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2014年5月31日 (土)

ちゃん(鈴木浩介)の仕事は結婚詐欺師ぞな~(佐藤芽)カスじゃね(桐谷美玲)

とある死刑囚の独居房。

「おめでとうございます~」

「あれ・・・執行日決まったんだ」

「思い残すことのないように・・・」

「じゃ・・・ちょっと出してよ」

「何をなさるんですか・・・」

「後悔のないように幼女をフルボッコしまくるんだ」

「そ、それに何の意味が・・・」

「衝動だよ・・・それ以外に何がある」

そして、美しい烏が舞い降りる。

「カスッ・・・こいつじゃねえよ・・・隣の冤罪の死刑囚だよ・・・第一、こいつが天に召されるわけないだろう」

「そうなんですか・・・」

「こいつは・・・生まれついての悪魔なんだよ」

「ふふふ・・・生まれついての天使がいるように・・・悪魔もいる・・・人間はそれを理解しようとするから面白いんだよね」

・・・おい。いつまで「藁の盾」混ぜてるんだよ。

今日は本体が簡単な手術をしたから局部麻酔酔いが残ってるんだな。

今夜の夢はきっとサイケデリックなことに。

明日も処置があるから・・・今夜は早めに・・・。

午前二時に更新している奴のいうことか。

今週、なんだかんだでタイトだったな。

バッファリンが効かない時はイブを飲めばいいと思うよ。

本題に入れ~。

で、『金曜ナイトドラマ・・第6回』(テレビ朝日201405302315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・常廣丈太を見た。今回はカラスの監死官(桐谷美玲)回なんだな。原作ではかなり説教ぽい内容が・・・カラスと死神くん(大野智)の寿命と連帯責任設定というオリジナル展開でかなりエンターティメント化されている。まあ、カラスのコスプレだけでも充分萌えるわけだが・・・。桐谷美玲の魅力と演技力が遺憾なく発揮されているよな。それがわからない人は・・・悪魔に幼女じゃないという理由で射殺されるかもしくは握手会にのこぎりもっていくタイプなんだと思う・・・そこまでにしておきましょう。

