泥だらけの純情の束の間の勝利の女神のモテキ(長澤まさみ)
さて・・・このブログの中断期は・・・2010年の夏の終りにやってきたためにドラマ「モテキ」(テレビ東京)のレビューは第6回までになっている。
第7回以後の藤本幸世(森山未來)のダメダメぶりは目にあまるものがあるわけだが・・・まあ・・・ふりかえるのもおぞましい・・・哀愁の日々である。
藤本は・・・自分に溺れ・・・世界に溺れ・・・「女を見る目がない」と予言された通りに・・・目の前にあるチャンスを自分で踏みつぶしながら・・・それでも・・・愛を捜して・・・愛を求めて・・・生きていくのだった。
小宮山夏樹(松本莉緒)は夢の女として消え・・・中柴いつか(満島ひかり)は仕事に燃え・・・林田尚子(菊地凜子)は子育てに集中し・・・土井亜紀は新しい恋に萌える・・・藤本に残されたのは・・・悪友の島田(新井浩文)との友情だけだったのだ。
そして・・・老いた両親(でんでん&戸村美智子)を故郷に残し・・・一人自転車で故郷を後にした藤本。
最後は「今度は誰かのモテキになってやる・・・」と意味不明の言葉を残し・・・あらゆるものをこじらせたまま・・・朝焼けに消えていったのだ・・・それは東日本大震災の起る前の平和な日々だった。
で、『モテキ(2011年9月劇場公開作品)』(テレビ東京20140101PM10~)原作・久保ミツロウ、脚本・監督・大根仁を見た。再び上京した藤本幸世(森山未來1984~)は31歳になっている。あろうことか・・・藤本は・・・中柴いつかの処女を喪失させた墨田卓也(リリー・フランキー)が素晴らしいインターネットの世界に開設したニュースサイト・ナタリーの正社員募集の面接を受けたのだった。
相変わらずの性の狩人である墨田は女関係のもつれから刃傷沙汰に発展・・・修羅場に巻き込まれた幸世は刺されてしまうが・・・就職には成功する。
二歳年上の強面の上司・唐木素子(真木よう子1982~)に「このセカンド童貞野郎がっ」と罵られられながら・・・サブカルチャー系のライターとして修行の日々に入ったのである。ちなみに四人目の女である唐木はサディステイックであるだけで・・・恋愛対象にはならない。
ただのサブカルおタクから・・・一応、底辺の業界人となった藤本は・・・フェスの取材中、声をかけてきた女に・・・スタッフ・モードでナンパしようとして失敗し・・・「格好悪いふられ方/大江千里」をリフレインするのだった。
・・・藤本・・・成長の跡がありません。
そんな藤本が「つぶやき系」で知り合うことになるのが・・・五歳年下の雑誌編集者の松尾みゆき(長澤まさみ1987~)である。映画「世界の中心で愛を叫ぶ」(2004年)の・・・朔(森山)と亜紀(長澤)の時空を超えた再会なのである。
一目で・・・なぜか藤本に好意を持つみゆき・・・。
二人の趣味は・・・「進撃の巨人」から「Get Wild を見下すこと」や「兵藤ゆきがカイジにしか見えないこと」まで一致するのだった。
自己愛が強いために・・・同じ世界観を持っていることを恋愛相手に求める傾向のある藤本は・・・抜群のルックスと巨乳と美脚を兼ね備えたみゆきに「最終兵器彼女的なもの」を感じるのだった。
いきなり・・・藤本の部屋にやってきたみゆきは・・・猛烈なスキンシップ攻勢をかける・・・さらには水があふれる口うつしでキスまで・・・。
しかし・・・「彼氏がいる」というみゆき・・・たじろぐ藤本・・・。
だがとりあえず・・・楽しいので「Baby Crusing Love/Perfume」を踊り出すのだった。
今回はPerfumeも一緒に踊り出すのである。
・・・藤本・・・まったく成長の跡がありません。
親友の島田雄一は・・・そんな藤本に苦言を呈する。
