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2013年9月16日 (月)

全身全霊で神を愛することが第一であり、第二に汝を愛するように隣人を愛せでごぜえやす(綾瀬はるか)

ナザレのイエスは終焉の地、エルサレムにやってくる。

イエスを危険視するユダヤの律法学者たちは・・・彼を異端とする証拠を得ようと質問を行う。

名もなき律法学者が問う。

「教えを告げるものよ、神の授けし律法の戒めにおいて・・・もっとも重要なものとは何か」

イエスは答える。

「疑いつくし、問いつくし、考えに考え抜いて神に愛を捧げることである。そして、汝を愛すること。汝を愛するように隣人を愛することがそれに次ぐ」

イエスは何よりも神を愛することを求め、自分自身は他人を愛する程度にしか愛さぬように戒める。

つまり、汝の隣人を愛せよとは・・・隣人に寄せる好意ほどにしか自己を愛さぬようにしてすべての愛を神に捧げることを求めている発言なのである。

結局、イエスは・・・自分自身や隣人・・・つまり「人」を愛することに価値などはなく・・・すべての愛は「神」に捧げるべきであることを主張しているのだ。

多くの人々がイエスの主張を誤解していることは言うまでもない。

で、『八重の桜・第37回』(NHK総合20130915PM8~)作・山本むつみ、脚本・吉澤智子、演出・中野亮平を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は「新春ワイド時代劇 白虎隊〜敗れざる者たち」(2013年テレビ東京)で篠田儀三郎を演じた中村蒼による徳富猪一郎(徳富蘇峰)の若き日のイラスト描き下ろし大公開でお得でございます。いかにも狂信者で若気の至りで七つの大罪を犯しまくる発狂集団熊本バンド(部隊)の登場でますます理解困難な様相を呈してきたこの大河ドラマ・・・。まあ・・・会津藩のおバカな歴史と・・・福島県の震災からの復興とは何の関係もなかった・・・ということに途中から気がついたスタッフ一同の驚愕がそこはかとなく感じられますな。ウヒヒですな。そして・・・ジェローム・デイヴィスと同様の北軍軍人あがりの牧師リロイ・ランシング・ジェーンズに洗脳された熊本バンドのクレイジーっぷりを忠実に再現・・・もうどこにいっちゃうんだ・・・これ。

Yaeden037 明治9年(1876年)2月、東海道線・大阪駅~京都駅が開通する。3月、官庁の日曜休暇、土用半休の太政官達公布。夫婦別姓を定めた太政官指令公布。そして廃刀令発布。名誉階級にすぎない士族たちの最後の特権が奪われたのである。帯刀を許されなくなればもはや武士ではないと・・・不平士族たちは怒髪天をついたのだった。6月、明治天皇による北海道および東北地方巡幸実施。オスマン帝国はセルビア・モンテネグロと開戦し、勝利する。しかし、ブルガリア人の大量虐殺が行われ、ヨーロッパ・プロテスタント勢力の離反を招く。大英帝国に見放されたオスマン帝国はロシア帝国と孤立したまま対峙することになる。9月、明治の毒婦こと強盗殺人犯・高橋お伝逮捕。北海道開拓使が札幌麦酒醸造所を設立する。10月10日、江戸幕府が設置した一里塚廃毀令発布。20日、熊本バンドと呼ばれる金森通倫、横井時雄、小崎弘道、吉田作弥、海老名弾正、徳富蘇峰らが同志社英学校に入学。24日、熊本市で旧肥後藩の士族による神風連の乱が勃発。児玉源太郎率いる大日本帝国陸軍がこれを鎮圧。27日、福岡県で秋月の乱が勃発。乃木希典が率いる大日本帝国陸軍がこれを鎮圧。28日、山口県で萩の乱が勃発。三浦梧楼が率いる大日本帝国陸軍がこれを鎮圧。不平士族と大日本帝国陸軍の内戦はやがて鹿児島へと収斂していくのだった。

全国の士族たちが鬱屈し、暴発を続ける明治九年の秋・・・京都では比較的平穏が保たれていた。そもそも京都には博徒公家だった岩倉具視の遺した天皇の忍びの組織があった。これを引き継いだ山本覚馬・八重が近代的な目付(監視)組織を作りあげていたからである。

