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2014年3月10日 (月)

織田信長様書状に曰く、藤吉郎連々不足の旨申すのよし、言語道断、曲事に候か・・・と軍師官兵衛(岡田准一)

織田信長は天正四年(1576年)に正三位内大臣に、天正五年(1577年)に従二位右大臣に任じられている。

その頃・・・羽柴秀吉の正室おねに手紙を認めているというのが・・・研究者たちをうっとりさせるわけである。

その真偽のほどを疑うのはなんだか野暮だと誰もが思うわけである。

しかし・・・桶狭間以来・・・信長の苦境をある意味で救ってきた秀吉一家は・・・信長にとって「特別」であったことは間違いない。

難攻不落の稲葉城攻めに功があり、絶体絶命の越前からの退却戦でも功があった。

次々と戦死する股肱の臣の中でしぶとく生き延びる秀吉に幸運の兆しも見出していたかもしれない。

だからこそ・・・わざわざ安土城まで愚痴を言いに来たおねの文言を聞いてやり、秀吉を諌める手紙まで書いたと想像するのは楽しいことだ。

「おねはますます美しくなってきた。禿鼠の秀吉にはもったいない女房である。秀吉がおねに不満をもらすなどということは金輪際あってはならない。信長がそう言っていると秀吉に伝えよ。だからヤキモチを焼くのはほどほどにするのがよかろうず」

光秀は・・・こんな男を殺してしまったのである。

魔がさしたんだなあ・・・。

それにしても妬の濃姫に「子供のできない私が悪い」と言ってしまうおねって・・・。失言にも程があるだろう。

ま・・・脚本家も魔がさしたんだろうな。

で、『軍師官兵衛・第10回』(NHK総合20140309PM8~)脚本・前川洋一、演出・本木一博を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。11行レビューキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!・・・しかも、今回は本作登場人物描き下ろしなし・・・まあ、世間の注目もビジュアル的に異相の福島リラ演じる架空の登場人物・お道に集まっているだけで・・・せっかくの合戦シーンも迫力ないことおびただしいですからねえ。というわけで今回は全く登場していない徳川家康シリーズ・北大路欣也(「江~姫たちの戦国」)ヴァージョン描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。「のぼうの城」までは行かずとも・・・せっかく母里太兵衛が千人斬り宣言してるのですから・・・十人くらいは殺戮してほしかったですなあ。なにしろ・・・天正四年~五年頃にあったというものすごく曖昧な英賀合戦なので・・・なんでもありなのに・・・半分、ホームドラマってどういうことなんでしょうかあああああああああああああっ。

Kan010 天正四年(1576年)1月、小寺官兵衛の主君にあたる小寺政職が権大納言兼右近衛大将という高位に上った織田信長に拝謁し臣下となる。しかし、前将軍・足利義秋は毛利支配圏にあって将軍家としての策動を続けていた。信長支配下にあった丹波国の波多野秀治が叛旗を翻し、信長と和解していた石山本願寺の顕如が再び挙兵したのである。越中を挟んで信長軍の柴田勝家と対峙することになった越後国の上杉謙信も本願寺と和解、信長と敵対する勢力となり、毛利・本願寺・上杉の同盟が確立すると各地の土豪たちにも動揺が生じる。瀬戸内海の制海権を握る毛利水軍は摂津国・石山本願寺に対する積極的な支援を開始したのである。播磨国における英賀城合戦はこのために長期戦となるのである。四月、石山本願寺に対し、信長は原田(塙)直政を司令官とし、丹波攻めの明智光秀、摂津国主の荒木村重などに包囲網を形成させる。しかし、五月、原田直政が鈴木重秀率いる雑賀衆の奇襲によって戦死、織田方の天王寺砦付近で激戦となる。織田軍は多数の死傷者を出しながら本願寺勢を撃退、佐久間信盛を新たに主将として石山本願寺包囲網を完成させ、兵糧攻めの体制となる。これに対し、毛利水軍は木津川河口からの補給戦を実施し、織田方の九鬼水軍を撃破。石山本願寺への物資補給に成功するのであった。この後、摂津・播磨を経由する毛利水軍と本願寺勢と織田勢力の小競り合いが続いて行くことになる。

