沢口いずみことファントム・シャドウって逆じゃないのかとガリレオは呟いた(福山雅治)
・・・呟かないだろう。
第一、『確証〜警視庁捜査3課』(TBSテレビ)とまぜんなよっ。
いやあ・・・第10話で、元ももいろクローバーの早見あかりが女子高校生スリで登場した時から、「確証」の方が「T5」より評価高くなっちゃってさ・・・触れないわけにはいかない気持ちがね。
その上で最終回、怪盗・ファントム・シャドウ(高橋ひとみ)だからな。
なんて言っても「沢口いずみ(実名)ことファントム・シャドウ(通称)、逮捕しますっ」ていう武田秋穂巡査部長(榮倉奈々)がひっかかってさあ~。
・・・気がすんだか・・・。
で、『ガリレオ(第2シーズン)・最終回(全11話)』(フジテレビ20130617PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・澤田鎌作を見た。2000年にノースカロライナ州立大学の古生物学者デール・ラッセルらの研究グループがコンピューター断層撮影(CT)スキャンによって6600万年前の恐竜テスケロサウルスの化石を検査し、二心房二心室の心臓の三次元画像化に成功したと言う。この心臓の形態は爬虫類よりも哺乳類や鳥類に近く、恐竜が温血動物のように素早く行動できたという説を裏付ける証拠の一つになる。堆積物だと思われて削り取られていた化石内の柔組織が実は「単なる泥ではなかった」という発見は・・・古生物学の研究手法を根底から覆したのである。
恐竜大好きなガリレオこと帝都大学物理学科准教授・湯川学(福山雅治)はこのエピソードを胸に深く刻みつけ・・・「聖女の救済」(後篇)に挑むのだった。
この日、「あまちゃん」にはマンションの女役で大久保佳代子が登場したわけだが、この夜の「ガリレオ」には紫の傘の女役で光浦靖子が登場する。今季を代表する二大高視聴率ドラマにオアシズがからんでくるとは・・・特にどうということもないのである。・・・じゃ、書きとめるなよ。
事件の重要な鍵を握ると思われていた紫の傘の女は・・・単なる怪しい宗教の勧誘者だった。
消去方によって可能性をつぶしていくのはガリレオの基本的な思考方法である。
地道な捜査によって可能性の一つを消したオカルト小娘刑事ちゃん・岸谷美砂警部補(吉高由里子)の靴底をじっくりと検証したガリレオはそれなりに小娘刑事を評価するのだった。
一杯目のコーヒーは無毒。
二杯目のコーヒーは有毒。
一杯目のコーヒーはペット・ボトルのミネラルウォーター。
二杯目のコーヒーは浄水器の水。
疑わしいのは浄水器だが・・・浄水器からは毒物は発見されなかった。
そして・・・浄水器に堆く積った埃。
どこで・・・「0」と「1」が入れ替わったのか・・・ガリレオはビット反転をもたらした犯人について推測する。
浄水器になんらかの細工ができる人間。
それは・・・被害者であるエムシステムズの社長・真柴義之(堀部圭亮)の妻、真柴綾音(天海祐希)である可能性が最も高い。
ガリレオの中学校時代の同級生である綾音。
彼女はなぜ薔薇が嫌いなのか。
それは棘があるから。
棘が彼女を傷つけるからだ。
小娘刑事の脚を高く掲げる情事の後で、ガリレオは寝物語に耳を傾ける。
「紫の女の線が消えたのでもう一度、流産に至った事故について・・・調べました。すると産婦人科医から夫の言動について気になる証言を得られたのです。夫は胎児の生存に異常なほどに固執して・・・再妊娠が不可能ならば・・・離婚を口にしていたそうです。社員からも出産が結婚の条件であること・・・一年以内に懐妊の兆候がなければ離婚するとまで言っていたそうです・・・これって女を道具として見ているってことですよね」
