ゆとりの満喫を許さないブラック・プレジデント(沢村一樹)VSサイレント・プアの沈黙を許さない女(深田恭子)
結局・・・VSシリーズかよ。
対極にありながら・・・できる男とできる女の対決だからな。
「お金がすべての前提にたってその先を見つめる男」と「とにかく限られた予算を乗り越えるのは気持ちの問題だと言う女」・・・どちらも並みの人間ではないんだよな。
つまり・・・超人の物語である。
一人の超人がいれば・・・普通の人々なんか倒壊したビルの下敷きになって文句も言えないのが普通だからな。
で、「黒社長」はそれをコメディー化するつもりだし、「沈黙貧乏」はヒューマン・ドラマとして描く。
文句のつけようのない展開である。
社長の周囲には黒木メイサ、国仲涼子、壇蜜、門脇麦、高月彩良をちりばめて来た。
コミュニティソーシャルワーカーは弟子に桜庭ななみを配置である。
どちらかを選べと言われても無理なのである。・・・そういう根拠なのかっ。
で、『ドラマ10・サイレント・プア・第1回』(NHK総合20140408PM10~)脚本・相良敦子、演出・伊勢田雅也を見た。コミュニティソーシャルワーカー(CSW)はかなり、馴染みの薄い職種で・・・ほとんどフィクションの存在と言えるかもしれない。そもそもコミュニティー(共同体)という言葉からして曖昧だ。コミュニケーション(意志疎通)を考えればそもそもコミュニティーは意志疎通を前提とした社会組織の単位と考えられる。となりの部屋の住人の顔も知らない都市では・・・コミュニティーそのものが成立しないのである。
しかし、社会というものが存在するという信念に従えば・・・それを維持することは必要不可欠な事象になる。国家社会が存在する以上、地域社会も存在しなければ困るわけである。
たとえば・・・警察に爆弾を仕掛ける犯人などは・・・そういう社会から逸脱した人間である可能性がある。
コミュニティーが成立し、意志疎通すなわち相互監視の行き届いた社会なら「となりの息子さん、部屋で爆弾作ってるんですって」という噂がしかるべき公的機関に伝達されるのだ。
つまり、コミュニティ・ソーシャルワーカー(CSW)とはテロ抑止の手段なのである・・・おいっ。
個人的見解はさておき・・・人々を幸福にするための努力には際限がない。
そこで公的機関は・・・民間の善意による奉仕に頼る側面がある。
江東区でも墨田区でもない東京の下町の江隅区(架空)では区役所の福祉課が法人である社会福祉協議会と連携して地域社会の福祉の充実を模索している。
しかし、住民の不満や苦情は絶え間なく、予算にも人員にも限りがあるのである。
そこで・・・その切り札として登場するのがコミュニティ・ソーシャルワーカー(CSW)という怪しげな職種なのである。
公的機関の可能な援助と・・・地域住民の相互扶助(奉仕活動的な助けあい)をコーディネイトするのがその主任務である。
もう・・・漠然としすぎていて・・・何する人なのか・・・不明ですが・・・現代社会というものがそういう曖昧なものを求めている時代だということなのである。
まあ・・・そもそも・・・火事が起きるとどこからかやってくる消防車とか、事故が起きるとどこからかやってくる救急車とか、人が殺されているとどこからかやってくるパトカーとか・・・この社会には不思議な事象が多いわけである。・・・おいっ。
とにかく・・・ゴミ屋敷があり、周辺住民が「異臭が凄い」「衛生的な問題がある」「なんとかしてくれ」と言う住民が区役所に苦情を言うと・・・山倉祐一(北村有起哉)福祉課長によって社会福祉協議会にたらいまわしにされ・・・受け付けた上司の近藤(モロ師岡)の依頼によって実働七年のコミュニティ・ソーシャルワーカー・里見涼(深田恭子)とその後輩・三輪まなか(桜庭ななみ)が出動することになるのだった。
「ゴミ屋敷ですか・・・どうしますか」
「とにかく現場を見てみましょう」
悪臭漂うゴミ屋敷。
「息が詰まります」
「呼吸を止めるの」
「死にますよ」
「匂いなんてないと信じるのよ」
「できません」
「しょうがないわね・・・監視しましょう」
「ゴミを処理するわけにはいかないのですか」
「ゴミ所有者がそれをゴミと認めないとね」
周辺の調査により浮上するゴミ屋敷の老女(香川京子)の悲しい人生。
夫に先立たれ・・・息子に先立たれ・・・三年前から鬱状態になり・・・ゴミを処理できなくなってしまったのだった。
「これ・・・精神科の医者の領域ですよね」
「本人が精神病と認めなければ精神病は存在しないのよ」
「じゃ・・・どうするんです」
「あの屋敷には立派な栗の木があるわ・・・栗の木の精霊に頼るしかない」
「てーっ」
里見は・・・老女が幸福だった時代に栗ご飯を作った思い出を探り当て・・・ゴミ屋敷に乗り込むのだった。
「一緒に栗ご飯を作りましょう」
「栗・・・ご飯・・・」
悲哀に呪縛されていた老女はその一言で正気を取り戻すのだった。
ゴミ屋敷の存在に途方に暮れていた地域住民も根は善人である。
無料奉仕で・・・ゴミの片づけに参加するのだった。
やがて・・・美味しい栗ご飯が・・・出来上がる。
「わかりますか・・・」
「わかるわ・・・息子は・・・栗の木に宿っていたのね」
「そうです・・・今も見守っていますよ」
こうして・・・街に平和が戻ったのだった。
「どうして・・・栗の木に息子さんの霊が宿っていたのがわかったんですか」
