タイトな結末(多部未華子)とルーズな結末(亀梨和也)のLOVEだね!
人類の遺伝子保存戦略は一夫一婦制度というひとつの作戦に到達した。
もちろん・・・そうでない作戦があることを多くの人間は知っている。
一夫一婦制度作戦は人類の社会制度の維持や、人間の感情の問題、人員の管理の容易さなど・・・さまざまな成功要因を持ってそれなりに浸透と拡散を果たしてきたのである。
制度は構成要素にそれなりのフィードバックをもたらす・・・それゆえに作戦そのものが人間そのものをある程度、変化させたと言える。
たとえば・・・夫婦の感情や・・・親子の感情の正当化などが行われていることは言うまでもないだろう。
その結果、「自由恋愛」はある意味で大いなる制限を受け・・・「正妻の子供」と「愛人の子供」の差別化は滞りなく行われてきた。
夫婦間以外の性行為は背徳的であると疎外され、時には犯罪にさえなるのだった。
で、ありながら・・・感情の赴くままに性行為をしたい・・・という気持ちはなかなか・・・根絶されないのだった。
夫婦はお互いの性交渉について・・・義務や権利を持っていると考えるものさえいる。
だが・・・そんなセックスでは満足できない人は・・・きっと多いんだよね。困っちゃうよね。
この物語の根底には・・・そういうあれやこれやに対する「おちょくり」が潜んでいます。
ま・・・建前としては「愛人はよくない・・・しかし、愛人の子供に罪はない」という綺麗事になってますけどねえ。
で、『東京バンドワゴン~下町大家族物語・第4回』(日本テレビ20131102PM9~)原作・小路幸也、脚本・大森美香、演出・菅原伸太郎を見た。いよいよ・・・このドラマの大きな謎の一つ・・・古書好きの女子大生・槙野すずみ(多部未華子)の正体が明らかになるのだった。結果としてみれば一夫一婦制度における「ロミオとジュリエット」をやっているわけである。制度に対してタイトな正妻の娘と・・・制度に対してルーズな愛人の息子の恋の話だからである。サスペンスドラマなら血しぶきの予感のするこの組み合わせが・・・このドラマではのほほんとするのである。それがこの物語の凄みであることは言うまでもないだろう。
偶然、知りあって、何度かデートをして・・・待ち合わせをすっぽかされたら・・・この世の終りのような気になるまで相手のことを好きになった古書店の息子である堀田青(亀梨和也)なのだった。その相手が・・・父親を亡くし・・・堀田家に「お嫁さんにしてください」と転がり込んできたのだから・・・喜ぶべきところなのだが・・・「牧原みすず」が偽名であり・・・本当は「槙野すずみ」だと知ってしまった青は思い悩むのだった。
だって・・・どう考えたって・・・彼女には裏があるのだから・・・。
そんな事情を知らない・・・堀田家のメンバーたちは・・・概ね、みすず/すずみの存在を好感を持って迎え入れるのだった。
特に祖父の古書店「東京バンドワゴン」三代目店主の勘一(平泉成)はみすず/すずみを気に入っている。
「整理してない古書のリストを作ってもらいたい」と言い出すほどなのである。
みすず/すずみも「ぜひやらしてください」とノリノリなのであった。
料理が上手なみすず/すずみを青の腹違いの姉・藍子(ミムラ)や腹違いの兄・紺(金子ノブアキ)の妻・亜美(平愛梨)は大歓迎である。
亜美の尻に敷かれているし、青のことが大好きな紺は基本的に好意的である。
亜美と紺の息子の研人(君野夢真)は亜美が両親と和解したことで新たに祖父母から初孫として溺愛されはじめ・・・大量の玩具を買ってもらってそれどころではないのだった。
唯一・・・みすず/すずみに対して懐疑的で・・・批判の目を向けるのは・・・青を特別に愛している藍子の娘の花陽(尾澤ルナ)のみであった。
シングルマザーを母親に持つ花陽ちゃんは・・・青とは「愛人の子供同士」の連帯感を持っているのである。
花陽ちゃんは・・・叔父の紺を味方にしようと説得するのだった。
「おかしいよ・・・大体・・・あの女が来てから・・・青ちゃん・・・元気ないもの」
そう言われるとそんな気もする紺だった。紺・・・しっかりしなさいっ。相手、小学生女子だぞっ。
さて・・・藍子・紺・青の父親・我南人(玉置浩二)は例によってどうでもいいよね。
嵐の前の静けさである。
どさくさにまぎれて・・・藍子に御執心の藤島(井ノ原快彦)が単なる古書好きではなくて・・・美人秘書・永坂杏里(入山法子)が挨拶にくるようなリッチな社長であることが明らかになる。
