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2013年6月10日 (月)

うらやましつのをかくしつまたのへつこころのままにみをもかくしでごぜえやす(綾瀬はるか)

蝸牛がうらやましいよ・・・怨みを隠してへつらって生きてその上で思うがままに身を隠せたらいいよなあ・・・。

会津藩家老・西郷頼母ほど切腹時を見失った男もざらにはいないだろう。

そもそも・・・財政難に喘いでいた会津藩が京都守護職を引受けたことを諌めて謹慎させられた時点で腹を切るべきだったのだ。

結局、紆余曲折あって家老に返り咲き・・・白河城攻防戦の主将となる。

三ヶ月に渡る攻防戦で・・・敵の五倍の戦力で戦い、作戦ミスで城を奪われた後は・・・戦死者の数を重ねるだけの最悪の采配を振るった・・・この敗北の時に切腹するべきだったのだ。

しかし・・・生き残り、籠城戦に参加。屋敷に残した老母、妻、娘たちは全員自刃して果てた。

その上で無条件降伏。会津藩解体である。それでも切腹しないなんて・・・全くなんて生命惜しみの強い男なのか。

自殺しようとする人にはかなりの反面教師なのだな。「西郷頼母だって天寿を全うしたんだからもう少し生きればあ」なのである。

そんな西郷頼母の明治維新後の歌が・・・白河の古戦場には晒されています。

で、『八重の桜・第23回』(NHK総合20130609PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はいよいよどう考えても明治維新後までは生き残れなさそうなのにしっかり生き残ってでもやっぱり西南戦争で戦死する会津藩きっての武闘派・鬼の佐川官兵衛描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。それにつけても世良修蔵は無惨な最後・・・。最近深夜に再放送されていた「東京少女セピア編・入れ替わり少女」(2007年)では小沢仁志は女子中学生の草刈麻有と心が入れ替わってすごくかわいかったのに・・・。大体、世良は奇兵隊あがりとはいえ・・・儒学者で文官だから交渉役になった人物なのに・・・。面白すぎるキャラにされちゃいました~ですね。ま、爆笑しましたけどね~。

Yaeden023 慶応四年(1868年)三月、孝明天皇の義弟にあたる奥羽鎮撫総督九条道孝は仙台で会津藩、庄内藩に対して仙台藩、米沢藩を通じて降伏交渉に入っていた。参謀の長州藩士・世良修蔵は「会津城の開城、前藩主の松平容保の身柄引き渡し」という高圧的態度で臨む。これに対し、「長州征討」の前例に倣い「仙台藩」は「家老三人の切腹」を折衷案として提案、会津はこれを拒絶し交渉は暗礁に乗り上げた。その間、会津藩・庄内藩は奥羽各藩の説得に成功。新政府に対して白河城ラインで対峙する戦略を打ち立てる。閏四月二十日、参謀・世良修蔵を宿泊中の旅館にて急襲したした奥羽列藩同盟軍はこれを血祭りとして退路を断ち、同日、中立的立場にあった白河城を急襲し、これを占拠。会津藩を主力とした布陣で北上する新政府軍を迎え撃った。しかし、同盟軍は烏合の衆であり、統率力を欠くうえに、装備が旧式で、戦術的に拙劣という・・・総合力で完全に劣っており、五月、2500人で守備していた白河城をたった700人の新政府軍に奪取されてしまう。この後、同盟軍は何度も再奪還を試みてことごとく失敗・・・一方、新政府軍は関東における賊軍の鎮圧を終え、東北方面へ戦力を進出させる。旗色を伺っていた同盟軍は次々に撤退し、六月、同盟軍の支城であった棚倉城が落城。七月、会津軍も白河方面から敗走を余儀なくされる。新政府軍は北上し、七月末に二本松城方面に進出する。

