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2014年3月22日 (土)

心が風邪をひきそうな冷たさであれば(本郷奏多)月下の踏み切りであすなろ抱き(中村蒼)泣かない約束したばかりなのにもう(杉咲花)私の知らない世界(桜井美南)

いよいよ・・・冬ドラマの最終回ラッシュも終盤である。

テレビ東京のこの枠は結構、最後まで残るよね。

さいはてのせつなさでは・・・ピコピコ鳴るシューズを履いた「ウシジマくん」のパピコ(紗倉まな)が他者の追随を許さない今シーズンだが・・・萌え度ではダブル・ヒロインの「なぞの転校生」も捨てがたい。

まあ・・・こっちの二人はグランドがメジャーだからな。

秋葉原のディスカント・ショップで通りすがりのソフトコーナーに並んだ彼女の名前で胸がキュンとすることはないわけである。

何を言っているのかわからんぞ。

分かる奴にだけ分かればいい。

松住町架道橋から昌平橋までピコピコ幻聴が止まらなかったぞ。

・・・それは病院に行った方がいいと思うぞ。

いや、万世橋までにはおさまったから大丈夫だ。

お彼岸だな・・・。

で、『・第11回』(テレビ東京201403220012~)原作・眉村卓、脚本・岩井俊二、演出・長澤雅彦を見た。幼い頃には世界の終りを簡単に想像できる。しかし、人は長じるにつれなんだかんだで滅びそうで滅びない・・・この世界なんじゃないかと思い始める・・・しかし・・・それは百年という瞬くような時間を過ごす人類の思いこみにすぎないのかもしれない。滅びの時が来れば・・・あらゆるものが滅びていくのである。それはある意味では優しい「死」の幻想である。つまり・・・死ぬのが自分だけではないという安心感を伴うものだ。このドラマはそういう甘美なムードを醸しだしている。

昼下がりの公園で暗殺者(翁華栄)は王妃(りりィ)を刃物で刺す。

休日なので人目があるはずだが・・・おそらくモノリオ(本郷奏多)はただちになんらかの結界を張ったと思われる。

「あのものを逃がすな・・・アスカを守れ」と苦悶しつつ王妃はモノリオに命じる。

モノリオは暗殺者を追跡し・・・その後を広一(中村蒼)とみどり(桜井美南)が追う。

モノリオは追跡者を追い詰める。

「待て・・・私はお前とは戦わない」

「・・・」

「だって・・・ヒューマノイドと戦って普通の人間に勝ち目はない・・・それに私は任務を果たしたし・・・もはや・・・楽になりたいのだ・・・わかるかな・・・」

「・・・」

暗殺者はモノリスによる自決を行った。

モノリスは異次元回廊の出入り口を開くことができるが・・・同調していない異次元に飛び込めば・・・物理的存在は消滅するのである。

霊魂を含めた全存在がどうなるのかは不明らしい。

広一とみどりは見てはならぬものを見た。

しかし、心優しい二人の高校生は瀕死の王妃を見捨てることはできなかった。

王妃は仮初の王宮である江原家の帰還を求めた。

「なんとかせよ」とアスカ(杉咲花)は命じる。

「レイバーがオンラインになりません・・・」

いよいよ・・・モノリスのエネルギー残量は少ないらしい。

王宮には江原老人(ミッキー・カーチス)の姿しか見えない。

「一体・・・どういうことなんだ」と思わずアスカを問いつめる広一。

「理由は話す・・・信じられない話かもしれないが・・・私たちがどこから来たか・・・なぜ・・・ここに来たか・・・ただ・・・お願いがある・・・すべては秘密にしてほしい」