「悲しみには原因があるの・・・」
「先輩の原動力は・・・まさか・・・」
「私は・・・昔失くしてしまったものを・・・捜しているの」
「見つかるまで捜し続けるタイプなんですね・・・」
町にはコミュニティソーシャルワーカー里見涼を讃えるカラスの声が響き渡る・・・。
今や・・・地域社会は・・・スーパーヒーローを必要としているらしい。
関連するキッドのブログ→父に奏でるメロディー
で、『ブラック・プレジデント・第1回』(フジテレビ20140408PM10~)脚本・尾崎将也、演出・三宅喜重を見た。一部上場のアパレル会社のいい年したワンマン社長・三田村幸雄(沢村一樹)が・・・何故か一流とは言えない大学の経済学部の入試に合格し、せっかくなので経営学について冷やかし始めるという流れである。キッドも時々、いい年しているのにまだ大学に通っている夢を見るが基本的に現実逃避である。ただし・・・三田村社長は専門学校出身の服飾デザイナーあがりであり、大学生になったのは初めてらしい。人間は一種の情報処理装置であるから・・・問題解決能力にも一定の枠組みがある。経営者ととしてのエキスパートである三田村は・・・圧倒的に未熟な学生や、経験値の低い研究者から刺激を受けながら・・・進化した携帯ツールを使いどこでも経営者を展開するという趣向である。基本的に周囲を見下したポジションに位置するために主人公に感情移入すれば擬似優位性を堪能できるのだ。
さて・・・「結婚できない男」の大成功から一転・・・なかなか成功しない脚本家は自己模倣に突入である。
「結婚できない男」を視聴した人なら誰でも気がつく・・・このドラマとの相似性。
主人公・・・プロフェッショナル。自分の仕事に自信を持っていて譲れない哲学がある。
「結婚できない男」は個人経営の設計事務所だったが・・・こちらは新興の巨大アパレル企業「トレイン(トレスフィールズインターナショナル)」の経営者になっている。
「結婚できない男」はライバルのブログの更新を絶えずチェックしていたが、こちらでは巨大掲示板「ブラックチャンネル」をチェックしている。
「結婚できない男」は犬のケンちゃんを心の友にしていたが・・・こちらはお掃除ロボットに「よしおくん」と名付けて癒される。
「結婚できない男」は口うるさい母(草笛光子)とお節介な姉妹(三浦理恵子)がいてこちらにも口うるさい母(白川由美)とお節介な姉妹(青木さやか)がいる。
「結婚できない男」には優秀な部下の男(塚本高史)と女(高島礼子)がいたが、こちらにも優秀な部下の男(永井大)と女(国仲涼子) がいる。
「結婚できない女」にはグラマーな主治医(夏川結衣)がいてこちらには女医(壇蜜)がいる。
ただし、恋(があるとすれば)の本線は城東大学講師の秋山杏子先生(黒木メイサ)だろう。
秋山先生は経営者の必要な資質として「ビジョン(見通し)がありそれを表現できること」「世界に対する情報収集能力」「部下に対するデリカシー」「組織を把握する能力」などを講義し・・・三田村社長は自分には欠けていることばかりと謙遜するが・・・本心は「机上の空論」を振りかざす小娘と侮っている。
「大儲けできる理論を研究してください」
「経営はお金を儲けることがすべてではありません」
・・・失笑である。
しかし・・・三田村社長は秋山先生の無垢さに憧れる気配はなきにしもあらずで・・・秋山先生も三田村社長の実践者としての存在感に明らかに魅かれているわけである。
城東大学の映画研究会「アルゴノーツ」があり、そこにはゆとり世代代表の女子大生の岡島百合(門脇麦)がいる。これは「結婚できない男」の隣の部屋の女の子(国仲涼子)にあたる。
「結婚できない男」の恋のライバルがレンタルビデオ店の顔なじみだったように・・・秋山先生は「アルゴノーツ」のOBなのである。
三田村社長は・・・自分以外のすべての人間には「ボールペン」程度の価値しか認めていないわけだが・・・。
そう言われてもキョトンとするゆとり世代の若者たち(秋山先生を含む)・・・この皮肉の通じない時代に・・・果たして「結婚できない男」の面白さが再現できるかどうか・・・お手並み拝見である。
この時代・・・これからネット通販の会社を買収していて大丈夫なのか・・・トレイン・・・みたいな話もあります。
そして・・・三田村社長はゆとり世代をなめていたので根性のない労働者に「プラック企業」として訴訟を起こされたりして・・・。
まあ・・・社長と同じギャラは払わないが社長なみに努力しろと多くの社長は考えるわけである。
そしてついに「いまどきの若い奴はなんなんだ」って言っちゃうという・・・。
関連するキッドのブログ→結婚できない男
→白い春
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コメント
私も、こちらのレビューを拝見する前から「これってヒーローもの???」と感じていたのでした。
ならCSW事務所は地球防衛組織「Conected Sustainability of the World」の極東支部なのか!? 役所はパリ本部なのか!? 北村有起哉はもしかして人間体から戻れなくなってしまった昔のヒーローなのか(顔が)。
山口紗弥加は金髪のカツラとかでもよかったのではないのか。
里美は入所するときに「名前? まぁ、里美涼とでもしておきますか」とか言ったのか!?