死神くん上司の主任(松重豊)は残酷な天使として指導力を示している。セクハラも・・・ある種の揶揄だよな。天使だから・・・性的にナニだしな。

とにかく・・・死神くんのパートナーとしてカラスは主任に実務を許可されたのだった。

これって天界の労働力不足打開の天意に沿ってるんじゃね。

まあ、ブラック天界の話だからな。

カラスは使い霊鳥の烏たちを地上監視のネットワークをエリア展開し、不測の事態に備えるのだった。

おりしも・・・高層ビルから飛び降りようとする死亡者予定リストにない人間が登場。

ファッション誌の編集長・高山里奈(伊藤歩)である。

「ダメですよ・・・自殺なんかしちゃ・・・我々、死神の寿命が縮まるんです」

「なんですって・・・」

「飛び降りようとしてたでしょ」

「そんなわけないでしょ・・・私はバリバリのキャリアウーマンで、吉野千明と違ってまだ結婚して家庭を作るチャンスがある女なのよ・・・自殺なんてするわけないでしょう」

「吉野千明って・・・」

しかし・・・里奈は1400万円もある貯金のうち・・・1000万円を男に騙し取られていることにうっすらと気がつき・・・死にたくなっていたのだった。

父親に捨てられ、母親に育てられた里奈にとって「男に騙されること」は耐えがたい屈辱だったのである。

Photoその時・・・死亡予定者リストが追加される。

死神くんが担当するのは・・・和田明(鈴木浩介)という子連れの結婚詐欺師だった。

前おかっぱ後ザンギリのワカメちゃんヘアが似合いすぎる幼女・美優(佐藤芽)はラップを所持していないので普通のヘアスタイルである。

和田は母性本能(死語)をくすぐる作戦で女たちを食いものにしていたのである。

「おめでとうございます・・・死神です」

「あ、そう」と和田は死後の世界を信じない。

「あなたの職業はなんなのですか」

「女を幸せにする仕事さ」

「ほほう・・・女はどうすれば幸せにできるんですか」

「花をプレゼントするといいよ」

「なるほど・・・」

死神くんは微妙な知識を得たのだった。

しかし・・・この世界の優秀な警察組織は結婚詐欺の常習犯として和田をマークしていたのだった。

逮捕された和田は死神くんが留置所に出入り自由であることから・・・自分の死期を悟るのだった。

「大変だ・・・娘が一人ぼっちになってしまう」

「今さら何を言ってるんです・・・」

「俺は・・・娘の幸せのために金を稼いでいたのに」

「それで・・・結局、娘さんは犯罪者の娘の烙印を・・・」

「うわあ・・・まずい」

「まずいですよね」

しかし・・・娘の美優は・・・父親の薫陶を受けたためか・・・里奈の元を訪れる。

「パパが帰って来ないの・・・」

「・・・」

「私・・・里奈ちゃんがママだったらいいなって・・・本当に思ってた・・・だってかっこいいんだもの」

「あなた・・・長倉えりな的なのね・・・」

和田の妻となり・・・美優の母親になる。

里奈は自分の描いた夢を実現するために動き出す。

たとえ・・・それが嘘でも・・・それは里奈の描いた未来なのである。

カラスから・・・和田の余命を知らされた里奈は・・・残りの預金を使って・・・被害者たちに訴えを取り下げさせたのである。

「だまされてなんかいません・・・私は私の夢に投資しただけですから・・・夢が失敗するなんてことは・・・よくあることなんですよ・・・肝心なのはあきらめないことです」

こうして・・・結婚詐欺師は・・・里奈によって・・・余命一日の花婿としてプロデュースされたのである。

「おかしいと思ってたんだ・・・詐欺師が天に召されるなんて・・・神の摂理に反してるし」

「どういうことです・・・」

「つまり・・・あの男は・・・あの女の善意で悪人じゃなくなったのさ」

「よくわかりません・・・第一、カラスさん、今回、あなたが人間に同情してるじゃないですか」

「うっせえな」

「あの男の余命を伸ばそうとするなんて・・・」

「結局、主任に踊らされただけだったけどな」

「霊鳥類の限界ですか」

「アホ~」

「アホ~アホ~と鳴くのはカラスじゃないという説もありますが」

孤独な女・里奈を幸せにした和田は天に召された。

里奈は美優と母と娘になったのである。

天の配剤は人知を超えるのである。

死神くんは・・・カラスのご機嫌を取ろうとするが・・・カラスに花束は効果なしだった。

まあ・・・ツンデレ設定だから微妙なところだけどな。

「悪かったな・・・お前の寿命も縮めて」

「いえ・・・あなたの寿命を僕がかなり縮めてますから・・・」

「死神や監死官は死んだらどうなるのかな」

「さあ・・・」

「そんなことも知らないのかよ・・・死の天使のくせに・・・」

「あなただって・・・監死官でしょう」

とにかく・・・二人の仲はなんだか・・・深まって来たらしい。

カラスと死神に・・・どんな愛の結末が待っているのか・・・。

その鍵は・・・シンガー・ソング・ライター立花ゆかり(清水くるみ)を誘惑中の悪魔くん(菅田将暉)が握っているのかもしれない。

愛という人間の欲望は悪魔のフィールドに属するのだから・・・。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

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2014年5月30日 (金)

私がおばあちゃんになったらあなたはおじいちゃんよ(小泉今日子)

コントというとお笑いのジャンルという図式があるわけだが・・・基本的には小芝居である。

コントの積み重ねがドラマと考えてもよい。

「サザエさん」は永遠に続くコントであり、その積み重ねはドラマなのだろう。

サザエさん誕生以前の人々はしだいに少なくなっている。

サザエさんという特殊な家庭生活がいつもそこにあるおとぎ話だった人たちの世界が積み重なって行く。

あのテーマソングを聞くだけで・・・明日は月曜日かとちょっとアンニュイになる人もいればそうでない人もいる。

その気になれば100年後もどら猫はお魚を加えて逃げていくのだろう。

「笑っていいとも」はリアルな人間が主人公だったので・・・終わりが来るところがリアルなのである。

認知症の人は・・・終わったことを忘れてお昼になると「笑っていいとも」を捜し続けアンニュイな気分を感じる。

だが・・・それもいつかリアルに終わりが来るのだった。

だったら・・・その日まで「笑っていいとも」があってもよかったのになあとアンニュイな気分になる。

ともかく本格的な夏が来る頃には終わっているドラマ。

コントのようにさりげなく通りすぎていく日常。

うっとりと眺めていると・・・あっという間に次週予告なのである。

で、『続・最後から二番目の恋・第7回』(フジテレビ20140529PM10~)脚本・岡田惠和、演出・加藤裕将を見た。和平(中井貴一)は好みのタイプの美しい未亡人・薫子(長谷川京子)の手料理を食べ、薫子の息子の蒼太(中島凱斗)とともに長倉えりな(白本彩奈)と楽しい一時を過ごしていたところを・・・二人分のたこやきを買ってきた心の愛人・吉野千明(小泉今日子)に目撃され・・・心落ち着かぬ気分を味わう。

