あたくしには人造人間もモビルスーツも関係ありません!・・・を謎解く(長澤まさみ)
それは・・・セイラ・マスではなくて、イセリナ・エッシェンバッハだから・・・。
イセリナの魅力、分らない人多いよね。
みんな・・・イセリナのように愛せないし、イセリナみたいに愛されたことないからね。
でも・・・今回は愛する人の夢をなんとか、かなえようとする人がゲスト・ヒロインなんだから・・・「憎い敵! せめて・・・せめて一矢なりとも報いたいのです!・・・ 逃がさないでください! ・・・絶対、絶対に倒してください!! 」なんだよね。
愛のためになんだもんね。
ガンダムネタは禁止だと何度言ったら・・・ま、今回はいいか。
それにしても・・・甘い結末だよな。
「ものを考えるロボット」こそが・・・ロボット科学者の見果てぬ夢だよな。
「ロボットが単純でいい」なんて・・・いかにも底が浅いお茶の間向きの結論じゃないか。
まあ・・・この脚本家は底の浅さで勝負するタイプだから・・・なるほど。
で、『都市伝説の女・(第2シリーズ)第6回』(テレビ朝日201311151115~)脚本・渡辺雄介、演出・小松隆志を見た。この物語の定型である「都市伝説とは無関係に事件は解決するが、実はその背後には都市伝説的なものが関与している」をついに壊した夢のない結末に見えるが実は・・・脇役であり、月子(長澤まさみ)をサポートするUIU(非科学捜査半)所属の新人刑事・浜中彩乃(高月彩良)の奇妙な振る舞いこそが・・・それを補完している。浜中刑事は実は「複雑な感情を持った人造人間」である疑いがあるからだ。ガンダム関連の会話において背後で密かに喜んだり、哀しんだりのリアクションをしている浜中刑事は実はこれより先の領域に触れた人工知能搭載型のアンドロイド(人造人間)に違いないのである。もちろん、根拠はないのだった。・・・ないのかよっ。ただ、浜中刑事が月子を敬愛するのは・・・そのように初期設定がなされているからで・・・画面で時々、高速移動をしていたりする。・・・単なる編集ミスだろうがっ。
やはり、こういう話、定番に沿えないのは脚本家の未熟を・・・まあ、いいではないか。
「愛するものの死」を乗り越えられず、その復活を願うのは古典である。
日本神話なんか、イザナギが黄泉の国までイザナミを捜しに行ってしまうのである。
日本で最も著名なロボットであると言える「鉄腕アトム」はそもそも、天馬博士が交通事故死した息子トビオを復活させるために製作した感情を持ったロボットなのである。感情を持たせることができた天才が・・・何故、成長擬装システムを組み込まなかったのかは謎だが・・・アトムは身長が伸びなかったのが理由で・・・天馬博士に捨てられてしまう。・・・まあ、天馬博士、発狂してたんだよな。
医学なんていうものは基本的に「愛するもの(自分自身を含む)を死から逃れさせたい一心」で発達した科学なのである。
まあ、そういう古典的テーマに新たに一編が加わったのだった。
そもそも・・・人工知能とは何か・・・人間の複雑な心とは何かを・・・人類は未だ解明していないという・・・そのことすら知らない人がいる・・・こんな世の中じゃ・・・まあ、いいか。
ちなみに・・・ドラマに登場する「これより先の領域に触れてはならない・・・2003年に自殺したロシアの科学者ニコライ・ボリコフの最後の言葉。ボリコフは自殺する前日、人間と同等の感情を持ったロボットの開発に成功した」はすべてフィクションである。そういう噂の原型は2006年頃にあったが・・・ロシアの科学者ニコライ・ボリコフは実在しないので検索しても無駄ですぞ。
そもそも・・・ロボットが人間と同等の感情を持っていることはテストすらできないという考え方もある。なぜなら、人間に感情があることをテストすることも不可能だからである。
テストであなたに感情が無いと言われて・・・感情的になる人間は少なくないだろうし。
つまり・・・すべては・・・人間に複雑な感情があるという仮説前提のフィクションなのでございます。
もう・・・それ以上説明しても、分らない人には永遠に分らないだろうから、やめたまえっ。
