キスをしながらサヨナラを言って(山本舞香)青春って最高だ(佐藤勝利)
新年まで残り三日である。
真夜中の地上波は・・・「TRIC>I祭り」で絶対死なない老人ホームの専任カウンセラーとして高嶋政伸が怪演技に開眼(2003年)し、「モテキ祭り」で藤本幸世(森山未來)が小宮山夏樹(松本莉緒)とのデートに向かって「Baby Crusing Love/Perfume」を踊り(2010年)出す・・・。過去の輝きが蘇る・・・年の暮れなのである。
昨夜は「新川優愛の衝撃ゴウライガン!!」の最終回で巨大ロボットVS大怪獣のサーピスもあり・・・年末気分を盛り上げてくれたのである。
ああ・・・今年も終わって行くのだなあ。
感慨にふけりながら・・・数の子の塩抜きをするのだなあ。
そして北海道から送られてきたほっけの開きを焼くのだなあ。
で、『49・最終回(全11話)』(日本テレビ201312290115~)脚本・野島伸司、演出・大塚恭司(他)を見た。神にあっては神を拝み、仏にあっては仏を拝む、クリスマスを祝い、七福神に夢を祈る。無頓着でフレキシブルな宗教観を持つ人々を信仰心あふれる人々は蔑みと憧れの気持ちをもって眺めるだろう。7×7=49なのはインドの七進法に由来する。死後七日ごとに七回の供養を行い・・・現世に止まった魂は彼岸へと旅立つという信仰が仏教によって形式化され・・・四十九日となる。魂の有無について・・・人々は三十万年間悩み続けて結論の出ぬまま現在にいたっている。おそらく明日、魂の存在が証明されることはないだろうと思われる。しかし・・・多くの人間が・・・今もなんとなく自分の「心」というものを感じているだろう。
日本では・・・学校教育が普及しているために・・・家族とは別に学級という単位で「他人」を想像することができる。まず・・・そこに「他人」がいることを感じることができるかどうか・・・という分岐がある。次に・・・「他人」がそれぞれに違うという認識ができるかどうか・・・という分岐がある。それは・・・「世論」というものを考える時の基礎となるだろう。少なくとも義務教育の九年間で・・・様々なクラスメートを観察することができる。もちろん・・・そこでも観察する者としない者の分岐がある。美しい人、醜い人、健康な人、不健康な人、頭脳明晰なもの、愚鈍なもの、理性的なもの、感情的なもの、踊るもの、踊らないもの、苛めるもの、苛められるもの、裕福な者、貧乏なもの、優しい人、厳しい人、外交的なもの、内向的なもの、真面目な人、いい加減な人、勉強家と怠け者・・・まさに人間動物園である。そういう観察の蓄積があれば・・・世論などは全く信用できないものということがわかる。
あの・・・バカや・・・あのバカの・・・形成している世論なのである。
同時に・・・米国の世論とか・・・中国の世論とかも・・・同様に信用できない。
しかし・・・それはそれとして・・・バカものたちの集団としての力には注意しなければならない。いじめという現象を目撃したことがあれば・・・それがなかなかに油断のならないことだと思うからである。
もはや戦後・・・68年であり・・・終戦の年に二十歳だったものが88歳になっている時代である。
現在の日本国の首相・安倍晋三は満59歳、戦後九年目に生まれている人である。米国のオバマ大統領は16年目、中国の習近平国家主席は八年目、韓国のパク・クネ大統領は七年目である。全員が戦後の新世界秩序の中で生まれている。
彼らは等しく「戦争の歴史」を学んだものたちである。
当然、それはそれぞれの国家の国益に基づいた歴史認識を生じさせる。
だから・・・認識がかみ合わないのは当然なのである。
もちろん・・・敗者のハンディキャップということでは・・・勝者の側に名を連ねる米中韓と日本とでは大いなる落差がある。
しかし・・・その後の東西冷戦によって・・・日米はそれなりの絆を構築してきた。
現実問題として日本は米国の同盟軍として中国を仮想敵国としているわけである。
一方で・・・日米の軍事同盟は・・・沖縄の基地問題という内政上の軋みを生じさせている。
ここに日本のかかえるジレンマがある。
一方で中国の台頭による・・・尖閣侵略問題があり・・・「沖縄」は当然のこととしてその「軍事的圧力の排除」を求める。
一方で・・・その防衛の核心である「米軍基地負担の軽減」を「沖縄」は求めるのである。
「どうしたいんだい・・・沖縄は・・・」とそれ以外の日本人は他人事で問うことになる。
だが・・・クラスメートの顔を思い浮かべれば・・・そういう認識が「共有」されていないことは充分に想像できるのである。
「49」で描かれる父親の魂を宿した高校生・加賀美暖(佐藤勝利)の仲間たちの誰ひとりとして・・・日中の間の歴史認識の齟齬や・・・沖縄とそれ以外の日本人の基地問題についての温度差に心を痛めたりしないこと。
それが・・・現実というものだろう。
彼らは・・・両親の不和に悩み自殺を考えたり、バスケットボールの試合でとりあえず一勝したかったり、好きな人とキスしたかったり、好きなだけメロンを食べたかったり・・・青春で精一杯なのである。
家庭人としては・・・失格者だった暖の父親は・・・自分より優しい息子の胸の内で・・・「でもその優しさを気合で表に出さないと・・・優しい人間にはなれない」と遺言を残す。
だから・・・暖は前から思っていたことを吐露するのだった。
「君は美人だよ・・・鏡見てみろよ・・・大人になったら・・・もっと美人になるよ」
「・・・」
「好きな人に好き」と言えた暖は・・・。
高見幸(山本舞香)のみじめで死にたい気持ちを打ち消すことに成功するのだった。
「英霊を追悼したい」と一国の首相が言っても内外で物議を醸す世界に取り囲まれていも・・・青春はそれでいいと思う。
願わくば・・・そういう呑気な青春が来年も続けられる日本でありますように。
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