京都府警の前身である京都府庁第四課には山本姉妹の支配下の陽忍が配置され、商工業者から派生した親分衆を組織化し、幕府解体後の治安の回復を図ったためであった。

親分衆たちの手に余る無法者の乱入は八重の科学忍者隊の実力で排除されたのである。

新政府は旧支配層の完全なる排除を目指して、英国系のプロテスタント組織を積極的に利用した。

しかし・・・米国系のプロテスタントであるリベラル派(反福音主義者)はその過激な合理主義によって過剰な反発を招いた。

熊本バンドはリベラル・キリスト教による国家支配を目指していることが発覚し、熊本を追われたのだった。熊本では士族の復権を目指し、反乱が計画されていた。その異分子の中の異分子が・・・熊本バンドだった。

「あのものたちは少し・・・頭がおかしいのではないのですか」

「八重さん・・・信仰に目覚めたものは・・・時に熱狂に走るのです」

「しかし・・・ジョー。彼らはプロテスタントなのにカソリックのように洗礼名を求めたりしてます。明らかにおっちょこちょいな西洋かぶれではありませんか。私の事を鵺と誹謗した徳富猪一郎など掃留(ソウル)などと聖人でもなんでもない名をつけて自己満足しており、ちょっと笑っちまう感じでごぜえやすよ」

「そうです・・・バカな子ほどかわいいと昔から言うではないですか」

「しかし、神が七日で世界を創造できたはずがないとか・・・処女が妊娠するのはおかしいとか、死んだものが生きかえるはずがないとか・・・聖書に書かれていること全否定でごぜえますよ・・・そんなことで信仰が維持できるのが・・・不思議でがす」

「いいのです・・・彼らは信仰そのものに酔っているのです。そもそも・・・我々プロテスタント・リベラル派は・・・聖書そのものの記述を鵜呑みにしない合理的精神で信仰を深めていく教団なのです・・・」

「そうなのでごぜえやすか」

「そうです・・・たとえ・・・神が七日でこの世をおつくりにならなかったとしても・・・聖母が処女懐胎しなかったにせよ・・・イエスが処刑後に蘇生なさらなかったにせよ・・・主が残した言葉の正しさは変わりません。主は人の子として生き、我々の罪をあがなって殉教された。後に続くものは主の言葉を心に刻み、この世を正しく導いていかねばならないのですよ・・・八重さん」

「それが・・・伝道の使命でごぜえやすか・・・」

「ん・・・」

「・・・あ」

「その通りです。確かに彼らの視野は狭く、態度は傲岸不遜で、言葉は選民思想丸出しの嫌味そのものです。だが・・・武士という支配階級が消滅し、不安定になった彼らの心は救いを求め、主に出会った。主に忠誠を誓うことで、心が安定し・・・新しい知識への学習意欲に満ちたのです。その熱意こそが宝なのです」

「どうも・・・ろくでもない人間ができあがりそうな気がしてなんねえ」

「それでいいのです・・・ろくでもない人間こそが・・・この混沌に満ちた世にはふさわしい。必ずや彼らは・・・それなりに人の世に役立つ人間となるでしょう」

「ああ・・・それは」

「う・・・ううん」

「リベラルとは一歩間違えたら・・・破滅の教えでねえのか」

「我々は皆・・・最後は神の審判を仰ぐ身なのです。その審判の日を心がけていれば・・・やがて野蛮な子供たちも聖人となる日がくるかもしれない。その手伝いをするのが学校というものだと私は思っています・・・私は神の教えに目覚め、海を渡った。そして海の向こうには神の国がありました。けれどそこには欲望のままに争い、血を流す人間たちの王国でもあったのです。だからといって・・・尊い主の教えが汚れることはないのです。良心に従って良いことをする・・・そうすればなにもかもだんだん良くなっていくでしょう」

「・・・」

八重は答えなかった。新島襄はたしかに良き人であった。しかし・・・世界には良き人よりも悪人で満ちている。良き人の楽観は・・・やがて恐ろしい未来を招くことになるだろう・・・と八重には分かっている。

会津藩という善人の集団の末路を八重はその目で見たからである。

とにかく・・・八重にできることは目に余る行動をするものには時々、お灸をすえてやることだった。

なにしろ・・・八重に敵うものなど一人もいなかったのである。

もちろん・・・その怨みは鬱積し、新島襄の死後に爆発することになるのだが・・・八重の知ったことでなかったのだった。

果てたまま眠りに落ちた嬢の寝顔をくのいちの夜の目で眺めた八重はそっとベッドから降りてシャワーを浴びにバスルームに向かうのだった。

西洋文明はいいもんだ・・・と八重は思う。

関連するキッドのブログ→第36話のレビュー

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