夫のカノジョ(川口春奈)VS家族の裏事情(谷村美月)
谷間である。
タイトル的には・・・川口春奈(主演)に対応するのは財前直見・沢村一樹(ダブル主演)になるわけだが・・・キッドの関心はどうしてもこうなります。
さて・・・テレビ東京を除く民放プライムタイムのドラマの視聴率としては・・・かなり低いことで話題となった「夫のカノジョ」に対し、話題にもならない「家族の裏事情」なのだが・・・。
「夫のカノジョ」・・・・・4.7%↗4.8%↘3.7%↘3.1%↘3.0%↗3.6%
「家族の裏事情」・・・6.5%↘5.6%↘4.2%↗4.4%↘3.8%
結構、いい勝負をしている。
キッドは視聴率はある程度、お茶の間の程度を示す指標としては重要だと思っている。「あまちゃん」が高視聴率の場合はお茶の間もなかなかやるな・・・と思うし、「ごちそうさん」が高視聴率ならお茶の間はやはりバカだなと思うわけである。
二つのドラマに共通しているのは主婦を主役とした・・・「夫のカノジョ」も実際の主役は鈴木砂羽である・・・ホームドラマだということである。
「夫の彼女」は専業主婦で、「家族の裏事情」では食堂の女将ではあるが・・・基本的には家族が何よりも大切な妻や母親・・・つまり良妻賢母的な視点で描かれている。
ただし・・・両者とも様々な理由により、その「座」が揺らぐわけである。
これをキッドはひそかに「サザエさんの危機」と呼んでいる。
「夫のカノジョ」ではサザエさんはマスオさんの部下のOLとファンタジー的手法で入れ替わってしまう。
「家族の裏事情」ではカツオがマスオさんの前妻の子供だったり、カツオが東大生の嫁を連れてきたり、マスオさんの昔の恋人が帰国したり、ワカメが磯野家が貧しくて自由がないといいだしたり、タラちゃんが落語家になりたいと言い出したりするわけである。
二つの番組の視聴率が振るわないのは・・・そんな「サザエさん」は見たくないとお茶の間が思うからなのだと思う。
そして・・・それ以上に・・・「サザエさん」に全く興味のないお茶の間が多数派になっているということなのだろう。
まあ・・・谷間なのであまり深くは追求しません。
で、『木曜ドラマ9・夫のカノジョ・第1話~』(TBSテレビ20131024PM9~)原作・垣谷美雨、脚本・江頭美智留(他)、演出・二宮崇(他)を見た。脚本には横田理恵、演出には三木康一郎、塚本連平も参加している。三木康一郎はトリハダ~夜ふかしのあなたにゾクッとする話を」の人、塚本連平は「都市伝説の女2」からここである。ひとつのジャンルといえる「誰かが誰かと人格が交代したら・・・」のバリエーションである。最もメジャーなのは小説「おれがあいつであいつがおれで/山中恒」を原作とする映画「転校生」(1982)で男子中学生と女子中学生の心と体が入れ替わるという話。この他にもクドカンの「ぼくの魔法使い」で主婦と赤の他人の中年男、ガッキーの「パパとムスメの7日間」で父親と娘が入れ替わっている。さらに変形ヴァージョンで死んだ人間が生きている人間に憑依する「秘密」や「ちょっと待って、神様」(原作/「秋日子かく語りき」)も一種の・・・外見と中身が違う話と言える。今季は深夜にパパ→息子の「49」もやってます。
まあ・・・よくある手なのである。最近では「山田くんと7人の魔女」でもやってました。
基本的には男女の交換が常套で・・・とにかく、性転換した自分の身体をチェックするという件がお約束になっている。
しかし・・・この作品は・・・専業主婦の小松原菱子(鈴木砂羽)が邪推する夫・麦太郎(田辺誠一)の愛人・・・実は単なる部下・・・の若い派遣社員・山岸星見(川口春奈)と入れ替わる同性同志の年齢差チェンジである。
つまり、新機軸を狙っているのだが・・・明らかに失敗している。
まず、第一に・・・独身女性と・・・専業主婦では・・・ドラマのネタ作りのしやすさが違うのである。
もちろん、独身女性の面白さだってあるわけだが・・・原作・脚本ともに・・・そこを開発する真摯さに欠けている。
結局、よくあるホームドラマ的なネタの流用で・・・菱子の子育てとか、ママ友との交流とか、主婦としてのよくある悩みがエピソードとして展開していく。
主演・川口春奈なのに・・・結局、星見の心を持った菱子が大活躍なのである。どう見たって鈴木砂羽のドラマなのだ。低視聴率の責任が川口春奈に被されるのはほとんど濡れ衣と言っていいだろう。
