府県会規則第14条・選挙資格は満20歳以上の男子でその郡区内に本籍を定め地租5円以上を納める者でごぜえやす(綾瀬はるか)
明治11年(1878年)7月22日、府県会規則、郡区町村編制法、地方税規則の地方三新法が公布される。
府県会規則第1条は「府県会は地方税を以て支弁すべき経費の予算及びその徴収方法を議定する」と府県会の目的を定めている。
第13条に定められた議員資格は「満25歳以上の男子でその府県に本籍を定め、満三年以上居住し、地租10円以上を納める者」であった。
明治維新から十年を経て、ようやく、地方自治が幕開けしたことになる。
ただし、その権限は府知事・県令に比べて小さかった。
もちろん、選挙による地方議会の発足が民主主義への第一歩であることは間違いない。
京都府議会は山本覚馬という指導者を得て独自の発展を見せたとも言える。
明治12年(1879年)1月にはサミューダ・ブラザーズ社(英国)で3,717トン3,500馬力クルップ1861年型 24cm(20口径)単装砲4基を備えた装甲艦「扶桑」が竣工し、6月11日 横浜に到着。初代艦長は後の連合艦隊司令長官である伊東祐亨である。
欧米諸国の主力艦の排水量一万トンに対していかにも弱小軍艦であるが・・・当時のアジアなおいては唯一の近代的装甲フリゲート艦であった。
そして、明治13年(1880年)3月には村田経芳による村田銃が最初の国産小銃として大日本帝国陸海軍に採用され制式化される。
国内の政治をそれなりに進化させながら、近代国家としての軍備を向上させる。
明治新政府の苦闘は続いて行くのである。
リベラルなアメリカ式プロテスタントによって信仰に目覚めた徳富猪一郎(蘇峰)はジャーナリストとして理想の国家を追求するうちについには富国強兵の夢に傾倒して行く。
で、『八重の桜・第40回』(NHK総合20131006PM8~)作・山本むつみ、脚本・吉澤智子、演出・末永創を見た。変則脚本家システムは続く。作者はちょっと総合的な実力不足だったのか・・・。まあ、幕末と違って明治維新となると全体像を把握することがさらに困難になるからねえ。どうせなら淡々とゲゲゲの明治になっちゃってもいいのにねえ。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は「親思う心に勝る親心」的な新島襄の父親で後にキリスト教に改宗する元・安中藩士(最後の安中藩主・板倉勝殷、安中藩は後に群馬県に編入)・新島民治の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。ある時は柳生又十郎(「春の坂道」)、ある時は中村半次郎(「勝海舟」)、ある時は松永久秀(「信長 KING OF ZIPANGU」)、ある時は尼子国久(「毛利元就」)、ある時は榊原康政(「葵徳川三代」)、またある時は北条氏政(「江 姫たちの戦国」)・・・常連登場で大河ドラマとしては締りますな。
明治11年(1878年)3月、東京では東京商法会議所(後の東京商工会議所)が設立、電信中央局が開業など近代的な組織化や、インフラ整備が進行する。5月、紀尾井坂の変により、大久保利通が暗殺される。6月、市ヶ谷台に陸軍士官学校新築される。西南戦争への内応を疑われ禁錮5年で陸奥宗光が投獄された山形監獄で火災発生、内務卿・伊藤博文によって宮城監獄に移送。7月、地方三新法公布。8月、陸軍近衛兵部隊が武装反乱、大蔵卿・大隈重信公邸を銃撃するも二時間半で鎮圧される。動機は西南戦争の行賞に対する不満であったとされる。首班53名は銃殺刑に処せられる。11月、ロシアとイギリスの対立による第二次アフガン戦争勃発。12月、大日本帝国陸軍参謀本部が独立。陸軍卿・山県有朋が軍人訓戒を頒布する。明治12年(1879年)4月、琉球藩が廃止され、沖縄県が設置される。東京湾フェリー運行開始。6月、東京招魂社が靖國神社と改称される。