ロミオの上司とジュリエットの上司は甘い夢を見てるんだ(新垣結衣)
マーキューシオ(宝塚歌劇団版)かっ。
上司たちが優しいのでかえって結ばれないロミジュリって新しいよな。
誰かを愛することの心の震えを知らない上司の方が本人同士は盛り上がれるよね。
なんていうか、今回は愛で包んでくれるお母さんのような上司だよな。
二夜連続・生瀬にも笑うけどな。
まあ、「相棒」の亀山(警察官)と美和子(新聞記者)のパターンと言えないこともない。
二人とも退職しちゃうけどな。
右翼の夫と左翼の妻とか意外といるけどな。
お互いに組織からは日和見って言われちゃうんだろうなあ。
それか、夫婦喧嘩が絶えないかだよな。
まあ、世界を敵に回しても君を守るがロマンチックなんだよね。
で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第9回』(TBSテレビ20130609PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・福田亮介を見た。両論併記とは一つの事柄に対する解釈の対立がある場合に主に賛成論と反対論の双方を記述することである。これによって意見の食い違いが生じるのは当然の結果である。しかし、我が国においては「戦争反対論」と「戦争賛成論」を両論併記することはあまりないと思われる。これは一種の言論統制の結果として国民が「戦争反対」に賛成しているという暗黙の了解があるからである。戦争好きにとっては・・・戦争って可哀相と言わざるをえない無情がそこにはある。戦争は犬かよっ。犬にはかなりの人が賛成するんじゃないか。戦争に対する賛成と反対なんて犬が好きか嫌いかの感情論じゃないのかよ。そのために戦争に付属した軍隊も反対を前提とした両論併記が前提になる場合がある。軍隊は最悪論と軍隊はあまり良くない論である。そういう問題じゃないことを国民に叩き込むべきじゃないのか。・・・いい加減にしておけよ。世の中には殺人と死刑と戦争による殺傷の区別のつかない人は多いんだから。
父の影響で空自の整備士となった入間基地第2輸送航空隊整備群検査隊2分隊整備員・アッキーエこと芳川秋恵空士長(南明奈)を主軸として防衛省航空幕僚監部総務部広報室が制作した「自衛官募集」のプロモーション・ビデオは内外に好評を博した。
スカイこと空井大祐2等空尉(綾野剛)の上司・広報室長・鷺坂正司1等空佐(柴田恭兵)も我が子を誉めるように喜ぶのだった。
一方で帝都テレビ情報局ディレクターの稲ピョンこと稲葉リカ(新垣結衣)のアッキーエを取材した新番組「あしたキラリ」のためのドキュメント・ビデオも仕上がった。
リカの上司・阿久津チーフディレクター(生瀬勝久)もまた目を細める。
そして、スカイは勇気を出してはじめてのキスに挑み、リカは手をつないで走り出す。
何もかもがだんだん良くなっていく世界。
しかし、そういう世界を絶対に許せない人々は常にいるのだ。
一部外国勢力の走狗であり、怪しい NPO法人はたらく市民の会代表の小日向耕三(中村ゆうじ)は日本の防衛力を削減する指令に基づき、妨害工作を開始するのだった。
彼は「今回の自衛官募集の広報ビデオは日本の右傾化を目指す一部反動勢力が捏造されたヒューマニズムによって戦争賛美を推進し、就職難にあえぐ若者を美辞麗句で誘導し大日本帝国的な徴兵制度復活を目指す国家的陰謀である」という論調のコラムを新聞に発表する。そこまでは言ってないだろう。しかし、今時、こんな論調は黙殺されるけどな。しかし、そこはドラマである。
たちまち・・・「航空自衛隊のPVは嘘八百」が一部暇を持て余した工作員によって拡大再生産され、世論を誘導するほどに物議を醸したのだった。
そして、あろうことか帝都テレビ報道局の番組「NEWSピープル」に出演した小日向耕三の発言を番組が好意的に紹介するという事態となったのである。
現代の日本ではこんな発言した方が猛攻撃をされそうだが・・・そこは殺人事件に関与の前科のあるこの局のドラマなので・・・ある意味、ありえない抗議が航空自衛隊に殺到するのであった。