姫路城には三木通秋に嫁いだ異母妹からの知らせが届いていた。

「英賀の浦に毛利の安宅船が現れたとな・・・」

姫路城周辺の水田は田植えの衆でにぎわっている。

主君・小寺政職とともに播磨に戻って以来・・・奇妙な戦が始っていた。

播磨国には毛利家の調略だけでなく・・・本願寺坊主による扇動が始っている。

美作国境の佐用城、上月城は毛利に下っている。

正室・光の姉が上月城主に嫁いでおり、小寺政職の側近である妻の実家・櫛橋氏が毛利贔屓なのも官兵衛にとっては苦しいところである。

しかし、黒田三代が土着し、育て上げて来た姫路周辺の武力は他を制しているために・・・櫛橋氏が結集しようとしている反織田同盟はまだ実りの時を得ていない。

それに対し、明石から室津にかけての海岸線には本願寺門徒の扇動が進行し、穏やかならぬ気配を示している。

さらに浦上氏の勢力の衰えとともに実力を失った姫路の西、龍野城周辺でも、城主・赤松広秀の求心力が弱まり、本願寺門徒が龍野円光寺住職・多田祐恵の元に結集し、一向一揆の気配を漂わせていた。

英賀城主の三木通秋も本願寺門徒である。

官兵衛は龍野攻めでは妹婿の三木通秋に苦境を救われたこともあり、気心の知れた間柄であったが・・・そこは戦国の世である・・・油断はならないのだった。

龍野からの本願寺勢力が英賀に合流すれば・・・城主さえもその流れに飲み込まれる可能性があった。

そもそも・・・民は力あるものになびくのである。

本来の播磨国の守護である赤松宗家に貢がず・・・守護代である小寺家に実力あればそれに貢ぐ。

それだけの話である。

極楽浄土を約束する一向宗を信じれば本願寺に貢ぐのである。

領主にとって一向宗はそれだけ厄介なものであった。三木通秋が城主自ら門徒になったのも・・・長いものに巻かれているのである。

そこに・・・本願寺と同盟を結んだ毛利水軍が加われば・・・不測の事態が起きかねない。

異母妹からの知らせはそれを案じたものである。

官兵衛は姫路城内の忍びの間に急いだ。

すでにそこには英賀の里に忍んでいた草のものからの報告を受けた栗山善助が控えていた。

「善助・・・どうだ」

「毛利水軍が押し寄せてまいりました」

「確かか・・・」

「英賀の浜に軍勢が上陸しておりまする・・・海上には安宅船と多数の関船が停泊しております」

そこへ井上九郎右衛門がやってくる。

「お召しですか」

「城へ軍勢を集めよ」

「御意」と応じると九郎右衛門は去る。

「さらに・・・」と善助が言葉を続ける。

「まだ・・・あるのか」

「龍野の草のものから・・・本願寺門徒が南下しているそうです」

「姫路ではなく・・・英賀へか・・・」

「おそらく・・・」と口をはさむものがある。いつの間にか善助の背後にはくのいちのおうまが控えている。「門徒衆は石山に向かうつもりではないでしょうか」

「なるほど・・・加勢か・・・」

「毛利水軍は・・・英賀で物資を補給し、ついでに門徒衆を石山まで運ぶ算段かと・・・」

「ならば・・・戦はなしか・・・」

「いいえ・・・」と反駁するものがある。

驚いて振り返った官兵衛はそこに神明尼の姿を見た。

「これは・・・神明尼殿・・・どうやって城にお入りになられた・・・」

「ふふふ・・・神明通力でございまする・・・」

「・・・」

「毛利の水軍の長は浦(乃美)宗勝と申す者・・・血気にはやっておりますれば英賀城の三木殿を焚きつけて姫路攻めを試みると思われまする」

「なんと・・・」

「その数は毛利衆が三千、門徒衆が千、英賀衆が千でおよそ・・・五千となりましょう」

「なるほど・・・姫路の五百と・・・御着の千をあわせて千五百の小寺勢に対してはなかなかの大軍ですな」

「いかがなされます」

「もちろん・・・攻めまする・・・出鼻をくじくは戦の常道・・・」

「偽兵の計でも用いますか」

「無用でござろう・・・速攻あるのみでござる」

「さすがは官兵衛様・・・武運をお祈りしますぞ」

気がつくと神明尼は消えていた。

「不思議なお人じゃ・・・」

「あの方・・・人でございましょうか・・・」と善助はつぶやいた。

神明尼の言う通りに浦宗勝は北上を開始し、英賀と姫路の中間点に陣を張る。

数を頼んだ毛利勢は姫路勢が籠城するものと決め込んで油断しきっていた。

しかし・・・すでに陣の中には神明党の忍びが入りこんでいる。

「聞いたか・・・姫路の官兵衛様は鬼神がついているそうだ」

夜襲にそなえた見張りのものに囁きかけるものがある。

