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2014年3月 2日 (日)

異次元よりの使者と第二のなぞの転校生はじめての登校そして幻の妹の余命宣告(杉咲花)

次から次へと繰り出されるSFジュヴナイル的官能の宴。

妄想を好むものには限りない恩恵が与えられ、そうでない人にはなんのこっちゃの連続。

仕方ないのだ・・・体育館よりも図書館に棲息するもののための祭典なのである。

受験に必要な知識にはなじめないのに妙なことに興味を持つもののための副読本なのだ。

まさに・・・わかるやつだけにわかればいいドラマになっている。

もちろん・・・原作はひとつのルーツである。

ルーツを原点としてはるかに進化したアイテムは満ち溢れている。

ライトノベルからコミック、映画、ゲームまで・・・時には絶妙に、時には深淵に・・・子孫たちは繁殖している。

そうしたものからのフィードバックも重ねて万華鏡のように花開く・・・2014年の「なぞの転校生」・・・。

まさに・・・他の追随を許さないのだった。

うっとりするよね。

で、『・第8回』(テレビ東京201403010012~)原作・眉村卓、脚本・岩井俊二、演出・長澤雅彦を見た。公式に用語解説があるわけだが・・・注釈付とそうでないものがある。この記事を作成中に・・・「プロメテウスの火」は未解説である。「平行世界」については山沢典夫(本郷奏多)の語った言葉として宇宙の波動構造によって生じた平行世界がいくつも存在していることが言及されている。すでに明らかになっているのは次元移動を可能としたD-1世界の住人が知的物質モノリスを利用することにより次元旅行を可能としていること。典夫がいた世界がD-8世界と呼ばれ、岩田広一(中村蒼)や香川みどり(桜井美南)が暮らす世界がD-12世界と呼ばれていること。そして・・・D-12世界には組曲「惑星」(ドラマでは「金星、平和をもたらす者」を主題とする)グスターヴ・ホルストは存在するが、フレデリック・フランソワ・ショパンは存在しない。つまり・・・D-12世界はお茶の間のあるこの世界ではないことなど・・・多数である。

D-8世界の科学技術は・・・D-12世界を遥かに凌駕しているらしい。

しかし・・・D-8世界は何故か滅亡しかかっているのだった。

ヒューマノイドという人間ではない何者かである山沢典夫が先兵として転送され・・・受け入れ準備を整えた時・・・放射能障害に冒された王妃(りりィ)と孫のアスカ姫(杉咲花)、そして王家に仕えるアゼガミ(中野裕太)とスズシロ(佐藤乃莉)がD-12世界に到着する。

彼らの目的はD-12世界における・・・王家の復興だった。

しかし・・・脱出に際して充分な準備を果たせなかった彼らは・・・物資の不足という深刻な状態に直面していた。

D-8世界の混乱

「ゴリアドの紛争」(D-12世界のJP【日本】にあたるD-8世界の王家のあった土地で勃発した戦争)や「ガラテアのテロ」などによって破局を迎えたらしいD-8世界・・・。ちなみにゴリアドはお茶の間世界ではテキサスの開拓地で十九世紀に虐殺のあった土地であり、ガラテアは古代アナトリア【トルコ】の地名である。超小型強襲偵察機・マイクロリコンにより核兵器攻撃が行われ、王妃は重篤な放射線障害を受けたらしい。しかも、医療技術が遅れているD-12世界では治療が困難という状況である。

D-8世界から転送されてくる予定のDRS(DNA REPRODUCE SYSTEM=遺伝子再構築システム)が届かなければ手の施しようがないのだった。

忠実な下僕

王家の護衛官として調整されたヒューマノイド(人間タイプの人工生命体)のモノリオこと山沢典夫は・・・王女アスカ姫の無聊を慰めるために東西山高校への登校を推奨する。

D-8世界では長く続いた戦乱のために王女は学校というものを体験したことがなかったのだった。

ちなみにお茶の間世界の小説家・アーサー・C・クラークはD-8世界では科学者であり、D-8世界もまたお茶の間とは別の平行世界であることが暗示されている。

高貴な家柄に属するアスカ姫にとって庶民の通う学校そのものが異世界であり、例によってモノリスのマギ(高度な人格操作)によってコントロールされた寺岡理事長(斉木しげる)の転校生・九条アスカの超法規的転入手続きは在校生一同に違和感をもたらす。

