三略に曰く、將謀欲密・・・と軍師官兵衛(岡田准一)
「三略」は「武経七書」の一である。
太公望が書いたとされるがこれは偽りであるらしい。
黒田官兵衛は母親の死後・・・読書に熱中したと伝えられ・・・兵法書に通じ、軍師適性を得たのである。
「將謀欲密」は三略の内、上略に述べられ「将軍が策謀を行う時は秘密にすることが必要である」という意味です。
日本ではことわざとして「謀は密なるを貴ぶ」と申します。
戦術・戦略の極意とは極めて単純明快で・・・そんなことが奥義なのか・・・と思われるようなもの。
しかし・・・相手を騙そうとしていることがバレたのでは騙せるわけがないので・・・戦争において秘密がいかに大事かということは絶対的な真理と言えるでしょう。
それが分らない人が「特定秘密保護法」で大騒ぎするということです。
相手が気がつかない間に殺すのが最も安全な殺し方なのです。
で、『軍師官兵衛・第1回』(NHK総合20140105PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二 を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は元服時15歳、小田原征伐時44歳の実年齢33歳の岡田准一演じる黒田官兵衛孝高と祖父・黒田下野守重隆(竜雷太)の二大描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。大河ドラマで役年齢と役者の実年齢の関係は禁句なので以後一切口にしないことを誓います。選手宣誓か・・・画伯、本年もよろしくお付き合いください。姫たちがすごく楽しみですがあくまでマイペースでお願いします。・・・だから私信はコメント欄でしろと何度言ったら・・・。
天文15年(1546年)に黒田官兵衛孝高(幼名・万吉)は小寺政職の養女で明石宗和の娘を母親に、播磨の姫路城の城代・黒田職隆の嫡男として誕生する。つまり、官兵衛は黒田重隆と、小寺政職という二人の祖父を持つことになる。黒田家は流浪の近江忍びであり、重隆の代に備前国から播磨国に漂着した。播磨国はすでに守護・赤松主家に往年の支配力はなく・・・一族郎党が割拠する状態になっている。播磨西半分は・・・赤松庶流の赤松政秀が龍野城に、同じく赤松庶流の小寺氏が御着城にあって勢力を競っていた。播磨東半分は同じく赤松庶流の別所氏が勢力を誇っている。しかし、国内の治安は乱れ、野武士が横行する時勢である。冒頭で幼女が軍馬に踏み砕かれる描写があるが・・・それを言いわけにメルヘンでスイーツな流れも充分に予感される・・・マイホーム・パパな小寺(黒田)職隆なのだった。官兵衛の生まれた頃は・・・出雲の戦国大名・尼子晴久の侵略がようやく停止し、播磨国内での内攻が再燃し始めた頃合である。しかし、天文21年(1552年)には尼子が再度侵攻し国境を脅かし、天文23年(1554年)には摂津の戦国大名・三好長慶の東播磨侵攻があり、別所氏が降伏するという事態も発生する。もはや・・・播磨国は国としての体裁を失っていたのである。弘治元年(1555年) には毛利元就が厳島の戦いで陶晴賢を撃破している。弘治3年(1557年)は甲斐国の武田晴信と越後国の長尾景虎が第三次川中島の戦いを勃発させる。永禄3年(1560年)には桶狭間の戦いで今川義元が織田信長に討ち取られる。ようやく元服した官兵衛が小寺政職の近習となるのが・・・永禄5年(1562年)・・・戦国は戦国大名による天下取り競争の様相を呈してきたのだった。西に毛利が勃興し・・・東に織田が頭角を現す・・・その寸前に・・・官兵衛は父に連れられ初陣を飾るのだった。
初陣を許された官兵衛は・・・姫路の舘の一角に隠居する実の祖父・下野守重隆の元へと赴く。重隆は齢54になっている。最初は赤松政秀に仕え、次に三木通明の配下・妻鹿氏の娘を娶り、ついには敵対する小寺氏の元で姫路城を築城するという策謀家である。何より、広峰山に巣食う陰陽師の一族・伊吹氏と結んで・・・神人忍びを配下に収めるという奇怪さを持っている。
官兵衛は・・・父よりも祖父に底知れぬ恐怖というものを感じるのだった。
「初陣か・・・」
「は・・・」
「まあ・・・生命を大事にするがよかろう」
「しかし・・・野武士相手と言えども合戦でございますから」
「そうだな・・・思わぬ不覚というものもある・・・」
「は・・・官兵衛めは時々・・・うつけになりますゆえ・・・」
「うふ・・・お手前は面白いのう・・・倅よりも・・・我に似たか」
「血がつながっておりますゆえ・・・おじじ様にも父上様にも似たりよったりでございましょう」
「なかなかに・・・とぼけたことを申すの・・・」
「そこは・・・おじじ様譲りと存じまする」
「小癪な奴め・・・よいか・・・油断は禁物じゃぞ」
「心得ましてございます」
その合戦とも呼べぬ、小競り合いで官兵衛は流れ矢を受けた。
矢じりには毒が塗ってある。
しかし・・・官兵衛は矢を放った敵を倒すと悠々と引き上げる。