一方・・・千明はドラマの第一話の脚本の入稿に追われ・・・忙しさにまぎれつつ・・・心に残る動揺を消せずにいる。

千明の分身のような啓子(森口博子)と祥子(渡辺真起子)に語らずにはいられないのである。

「嫉妬・・・」

「いやいやいや・・・なんていうかさ・・・一家四人の団欒って言うの・・・そういうのはもう無理かなって・・・終電に乗り遅れた感じ・・・」

「ないものねだりか」

「でも・・・こっちの人生はこっちの人生でいろいろあったわけだしね」

「あったのかな」

「お金とか」

「自由とか」

「自由になるお金とか・・・」

虚しいのである。手に入らなかったものを・・・認めるのは難しいのである。

うらやましいとか、ねたましいとか・・・そういうザワつきではなくて・・・欲しいものをあきらめるしかない・・・淋しさをともなった何かなのだ。

一方で・・・優柔不断な和平は・・・正室と側室の間で揺れる殿さま気分を味わうのだった。

そういう日に限って千明の帰りは遅く・・・いろいろと気にかかる和平だった。

しかし、朝になればいつもの朝倉家の朝食がスタートする。

新婚妻の知美(佐津川愛美)とその母親の秀子(美保純)と同居しているらしい天使の真平(坂口憲二)は通いで朝食を作りに来る。

薫子が「カフェ・ナガクラ」で時々、アルバイトすることを知ってますます動揺する和平だった。典子(飯島直子)の夫・広行(浅野和之)ほどアホではないが・・・心理的には同じなのである。

しかし・・・中学生のえりな(白本彩奈)にさえ・・・その心底は見抜かれているのだった。

「何もしないってことが優柔不断なのよねえ・・・千明さんがママだったらかっこいいと思うけど、チャンスは逃したっていうか・・・もう無理な感じだから」

二兎追う気分の和平は頭の上に洗面器を落される気分になるのだった。

「兄に負けたと思うと複雑な気分になりますし」と妹・万里子(内田有紀)も宣のだった。

出番のない一人息子の水谷翔(田中碧海)の朝食の世話を終えた典子や千明も加わり・・・兄弟の男としての出来の良さを比較される和平。

「真平と和平では男として出来が違う」と実の娘、妹二人、隣人の女四人に断言されて洗面器が頭の上で乱舞する和平である。

しかし、和平がたこやきの件を気にかけていると知った千明は二人で花火をした夜以来、心が潤うのだった。

かわいいぞ、千明、かわいいぞである。

一方・・・まったくの対象外であることから・・・なにやら妄想している伊佐山市長(柴田理恵)の心の内にはまったく気がつかない和平。

鎌倉の穴場スポットに案内して市長をますますその気にさせる。

しかし・・・そこに市長とは顔見知りらしい一条さん(織本順吉)が現れて、エロ本仲間だの親子丼だのあることないこと言われた上で薫子まで現れて・・・和平に対する市長の妄想は爆発寸前まで高まるのだった。