たくみな男にかかれば
女はただのマリオネット
気がついた時には
いいように腕の中
夏の終り・・・今年は雷雨の当たり年だった。
そして・・・雷雨には・・・人造人間がつきものなのである。
なにしろ・・・大電力供給源と言えば落雷しかなかった頃のファンタジーからすべては生まれているのだ・・・「フランケンシュタインの怪物」も「鉄人28号」も「キューティーハニー」も・・・。
その延長線上に「機動戦士ガンダム」もあるのだった。
「月子さん・・・ガンダムにも興味があったんですか」
「ガンダムにも都市伝説はあるから」
「手塚治虫がガンダムを見て、これのどこが面白いのか教えてくれと叫んだとか」
「それ・・・単なる事実でしょう」
警視庁鑑識課の勝浦くん(溝端淳平)と月子と二人は・・・お台場ガンダム見学デートをしていたのだった。もう、かなり親密と行ってもいいのではないかっ。
「ガンダムはなんといっても戦争アニメだっていう認識が必要ですよね」
「そうなの」
「そうですよ・・・ジオン軍はドイツ軍だし、旧ザクは一号戦車だし、ギレンはヒットラーのしっぽだし・・・」
「現地調達、即実戦の少年兵だもんね」
「そうですよ、ある意味、戦争万歳アニメです」
「その断言にはいろいろと問題あるんじゃ・・・」
「なんてったってモビルスーツはロボットである前に兵器ですから」
「あれは乗り物なんじゃないの・・・」
「まあ、考え方ですよね・・・コンピューター搭載の現在の自動車だって、走るロボットだって言えますから」
「まあね」
「それに機関銃でも搭載すれば、警察車両だって、乗り物で、ロボットで、兵器ですから~」
「今日の勝浦くん・・・語るわね」
「だって・・・ガンダムネタでいいわけですし~」
そんな二人に声をかけてくる駅前にたむろするガンダム詣でのおタク軍団。
「あなたたち・・・警察の人なんですか」
「ええ・・・そうですが・・・」
「実は・・・待ち合わせしている人間と連絡がとれないんですけど」
「いや・・・それはさすがに警察の仕事じゃ・・・」
「いいえ・・・私の直感が事件だと叫んでいる」
「マジすか・・・」
二人に声をかけた井本廣幸(山本浩司)の知人である・・・待ち合わせに来なかった男・ロボット工学の教授・貝原康介(矢柴俊博)の自宅を訪ねる月子と勝浦くん。
「あ・・・鍵がかかってない」
「あ・・・月子さん、住居不法侵入です」
室内は・・・いかにも科学的な研究室という感じ。そして、ガンプラを発見する勝浦くん。
「勝浦くん・・・バスルームに来て・・・」
「えええ・・・他人の家で入浴はいくらなんでも・・・」
しかし、月子は貝原教授の死体を発見していたのだった。
貝原教授は入浴中に浴槽にパソコンを落し、感電死したように見えた。
しかし・・・壁には怪しいメッセージが残されていたのだった。
ハカセ ヲ コロシタ
モウ ダレ モ
ワタシヲ
セイギョ デキナイ
そして・・・データ復元がなされた博士のパソコンからは「宛先不明」のメールが発見された。
これより先の領域に触れてはならない
・・・残された二つの文章から・・・月子は・・・。
「人造人間が生みの親である教授を殺した」という「フランケンシュタイン」の予言の成就を確信するのだった。
「それは・・・」
「子供はいつか必ず親を殺すという・・・都市伝説の実現よ」
「そんな・・・都市伝説あるんですか・・・」
「神話の基本中の基本じゃないの・・・」
「ああ・・・何故、人類の祖先は・・・種として存続していないのかっていう話ですか」
「その通り・・・それは人類が滅ぼしたからに決まっている。子供はいつか必ず親を殺すのよ。だから・・・人類も・・・」
「新人類もしくは・・・進化した人工知能によって滅ぼされるわけですね」
「それが歴史の必然という・・・都市伝説よ」
「なるほど」
「ついに・・・その第一章が開かれたのかもしれないわ」
「いや・・・どうかな」
「それでも、男ですか、軟弱者っ」
「セイラさん・・・」
こうして・・・「人造人間による殺人事件の線」で捜査は開始されるのだった。