島田には・・・藤本が神埼桜子(篠原ゆき子)や夏樹と同様に・・・巨乳が手に余る悪女に目が眩んでいるとしか思えないのである。
もちろん・・・それは事実だった。
「でも・・・今度は俺・・・みゆきちゃんに一途だし・・・」
「だって・・・その子、付き合っている男がいるんだろ」
「・・・」
しかも・・・その男は・・・みゆきと一緒に住んでいるのだった。
そして・・・自暴自棄になった藤本にみゆきの親友で二歳年上のミニカー・デザイナーの枡元るみ子(麻生久美子1978~)が愛を告白するのだった。
たちまち・・・関係してしまう・・・藤本。
そして・・・事後に猛烈な自己嫌悪にかられる・・・藤本。
おい・・・いくらなんでも・・・るみ子が・・・小宮山夏樹の姉・小宮山基樹(信川清順)と同じポジションなんて・・・はらちゃんが涙するほどゴージャスすぎるぞっ。
「あなた好みの女になる」と藤本を押し倒するみ子・・・。
しかし・・・藤本は自分が愛している女としか幸せになれない体質なのである。
まあなにしろ・・・そういうキャラクターなんだから・・・仕方ないんだな。
自分勝手に傷ついて・・・藤本は・・・みゆきに・・・「るみ子と寝た」と暴言を吐くのだった。
そして・・・たちまち後悔するのだった。
やがて・・・みゆきの同棲相手が同じ年のイベント・プロデューサーで今をときめく山下ダイスケ(金子ノブアキ)で・・・自分に・・・まったく勝ち目がないと卑下する藤本。
しかし・・・ダイスケが妻帯者と知り・・・もうなにがなんだかわからなくなる藤本なのだった。
自分の言いたいことを私は何も言わない
自分のやりたいことを私は何もできない
自分の為に泣いても人の為には泣けない
主義・主張を叫んで外を歩く勇気なんかない
傷ついた傷つけられたと騒いで憂さ晴らし
あなたは失格! そうはっきり言われたい
たったこれっぽっちの生きざまをひとり振り返り
四の五の理屈を言ってる私を愛したい
やがて・・・墨田卓也によって・・・ガールズ・バーの六歳年下の女・愛(仲里依紗1989~)から説教される藤本である。
「今や・・・男と女の恋愛にはほとんど差がないのです・・・でも・・・女が出産できる年齢は限度がある・・・違うのはそこだけ・・・だから・・・気が向いたら結婚してください」
一児の母の愛だった。
思いきってみゆきにアタックする藤本。
「できたら・・・結婚したい」
「藤本くんでは・・・私、成長できない」
「最後に一回だけやらせて」
「ごめんね」
玉砕である。
藤本は・・・それでも嫉妬や自己嫌悪を乗り越え・・・プロとして恋仇のダイスケに好意的な記事を書きあげるのだった。
そして・・・転機がやってきたのだった。
ダイスケの主催するフェスで再会する・・・みゆきと藤本。
なぜか・・・逃げ出すみゆき・・・追いかける藤本。
そんな藤本にエールを贈る唐木だった。
唐木こそは・・・勝利の女神だったのである。
生まれ変って・・・再会した「運命の二人」は・・・こじらせた性体験を乗り越えて・・・。
泥まみれになって抱き合うのだった。
「こんな風に会いたくなかった・・・」
「・・・」
「でも・・・まあ・・・いいか」
藤本に愛の光が差し込む。しかし・・・まあ・・・好きになる→キスをする→発展せず別離が・・・「モテキ」の世界・・・。
見果てぬ愛の妄想が・・・また始ったにすぎないのである。
だが・・・もちろん・・・そこがいい。
とにかく・・・驚くべきことに・・・映画「モテキ」は単なる藤本とみゆきのラブ・ストーリーだったのである。まさに・・・意表を突かれました。
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