放浪中の広行はクッションとして登場するが・・・今回の浮気騒動の発端となった・・・千明と同じファンデーションの相手はゲイ的なバケモノ(前田健)だった。

かわいいぞ、マエケン、かわいいぞである。

そして・・・長倉家の知らないところで発展して行く・・・姉の夫と夫の義母の男と女の友情。

それにしてもエンディングの美保純のソロ・パートは若い子には負けないわ。

広行不在の淋しさをベビーシッターの仕事で紛らわす典子。

今回の典子はうざさ控えめなのである。

和平は・・・薫子に・・・「友達のままだと好きになってしまいそうなのでセフレになりたい」とよくわからない告白をされて・・・完全に混乱するのだった。

いや・・・もう・・・申し分のない理想の関係なのだが・・・和平はその申し出に戸惑うキャラクター設定を呪うのだった。

そんなこんなで・・・「離婚」を口にする典子に・・・兄として冒険的な発言をする和平。

「したいなら・・・してもいいぞ離婚・・・兄としてお前が幸せならそれでいい」

しかし・・・独身が本当に嫌になっている千明は・・・。

「せっかく持っているものを手放すなんてもったいないよ」と本音を口にするのだった。

「一人ってことは・・・どうしようもなく淋しいんだから」

まあ・・・ずっと一人だと淋しいってことにも快感を見出すのが人間だけどな。

こじれちゃって・・・淋しくなさそうな人を殺したくなるのも困ったことだけどな。

典子を挟んで和平と千明・・・その背後にそれぞれ心配げな顔の双子とえりな。

見事な構図である。

やがて・・・長倉兄弟は・・・貧乏な時に五千円のお小遣いをくれるおばさんの思い出話にひたるのだった。

その思い出話をうっとりと聞く千明。

千明の求める家族がそこにあるのだった。

そんなおばさんを結婚式に呼ばなくてよかったのかよっ・・・と思うが・・・墓か施設にいるのかと・・・アンニュイになるのだった。

あのドラマが存在するらしい・・・鎌倉(フィクション)・・・。

「たこやきパーティーで・・・たこやき返しだっ」と和平がいかにもおじさんなフレーズで決める。

あっという間に引きである。

どうやら・・・来週は万里子が出世するらしい。

そして・・・天使が死ぬ死ぬ状態を思わせ、心の愛人とセフレ候補は激突するのだった。

市長の見果てぬ夢の行方は最初からどうでもよかったのだが・・・それなりに盛り上がってくるのが連続ドラマの恐ろしさである。

一度も四葉のクローバーが見つからない人は週末・・・野に出たりして。

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2014年5月29日 (木)

これが最後の仕事でいいのかしら・・・乾杯戦士アフターV(朝倉あき)

ここまで戦隊もののレビューはしていないのであるが・・・最初がこれでいいのか・・・という考え方もある。

戦隊ものは日本人好みの企画と言えるかもしれない。

リーダーがいても特に権限があるわけでもなく仲間としてのチームワークが尊いものとして展開される。

「サイボーグ009」は野球のナインから着想しているわけだが・・・人数多過ぎるので五人にしたわけである。

断定するなよ。

この延長線上にももいろクローバーZがあるわけで・・・その発展形にチームしゃちほこがあるのだ。

ベッキー「それぞれにカラーがあるんでしょ」

赤「名古屋レッドです」

桃「ポニー・ピンクです」

緑「手羽先キミドリです」

青「マリッジ・ブルーです」

黄「ういろうイエローです」

紫「むらさきパープル(仮)です」

ベッキー「・・・面白い・・・そういうの誰が考えるの・・・大人?」

一同「大人です!」

ベッキー「・・・大人なんだ」

しゃちほこ、かわいいぞしゃちほこ。

かわいいぞ、しゃちほこかわいいぞ。

で、『乾杯戦士V・第1回~』(チバテレビなど5いっしょ3ちゃんねる201404~)ストーリー構成・演出・細川徹を見た。データがアバウトであるが・・・「猫侍」とか「鉄道むすめ」とかのゆるくても良いじゃないか的なドラマのシリーズなのでそれなりにルーズに対応したいわけである。正式な戦隊名は・・・黄金戦士トレジャーV(ファイブ)なのだが、怪人との戦いを終えて戦士たちがくつろぎのひとときを送る居酒屋が舞台という・・・ああ・・・そうなのね・・・というしょうもないドラマなのだった。

で・・・第五話まではまったくレビュー対象ではなかったのだが・・・第五話でベテラン戦士のイエロー(バッファロー吾郎)が体力的限界から人事異動となり・・・第六話から新イエローが登場することで事態は新たな局面を迎えたのだった。

