった。
バスで隣の席に座り、束の間の幸福を感じる嘉郎。
「嘉郎くんも超能力があるの?」
「いや・・・僕はまだ教授と知り合ったばかりだし・・・」
(ちぇ・・・使えない奴)
「じゃ・・・私はここで降りるから」
最近、嘉郎のことが気になりだしている美由紀は少し不機嫌に心で尋ねる。
(あんなひどい性格の女のどこがいいんだに?)
(浅見さんは・・・まだ子供なんだよ)
(かわいい外見にごまかされてるだけだら)
(ちがうよ・・・)
紗英の本心を知りながら紗英を信じる嘉郎に唖然とする美由紀だった。
しかし・・・そういうアホな嘉郎だからこそ・・・美由紀は魅かれるのかもしれなかった。
美由紀もまた自分の心をつかみかねていた。
喫茶「シーホース」で・・・マスターは嘉郎と美由紀に絶世の美女と出会ったことを報告する。
「もう一度会いたい・・・」というマスターと捜索を試みる嘉郎。
しかし、ビリヤード場に現れた二宮サリー(伊藤麻実子)は話しに訊いたスレンダー美人ではなく巨漢の醜女(しこめ)だったのだ。
だが・・・マスターの目には美女に見えるらしい。
マスターと美女を追跡した嘉郎は彼女の心を読んだ。
(バカな男・・・すっかりその気になって・・・廃人にされるとも知らないで・・・)
驚愕した嘉郎は教授の元にエスパーたちを集めるのだった。
「危険だ・・・その女はラブコントロールの能力者に違いない」
「ラブコントロール」
「愛情を自由に操られる能力だ・・・性欲の強いものほど虜になりやすい・・・このままではマスターはエロスのエネルギーを奪われ、能力を喪失してしまうかもしれない」
「そんな・・・」
「でも・・・二人はただ愛し合っているだけかもしれないがや」
乙女心に優れた美由紀は外見に囚われて純愛を否定する仲間たちに反発を感じるのだった。
「マスターはスレンダー美人が好きなんだ・・・あんなデブを好きになるわけないだに」
「そんなのわかりゃせんわ」
決裂する嘉郎と美由紀だった。
サリーと交際を続けるマスターは日に日にやつれて行くのだった。
「ただごとじゃない・・・マスターはTENGAを手放したで」
マスターは嘉郎の親友・ヤス(柄本時生)に自律式膣様器のTENGAを譲渡していたのだった。
「そりゃ、大変だ」
呑気な仲間たち、テレポーターの洋介(深水元基)、サイコメトラー英雄(鈴之助)、透視能力者・直也(柾木玲弥)も顔色を変える。
なんとか・・・マスターのエロスを取り戻そうとエロ小説を朗読したりする一同。
嘉郎も父(イジリー岡田)譲りの舌技をレロレロと披露する。
しかし、効果はない。そこで直也がコスプレを用意する。
美由紀は拒絶するが・・・男たちに「自信がないのか」と煽られてミニスカポリスに変身するのだった。
「逮捕しちゃうぞ☆」
あまりの可愛さに悩殺される仲間たち。しかし、マスターには通じない。
「・・・失敗だ」
「・・・」
唇を尖らせる美由紀だった。かわいいよ、美由紀かわいいよなのである。
とある夜の公園。
マスターは指輪を取り出してついにサリーに愛を囁く。
その時・・・通りすがりの酔っ払いが二人を揶揄する。
「すっげえ・・・ブスだなあ・・・」
「おっさん・・・変わってんなあ・・・」
血相を変えて男たちに向かって行くマスター。
「誰がブスだ・・・彼女を侮辱するなんて許さんだがや」
しかし、男たちに返り討ちにあうマスターだった。
サリーのうらぶれた棲家で介抱されるマスターは空腹を覚えた。
サリーはカレーライスを作るのだった。
「あ・・・ニンジンきらいだったわね」
サリーはニンジンをとりのける。
「どえりゃあ美味いであかんわ」
マスターは微笑むのだった。
一人で街をぶらついていた美由紀はサリーを見かける。
(輝さんは・・・ニンジン嫌いだったわ)
買い物をしているサリーの心を読んだ美由紀は微笑んだ。
(どうせ・・・もうすぐ廃人になるんだし)
美由紀は哀しみで満たされ・・・激昂する。
「なんだら・・・あんた・・・本当に悪いエスパーなのか・・・」
問いつめた美由紀を怪力で突き飛ばすサリー。
この最高に緊迫したシーンでパンチラをサービスされたら笑うしかないのだった。
サリーを見失った美由紀は嘉郎を呼び出す。
しかし・・・集合したエスパーたちはシーホースに閉店の札を発見して驚くのだった。
「くそ・・・この街を出る気だわ」
「どうすればええん」
だが、美由紀がサリーに突き飛ばされたと知ったサイコメトラー英雄は・・・。
「ちょっと・・・ごめん・・・」
美由紀の肩から・・・サリーの棲家を突き止めるのだった。
教授のマンションの目と鼻の先にある敵のうらぶれたアジトを急襲する仲間たち。
しかし・・・そこには携帯用のTENGAが転がっているばかり。
「しまった」とTENGAからマスターの痕跡を読みとった英雄が叫ぶ。「マスターはシーホースに行った・・・行き違いだ」
「どうする・・・」
「俺にまかせろ・・・」と洋介。
全裸瞬間移動でシーホースに飛んだ洋介はサリーの前に立ちふさがる。
「仲間が来るまで・・・ディフェンスさせてもらうぜ」
サリーの視線は洋介の股間に釘付けになるのだった。
タクシーで駆けつけた嘉郎たち。
嘉郎は領収書をもらって誰に請求するのだ。
「もう・・・逃げられないぞ」
「なんで・・・こんなことするんだ・・・」
「エスパーはエスパーと引きあう・・・いつか、あなたたちも思い知ることになるわ」
「・・・」
「セックスしか頭にない男たちとなぜ一緒にいるの」
問われて返答に屈する美由紀。
その時、直也が指摘する。
「バッグの中にカレーが・・・」
「カレー・・・」
取り出されたカレーを見て美由紀が言う。
「ニンジン抜きって・・・あんた・・・本当はマスターのこと・・・好きになったんでしょ・・・」
サリーは立ちあがってマスターのラブコントロールを解く・・・そして無言で立ち去るのだった。
夢から醒めたマスターに・・・愛の記憶は消えていた。
そしてヤスからTENGAを取り戻すのだった。
ふと・・・カレーに気がついたマスターは味見をしてみる。
「どえりゃあ美味いであかんわ」
微笑む嘉郎と美由紀だった。
バスで紗英に遭遇する二人。
(また・・・オナニー狂いのクソメガネとヤンキー女が一緒だわ)
(この女どんな性格しとるんだりゃ)
「確かに・・・僕はオナニー狂いのクソメガネかもしれん・・・」
「え・・・」
(私・・・今・・・声に出していた?)
「この街は東京とくらべたら田舎かもしれないけど・・・いいところもあるんだ・・・浅見さんにも・・・そういうところがあることに・・・気がついてもらいたいと思っています」
美由紀は気持ちが安らぐのを感じるのだった。
シーホースでは今日も美由紀はマスターのエロスの標的である。
まとまったサービスをこなしながら・・・美由紀はマスターをお仕置きしたり恥じらったりする。
エスパーたちに・・・和やかで・・・束の間の・・・休息の時が訪れたのだ。
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