凶悪犯罪者も生きたまま逮捕・・・なんてキック・アス!(クロエ・グレース・モレッツ)
そこかよっ。
それにしても・・・ヒット・ガールを演じるクロエ・グレース・モレッツは当時11歳である。
それに対して芦田愛菜は現在9歳なのである。
天は物凄い才能を日本に与えている・・・。
それを生かすクリエーターもまあ・・・そこそこいたわけだが・・・。
私財を投げ打ったマシュー・ヴォーン(脚本・監督・製作)ほどのガッツはないんだな。
もちろん・・・こういう映画を作ればいいというわけではないが・・・。
自由って素晴らしいと思うよね。
で、『映画天国・キック・アス(2010年劇場公開作品)』(日本テレビ201402250159~)原作・マーク・ミラー(他)、脚本・ジェーン・ゴールドマン(他)、演出・マシュー・ヴォーンを見た。スーパー・ヒーローもののパロディーであると同時に、犯罪者に対する復讐劇でもある。復讐は物語の原点の一つでもある。たとえば、日本でも最も愛される物語と言えば「赤穂浪士」の他にはない。主君の仇を討つという復讐劇である。第二次世界大戦の最後の敗戦国として地球上のすべての国家から敵としてみなされた大日本帝国の後継者である日本国では戦後の教育によって「復讐を禁じられてきた」過去を持つ。東京大空襲、広島、長崎に対する原爆投下という・・・無差別殺戮を行った鬼畜米英に対してけして仇討ちを考えたりしてはいけない・・・というのが基本である。
まあ・・・もう少しで・・・そういう復讐について・・・実感するものも死にたえるわけである。
もちろん・・・多くの人々は・・・そういう戦争をした時代が悪かったとか・・・帝国そのものが間違っていたとか・・・様々な理屈をつけて復讐心を葬ったわけである。
その結果、人命尊重は基本理念として横たわり、犯罪被害者の遺族が復讐心を持つことも好ましくないことになっているということだ。
だが・・・そういう理念とは別に・・・愛する者を殺された人間が抱く情念は自然に青白い炎を燃やすものである。
そうでなければ・・・なぜ・・・赤穂浪士万歳になるのか説明がつかないのだ。
基本的に・・・管理者は復讐を好まない。
たとえば・・・キリスト教では復讐の権利は神のみにある。人間が復讐したりするのはおこがましいわけである。なにしろ・・・魔女を火炙りにしてきた宗教なので・・・魔女の遺族に復讐されたら困る・・・ということなのだな。
しかし・・・独裁者たちの憐れな末路が示す通りに・・・人間は基本的に復讐が大好きなのだと考える。
とにかく・・・「キック・アス」が表現する世界は・・・復讐心排除の洗脳に次ぐ洗脳で構築されたお茶の間にはものすごくなじまない。某仕置き人ドラマの第一条が「けして殺さないこと」で始る現代なのである。
米国の興業主たちでさえ金を出し渋った映画をオンエアしちゃう日本テレビ・・・万歳です。
ちょっとおタクな・・・デイヴ・リゼウスキ(アーロン・ジョンソン)はアメリカン・コミックのヒーローに憧れ・・・オリジナルのコスプレを発注する。やがて・・・ただのプレーではあきたらず・・・ヒーローとしての実践を開始する。
勇気の出ない若者の尻を蹴りだすのは大人の役目だが・・・管理社会で・・・見て見ぬふりこそが美徳となった現代では・・・自分で自分のケツを蹴るしかないのである。
だから・・・彼のヒーロー・ネームは「キック・アス(尻穴蹴り)」なのだった。
まあ、コスチューム・プレイをして高層ビルから飛び降りて墜落死するのもキックアス(いかれポンチ野郎)なのだが。
で・・・ちまちまと街の不良に注意して更生を促すヒーロー活動を開始したキック・アスはチンピラに刺され瀕死の重傷を負う。
それでも・・・彼はヒーローになろうと願う。
そういう素人の正義の味方のすぐそばには麻薬シンジケートの巨悪が横たわっている。
同級生のクリス(クリストファー・ミンツ=プラッセ)の父親・ダミーコ(マーク・ストロング)はそのボスだった。
ダミーコは殺人を犯すことに痛痒感を感じないが、子煩悩な父親でもある。
かって・・・ダミーコの仕掛けた罠にかかり・・・無実の罪で投獄された警官・デイモン・マクレイディ(ニコラス・ケイジ)は愛する妻を失い・・・残された一人娘・ミンディ(クロエ・グレース・モレッツ)と復讐を誓っている。
そのために・・・ミンディは殺人マシーンとして教育されているのだった。
11歳の少女でもたやすく殺人ができるのが銃の威力というものなのである。
冒頭・・・防弾チョッキ着用の娘を近距離射撃で射ち倒す父親の猛特訓から・・・のどかな・・・おタク少年の妄想物語は・・・狂気の色彩を帯びていくのである。
キック・アスは意中の美少女・ケイティ(リンジー・フォンセカ)の頼みで・・・麻薬常習者の友人の借金の取り立てに向かう。
しかし・・・そこにいたのは本物のギャングたちであった。
護身用のアイテムでは太刀打ちできないギャングたちに取り囲まれ、絶体絶命のキック・アス。
そこに・・・必殺の武器を携えてヒット・ガールが出現する。
あっという間に・・・ギャングたちをみな殺しにするヒット・ガール。
そして・・・ギャングたちの所持金を奪って退散するのだった。
もちろん・・・その正体は・・・復讐の鬼と化したビッグ・ダディに仕上げられた11歳の少女・ミンディなのである。
もちろん・・・日本でも時代劇なら「あずみ」があるが・・・現代劇で少女が悪い大人をぶっ殺しまくる爽快感は・・・実にキック・アス(ぶっとび)なのだった。
やがて・・・悪の帝王ダミーコは・・・キック・アスを敵と認知するが・・・人気者となったキック・アスのコスプレが流行し・・・本物を見抜けないという事態が発生する。
そこで父親思いのクリスが一計を案じる。
自らがレッド・ミストというコスプレ・ヒーローとなってキック・アスのサイドキック(相棒)として名乗りを上げるということである。
まんまと釣りあげられるキック・アス・・・しかし・・・孤独だったクリスとデイヴの間には友情めいた感情が芽生える。
しかし、ダミーコの麻薬帝国の壊滅を目指すビッグ・ダデイとヒット・ガールは先手を打って手下たちを殺戮するのだった。
追い詰められた父親を救うためにレッド・ミストは・・・キック・アスを餌に・・・父と娘を釣りあげることに成功する。
レッド・ミストはキック・アスの助命を願うが・・・ダミーコは息子の願いを一蹴する。
素晴らしいインターネットの世界で公開処刑されるビッグ・ダデイとキック・アス。
しかし・・・身を潜めていたレッド・ガールは暗視装置を使ってギャングたちを殺戮する。
だが・・・一瞬遅く、放火されたビッグ・ダディは娘の前で焼け死ぬ。
「あんたがドジだから・・・パパが死んじゃった」
「・・・」
「責任取ってよね」
こうして・・・キック・アスは真のヒーローになる覚悟を求められる。
それは・・・ガトリング砲やロケット弾で・・・悪人たちを殺して殺して殺しまくることだった。
ついに・・・キック・アスはヒット・ガールとともに・・・悪人たちを殺して殺して殺しまくるのだった。
万歳である。
そして・・・悪の帝国でただ一人生き残った・・・レッド・ミストこと・・・クリス。
続編公開中である。
誰が何と言おうともその痛快さ・・・キック・アス(半端ねえ)のだった。
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