「・・・」

「モノリオ・・・おばあさまを助けてくれ」

「現地の医療機関を使います」

「しかし・・・」

「モノリスのマギでなんとか秘密を保持します」

「・・・そうか・・・頼む」

広一は廊下に広がる王妃の血痕を見て気が動転する。

「とにかく・・・これをふきとらないと・・・いや・・・ふきとっちゃまずいか」

「タオルがいるわね」と広一よりも冷静なみどり。

しかし、バスルームでみどりは悲鳴を上げる。

バスタプでは・・・アゼガミ(中野裕太)とスズシロ(佐藤乃莉)が抱き合ったまま絶命していた。

おそらく・・・絶望して心中したものと思われる。

救急車を呼ぼうとしたモノリオを死の床についた王妃が制止する。

「それは・・・ならぬ・・・皆のものを呼べ」

ベッドに横たわった王妃は・・・最後に王族としての威厳を取り戻していた。

「王家の歴史を語ろう・・・」

Dの歴史はマルスの歴史だった。

伝承によれば・・・謎の鉱物生命体マルスを発見したのはD1世界の住人だったという。

彼らはマルスから・・・モノリスを作った。

モノリスは万能端末といえるツールである。

マルスの研究からゾーンによってパラレルワールドへの転移を可能にした「彼ら」はD8世界に移住しモノリス文明を構築する。

200トンのマルスを集積したグランドを作った「彼ら」はクランディズムと呼ばれる超管理社会を構築する。

D4世界やD5世界の資源は「彼ら」によって食いつぶされる。

D8世界のH・G・ウエルズはモノリス文明の行く末に警鐘を鳴らした。

しかし、正体不明の何者かが・・・ゾーンを通じてD8世界の1999年に超核兵器である「アンゴルモアの火」を投下する。

このことによってグランド支配体制は崩壊する。

グランド支配時代に実権を失っていた「王家」は革命勢力によって担がれ・・・疲弊した社会に新政府が誕生する。

グランド支持の旧政府と王家復興の新政府は戦争を行う。

その戦乱の最中に・・・新たな超兵器である「プロメテウスの火」がゾーンより投下され・・・D8世界は崩壊・・・王妃は僅かな臣下とともにD12世界に脱出してきたのだった。

「つまり・・・その超核兵器は・・・誰が・・・」

「それは分からぬ・・・」

「・・・」

「この世界にはアイデンティカと呼ばれるもう一人の私がいる可能性がある・・・広一は・・・私の世界ではナギサと呼ばれる王族の一人だったのだ」

「僕が・・・王族?」

「そこで・・・お前に頼みたい・・・我が王国の王位を継承してもらいたい」

「・・・」

「今・・・すぐに決断しなくてもよい・・・これは私の末期の願いとして申している・・・私はもはや・・・疲れた・・・この美しい世界で・・・眠りにつけて幸いじゃ・・・青い空、色とりどりの花々・・・優しい雨・・・」

王妃は逝去した。

「・・・王妃は崩御されました・・・」

「おばあさま・・・」

アスカは膝を落し号泣した。

広一とみどりは立ちつくした。

江原老人は念仏を唱えた。

アスカはみどりの贈った花を王妃の亡骸に供える。

モノリオはゾーンを開き・・・王妃を葬った。

もはや・・・アゼガミとスズシロを葬ればモノリスは尽きる計算である。

「これでご遺体は完全に消滅します・・・」

「もう一つだけ・・・聞いてくれ」と葬儀を終えたアスカは言う。

広一とみどりは・・・異世界からきた少女を見つめる。

「私は・・・放射線を浴びて・・・もはや・・・死を待つ身なのじゃ・・・」

アスカは抜けおちる毛髪を示した。

「ごめんなさい・・・私・・・何も知らなくてごめんなさい・・・」と衝撃の告白にみどりはわけもなく謝罪した。

「いいのじゃ・・・みどりがわびることなど何一つない・・・」

アスカは崩れ落ちた。

眠りについたアスカを残し、広一とみどりは帰宅する。

「彼女の病気・・・なんとか・・・ならないのか」とモノリオに問う広一。

「なんとかできるものなら・・・なんとかしている」とモノリオは答えた。

広一は夜路をたどり・・・みどりを家へと送る。

月が二人を見下ろす。

「あの日・・・二人で・・・流星をみたわね」

広一はみどりを抱きしめた。

「やはり僕は君が好きだ」

「なんで・・・今なのよ」

「どうしても・・・今、言いたかった」

みどりは広一の手を宥めるように撫でた。

窓辺で目覚めたアスカは月を眺めていた。

「美しい月じゃの・・・」

モノリオは苦渋を表情で表現する。

「モノリオ・・・泣きたければ泣くがよい・・・」

「泣けるものなら泣きたいです」

「ふふふ・・・私はもう泣かぬぞ・・・これから・・・私はこの世界で好きに生きるのだ」

そういうアスカの瞳からこぼれる涙。

「姫様は・・・これまでだって好きに生きてこられたでしょう」

「ふふふ・・・言うのう・・・」

D8世界最後の人類とD8世界最後のヒューマノイドは微笑みあった。

これはもう・・・クライマックス・・・残るはエピローグか・・・。

関連するキッドのブログ→第10話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のなぞの転校生

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受信: 2014年3月22日 (土) 21時44分

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