ボク(中村蒼)と香川みどり(桜井美南)となぞの転校生(本郷奏多)
少年時代の終りはいつかやってくる。
「時をかける少女」では幼馴染がラベンダーの香りを嗅いだ時、「ねらわれた学園」では高見沢みちるが生徒会長に立候補した時・・・そして「なぞの転校生」ではあの子が恋をした時だ。
原作小説ではそれほどでもないのだが・・・ビジュアル化された「なぞの転校生」では・・・少年より少女が先に大人になることが基本中の基本なのだと思う。
それにしても・・・(木)「ウシジマくん2」で(金)「なぞの転校生」となると・・・すでに深夜枠が二本である。
(日)「軍師官兵衛」
(月)未定
(火)未定
(水)未定
(木)「ウシジマくん2」
(金)「なぞの転校生」
(土)未定
なのだが・・・今の処、レビュー対象候補は「僕のいた時間」のみ。
「夜のせんせい」、「私の嫌いな探偵」、「明日、ママがいない」、「戦力外捜査官」、「S-最後の警官-」・・・このあたりと残り四枠の争奪戦である。微妙だなあ。
で、『なぞの転校生・第1回』(テレビ東京201401110012~)原作・眉村卓、脚本・岩井俊二、演出・長澤雅彦を見た。言わずと知れたジュブナイル小説(1967年)の三度目の映像化である。最初はNHKの少年ドラマシリーズで1975年。今回主人公の父親を演じる高野浩幸は初代・岩田広一である。そして、ヒロイン香川みどり(伊豆田依子)でこの時代に思春期を迎えた男子にとっては「美少女」の一つの典型を形成していると推測される。次は1998年の映画版。岩田広一(妻夫木聡)で香川翠(新山千春)だが・・・こちらは知る人ぞ知る作品といっていいだろう。オリジナルの要素が強く、岩瀬真祐未(佐藤康恵)が軸となっている。翠と真祐未の関係が小中和哉監督的に・・・趣味なのだろう。
そういう意味で・・・「怨み屋本舗」「エリートヤンキー三郎」「湯けむりスナイパー」「モテキ」「勇者ヨシヒコと魔王の城」「まほろ駅前番外地」「みんな!エスパーだよ!」と傑作を生み出してきたこの枠で・・・岩井俊二が・・・「なぞの転校生」をやるというのは・・・どうしても期待が高まるわけである。
まあ・・・ムードだけにしてもである。
でも・・・「なぞの転校生」にムードはとても重要な要素なんだな。
さて・・・七瀬シリーズの七瀬に比べれば・・・香川みどりは今回でようやく三代目である。「ねらわれた学園」の楠本和美(小山セリノ→原田知世→新田恵利→村田和美)より少ないし、アニメ化もされていないのである。「時をかける少女」の芳山(島田淳子→原田知世→南野陽子→内田有紀→中本奈奈→安倍なつみ)にも負けている。
異世界からやってきた少年に心を奪われるという点では芳山と同じなのだが・・・香川の方が主人公に対して残酷に他の男を好きになってしまうというニュアンスが生じるために敬遠されるものと思われる。
しかし・・・このポイントこそが・・・「なぞの転校生」の醍醐味であろう。
今回はそういう「微妙な感じ」を描かせたら天下一品の人の介入なのである。
早くも・・・序盤戦から・・・岩田(中村蒼)の仄かな恋心をいたぶる気配が濃厚で・・・いい感じなのである。
ちなみに・・・その他の女生徒に東西山高校2年3組・小川玲子(福地亜紗美)がキャスティングされたりしている。ドラマ「受験の神様」の小悪魔・福本亜紀、「鈴木先生」の新見葵である。
また、みどりの女友達ポジションの春日愛(宇野愛海)は私立恵比寿中学の元メンバーである。
この他に岩田の所属するSF研究会には眼鏡っ子の大田くみ(椎名琴音)や・・・なぞの女の子として杉咲花も配置されている。
東西山高校2年3組に通う岩田広一と香川みどりは幼馴染である。
帰り路が一緒の二人は夕暮れの空に「上昇する流星」を目撃する。
広一は「UFOじゃないか」と疑問を呈するのだが、みどりは「生まれて初めて流れ星を見て願い事したんだから・・・流れ星に決まっている」と決めつけるのだった。
「何をお願いしたんだよ」
「秘密・・・」
広一は・・・自分が彼氏になるように祈っているのではないかと願望的妄想をするのだった。
その現象はニュース(狩野恵里アナウンサー)にも取り上げられるほど広範囲で目撃されたらしい。
もやもやとした気分で帰宅した広一は・・・隣室の住人・江原正三(ミッキーカーチス)が認知症を発症している場面に遭遇する。
正三は妻にも愛犬・サスケにも先立たれた独居老人である。
「家にたくさん人がいるんだよ・・・」
老人の奇妙な言動に室内を検める広一。しかし・・・誰もいないのだった。
広一の父親の亨(高野浩幸)はサイエンス・ライターである。
広一は父親にも「UFO説」を否定される。
そして・・・母親の君子(濱田マリ)にも「いつまでたってもムーくんなんだから」と茶化されるのだった。
おそらく・・・広一はオカルト雑誌「ムー(MU)」の愛読者なのだろう。
このことはクラスでも周知の事実である。
「なぞの転校生」といえば大谷先生である。初代・岡田可愛、二代・小牧かやのに続いて三代目は京野ことみだった。
今回は音楽教師であり・・・グスターヴ・ホルストの組曲『惑星』から「金星、平和をもたらす者」を生徒たちに聞かせるのだった。
しかし・・・大谷先生はどうやらオカルト好きらしい。
極めて控えめなサービスとして・・・香川みどりたちの体操着から制服への生着替えがあり・・・それを跳び箱の中から盗撮した大森健次郎(宮里駿)は香川に発見され奴隷となるのだった。
しかし・・・体育倉庫で・・・「上昇する流星」に続く怪奇現象・・・「奇妙な発光」が発生する。
みどりは・・・奇妙な出来事の連続に・・・何かの兆しを感じるのである。
その夜・・・広一とみどりは春日愛と変態・大森とともに校舎に侵入する。
広一はデート気分で浮かれるのだった。
夜の校舎に好きな女の子と二人きり・・・夢のようなシチュエーションである。
しかし・・・四人を発見、追跡した警備員はプラズマ状の謎の電光に襲撃されるのだった。
世界に何かが起ろうとしていた。
そして・・・江原正三の部屋には・・・全身を泥土に覆われた奇妙な少年(本郷奏多)が出現していた。
実に・・・ゴージャスな夜のジュブナイル・・・始りました。
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