なにもかもがうまくいかなくてもさこの星で生きるしかないスターマン(木南晴夏)
里香、神無月、万里子、美和子、カイラ、かしこ、麗香、マナミ、芳恵、真希、香織、静香、響子、カエデ、ミンハ、千紗、ムラサキ、お菊、七瀬、メグ・・・・ああ、果てしなき木南晴夏の分身たちよ・・・どこまで増殖していくのか・・・。
その中で・・・この脚本家による造形といえば・・・「銭ゲバ」(2009年)の三國茜である。
痣が消えて幸せになった茜から・・・五年。
今度のミチルはドス黒い世界からドス黒い過去を背負ってやってくる使者である。
彼女は天使となった死者を奪還しにやってくるが・・・その「輝き」に圧倒されて手ぶらで地獄へと戻っていく小悪魔だったのである。
なんでもできちゃうんだよなあ・・・凄いよなあ。
また、会えるといいなあ。
で、『スターマン・この星の恋・第3回』(フジテレビ20130723PM10~)脚本・岡田惠和、演出。堤幸彦を見た。なんとなく・・・東海地方がドラマの舞台になっていることが多いような気がする今日この頃。噴火が間近い富士山が世界遺産に登録された影響なのかしら。明日、富士山が大噴火して・・・山頂が吹っ飛んで「あまり美しくない活火山」に変貌したら大爆笑なんだな。そして・・・東海地方は地震と津波で壊滅し、ついでに首都直下地震で東京も終焉する・・・阿鼻叫喚の寸前にのほほんとファンタジーというのが素晴らしいと言う他ないのだな。
おい・・・暑さに負けるなよ。
道端で拾った星男(福士蒼汰)をちゃっかりネコババして、三人の子供の父親と自分の夫にしたちょっとおバカなシングル・マザー・宇野佐和子(広末涼子)・・・。星男が宇宙生命体によって蘇生した服毒死体であることはまだ知らない。そこへ・・・生前の星男を知る謎の女・羽生ミチル(木南晴夏)が登場。祖母の柏原美代(吉行和子)や・・・長男・大(大西流星)、次男・中でなくて秀(黒田博之)、三男・小でなくて俊(五十嵐陽向)の眼前で星男をぶっとばすのであった。
茫然とする落し物を交番に届けないタイプの佐和子だった。
美代は修羅場を予感して・・・子供たちを別室に避難させる。
「あなた・・・どなた・・・」
「そりゃ・・・こっちのセリフだよ・・・てめえ・・・だれだよ・・・タツヤ、こんなとこでなにやってんだ」
「タツヤって・・・」
タツヤ時代の記憶が修復されていないらしい星男は唖然とするのだった。
「なに・・・ボケッとしてんだよ・・・その顔、すんげえむかつく。どんな冗談なんだよ・・・タツヤ」
「・・・俺のこと・・・知ってるんですか」
「はあ?」
「あの・・・」
「なんだよ・・・おばさんっ」
「ごめんなさい・・・」
「・・・」
「星男・・・私、ウソついてました」
「え」
「全部、ウソでした」
佐和子の観念するスピードは疾風の如しである。
佐和子にとって「いい男」とは「もの」の一種なのだろう。
着服した「もの」の持ち主が現れると真偽を確かめもせず・・・ひたすらうろたえて・・・返品をする覚悟なのである。
それが・・・「悪い事」だという自覚はあるらしい。
「ひろっちやってえ・・・自分のものにしちゃってえ・・・ごめんなさい」なのだった。
「じゃ・・・俺は・・・」と星男/タツヤ・・・。
「うん・・・知らない人」・・・ものすごい白状の仕方である。桜の木を折ったワシントン・レベルだな。完全土下座体制で正直者は無罪を主張する佐和子だった。
「おばさんのウソなんてどうでもいいわ。ウソでしょ・・・記憶喪失が。タツヤ・・・いつまでシラきってんだよ」
「いえ・・・記憶喪失はお医者さんも・・・間違いないって・・・それに星男は自殺しようとしてたみたいだし」
「自殺・・・タツヤが・・・自殺なんてしようとしたらすぐできるじゃん。自殺しようとして自殺しないのは・・・自殺しようとするフリをしているだけで・・・自殺する気なんてまるでない・・・これね。タツヤのセリフね。そういう男だよ、この男は。あんた・・・騙されてるんだよ」