一般論として、三権分立の考え方があり、シビリアンコントロールされた自衛隊は行政府に属する。行政もまた権力の一つである。ジャーナリズムはその監視を存在意義として、マス・メディアであるテレビ局もまた建前的にはそれを使命とする。当然、そこにもまた一種の権力は発生する。権力と権力は影響しあうために・・・時には敵対することが健全な場合がある。
だから、基本的に航空自衛隊とテレビ局は敵同士なのである。
テレビ局によって一方的に事実無根の情報攻撃に晒された航空自衛隊広報室は当然のこととして講義し、番組での謝罪と訂正を求める。
普通は「番組の中で誤解を招く発言があったことをお詫びします」で済む話である。
一体、何に謝っているのか判らないコメントを耳にしたことがある方は多いと思われる。
しかし、番組は「一出演者の一主張」を封じることは「言論統制」につながるとしてこれを拒絶する。テレビ局の全体会議は合意に達し・・・航空自衛隊と帝都テレビは敵対関係に突入したのである。
帝都テレビの決断は編集権を放棄した悪い判断だが、組織防衛のための苦渋の決断でもある。
リカ=帝都テレビという若者らしい愚かな考えで・・・訂正記事が入ることを期待したスカイだったが・・・リカにはそんな力も発言権もないのである。
もちろん、リカは「あれは捏造されたエピソードではありません」と上司に言ってみるのだが「もう決定したことだ」と阿久津は取り合わないのだった。
「こちらから抗議することになりました」と報告するスカイにリカは唇をかみしめるのだった。
リカの中で正義感と恋と情熱が一体となって燃えあがる。
そして、組織の構成を無視した直訴という非常手段に訴えるのだった。
相手が古巣の報道局だったことも災いしたのである。
リカとしてはせめて「エピソードが捏造ではないことだけでも訂正すべきだ」と主張したかったのである。
直訴相手の帝都テレビ報道局長・室崎統治(新井康弘)である。
室崎は穏便に応ずるが、出過ぎた真似をしたリカの非を阿久津の上司である情報局長に問うのである。
情報局長からリカの処分を求められた阿久津は苦渋の決断をするのであった。
「お前の意見で・・・全体会議の結論が変わるなんてことは最初からありえない・・・お前には航空自衛隊担当をやめてもらう・・・ちゃんと挨拶しておけ」
「何か・・・圧力が」
「いいや・・・これは俺の判断だ・・・お前は肩入れしすぎだ」
失意のリカだった。もはや・・・報道の正義のためなのか・・・愛するスカイのためなのか自分でもわからない感じのリカなのである。
一方、空自広報室は苦情の電話が殺到しても・・・比嘉哲広1等空曹(ムロツヨシ)たちは淡々と業務をこなす。柚木典子3等空佐(水野美紀)と槙博巳3等空佐(高橋努)の階級を越えた報道班内恋愛を知っても専守防衛に徹するのだった。
スカイはリカと連絡がつかなくなり・・・ちょっと不安になるのだった。
出口のない鬱屈を抱えたリカの耳に報道局ディレクター(水橋研二)と報道記者の香塚ともみ(三倉茉奈)の会話が飛び込んでくる。
「あのバカまた問題おこしたんだってな・・・大体、自衛隊なんかの肩持つってどういうことなんだよ」
「それは言いすぎですよ・・・」
ともみ・・・ドロドロ路線から脱したんだな。
しかし、リカは聞き捨てにはできないのだった。
「なんか・・・ってなんなんですか、自衛隊なんかって」
「およよ」
「彼らは普通の人間ですよ・・・普通に働いて・・・時には一生懸命努力して、時には挫折して悩んで・・・笑ったり泣いたりする普通の人たちなんですよ」
「だから・・・どうした」
「そういう人たちを一方的に誹謗中傷してそれっきりってあんまりじゃないですか」
「ひとつの意見を紹介したにすぎない・・・第一、それを一方的だというお前の意見だって一方的だろうが」
「私は・・・」
そこへ仲裁に入る藤枝敏生アナウンサー(桐山漣)だった。
「ちょっと・・・来てくれ」
「なによ・・・」
その一部始終を技術局カメラマンの坂手はじめ(渋川清彦)は見ていた。
別室に移ったリカと藤枝アナ。