偵察を終えた薩摩くぐり衆の野津鎮雄は白坂口の新政府軍本陣に戻ってきた。

薩摩藩の参謀・伊地知正治は無言で迎える。

前線司令部にいるのは他に特殊部隊を率いる薩摩藩士・川村純義(後の帝国海軍大将)と宇都宮から土佐藩兵を連れて応援に来た板垣退助のみである。

「どないでごわす」

「敵の兵力はこちらのおよそ四倍と見えもした。しかし・・・ほとんどが・・・白河城の周辺に勝手に陣を構えており・・・隙だらけでごわす」

「会津藩は・・・一応、戦をしてきたが・・・他のものらは初陣じゃきに・・・いざ、開戦となればうろたえるじゃろうな・・・」

板垣退助が口を挟む。

北関東の制圧戦で薩摩軍の友軍として度々、戦果をあげた板垣に対して、三人の薩摩藩士は好意的である。

一つ年上の川村は長崎の海軍伝習所で勝海舟と同期であり、科学忍者隊の流れを組んでいる。

坂本龍馬の薫陶を受けている板垣には親しみを感じていた。

板垣退助は土佐における幕府隠密の草の一族である。

しのびとしての修練もあり、同時に戦略・戦術ともに優れた才能を見せている。

「なにか・・・作戦がごわすか」

「ここは・・・囮をもって敵を死地に誘いこむのはどうじゃろうか」

「なるほど・・・」と頷いたのは敵情を見て来た野津鎮雄だった。「弟の道貫もさように申しておった・・・」

野津は幕外に控えていた道貫(後の陸軍元帥で日露戦争の英雄)を呼びこんだ。

道貫は忍びの地図を広げる。

斥候(うかみ)の術に優れたくぐり衆なのである。

「囮の部隊はまず小丸山に直進し、これを占拠。おくれて左右から二軍を前進させます。

白河城の南に会津軍の前衛が占拠する稲荷山があるのでこれをアームストロング砲でたたきます。おそらく・・・敵はここに兵力を集中させてくるでしょう。

そこで左右の軍が稲荷山の両翼にある立石山と雷神山に進出します。

これで敵主力は包囲殲滅できるでしょう。

後は機を見て白河城に突入する手でごわす」

地図を見ていた四人は歴戦の志士である。

たちまち・・・戦の模様が思い描けた。

「面白い・・・」

四人から離れて七輪でもちを焼いていた司令官の伊地知が声をあげた。

年の若い将校たちの話に耳を傾けていたのである。

「その囮はおいどんが引受けもうそう。板垣殿は奇襲部隊を率いて白河城攻めを受け持ってもらいたいが・・・いかがかな」

「願ってもないことじゃきに・・・」

「それ・・・もちもやけたし・・・腹ごしらえそして腹ごなしをするといたそうか」

餅好きの野津兄弟は目を光らせた。

五月一日、作戦通りに戦闘を開始した新政府軍はその日のうちに白河城から同盟軍を駆逐してしまった。

新政府軍の死傷者二十名。同盟軍は死者一千を数える。

「赤子の手をひねるようなものじゃったのう・・・」

伊地知は白河城で呟いた。

城内に突入し、返り血を浴びた板垣退助はただ苦笑するばかりだった。

「長州の世良くんもあの世で酔いどれ男のバラッドを歌い溜飲を下げちょるでしょう」

関連するキッドのブログ→第22話のレビュー

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コメント

ばんはです
どうも会津視線なので
どうしても
「会津はこうして追い込まれた」みたいな
会津の正当性と共に新政府軍の悪虐性をあげへつらう

ま、会津が舞台となるとそうなってしまうのも
仕方ないのかもしれませんが

世良修蔵は兵舎にいたと言われておりますし

此度の合戦も三ヶ月近くも粘ったものの
実際のとこは訓練不足と諸藩の連携がうまく取れてなかった

そういうところでいうと
やはり西郷頼母の采配能力が気になるところですな

と、なると武芸と采配は
一致しないという事かもしれませんが

西郷さんの場合はどちらかというと
先見の明は神保修理と同じくらいのものがあったけど

雰囲気的に頑固というか口下手で
対人交渉みたいなのがとっても不得手で

その辺で大きく割をくってもうた
みたいなところがあるのかもしれませんな

一方で
庄内藩は豪商のおかげで最新式の武器を揃え
降伏の折、新政府軍の侵略を許さなかった事から

会津が京都守護職にさえならず
出費を抑えることが出来たなら
庄内藩のように武器を揃える事が出来
