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2013年7月 6日 (土)

好きな人を失くしたら世界が終わっていたあの頃、みんな、エスパーだよと彼は言った(夏帆)

悪魔ヨハネの黙示録 最終章

昼が消えたたために夜もなくなった。

呪われるべきものがひとつもなくなったので呪いは消えた。

不義をするものは一人もいなくなり、正義を行うものもいない。

汚れたものは一人もいなくなり、無垢なものもいない。

アルパもなくオメガもない。

最初のものもおらず、最後の者もいない。

始めもなければ終りもない。

きたりませと言うものもなく、きたるものもない。

神がいないので悪魔もいないのである。

言葉を語るものもなく聞くものもない。

虚無である。そして虚無もない。

で、『みんな!エスパーだよ!・最終回(全12話)』(テレビ東京201307060012~)原作・若杉公徳、脚本・園子温、演出・そのしおんを見た。物語の終りは物悲しい。語り部たちはそれぞれにその物悲しさを打ち消そうとする。あるものは笑って立ち上がり、再会を約束する。あるものはギターを掻き鳴らし、静寂を残す。あるものは泣きながら、頭を下げる。聞き手たちもそれなりに対処しなければならない。拍手と歓声はそのオーソドックスな手段である。何れにせよ、物語の終りが物悲しいということは変わらないのである。

親の転勤のために東京の高校から愛知県立東三河高校に転校することを余議なくされた浅見紗英(真野恵里菜)は東京の恋人と別れ、月食の夜に自慰行為をした。

紗英の父親の研究によればエスパーへの覚醒は処女もしくは童貞であることが前提だったが・・・何事にも例外はつきものなのだった。

非処女でありながら、エスパーとなった紗英はテレパシー・未来予知・テレキネシス・テレポーションを併せ持つ完全なるエスパーだった。

しかし、その能力はまだ未開発だったらしい。

西南戦争から時空を越えてやってきた西郷隆盛(竹内力)は指導者魂で紗英の覚醒を促したのだった。

紗英は覚醒した能力で・・・未来を予知し・・・いくつかのバッドエンドを握りつぶした後で、催眠能力者のミツル(栗原類)に協力を要請し・・・最終戦争のための扉を開ける鍵を準備するのだった。

世界の命運を握る男を覚醒させるために・・・紗英・ミツル・西郷の三人は時の流れを越えるのだった。

「豊橋駅前のUSAというパチンコ屋の屋上のスペースシャトルは宇宙人の乗り物・・・UFOなのです」

紗英の発言は世情に波紋を投げかける。

娘もまたエスパーだと知った浅見教授(安田顕)は娘から秘事を打ち明けられ、助手の秋山多香子(神楽坂恵)とともに協力を約束する。

それは・・・「地球の資源強奪のために・・・地球に潜伏している宇宙人が・・・宇宙に帰還するために密かに豊橋駅前のUSAというパチンコ屋の屋上のスペースシャトルをUFOとして開発した」という荒唐無稽な話を完全肯定することであった。

マスメディアの取材により・・・そういう痕跡が全く発見されなかったために・・・浅見教授の信用は地に落ち・・・超能力開発センターとそこに所属するエスパーも全員、偽物の烙印を押されたのだった。

詐欺集団として世間の非難を浴びるエスパーたち。

そんなおり、シーホースにはミツルと西郷隆盛がアルバイト募集に応じてくる。

困惑する嘉郎(染谷将太)だった。

ミツルは「脳ある鷹は脳を隠す・・・いつか、君にも重大な選択の時がやってくる」と告げる。

そして、西郷は「その時が来たらこめかみをワンワンワンと唱えながら鐘をつくようにつつくのでごわす」と教え諭すのだった。

その頃、浅見家では一家団欒の時を迎えていた。

「お父さん、素晴らしい研究をありがとう」

「・・・」

「私はお帰りという言葉が好きよ」

「お帰り・・・」

「ただいま・・・」

父と娘の和解を微笑んで見守る秋山助手だった。

翌日、浅見家に呼び出された嘉郎は驚愕するのだった。

「私たち・・・東京に帰ることになりました」

「えええええ」

「嘉郎くん、今までいろいろありがとう」

差し出される紗英の手をおずおずと握る嘉郎。

そして、浅見一家は東三河の地を去っていったのだった。

(エスパーになって・・・世界を・・・そして浅見さんを・・・救うんじゃなかったのかよ)

紗英のヒーローになれないと知った瞬間、嘉郎はすべてのやる気を失ってしまったのだった。

そんな嘉郎を喫茶「シーホース」に呼び出す美由紀(夏帆)だった。

「おい・・・このままで・・・いいのか・・・お前が決めろ」

「決めろって・・・」

「チームエスパーをどうするかだよ・・・解散するのか・・・それとも新たなる進化を目指すのか・・・」

(浅見さんがいなくなったんだに・・・もうどうでもええだら)