「おえりゃせんのう」

「どんな鬼だ・・・」

「牛頭天王の生まれ変わりだとか・・・」

「おれも聞いたことがある・・・官兵衛様は・・・矢が刺さろうが槍で貫かれようが平気じゃと」

「おれは見たことあるぞ・・・腕をおとされた官兵衛様がその腕をひろってすげるところを」

「おそろしいのう」

ひそやかに交わされる言葉は夜の間に毛利勢に満ち満ちていく。

夜明け間近に霧が立ち込めると・・・無数の矢が陣に降り注ぐ。

「小寺衆じゃ・・・」

「敵襲じゃぞ」

すでに小寺勢は敵陣を取り巻いている。弓手たちは地形を利用し、移動しながら弓を放つために・・・周囲から矢を受けて陣内は混乱した。

そこへ陣太鼓が鳴り、法螺貝が吹かれる。

黒田の騎馬隊が陣内に乱入してきた。

「寝がえりじゃ・・・英賀衆が寝返った・・・」

「天狗じゃ・・・天狗がやってきた」

「逃げよ・・・逃げよ」

様々な声がわき上がり・・・上陸部隊は烏合の衆と化していた。

「ええい・・・引け」

目覚めたばかりの浦宗勝は悲鳴を上げて退却を命じた。

翌朝・・・補給を終え・・・石山応援の門徒衆を乗船させた毛利水軍は東へと去った。

城から去ってゆく毛利の軍船を眺め・・・英賀城の三木通秋はつぶやいた。

「なんのことはないのう・・・毛利の水軍は・・・うるさい門徒衆を連れ去ってくれに参ったようなもんじゃあ・・・」

正室である官兵衛の異母妹は微笑んだ。

関連するキッドのブログ→第9話のレビュー

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コメント

時代劇専門チャンネルにて
4月より月~金で「真田太平記」が
見れるという事に楽しみにしてる今日この頃

まさかここまでひどいとは思いませんでした

殺伐とした戦国時代の中で
栗山の恋愛話でほっこりする

みたいなのはわかるのですが

全体的にまんべんなくホームドラマが続くと

ほっこりもほっこりしませんわな

突っ込みどころ満載以前に

物語がつぎはぎばかりで
全然物語として面白くない


NHKの迷走は凄まじきこと火の如しです

投稿: ikasama4 | 2014年3月11日 (火) 00時55分

pencil✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥pencil

今や視聴するものにことかかない時代でございますからねえ。

「真田太平記」なつかしゅうございますな。

そういう時代の大河ドラマ・・・。

バラエティーに富んだ内容にしたい気持ちが
軽くて薄い感じになっておりますようで。

今回はついにセリフも明らかに
常軌を逸しておりましたからな。

主題とも言える「信長からおねへの手紙」にまつわる部分で
聡明なおねが・・・子供ができないことを
子を為していない主君の正室に
あのような言葉で伝えることはまずありえないでしょう。

こっそり・・・脚本協力がクレジットされてましたが
書き下ろせない脚本家に書き下ろさせてはダメなのですな。

クロカンものには原作多数あるので
しっかりと主軸を据える戦略の方が
よかったのではと愚考いたします。

押し寄せる門徒衆との死闘こそ
モブシーンの見せ場なのに
クラス対抗球技大会のような戦場の閑散さが
ものすごく残念な感じです。

三木城の歯切れの悪さなども
早馬の伝令や使者の表情など
ムードの演出がないので・・・
スカスカなんですな。

太兵衛が大言壮語したからには
それなりの獅子奮迅を見せてくれないとねえ。

百姓たちが村長に応じるシーンや
笛吹けば民が踊るような熱気の演出も欲しいもの。
侍女たちももう少し大量動員されなければ
速攻が伝わりませんよねえ。

そういうディテールがあってこその
勝利の後のラブロマンスなのでございます。

本願寺門徒と毛利の同盟の
底の浅さとか・・・
地元の三木氏と遠征軍の浦氏の連携の悪さとかを
描くだけで
物語は重厚になるのに・・・
もったいないことこの上なしですな。

うわあ・・・凄いものみたなあ・・・
そんな大河ドラマが見たいのですな。
「平清盛」とは言いませんが・・・
せめて「八重」レベルは死守してもらいたいのでございまする。お茶の間の心が動かざること山の如し・・・なのでは~typhoon

投稿: キッド | 2014年3月11日 (火) 03時25分

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