佐伯日菜子のかくも長き不在からの牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-(石橋菜津美)
石橋菜津美は「メイちゃんの執事」にも「小公女セイラ」にも「Q10」にも登場しているわけだが・・・キッドのブログに登場するのは「空飛ぶ広報室」からである。なんだろう・・・二十歳になったから解禁みたいなことか・・・意味不明だぞ。
一方、佐伯日菜子は十代の終りに「エコエコアザラク」(テレビ東京および映画「エコエコアザラク3 〜MISA THE DARK ANGEL〜」)の二代目黒井ミサという・・・史上最強の美少女として・・・キッドの内的宇宙に君臨していたのである。
映画「毎日が夏休み」(1994年)のスギナ、映画「静かな生活」(1995年)のマーちゃんからの黒井ミサである。
なんていうか・・・もう・・・これで「永遠の美少女」として完成している・・・と言える恐ろしさがある。
もちろん・・・「ねらわれた学園 THE MESSIAH FROM THE FUTURE」の高見沢みちるとか、「らせん」の山村貞子とか・・・そういうものもあるわけだが・・・あまりにも美少女が過ぎて・・・表現者が使いきれなかったという悲劇はあるんだな。
現時点では佐伯日菜子も37歳・・・「続・最後から二番目の恋」の長倉万里子(内田有紀)の世代となっている。
私生活でいろいろあって・・・ここである。
物凄く、自分勝手な感覚で言えば・・・つまり・・・「弱くても勝てます」の青志先生が・・・「邪魔なんだよな・・・勉強が」とつぶやくように・・・「邪魔なんだよな・・・女優の私生活が」という気分なのである。
まあ・・・そんなこと言って・・・女優の人間性を否定してどうする・・・という話だ。
で、『牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-・第3話「温室」』(テレビ東京201404190123~)原作・雨宮慶太、脚本・藤平久子、田口恵、演出・阿部満良を見た。基本的にキッドは・・・「美」をプラトン的に規定している。つまり・・・イデア(絶対)の世界にある「美」である。それは・・・個々人の感性による相対的な美しさとは違う・・・否定できない絶対的な美しさである。つまり、キッドが美しいと思うものを認めない人はバカでクズで愚か者なのである。・・・おいっ。そして・・・夢魔サキュパスを演じる佐伯日菜子の美しさは・・・パーフェクトじゃないか。
そもそも・・・サキュバスは・・・すべての人間に理想の異性として具象化する悪魔である。これを演じることのできる女優は基本的に完全に美しい必要があるのだった。
さて・・・シリーズ四作目の「牙狼と書いてGARO」である・・・大衆的賭博機械メーカーという絶対的スポンサーによって・・・深夜枠としては破格の予算でお届けされているのだった。
基本的に「美」と「金」は縁深いものであるから・・・これでいいと考える。
野に咲く薔薇だって・・・ただでは入手が困難なのである。
まず・・・野に行かなくてはならないんだから。
今回のシリーズは・・・黄金騎士・牙狼の称号を持つ冴島雷牙(中山麻聖)が破壊神エイリスの封印を目指して九体の魔物ホラーを捜索する趣向である。捜索のための魔導具生命体である魔号百合型ことマユリ(石橋菜津美)が元老院から派遣され・・・雷牙とコンビを組むのだった。道具として練成されたマユリが・・・人間として成長していく模様が隠し味になっている。
一話完結なので・・・九体だと話数不足に陥るために・・・普通のホラーも刈るストーリーも織り交ぜられ・・・今回はエイリス封印とは無関係である。
悪魔として名高いサキュバスは本筋とは無関係でも大物狩りと言える。
彫塑と花道を融合させたような総合芸術家として・・・大衆的な人気もあるらしい美女・常盤エリナは・・・この世には存在しない絶対的美を追い求め・・・ついに狂気に陥る。
この世にはあの世の美の反映があるだけで・・・美そのものは存在しないのである。
