13日の金曜日に魔女が来りて殺人教唆を謎解く(長澤まさみ)
古の天使の反乱で堕天使となったルシファーは神によって地獄に封じられる。
しかし、神を嫌い彼を慕う心あるものたちはルシファーに夜の始りと終りに輝く星(金星)の名を与え崇めるのだった。
その伝説は各地に伝わるが北欧神話では主神オーディーンは魔術の神としてルシファーそのものを暗示している。
ルシファーに妻リリスがあるように、オーディーンには妻フリッグがある。
ルシファーは美と愛の女神ヴィーナスと一体化し、ヴィーナスはフリッグと一体化する。
そのためにルシファーを敵(サタン)とした愚かなキリスト教徒が美と愛の女神フリッグを魔女におとしめたのである。
本来、金曜日とはフリッグの日を意味する言葉だった。
そして、13日とは二番目の土曜日を示している。
そもそも13とは人が生まれるために必要な歳月を示している。
人は13年を経て女となるからである。
残酷な神に従う人々を呪うために魔王ルシフェルは天地創造の次の金曜日から土曜日にかけて魔女フリッグに復讐の儀式を許す。
つまり、12日の夜から13日の夜にかけてである。
いつしか・・・その日は13日の金曜日となされたのだった。
魔女フリッグはこうして人々に囁きかける・・・「殺すべきものを殺せ」と。
かくして13日の金曜日に人々は魔女が囁く夜を迎えるのである。
で、『都市伝説の女・(第2シリーズ)第3回』(テレビ朝日201310251115~)脚本・福田雄一、演出・塚本連平を見た。おふざけ度が一挙に高まった気がするのは気のせいである。けして、「ヨシヒコ」とか「天魔さん」とかが浸透したわけではないのだ。ただ深夜専門の脚本家がほんの少し日付が変わる前まで出張ってきたというだけのことである。番組開始は金曜日だが終るのは土曜日というのは実に由緒正しく悪魔的であるといって差し支えないだろう。金曜日だか土曜日だかわからない妖しい時空間こそが魔女が踊るのにふさわしい・・・ただそれだけのことなのだ。
とある13日の金曜日・・・非科学事件捜査班(UIU)のメンバーたちは呪われた車に乗り、とあるキャンプ場にやってくる・・・。
おやおや・・・汚染水議題の朝まで生テレビ・・・午前2時10分頃、福島県沖でM6.8の地震発生で2時40分に福島県に1メートルの津波到達予定なのに・・・スルーかよっ・・・録画かっ?・・・今日は・・・朝まで生みたいなテレビの日か・・・。
2時50分(M6.8→M7.1に修正)、津波注意報、岩手県、宮城県、茨城県、千葉県に拡大。
とにかく・・・高濃度汚染水が海に流出する事態にはならなそうなので・・・おバカなドラマのレビューに戻ることにする。
「エンジン、ドン!・・・でボンネット、パカーッ!開いたんですよ」と月子(長澤まさみ)・・・。
「マンガみたいだったな」と柴山刑事(平山浩行)・・・。
「ルパン三世みたいでした」とハッカーの浜中彩乃(高月彩良)・・・。
「くそっ」と表の班長・丹内刑事(竹中直人)・・・。
「これは・・・13日の金曜日の呪いかも・・・」
「馬鹿馬鹿しい・・・今回のヤマもお前が1人で都市伝説、都市伝説って叫んでただけで結局・・・ただの恋愛のもつれによる犯行だったじゃないか!」
「13日の金曜日ですよ・・・だから、変に移動しないで近くの温泉に泊まっちゃいましょうって言ったじゃないですか~」
「うるさいっ」
車が故障して押して押して押しまくっている四人なのである。
そこにキャンプ場があった。
トイレを我慢していた柴山はキャンプ場に駆けこむが便器にミミズが大量発生していたので尿意をこらえる。
しかし・・・丹内は意にかけずに用を足す。
「すっきりした」
「ミミズにおしっこかけました?」と月子。
「ミミズな。・・・いっぱいいたよ、かけた、かけた」
「ミミズにおしっこかけるとおいなりさんが腫れるんですよ」
「おいなりさん?・・・ああ・・・キャンタマブクロかっ」
「見せてください。おいなりさん、見せてください。腫れてますから」
「何言ってんだ?」
「はい、見せて。都市伝説立証のために!」
「都市伝説って・・・ただの迷信だろうがっ」
いきなり・・・下ネタである。ある意味、女優に対するセクハラだが・・・大目に見てあげてください。そういう風にしか愛を表現できないタイプもいるものですから・・・。