「自己紹介を・・・」と担任の大谷先生(京野ことみ)に指示されたアスカは・・・生徒一同に自己紹介を促すのだった。

「それは・・・休み時間にやってね・・・ええと・・・席は・・・」

天衣無縫な王女は教室最前列に用意された副担任用の補助席に自主的に腰かける。

「いや・・・そこじゃなくて・・・」

モノリオにエスコートされたアスカは腕を組んだまま着席し、女子生徒の反感を買うのだった。

そして・・・岩田広一にさりげなく触れ、親愛の情を示すアスカだった。

なぜなら・・・平行世界に存在しがちなアイデンティカ・・・異世界にありながら同一な存在として・・・D-12世界の岩田広一は・・・D-8世界ではアスカの婚約者・ナギサだったのである。

遺伝子レベルでナギサにそっくりさんの岩田広一は・・・突然変異でナギサにシンクロしている存在である。

そして・・・アスカは・・・岩田広一の亡き妹・岩田あすか(立川杏湖)のアイデンティカだったのである。

岩田広一は・・・幼くして死んだ妹が成長した姿の夢を見るのだが・・・アスカは・・・夢で見る長じた妹にそっくりだった。

D-8世界 アスカの許嫁の王族ナギサアスカ姫

D-12世界 岩田広一広一の妹あすか

同じ遺伝子を持ちながら・・・関係が異なるのが平行世界の醍醐味である。

もちろん・・・二人の間には近親相姦萌えが介在するのだった。

一瞬で二人の間に生じた何かに勘づく香川みどり。

みどりはモノリオに転校生萌えしているのだが・・・それはそれ・・・これはこれである。

自分がモノリオに奪われるのはいいが、広一をアスカに奪われるのは許せない女心が発動するのだった。

異物に対する反感を募らす2年3組の生徒たち。

アスカは我関せずで授業中も自由な発言を展開する。

「なぜ・・・教科書にのっている数式について教師が説明するのだ」

「この者たちは数式だけでは理解できないのです」

「なんと・・・愚かなこと」

「源氏物語の一部だけを抜粋してなんとする」

「私たちは源氏物語のなんたるかを受験のために学んでいるの」とみどりのクラスメートである愛(宇野愛海)が反発する。

「源氏物語を学びたければ源氏物語を読めばいいではないか」

「・・・」

「そなたは源氏物語を読んだのか」

「あのね・・・学校は勉強だけをするところではないのよ」とみどり。

「他に何をするのだ」

「友達を作ったりとか」

「それにしてはクラスの者どもは敵意に満ちているようだ」

「・・・」

アスカの意外な感受性に驚くみどりだった。

その時、モノリオがモノリスに着信があったことを告げる。

「DRSが到着するようです」

「それでは・・・お祖母さまの手術が・・・」

「到着次第・・・着手します・・・拠点に戻らなければなりません」

「私も戻る・・・」

授業を抜け出す二人に大谷先生は驚く。

「あなたたち・・・どこへ行くの・・・」

「祖母が危篤になり・・・緊急手術が行われることになったのです」

「・・・」

とまどうD-12世界の教師と生徒を残し・・・異邦人たちは去って行った。

関係を修復する幼馴染たち

香川みどりは混乱していた。

せっかく花を届けて近づこうとしたモノリオの素っ気ない態度。

そして・・・異様な関係を思わせるアスカの登場。

心の平安を求めて・・・みどりは・・・放課後のSF研究会部室を訪ねる。

「ねえ・・・彼らは大丈夫かしら・・・」

「大丈夫もなにも・・・あいつら・・・変過ぎるだろう・・・」

「変・・・」

「そうだよ・・・転校生の最初の言葉を覚えているか・・・この世界のことを勉強したいって言ったんだぜ」

「それは・・・転校してきたから」

「世界ってなんだよ・・・あいつら・・・宇宙人かもしれない」

「・・・」

「おかしなことを言ってるって思うだろう・・・でもさ・・・原因不明の家畜の大量死・・・キャトルミューティレーションなんて例もある・・・宇宙人がもしいるとしたら・・・あんな連中こそがふさわしい」

