手術をして君は綺麗になった・・・整形前よりずっと綺麗になった(堺雅人)
君(美波)だと誤解を招くから自粛したのか・・・。
それにしても・・・攻めるな。
「美醜」というのは連続ドラマのテーマとしては禁断の領域だからな。
なにしろ、世の中の99%はブサイクだからな・・・そこまでかっ。
しかし、女性は意外と自分をブスって思ってないんだぜ。
それ以上は言うなっ。
ま、面白いから良いんだけどさ~。
・・・「美」は移ろいやすく・・・「醜さ」は永遠だからな・・・。
どこの国の格言なんだよっ。
まあ、だじゃれ「ジャムおじさんがジャムを持参」でおなじみの平祐奈(14)が小学六年生の時に映画「奇跡」のオーディションに受かるのはやはりその美貌ゆえだからだろうし・・・「ツボ娘」を見たのかっ。
それにしても「リーガルハイ」「ダンダリン」「SPEC」のみつどもえのつぶやき空中戦・・・すさまじかったな。
で、『リーガルハイ(第二期)・第3回』(フジテレビ20131023PM10~)脚本・古沢良太、演出・城宝秀則を見た。誰もツッコミを入れないので・・・ついにだじゃれ「本田ジェーン(黒木華)はジェーン・フォンダです」って言っちゃったよ。ジェーン・フォンダは父・ヘンリー・フォンダのアカデミー主演女優賞女優(「コールガール」「帰郷」)だが・・・もはや・・・誰もピンとこないビッグ・ネームだからな・・・。ベトナム戦争当時にベトコンにシンパシーを感じすぎて「売国奴」「裏切り者」の名を欲しいままにした筋金入りのヒッピーなのである。
「リーガル・ハイ」といえば・・・第1期・第2話で「犬神家の一族」、第1期・第9~10話で「七人の侍」と古の名画にオマージュささげまくったわけだが、今回は軽いパロディーをかましていく。
冒頭は言わずとしれた・・・シルヴェスター・スタローンがおちぶれかけたボクサーを演じる「ロッキー」(1976年)である。わがままで異常なほどの美貌を顕示する依頼人・安藤貴和(小雪)のリクエストに応えて法廷でセクシーに弁護するために朝のロードワークにチャレンジする古美門研介(堺雅人)だったが・・・爽やかに完走するのは黛真知子(新垣結衣)のみで・・・古美門弁護士はタクシーをひろって「エイドリアン~(ロッキーの恋人)」と叫びながら嘔吐するのだった。
しかし・・・本題は・・・貴和の黛弁護士に対するリクエスト「もっと美しくなりなさい」なのであった。
黛は奮起して「頬ほんのり染めてメイク」に挑戦するがアンパンマンになってしまう。おそらく10月13日に永眠した故・やなせたかしへの哀悼の意であるのだろう。
安藤貴和事件で経歴に傷がついた古美門事務所の経営は買ってから一度も乗っていないヘリコプターを処分する必要に迫られるほど逼迫していた。
法律事務所「NEXUS Law Firm」を視察した古美門は・・・事務所内に展示された所属弁護士のプロフィール紹介に目をとめ・・・「羽生晴樹(岡田将生)・・・検事時代に悪名高いK弁護士の無敗神話を撃破した代表弁護士」とあったことから激怒するのだ。
「まあまあ・・・Take it easy!(あせらないで)」
「なんで、英語で上から目線なんだ」
古美門は・・・ようやく・・・羽生の笑顔の下の底知れぬ暗黒面に気がついたのだった。
羽生はもちろん・・・「万人の幸福を理想とする恐るべき独裁者」に他ならないのである。
そして・・・一組の夫婦の離婚沙汰が・・・「NEXUS Law Firm」と「古美門事務所」の新たなる火種となるのだった。
同窓会に出席した黛は高校時代のクラスメートの「おっさん」こと熊井健悟(塚地武雅)から相談を持ちかけられる。
「君は・・・クラスの嫌われ者だったけど・・・ルックスは83点だったから・・・好きだった」
「なにを言うかっ」
ここで・・・公式ホームページの黛のプロフィールの経歴が問題となったが「高校まで女子校」は「高校は男女共学」に訂正されるのだった。
