私は犯ってないと誰もが言いたい時があります(二宮和也)
SFサスペンス映画なのだが・・・SFの部分で声を潜めるので・・・サスペンス映画のようなことになっている。
秘密の研究所の巨大モニターに・・・いかにもそれらしいデータが展開してもいいのだが・・・拡大/縮小されたDNA配列とか・・・操作もしてないのに何の意味があるのか・・・不明である。
DNA配列ですべてが決定しないのは・・・一卵性双生児を観察するだけで実感できる。
なにしろ・・・世界はコピーをはばむ刺激に満ちているのである。
まあ・・・映画はある程度・・・ゆとり向けにしなければならない宿命を負っているのである。
それでも・・・よくわからん・・・と言われる運命なのである。
無垢なツール同志のピュアな恋・・・そんなものでうっとりできるかよっ。
で、『日曜洋画劇場 特別企画・プラチナデータ(2013年公開)』(テレビ朝日20140323PM9~)原作・東野圭吾、脚本・浜田秀哉、演出・大友啓史を見た。物語世界は近未来の設定なのだが・・・いかにも現代調になっている。DNA万能と言う虚構が前提なのでもう少し、異世界感を出さないと・・・何言ってんの?・・・という率直な反応が出てしまうだろう。少なくとも脚本家はDNAについてもう少し勉強すると良いだろう。もう少し、セリフで上手く誤魔化さないと虚構が崩壊してしまうのだ。
遠くない未来・・・東京によく似た新世紀都市では相変わらずの猟奇的犯罪が勃発している。新世紀連続殺人事件で・・・被害者は肋骨を抜きとられている。新世紀警視庁捜査一課警部補の浅間刑事(豊川悦司)は無残な死体に瞑目する。
新世紀警察庁・特殊解析研究所ではDNA捜査システムのテストが行われている。主任解析員・神楽龍平(二宮和也)は「現場に残されたDNA情報から・・・容疑者を特定するテクノロジー」を開発したと断言する。
龍平の解析結果に従い、新世紀連続児童誘拐殺人事件の容疑者が特定され・・・浅間刑事は犯人を逮捕する。浅間刑事は自分が「ツール」になったような気になるのだった。
テストの成功により、新世紀国家では国民のDNAを登録するデータ・ベース法が成立する。
国民はDNAレベルで管理され、犯罪は抑制されるはずだった。
しかし、「肋骨消失連続殺人事件」の容疑者のDNAは未登録であり・・・該当者なしのためにNF(NOT FOUND)13と名付けられる。
そんなある日、新世紀大学病院VIP専用フロアでサヴァン症候群患者の蓼科早樹(水原希子)が殺害され肋骨を奪われる。彼女は優秀な数学者でDNA捜査システムの開発者だった。
浅間刑事は龍平に事情聴取し、「彼女は優秀なツールだった」という龍平の冷静な態度に不信感を募らせる。
しかし、現場に残されたDNAから容疑者として龍平が浮上する。
身に覚えのない容疑に龍平は失踪する。
新世紀警察庁特殊解析研究所所長・志賀孝志(生瀬勝久)はDNA捜査システムと国民監視システムを組み合わせた新世紀捜査システムで龍平の追跡を開始する。
新世紀大学病院の脳神経科教授・水上江利子(鈴木保奈美)を事情聴取した浅間刑事は「龍平が二重人格であったこと」を確認する。
龍平のもう一人の人格・リュウが早樹を殺したのか・・・しかし、浅間刑事は直感的に龍平が犯人であることに違和感を覚えるのだった。
日系アメリカ人でDNAプロファイリング研究者の白鳥里沙(杏)は龍平の逃亡を援助する。
「なぜ、僕を助けるのか」
「DNA捜査システムには重大な欠陥がある・・・蓼科早樹はその欠陥に気がついて補完プログラムであるコード・ネーム・モーグルを完成した形跡がある」
「・・・」
「私は・・・それを入手して・・・システムを完成させたい」
「新世紀米国政府に持ち帰りたいの間違いだろう・・・君はスパイだな」
「私たちの利害は一致していると考える」
「つまり・・・共通の敵はNF13ということか・・・」
龍平の追跡中に浅間刑事は上層部に新世紀的陰謀があることを嗅ぎつけ、龍平に取引を持ちかける。
端末で癒着する刑事と容疑者の共同作業である。
リュウは恋人の蓼科早樹から預かったモーグル・プログラムを肖像画の中に隠していた。
特殊解析研究所に侵入した浅間刑事はDNA捜査システムにモーグル・プログラムをインストールする。
DNA捜査システムには一部特権階級のデータ(プラチナ・データ)をリンク不能にするシステムがあらかじめ組み込まれていたのだった。
モーグルはそれを無効にするプログラムだったのである。
たちまち特定されるNF13・・・それは水上教授だった。
あわてて・・・水上研究所に向かう浅間刑事。
しかし・・・先着したのは龍平だった。
「なぜ・・・早樹を殺したのです」
「あの子は・・・私に逆らったのよ・・・ママに逆らうなんて悪い子だと思わない?」
「殺す必要はなかったでしょう」
「大丈夫・・・あの子の遺伝子は保存してある・・・肋骨と一緒にね」
「それで・・・」
「たとえば・・・あなたの遺伝子とかけあわせれば・・・素晴らしいツールができあがるわよ」
「僕も・・・ツールだったのですね」
「そうよ・・・私の作った子供たちは・・・みんな優秀なツールですもの」
「あなたは狂ってますよ」
「そんなことはないわよ・・・もし狂っているとしたら・・・それは神様が悪いの・・・アダムの肋骨でイブを作ったりするから・・・女はみんな不完全なものになるのよ。だからママはツールを作ってそれを補完するの・・・」
「僕も殺すんですか」
「そうね・・・あなたは・・・半分悪い子だから・・・」
「その拳銃・・・安全装置がかかったままです」
「あら・・・」
母と子はもつれあった。
銃弾を受けたのは母の方だった。
「神様の意地悪・・・」
「・・・」
放心した龍平を浅間刑事が確保する。
「君はどっちだ・・・」
「僕たちは一つになったんです・・・」
「そうか・・・」
新世紀警視庁捜査一課の那須課長(中村育二)が現れる。
「ひとつだけ・・・言っておく・・・」
「なんですか?」
「君たちは知りすぎた」
那須は拳銃の引き金を二度引いた。
「新世紀ニュースです・・・連続殺人事件の容疑者・神楽龍平が警官との銃撃戦の末、死亡しました。なお、この事件で・・・浅間玲司警部補が犯人の銃弾を受けて殉職しています・・・」
新世紀にひっそりと夜の帳が下りる・・・。
おい、新世紀的に結末が・・・まあ・・・いいじゃないか。どうせ新世紀B級SFサスペンスなんだもの。
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