新イエローを演じるのが朝倉あきだったからである。

こんなしょうもないドラマに出ている場合か・・・という話である。

第一・・・2014年3月31日付で・・・芸能活動を一時休止宣言をしている人である。

つまり・・・収録的に・・・これが活動期間内で撮影されたということになるわけだが・・・これが引退作となるとちょっと・・・笑ってしまうのだった。

とにかく・・・朝倉あきを見納めたい人は見るしかないのだった。

チバテレビだと今週の土曜日(2014年5月31日)の午後10時半からピンク(吉川友)との対決をする第8話が予定されている。

さて・・・初登場の新イエローはすでに・・・男性戦士たちの人気者である。

非番だったブルー(加藤和樹)がわざわざ飲み会に合流するほどなのである。

がさつだが女の直感でピンクは・・・「なに・・・イエロー目当てなわけ・・・きもい」と悪態をつくのだった。

なにしろ・・・普段は居酒屋の料理長であるが・・・実は悪の総帥(斉木しげる)もキッチンから新イエローのことを狙っているくらいなのだ。

そんな新イエローが飲み会に遅刻してきて・・・私服で登場する。

たちまち・・・高まるレッド(村井良大)、グリーン(飛永翼)、そしてブルー。

しかし・・・「ごめんなさい」と謝罪する新イエローはとんでもないドジッ娘設定だった。

「チェンジ・バンドを紛失してしまいました」

「ええーっ」

説明しよう・・・チェンジバンドとは戦隊ヒーローに変身するためのアイテムである。

「そんなのありえないっしょ・・・警官が拳銃紛失するみたいなことじゃん」と目くじらを立てるピンク。

しかし・・・男性陣たちは・・・「とにかく・・・探そう・・・今日の行動を思い出して」と優しく新イエローをフォローするのだった。

「今日は・・・私、非番だったので友達と洋服を買いに行って・・・」

「ちなみに・・・その友達って男、女・・・」

「女の子ですけど・・・」

安堵する戦士たちだった。

キッチンでは会話を盗聴していた悪の総裁が・・・戦闘員(シソンヌじろう)に明日の出動を命じるのだった。

「え・・・明日、怪人出没の予定はありませんが」

「緊急出動だよ・・・」

「まさか・・・新イエローの私服が目当てではないでしょうね」

「馬鹿な・・・そんなこと関係ない・・・」

「・・・」

翌日、怪人と私服で戦闘する新イエローに萌える敵味方男性陣だった。

「イエローちゃん・・・ウロチョロして・・・かわいかったなあ・・・」

「なぜ・・・巨大ロボまで出動させたんですか」

「イエローちゃんに・・・コクピットからの眺めをみせたくて」

「・・・」

しかし・・・チェンジバンド紛失の責任を取って退職願いを提出する新イエロー。

血相を変えてひきとめる男性陣。

「だめだ・・・そんなことでやめちゃ」

「わかった・・・僕のチェンジバンドをあげるよ・・・」

「イエローちゃんがやめるなら僕もやめる」

「バッカじゃないの」

そこへ・・・新イエローの母親から・・・着信がある。

チェンジバンドは・・・好奇心旺盛な新イエローの母親が内緒で試着していたのだった。

一件落着である。

必死で新イエローのチェンジバンドを捜索し、警察に紛失届まで出していた悪の総裁も胸をなでおろすのだった。

職場のかわいい女の子を本能的にちやほやしてしまう男の性をこれほどストレートに描いたドラマは・・・ものすごく悲しい感じがいたします。

まあ・・・とにかく・・・朝倉あきがこれほど「かわいい役」は最後を飾るにふさわしい・・・のかもしれない。

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2014年5月28日 (水)

折紙します(小橋めぐみ)お茶出します(桜庭ななみ)背中押します(深田恭子)抱きしめます(笛木優子)

美人すぎる社会福祉協議会地域福祉課のメンバーたち。

このラインナップに対抗できるのは「ファースト・クラス」(フジテレビ)ぐらいである。

今回はゲストに笛木優子を加えて・・・鉄壁だったな・・・。

先鋒 桜庭ななみVS佐々木希

次鋒 山口紗弥加VS遊井亮子

中堅 小橋めぐみVS菜々緒

副将 坂井真紀VS板谷由夏

大将 深田恭子VS沢尻エリカ

これは凄い勝負だな・・・どんな勝負なんだよ。

うっとりとしている間にラス前である。

レビューを前に「ロング・グッドパイ」も終わっているし、「サイレント・プア」も早仕舞・・・。

NHK・・・一足早く・・・男子サッカー・ワールドカップ体制かっ。

ビジネス上手かっ。

で、『ドラマ10・サイレント・プア・第8回』(NHK総合20140527PM10~)脚本・相良敦子、演出・長谷知記を見た。東日本大震災の後のドラマで・・・阪神淡路大震災のトラウマを抱える主人公である。当然のように・・・東日本大震災の被災者が絡んでくるのだった。小賢しい人間の努力など・・・大自然の驚異の前には木端微塵である。東日本大震災が千年の時の彼方から突然やってきたように・・・阪神淡路大震災も寝耳に水の出来事だった。首都圏直下型や東海大地震には注意が向けられていたが・・・まさか・・・そこが・・・そうなるとは・・・だったのである。倒壊するビル、崩壊した高速道路・・・液状化という言葉。個人的資質などというものには関係なくすべてに襲いかかる脅威。そういうものが常に潜んでいることを人間は忘れてはいけない。

江墨区社会福祉協議会地域福祉課の背景と化していた・・・里見涼(深田恭子)の先輩課員・沢木郁子(押元奈緒子)・・・がついに正体を現す。知る人ぞ知るドラマ「ちりとてちん」の徒然亭草原の妻である。・・・関係ないだろっ。

