嘆きのアステロイドよりの使者スターマン(福士蒼汰)は星の王子様(広末涼子)
人間に憑依するアメーバ生命体型宇宙人の登場する傑作SF「20億の針/ハル・クレメント」はジュブナイルとして「偕成社のSF(科学小説)名作シリーズ」の第8巻の「姿なき宇宙人」となっている。
これに次いで第9巻は「宇宙からのSOS/マレイ・ラインスター」である。この原作である「The Wailing Asteroid / Murray Leinster(嘆きの小惑星」)は水木しげるのコミック「地獄」及び「コロポックルの枕」と類似していると言われる。
そもそもタイトルの「嘆きの小惑星」は・・・ローマ軍によって鎮圧されたユダヤの反乱によってエルサレムが炎上し、神殿が破壊され、残った西壁を「嘆きの壁」と呼ぶ故事を連想させる。
入手が比較的、簡単な「コロポックルの枕/水木しげる」は非常に恐ろしい宇宙人とのコンタクトの話である。
古代遺跡から発見された枕のようなものは実は滅亡した古代地球人の記憶伝達装置であった。
夢として体験できる「古代地球人の絶望的な歴史」・・・。
かって、地球に繁栄した人類は「鬼」のような宇宙人の家畜だったのである。
地球人が地に満ちると宇宙から圧倒的な軍事力を持つ「鬼」たちが現れて地球人は「食料」として収穫されるのである。
なす術もなく、どんどん食われていく人類。
もちろん・・・「コロポックルの枕」は最近の日曜の夜のお楽しみである「進撃の巨人」の原点とも言えるわけだ。
とにかく細々と生き残った人類は最後にこの記録を残したのだった。
そして・・・宇宙空間に残された地球を「地獄」に変貌させる「鬼」の襲来警報が再び鳴り響く。
新たなる収穫が始まろうとしているわけである。
スターマンがこのための先兵だったら・・・血沸き肉踊るスペクタクルが展開されるわけだが・・・。
おそらく・・・スターマンは孤独な遭難者なのだろう・・・と思われる。
だから・・・星男は「星の王子様」というより・・・人魚姫の助けた王子のポジションなんだな。
王子は・・・陸には帰らず・・・半魚人に変身して・・・人魚の国で幸せに暮らしました・・・みたいな。
で、『スターマン・この星の恋・第6回』(フジテレビ20130813PM10~)脚本・岡田惠和、演出・白石達也を見た。当然のことだが・・・スターマン飛来の発光体現象はドラマ「MM9-MONSTER MAGNITUDE」(2010年)でおなじみの気象庁特異生物部対策課、通称・気特対の守備範囲であり、現地には気特対機動班の朏万里(尾野真千子)や藤澤さくら(石橋杏奈)が出動して定点観測の任務についていると思われる。おそらく・・・福島原発事故の放射能分布の測定などと言ったカムフラージュをしながら、宇宙人の出現を探索しているのである。
「スーパーマーケットやまとの重田って何者なんですか」
「古い記録によると・・・宇宙人らしい・・・ただし無害と認定されて放置されているらしい」
「ええーっ・・・宇宙人を放置しているんですか」
「予算と人員に限度がある以上・・・しょうがないだろう・・・不法滞在の外国人をいちいちマークできるかってえの」
「そういうレベルの問題ですか」
「とにかく・・・どうやら・・・新着の方は実体化直前らしい・・・」
「それにしても明らかに人間離れした行動を目にしているのに・・・あの佐和子っておばさん・・・どこまで呑気なんですかね」
「一般人なんて・・・そんなもんだろう・・・」
「で・・・どうなるんですかね」
「重田と同種の宇宙人なら・・・しばらく監視して・・・問題行動がないようなら・・・重田と同様に放置だな・・・」
「同種族が合同する危険性はないのですか・・・」
「とにかく・・・重田が40年も無事故・無違反なんで・・・摘発の必要なしという・・・班長の判断なんだよ・・・」
「ランチの買い出しに行きますけど・・・どうします」
「おにぎり・・・梅としゃけとこんぶで・・・」
「了解・・・」
気特対の機動車両を出たさくらは徒歩で国道沿いのコンビニに向かうのだった。
星男は佐和の子供たちと近所の草野球場で朝の特訓をしていた。
次男の宇野秀(黒田博之)の守備力の強化が目標である。
生前は野球少年だったらしい星男は鬼のノックを繰り広げるのだった。
「こら・・・目えつぶるな・・・球をしっかり見ろ」
「身体でとめろ」と長男の宇野大(大西流星)も檄を飛ばすのだった。
星男を信頼する秀は懸命にキャッチしようと球を追うのだった。
三男の宇野俊(五十嵐陽向)は健気にも外野で球拾いをする。
どう見ても仲良し父子である。
盗聴器と監視カメラでモニターする万里はのどかな光景に思わず居眠りしそうになっていた。
その時、イレギュラーした打球が幼い俊を襲う。
大惨事発生と思いきや、星男は超加速能力で打球をキャッチするのだった。
「すげえ・・・」と叫ぶ万里だった。