「いい加減にしろよ」
「私はただ・・・」
「ただなんだよ・・・これ以上、問題起こしたら・・・番組制作から外されるぞ・・・」
「・・・」
「もう・・・外されかけたのよ」とともみが参加する。
「え」
「あんたが報道局長にねじこんだから・・・情報局長まで行っちゃったのよ。阿久津さんはあんたを庇ってくれたのよ・・・ここで問題を起こしたら阿久津さんの責任問題になるのよ・・・そこが判ってるの・・・」
「わ、私は・・・」
「あんた・・・自衛隊員にいれあげて・・・自分を見失ってるって言われてんのよ」
「・・・」
「そうじゃないとしても・・・もしもそうだとしたらなおさら・・・自重しなさいよ・・・」
同期二人の友情あふれる説得に反論できないリカ。そこへ・・・スカイがリカを訪ねて来社するのだった。
「なんか・・・まずい感じですよねえ」とアシスタント・ディレクターの佐藤珠輝(大川藍)も空気を読むのだった。
リカはスカイと外出した。
「ずっと・・・連絡がとれなくなって・・・心配してたんです。あのことも話し合いたかったし・・・あれはちょっとひどかったですよね」
「私・・・もう関係ないんです・・・広報室担当じゃなくなったんです・・・ご挨拶に伺うつもりだったんですが・・・空井さんから・・・皆さんにお伝えください」
「稲ぴょん・・・」
「私、間違いました・・・間違ってました・・・間違いだったんです」
恋愛も若気の至りも一つに溶け合って意味不明になったリカだった。
広報室でスカイの報告を受けた鷺坂は事情を察するのだった。
そして・・・偽名・大詐欺師ヘンリー・ゴンドーフ(映画「スティング」の登場人物)を使って帝都テレビに潜入し、阿久津と対峙するのだった。
「自衛隊情報保全隊の方かと思いましたよ」
「諜報活動にきたわけではありません」
「・・・」
「稲ぴょんは大丈夫ですか・・・」
「稲ぴょん・・・」
「いや・・・稲葉さんが我々と親しくなりすぎて苦しい立場に置かれているなら・・・それは我々にも責任があることですから・・・」
「それは・・・彼女自身の問題です・・・それより・・・上司として感謝申し上げたい・・・稲葉は面白い番組を作れるようになってきた・・・」
「それは・・・ウチの空井との恋のせいですかな」
「そうですねえ・・・恋は大切ですよね」
暗黙の了解をする二人だった。二人は一応、情報のプロフェッショナルなのである。
しかし・・・二人の恋は暗礁に乗り上げていた。
リカに求め過ぎてリカを苦しめたと知ったスカイは会いたい気持ちをセーブする。
スカイの求めに応じられなかったリカは責任を感じて苦悶する。
月に吠えるスカイ。残業中に慟哭するリカ。
ああ、青春なのだった。
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ごっこガーデン。マッハで駆け落ちセット。まこ「カメラマン坂手さんグッジョブ!・・・さすがは広島県出身、仁義をわきまえとるけんのお。比嘉さんはおとぼけなのかフェイントなのか煙に巻き方も深みがあるのでしゅーっ。せっかく、チューもしたのに変な人のせいで変なムードに~。しかし・・・二人の上司は本当に部下思いなのだジョー。まこもかまぼこ工場の従業員に夏のボーナス100円上乗せを決めました。じいや~ランチはお好み焼き五重焼きでフレディーロイドのショータイム付にしちくり~」
くう「リカは公私混同と社会正義と恋愛とすべてのあれやこれやでもういっぱいいっぱいなんだよね。何一つ悪くないのにねえ。そして・・・スカイは思いが熱すぎてリカを火傷させちゃったんじゃないかって坂手さんのプレゼントでわかったんだよねえ。うれしくてくやしくてもうしわけなくて立ちすくんじゃう・・・ああ、せつない。とにかく、人の恋路を邪魔する奴は犬に食われちゃえばいいのにね~。まあ、自分の発言で恋が壊れるとか想定外だろうけどさ~。とにかくジェットでかけおちは楽しいよねえ。宇宙まで飛ぶ思いだから~」
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