「そんな馬鹿な」と丹内刑事はいつものように憤慨するが・・・どうやらガンダム世代である柴山刑事は・・・「人造人間ではなくて・・・強化人間の仕業ならありえる」とうっとりするのだった。
「セイラが長澤まさみなら・・・フォウ・ムラサメはガッキーですかね。ロザミヤは戸田恵梨香で・・・プルは・・・どの美少女子役が・・・裸で走ったりして実写だとアグネス・チャンが物議を醸しますかね」
「なにを言っとるんだ・・・貴様は・・・修正するぞっ」
捜査を始めた丹内に・・・貝原の助手・中迫初美(浅見れいな)は「入浴中に感電するような設備ではなかった」と他殺の可能性を仄めかせる。
やがて・・・貝原の友人である科学ジャーナリスト・瓜生一郎(大鶴義丹)が貝原の死んだ妻・美土里(伊藤久美子)と三角関係にあった疑惑が浮上するのだった。
そして・・・全国各地で入浴中の感電死が相次ぎ、その度に謎の犯行声明が警察に送られてくる。
月子は・・・瓜生に「一体、貝原博士は何を研究していたのか」と尋ねるのだった。
「あいつは・・・死んだ奥さんそっくりの姿と・・・そして心を持ったロボットを作ろうとしていたのだ・・・しかし、そんなことできないに決まっている」
「なんでそんな風に決めつけるのです・・・瓜生さんは・・・貝原博士とは親友だったとお聞きしました」
「そうさ・・・僕らは大学のガンダムサークルで知り合ったんだ。最初に彼の亡くなった奥さんの心を奪ったのは僕の赤い彗星・・・シャア専用ザクだったのに・・・気がつけば、彼女の心は連邦軍の白いモビルスーツに移っていたんだ。二人はまるでアムロとララアのように結ばれたのさ。その頃の僕たちの夢はいつかガンダムを作って、それに乗り込むことだった。しかし、現実にはあんな巨大な重量のロボットを建造する材料も動力も・・・この世にはないんだよ・・・心を持ったロボットも同じさ」
「しかし、理論的には可能だという人もいます。それに伴う技術が不足しているだけだと」
「確かに、レオナルド・ダ・ヴィンチはヘリコプターを考えた。当時の人間はそれを夢想と笑っただろう。そして・・・現在の我々はヘリコプターが空を飛ぶことを知っている。しかし・・・それには長い歳月と・・・様々なテクノロジーの進歩が必要だった」
「つまり・・・時間の問題じゃないですか」
「そうさ・・・しかし・・・時間は有限なんだ・・・我々の生きている間に複雑な心を持ったロボットなんてできないんだよ」
その言葉に顔をしかめる浜中刑事だった。
「それにしても・・・なんで・・・ロボットは・・・博士を殺したのかしら」
「君は・・・私の話を聞いていなかったのか」
捜査線上に・・・博士に恨みを持っていた男が浮かぶ。
それは・・・博士の捜索を依頼した井本廣幸だった。彼は博士の亡くなった妻・美土里の実弟だったのだ。しかも・・・彼は博士に研究資金として総額三千万円もの投資をしていたのだった。
しかし・・・月子の姿を見ると何故か逃亡する廣幸。
「なぜ・・・逃げるの」
「君が・・・姉さん型ロボットなんじゃないかと思って・・・」
「確かに・・・月子さんは・・・亡くなったミドリさんと似ているかもしれない」
「ええーっ」と納得できない月子だった。
「僕は・・・彼が研究に夢中になって姉のことを省みなかったことを恨みには思っています。しかし、ガンダムを愛する気持ちは別です・・・ガンダムの前では人は平等だから」
「ガンダムは神に等しいものな」と合点がいく柴山刑事だった。
そして、実は精神を持つ人造人間である浜中刑事は涙するのだった・・・おいっ。
「だから・・・三千万円くらいで・・・彼を殺したりしませんよ」
「お金持ちで、いらっしゃったのね」
「セイラさんっ」
「でも・・・僕は見た・・・姉さんそっくりの人造人間を・・・あれはモンスターだった」
捜査は暗礁に乗り上げるが・・・田村由貴(小泉麻耶)と牧原里奈(風間亜季)の婦人警官コンビが携帯電話をバケツの水に落す騒ぎが発生し・・・月子はニュータイプとして額に稲妻か走るのだった。
やがて・・・月子は浜中刑事に命じ、偽のニュース情報を博士の助手と、博士の友人、そして博士の義理の弟のパソコンに送信させる・・・それは・・・かなり・・・犯罪的である。