なんで・・・こんなことになってしまったのか。それはホリプロが制作するドラマで鈴木砂羽がホリプロ所属の女優だからである。・・・ミもフタもないな。
つまり、実質は鈴木砂羽の主演ドラマで・・・それでは視聴率がとれないとの理由で主演・川口春奈で企画書を通したために・・・結局、視聴率が取れないのである。
このドラマの一番の一同爆笑ポイントである。
で・・・経験のない女の子が・・・おばさんになって右往左往するという話なのだが・・・どちらかと言えば蓮っ葉な役柄の多い鈴木砂羽は単にいつもの鈴木砂羽である。
一方、小心者の主婦が入ってしまった若い女の子はひたすら地味に演技するしかなく・・・川口春奈の持っている・・・若さゆえの大胆さや・・・思いっきりのいいキャラクターの魅力が封殺され・・・主役らしさのかけらもない展開に終始しているのである。
アンチ・エイジングのもてはやされる時代にあって・・・若さを失うことと、若さを得ることのどちらが・・・幸せだろうか。
その答えは人それぞれだろうが・・・いや、突然若返った方がいいに決まっている。
なんてったって身体が楽だぞ。
つまり・・・若返った方が基本的に寿命が延びているのである。
もちろん・・・そのことによって築きあげたものを失う痛みはあるだろう。
しかし、突然、おばさんになって・・・見知らぬ家族と暮らすことの重圧というか、しがらみに縛られるやりきれなさは想像するだけでも恐ろしい。
そういう基本的な部分の思慮がかなり欠けて物語は進行して行く。
ドタバタの展開は面白くないことはないのだが・・・すごく面白いとは言えない展開である。
特に男性視聴者にとってはすべてどうでもいい話だろう。
物凄く安易に夫婦間の性の問題はセックスレスだから・・・ということで序盤戦はスルーしているわけだが・・・もしも・・・性行為をしても中身だけ若い女の子になっていても・・・夫には何の新鮮味もないわけである・・・そこかよっ。
鈴木砂羽の中の川口春奈にドキドキされてもなんのこっちゃなのだった。
秘密をさっさと打ち明けて・・・中身が鈴木砂羽の川口春奈を抱けることになった田辺誠一の高揚感を想像すると・・・ね。
まあ・・・というわけで・・・一部お茶の間の皆さんには申し訳ないが見なかったことにしてスルーするしかないのだった。
まともに書いたら・・・専業主婦についての毒々しいコメントが満載になると思うからである。
関連するキッドのブログ→天魔さんがゆく
で、『金曜ドラマ・家族の裏事情・第1回~』(フジテレビ201310251957~)脚本・武井彩・阿相クミコ、演出・木下高男(他)を見た。さて、こちらは雀町商店街でお食事処「石和屋」を家族で営み、それなりに充実した生活を送っている石和縁(財前直見)がほぼ主人公である。夫の泰彦(沢村一樹)とのW主演という建前だが・・・裏事情は基本的に縁に対する家族の裏事情なのである。
泰彦には前妻の近田美咲(松下由樹)がいて・・・実は長男の晴彦(松下洸平)は二人の子供である。そのことが夫婦の最大の裏事情と言える。
そして・・・パティシェとして成功した美咲が帰国して・・・泰彦の心は揺れる。
次男の雅彦は大学生だが・・・家族には内緒で落語家になることを夢見ている。
末っ子の女子中学生・千代美(水谷果穂)は海外でのサッカー教室の参加費用を稼ぐために年齢詐称をして家族には内緒でアルバイトをしている。
幼い頃に母親(真野響子)に捨てられたと思いこんでいる縁は・・・家族に対して強い束縛を無意識に行っている擬似的な良妻賢母である。ある意味、ものすごくうざい存在なのだった。
そんな嫁を泰彦の父親の尚彦(小野寺昭)は生温かく見守るのだった。
とにかく・・・出奔した母親のようにはなるまいと家族大事で生きて来た縁。
しかし、家族の絆はいつしか大きく揺らぎ始めるのだった。
その一石が長男の結婚相手として現れた高城累(谷村美月)なのだった。
面白みのない母親に育てられ、面白みのない男に育った町工場の事務員・晴彦は面白みがないために恋人に捨てられ、たまたま知り合った累の奇妙な性格に魅かれ、衝動的に結婚を決意する。
