« はてしない異次元のゾーンの向こうから風が吹いている(桜井美南) | トップページ | 孫子・軍争篇に曰く、圍師必闕・・・と軍師半兵衛(谷原章介) »

2014年3月30日 (日)

ひさしがみのお化けの森・・・じゃなくて花子とアンを待ちながら(キッド)

まいて・・・まいて・・・もって・・・もって・・・頭がでかい女たちのシーズンである。

近所の老舗の蕎麦屋の女将は昭和になっても平成までも・・・大正巻だった・・・。

だから・・・そういう定型としての女学生が登場するだけで・・・なんとなく・・・懐かしいし・・・そして子供の頃から思う・・・変な髪形という可笑しさに満たされるのである。

予告を見る限り・・・そういう楽しみを確保できる気がする「花子とアン」である。

アンと言えば・・・宮崎駿・作画、高畑勲・演出のアニメ「赤毛のアン」があるわけだが・・・アンのヘアスタイルと花子のヘアスタイルは全然違うと思う。

「流行」というものの禍々しさはやはり楽しいのだなあ。

アニメの底本は神山妙子版らしいが・・・本編の主役は最初の翻訳者の栄光に包まれた村岡花子である。

もちろん・・・「あまちゃん」のような毎日が呪いと化すレビューは避ける覚悟だが・・・「ごちそうさん」よりも魅かれるわけである。

いや・・・ごちそうさんも終盤ちょっとおもしろかったわけだが。

空襲のシーンが楽しかっただけだろっ。

・・・まあ、そうですが。

で、『連続テレビ小説・ごちそうさん・第1回~最終回』(NHK総合20130930AM8~)脚本・森下佳子、演出・木村隆文(他)を見た。息子を失った占領軍の将校に息子を失った女料理人がロースト・ビーフ丼をふるまう場面で・・・泣けてくるのは・・・美味しいものが食べられたら他に文句はないタイプの人間なのだと思う。怨みを忘れない人間も水に流す人間も耐えがたきを耐え忍びがたきを忍んでいるのだろう。このドラマの底には淡い怨みの念が沈んでいたような気がする。それは・・・大漁旗の下の魚のお葬式みたいなものだな。もちろん、かわいいこぶたを丸焼きにしてこそ・・・ストレートに笑えるわけだが、とんかつが食べられないトラウマを子供が抱えないように配慮する気持ちはわからないわけではない。まあ・・・見た目と違って実際には中年のおじさんとおばさんが数年ぶりに再会して燃える姿を想像するより楽しいと思うばかりである。

朝ドラマのヒロインというものは・・・女性のシンボルを示す必要があるわけだが・・・価値観の相違の時代に・・・なかなか誰もが自分を見出せる主人公の造形は難しい。

大分出来は違うが・・・二作連続おバカなヒロイン・・・見方によってはもう何作も連続してそうだぞ・・・に続いて、今度は少なくとも・・・インテリの人が主人公である。

しかも・・・幽かに「おしん」の香りもする。

おい・・・もう、「花子とアン」の話かよ。

だって、月曜日から始るんだぜ。

さて・・・冬ドラマでは孤児院のような施設を描いた「明日、ママがいない」がいろいろあったわけだが・・・「赤毛のアン」は孤児院そのものの出身の少女である。

「明日、ママがいない」ではもらってほしい親が男の子を欲しがっていることに苦悶する女の子(渡邉このみ)が登場するわけだが・・・つまり・・・原点なのですな。

アンも男の子を養子にするつもりだった「カスバートさん、カスバートさん、カスバートさん」の家にやってくるのだ。

ついでに言えば・・・アンが汽車を降りて・・・鄙びた駅でカスバートさんを待つ情景は・・・「あまちゃん」の北三陸鉄道のホームを彷彿とさせる。

つまり・・・ものすごく原点なのである。

この原点を日本に送りだした翻訳家の人生を・・・松嶋菜々子の「ひまわり」、岡本綾の「オードリー」などの演出家と「やまとなでしこ」や「ハケンの品格」の脚本家が描く・・・なんとなく・・・手堅い感じがするのだった。

