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2013年9月23日 (月)

敬天愛人でごぜえやす(綾瀬はるか)

日本における最後の英雄は西郷隆盛であると言えるだろう。

その後にも、軍人で言えば日露戦争における日本海海戦の勝者・東郷元帥や、太平洋戦争における悲運の連合艦隊司令長官・山本元帥、数々のスポーツ選手や、文化人もいるが・・・真の英雄と呼べるものはいない。

西郷隆盛の最後の戦争は西南戦争であった。地理的に「西南」をイメージするものも多いだろうが、これは西郷南洲の略称と考えるべきだろう。つまり、西南戦争とは政府軍と戦った西郷南洲軍の戦いなのである。「平将門の乱」と同じことで・・・西郷が英雄である証拠と言える。

西郷隆盛の死によって日本の英雄史は幕を閉じたのである。

その人柄を示し、最も有名な言葉が座右の銘である「敬天愛人」であることは言うまでもない。

ただし、このドラマにおいては・・・英雄・西郷隆盛が・・・前回、新島襄が語る「マタイの福音書・第22章」から引用する「第一に神を愛し、第二に汝を愛するように汝の隣人を愛せ」の語り部ナザレのイエスと対になっていることを指摘しておく。

西郷の「敬天愛人」は「天を敬い人を愛す」という意味だが、解題すれば「天は我をも他人をも同じように愛する。天を敬うということは天がするように我を愛するように他人を愛することである」という意味になる。

つまり、「汝の隣人を愛せ」と「敬天愛人」はほぼ同じ意味なのである。

幕末の薩摩に登場し、倒幕・維新という革命を指導した英雄は、最後は賊軍の将として人生を終える。

その男が二千年前の宗教改革者で反乱者として十字架にかけられたイエス・キリストと同じ趣旨の名言を残しているというのがなかなかに面白いのである。

つまり・・・「汝の隣人を愛せよ」などという幻想を実践すれば・・・碌な死に方はしないということである。

で、『八重の桜・第38回』(NHK総合20130922PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は戦争によってインフレを引き起こし、資本家を誕生させ、国費不足から国有鉄道を断念させ、何人かの日本の鉄道王を誕生させた稀代の英雄・西郷隆盛と、その大親友で幕末・維新期の最高の政治家・大久保利通の二大描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。これにわって維新の三傑・木戸孝允・大久保・西郷のスリーカード達成でございますねえ。木戸の智、大久保の気、西郷の愛・・・それぞれの特徴的なムードが醸しだされる傑作でございますなあ。今回は伊藤博文(加藤虎ノ介)の登場で四草・井上聞多・西光一同大興奮でしたぞ~。しかし、あくまでマイペースでお願いします。

Yaeden038 明治9年(1876年)11月、新島八重と米国人宣教師・アリス・スタークウェザーは京都・藤原北家柳原家(明治六年に明治天皇の権典侍となり大正天皇の生母となる柳原愛子の生家)邸にて同志社女学校を開校する。柳原邸はアリスら宣教師たちの住居としてすでに使用されていた。明治10年1月29日、西郷隆盛の私学校生徒が明治政府が鹿児島県から搬出しようとしていた弾薬を掠奪するという事件が発生する。2月6日、私学校は薩摩本営と改称され、各地から不平士族が集結、部隊が編成される。15日に西郷軍は上京を目標に熊本方面への進軍を開始する。19日、新政府は「鹿児島県逆徒征討の詔」を発する。21日、西郷軍半数一万四千人は熊本城の包囲攻城を開始。熊本城守備の官軍司令官は谷干城だった。すでに電信による通信連絡を実用化していた大日本帝国陸軍はただちに九州に兵力を展開する。3月1日、熊本へと南下する陸軍を撃破するために出動した西郷軍別働隊は田原坂で一ヶ月に及ぶ激戦を展開する。警視庁選抜の警視隊も官軍として参戦し、元会津藩士の一等大警部佐川官兵衛は18日に阿蘇山麓で被弾戦死する。その後、旧薩摩藩士の抜刀攻撃に対応するために抜刀隊が組織される。19日に大日本帝国海軍による八代上陸作戦が行われ、西郷軍は前後に敵を受けることになる。4月13日、熊本城に官軍が到着。西郷軍の熊本城攻略失敗が決定的となる。30日、西郷軍は人吉に後退。5月、西郷軍は宮崎に本営を移し、再び北上を開始する。26日、京都において木戸孝允病死。西郷軍は延岡で政府軍と激突、再び後退を余儀なくされる。これより、8月まで宮崎各地で激戦が繰り広げられるが・・・続々と戦力が増強される政府軍に対し、西郷軍は消耗し、8月16日、ついに解軍する。残兵を率いた西郷は鹿児島へと敗走。官軍はこれを追撃する。9月1日、西郷軍は鹿児島県城山を占拠し、最後の抵抗を継続する。9月24日、政府軍の総攻撃中に西郷は被弾し、自刃した。明治11年(1878年)5月14日、東京にて西南戦争を指揮した大久保利通は旧士族によって暗殺された。維新の三傑は揃って姿を消したのである。