藍子を巡っては・・・近所のマードック(ジョナサン・シェア)と藤島のレースが展開中だが・・・当然、永坂は・・・藤島を狙っているので・・・来店したのは敵情視察なのである。
しかし・・・もう恋なんてしない・・・と一応言っている藍子が・・・どうなるのかはもう少し、先の話である。
もちろん・・・藍子は娘にさえ・・・父親の名前を教えられない・・・出産をするような恋にルーズな女であるので・・・決心は脆くも崩れるに決まっているのである。
そういう際中に・・・青は・・・添乗員の仕事が入って海外に出張することになる。
やはり・・・秘密を持つ様子のみすず/すずみは一人になると泣き濡れるのだが・・・そんなみすず/すずみに率直な心情を吐露する青だった。
「君が・・・何か隠しているのは知っている・・・だって・・・押し掛け女房なんて・・・君らしくないと思うから」
「・・・」
「でも・・・僕は君に出ていけとは言えない・・・だって・・・君のことが好きだから」
「・・・」
「だから・・・いつか・・・その時が来たら・・・すべてを話してください」
みすず/すずみの心は激しく揺れるのだった。
青が出発すると・・・第一の事件が起る。
何者かによって書庫が物色されていたのである。
青の不在をいいことに早速、花陽ちゃんはみすず/すずみを「犯人」と断定するのだった。
みんなに気に入られ・・・青ちゃんの好物である「しょうが味の唐揚げ」を聞きだしたりして家族に溶け込み始めたみすず/すずみが憎くて憎くて仕方なかったからである。
「最初からなんか・・・怪しかったのよね・・・魂胆があるんでしょ・・・この雌犬」
花陽ちゃんの暴言を陳謝する藍子だった。
「ごめんなさいね・・・あの子・・・父親の顔を知らないので・・・同じ境遇の・・・青に特別なシンパシーを感じているの」
「同じ境遇・・・」
「青は私たちとは母親が違うの・・・父がある突然連れて来た・・・腹違いの弟なのよ・・・」
「・・・」
みすず/すずみは・・・タイトとルーズの間で激しく揺れるのだった。
やがて・・・添乗員の仕事を終えた青が帰宅した時・・・第二の事件が発生する。
藍子が描きかけていた人物画がズタズタに引き裂かれていたのである。
ショックを受ける藍子。
そして・・・姿を消したみすず/すずみ・・・。
青はあわてて・・・みすず/すずみを追いかける。
そして・・・紺は我南人とともに・・・ある秘密について話すために家族を集めるのだった。
大人の話なので・・・研人と花陽は家族会議に参加できないのだった。
ルーズなのか、タイトなのかよくわからない堀田家なのだった。
「実は・・・姉さんが秘密にしていることについて・・・話したいと思う」
「私は・・・一生話さないって決めてたけど・・・紺が話すのは止められない」
「つまり・・・花陽の父親についてなんだ・・・姉さんが愛した人は・・・姉さんが通っていた大学の教授で・・・槙野春雄(升毅)って人だろう」
「どうして・・・それを・・・」
「父さんが知ってた」
「え・・・」
「一応、父親だからさ・・・藍子が学校やめて・・・花陽を生むって言い出した時に調べた・・・でも・・・藍子が言いたくないなら・・・いいかと思って」と我南人。
「教え子に手を出す教授も教授だが・・・それを知って放っておく父親も父親だよな・・・まったく・・・親の顔が見てみたいよ・・・あ・・・俺か」と勘一。
「とにかく・・・文句を言おうにもその人はもう亡くなっているんだよな・・・姉さん」
「ええ・・・一生会わないと決めてたけど・・・まさか死ぬとは思わなかったから」
「でも・・・葬式に行ったんだろう」
「妻子ある人と・・・してはならないことをしたんだから・・・許されないとはわかっていたけど・・・ついふらふらと・・・でも・・・式場には入れなかった・・・」
「その人は奥さんにも先立たれていたけど・・・娘さんが一人残されていた・・・」
「え・・・」
「みすずちゃんの大学に行って確認してきたんだ・・・牧原みすずって学生はいなかった・・・いたのは・・・槙野すずみ・・・」
「槙野・・・すずみ・・・」
みすず/すずみはすずみに戻った。
「ああ・・・そういうことなの」
「そういうことなんだよ」
青も事情は聞いたらしい。
そして・・・公園に立ちつくすすずみを運命に導かれて発見するのだった。
「よかった・・・」
「・・・」
「一人で悩むことなんてないじゃないか・・・」
「・・・」
「さあ・・・行こう」
すずみの手をとって青は家路に着くのだった。
「彼女が僕の恋人の・・・槙野すずみさんです」
宣言した青に・・・藍子は土下座するのだった。
