焼きそばに地獄へまっしぐらな感じのモノを入れるのは犯罪です(山田孝之)
闇金は犯罪である。
しかし、ドラマで描かれる行為は演出上のものである。
このドラマはフィクションです・・・という但し書きは・・・さらに進化している。
「表現の自由」は絶対不可侵のものであるというのが表現者の基本姿勢だが・・・現実というフィクションはもつれあった利害関係で構成されているために冒されてはいけないものが冒されるのが普通である。
「報道の自由」を謳う大新聞が自社の不祥事にはあまり、自由に報道しなかったりするわけである。
いかにも・・・公明正大な報道をしているかのように見えるテレビも・・・公共放送は時の行政府や、お茶の間の顔色を伺いつつ、不自由な報道を行っている。
民放はさらにスポンサーという自由の制約者を持っている。
そこでは・・・公序良俗に対する一定の不自由さが表現の自由を抑圧していることは言うまでもない。
たとえば「生殖器の露出」などは相当に慎まなければならない表現なのである。
また・・・「諸外国に対する論評」などもある程度、抑圧される。
バカでもチョンでもなどと言えば叱られるのであり、バカチョンカメラは死語になるのである。
昔は「エロ」だとか「ちびくろサンボ」とかでも表現者は時に叩かれ、時に雄々しく戦ったものだ。
最近では・・・一種の不文律ができあがり・・・基本的人権や・・・公序良俗などという曖昧な概念と・・・表現の自由の間では一定の了解ができている。
時に表現の自由はマスメディアという第四の権力を暴走させることもあるからである。
「TBSテレビ」などはオウム真理教事件で殺人事件に関与してしまい・・・一度は死んだのである。
しかし・・・「表現の自由」は絶対に放棄してはならない表現者の砦であることは間違いない。
ドラマは集団による表現である以上、集団的に自由でなければならない。
まあ・・・基本的にしがないサラリーマンである表現者たちに何を言っても無駄だと思うが・・・人間として絶対に譲ってはいけないものがあることを心の片隅に留めてもらいたいと考える今日この頃だ。
で、『闇金ウシジマくん Season2・第5回』(TBSテレビ201402140058~)原作・真鍋昌平、脚本・福間正浩、演出・白川士を見た。最近、多重債務者の過払い金返還請求業務で得た報酬を申告せずに約1億5千万円を脱税したとして東京国税局が所得税法違反容疑でNPO法人の理事を告発するというニュースがあった。事の真偽は別として「国民救済」とか「消費者支援」とかをお題目に掲げる団体が・・・貧民を貪るという構図は確かにあるわけである。そういう事象があるからといってフィクションは別にそれとは無関係に存在するのだ。とにかく・・・このドラマは・・・あらゆるものを食いつくそうとする犯罪者たちの虚構にすぎないのだから。それを見て楽しい気持ちになるのはお茶の間の自由なのである。表現の自由と同じように・・・鑑賞する自由もまた絶対不可侵だといいのになあ。
今や・・・そこにも踏み込もうとしている正義はある。
だが・・・まあ・・・犯罪ならしょうがないよね。
もちろん・・・鑑賞の自由を守るたるに獄中生活も辞さないという人はまさに精神の自由を謳歌して、肉体的に不自由になったりするので注意が必要です。
ギャンブルに何を求めるのか・・・それは人それぞれだと思うが・・・カウカウファイナンスの柄崎(やべきょうすけ)も何かを求めて・・・金か・・・一瞬の勝利感か・・・地下カジノで金を落すのである。
フリーターの宇津井優一(永野宗典)がギャンブル依存で重ねた借金を・・・優一の母の母の終の棲家で清算させる血も涙もない闇金業者が・・・同じ崖っぷちに向かって揺れているのだ。
それを知ってか知らずか・・・ウシジマくん(山田孝之)はポーカーフェイスなのだった。
そして・・・高田(崎本大海)の元ホスト仲間・隼人(武田航平)が持ちかけてくる「絶対に怪しい投資話」に何故か、百万円、さらに五百万円とぶっこんでくるのだった。
高田はただならぬ気配を感じ、隼人の身を案じる気持ちから・・・ウシジマくんの介入を避けようとするのだが・・・もはや手遅れなのだった。
「絶対に怪しい投資話」にウシジマくんがからんだ以上、「絶対に怪しい金」を求めて弱肉強食の闘争が繰り広げられるのは必至であり、うかうかすれば高田だって食われてしまうに違いないのだ。