あわててカレーのスプーン持って外へ出たりするのか(いろいろ混じっております)。
しかし2014年のテレビには臭い機能がなくて良かったと思いつつ、中島ひろ子はこういう役には欠かせない人になってしまったなぁと、外の櫻を眺めながら思うのであります。
っていうか私はこんなに深田恭子ファンだったろうかと思う今日このごろです。
実は和宮の昔から小橋めぐみのファンであるのは確かなのだよなぁ……。飢えてたのに一気に潤いました。
桜庭ななみも美人というよりちょっとクセのあるルックスだけど全然嫌いじゃないんだよなぁ……。三菱地所デートのどこが問題あるんだ>CMお相手ボーイフレンド
再び深田恭子と名もなきコンビというところも萌えるなぁ……。モンスターナントカで江口のりこは出てこないのかなぁ……。
投稿: 幻灯機 | 2014年4月19日 (土) 10時33分
でございますよね。
モンスター・プアに果敢に立ち向かうマーメイド戦士。
CSWのクール・ビューティー。
ウルトラマン史上初の単独ウルトラウーマン。
ウルトラレディーあるいはウルトラの母の時空を超えた青春物語・・・といっても過言ではないのですな。
怪獣ゴミヤシキを栗ご飯ビームで粉砕し、多重債務病原体ドナイセーチューネンに汚染された家庭を八つ裂き二輪車で浄化する・・・。
まさにウルトラなヒロインの活躍でございます。
桜庭ななみ、小橋めぐみと痛い所を突いてくる
サブのメンバーも充実。
ちなみに名もなき姉妹は南沢奈央ですぞ。
ついでに名もなき幼少期の平澤宏々路は
今季は「MOZU」と「弱勝」に二股中。
売れっ子子役となりつつありますな。
ヤング深キョンとも言える
橋本愛や大野いとも頑張っているが・・・
本家深キョンが
衰える気配を見せないので
伸び悩む勢いとも言えますな。
美人、アニメ声、おっぱいと三拍子揃うのは
なかなかに難しいですからな~。
とにかく・・・火曜日は「SPの日」になりました。
投稿: キッド | 2014年4月19日 (土) 19時23分
どうも間違えがちなんでございますf(^_^;;;
コメントを書いている間も、間違えないように間違えないように、『栞と紙魚子~』はどっちだったっけとか思いながら、『ふたつのスピカ』はどっちだったっけと思いながら……、結局間違えました(笑)。肝心なところが抜けてました。
『ふたつのスピカ』と言えば(ってこれが言いたいだけかも)
このときの燐としたマメりんはヨカッタ。
じゃなくて、キッド様の三拍子整理で、私はやはり今年から深キョンファンをきちんと自認することにいたします。ったく、こんな人が戸板の向こうにいるんだからすぐ出てこいよ~>渡辺大知
投稿: 幻灯機 | 2014年4月19日 (土) 21時13分
いえいえ、どうか、お気になさらず。
間違いをするのは発想が自由な証拠でございます。
間違いこそがアイディアの原点です。
ちなみに「栞と紙魚子の怪奇事件簿」は
南沢奈央と前田敦子ですが
第6話にゲストで桜庭ななみも出ています。
「赤い糸」でも南沢・桜庭共演でしたな。
「スピカ」のマメりんはシャキーンッとしてましたな。
とにかく・・・「神様、もう少しだけ」(1998年)で
コギャル・ヒロインを演じて以来・・・
三拍子そろったスーパーアイドルとして
15年も君臨し続ける深キョン。
万歳でございます・・・
投稿: キッド | 2014年4月20日 (日) 00時17分