累は東京大学理学部卒の大手企業の研究員。母子家庭に育ち、孤独に育ったために人間関係の対処にいろいろと問題がある。女手一つで累を育てた母親・祥子(宮田早苗)は二年前にクモ膜下出血で倒れ、以来、認知症を発症して長期入院中である。その医療費がかさみ、累は三百万円以上の借金がある。返済の目途もなく、限度額を越えてしまったために新たな借金もできない。晴彦と結婚するのは名義を替えることで新たな借金をするためなのであった。
そんなことは知らない縁は初対面の席で・・・縁が同居する気も嫁になる気もないと率直に発言したことで全人格を否定された気分を味わう。
縁にとって長男の嫁とは・・・お食事処「石和屋」を手伝い、やがては女将の座を継ぐものと決定されていたからである。
そして・・・それが単なるエゴであるとは夢にも思わない困ったキャラクターなのであった。
一度は・・・縁に拒絶される・・・累だったが・・・まったく家庭的ではなかった母親とは違う・・・縁のこだわりの母親ぶりを新鮮に感じるのだった。
累は家族で食卓を囲み、大皿から自分の分をとりわけることも知らぬネグレクトされた才媛だったのである。
生まれて初めて「お弁当」を作ってもらったことに感激する累に縁の中の「こだわりの母親魂」が疼き始めるのだった。
一方、晴彦は結婚の報告のために累の入院中の母親を見舞う。
「あら・・・累・・・来てくれたの・・・その人はどなた」
「私・・・この人と入籍します・・・彼は晴彦さんです」
「まあ・・・そうなの・・・この日が来るのをどんなに夢見たことか・・・晴彦さん・・・累の事よろしくお願いしますね」
「はい」
「累、よく来てくれたわね・・・その人はどなたかしら」
「私・・・この人と入籍します・・・」
「まあ・・・そうなの・・・この日が来るのをどんなに夢見たことか・・・」
「・・・」
「こちら・・・どなた?」
「私・・・この人と入籍します・・・」
「まあ・・・そうなの・・・この日が来るのをどんなに夢見たことか・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
晴彦は・・・累の憐れさに・・・胸が締め付けられるのだった。
単なる遊び心で始った結婚ゲームが・・・累への本格的な恋へと変わっていくのだった。
しかし・・・累の母親の病状は悪化し・・・ついに・・・。
「お母さん・・・」
「あなた・・・どなた・・・」
・・・になるのであった。
そんなある日、縁と末っ子の千代美が激突する。
「私・・・こんな貧乏な家に生まれたくなかった・・・もっと普通のお母さんがよかった」
「普通ってなによ」
「普通に携帯電話を買ってくれるお母さん」
「・・・」
そんな娘の暴言に思わず手を出す・・・父親だった。
家出した千代美を発見したのは第三話で銭湯における入浴サービスを共にした累である。
「あのね・・・いつか・・・お母さんはいなくなる・・・そのことを想像してごらんなさい」
「・・・」
「そうしたら・・・いらないお母さんが・・・大切な人だったって分かるから」
「・・・」
「悲しい気持ちになったでしょう」
「悲しい・・・」
盗み聞きした二人の会話に戦慄する縁なのである。
とにかく・・・「夫のカノジョ」の主演・川口春奈(18)より「家族の裏事情」の脇役・谷村美月(23)の方が・・・役に恵まれたと断定するキッドだった。
関連するキッドのブログ→リーガルハイ2-2
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コメント
ホント見てますね~。


ちゃんと寝てますか
私は寝不足と肩凝りで頭痛が酷く、
薬と気合いで仕事してます。
いやなお客さんじゃないとスムーズ(笑)
ホッと一息、癒しの時間ですわぁ
読むだけよ。そのつもり。ホントに。
ダメ、また頭痛くなるから書いちゃダメ~。。。
昔から入れ替わりものが好きだったんだって、
改めて思い知りました。懐かしい…
こんなにありましたかぁφ(.. )フムフム
『夫の~』は嫌いじゃないんですよね~。
基本的な部分どころか、雑な感じが逆にいいんですかねぇ。
いきなり、弥生の魔法使いとか(ノ∇≦*)キャハッッッ♪
開き直って見れば全て許せちゃうような…
そのまま今に至る(笑)
裏が『ドクターX』じゃなくても視聴率3%だったんですかねぇ。
春奈ちゃんのせいでもないし、ちょっと可哀想。
すごく面白くないところがいい?