一方、ついに親の保護を失った・・・優一(35)は低料金の宿泊施設・ゲストハウスで漂泊中である。管理人の幸(絵美里=2009年ミス・ユニバース・ジャパン宮坂絵美里)にあらぬ思いを抱いているが・・・ゲストハウスに集う底辺の若者たちからは「国民の義務が何かも知らないおっさん」として低学歴を嘲笑される始末である。そして・・・幸にはふさわしいパートナーのゲストハウスオーナー(西興一朗=「爆竜戦隊アバレンジャー」のアバレッド)が存在しているのだった。強力なゲストハウス経営陣である。
コインランドリーを利用することで・・・洗濯に金がかかることを初めて知った優一は・・・それでも一人暮らしのアパート生活を目指し・・・底辺からの脱出を目指す。
はたして・・・優一は大人の階段を昇ることができるのか・・・。
その頃、「読者モデルの頂点」を目指し、カラオケ店「トマト」のジュリア(佐々木麻衣)と風俗店「エロリアーナ」のリリイの表と裏の顔を持つ女には・・・裏の顔・・・露出の危機が迫っていた。
「トマト」のアルバイトの先輩で大学生の浅倉(岩澤晶範)がジュリアの裏の顔を嗅ぎつけ、風俗嬢としての仕事ぶりを盗撮して・・・金と身体を求めて恐喝してきたのである。
「読者モデルとしてつぶされたくなかったら百万円出せ」という浅倉。
借金をするためにカウカウファイナンスを訪れたジュリアにウシジマくんがアドバイスを贈る。
「一度払えば・・・二度三度だ・・・お前は・・・覚悟を決めたんじゃないのか」
うかうかと恐喝に現れた浅倉は・・・恐喝の言動を・・・録音されてしまうのだった。
初歩だよな。
「おまえ・・・風俗嬢だとバラされてもいいのかよ」
「いいわ・・・だって風俗嬢だから・・・でも、そんなことしたら・・・録音を警察に提出するわよ・・・あんたの人生にも犯罪者の烙印が押されるんだよ」
「・・・」
素人の悲しさだった。
まあ・・・手荒な真似をしたら・・・こわいお兄さんの出番になるだけだけどな。
そして・・・カリスマ的オサレエンペラー・G10(藤本涼)に導かれ、麻薬の売人として高収入を確保した・・・中田広道(入江甚儀)は・・・オサレの世界で頭角を現し始める。
結局・・・どれだけオサレな私服を購入できるかが読者モデル界の出世を左右するのだった。
年商十億円の通販サイト・スキタイの小野社長(岩本淳)や・・・バイト先の先輩(押野大地)にヤバイ煙草を売りつけ・・・資金を手にした広道はオサレに磨きをかけるのだった。
そして・・・ついに・・・憧れの人気読モ・パピコ(紗倉まな)に声をかけられるのである。
なぜか・・・「ドラゴンボール」マニアとして意気投合し・・・端末をフルフルする二人だった。
パピコもまた読モで頂点を極めるために質素な生活をしていることを知り・・・広道は・・・カップ・ラーメンをベンチで食べながら恋に落ちるのだった。
ヤバイ商品の顧客からの呼び出しでデートを切り上げる広道にパピコは汽車はないけどチューチュートレインをするのだった。
広道は・・・オサレな世界が目の前に広がっているのを感じる。
しかし・・・商品を卸してくれるのは・・・鉄の扉の向こうで「助けて」と女(井野戸芙美)に叫ばせる明らかにヤバイ組織の構成員・ハブ(南優)だった。
「お前・・・結構、さばけるじゃねえか・・・次はもっとすげえブツを回すぜ・・・けどな・・・足がついたらシャレにならねえから・・・顧客はちゃんと選べよ」
ハブは親切にアドバイスをしてくれる。
さらなる高みを目指すために・・・ウシジマくんに借金を申し込む広道。
「もっとオサレがしたいんだ」
ウシジマくんは・・・金を貸すのだった。
「大丈夫なんすか」と柄崎。
「奴は前に進むしかないんだよ」とウシジマくん。「死ぬ気で前進して・・・たどり着くのは地獄だけどな」
・・・だよね。
最高にヤバイ物が封入されたカップ焼きそばを受け取った広道。
そこへ・・・パピコからデートの誘いがかかる。
最高にヤバイものを手に提げてルンルンと待ち合わせ場所へ向かう広道。
「おーい、ちょっと」と警察官に職務質問をかけられるのだった。
「荷物を見せてもらえるかな・・・」
広道の鼓動は高まるのだった。
世界が平和共存だけでは成り立っていないことを高らかに謳いあげるフィクションがここにあります。
関連するキッドのブログ→第四話のレビュー
| 固定リンク
コメント