くのいちのおたつが心配気に帰路の官兵衛の傷を見る。
「深手ではありませぬか」
「今・・・毒がまわっていい気分になっておる・・・」
「若様・・・」
「ほれ・・・傷ももう治りかけておるわ・・・」
「呆れた・・・」
官兵衛は・・・不死身体質だった。
こうして・・・心の底から戦が好きな男の戦人生が始ったのである。
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コメント
改めてあけましておめでとうございます
本年もよろしくお願い致します
さて、始まりましたこのドラマ
個人的にはどことなく
「官兵衛はこんなに凄いんだ」みたいな
アゲアゲ感が満載でまるでかつて見た
愛の兜の雰囲気を感じさせるような
悪寒をちょっと感じております
神官とくれば、やはり忍ですなぁ
この辺りの情報流通の確かさはここに尽きます
同じ忍をつかう宇喜多との絡みもありそうで
楽しみな限りでございます
さてさて、先程
pixivを更新しまして過去に描いた
「秀吉」の竹中直人さんを追加しました
よかったらどうぞ ̄∇ ̄ノ
ちなみに宇喜多直家は
「毛利元就」の時の陣内さんで
いこうかなと思ってます ̄∇ ̄
投稿: ikasama4 | 2014年1月 6日 (月) 23時48分
いよいよ寒中お見舞いの季節でございますな。
まあ・・・今回は帝国スターの大河ですので
その点はあま目で見る覚悟でございます。
番組プロデューサーが
主人公の特徴の第一点に
「側室がいなかった」を挙げる時点で
一同爆笑ですからな。
父・職隆も愛妻家であるがために
主君に嫌疑をかけられるという展開に
気絶しそうになりました。
官兵衛元服の頃には神吉赤松氏の未亡人に
三男・黒田利則を産ませているし
その三年後には
母里小兵衛の未亡人に四男・黒田直之を産ませている
未亡人好きという歴史的事実を・・・。
まあ・・・妄想の方は全開で参る所存でございます。
やはり黒田家は・・・重隆でございますよね。
いわゆる地縁・血縁の作り方が
由緒正しい「遣り手」でございますからねえ。
北条早雲の匂いがしますからねえ。
だから・・・広峰一族には風魔の香りが・・・。
赤松、浦上、宇喜多、尼子、毛利の
怪しい忍びたちが暗躍する
山陰、山陽の・・・戦国絵巻は・・・
いかに本編が健康的に
振る舞うとも・・・
淫靡な種が尽きないのでございます。
ふふふ・・・蘇る乱世の英雄たち・・・。
画伯の過去イラストを
探索する日々が始るのでございます。
やはり・・・戦国時代はワクワクしますな~。
投稿: キッド | 2014年1月 7日 (火) 06時23分
>戦争において秘密がいかに大事かということは絶対的な真理と言えるでしょう。
>それが分らない人が「特定秘密保護法」で大騒ぎするということです。
「特定秘密保護法」が純粋に戦争に関することだけ秘密にするとは限らないという意見もあります。
もっと言うと、政府が国民に対して悪用しない保証もないと言う方もいます。
そのようなことで「特定秘密保護法」は大丈夫なのでしょうか。
投稿: 名無しのおバカさん | 2014年1月11日 (土) 18時43分
そうですねえ・・・名前のない人に
どのように教え導くかは難しい問題です。
まず・・・この「軍師官兵衛」は戦国時代を描いているドラマで・・・日本国憲法は存在しないわけですが
それでも全くの無法というわけではないわけです。
その中でたとえば「約束」が交わされたりします。
「法」がなければ「約束」なんて無意味ですからねえ。
「特定秘密保護法」は「軍事についての秘密を保守しなければ国益の損失につながる情報」についての法です。
「戦争」以上の「惨事」がないとすればそれを「阻止」するためにあらゆる「情報」が対象になるのは当然ということです。
だから・・・「政府」が「隠したいこと」を隠すためにこの「法」を流用することはあるかもしれませんし・・・それは為政者としては問題ないと考えます。
そのことによって・・・国益に損失がと生じたと国民が認識すれば・・・当然、政権は交代することになります。
政府=内閣と考えれば行政という権力が法を執行することに善も悪もありません。
当然、何の保証も必要ありません。
現在の日本の立法機関は国民の選挙によって選出された議員が権力を執行しています。
「法」が成立した以上、それは民主的な政治の結果ということになるわけです。
それぞれの独断や反対意見でそれが左右されるのはけして好ましいことではありません。
・・・「衆愚政治」などと言う言葉がありますが
そういうことを語る人はどれだけ自分を賢人と判断しているのか・・・呆れるばかりでございます。
まあ・・・そういうことで「特定秘密保護法」は国民が守らなければならない法として
すでに存在しているということです。
国民にとって不都合があれば民主的な手続きで「改正」すればいいだけの話でございます。
投稿: キッド | 2014年1月13日 (月) 17時21分