あれからもう三年・・・災害ヘリ~映像は語る~知られざる大震災の記録~
休眠中だったキッドのブログを揺り動かした東日本大震災の発生・・・。
三年前の今頃は・・・その日が一週間後に迫っているとも知らずにのほほんとしていたわけである。
ああすればよかったとか・・・こうすればよかったとか・・・後で何かを考えたとしてもすべては後の祭りだ。
ほとんどの人間は何の憂慮もせずに・・・その日を迎えたことは間違いないのである。
もちろん・・・そういう兆しは千年前からあっただろう。
警鐘を鳴らしたものもあっただろう。
だが・・・実際に危機が来るまで・・・すべてはそんなに簡単には動かない。
せめて・・・そのことを思い出すことは大切だろう。
明日、こうなるかもしれない・・・それを忘れてはいけないのだ。
で、『NHKスペシャル~災害ヘリ~映像は語る~知られざる大震災の記録~』(NHK総合201403010915~)ナレーション・堤真一(他)を見た。経済大国を襲った未曽有の大災害である。そこにはある程度発達した報道システムによる映像記録が残される。たとえば空撮・・・あの日から三日間で投入されたヘリコプターはのべ四百機を超えたという。それらが上空から撮影した膨大な記録。編集するためにすべてを視聴するだけでどれだけの時間がかかるかわからない量である。とにかく・・・スタッフはそれらを見て編集してお茶の間に届ける。それが仕事だからである。
地震発生から間もなく、被害状況調査のために宮城県仙台市の東北方面通信群からは霞目駐屯地の本部中隊映像伝送小隊のヘリが発進する。他にも警察・消防・報道など八機のヘリが仙台付近から海上へ向かう。
過去の地震・津波被害からヘリは三陸海岸へ向かい北上する。
しかし、当日、三陸海岸は雪雲に覆われ、視界不良であった。
本部からの指示で仙台方面へと旋回する映像伝送ヘリ。
その映像は各地の災害対策本部に転送されていく。
地震の規模に対して仙台市内の被害状況は大きくないように見える。
建物の倒壊なし・・・火災発生なし・・・。
淡々と状況を伝える伝送隊員・・・。被害状況を報告するための訓練された自衛隊員である。
しかし・・・直後に川を遡上する津波第一波が観測される。
そして・・・視界に飛び込んできたのは大地を飲みこむ水流だった。
名取川の下流に向かうヘリはすべてを押し流していく海を見る。
海岸線そのものが陸に向かって進んでいく凄惨な光景。
「ただ今、名取川上空・・・なんだあれ・・・津波が・・・名取川を遡上して・・・あぶないな・・・うわあ・・・ただ今、名取川を津波が・・・畑を・・・うわあ・・・あ・・・あ・・・名取川上空・・・うわあ・・・津波が・・・うわあ・・・ああ・・・あああ・・・あ・・・・・・・・・・・」
被害状況を伝える訓練を受けた隊員が言葉を失う・・・圧倒的な光景。
各地から飛翔したヘリの乗員たちの誰もが茫然とする。
その中にはドラマ「あまちゃん」の舞台のモデルと言われる岩手県久慈市上空を飛翔するヘリもある。
「うねりを発見・・・波の高さは五メートル以上、波の高さ、五メートル以上」
気象庁は岩手県の津波警報で予想される津波の高さを三メートルと発表していた。
気象庁は午後三時十四分に「高さ六メートル」に変更、三時三十分に「高さ十メートル以上」に変更・・・しかし、すでに津波は三陸海岸に到達していた。
沿岸部の街はすでに水に飲み込まれている。
津波の波は一過性ではない・・・あふれだした水がすべてを覆い尽くし広がって行く。
次々と水に流される建物・・・船・・・車・・・そして人。
多くの犠牲者が出る中で・・・九死に一生を得たものもいる。
津波に飲み込まれる寸前、車で脱出した男性は・・・周辺の地形の僅かな高低差によって生じた津波到達の時間差によって・・・生き延びた。
それは・・・もはや運としか言いようのない状況である。
すぐ間近で押し流されて行く運のなかったものたちとの生と死の境界線。
俯瞰の映像はそれをまざまざと映しだす。
是も否もない。善も悪もない。神も仏もない。
人の世のことなど歯牙にもかけない大自然があるばかりである。
それでも・・・研究者たちは必死に克服への糸口を映像から探り出そうとする。
その滑稽な姿こそが・・・人間の魅力であるとも言える。
やがて・・・その時はその夜に移って行く。
都会では人々が帰宅のために路上にあふれている頃。
津波により、瓦礫に閉じ込められた人々に「津波火災」が襲いかかって行く。
停電も免れ、自宅にいたお茶の間の人々は・・・映し出される炎に息を飲む。
京葉コンビナートから気仙沼まで・・・東日本の海岸地帯は燃えている。
その原因はありとあらゆる可燃物によって引き起こされる。
各家庭のプロパンガス、車や船の燃料、そして大量の瓦礫。
爆発炎上した火災はたちまち街を炎上させる。
防火帯となるはずの道路にも瓦礫が満ち溢れ、火勢はおさまらない。
消化活動をしようにも道路は寸断され、消火栓もすべて瓦礫の下に埋もれている。
津波火災を止める手立てはないのである。
そして・・・生きながら焼かれる人々。
ヘリに出来るのは幼子を抱えたまま焼かれる母親の上空から地上を為す術なく映すことだけなのである。
悪夢の一夜が明けると・・・ヘリはようやく・・・捜索活動に移行する。
無残な光景を見下ろしながら生存者を求めて探索するへり。
孤立した集落には・・・人影さえ見ることができない。
絶望をかみしめながら・・・地獄の天空を彷徨う捜索へり。
そして・・・ようやく・・・病院の屋上などに点在する被災者を発見する。
「SOS・・・ミルク・・・オムツ」
被災者たちは叫んでいた。
三日目・・・ヘリによる救難活動が始る。
全国からヘリが続々と被災地に集まってくる。
しかし・・・すべては未曽有の出来事である。
現場は錯綜する情報に混乱する。
「同じ地区からの救難要請でも・・・それが重複なのかどうか・・・確認することは難しい」
結果として・・・無駄足を踏むヘリがあり、救難活動の遅滞によって命を失うものもでる。
それもまた・・・運命という他はない。
その無情な差は・・・今も続いている。
復興の光と影が差している。
それでも・・・生き残った人間は生きていく他ないのである。
まもなく・・・その日がやってくる。・・・“いのちの記録”を未来へ~震災ビッグデータ~・・・震災ビッグデータfile3 "首都パニック"を回避せよ・・・避難者13万人の決断~福島・突きつけられる現実~・・・震災3年~検証 復興計画~・・・あの日 生まれた命・・・被災者 こころの軌跡 ~遺族たちの歳月~・・・メルトダウン File4 放射能"大量放出"の真相・・・その日の情報を再検証する日々に黙とうする他はない。
関連するキッドのブログ→NHKスペシャル 3.11
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