熊井は自身が極めつけの「ブサイク」だったために異常なまでに「メンクイ」となり・・・臥薪嘗胆して勉学に励み、一流大学ほ経て一流企業に勤めて・・・ついに10点満点の女・ほのか(伊部葉子→美波)と結婚することに成功する。
ここは・・・1980年代最低女優賞の称号を持つボー・デレク主演の映画「テン」(1979年)なのであるが・・・もう誰もが全くピンとこないはずだと思われる。
しかし・・・熊井が十点満点と採点したほのか(美波)は・・・全身整形のサイボーグ美女で・・・実はものすごいブス(伊部葉子)だったのだ。
熊井はほのかの高校時代のクラスメートから事実を告げられ・・・騙された気持ちになり離婚を決意する・・・しかし・・・ほのかは離婚訴訟に応じようとしないのである。
そして・・・ほのかは「NEXUS Law Firm」を訪ねていた。
相手が羽生と知った古美門は「離婚沙汰には関与しない」というポリシーを捨て三千万円で熊井の代理人を引受けるのである。
こうして・・・古美門と羽生の新たなる戦いが開始されるのだった。共闘(アイドル南風るんるん事件)→敵対(魔性の女・安藤貴和事件)→共闘(ホリエモンな鮎川光事件)ときての今回の敵対なのである。なかなかに複雑な関係を展開しているのだな。
その中で・・・ジリジリと実は嫌な奴である感じを醸しだす羽生。見事な敵キャラクター育成がなされているのだった。
そして・・・裁判強行に抵抗して水面下の和解を望む黛・羽生の姑息なペアに完全に復活した巨神兵・古美門は陽子収束弾を容赦なく浴びせかけるのだった。
女性の外見を採点するのはすでにセクハラと考える美人コンテスト反対姿勢の黛。
「裁判の決定離婚事由として・・・配偶者が整形していたというのは認定されないのでは」
「顔を偽っていたんだぞ・・・裏切りそのものじゃないか」とブサイクな熊井。
「そもそも・・・熊井くんだって・・・他人のことをとやかく言えないんじゃ・・・」
「自分がブサイクだから綺麗な人がいいんだよ・・・ブサイクほど面食いなんだよ」
しかし・・・ブサイクの言うことになど価値を認めない黛は羽入に取引を持ちかける。
「古美門先生がでてきたら滅茶苦茶になると思うから・・・この案件は話し合いで解決しましょう」
こうして、黛は古美門には無断で・・・ブサイクな熊井と整形美人ほのかを直接話し合いのテーブルに招くのだった。
しかし、「内緒にしてくれと言うのは言ってほしい乙女心」と解釈した服部(里見浩太朗)により密会は古美門の知るところとなる。
第一回秘密交渉
「離婚プラス慰謝料800万円の請求というのは法外かも」と羽生。
「熊井さんはほのかさんに騙されたと感じているのです・・・譲歩できません」と黛。
そこで整形美人・ほのかは率直な心情を語る。
「毎日、花束を持ってくる彼を最初は気味が悪いと思ってました。面倒なので一度だけ、食事に応じたのです・・・でも、いつの間にか彼の事が好きになってしまったのです。彼と結婚してからの日々は人生で一番幸せな時間でした。今も彼のことが大好きなのです」
「結婚して二年二ヶ月の日々・・・お二人のたくさんの思い出・・・それは彼女が過去に整形していたからといってそんなに簡単に崩れ去ってしまうものですか・・・アラブのことわざに・・・砂嵐の後の夜空は綺麗・・・というのがあります・・・意味はよくわかりませんが・・・私はお二人にはもう一度大切なものが何かを見つめなおしてもらいたいと考えます」と羽生。
「私もそう思います」と黛。
敵味方双方の美男美女の弁護士に説得されて何も言えなくなるブサイクな熊井だった。
「そういうわけで・・・裁判は回避する方向で・・・」
そこへ乱入する古美門だった。
「熊井さん・・・あなたの望みは離婚と慰謝料の獲得のはず・・・気をつけなさい・・・相手の弁護士はなんでもかんでも良い感じに丸めこむ説得の天才です・・・つまりハンサムな詐欺師も同然の輩です」
「・・・」
「しかし・・・離婚訴訟は・・・きっちり清算し新たな人生を歩み出すか・・・みじめに泣き寝入りをするか・・・二つに一つ・・・あなたはどうしたいんです」