なぜ・・・沢木が潜伏していたかと言えば・・・担当が・・・事務局長の近藤(モロ師岡)とともに・・・東日本大震災の避難者担当だったからなのである。

阪神淡路大震災のトラウマを抱える涼を「その仕事」から遠ざける配慮があったのだ。

しかし・・・涼を見守って来た近藤事務局長と沢木は・・・あえて・・・「その仕事」をさせる時期が来たと判断したのだった。

つまり、このドラマの終盤は被災者だった涼が・・・新たな被災者と向き合う展開なのだった。

早速、仕事を開始する涼・・・。

ホームレスの木下和男(大地康雄)の再出発の場となった空き店舗を利用したなんとなく喫茶室のフリースペースは・・・引きこもりの立ち直り集会場や在日外国人の交流会々場などと流動的に利用されているわけだが・・・今回は東日本大震災の避難者に対する米支援の場となるのだった。

「お米があればごはんが炊けます」

「さすがは・・・元被災者ね」

かわいい展開である。

そこで・・・涼の困窮者レーダーは避難指定区域外からの自主避難者、渡邊昭子(笛木優子)を補足するのだった。幼い子供二人を抱えた昭子は申し訳なさそうに援助の米を受け取る。その表情には問題を抱える苦悶が浮かんでいた。

早速・・・昭子に寄り添い始める涼。

スーパーマーケットのレジで家計を支える昭子には問題はなかったが・・・夫の寛治(蟹江一平)は被災から三年・・・就業もせずに・・・無気力な日々を送っていた。

涼は・・・寛治の抱える鬱屈にロック・オンする。

しかし・・・心に・・・弟殺しの傷を抱える涼には葛藤がある。

その想いを江墨区役所地域福祉課の山倉課長にぶつける涼。

「私にそういうことができるでしょうか」

「君にしかできないことがきっとある」

山倉課長の励ましに奮起する・・・涼。

山倉の部下・水澤(山口紗弥加)は顔を曇らせ、涼に片思いの新聞配達員・郷田(渡辺大知)は涙目である。

郷田の入れたコーヒーを木下が誉めてくれたのがせめてもの慰めだった。

公園で・・・子供たちを遊ばせ・・・三年間、ベンチに佇む今は亡き蟹江敬三の息子・・・いや寛治とさりげなくパパ友になっている地域福祉課員のシングルファーザー久慈(田口浩正)は寛治の過去をそれとなくリサーチしていた。