「私が・・・してはいけないことをしたあなたの腹違いの妹の母親の藍子です」
「・・・」
「あなた・・・これを捜してたんでしょ・・・ごめんなさい・・・私が盗みました・・・」
藍子は一冊の学術書を差し出すのだった。
「良いのです・・・父親が死ぬ前に告白してくれました。この本は・・・父の最初の学術書です・・・本の最後に・・・母への感謝を捧げた父の言葉が記されています・・・その本をあなたに贈ったことを父から聞かされて・・・私は・・・怒りました・・・母を裏切っただけでなく・・・母に捧げた本を愛人に贈った父を・・・そして愛人を・・・絶対に許せないと思いました」
「・・・」
「でも・・・青さんのことはまったく・・・偶然のことでした・・・最初に会った時・・・青さんは交番で酔って婦人警官さんを口説いてました・・・なんて軽い人だろうと思ったのです・・・でも何度か会って・・・本について話したりするうちに・・・段々と青さんを好きになったのです」
「・・・」
「この家に来て・・・本を取り戻したら・・・二度と会わないつもりでした・・・でも・・・古書店は素敵だし・・・家の人たちもみんないい人だし・・・大家族の暮らしは暖かいし・・・何よりも憎むべき藍子さんは・・・いい人でした・・・私は本当に困ってしまいました」
「困ることなんか・・・ないじゃないか・・・だって・・・君は僕の恋人だし・・・僕は君の恋人なんだろう・・・」
「・・・」
「ずっと一緒に暮らそうよ・・・」
「・・・はい」
「うんうん・・・ラブだね・・・ラブだよね」
我南人がそう言い出したら・・・話は終りなのである。
こうして・・・堀田家はさらに複雑な家庭になったのである。
愛人の子の青。青の腹違いの姉の藍子の愛人の正妻の子であるすずみ。
かなりややこしいカップルなのだった。
花陽はすずみの腹違いの妹である。青にとっては腹違いの姉の娘なので姪である。
青とすずみが結婚すると青は姪の腹違いの姉と結婚することになるのである。
だが・・・今の処・・・青とすずみは赤の他人なのである。
未だ明かされない青の母親の正体にもよるが・・・二人が結婚することに特に支障はないのだった。
花陽が・・・事実を知った時に・・・すずみを・・・叔父である青の妻としてすずみ叔母さんと呼ぶか・・・腹違いの姉としてすずみ姉さんと呼ぶかは本人の自由であろう。
世間的には愛人の娘として肩身の狭いのは花陽だが・・・正妻の娘であるすずみは腹違いの妹を「愛人の子」として蔑んだりはしないのだろう。
それが・・・「東京バンドワゴン」の世界なのだから・・・。
とにかく・・・青とすずみの愛は始ったばかりである。
浮気な父親を持つ二人が・・・今後、浮気したりよろめいたりする可能性は充分あるわけだが・・・それがルーズとタイトの中間に漂うラブというものの本質なのですな。
関連するキッドのブログ→第三話のレビュー
ごっこガーデン。東京バンドワゴン・出張ステージセット。エリ「のほほんで・・・うっとりで・・・さわやかで・・・じんわりで・・・ムフフな青ちゃんとすずみちゃんの恋の物語・・・ややこしいのは苦手だけど・・・大好きなんだから・・・それでいいと思うのでスー。青ちゃんのぐれちゃった過去もちょっぴり不憫なのでスー。でも・・・恋多き男の娘と恋多き男の息子だから・・・逆にオンリー・ユーに限りなく憧れちゃうのかもしれませんね~。さあ・・・今夜はK先輩ロイドと末長く幸せごっこをしますよ~。じいや・・・お夜食に・・・唐揚げ用意しといてね~」まこ「♪~あおーっ、あおーっ、とブルーな純情を歌いあげましゅ~。ピンクとブルーが交わればパープルが生まれるんだジョー・・・。じいや、まこはホットでロックなピリ辛チキンをゲットだじぇっ」シャブリ「ついに堀田イト(鹿男あをによし)ではなくて・・・堀田すずみ誕生が秒読みに・・・そして・・・必ず負ける時がくる鉄則で・・・マーくんついに敗北・・・なのでありました~」くう「本当にかわいいドラマだよね~・・・これは大人のメルヘンなんだよね~フライドチキンは胡椒多目でよろしくね~LOVEだよ~!」ikasama4「気がつけば霜月・・・♪年賀状はじめました~」mari「♪カエルの子はカエル~。青が愛人に産ませた子供を・・・すずみが育てることになりませんように・・・」
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コメント
LOVEだねは魔法の言葉なのですネ♪
どんな揉め事があろうと、我南人のLOVEだねで
一件落着!