「ふふふ・・・そういう話が聞きたかったんだ」

「え・・・」

「ムーくんがそういう話をするのってなんだか・・・安心できる」

「じゃ・・・可笑しい話ついでに聞いてくれ」

「何・・・」

「ほら・・・成長した妹の夢を見るって話をしたことあったろう」

「うん」

「そっくりなんだ・・・新しい転校生・・・夢で見る妹に・・・」

「・・・」

顔を見合わせる幼馴染の二人だった。

異次元よりの使者

D-8世界の侵略拠点となっている江原老人(ミッキー・カーチス)の部屋がある集合住宅の屋上にモノリオは待機している。

やがて・・・異次元回廊が開き、DRSプログラムの搬送者が到着する。

「ようこそ・・・D-12世界へ」

「追手がかかっている・・・回廊を閉じるだけでなく・・・DE-DW(次元包囲)を反転させてくれ・・・追尾を迷走させるんだ」

「了解した」

モノリオは内蔵している機能で処置を行った。

「完了した・・・」

「これが・・・DRSプログラムだ・・・お前めがけて転送されるので・・・お前が同期して執刀を行えばよい」

「ただちに・・・手術を開始する」

「俺は・・・少し休みたい・・・この場で待機していいか」

「了解した」

搬送者は負傷しているようだった。

空を見上げる搬送者。

「ここは・・・美しい世界だな」

「夜になれば・・・星も見える」

「星か・・・私は政府による遺伝子操作人間だ・・・オーファネージ(孤児院)18の出身だよ・・・仲間たちにも・・・これを見せてやりたかったな」

「君は・・・」

「私が最後の一人だ・・・」

「・・・」

モノリオは搬送者を屋上に残し・・・拠点に戻った。

バイオアプリ、ヒューマノイド、マギ、そしてオーファネージ18・・・D-8世界の文明はやや能力至上主義への傾きを感じさせる。

マギに支配された現地医師の伊達坂(並樹史朗)が立ちあって王妃の手術が開始された。

「これが・・・D-8世界の最先端医療・・・想像もつかないテクノロジーです」

モノリオは多数のモノリスを使用してDRSプログラムによる王妃の遺伝子再建手術を開始する。

「どうだ・・・」と経過をモノリオに問うアゼガミ。

「順調です・・・しかし・・・」

「なんだ・・・」

「予想以上にモノリスの消耗が激しいのです」

「・・・」

「質問があります」

「許す」

「王妃が被曝した時に・・・お二人はどちらに・・・」

アゼガミとスズシロは顔を見合わせる。

「我々も一緒だった・・・」

「では・・・あなた方も・・・」

「我々のことはどうでもいい・・・王妃様とアスカ様さえご無事なら・・・」

「なんですって・・・ではアスカ様も・・・」

「そうだ・・・」

「なぜ・・・もっと早く教えてくださらなかったのです」

「なぜだ・・・」

「モノリスのストックが底を尽きかけています」

「・・・」

「アスカ様を治療するために必要なモノリスがありません」

「なんだと・・・」

「アスカ様をお助けすることができません」

「馬鹿な・・・なんという失態だ・・・」

有能なモノリオに比べて人間である忠実な侍従たちは無能であるらしかった。

「搬送者に補給部隊について質問してください」

「それは・・・無理です」とスズシロ。

「いかがされたのです」

「あの者は・・・屋上で死にました」

「・・・」

君が僕の妹で、僕が君の許嫁

アスカは疲労した身体を休めていた。

「アスカ様・・・お疲れですか・・・」とスズシロ。

「今日・・・学校で私は・・・この世界のものたちを蔑んだ」

「・・・」

「結局、負け惜しみだな・・・」

「・・・」

「この世界のものたちは低い能力しか持たぬのになんとか・・・世界を維持している。それに比べて私たちは・・・私たちの世界を・・・滅亡させたのだから」

「アスカ様・・・王妃様の手術は長引きそうです・・・お休みになられては・・・」

「いや・・・私は・・・隣の部屋の岩田広一に会ってくる」

「・・・」

「この世界のナギサ様にな・・・」

岩田家には広一の父・亨(高野浩幸)が帰宅していた。

つけっぱなしのテレビからは「なつかしのヒーロー特集」というバラエティーショーが流れている。

「超人バロム・1は友情のバロムクロスで変身するんですよ・・・」

ドアのチャイムが鳴り、来訪者を妻の君子(濱田マリ)が招き入れる。

「広一・・・お隣のお譲さんが訪ねてみえたわよ」

広一は驚いた。

