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2013年10月 8日 (火)

刑事のまなざしには映らない愛が高きから低きに流れるシャンパンタワー(岩佐真悠子)

ひっそりと公開されたと言える石ノ森章太郎生誕75周年記念作品・実写版・「009ノ1 THE END OF THE BEGINNING」(2013年9月7日封切)の主人公・ミレーヌ・ホフマンを演じるのが岩佐真悠子である。いわまゆもいつしか26歳なのだな。

主演映画もある女優なのにその・・・ひっそりとした存在感。

もう、どんどん裏社会の女専門女優になっていくのか・・・。

グラビアアイドルあがりの女優の意地をみせてもらいたいものだな。

まあ・・・そういう女優を使って「ものすごいドラマを作ってやる」という気迫がスタッフにないことは間違いない。

しかし・・・わかる人にはわかる・・・たとえ公式のあらすじ紹介にクレジットがなくても、ゲスト・アクターの中で存在感は岩佐真悠子が一番だったことを。

・・・それは意見が分かれるところだな。

で、『月曜ミステリーシアター・刑事のまなざし・第1回』(TBSテレビ20131007PM8~)原作・薬丸岳、脚本・岩下悠子、演出・鈴木浩介を見た。この枠の前作品「名もなき毒」はこの枠としては最高傑作といえる出来栄えだったが・・・今回はそれほどのインパクトはないがこの枠としてはそれなりに渋みのある展開になっている。この味に馴染むかどうかは人それぞれであろう。キッドは主人公の「犯罪加害者の心への立ち入り方」がやや偽善的で押し付けがましいと感じました。まあ、「情に訴える」というのは古典的手法ですからねえ。しかし、この枠の特徴である勧善懲悪的で・・・下手をすれば犯罪そのものが偽善的という・・・なんだかわけのわからない展開からは逃れていたと考える。

連続放火事件が発生中の警視庁東池袋署(フィクション)管内、新たな放火事件かぜ発生し、初めての死者が出る。

東池袋署刑事課強行犯係に配属されたばかりの新人刑事・夏目信人(椎名桔平)は現場から立ち去った不審な男性を追跡し、独自の捜査を開始する。

夏目は少年犯罪者の更生に関与する法務技官だったが、10年前に娘・絵美(山田杏奈)が通り魔事件に巻き込まれたことを契機に警察官に転職した変わり種だった。

絵美はそれ以来、現在に至るまで昏睡状態で・・・妻の美奈代(吉田羊)からは看護疲れが匂い立つ。

夏目が何を思い、刑事になったかはまだ詳らかにされないが・・・なんとなく・・・そういう悲劇にとことん向き合いたい気持ちは感じられるのだった。

東池袋署刑事課強行犯係の福森誠一刑事(松重豊)は夏目を生温かい眼差しで見つめ、年下の先輩刑事・安達涼子(小野ゆり子)はやや批判的に見つめるのだった。

この他にやや底の浅い係長の菊池大雅(要潤)、何か事情を知っている警視庁捜査一課の長峰亘刑事(北村有起哉)が配置されている。

カウンセラーで田辺久美子(板谷由夏)も配置されているが・・・最近、演技がワンパターンで鼻についてきている。こういう現象って不思議だよなあ。持ち味だからしょうがないのになあ。しかし、メイクを変えるとかなにか工夫しないと・・・存在自体が鬱陶しい感じになっていくのである。