しかし・・・子供たちはすでに星男の能力を既知のものなので和やかに微笑み合う。
次に星男は俊が踏みつぶした蟻を超能力で蘇生させたりするのであった。
「・・・」と観測者の万里は絶句していた。しかし・・・資料的にそのような能力が重田型異星人にあることは判明しているために・・・上司の判断を仰ぐような事態ではないのである。
しかし・・・星男の覚醒の時期は迫っており・・・そのことを本人は察知しているようだった。
「俺の中の何かが・・・何かしようとしている・・・お前、俺をどうする気だ」
帰宅した星男が洗面所でつぶやくのを耳にする佐和子(広末涼子)は・・・不思議に感じつつも気にとめないのだった。
佐和子が出勤した後・・・星男は洗濯ものを干しながら佐和子の祖母の美代(吉行和子)に話しかける。
「自分の寿命は尽きようとしているみたいです」
「まあ・・・北斗の拳みたいね・・・そういうことは・・・佐和子に直接言いなさい」
「・・・」
なんでも知っている美代だが・・・星男の寿命がそんなに早く尽きるとは予想していなかったと思われる。
一方、重田が宇宙人の正体を目撃してしまった臼井祥子(有村架純)の口封じのためにキスをしたことにより・・・微妙な空気が生じていた。
安藤くん(山田裕貴)は嫉妬に身悶えし、祥子は重田を自分を宇宙に連れてってくれる宇宙人だと妄信し、重田は困惑し、佐和子は三角関係を疑うのだった。
「僕はそういう関係は認めない・・・」という安藤くん。
「いや・・・そういう関係ではない」と愛妻家の宇宙人重田は弁明する。
しかし、祥子は「安藤くん・・・うっざい・・・」と吐き捨てるのだった。
もう、宇宙への道が開かれて祥子はウキウキしているのである。
お尻をフリフリなのである。
ワクワクドキドキなのである。
とにかく・・・祥子は地球と言う下等な惑星が嫌で嫌で仕方ないのだった。
「それは・・・言いすぎじゃないの」と見当違いの意見をする佐和子だった。
下世話な好奇心から重田をスナックスターに誘う佐和子は「もし・・・星男くんに何かが起こったら・・・私に連絡してくれ」と頼まれるのだった。
俊を保育園に迎えに行った佐和子は・・・星男が先着しているのに気が付き・・・胸が熱くなる。
しかし・・・星男から・・・「自分の中の何かが・・・自分を消し去ってしまうだろう」と聞かされて・・・自分を捨てるための嘘だと決めつけて・・・星男を殴り倒すのだった。
しかし・・・直後に意識を失い転倒する星男。
「そんなに・・・強く殴ってないのに・・・」と動顛する佐和子だった。
節(小池栄子)もかけつけ、近所の医者(モト冬樹)が例によって往診に来るが・・・星男はすでに死亡していた。
「嘘・・・」と佐和子が自分の拳を見つめた時・・・重田がやってくる。
「大丈夫だ・・・彼は死んでいるが・・・もうすぐ息を吹き返す・・・君の星の王子様として・・・」
「・・・」
重田の予言通り・・・星男は目覚める。
しかし、その身体は浮揚し、首は360度回転するのだった。
「佐和子」と微笑みかける星男(完全体)・・・。
はたして・・・佐和子はこの怪物を愛することができるのだろうか・・・と普通は考えるところだが・・・愛するに決まってるよね・・・佐和子の場合。
モニターを見ながら気特対機動班の二人はカップラーメンを食べていた。
関連るキッドのブログ→第5話のレビュー
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コメント
重田さん家族を見ていて…ここを主題に淡々と普通の生活を描いて「実は奥さんは知っていた…」みたいなドラマだったらとても観たいなぁと。
しかし首が後ろ向いたら人外…ならまだ良いけれど首が後ろ向いたらウチュージンってのはなぁと。そんなそんな子供だましで喜ぶ層(本命)は連ドラ観るほどヒマじゃないっていうか…(笑)。
投稿: 幻灯機 | 2013年8月15日 (木) 16時45分
重田さんの奥さんは配役的に
すべて知っていて受け入れてる・・・
っていうか、夫婦なんて
十年もつきあってたら
相手が宇宙人だろうが人外魔境だろうが
知ったことじゃねえ・・・展開でございますよね。
基本は・・・「奥様は魔女」とか
「めぞん」の一ノ瀬のおばちゃん・・・。
まあ・・・大家族で食べる納豆はおいしそうですけどな~。
大家族という時点で・・・なんかもう
宇宙人が繁殖している感じはございます。
DNAレベルで改変されているとなると
子供たちは全員360度回転首を保持か・・・。
まあ・・・このテーマで民放ゴールデンは
「余白」がありすぎるんですな。
結局、オバサンが若いイケメンと付き合う
理由づけでしかないっていうか・・・。
少なくとも・・・富士山は噴火すると思いますが。
投稿: キッド | 2013年8月15日 (木) 18時26分