私の頭の中の銃弾~BORDER~(小栗旬)
「ノーコン・キッド〜ぼくらのゲーム史〜」の高野文美(波瑠)は波瑠史上最高に魅力的だったわけだが・・・このドラマの波瑠も相当に美しい。
それだけでも十分に視聴に耐えうるのだが・・・無駄のない展開・・・スタイリッシュな映像・・・そして・・・死んだ人間が犯人を指さすというオカルト展開・・・すべてが好みである。
まだ・・・裏のやたらと豪華なナニを見ていないのだが・・・キッドは「ダブルフェイス」を全く面白いと思わないのでとりあえず・・・今回はこちらをレビューしておく。
ナニの方は面白ければ・・・どこかで生き残るかもしれないが・・・春ドラマは本当にタイトなのである。
少なくとも・・・これだけ・・・「死者の言葉」を直接聞いてしまうと・・・「SMOKING GUN・・・」は谷間の彼方に消えることは確実となった。
で、『BORDER・第1話』(テレビ朝日20140410PM9~)原案・脚本・金城一紀、演出・橋本一を見た。犯罪捜査が好きで・・・家でのんびりするより・・・殺人事件の現場に呼び出されることで思わず微笑む主人公・・・警視庁捜査一課の石川安吾刑事(小栗旬)・・・彼は現場につくと・・・鑑識の仕事が終るのを待つ間・・・現場周辺を捜索する習慣を持っている。交番勤務時代に犯行現場に戻った犯人を逮捕した経験がそうさせるのだった。しかし・・・今回の凶器は拳銃。間抜けだったのは・・・犯人ではなく・・・石川刑事だった。
謎の二人組に頭部に銃弾を撃ち込まれた石川刑事は・・・生死の境を彷徨う。
心肺停止・・・そして電気ショックによる蘇生。
頭蓋骨を突破した弾丸は頭の中に螺旋を描いて侵入し止まった。
頭の中に弾丸を残したまま・・・回復する石川刑事。
それ以来・・・彼には死者の幻覚が生じるようになったのだ。
現場に復帰した石川刑事を・・警視庁捜査一課第二強行犯捜査・殺人犯捜査第4係第一班の班長・市倉(遠藤憲一)は優しく、ライバルの立花刑事(青木崇高)は熱く出迎えるが・・・休養中に・・・警視庁刑事部・特別検視官に新たに比嘉ミカ(波瑠)が着任していた。
事件現場の裏手で・・・石川刑事と比嘉検死官が遭遇する。
「何を見ていたのですか・・・」
「犯人が見ていたかもしれない・・・あの窓を・・・あなたは何を見ているの」
「・・・」
「タメ口でいいのよ」
「脳に損傷を負った人間は幻覚を見るようになったりしますか」
「頭の中に銃弾があれば・・・今、死んでもおかしくない。幻覚なんて見たっておかしくないわ」
「ありがとうございます」
被害者は・・・若々しい夫婦と幼い息子の三人。残忍な犯罪だった。
しかし・・・被害者の爪はなんらかの理由で切られていた。
その証拠隠滅の手口は沈着冷静だった。
「靴跡からも犯人は二人組と見られます」
やがて・・・捜査線上に夫婦が入信していた新興宗教の教団員が浮かび上がる。
その団体と夫婦には脱退を巡るトラブルが発生していたのだった。
玄関先で夫婦と口論する二人組の教団員が目撃されており・・・捜査員たちは色めきたつ。
しかし・・・被害者は石川刑事に語る。
「あの二人じゃありません」
「じゃ・・・誰に殺されたんです」
「近所の若い男です・・・保険の外交員をしている母親と二人暮らしの・・・」
「証拠は・・・」
「抵抗した時に彼の頬を引っ掻きました」
「だから・・・爪を切ったのか・・・」
「灯をつけて彼は言いました・・・もったいないからよく見ておかなくちゃと」
「・・・」
石川刑事は単独捜査をして・・・若い男(小柳友)と母親(清水美砂)の共謀を疑う。
犯行時間のアリバイを証言しているのは・・・母親だったのだ。
若い男は被害者の妻のストーカーだった。
しかし・・・捜査線上に若い男は浮かびあがらない。
そこで石川刑事は・・・情報屋の赤井(古田新太)を使い、「若い男を見た」というホームレスの目撃証言をでっちあげるのだった。
捏造された情報により本格的な捜査が開始され・・・コンビニで軍手を買っている母親の監視カメラの映像が発見されて母子のアリバイは崩れる。
「私は死にかけたことがあります・・・心臓が止まる前に・・・私の思いは懐かしい思い出に彷徨ったり・・・苦しみからの解放に安らいだりはしませんでした・・・ただ何か恐ろしいものに捕まる恐怖だけが・・・私を苦しめていたのです。この親子は大切なものを奪われました」
石川刑事は犯行現場の写真を見せる。
苦悶に歪む母親。任意の事情聴取をする喫茶店の外を幼い子供と母親が通りすぎる。
最後に石川刑事は・・・親子三人の楽しそうなスナップ写真を見せる。
「この人たちはもう笑顔になれないのです」
「私が・・・あの子に頼まれて・・・爪を切りました」
アリバイが崩れたにもかかわらず・・・逮捕された若い男は禍々しい態度を崩さない。
「証拠があるのかよ」
別室で取調を見守る比嘉検死官は・・・石川刑事が何もない空間を見つめているのに気がついた。
「何を見ているのかしらね」
取調室の石川刑事は被害者の少年が犯人を指さすのを見た。
「僕を殺したのはその人です」
石川刑事は犯人を見た。
「何を見てるんだ・・・」
「もったいないからよく見ておかなくちゃ・・・と思ってね」
怯む犯人。
「被害者の少年はおたふくかぜをひいてたんだ」
「・・・」
「ほら・・・君の頬が腫れてる」
「・・・」
「いいかい・・・おたふくかぜのウイスルにも固有の遺伝子型があるんだよ・・・返り血をあびて感染したのさ・・・君は・・・それが・・・君が犯人である証拠だよ」
「くそっ・・・」
犯人は犯行を自供した。
「あいつ・・・なんだか変わったな・・・」と立花刑事。
「生まれかわったのさ・・・」と市倉班長。
無念の思いが晴れた被害者たちは消えた。
どこかに消えたのか・・・ただ見えなくなってしまっただけなのか・・・それは石川刑事には分からなかった。ただ・・・殺人現場に行けば・・・新たな死者が佇んでいるのだった。
石川刑事は現状に不満はなかった。
被害者と話せるなら・・・殺人事件は解決したも同然のように思える。
しかし・・・本当にそうだろうか?
その答えは・・・石川刑事がこれから物語ってくれるのだろう・・・。
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