そして・・・月子自身は・・・特殊メーキャップで姉さん型ロボットに変装するのだった。
恐怖に慄く・・・丹内刑事。
しかし・・・博士の助手は驚かない。
鬘を丹内の頭にのせた月子は謎解くのだった。
「私は・・・皆さんのそれぞれに・・・感電死のニュースを送りました。発生時刻は一緒ですが場所については・・・違うものを・・・」
「・・・」
「すると・・・中迫初美さんに送った地名と・・・新しい犯行声明の地名が一致したのです」
「・・・」
「私はとても残念な気持ちです・・・博士の作った人造人間が・・・雷撃をビビビと放ちながら生みの親の博士を殺し、空を飛び、山を越え、全国で放電殺人を繰り返した・・・そういうゴシックな展開ではなかったことが・・・妄想で完全に都市伝説解明だったつもりなのに・・・こんなに現実が強いなんて・・・」
「セイラさんっ」
「・・・」
「私は・・・不思議でした共同研究のデータが入ったパソコンを初美さんに返却した時に・・・お湯につかったパソコンについて・・・初美さんが・・・さして心配しなかったことに・・・」
「・・・」
「それは・・・あの夜・・・あなたがすでにパソコンのデータを確認したからですね・・・そして・・・これは連続殺人事件ではなく・・・最初からすべて感電事故だったのですね」
「日本人・・・入浴中に感電死しすぎだろうがっ」
「すべては・・・愛だったんですよね」
「そうです・・・私は先生を愛していました。本当は男と女になりたかった・・・でも助手としてでもいい・・・博士の側にいたかった・・・それを言おうと博士を訪ねると・・・彼は亡くなっていたのです。そして・・・パソコンには・・・私宛のメールが残されていた」
初美さん君がそばにいると僕は君を好きになってしまうだろう
だが僕は研究に没頭するあまりすでに一人の女性を不幸にしてしまった
僕はもう誰かを好きになってはいけない
君と僕は これより先の領域に触れてはならない
「私は・・・メールを改竄しました・・・そして・・・博士の夢だった奥さん型ロボットの存在を捏造したのです・・・月子さんがしたような変装もしました・・・ニュースにあわせて犯行声明も送りつけました」
「なんでそんなことを・・・」
「夢の実現を待ち切れなかったのさ・・・そうだね」と口を挟む瓜生。
「はい・・・博士の夢が実現された世界を見たかったのです」
「それは・・・今ではなかったからね」
「瓜生さん・・・」
「僕はね・・・もう批判に飽きたんだ・・・これからは貝原と一緒に・・・夢を追いかけるつもりだ」
瓜生は隠された扉を開いた。
「紹介しよう・・・ミスターカイバラと・・・ミセスカイバラ・・・まだ精神はないが・・・二人にそっくりの僕のアシスタント・ロボットさ・・・簡単な会話や・・・ちょっとしたダンスなら・・・人間と同じようにできるんだ」
「なるほど・・・」
「夢を実現する幸運な時代に生きるものもいる・・・でも、途中経過だっていいじゃないか。いつか、複雑な精神を持ったロボットが生まれる。その基礎研究をするのだって・・・立派に夢の中にいるのだと思う・・・君が手伝ってくれるといいな」
瓜生は初美にむかって微笑むのだった。
「初美さん、あなたならできるわ」と月子。
「セイラさん・・・」と勝浦くん。
「えーと・・・結局・・・これは事件なのかな・・・」と丹内。
「まあ・・・世間を騒がせましたけど・・・」と柴山。
「厳重注意の範囲ですね」と月子。
「さあて・・・じゃあ・・・帰って風呂にでも入るか」と名残惜しげに鬘を脱ぐ丹内だった。
人々が去っていくのを二台のロボットが見送った。
浜中刑事は振り返って目配せをした。
結局、人間はロボットに感情があるのかどうか知ることはない。
なぜならロボットにはロボット同士にしかわからない感情があるのだから。
しかし、月子は人知を超えて・・・ロボットたちの暗黙の会話が為されたことを感じ取り・・・微笑みを浮かべるのだった。
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