とにかく・・・恒例のバトンタッチで杏からイチゴをもらった花子(吉高由里子)はもちろんのこと・・・その妹たち(黒木華・土屋太鳳)やその親友たち(仲間由紀恵・高梨臨)は魅力的なラインナップである。

そして・・・見逃せないのが・・・ヒロインの少女時代(山田望叶)である。

連続テレビ小説の幼少時代は一瞬のきらめきである。

「あまちゃん」はその技をある意味、封印していた・・・主人公の母の幼少時代はあります・・・凄みがあったわけだが・・・やはり・・・幼少時代は大切だと考える。

山田望叶は2004年度生れ組で・・・ここには芦田愛菜を筆頭に本田望結、谷花音、小林星蘭という強豪がひしめいているのである。

これを制しての朝ドラマヒロインの幼少時代を獲得しているのである。

これは見逃せないのだ。

・・・そこかよっ。

関連するキッドのブログ→ごちそうさん

|

« はてしない異次元のゾーンの向こうから風が吹いている(桜井美南) | トップページ | 孫子・軍争篇に曰く、圍師必闕・・・と軍師半兵衛(谷原章介) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ひさしがみのお化けの森・・・じゃなくて花子とアンを待ちながら(キッド):

» NHK朝ドラ【 ごちそうさん 】第145・146・147・148・149・150回 (最終回) 感想 [ドラマ@見取り八段・実0段]
『月』室井(山中崇)は蔵座敷に女性ファンを招きたいとめ以子(杏)に言う。 舞い上がる室井にあきれため以子は、東京の桜子(前田亜季)に連絡する。 『火』蔵座敷に来た室井のファン・路代(逢沢りな)は奇麗な女性だった。 べたべたする室井だが、突然そこに桜子が現れ、室井は慌てふためく。 『水』GHQが甲子園での野球大会の許可を取り消す。 野球について街頭取材をした希子(高畑充希)はモリ...... [続きを読む]

受信: 2014年3月30日 (日) 04時51分

» ごちそうさん 第150回(最終回)★悠太郎(東出昌大)が豚と帰還「とんだ最終回」 [世事熟視〜コソダチP]
連続テレビ小説「ごちそうさん」 第150回:最終回(3月29日) 最後の最後に至っても散漫な印象のエピソードでした。 些細なことだけど、最終回も香月(波岡一喜)には出番がなく、結局 波岡一喜は存在意義不明の「ちょい役」だったことが決定しました。 もう少し何らかの役割を果たすのかと思ったんですが、そんな計算尽くのドラマじゃありませんでした。 −◆− さて本編。 竹元教授(ムロツヨシ)が謎のフランス帰りの男(君沢ユウキ)を連れてやってきたので、お静さん(宮崎美子)が泰介(菅田将... [続きを読む]

受信: 2014年3月30日 (日) 10時10分

» ごちそうさんでした・・・ [あるがまま・・・]
朝ドラって半年間見続けるせいで、良くも悪くも終わる際には 何やら感慨深い気分になるものだけど、今回の場合は 最終週になった際にも、明日が最終回っていう前日にも、当日の朝にも なーんの感情もわいて来ず、「あぁ、終わるんだ」としか・・・(笑) 夕べ、じっくり最...... [続きを読む]

受信: 2014年3月30日 (日) 15時42分

» ごちそうさん (第150回 最終回・3/29) 感想 [ディレクターの目線blog@FC2]
NHK総合・連続テレビ小説『ごちそうさん』(公式) 最終週『とんだごちそう』【第150回 最終回】の感想。 なお、本作は2/25にクランクアップしたため、ざっくり且つ皮肉混じりで観ておりますので、楽しくご覧になっている人や細部に拘る人は、読まない方が良いです。 蔵座敷を訪れた竹元(ムロツヨシ)に驚くめ以子(杏)たち。その言葉に悠太郎を思う。泰介(菅田将暉)や希子(高畑充...... [続きを読む]

受信: 2014年3月30日 (日) 16時21分

« はてしない異次元のゾーンの向こうから風が吹いている(桜井美南) | トップページ | 孫子・軍争篇に曰く、圍師必闕・・・と軍師半兵衛(谷原章介) »