焼死体が運ばれた病院には死者・佐藤英明(山中聡)の内縁の妻である看護師の前田恵子(森口瑤子)が勤務していた。

現場から立ち去った男は恵子の連れ子で高校生の前田裕馬(野村周平)だった。

ゲーム・センターでクレーン・ゲームに熱中する裕馬をじっと観察する夏目刑事。

死んだ佐藤は最悪の男で、裕馬の学費のための貯金をキャバ嬢(岩佐真悠子)に貢ぎ、恵子や裕馬に暴力をふるっていた。

恵子が担当する患者(竜雷太)は恵子のアリバイを証言する。

その病室には月下美人が飾られている。

「月下美人は一年に一度しか花を咲かさないと言いますね」

「いや・・・手入れを怠らなければ二回咲くこともある」

「花言葉はつややかな美人ですか」

「はかない恋じゃろう」

「いや・・・きっと・・・快楽ですよ」

とにかく・・・夏目には真相が見えているのだった。

焼死体の消化器からは・・・オムライスの材料が発見されていた。

また・・・焼死体からは恵子が常用する睡眠薬が検出される。

連続放火魔が逮捕され・・・放火殺人は別件であることが分かる。

放火に使われたガソリンの成分は裕馬のバイクのタンクのものと一致する。

刑事たちの疑惑のまなざしは恵子と裕馬の母子に注がれていく。

最悪の男をどちらかが・・・あるいは共謀して殺したのではないか。

しかし・・・夏目は関係者へのインタビューによって真相に迫って行くのである。

「君はなんで・・・クレーンゲームに熱中していたんだ」

「父さんが・・・クレーン車の運転者だったんだよ」

「お母さんのことはどう思う・・・」

「あんなの母親じゃない・・・ただの雌犬だよ」

刑事たちは男が貢いでいたキャバ嬢も追及する。

「あの日は・・・ホストやってる彼氏の誕生日で・・・あたし、お店を休んだのよ・・・かわいそうな子ねえ・・・学費がシャンパンタワーになっちゃったんだから」

艶然と微笑むキャバ嬢だった。

裕馬の学費は恵子から佐藤へ、佐藤からキャバ嬢へ、キャパ嬢からホストへと水が流れるように流れていったのだった。

夏目刑事は焼け跡のゴミ箱からマッシュルームの開いた缶詰を発見する。

裕馬が自首するが刑事たちは恵子のアリバイを崩していた。

恵子に老いらくの恋をしていた患者の偽証だった。

恵子は自首をするのだった。

しかし・・・夏目刑事は取り調べで・・・情状酌量を許さない殺意の在り処を追及するのだった。

「あんた・・・誰を殺そうとしたんだい」

「何のことですか・・・」

「息子はあんたを庇って・・・自首したんじゃない・・・あんたから逃げたんだよ・・・なぜなら・・・オムライスは・・・息子の好物だったからだ・・・」

その日、死んだ男は・・・家にいないはずだった。しかし、女にふられて戻って来た。そして・・・裕馬が食べるはずだった睡眠薬入りのオムライスを食べたのである。

「皮肉なことに・・・あんたは息子を殺そうとして・・・愛人を殺してしまったんだろう」

「・・・証拠はないでしょう」

「ああ・・・ないよ」

「私が人を殺したことには間違いないでしょう」

「だが・・・母親に殺されかかった息子の心を救えるのは・・・あんただけじゃないか・・・なにしろ・・・息子は知ってるんだ・・・オムライスが誰のために作られたか・・・なにしろ・・・死体からはマッシュルームだけが発見されなかったんだから」

幸せになりたかった鬼畜と息子に縛られた母親の間で揺れ動く恵子だった。

「正直に告白して・・・罪を償うことでしか・・・あんたの息子は・・・立ち直れないんじゃないかな」

そして・・・刑事は救いようのない話を何とか救おうとしているのだが・・・それが成功しているかどうかはお茶の間の判断に委ねられる。

関連するキッドのブログ→走馬灯株式会社

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コメント

『名もなき毒』には、8時台にして衝撃のお得感があったので、
今季はその反動で敬遠してたのですが
キッドさんのお話をきいて、来週は見てみようかなという気持ちになってきました。

また前回は、校歌を添えてお返事いただき、懐かしく脳内再生しました♪

ドラマ『高校入試』の橘第一高校みたいに難関入試を突破しての母校愛校歌ではなく、ただそこで生まれ育っただけの素朴なM中校歌ではありますが、
何度も脳内にめぐり響きました。

失った季節に手を合わせ、
そして失ったようで、得たものがあることに気づく。
それが秋ですね。

アキちゃん。。。(そして再びのあまロスへ)

投稿: ともえり | 2013年10月 8日 (火) 10時24分

~ミドリノコダチ~ともえり様、いらっしゃいませ~ソヨグカゼ~

第一回はお気に入り女優の森口瑤子・岩佐真悠子の揃い踏みでそれだけで評価甘めの話です。

息子より情夫を選んだ愚かな女の話なので
基本、救いようがないのですが
それを無理矢理救おうとして無惨に失敗している感じでございますよ。

脚本家は複数体制のようで
今回の脚本家は女の情念をくどく描くタイプ。

森口はさすがに・・・こわい女をやらせると
いい感じなのでございます。

まあ・・・「名もなき毒」は原作・脚本・演出が
どれをとっても特別だったと考えます。

来週、月曜日・午前中は「あまちゃん」総集編がございますぞ。

そうそう・・・ふと・・・小さな放送室で「海を見ていたジョニー」を朗読していたことを思い出しました。
あれもまた・・・キッドの原点と言えるかもしれません。

投稿: キッド | 2013年10月 8日 (火) 17時05分

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