「すでに・・・1年経過しているな・・・」
「まさか・・・夫人を疑っているの?」
「少なくとも・・・彼女には時間があった」
「・・・」
「調べてもらいたいことがある」
「喜んで」
ガリレオは薔薇を育てる真柴夫人について考える。
彼女は自分を傷つけるものの存在を否定する。
そんな彼女がなぜ薔薇を育てるようになったのか。
それは彼女の夫が薔薇を愛した男だったからだ。
そこまで愛した男が裏切ったら彼女はどうするだろう。
自分を傷つけた男の存在を否定するだろうか。
中学生時代、彼女はガリレオを好きだと告白しなかった。
なぜなら・・・ガリレオが自分に興味がないことを悟ったからだ。
そして・・・救済には時間が必要なのだと云った。
彼女はガリレオに相手にされず傷ついたはずだ。
タペストリーを一年かけて完成した彼女。
彼女はガリレオを救済したのか。
それとも傷つけられた自分を。
タペストリーを作りながら彼女の目に映っている景色は・・・。
浄水器だ。
「頼まれたことを調べました・・・靴底は見ないでっ・・・ペットボトルの購入経路から・・・納品は事件の二日前に半ダースされていることがわかりました・・・消費量が多すぎます。彼女は不妊治療をしていませんでした・・・。彼女は避妊薬の処方を受けていたのです。そして、彼女は極力、自宅に他人を招かないようにしていたそうです」
「なるほど・・・」
「なにか・・・わかりましたか・・・」
「一日だけ時間をくれ・・・」
翌日、研究室を訪ねた小娘刑事はガリレオの講義の代行で懲りもせず張り切る助手・栗林宏美(福山雅治)と遭遇する。
学生の遠野みさき(逢沢りな)は頑張って出番を確保する。
「先生は出張ですけど・・・あなたへの手紙が置いてありますよ」
「彼からのラブレター・・・」
赤面するおそらくラブレター処女の小娘刑事だった。
ガリレオは真柴未亡人を北海道旅行に誘った。
もちろん、もう一度くらい中学生時代の同級生との逢瀬を楽しみたかったのである。
母校は廃校になることが決まっていた。
教室の窓から昔と変わらぬ景色が見えた。
「北海道では時間が停まっているようね」
「・・・」
「できるなら・・・あの日に戻ってみたい」
「君は・・・一年前にご主人から期限付の離婚を切り出され・・・浄水器に毒を仕込んだのだろう・・・」
「なぜ・・・彼を愛しているのに・・・そんなことを」
「愛しているからこそ・・・ご主人が君を愛していないことに傷ついたからだ」
「・・・」
「君はご主人に執行猶予を与えた。彼が妊娠していた君ではなくただの君を愛しさえすれば・・・いつでも救済を与えるつもりだった」
「・・・」
「そのために・・・それ以来、君は一度も浄水器を使用しなかったし、ご主人にも使用させなかった。君は自分自身の救済を信じて・・・浄水器を見守ったのだ・・・そこに埃が堆く積るまで・・・」
「・・・」
「そして・・・ついに最後の審判を下した・・・妊娠しない君を愛さない男・・・君は自分を傷つけたものの存在を否定したのだ・・・棘のある薔薇を否定したように・・・埃を堆く積らせて・・・君はプライドのモンスターだったのだな」
「湯川くん・・・やはりあなたはすごいのね・・・でも、証拠は・・・証拠は何もないわよ」
「・・・」
その頃、湯川の推理を置き手紙で知った小娘刑事は証拠を求めて真柴家を捜索していた。
そこへ・・・真柴未亡人に魅了されている太田川刑事(澤部佑)がやってくる。
彼は鉢植えの薔薇を下げていた。
「今、犯罪者がまんまと罪を逃れようとしているのに・・・なんでお前は花なんか買ってんだ」
「こ・・・これは・・・彼女の薔薇が・・・」
「彼女の・・・」
ガリレオは小娘刑事からの電話に応じた。