「泣き寝入りは嫌です」
「それならばここで話し合う必要はありません・・・後は法廷で決着をつけるだけ・・・そして勝つのは私、つまり熊井さんだ」
その後の古美門事務所
「なにも・・・まとまりかけた話をぶち壊すことないじゃないですか」
「依頼人が離婚を望んでいる」
「離婚しなくてすむのならお互い幸せじゃないですか」
「他人の幸せを君に決める権利はない」
「こんな・・・裁判・・・勝てっこないですよ」
「絶対勝っちゃうもんね・・・バ~カ、カ~バ、アンパンマン」
その後のNEXUS Law Firm
「交渉は決裂しました」と羽生。
「よし・・・私が出よう・・・勝てば最高の宣伝になる」と元三木法律事務所の敗戦処理担当弁護士・磯貝邦光(古舘寛治)が勇み立つ。
「この際、鬼畜米英的古美門事務所は断固粉砕闘争勝利よ」とジェーン本田。
「この事務所を頼って来た人を誰ひとり不幸にしてはならないのです」と羽生である。
第一回法廷闘争
「熊井ほのかさんは・・・実に美しい方です・・・夫である熊井さんにとって・・・自慢の奥様だったことでしょう・・・しかし・・・その実態は・・・二重埋没法、目頭切開、鼻のシリコンインプラント、ほお削り、えら削り、顎削り、豊胸ヒアルロン酸注入、脂肪吸引エトセトラ・・・すべては不自然な作りものだったのです。なぜ、人工的な改造を必要としたのか・・・ほのかさんのありのままの姿は不細工そのものだったからなのです。異議があるなら容姿が醜いと言い換えてもいい・・・それが不適切なら顔面が残念な方だった・・・あるいはフェイスがファニーでアグリーだったと・・・」
「言いすぎです」と黛。
「お前は敵かっ・・・言葉狩りなど無意味です・・・皆さんだって本当は不細工を差別しているはずだ・・・」
「そんなことはありません」と磯貝。
「企業の面接において・・・能力が同等であれば見た目の良い方が採用されます・・・能力が相当劣っていてもブスより美人の方が採用される可能性が高い。なぜならば美しさはそれだけで有能だからです」
「そんな価値観を持つ企業は時代遅れだ」と磯貝。
「磯貝先生・・・ここに・・・あなたの事務所のウェブサイトがある・・・最も実績のあるあなたの写真がなぜないんですか?」
「それは・・・イメージ戦略として・・・あ」
「さえないおっさんの写真がマイナスだからでしょう・・・見た目が重要だとあなた自身の所属事務所が示しているではないですか」
「私の写真は・・・今、修正中なので・・・あ」
「お分かりでしょう・・・整形は離婚事由になりえることが」
その後のフットサル競技場の黛と羽生
「どうして・・・黛さんは古美門先生のところにいるんですか」
「リベンジしなければいけない事件があるからです」
「古美門先生を愛しているのですか」
「まさか・・・古美門先生を愛するくらいならチンパンジーに抱かれた方がマシです」
「じゃあ・・・どうして古美門先生にこだわるの?」
「能力は古美門先生が一番だと思うから・・・学んで盗んで食らいついて・・・いつか彼を倒すって心に誓ったんです」
「それなら・・・僕が古美門先生を倒したら・・・今度は僕に食らいついてくれますか」
「・・・」
「本気だよ・・・君が欲しいんだ」
「な・・・何を言ってんだか」
うろたえて思わず手加減せずに蹴られた黛スーパー馬鹿力シュートは羽入の顔面を粉砕しフィールドは血にまみれるのだった。
第二回法廷闘争
「私は幼い頃からブサイクでしたしそのことに劣等感を抱いていました。ですからブサイクではないものにとても執着しているのです。つまり・・・美人と結婚することは私の夢だったのです。そのためにはブサイクを補うための社会的なステータスを得なければならないと自らを戒めて必死に勉強して一流と呼ばれる会社に就職しました。そして、美人のほのかさんに意を決して結婚を申し込んだのです」と主張する熊井。
「ほのかさんからは整形手術のことは知らされていましたか」
「いいえ」
「もし、知っていたら結婚はしましたか」