そして、微妙に喜ぶ視聴者がいるものですからああああっ。
「つべこべ言わずに早く見せてくださいよ!」
そこへ・・・突然、サイレンが鳴り響き、多数の警察車両が到着し、姿を見せる郷原刑事(宅間孝行)・・・。
「どうした・・・」
「殺しです」
「13日の金曜日にキャンプ場で殺人事件キターッ!」と高まる月子だった。
警視庁鑑識課の勝浦洋人(溝端淳平)も現地に到着である。
「津波は宮城県石巻市鮎川で30センチの津波が観測されました」
「まぜるな・・・色々な意味で危険だから・・・」
バラエティー番組のロケのため、13番ロッジに宿泊していたディレクター・清水政文(小島よしお)が、鈍器のようなもので頭部を殴られて死んでいるのが発見されたのだった。
遺体発見現場には血で書かれた「ASHIBE I」というダイイングメッセージが残されていたために郷原刑事は番組ADの芦部一平(夙川アトム)を犯人と断定する。
しかし・・・月子は・・・。
「何を言っているんです・・・13日の金曜日に・・・キャンプ場で人が殺されたんですよ・・・何者が犯人なのかは決まっているじゃありませんか」
「なんだって・・・」
「犯人は・・・」
「犯人は・・・」
誰もが「ジェイソン」と叫びそうになった時・・・。
「魔女です」と断言する月子だった。
静まりかえる13日の金曜日のキャンプ場。
「よし・・・連行しろ・・・」
「ボクはやってません」と芦部・・・。
「大丈夫・・・必ず・・・魔女の犯行だと証明するから・・・」
「できれば・・・違う方向で捜査してください・・・」と涙目になる芦部である。
もう・・・今回は・・・どはずれたおバカ展開になるしかないらしい。
小ネタ拾いだしたらキリがないのである。
とにかく・・・例によって月子の脳内には妄想が渦巻くのだった。
「かって・・・愛の女神だったフリッグは・・・キリスト教徒によって魔女におとしめられたのです」
「そうなんですか・・・」と勝浦くん。
「そのために・・・フリッグは11人の侍女たちと悪魔を召喚したといいます」
「サバトですね」
「フリッグと11人の侍女と悪魔・・・あわせて13人」
「なるほど・・・」
「そして・・・ここに泊まっていた13人はテレビ番組のスタッフとタレント」
「えーと」
「13という数字は一部の人たちには不吉な数字でも魔女にとっては聖なる数字なのです」
「はあ・・・」
「13人の人間、13号室の犠牲者・・・そして13日の金曜日、魔女はそれが気になって・・・ここに来たと思えるの」
「気になっちゃったんだ・・・」
「魔法の箒にのってきた魔女は・・・」
「魔法の箒ですか」
「被害者の部屋にスーッと入ってきて、杖から出る魔法のビームで清水を一撃」
「清水の後頭部には鈍器で殴られた痕が・・・」
「魔女の魔法はびびらせる効果しかないの。でも相当びびってたよね・・・被害者は。で、魔女は魔女の魔法の鈍器で清水の頭を殴る!」
「ま・・・魔法の鈍器って」
「魔女が人を殺す時専用の鈍器があるの・・・なんかね、ドーンとした・・・こう・・・大きい大豆みたいな。 ・・・石?」
「普通の鈍器とどう違うんですか?」
「そこはまあ・・・こだわるところじゃないの・・・」
もう、今回の月子は完全に・・・33分探偵レベルなのだった。
まあ・・・細かいことはもういいよね。
今回は・・・月子が東京に戻らないので・・・月子の妹・音無都子(秋月成美)は部屋に男を連れ込んでジェイソンごっこをエンジョイするのだった。
そして、キャンプ場では・・・プロデューサーの吉永(尾崎右宗)が薬物によって死亡しているのが発見される。
遺書には「創作上の意見の相違で監督を殺した・・・責任をとって自殺する」と書かれていたのである。
しかし・・・月子は・・・現場で気になる匂いを嗅いでしまう。それは仮面アイドル・りんこの香水の匂いだった。
「変ですよね・・・」
「なにが・・・」
「だって・・・衝動的に殺してしまったのに・・・自殺用の薬を用意しているなんて・・・」
「やはり・・・残念なことになるのね・・・」
「都市伝説的には・・・」
「そういう薬を用意できる人は・・・関係者にいるのかな」