「騙す・・・俺は・・・そんな男だったんですか・・・なんか、すごく、悪い男だったみたいですけど」
「悪い・・・みたい・・・はあ?・・・悪だよ、悪そのものだよ・・・100%悪でしただよ・・・切ったら黒い血が出るくらいドス黒い悪だっただろう」
「記憶を失ったフリじゃありません」と割り込む佐和子。
「なんでおばさんにそんなことがわかるんだよ」
「わかるわよっ、それくらい」
「なにそれ~、女の勘とか~、そんなに冴えてる女なら、拾った男、夫にしたりしないだろっ、ふつう。何が・・・星男だよ・・・ロマンチックにも程があるだろう・・・このメルヘンばばあっ」
「ば、ばばあで悪かったわね。ああ、そうですよ、ロマンチックな夢なんか見てすみませんっ。でもさあ。年齢とか関係ないでしょ。女なら王子様を拾ったら神様からのプレゼントだって信じるでしょう、ふつう。それが悪いことかどうかなんて知ったこっちゃないでしょう。女だったらね、共感してくれる人多いと思います。これ、ガチでそう思う・・・そんで・・・好きな女が捜しにきたら・・・普通、男は記憶がなくてもなんかピンときたりするもんでしょ・・・これ、ちっともピンと来てませんよ・・・あんた、本当に持ち主なの」
「なんだってえ・・・あんた・・・何開き直ってんの・・・これ・・・人間だろう・・・十円拾ったんじゃないだろう・・・身元不明の男を警察に届け出もしないで内縁の夫にしちゃうって・・・それ・・・犯罪じゃん」
「・・・」
「タツヤ・・・あんた、なんとかいいなさいよ」
「え・・・あの・・・その」
「タツヤって・・・なんか似合わない名前」
「本名は似合うとか・・・そういう問題じゃねえだろがっ」
「すいやせんでした」
「時間の無駄だわ・・・帰るわよ・・・タツヤ」
「・・・どこに」
「あんたのいたとこによっ」
こうして・・・星男/タツヤは強奪されてしまうのだった。
佐和子は切り替えの早い女である。
いい夢見た気分で素早く立ち直るのだった。
「さて・・・仕事に行くか・・・」
何事もなかったように出勤する佐和子だった。
スーパーマーケットやまとの惣菜厨房。
ワケありの佐和子を慰めるように揚げたてお惣菜を差し出す重田信三(國村隼)・・・。
問わず語りで自分の身の上話を始める。
「今から、四十年前、俺は駅前を腹をすかして歩いていた・・・すると総菜屋の娘が俺にコロッケを一枚くれた・・・そのコロッケの上手かったのなんの。おれはそれ以来、お惣菜を作って行こうと決めたんだ」
佐和子はお惣菜の味が心にしみて・・・思わず、重田を突き飛ばす。
そして・・・お茶の間は見る・・・煮えたぎった油に手を突っ込んでも火傷一つしない職人魂を・・・いや・・・重田が人間ではないらしいことを。
呑気な安藤くん(山田裕貴)はどうでもいいことを聞いてみる。
「重田さんはこの街の生まれなんですか」
「いや・・・よそものさ」
「どこ出身なんですか」
「言ってもだれも知らない所さ」
「名もない田舎じゃ・・・ここだってそうですけどね」
そんなどうでもいい会話に目を輝かせるものがいた。
異常なことが退屈な男とのデートより好きな変な女・臼井祥子(有村架純)である。
彼女は研究によって・・・この街が四次元スポットであることに確信を持っているらしい。重田の身の上話からミステリーの香りを嗅ぎ取ったのである。
「今から・・・40年前・・・この街ではたくさんのUFO目撃情報がありました・・・もしかしたら・・重田さん」
「知らん」
しかし・・・疑いの目を消さない祥子なのである。
祥子・・・「幸せの青い鳥」なんか絶対信じない女なんだな。
「幸せが住む虹色の湖」を捜すタイプらしい。
隕石落下の時も現場検証して・・・空き瓶を回収したのは異星人遺留品の可能性を疑っていたのだ。薬物の分析を依頼して・・・毒物としった時・・・祥子はミステリアスな展開にワクワクなのであった。