「いいえ」
「容姿端麗な方と結婚したい・・・その一心で青春を勉強に捧げて来た熊井さんの長年にわたる努力は水の泡となったのです・・・その・・・多大なるショックは到底言葉にできるものではありません・・・このことをどうかご理解していただきたい」
磯貝は白旗を掲げるのだった。
仕方なく質問を引き継ぐ羽生。
「熊井さん・・・あなたが見た目の美しさを重視していることは理解しました・・・しかし、なぜ人工的な美しさではだめなんでしょうか」
「整形は駄目です」
「整形美容をして気持ちが明るくなり人生に前向きになれた人も多いと聞きます。アイドルだって女優だってデビュー後にどんどん顔が綺麗になっていく御時世ではありませんか」
「親からもらった体に傷をつけるのには抵抗があります」
「熊井さんは原宿美容クリニックへの通院歴がありますね」
「え・・・」
「このクリニックは薄毛治療の専門医院で植毛技術に定評がありますよね。熊井さん・・・通院目的は何ですか」
「・・・植毛です・・・」
「親からもらった体に傷をつけるのには抵抗があったのでは?」
「・・・植毛と整形は違います。植毛はもともとあったものを復元することです・・・原状回復ですからっ・・・もともとあったものをなくしてしまう整形とは根本的に違うのです」
ハゲにそう言われては言葉を返しにくい羽生だった。
それは死者に鞭打つに等しい残虐行為だからである。
二枚目きどりには辛い展開なのだった。
間髪をいれずに古美門が再度の主尋問に移る。
「熊井さんが整形を認められない決定的な理由があります・・・それは何ですか」
「生まれてくる子供が・・・きっと不細工になります」
「熊井さんはお子さんを得ることを望んでいます。そのための子作りにもハゲしくハゲんでいらっしゃった。そんな熊井さんですが・・・幼少からブサイクであるがゆえにハゲるほどのハンディキャップを背負っていたわけです。ですから・・・かわいい我が子には同じ苦労をさせたくないという思いは人一倍強いのです。なんとか子供には美形であってほしい。だからこそ・・・美人のほのかさんを結婚相手として選んだのです。ところが・・・なんとしたことでしょう。ほのかさんは整形美人であり、実際のほのかさんは熊井さんに勝るとも劣らないブサイクだったのです・・・これは遺伝子的にブスだということです・・・DNAは整形出来ないのです」
「両親が美男美女でも生まれた子供がそうなるとは限らないでしょう」と不規則発言。
「しかし、両親が不細工だけど生まれた子供が超美形になることはまずないでしょう。基本的なパーツにそもそも問題があるわけだからっ。美男美女の両親からでさえ、配合具合によって美形が生まれる確率は高くない。ましてや・・・ブサイク同士であれば美形が生まれる確率はほぼ皆無といっていいレベルになる。実際に両親のパーツのモンタージュによるシミュレーション写真を作ってみました」
福笑い的な想定パターンを紹介する古美門。
「すべてのケースをためしましたが・・・すべてにおいて生まれてくる子供は不細工でした」
「み、みにくてアヒルの子という話があるだろう・・・生まれた時は醜くても成長するに従って美しくなる場合だってある」と口を挟むザク磯貝。
「みにくいアヒルの子は親が白鳥だった・・・つまり遺伝子には逆らえないという身も蓋もない話です」
「あ・・・そうだったっ」とザク自爆。
「熊井さんの両親は不細工でした。おじいちゃんもおばあちゃんも不細工。先祖代々の不細工です。法事で集まれば親戚は全員不細工。まさに呪われし不細工の一族。だからこそ・・・熊井さんは美人の血脈を導入し、不細工の連鎖・・・不細工スパイラルから脱却しようとしたのです」
「あなた方は女性を何だと思っているんです・・・結婚は子供を産むだけのためのものですか」とヒッピー。