「解散する」

「嘉郎・・・お前・・・そんな奴だったのか・・・見損なったわ・・・なんで・・・お前みたいなやつに・・・ももええ・・」

嘉郎が自分を選択しなかったことに絶望する美由紀だった。

そして・・・エスパーたちは皆、嘉郎の元を去って行った。

シーホースのマスター輝光(マキタスポーツ)はただの童貞親父にもどった。

内気な透視能力者・矢部直也(柾木玲弥)は嘉郎以外にも友人ができた。

マラソンの魅力に目覚めたテレポーター・榎本洋介(深水元基)は本格的なアスリートになった。

サイコメトラー英雄(鈴之助)はまともな社会人となった。

ミツルも西郷隆盛も姿を消した。

美由紀ともいつの間にか話さなくなった。

空虚で怠惰で平凡な高校生活が嘉郎を押し包む。

いつしか・・・テレパシーの能力さえも薄れつつあった。

(一体・・・俺は何を夢見ていたんだろう・・・超能力で世界を救うなんて・・・馬鹿馬鹿しいことに熱中して・・・世界なんて誰かが救うもんじゃないだろう・・・)

「世界なんて・・・ただそこにあるだけのものじゃないか」

終りなき憂鬱の日々。

父親(イジリー岡田)や母親(筒井真理子)と舌技を競うのが唯一の息抜きである。

果てしなき暗鬱な日々。

一度だけ・・・美由紀と廊下ですれ違ったことがあった。

(美由紀ちゃん・・・何を考えとる?)

心で呼び掛ける嘉郎。

しかし、ふりむいた美由紀は悲しげに首を横に振るだけだった。

こうして・・・嘉郎の青春の日々が終わろうとしていた。

変わらぬ友情を示すのは親友のヤス(柄本時生)だけだった。

とぼとぼと歩くいつもの田舎の一本道。

その時、脳裏に閃くものがあった。

(私は今・・・ウサを見張っている・・・探知メカとともに)

それは茂木健一郎(茂木健一郎)からのメッセージだった。

茂木健一郎は穏健派の異星人だったらしい。

(ワンワンワン)と犬が警告を発する。

犬もまた穏健派の異星人だったらしい。

(なんだよ・・・もう・・・ええて)

紗英を失って以来、ずっと死んだままの嘉郎は投げやりに応答する。

そこへヤスが血相を変えて走ってくる。

「えれえことになっただがや・・・嘉郎・・・逃げり・・・」

ヤスはそのまま、走り去る。

嘉郎の頭上を巨大なスペースシャトルが飛翔して行く。

「なんだら・・・あれは・・・」

何人もの人々が走ってくる。

「逃げり・・・」

「大変なことが起きた・・・」

「町は全滅だら」

頭上には種類も様々なUFOが飛び交い始めていた。

中には巨大なTENGAタイプも飛行している。

そして・・・UFOは熱線を発して田畑や森、そして市街地を焼き払っているのだった。

「うあ・・・」

嘉郎の中で鬱屈していたものが噴火しはじめていた。

「うわあ」

マグマのように溶けたドロドロしたものがこみ上げてくる。

「うああああああああああ」

嘉郎は走り出す。

「ひどいじゃないか・・・ひどいじゃないか・・・僕はなんにもせんのに」

しかし、異星の戦闘艦は容赦なく町を焼き払うのだった。

(全滅です・・・豊橋市は全滅です)

(助けて・・・)

(きゃあああああ)

嘉郎の頭に阿鼻叫喚の人々の心の声が木霊するのだった。

その時、一機の宇宙船が嘉郎に襲いかかる。

本能的に嘉郎は呪文を唱えて頭を三回ノックするのだった。

「ワンワンワン」

目からビームである。嘉郎の目からビームが発射されて宇宙船を撃墜したのだ。

(なんなんじゃ・・・これは・・・)

(くそ・・・エスパーだ・・・僕はエスパーなんじゃ)

(僕が・・・みんなを守るんだに)

巨大なウサギ型戦闘メカも一撃で倒す嘉郎。

「やった」

「そうだ・・・その通りだ」

突然、西郷隆盛が現れた。

「おはんはやればできる男なんでごわす。なぜ・・・あの時、やらんかった?」

「ぼ・・・僕は・・・」

「よか・・・戻るでごわす・・・あの時へ・・・」

燃えあがる故郷を残して・・・嘉郎は時を遡上した。

「おい・・・このままで・・・いいのか・・・お前が決めろ」

「決めろって・・・」

「チームエスパーをどうするかだよ・・・解散するのか・・・それとも新たなる進化を目指すのか・・・」

美由紀が嘉郎に決断を促していた。

「もちろん・・・解散なんかしない・・・だって僕らが地球を守るんだから」

覚醒した嘉郎の念力は一陣の風となる。

そして一部愛好家を除いたお茶の間は見たくもないおばちゃん(愛染恭子)のパンチラを目撃するのだった。

エスパーたちは全員集合した。

調子に乗った嘉郎は妄想する。

「迷うことはない・・・月水金は浅見さんを・・・火木土は美由紀ちゃんを愛せばいいだけだ・・・」

「なんだとこら・・・」と美由紀は嘉郎を半殺しにするのだった。

もちろん・・・彼らの青春はまだ始ったばかりなのである。

若者たちよ・・・時は過ぎ去る・・・やれる時にやるべきだ。

相手なんか選ぶな。後悔なんて後ですればいい。

関連するキッドのブログ→第11話のレビュー

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コメント

こんにちは、きっしーです(^o^)