水戸黄門の印籠並みの効果を発揮なのデス♪
青ちゃんの為のスペシャルライブでの我南人さん。
あのロン毛コスプレはハロウィンだから?
じいや~~~、おやつに、ごちそうに、
おもちゃに・・・あと、おこづかいくれないと
イタズラしちゃうぞ~~~~~~!!!
ホットでロックなピリ辛チキン、ウマーーーッ!!!
能年ちゃんのホットロード公開記念の際には便乗して
コラボ商品として売り出すのデス!!!
投稿: まこ | 2013年11月 3日 (日) 15時45分
「LOVEだね~」は
落語家の「お後がよろしいようで」と同じ威力がございますね。
話が途中だろうが、オチてなかろうが
もう・・次いきます~と言われたら
拍手で送り出すしかないのですな~。
まさに水戸黄門の「印籠」なのですな~。
さすがはまこ様でございまするっ。
髪は長い友達ですからな・・・
そういう時代があった・・・ということかもしれませぬ~。
まこ様はどのようなおやつ、ごちそう、おもちゃ、おこづかいを与えても結局いたずらなさるのですな~。
最近、まこかま工場でクリスマスケーキの予約を
受付中ですが・・・
この2012年のシールを2013年のシールに
はりかえちゃったのは・・・さすがに・・・。
ただのケーキなのに・・・チーズケーキって・・・
これはデコレーションではなくて
いろいろな種類のカビなのでは~。
なになに・・・味見したけれど大丈夫だった。
さすがは一般人の体力とは違いますな・・・。
しかし、まこ様・・・死人がでますぞ~。
衛生班出動~。
消毒、殺菌処理~っ。
なになに・・・ピリ辛チキンは
ゲキ辛にすれば去年のクリスマスパーティーの残りでも大丈夫だろうと・・・。
回収~。
全品焼却処分~っ。
投稿: キッド | 2013年11月 3日 (日) 22時42分
じいやちゃま、こんにちは!
ふふ、まこちゃま、たいしたもんですわ~。
アタシも便利というか
使いでのいいフレーズにしてました。
なんせ脳みそがゆるいので
花陽ちゃんとすずみの関係は・・って
わけわからんことなんかも、
ラブだね~で全部丸く収まりますもの~。
「倍返し」や「失敗しないから」のような
士気が上がるキメ台詞とは対極にありますが
心が温かくなる点では負けてませんわね^^
今週の青ちゃんは不憫だったり、キメテくれたり
ご立派でしたので
今夜は青ちゃんの好物、から揚げにしましょうね~。
もちろんしょうがたっぷりすりおろしましたわよ。
ちょっとだけオイスターソースも加えてみました。
じいや、やはりビールが合いますかね~。
投稿: エリ | 2013年11月 4日 (月) 13時07分
とにかく「愛」などというものは
第三者から見れば
滑稽で汚らわしくみっともないものですからな。
まあ・・・それさえも「美しい」のは
選ばれた麗しい人々の世界と申せましょう。
特に「愛の誓い」を交わしたものから見れば
「裏切り行為」は地獄の釜が開き
「裏切られた愛の結晶」にとってはブリザード・ブリザードでございましょう。
しかし、「LOVEだね~」と言われたらハイ、それまでよなのですな。
みんなで仲良く天国の階段を昇り
楽園で乾杯するしかございません。
まさに・・・「やっちゃったもんはしょうがねえ」ですな~。
ゆるゆるとゆったりとのびやかなパンツのゴムのように
心が癒されくつろげるのですな~。
一見、とてもファンタスティックに見えるが
この物語は
なかなかどうして文学的に刺激が強いのでございまする。
だから、沁みる人には沁みるのでございます。
そういう「愛」のある意味、犠牲者であり、
ある意味、免罪符でもある「青ちゃん」・・・。
正妻の子であるすずみは愛人の子である青を
愛することによって
広大無辺の愛の境地にたどり着くのでございましょう。
なにしろ、愛とは決して後悔しないことですので。
世の中のほぼ100パーセントが
唐揚げにはビールでございます。
あえて・・・趣向を変えるとなると・・・
紹興酒プラス烏龍茶でドラゴン・ウォーター
焼酎プラス炭酸ソーダプラス・ジャスミンティーでジャスミン・ハイ
さっぱり系の香りプラス炭酸はやはり
キーポイントですな。
しかし、お酒は二十歳になってからですぞ~
投稿: キッド | 2013年11月 4日 (月) 14時12分