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2013年10月23日 (水)

遠足と喘息が似ていることを教えてくれたおりこうさまではなくて変身インタビュアーの憂鬱(中丸雄一)

篠田麻里子のゲスト出演する「海の家の診療所」のレビューもしたかったが・・・おそらく、「マジすか学園」を除いては本格的なヒロイン・デビューなのである・・・やはり、三木聡・脚本・監督ドラマの魅力には抗しがたかったのである。

篠田麻里子には「あまちゃん」的な物語がある。特に奈落と海女カフェとカフェっ娘的にである。

次の機会があることを祈りたい。

三木聡・脚本・監督ドラマといえば、「時効警察」シリーズのオダギリジョーと麻生久美子、「熱海の捜査官」のオダギリジョーと栗山千明という二人組の探偵がつきもので・・・ボケとツッコミを交互にこなしながら異空間への不思議なスパイラルを形成していくわけである。このポジションは演技力と存在感の双方を要求されるのだ。

そういう意味では過酷である。

今回は・・・中丸雄一と木村文乃がそこに置かれ・・・ものすごく実力を問われるのである。

発展途上の二人にとって・・・それが吉と出るか凶と出るかは謎だが・・・なるべく生温かく見守っていきたいと思う。

ただし・・・「熱海の捜査官」はキッドのレビューが途中で挫折している・・・この点は魔王に祈る他ないのだ。

で、『・第1回』(TBSテレビ201310220028~)脚本・演出・三木聡を見た。この世には常に制度による抑圧が存在する。多くの子供たちは親という制度から最初の抑圧を受けて神妙になっていくのである。それは人類の生存に関わる手法なのであるが・・・時には苛立たしく鬱陶しいものだ。だが、抑圧から逃れようとする精神は時に特異点を生み出す。それはフィクションとノンフィクションの間に生ずる超絶時空間となって出現するのである。仰々しく言えばこの物語は「いつかのどこか」を旅する男と女の物語なのである。そしてその「旅」が成立するかどうかは旅人自身にかかっているのだ。

15歳(高校1年生)で「第19回・なんとういうミステリー大賞」の最優秀作品「おとなの殺人計画」を書いた白川次郎(中丸雄一)は推理作家としてデビューし、これまでに「目の前の殺意」「目の前の逃走」「目の前の鍵」「目の前の地獄」「排他的な殺人」「期待させる殺人」「すべてがFになったらいいのに」「勝手に視野枯れ」「人間失火区」「ウーパールーパー殺人事件」「類似なき養成所」「ラン老婆ラン」「類比推理の苦難」「カルム町残虐器官」「くだらない殺意」「くだらない殺意2」・・・など99作品を発表してきた。しかし・・・記念すべき第百作の執筆にあたって突然、スランプ(原因不明の不調)に襲われてしまったのであった。

執筆開始から三ヶ月・・・未だに原稿は白紙なのであった。脱稿の締め切りまでは残り三ヶ月を切っている。

♪アンドロイドアンドロイドキャバレ~でおなじみの「アンドロイドキャバレー」が駅前にある町の冴えないアパートの一室で・・・冴えない長髪で老け顔の白川次郎は苦悩する。

これほどまでに「きっかけ」がつかめないのは・・・トリックの天才ともてはやされた白川次郎にとってはじめての経験だった。

こうして彼は藁にもすがる思いで・・・素晴らしいインターネットの世界で・・・「迷宮入り事件」を検索してしまったのである。

「白ユリ団地怪死事件」(1997年)・・・「青汁毒殺事件」(1998年)・・・そして「チューリップ殺人事件」(1999年)・・・。

「チューリップ殺人事件・・・」

白川次郎は「メルヘン」を感じた。

「チューリップ殺人事件・・・立入り禁止区域に指定されていた三貴子(さんきす)の泉に侵入した二人の主婦が絞殺され、はいていたスカートで上半身を包まれ、ロープに吊るされた状態(チューリップリンチあるいは茶巾寿司的な)で遺体として発見されたまま時効(フィクション)を迎えようとしている未解決事件・・・」

事件は意外と「ダーク」だった。

1999年夏、消ノ原町(けしのはらまち)に暮らす主婦仲間の夷鈴子(玄覺悠子=黒百合団地のミノルの母親)、阿波島翠(廣井ゆう=デビュー作品)、真壁真奈美(中村優子=「八重の桜の憐れな未亡人)はパワースポットとして知られる「三貴子の泉」へと続く階段を昇り、夷鈴子は青く塗られたねじを手に握り締めたチューリップ状態で・・・阿波島翠は何も握らずチューリップ状態で遺体として発見され・・・真壁真奈美だけは一年後に自宅で絞殺されて死亡する。夷と阿波島の遺体を発見したのは通称・天狗野郎(森下能幸)と呼ばれる化野の森に住むホームレスだった。

「なぜ・・・ロングスカートをまくりあげ下半身を露出させた形で絞殺死体をロープで吊りあげていたのか・・・」

白川次郎の猟奇的趣味と知的好奇心に火が点いた。

下日山酈霞(かひやまりか=木村文乃)は眼鏡っ子の編集者である。白川次郎の担当編集者として・・・白川次郎の筆が進まないことを上司であるヘパイストス出版第二編集部編集長・風見川策志(岩松了)から責められていた。