「国会議員を父に持つ仮面をかぶったアイドル・山内リンコさんのマネージャーが東大医学部卒です」
「なんで・・・そんな人がアイドルのマネージャーを・・・」
「山内リンコさんのファンあがりだそうです」
「ああ・・・」
「あのボクの見せ場はどうなりますか・・・」と芸人の原口キタロー(田中聡元)・・・。
「午前四時に津波注意報が解除されるまでNHKみちゃったからねえ」
「そもそも・・・マネージャーの成田公彦さん役に袴田吉彦さんがキャスティングされた時点で・・・犯人決まっているんですもの」
「原口さんのネタってなんでしたっけ・・・」
「フリッグがまだ女神だった頃ね・・・我が子バルドルをロキに殺されちゃうの・・・つまり・・・バラドルのリンコちゃんが・・・バルドル・・・原・・口キ・・・タローだからロキって苦しいネタだった・・・」
「まあ・・・割愛されても仕方ないとこですね」
「さあ・・・つまらない事件を解決しちゃいましょう・・・」
「ところで・・・フリッグってどんな女神だったんですか・・・」
「いろいろとやらかしてくれる女神さんだけど・・・夫の財産をちょろまかして・・・アクセサリー作ったりするお茶目なところもあったみたいね」
「なるほど・・・その辺が魔女の資格ありだったんですね」
「わかるでしょう・・・アイドルこそが・・・現代の魔女なのよ」
キャンプ場に呼び出された仮面アイドルとマネージャー。
「二人を殺したのは・・・成田さんですね・・・目立たぬように薬物を注射するためにはそれなりの医学の知識が・・・必要だから・・・」
「なんで・・・そんなことを・・・」
「監督や・・・プロデューサーが・・・リンコの身体を要求してきたからです・・・ボクのリンコに枕営業なんて・・・許せなかった」
「成田さん・・・」
「ここで・・・おいなりさんネタがあるんですけど・・・もういいですよね」
「割愛しましょう・・・大体腫れるのはタマじゃなくておちんちんなんじゃない」
「そこまでは言ってません」
「もう・・・誰が言ったかわからないようにト書き省略してあるし・・・大丈夫」
「ああ・・・美しすぎるのは・・・罪なのね」と突然、仮面をとりさるりんこ。
「え・・・りんこさん役って・・・箕輪はるかさん」
明らかにどんびきする月子だった。
「私だって・・・好きこのんでこんなに可愛く生まれたわけではないのに・・・」
撤収するスタッフ一同だった。
「結局・・・魔女は関係なかったですね・・・月子さん」
「何言ってるの・・・勝浦くん・・・成田さんを狂気に追いやったのは・・・魔女が囁いたからに決まっているでしょう」
キャンプ場に14日の土曜日の利用者が集まりだしていた。
魔法の時は過ぎ去ったのである。
だが・・・エンディングは特別に月子がダンスを披露するのだった。
久しぶりに言いたい。まさみ、かわいいよ、まさみ・・・と。
関連するキッドのブログ→第2話のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の都市伝説の女Part2
| 固定リンク
コメント
第二シーズンになって自分にとっては馴染んできたというか楽しめるようになりました(^_^;。
しかしこの、「十三日ノ」金曜日的な(笑) 、あるいは北欧神話にからめる的な(笑) くだらない(ほめ言葉)プロット組み立てるのも結構大変なんだろうなぁと思って視聴しています。
お稲荷さん…で締めようと思いましたが、仮面の下もキョーレツでした(^_^;。まわりで演技をする役者さんの胸中や如何に。
投稿: 幻灯機 | 2013年10月26日 (土) 13時21分
今回は福田脚本で
月子のキャラクターがブレているのですが
それでも長澤まさみのキャパシティーが
それをきちんと飲みこんでいるという
素晴らしさがございましたな。
まさみ、あっぱれだよ、まさみの回なのでございます。
長澤まさみにはアイドルシンガー時代はなかったわけですが
エンディングを見ると・・・そういうのもアリだったよなあと思ったりしましたぞ~。
正体が逆に堀北真希だったら・・・と思うと
妄想して爆笑でございました。
リンコちゃんのセリフに
全員の背筋が凍りついた感じが演技を越えて
ものすごく伝わってきましたな~。
投稿: キッド | 2013年10月26日 (土) 15時37分