そして新政府軍に対して善戦し
越冬することで長期化し

今とは違う展開になっていたやもしれないと
思っているようなところが感じられますな

ま、何にしても「たら」「れば」の世界

言うなれば期末テスト前に
一夜漬けしてるようなものと切って捨てれば
それまでなんですけどねぇ; ̄∇ ̄ゞ


まぁ人生というか
生き死にがかかっていただけに
そんな簡単なものに例えてほしくはないのでしょうが
; ̄∇ ̄ゞ

投稿: ikasama4 | 2013年6月11日 (火) 00時03分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥

お疲れ様でございます。
レモネードでもいかがでございましょう。

基本的には史実通り描いているわけでが
時々、悪辣なほどに
物語を織り込んできますね。

死人に口なしで・・・
維新後に係累のないものは
徹底的に悪者に描かれてしまうところが
面白うございます。

まあ、生き残ったものは
必死に言いわけできますからな。

「殺されて当然のお方だった」が
捏造されてしまうのですねえ。

とにかく・・・白河城攻防戦における列藩同盟は
「地の利」というものを全く生かせませんでしたからね。

兵法が単なる剣術になりさがった時代とも言えます。

たとえば「敵を知り己を知れば百戦危うからず」は
基本中の基本ですが西郷はこれさえしないのですな。

空き城だった白河城に入城し、
新政府軍の威力偵察を
撃退したことで満足してしまっている。

後は前衛を配置してその周辺に
同盟軍を散開させる。
いわば・・・戦国時代の完成された正攻法です。

すでに多数を集めたことで勝ちを得た気持ちになっている。武士なのでございます。

一方で新政府軍は
兵力の集中や
包囲殲滅、そのための機動力を備えた軍隊なのですな。

会津藩に軍師がいれば
実戦経験のない西郷を司令官にはしない。
一応、会津には京坂における体験者がいるわけです。
しかし・・・他の藩との連携のために
家格で西郷を抜擢してしまうわけです。

西郷は近代戦のスピードについていけず
気がつけば
落城。

このあたりにも・・・西郷の武将らしからぬ
性格が見えています。

その後は・・・新政府軍は
徹底した籠城戦。
なにしろ・・・待てば必ず後援がある状態なのです。

そして、守備に適した火力も備えています。

西郷に残された道は短期決戦しかないわけですが
まるで戦国時代のような包囲攻城を開始します。

背後の城を防備するという単純な戦略眼もありません。

結局、生命のやりとりをしないスポーツと
戦争との差なのですな。

損得勘定は結局の処
背水の陣を敷く覚悟を持たぬ者には
あくまで経済でしかないのでございます。

戦というものはある意味、経済とは真逆の行為ですからねえ。

結局、会津藩は最後まで
既得権益にこだわったということでしょう。
もちろん・・・当時の藩は
まさか・・・すべての藩が解体されてしまうとは
思わなかったでしょうけれど。

しかし、下剋上が進行している以上
ある程度の身分制度の崩壊は避けられなかったわけですな。

会津がそうであれば・・・藩主の首をさしだせばよかった。
しかし、そうしなかったことが
会津の誇りということなのでございましょう。
そういう武士の情けが好きな人々が
結構いたからこそ・・・悲劇はそれなりに
美化されていくわけですし。

「結局、会津ってバカだったんじゃないのか」
おそらく・・・覚馬はそういう言ってはならぬことを
言う造形になると期待しております。

ふふふ・・・奥羽列藩同盟が勝った日本は楽しいですよね。

陸奥将軍国と大日本帝国の対峙。

西南戦争もなく、日清戦争もなく、日露戦争もない。
おそらく・・・両者とも
欧米列強の植民地と化してしまうわけですが・・・。

それで・・・
「あの時、会津が大人しく負けておれば」とか
「薩長がすべて悪いべ」
と未だにお互いを罵っているという・・・。

まあ、今もある意味そうですけれど~。


投稿: キッドじいや | 2013年6月11日 (火) 00時52分

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