「それがなぜいけないのですか。好きで一緒にいたいから結婚する。金目当てで結婚する。老後の介護のために結婚する。性行為の相手を確保するため、国籍を入手するため、上流社会に参画するため。機密情報を入手するため。結婚の目的は人それぞれです。美形の子供を得るために結婚するのも本人の自由です。熊井さんのその切なる願いをほのかさんは無慈悲にも打ち砕いたのです」
「なんじゃ・・・この裁判」と黛は頭をかきむしるのだった。頭をかきむしってさえ「ガッキー、かわいいよ、ガッキー」というのが現実と言うものなのだ。
その後の古美門事務所
「議論が不謹慎すぎます」と黛。
「どこがだ」と古美門。
「人の美醜をあれこれ言うのは不謹慎です」
「つまり・・・美しい人と醜い人の間に感情的なもつれが生じかねないからだろう」
「・・・」
「つまり・・・貧富の差と同じだ」
「外見よりも内面を問題にすべきです」
「不細工な人間は心も不細工になりがちじゃないかな」
「そんなことはありません・・・心の美しいブサイクもいるはずですっ」
「も・・・もって言っちゃたなあ・・・」
「外見と内面の美しさに関係はありませんっ」
「君はどういう男性が好みだ」
「私はお金に汚くなくて口数が少ない人が好きです」
「私は顔と足首とおっぱいで決める」
「私はたたずまいですかな」と服部。
「俺はバカっぽい子が好き」と草の者であるイケメン忍者・加賀蘭丸(田口淳之介)・・・。
「何を基準にして人を好きになるかは個人の自由だ。熊井さんの場合は顔が綺麗かどうかだ。どんなに不健康で性格が悪くたとえ人殺しでも顔が綺麗な人がいい・・・立派なポリシーだ・・・それを不謹慎だという君の方が歪んでいるのだ」
その後のNEXUS Law Firm
「めちゃくちゃな裁判すぎる・・・」とザク。
「こうなると・・・ほのかさんの本人尋問が・・・勝負でしょうね」とヒッピー。
「ほのかさん・・・そもそも・・・どうして整形手術をなさったのでしょうか」と羽生。
整形美人・ほのかは心情を語りだす。
「小学生のころのあだ名がブスでした。中学生の頃には直接ブスと言う人は減りましたが影ではブスの代名詞でした。高校生になると一目でブスだと思われていることを察するようになりました。ブスを見るとみんなブスを見ちゃった顔になるんです。・・・人はみかけじゃない、大事なのは中身だ・・・ずっとそう言われて育ってきましたが・・・嘘に決まっているんです。みんな見かけで判断するに決まってます。だから、整形したんです。案の定、就職先もすぐに決まりましたし、男性からも優しくしてもらえるようになりました。何よりもブスだと思われないのです。美人になったんだから」
「どうして・・・ブサイクな熊井さんと結婚したんです」
「ブサイクって言っちゃいましたね・・・あの人は哀しい映画を見るとすぐに泣いちゃうし・・・仕事がうまくいくととても喜んでいる・・・ああ・・・心がきれいな人なんだ・・・そう思ったら好きになっちゃって・・・。大事なのは見た目じゃなくて心の美しさなんだと初めて素直に思えました。見た目ばかりを気にしていた自分が情けなくなって・・・それからは自分も心を磨こう・・・妻として人間としてもっと立派になろうと・・・努力してきたつもりです」
第三回法廷闘争
「ほのかさん・・・今の状況をどう思いますか」と尋問する羽生。
「自分の努力が足りなかったんだと思います」
「もしも、もう一度やりなおすチャンスがあったらどうします」
「もっと・・・いい奥さんになりたいです」
「あなたなら・・・なれますよ・・・人間の価値は容姿ではない・・・心です・・・それは理想だと言うかもしれませんが・・・法は理想とともにあるべきです。原告の請求は認められるべきではないと考えます」
「ほのかさん・・・熊井さんが美形の子供が欲しくてあなたと結婚したことを・・・あなたは知っていましたか」と古美門。
「・・・知っていました」
「では・・・整形であると伝えなかったのは詐偽だとは思いませんか」
「詐偽って言う風には・・・」