「あの日・・・あの女は・・・浄水器の水で・・・薔薇に水をやったんです・・・その薔薇が枯れてます・・・おそらく毒物が発見されるでしょう・・・あの女・・・私たちの眼の前で証拠隠滅していたんですよ」
「・・・毒物反応が出る前に・・・自首するべきだと思う・・・それが貴女にとっての救済だと思うから・・・罪を償って悔い改めた方がいい」
「ふふふ・・・やはり・・・薔薇なんか愛してはだめなのよね・・・美しいものには棘がつきものなんですもの」
「・・・」
「傷つくのを恐れていては誰かを愛することはできないのだと僕は考える」
・・・犯罪を心から憎む小娘刑事はガリレオの取扱説明書を完全に読みこなしている。
都内で落雷による暴力団組員の死亡事故が相次いだ。
「これは連続殺人事件の疑いがあると思うんですが・・・」
「誘雷による殺人か・・・」
「そんなことが可能でしょうか」
「さっぱりわからない」
「ということは・・・つまり」
「実に面白い」
明日はおそらく・・・「ガリレオ XX(ダブルエックス) 内海薫最後の事件 愚弄ぶ」で二夜連続のガリレオ・レビューとなるのだな。
コンテンツとして強力なんだもんなあ。
関連するキッドのブログ→第10話のレビュー
天使による数式的アプローチはコチラへ→テンメイ様のガリレオ2
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コメント
はじめましてです。くうさんのところにおしかけてるものです。いつも読み逃げで失礼してましたが、ファントムシャドウと聞いては黙っていられないのです。
鍵福が刑事をお譲ちゃんと呼び、意味なく寮のおばちゃんが出番をかっさらう 懐かしさ漂う刑事ドラマだと思っていたら、なぜなぜファントムシャドウ?いつのまに?なのです。ガリレオもびっくりの時空を超えたかんじです。
高橋ひとみさんが何気にその気になってる感じもたまらなかったです。はぎさんも さぞうらやましかったことでしょう。
ガリレオの話でなくてすみませんです。
投稿: Q | 2013年6月25日 (火) 21時50分
ナニカシツモンハアリマスカ~Q様、いらっしゃいませ~アナタハオバQデスカ
くう様のお友達の方なのですな。
駄文にお付き合いくださりありがとうこざいます。
例によって由緒正しい水戸黄門の香り漂う
刑事時代劇なのですが・・・
どんな原作でもそうなってしまうところが
ワクの恐ろしさですな。
終盤となってゲストがいい味だしてましたな。
最終回は屋上からヘリで脱出する百面相・・・。
その前は怪盗少女ですからねえ。
こういう超懐古趣味はぐっときますな。
ファントムシャドウが
二の手、三の手を用意しているところが
またおしゃれなんですよね。
最後は服毒未遂→説得→逮捕ではなくて
できればビルの屋上から携帯用ジェット噴射機で
飛び立って行く方が良かったと考えます。
「オホホホホ・・・お嬢ちゃん・・・また会いましょう」
「ファントム・シャドウめえ・・・」
情報を得るためには情報を提供するしかないという
鉄則がそこはかとなく漂う・・・
刑事と泥棒が共存する社会。
鍵福(泉谷しげる)とはぎさん(高橋克実)なんか
どっちが泥棒で刑事なんだか判別不能ですからな。
QなきところにAなしでございましょう?
TBSドラマの被り具合が甚だしかった今季。
脇役の妻が入院とか、盗みが主題とか・・・。
本当に困ったもんですな。
編成局にまたバカが溜まりはじめているのか・・・。
まあ、一種の持病なんだな。
まあ、すでに記事のタイトルからしてガリレオでないので
まったく問題ないと考えます。
またおでかけくださいますように。
投稿: キッド | 2013年6月25日 (火) 22時41分