素直な人間たちが見易くていい?
朝ドラの方が何だか面倒がくしゃくない?
いつもの砂羽さんと、
これまでの春奈ちゃんらしくない役柄が好感触です。
そうそう、山村紅葉さんがイイ味出してる。
初めていい役に恵まれたな~って思った(笑)
これも男性目線とは違うかしらん
最近、どうしてこんなに肩が凝るのかと思ったら、
自転車通勤での寒さから肩に力が入ってたことに気づいて、
マフラーをストールに替えて顔半分を覆ってみたら、
全然寒くなかった~ヽ(*´∀`)ノゎぁぃ♪
何の報告じゃ(笑)
キッドさんも、身体を冷やさないようにして下さいね~

室温・体温調節には気をつけて
余計な話まで聞いて貰っちゃった~ヽ(*´∀`)ノゎぁぃ♪
どうもありがとうございました
投稿: mana | 2013年11月30日 (土) 16時27分
御心配いただきありがとうございます。
キッドは眠くなると寝るという自由奔放な暮らしを
しているので睡眠は足りてますぞ~。
昔は・・・一週間くらいうたた寝しかしないという
夢のような生活をしていたので
今は寝すぎかもしれません。
幼少の頃から気が小さくて
胃痛に悩まされていましたが
H₂ブロッカー薬が開発され市販されるようになり
即飲できるので解放されましたし
頭痛持ちでしたが
イププロフェンの開発・市販で
即飲できるので解放されました。
さらに肩こりはインドメタシン対応です。
この三種の神器で
すべての痛みをスルーできるようになり
無敵になったのでございます。
まあ、痛みを消すのはある意味
危険なことですが
その場が楽になれば
それでいいと思うのが悪魔の特質ですからな。
「夫のカノジョ」はまあ
普通にファンタジーですよね。
魔法使い弥生の魔法少女時代は想像できませんが。
この手の話では
小説「スキップ/北村薫」(1995年)が秀逸なのでございます。
17歳の女子高校生がある日、目が覚めると
夫と17歳の娘を持つ42歳の高校教師になっている。
つまり・・・17歳から42歳までの
記憶喪失になってしまったのですな。
青春時代も新婚時代も育児時代もいきなり
消滅して・・・妙にけだるい身体になってしまう。
この悪夢っぷりはなかなかのものでした。
そういう怖さも少し・・・欲しいと思うのですな。
そうですねえ・・・鈴木砂羽は・・・いい女優ですが
つまり、主演の器ではないと・・・
キッドは推定しますので
視聴率は厳しかったと思います。
同世代で言うと
常盤貴子とか
稲森いずみとか
石田ひかりとか
がいますので・・・このあたりで
やればフタケタはとれたかもしれません。
まあ、ホームドラマもファンタジーも
冬の時代ですからな。
「あまちゃん」は一見、ホームドラマですが
羊の皮をかぶった狼ですし・・・。
しかし、ドラマ通のお嬢様方には
高評価のようなので・・・
これはこれでいいと言う他ないのですな。
単純に・・・鈴木砂羽の心が入った川口春奈は
あんなに心配性にはならずに
やりたい放題の暴走につぐ暴走を重ねるに違いないというキッドの偏見が
気楽な視聴につながらないという実情がございます。
基本的に・・・山村紅葉のダメ人間ぶりとかも
ある種、そのまんまのような気もいたしますし~。
朝ドラマはとりあえず
ここまでずっと見てきて
面白かったのは・・・
め以子と桜子の超絶音痴っぷりと
希子の「焼氷の歌」だけでしたぞ~。
もう・・・9週目なのでどんだけ~ですな。
およそ750分(12時間30分)返せと言いたいですな。
キッドは地獄育ちなので
暑さの方が弱いのですな・・・
体は楽ですがとにかく頭がぼーっとなりまする。
寒い方がとにかく考えるのが楽なのです。
身体が冷える季節はどてらを着ます。
ある意味、布団から一歩も出ないということですな。
まあ・・・床暖房しなくても
ボアのついたスリッパで充分という
極貧体質のなせるワザかもしれません。
寒がりの人には「北極クマかっ」と言われますが

単なる地獄のペンギンなのでございますけどね~。
投稿: キッド | 2013年11月30日 (土) 18時31分