夫婦は息子に訪れた異性の訪問者に好奇心をかきたてられる。

広一は仕方なく自分の部屋にアスカを招き入れた。

「妹さんに・・・私は似ているかしら」

「何を言い出すんだ・・・急に・・・」

「そうね・・・失礼だったかしら・・・」

「・・・」

「実は・・・私には・・・許嫁がいたのです」

「イイナズケ・・・って」

「ナギサという名前で・・・あなたによく似ていたのです」

「その人は・・・」

「戦争で亡くなりました」

「そんな・・・」

「私のいた世界では長い間・・・戦争が続いているのです」

「中東の方かい・・・」

「ええ・・・まあ・・・」

「君は・・・確かに妹のあすかに似ているような気がする」

「偶然ですね・・・名前も一緒なんて・・・」

「・・・」

「私たちが出会ったのは・・・運命かもしれません」

「え・・・」

「今夜・・・この部屋に泊めていただけますか」

「ええっ・・・」

「父方の祖母の手術に・・・典夫がついているので・・・今晩はおじいさんと二人きりなのです・・・とても・・・心細くて・・・こわいのです」

「ちょっと待って・・・親に聞いてみる・・・」

事情を聞いた両親は即答で承諾するのだった。

「お前も・・・一緒に寝るのか」

「あなた・・・何言ってるんです」

「冗談だよお」

「ルロロロロ・・・ド~ルゲ~」

のどかな両親に対して広一は不安を隠せなかった。

部屋に戻るとアスカは目を閉じている。

広一はベッドを整える。

「泊っていいって・・・」

その広一の手にアスカの手が重ねられる。

「もう少し・・・傍にいてくれますか」

「・・・」

広一の鼓動は激しく脈打つのだった。

D-12世界の夜は更けていく。

みどりがモノリオが人間ではないことを知らないように・・・広一もアスカが余命いくばくもないことをまだ知らなかった。

アスカ姫は核兵器の放射線によって遺伝子レベルで損傷し、内側から蝕まれているのである。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

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コメント

眠たげなのか見下しているのか、そんなまなざしのほっぺたふっくらなクラスメートが二人もいるそんな学校に、私も行きたい(笑)。
(先生役は木村文乃希望)

やっとここまでたどり着きました。
第六話までは、これがキッド様の言われるように名作なのかどうかは判別ついていなかったのですが……やはりまだまだ修行が足りません。

投稿: 幻灯機 | 2014年4月26日 (土) 09時57分

movie✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪movie

このドラマのヒロインがD13世界の「山田太郎ものがたり」の美少女子役と遺伝子的に同じ存在であることが
何よりも気になるキッドでございます。

それはD14世界の「最後から二番目の恋」に長澤つぐみと遺伝子的に同じ人が出演していることと同じようなものですが・・・この世には秘すが花と言うことがありますのですなあ。

しかし・・・下世話で恥ずかしいことが好きなキッドは
どうしてもそういう秘密が苦手なのですな。

よいではないかよいではないかと思うのでございます。

なにしろ・・・下衆なのでございます。
悪魔ですからな。

まあ、デリカシーのかけらもないことこそ本質でございます。

そういう下衆の勘繰りもあわせて
美しくも儚いフィクションが繰り広げられる・・・。
この世はすべて夢のまた夢でございますれば・・・。typhoon

投稿: キッド | 2014年4月26日 (土) 18時40分

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友達を作る場所か。 それは面白い。 ならば、なぜそなたたちは私を無視したりして冷遇するのだ。 私はそなたらと友達になる必要はないが、そなたらの言っていることは 矛盾だらけで意味不明だ。 なぞの転校生 第8話    D12世界の紫外線はD8世界よりも遥かに強い。 面倒だな。 と言いながら、典夫に日焼け止めを塗らせる姫。 はい。こ...... [続きを読む]

受信: 2014年3月 5日 (水) 04時36分

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