一方、運転免許のない星男/タツヤを黒い車に乗せて・・・ディスシティ東京に向かうミチルはドライブ・インでソフト・ドリンク休憩をとっていた。
戸惑いながら小動物のようにミチルに従う星男/タツヤに・・・彼女の苛立ちは頂点に達していたのだった。
なんだか気分が悪いのさ
不吉な予感がするんだよ
ドジをふんだとしたら
お願いするんだろ
ここじゃないどこかへ
埋めてくれって
どこか寒くない場所へってな
「ああ・・・もう・・・あんた・・・タツヤだか・・・星男だか・・・・しんないけどさ・・・もどりなよ」
「え」
「むかつくけどさ・・・あんた・・・あそこにいたらしあわせになれるかも」
「・・・」
「なんだか・・・うらやましい・・・自分のことを忘れられるなんて・・・アタシだってさ・・・忘れられるもんなら忘れちまいたいよ」
「すみません」
「だから・・・気持ち悪いんだよ・・・あんたが・・・誰かに謝るとこなんて・・・見たくないんだよ」
「・・・」
「まあ・・・思い出して戻ってくる気になったら・・・戻ってくりゃいいさ・・・ま、ねーとおもうけどさ」
「・・・」
「ここで・・・サヨナラだ」
結局、ミチルはいい女だったらしい。
女は暗闇の街へ戻り、「タツヤ」の消息が不明だったことを誰かに報告するのだった。
一方・・・スーパーマーケットには見るからにダメな男らしい・・・宇野光一(安田顕)がしばらく佐和子の様子を伺っている。
佐和子は駐車場から倉庫へ荷物の搬入作業をしていた。
どうやら・・・佐和子の元夫は嫌な微笑みを残して立ち去る。
すれ違う星男。
その直後、お約束で崩れる積み荷。
佐和子が「とんび」的危機一髪になるところを空を飛び、荷物を片手で押しとどめるスーパープレイで救う星男だった。
「星男・・・」
「あの人が帰っていいっていうから帰ってきました」
「・・・」
「佐和子さんにあの人から伝言があります・・・クソばばあへ、クソタツヤをクソプレゼントしてやるよ。せいぜい・・・クソお伽噺をクソプレイすればいい・・・クソお飯事的なクソハッピーエンドはないと思うけどな・・・以上です」
げんなりする佐和子だった。
「いいの・・・」
「うん・・・俺・・・佐和子のことが好きだから・・・」
興味津々の従業員一同に星男を発表する佐和子。
祥子だけは・・・狂信的に星男を特別な存在と見抜いている。
「本当は・・・私を迎えに来たんだよね」
祥子の言葉を怪訝に感じる佐和子だったが・・・とにかく・・・細かい事にはこだわらない性格なのだった。
しかし・・・何故か・・・星男を抱きしめる重田には唖然とするのだった。
重田は星男となんらかの種族的関係があるらしい。
「あの・・・」
「誤解しないでくれ・・・同性愛じゃなくて・・・単なる激励だ・・・」
「はあ・・・そうですか・・・」
とにかく・・・佐和子は細かいことは気にしない性格なのである。
星男の帰還を喜ぶ・・・祖母と子供たち。
佐和子は意を決して夜の公園で星男とのファースト・キスを達成するのだった。
早速、同伴でスナックスターに報告に向かう佐和子。
親友の須多節(小池栄子)は我がことのように喜んでくれた。
しかし・・・そこに姿を見せる。元夫・・・。
「帰ってきちゃった」
「間に合ってます・・・100年後くらいに出直して来い」
佐和子は店から元夫を追い出すが・・・夜の街にはなぜか・・・鹿がたむろしているのだった。
「え・・・」
呆気にとられる一同。
そこへ鹿をよけようとしたトラックが飛び込んでくるが・・・例によって片手で受け止める星男だった。
さすがに・・・普通の人間じゃないって・・・気が付くのかな。
もう・・・ピチピチの衣装とマントが必要なレベルだよね。
スターマンじゃなくて・・・スーパーマン的な。
次回・・・悪い宇宙人が出てくるといいなと思うけど出てこないよね。
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