とうとう終わってしまいましたね。金曜日の楽しみが一つ減ってしまいました(>_<)

最終回、破天荒すぎて読解力のない自分にはただのクソ最終回にしか見えなかったんですが、ネットで原作を知る方や読解力がある方にご意見をいただき、なんて深い最終回だったんだろうと感動しました(笑)


廊下でみゆきちゃんとすれ違うシーンは本当にせつなかったです(´Д` ) 途中からよしろうが語りながら物語が進んでいくのが「本当にそれでいいのかよっ!」と思わず叫んでしまいました(笑)

でもやはり以下の点に合点がいきません…。

◇浅見さんは西郷隆盛に魔法をかけられて、一体どうなったんでしょうか?

◇よしろうが最終シーンで過去に戻されますが、みゆきちゃんや他のエスパーが駅前に集結しているなら、過去に戻る意味はなんでしょうか?万全の準備や未然防止のためですか?

投稿: きっしー | 2013年7月 7日 (日) 18時36分

∇パンチラガミタイカ∇~きっしー様、いらっしゃいませ~*(・∀・)ハイ!!*

そうですねえ。
いつまでもいつまでもだらだらと続いてもらいたいものが
あっという間に終ってしまうそれが人生でございます。

最終回はとてもオーソドックスな展開でしたよね。

二者択一の選択肢があり
バッドエンドを選択した主人公が鬱展開の一本道へ。
そうじゃないそうじゃないとお茶の間をいら立たせて
夢落ち。
そして俺たちの戦いは始ったばかりだで
華やかにフィナーレ。
そしてエピローグは主人公が躁状態となって
見果てぬ夢を語る・・・。
いたれりつくせりで
できるだけのことはしましたが
他になにかお望みですか・・・という
スタッフの声が聞こえてまいりましたぞ。

みゆきちゃんとの
夢の中の別れこそが
一部ダメ人間の青春そのものなんですな。

まあ、現実で同じ場面にであったら
あたって砕けるのが一番でございます。
たまに砕けないからこそ
人類百万年の歴史が綴られてきたわけでございまする。

なぜなんだろう・・・
どうしてなんだろう・・・
と疑問を持つことは素晴らしいことです。

まあ・・・正解というのは妄想の中にしか
ないんですけどねえ。

クソ回答をお届けすると・・・。

浅見さんも西郷とともに未来を見て来た。
だから・・・すべてを知って
教授に協力する気になったんですな。

よしろうは西郷と未来に行った夢を見ているのですね。
よしろうのヒーロー願望は
「仲間をまきこんでしまう」という
うしろめたい要素を持っていたわけですが
全員に「志」があることを知って
強いリーダーシップに目覚めるわけです。

邯鄲の夢から覚めて
よしろうには戦いへの覚悟が定まったということです。

もちろん・・・そういう解釈も可能ということで
そもそもすべては妄想の産物なのでございますからね。

ああ・・・昔とちがって
見ようと思えばいつでも
よしろうやみゆきちゃん、そして浅見さんを
再生できる時代。

ストップできるあれやこれや。

まさにゆとり世界でございます。

投稿: キッド | 2013年7月 7日 (日) 23時14分

なんだかんだで上手く着地した。っていうかいまやっと最終回観ました。『ドラゴン青年団』の最終回のごまかし具合の落胆がやっとここへきてすっきり消えた感じです。

聖地として豊橋市民会館を観にいった人は豊橋ハリストス正教会も探して観にいってほしい。住宅街の中だからロケとしては使えなかったんだろうなぁ…もったない。

(「・ω・)」サトリます☆

投稿: 幻灯機 | 2013年7月24日 (水) 23時03分

✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪

最後は大サービスで
一歩もひかない感じが見事でしたな。

これ以上、何かが欲しいのか・・・
という作り手の叫びが聞こえました。

これは誰が何と言おうと
テレビ史に残る傑作でございます。

1 エコエコアザラク

2 キューティーハニーTL

3 みんエス

こんな感じ・・・みんなテレビ東京じゃねえか。

4 モテキ

5 怨み屋本舗

6 まほろ

みんな・・・テレ東深夜じゃねえか。

7 ライオン丸G

ま・・・日の射さない場所には
それなりに特別の愛着がわきますからな。

8 エリートヤンキー三郎

もう、了解です。

あ・・・「ヨシヒコ」と「ヨシヒコ2」を忘れてた。
結局、テレ東深夜のベスト10かよっ。

投稿: キッド | 2013年7月25日 (木) 00時29分

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