「結婚とは契約ですよ・・・重要事項を隠して契約を結んだならばそれは詐偽です。法は理想とともにあるべきなどという寝言はベッドで言ってもらいたい。ここは現実の法廷です。法は現実と共にあらねばならない。現実に即していない法など無意味です。人間の価値は心・・・羽生先生はそう・・・おっしゃる・・・しかし、一方で整形は認めるべきだとも言われた・・・矛盾していませんか・・・人間の価値が心ならば整形などする必要はなかった・・・化粧もだめだし、ダイエットもだめだ・・・おしゃれに着飾るなんてもっての他だ・・・大事なのは心だから・・・現実はどうでしょうか・・・整形だっていいじゃないかと言いながら心の中では眉をひそめている・・・彼だけがなぜ・・・非難されるいわれがあるのでしょう。彼はただ正直なだけ・・・美人だと思っていたのに本当はブサイクだったなんて嫌だと感じたままを述べたのです。だって・・・最も愛する人に騙されていたんですよ」
「わかっています・・・彼をだましてたってこと・・・悪かったと思ってます・・・でも・・・言い出せなかったんです・・・彼に嫌われたくなかったから・・・」
整形美人・ほのかは精神的に追い詰められ卒倒するのだった。
「裁判長・・・休憩をお願いします」と駆けよるヒッピーだった。
騒然とする法廷・・・。
その後のNEXUS Law Firm
整形美人・ほのかの身を案じてやってきた黛。
「ほのかさん・・・大丈夫」
「ちょっと気分が悪くなったたけだから・・・」
しかし・・・テーブルにはさりげなく妊娠関係の書籍が置かれている。
「ほのかさん・・・妊娠しているの」
「ほのかさんからは何も言わないでほしいと言われている」
その後の古美門事務所
「どうして・・・黙っていたんだろう・・・」と熊井。
「そのことで・・・裁判に勝っても・・・あなたの心をつなぎとめることにはならないと思ったからでは・・・」
「黛君・・・君は余計な情報ばかり持ってくるね・・・」
「すでに・・・新たな命が宿っているんです・・・伝えないわけにはいきません」
「熊井さん・・・知らないことにすればいいんですよ。どうせ・・・あなたの望まない不細工な子供ですよ・・・さっさと片付けましょう」
「そ・・・そうですね」
「さて・・・服部さん・・・私は外で飲んできます」
「お一人で・・・ですか」
服部は不審な顔をするが・・・古美門のいない隙を狙う黛はたたみかける。
「熊井君・・・古美門先生がなんて言おうが関係ないわよ・・・これはあなたが決めることよ。どんな容姿だろうと・・・我が子はかわいい・・・あなたのご両親はどうだったかしら」
「・・・」
密会する悪徳弁護士と草の者のいるバー
古美門は草の者の報告を受けると祝杯をあげるのだった。
最終的な話し合い
古美門抜きで・・・和解に向けた話し合いを開始しようとする正攻法なメンバーたち。
しかし・・・騙し合いで・・・古美門に勝負を挑もうとすれば・・・結果は明らかなのである。
なにしろ・・・勝利のためには黛を騙し、不治の病だと思い込ませてしまう男なのだ。(第一期第十話)・・・いよいよ・・・古美門の本領発揮である。
「おやおや・・・遅れてすみませんね・・・どうも・・・うちの事務所は連絡に問題があるようだ・・・ねえ・・・黛くん」
「・・・先生」
「羽生先生、和解ということは・・・そちらがこちらの言い分をすべて受け入れるということでしょうな」
「違うんです」と口を開く熊井・・・。
「ほのかさん・・・あそこはいいバーですねえ。最近は毎晩のように通っているそうじゃありませんか・・・バーの片隅で一人グラスを傾ける美女・・・絵になりますな」
「バーで酒を飲んで何が悪い」とザク。
「いけないのは・・・未成年と・・・あとは注意深い妊娠中の女性でしょうかねえ」
整形美人ほのかの妊娠は偽りだったのだ。
「羽生君・・・なかなか卑劣な手段を使うじゃないか」
「まさか・・・」
「こんなペーペーにまんまと騙されるとはポンコツぶりに磨きがかかってきたな」
「羽生くん・・・」
「僕は妊娠したなんて一言も言ってません」
「そんな嘘を女性につかせるなんて・・・ひどすぎる・・・妊娠は神聖なものなのに」