被災地では・・・老人介護施設で働いていたという寛治。その地域では・・・津波によって施設の老人が犠牲になるという事実があった。

問題は・・・その辺にあると確信する涼。

公園で・・・老女の話を聞く寛治の姿を観測した涼は・・・「被災者による被災者相談窓口」の解説を提案する。

しかし・・・肝心の寛治は涼の誘いには乗らない。

「俺は・・・もう・・・終わっている・・・」

ここで伝家の宝刀である「涼の悲しい過去」の出番であるが・・・それをふるうのは・・・久慈だった。

「彼女は・・・阪神淡路の被災者なんです・・・その時・・・大切な人を亡くしたらしい・・・」

チーム・ワークである。

たちまち・・・感じるところのある寛治。

ついに・・・被災者の相談に乗る仕事を開始するのだった。

「あんた・・・転居届はどうしている・・・なんだか・・・故郷を捨てるような気がして」

「主人の仕事が決まらない」

「畑仕事がしたい・・・」

様々な被災者の言葉にお国訛りで応ずる寛治。

「被災者の言葉で・・・自分が励まされるような気がしてきました」

「そういうことってありますよね」

涼と寛治の心は通い合う。

「奥さんに・・・打ち明けたらどうですか・・・心に抱えていることを・・・」

「それは・・・できません・・・こわくて・・・」

思い悩む寛治の心を推し量る涼。

そんな涼は母の幸子(市毛良枝)と祖父の一郎(米倉斉加年)と久しぶりに夕食を共にする。

「三人揃っての食事は楽しいのう・・・」

まあ、娘(市毛良枝)で孫娘(深田恭子)なら・・・どんなじいさんも楽しいのである。

「あの時・・・はじめて口を通ったのは・・・避難所で出されたお味噌汁だったわねえ」と昔をしのぶ幸子。

母にも言えない秘密を抱える涼は・・・妻に語れない秘密を抱える寛治を自分と重ねるのだった。

「夫は・・・故郷を失ったことを・・・いつも私に愚痴るんです」

「でも・・・心から愚痴を言える場所があったら・・・そこが故郷なのではないでしょうか」

寛治の心のこもった対応に耳を傾ける職員たち。

涼は今がその時だと・・・昭子の元へ走るのだった。

夫が・・・生き生きと相談に応じている姿を見た昭子は・・・自らの人生を相談する。

「夫が・・・故郷を捨てたことを後悔しているようなんです・・・私、どうしていいかわがらなぐで」

「ちがう・・・俺は逃げてきたんだ・・・」

「・・・」

「あの日、つわりのひどいお前さ、病院に送るために・・・俺は仕事さ・・・休んだ」

「・・・」

「そしたら・・・午後になって・・・」

「・・・」

「ウチまでは水さ来なかったが・・・施設には水が来た」

「・・・」

「あん時・・・俺が施設さいたら・・・あのばっちゃんもあのじっちゃんも死ななくて済んだんだ」

「なんで・・・言ってくれなかったの」

「こんな・・・嫌な思いを・・・お前にさせたくねがった」

「何言ってんの・・・いやなことだってなんだって・・・一緒にするのが家族でしょ・・・」

「・・・」

「ばっちゃんもじっちゃんも・・・せっかく生き残ったあんたのこと怨んだりしねえ」

「・・・」

「幸せになってくれと願ってるに決まってる」

「幸子・・・」

「あんだ・・・」

全員、涙する江墨区社会福祉協議会地域福祉課一同だった。

余命宣告されている木下の死期が迫っていた。

「木下さん・・・」

病床を見舞う涼。

「あんたがいなかったら・・・俺はとっくに死んでた」

「・・・」

「あんたはそのままでいい・・・」

「・・・」

「こうして・・・手を握ってくれてるだけで・・・どれほど安らぐことか・・・」

まあ・・・男が百人いたら百二十人はそう思うのだった。

自分も知らない

秘密は言えない

他人を幸せにする手を持っている女・・・涼は・・・ついに母にあの日のことを話す決心をしたらしい・・・。

母が不在の朝・・・幼い姉と弟に何があったのかを・・・。

その苦しみを・・・分かち合うために。

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2014年5月27日 (火)

いいくらしを捜して堕ちてみせます(平田満)そこは階段じゃありません(尾野真千子)

話題作りのために・・・ちょっとした遊びを入れるのは別に悪くはないが・・・そういうところしか話題にならないとしたら少しさびしいことになると考える。

なにしろ・・・基本的に楽屋落ちなのである。

これが・・・本編に重要な要素としてからんでくるなら別だが・・・要するに主演女優同士が・・・それぞれのドラマですれ違うだけなら・・・まあ・・・いいか。

続・最後から二番目の恋」の舞台である鎌倉は・・・実在の都市のようだが・・・「極悪がんぼ」の金暮は・・・仮空の都市である。

ただし、神崎薫(尾野真千子)が姿を見せるのは架空のテレビ局JMTテレビだった。

ここが最低限の辻褄合わせと考えられる。

架空世界ですれ違うことの意味が生じるのである。

「遊び」が「お遊び」になるためには・・・このフリからお互いのドラマでオチをつける必要がある。

吉野千明(小泉今日子)は「続」の中でなんらかの用事で・・・金暮市に出張しなければならないし、神崎薫は「極」の中で東京に出張しなければならない。

そうでなければ・・・「なんだかな」を歌わずにはいられないのだ。

まあ・・・歌うことになりそうだけどな。

で、『極悪がんぼ・第7回』(フジテレビ20140526PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・伊志規哲也、演出・河毛俊作を見た。すでに・・・夏目大作(竹内力)が幼馴染との友情ネタをやっているわけだが・・・今度は金子千秋(三浦友和)も友情ネタでかぶせて来た。こういう形式のドラマではこのかぶりはすでにくどいわけだが・・・まあ・・・いいかとも思う。金がすべてだけど・・・愛も欲しいんじゃってことだからな。次々と繰り出されるゲストがまた・・・地味だけど・・・豪華な感じを漂わせる。地味か豪華かはっきりしろよ・・・まあ、地味です。