「お前がたるんでいるから作家もたるむんだよ・・・締め切りに間に合わず、出版スケジュールが滞ったら・・・ビビビだからな」

「ビビビは・・・いやです」

仕方なく、下日山酈霞は冴えない作家の部屋を訪ねるのだった。

でっかいバッグを抱えてださい感じの下日山酈霞を白川次郎は「ゲビヤマ」と読んで見下す。

「そんなことはどうでもいいから・・・書いてください」

「実は・・・興味深い事件がある」

「それでいきましょう」

「君は・・・編集者としての資質にかけているな」

「どんな事件なんですか」

「チューリップ殺人事件だ・・・」

「ああ」

「ああ・・・って知っているのか」

「私が小学生の頃の事件で・・・ともだちが良くチューリップにされていました」

「君がだな・・・」

「・・・」

「事件について関係者にインタビューをしてみようと思う」

「先生が・・・」

「そうだ」

「無理ですよ・・・先生には人から何かを訊きだす資質がかけていると思います」

「スルーしたが・・・根にもっていたんだな」

「・・・」

「君は本当の僕を知らない・・・あるいはもう一人の僕を・・・と言うべきか」

秘密の部屋に入った白川次郎は姿勢矯正ギブスやヘアピース、メーキャップによってそれなりに二枚目の青沼霧生(いつもの中丸雄一)に変身するのだった。

ゲビヤマは・・・白川次郎→青沼霧生のギャップに思わず萌えるのだった。

「へえええええええええええええええええええええええ」

「君は知らなかっただろうが・・・変身した僕は時々、編集部に何食わぬ顔でお邪魔しているのだ・・・君たちが影で・・・僕をバカにしているのも知っている。この間、君は僕をきもい長髪の額がΩ野郎呼ばわりしていたな」

「じぇじぇじぇーっ」(東京ドラマアウォード2013 「あまちゃん」のグランプリ・主演・助演女優賞、脚本・演出・プロデュース賞、音楽に対する特別賞七冠達成記念→情報提供シャブリ様)

何かが発見され大騒ぎになっている川沿いの道を無関心に通り過ぎ、駅前に出た二人はカフェに入る。

青沼に変身した白川はウェイトレス(上間美緒=「幽かな彼女」の幽霊メグミ)に恋愛関係の質問を試してみるのだった。

「現在交際中の彼氏がいるが・・・浮気されているので別れるべきか悩んでいるそうだ。初体験は中学三年の時で今まで性的関係を持った相手は12人いる。好きな体位は騎乗位で僕が13人目になっても構わないと言っている・・・」

「先生の実力はよくわかりました」

「僕は天才ミステリー作家でもあり・・・天才インタビュアーなんだよ」

「では・・・さっそく・・・現地に行きましょう・・・ちなみに取材経費はもうほとんどありません」

「自腹かよっ」

しかし・・・パワースポットとして人気を集める「三貴子の泉」のある「消ノ原町」の宿泊施設は予約でいっぱいだった。

「山一つ越えた賽の河原町なら予約がとれそうです」

「それでいい・・・奇妙な世界に入る前の入り口としてはうってつけだ」

「この事件は実在の長岡京殺人事件またの名を京都長岡ワラビ採り殺人事件に似ているという人がいますが・・・」

「なんだってなにかにはにているんだよ・・・そういうことにこだわるのはおしゃれじゃないしさしさわりがあるんだよ」

「なぜ・・・前文ひらがなで・・・」

二人はどこぞの県にある賽の河原町にやってきた。

二人が宿泊するのは温泉旅館「猫旅館」である。

女将は出迎えのために一旦、背後に回る習性のある櫻井野薔薇(ふせえり)・・・。

番頭はやたらとヴィブラスラップ(キューバの楽器キハーダの代用楽器とされる体鳴楽器・・・シャアハマンカーンと鳴る)を鳴らす蝉岡蟷螂(松尾スズキ)である。

森下能幸→岩松了→ふせえり→松尾スズキとラインを越える気持ちは高まって行くのだった。

旅館でくつろいだ青沼が白川に戻ると少なからずガッカリするゲビヤマくんである。

「ゲビ~ン」と言わないのが不思議なくらいだ。

しばしの休息後、再び白川は青沼となる。二人は早速、循環バスに乗り、昇天峠を越えて消ノ原町へ「第一発見者」の天狗野郎を捜しにやってくるのだった。

青沼はピンクの懐中時計とピンクのルーペ、ゲビヤマくんはでっかいバッグからださいグリーンのスニーカーを取り出すのだった。

バスストップ「消ノ原中央」の最寄りの食堂「モアイ」の・・・人によっては色っぽいと思えるのかもしれない女店員・川島芳香(町田マリー)に早速インタビューする青沼。

しかし・・・「チューリップ殺人事件」の話題になると・・・川島は言葉を濁すのだった。

そして・・・診療時間の過ぎた歯医者の予約があるからと二人の前から立ち去るのだった。

「彼女は・・・嘘をついている・・・何かを隠しているに違いない。僕の第一印象は・・・この街には不穏な空気が立ち込めているという感じだ」

「先生・・・」

ゲビヤマくんは青沼に注意を促すのだった。

青沼がふりかえるとそこには・・・いつの間にか二人の周囲を取り囲む不穏な感じの人々が・・・続々と結集している模様。

「これは・・・おそらく・・・オチ・・・でも解決はたぶん最終回・・・それまでにはせめて某巨大掲示板に実況スレは立ててもらいたい」

ドラマのレビューはできればつづけたいので来週もみましょう。

関連するキッドのブログ→主に泣いています

遅咲きのひまわり

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→くう様の変身インタビュアーの憂鬱

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