「私です・・・提案したのは・・・私なんです・・・素晴らしいインターネットの掲示板で匿名で相談の書き込みをしたら・・・親身になって答えてくれる主婦の方がいて・・・妊娠してるって嘘をついて相手の反応を見たらどうかって・・・」と整形美人ほのか・・・。
「赤の他人の無責任なアドバイスに従う方もどうかしてるが・・・そんなお粗末な作戦に協力する弁護士も弁護士だ・・・」
「ただ・・・知りたかったんです・・・ほのかさんが妊娠したと聞いて・・・熊井さんがどう思ったのか・・・不細工な子供ができて厄介だと思ったのか・・・それともほんの少しでも宿った子供に対する愛しさや慈しみを感じたのかどうか・・・」
「熊井さん・・・言ってやりなさい・・・不細工な子供ができていなくて安堵したと。整形美人に騙され、今度は妊娠したと騙された・・・今度は・・・どんな風に騙されることか・・・はっきり言いましょう・・・あなたの奥さんは嘘つきだ」
「これ以上、お二人を傷つけあわせて・・・何の意味があるんですか」
「曖昧にすることに何の意味がある・・・美辞麗句では現実は何一つ変わらない・・・徹底的にぶつかりあって人生にけりをつけることの方が大切ではないか・・・だって・・・これは彼らの人生の問題なんだから」
「子供ができておらず・・・ホッとしました。私は離婚したいのです」と熊井。
「ほのかさんはいかがです・・・」
「応じます・・・」
「・・・」
「私だって・・・できることなら整形なんてしたくなかった・・・親や親せきとはなんとなく疎遠になったし・・・中学や高校の同窓会には出られない。ブスだって・・・ブスなりに生まれ持った自分の顔が好きだったりするの・・・でもまわりが・・・みんなが・・・好きでいられないようにするんだもん・・・仕方ないじゃない・・・こんな世の中じゃ・・・整形するしかなかったのよ・・・慰謝料ももちろん・・・払います・・・整形していた・・・不細工だった私が悪いんですから」
「・・・」
「それでは・・・私はこれで」といたたまれずその場を去ろうとする整形美人・ほのか。
「ほのかさん・・・あなたの人生を捧げるに値する男性は他にもいくらでもいますよ・・・けしてこんなブサイクではなくてね」とサービスでアドバイスする古美門。
「ごめんね・・・だまして」と整形美人ほのか。
「・・・」
「熊井さん・・・全面勝利です・・・次は天然美人を釣りあげてくださいねえ」とまとめる古美門だった。
その後の羽生と黛
「悪かったと思っているよ・・・でも・・・あんな手でも使わないと古美門先生には勝てない」
「悪いけど・・・まだまだ古美門先生には及ばないと思う」
「しかし・・・」
「この素晴らしいインターネットの掲示板の相手って・・・匿名の主婦だっていうけど」
「まさか・・・」
「最初から・・・私たちは古美門先生の掌で踊らされていたのよ・・・」
「・・・」
その後の整形美人と不細工
ある日、ブサイク熊井は・・・整形美人ほのかのレシピノートを発見される。熊井への愛情にあふれた記述に・・・「愛」を感じる熊井。
やり直そうと整形美人を訪ねるが・・・そこにはハンサムな恋人(真山明大)と仲睦まじい元妻の姿があった・・・。
「この人・・・元夫なの・・・」
「あ・・・植毛の人・・・」
思わず・・・用意した花束を取り落とすブサイクな熊井だった。
生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜を探してる
生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜はどこだ
美しいものにも醜いものにも等しく夜は訪れるのである。
その後の黛と古美門
さらに化粧をして妖怪人間ベラと化した黛はかって京都で化粧師をしていた服部の手によって立派な舞妓さんになりました。
黛が「安藤貴和水準におけるブス」を克服する日はまだ遠いらしい。
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