昼間はまだ夏の名残りの暑さが残っていたが夕暮れには秋を思わせる風が吹いている。

伏見の宿の鴎屋は幕末からある旅館だった。主人はかもめの半次郎という侠客あがりの親分である。四十になるかならぬかの年齢だが・・・修羅場をくぐったものだけが持つ貫禄を備えている。

新撰組時代の縁を頼って近在の農家に親戚の娘を装って逗留している科学忍者隊のくのいち三日月はその男を監視していた。

疑いが深まったのは大阪から京街道に数人の男たちが現れて鷗屋に宿泊したことである。

男たちは何れも士族くずれであることが明白だった。

そして・・・薩摩訛りがあった。

夜の闇の中に十人の男たちが洋装で集合した時、疑いは確信に変わった。

淀川に仕掛けられた水力発電機によって電力を得た三日月は無線電信を発信した。

「ワレ クグリシュウヲ ハッケンセリ」

電文を受け取った八重はただちに科学忍者隊月光くのいち衆に出動を命じたのだった。

男たちは竹田街道を使い、京へと向かっている。

薩摩くぐり衆による京都要人襲撃計画は探知されたのである。

京都御所には明治天皇が行幸中であり、西南戦争を指揮する司令官である大久保利通も駐留中である。

月光くのいち衆は狙われているのが誰にせよ、武装集団の入京は阻止する任務を帯びている。

くぐり衆と月光くのいちは竹田村周辺で遭遇した。

仕掛けたのは八重である。問答無用の狙撃が先頭の男を射殺する。

男たちは散開し、八重の発砲した場所に銃弾を撃ち込んできた。

しかし、すでに八重はその場を去っている。

男たちは新型のスナイドル銃で武装していた。薩摩の鉄砲忍びである。

闇の中に銃声が木霊する。

しかし、待ち伏せにより、地の利を占めていたのはくのいちたちだった。

遮蔽物を持たない鉄砲忍びたちは一人、また一人と狙い撃ちされていった。

「ははははは」と突然笑うものがあった。

「おいどんらを待ち伏せするものがあるとは・・・思いもかけんこと。じゃっどん・・・一体、おはんらは何者でごわすか」

「薩摩の中村半次郎様とお見受け申しましてごぜえやす」

「お、女子か・・・」

「双子の兄、桐野利秋の命を受けての・・・大久保様暗殺・・・残念ながら見逃すわけには参りませぬ」

「ふ・・・そこまで見抜かれて・・・しかも女子に足止めされるとはのう・・・」

「もはや・・・九州の戦の雌雄は決したと存じやすが・・・」

「いかにも・・・そこが・・・武士の哀しいところでごわそう」

「・・・世を忍び・・・大人しゅう・・・宿屋の主として生きていけませなんだか・・・」

「ふふふ・・・冥土の土産じゃ・・・女・・・名を名乗れ参らせい・・・」

「会津の八重・・・」

同時に銃声が鳴り響く。

八重の黒頭巾を弾丸がかすめていった。

月の輪と八重の十字射撃を浴びて半次郎は即死した。

八重はホイッスルを吹いた。

くのいちたちは去り・・・野辺には十の死体が残される。

関連するキッドのブログ→第37話のレビュー

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