石破茂の曾祖父にあたる金森通倫、後の横浜市長・市原盛宏らが同志社英学校を卒業する。9月、諸外国との条約改正に失敗した第4代外務卿・寺島宗則が辞職。第5代外務卿に井上馨が就任する。12月、函館、東京などで大火相次ぐ。明治13年(1880年)2月、横浜地震発生。4月、日本地震学会発足する。集会条例が公布され、自由民権運動を抑圧する。13日、新島襄が朝礼の際、自分の掌を杖で打ち、自らを罰して生徒に訓する「自責の杖」事件発生。17日、祭政一致・大教宣布の一環として天照皇大神・豊受大神を主祭神とした日比谷大神宮が落成する。5月、米国長老派教会系医療伝道宣教師ジェームス・カーティス・ヘボンが新約聖書の邦訳を刊行する。槇村正直京都府知事と山本覚馬京都府会議長が対立。徳富猪一郎が学生騒動を主導し同志社英学校を卒業目前に中途退学する。この頃、校長・新島襄は同志社大学の設立準備を始めた。
新島襄と八重は上京していた。外務省より、同志社英学校について問責があったからである。
しかし、通達を出した寺島外務卿は辞職し、その席には井上馨が着いていた。
「遠路遥々御苦労であったのう。しかし、あれは・・・条約改正の件が八方塞がりになった寺島のやつあたりじゃ・・・米国から金をもらって学校を作るなんていう美味い話をわざわざお釈迦にするなんて愚の骨頂じゃ。寺島は学問のしすぎで頭が固くなっているのでありますな」
「はあ・・・」
「俊輔(伊藤博文)から聞いてますぞ、新島くんは吉田松陰先生より密航がうまかったそうですな。先生は口は達者だが、事にあたるとやみくもでしたからねえ」
「・・・」
「はっはっは・・・そう固くならんでもよい。聞くところによると先生の奥方は・・・女豪傑じゃそうな」
「いや・・・それは・・・」
「会津の女ガンファイターと訊いておりますぞ」
「確かに・・・妻は砲術家の山本家の出身ですが・・・」
「うん・・・そこで・・・御相談がある・・・なに・・・これは岩倉卿からのお頼みなのだか・・・」
「・・・といいますと・・・」
「一月ほど・・・奥方をお借りしたい・・・それで・・・同志社英学校廃校の件はチャラであります」
「・・・え」
太平洋上を訓練航海中の一等戦艦「扶桑」のブリッジに三人の洋装の女性が乗っている。
新島八重と、三日月、月の輪の三人のくのいちである。
「函館まではあと10時間ほどで到着するでごわす」
「凄いものですね」
「いや・・・欧米列強の軍艦に比べたら、ミニ軍艦と言うべき船でごわす」
「そうなのでごぜえやすか」
「まだまだ海軍はこれからでごわす・・・ところで・・・函館では戦でごわすか」
「さあ・・・それは着いてみないと・・・」
「小松の姫の鉄砲の師匠とお伺いもうしたが・・・」
「確かに・・・お教え申しあげやした」
「やはり・・・輸送している新式火薬は・・・吸血鬼殲滅戦用なのですな」
「ご存知でしたか」
「函館では旧新撰組の永倉新八や藤堂平助など小樽の兵も応援に駆り出されているとか・・・」
「藤堂様は・・・京で討ち死になさったのでは・・・」
「ふふふ・・・あのような輩はなかなかにしぶといですからな・・・井上馨卿ほどの不死身ではないにしろ・・・なかなかのものでごわす」
永倉新八の名を聴き、三日月の頬がやや紅潮する。
三日月は島原芸妓の小常に永倉が生ませたお磯が本名である。後の上方の女役者・尾上小亀なのだ。
八重はそのことを知っていたが素知らぬ顔で呟いた。
「函館の町を半分ほど焼かねばならぬかもしれませぬ」
「ほう・・・それは豪儀な・・・」
扶桑艦長・伊東祐亨は顔を綻ばせた。
神戸海軍操練所で坂本龍馬と同期生である伊東は科学忍者隊の隊員だった。
つまり、伊東は忍びの世界では科学忍者隊長・八重の部下だったのである。
八重たちは陸海軍と合同し、吸血鬼討伐戦を行う。
その結果、函館の町は二千戸が全焼する大火に見舞われるのだった。
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