ないものをあると感じるということはすでに狂っているということである。
エリナの「芸術」のモチーフ(主題)は「死」であった。
「死」に含まれる美しさを追求するあまり・・・エリナは死体を素材として作品を作ろうとする。第三者の視点では「殺人衝動に取りつかれた人」になってしまうのだった。
エリナは自然の作りだした美である「花」も素材とするために・・・アトリエに巨大な温室を付属させていた。
個展に訪れたファンの女性を作品化するために・・・温室に誘うエリナ。
「素晴らしい温室ですね・・・なんて綺麗な花なんでしょう」
「花は・・・自然の生み出した究極の美よ・・・あなたも花のように美しくなりたいのかしら・・・」
「花のように・・・」
「もちろん・・・あなたを美しくするのは・・・私の手・・・」
「先生の手・・・」
美しいエリナに見つめられ・・・あらぬ妄想をする女性ファンはエリナの手で絞殺されるのだった。
「ふふふ・・・私が生み出した死・・・それを永遠に留めることが・・・私の芸術」
すでに・・・人としての道を越えたエリナ・・・しかし・・・エリナの獲物には・・・エリナの魂を狙うホラーが潜んでいた。
エリナこそが・・・獲物だったのである。
「死に含まれる美しさを求める・・・汝の望みをかなえよう」
「なんですって・・・」
「汝は・・・生命を食らうものとなるのだ」
ホラーとエリナは融合し・・・夢魔サキュバスとして実体化する。
サキュバスは温室に男女を問わず美しい人々を誘いこみ・・・次々と作品化するのだった。
たちまち・・・アトリエは「死のオブジェ」で満ちていく。
ホラーの出現を探知した青の番犬所の神官ジイル(護あさな)は雷牙に出動を命じる。
しかし・・・散歩中のマユリは・・・一足先にサキュバスに囚われてしまう。
「生も死も感じさせない・・・虚無の存在・・・あなたは素晴らしい素材だわ」
「・・・」
「あなたから・・・生命を奪った時・・・私は新しい美の境地を得ることができる」
マユリには・・・サキュバスの言動は意味不明である・・・しかし、ホラー探知機であるマユリは・・・サキュバスがまぎれもなくホラーであることが分かっている。
ホラーの気配を追ってたちまち・・・温室に到着する雷牙。
「魔戒騎士か・・・我が芸術の道を邪魔するのか」
「何が・・・芸術だ」
「この花を見よ・・・美しく咲き誇り・・・やがて儚く枯れる・・・生と死・・・そのプロセスこそが究極の美なのだ・・・美しさを完成するためには死が必要なのだ」
「花は自分を美しいなとどは思わない・・・ただ咲くこと・・・生きることこそがあるがままの美しさだ」
「己の感性など・・・美に対するセンスのかけらもないわ」
芸術音痴であることを指摘されて傷ついた雷牙は激しい闘志を燃やすのだった。
「問答無用だ」
黄金騎士化した雷牙。
サキュバスもホラー化し・・・美しい花弁を開き、怪しい触手が蠢く。
しかし・・・牙狼剣が一閃すると・・・マユリを縛った鎖は砕かれ・・・サキュバスも崩壊を開始する。
「これが・・・私の死・・・なんという甘美な・・・この美しさを作品として仕上げなければならぬ・・・私はまだ・・・死にたくない」
死を前にして正気を取り戻すエリナ。
しかし・・・すべては過ぎ去って行く。
「人間の命を奪って作る美しさなど・・・何の価値もない」と断言する雷牙。
しかし・・・エリナ/サキュバスは反論する術がないのだった。
「私は・・・人間なのか」とマユリが問う。
「もちろんさ」と明快に応える雷牙だった。
冴島邸である雷瞑館では執事のゴンザ(螢雪次朗)が生花を嗜んでいる。
ゴンザが席を外すと・・・マユリが現れて・・・ゴンザの作品を一輪ざしに変えてしまう。
かわいいよ、マユリかわいいよ・・・なのである。
人間であり道具である存在は・・・生と死を含有するので萌えるのだった。
もののあはれである。
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