前座として不渡り手形を出して逃亡中の鼠商事の鼠社長(半海一晃)が登場する。

債権者に追われる鼠社長を神崎薫が誘導して、夏目大作(竹内力)が債権者たちの追跡を阻む。

「通りたければ俺の屍を越えて行け」と言う夏目だが左右からエルボーを繰り出すらしい。

借金のある人はけして乗ってはいけない怪しいワンボックスカーに誘われた鼠社長は・・・金子と抜道琢己(板尾創路)に遭遇するのだった。

そして・・・債権者の一人である本真商事の本真社長(平田満)のもとへと連行されるのだった。

金子が・・・高校時代の親友である本真のために一肌脱いだらしい。

鼠社長は計画倒産していたが資産隠しのために土地を名義変更していることまで押さえている金子。

本真の貸した三千万円は土地の権利証によって回収可能となった。

もちろん・・・土地が六千万円の価値がある以上・・・事件屋として金子もそれなりに稼ぐ算段だが・・・何よりも親友の本真に力を貸したいという心情らしい。

そして・・・どうやら・・・そこには・・・本真の妻・志保(朝加真由美)に対する仄かな思いが潜んでいるような・・・金子だった。

これが・・・「蒲田行進曲」なら・・・志保は小夏、金子は銀ちゃんなのである。

こちらの世界ではヤス・・・じゃなくて本真の表の世界での成功を・・・銀ちゃんじゃなくて・・・金子が裏の世界から生温かく支援するという関係らしい。

そして・・・小夏じゃなくて志保は二人の男に守られて幸せな人生を歩んでいたのだった。

一方、冬月啓(椎名桔平)に死体となって発見された・・・いや死んではいなかった「小清水経営コンサルタント」所長の小清水元(小林薫)は・・・それとなく・・・この物語の行方を暗示するのだった。

「私はね・・・神崎薫がビューティフルな世界を展開してくれるのを望んでいるのですよ」

「ビューティフル・・・ですか」

意識を失いかける冬月だった。

基本的に・・・「小清水経営コンサルタント」は「唐獅子株式会社」であり、えげつない小清水組長の悪い遊びに組員が右往左往するというスタンスである。

大坂の子分を金暮市の子分に噛みつかせたりして・・・そのスタンスは明らかになりつつあったのだが・・・いよいよ正体を示してきたのである。

メタフィクション現象としてはドラマ「カーネーション」で父親(小林薫)を乗り越えていった娘(尾野真千子)を叩きつぶしにきた様相を呈している。

そこに・・・千明が真矢樫キリコ(仲里依紗)のスナック「まやかし」をなんらかの事情で訪ねる場面となる。

どうせ、お遊びなので・・・女は不良の食べ物ナポリタンを食べたに違いないと妄想する。

女は・・・千明ではなくて・・・天野春子だったのだ。

店を出た春子は所属タレントの鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)と合流する。

ディナー・ショーのドサ回りで荒稼ぎをする「スリーJプロダクション」の社長と専属女優だった。

「さっき、百恵ちゃんの旦那そっくりのヤクザに会っちゃった」

「ええ~、友和そっくりなの~」

「まあ・・・金髪だったけどね~」

「ええ~、見たい~」

「へっへっへ」

・・・もう、いいだろう。

別件で巻上金融を訪れた薫は巻上社長(宇梶剛士)から・・・本真商事の悪い噂を聞きつける。

ヤス・・・じゃなくて本真は返済不能な借金を負って、不渡り確実の約束手形を振り出しまくっているというのだった。

薫が銀ちゃん・・・ではなくて金子に報告すると・・・金子はヤスじゃなくて本真を問いつめる。

「どういうことなんだ・・・ヤス」

「銀ちゃん・・・ごめん・・・銀行から七億借りたら・・・バブルがはじけて」

「いつの話なんだよ」

「お決まりの貸しはがし(担保にとった不動産の資産価値が下がったことを理由に銀行が返済の前倒しなどを融資相手に強要すること)で・・・五千万円を無理して用意したことが運転資金を苦しくして・・・気が付いたらどうにもならない経営状態になっちゃった・・・」

「馬鹿野郎・・・それじゃ・・・銀行にはめられたようなもんじゃねえか」

「うん」

「うんじゃねえよ・・・なんでもっと早く俺に言わなかったんだ」

「いつも銀ちゃんに頼ってばかりじゃ・・・男になれないと思って・・・」

「ヤス・・・」

だから・・・ヤスでも銀ちゃんでもないぞ。

本真の家屋敷も自社ビルも抵当に取られていると知った金子は・・・事件屋として・・・本真商事の存続を画策する。

本真夫婦を旅館「夕暮」に隠した金子は・・・例によって薫を整理屋に仕立て、本真商事を薫が乗っ取り新社長におさまったことにし・・・債権者会議で・・・債務者から債権を安く買い取り債権者代表になるのだった。

さらに・・・薫と腐れ外道(三浦翔平)に本間家を占有させ、自社ビルに三年間の借地権をつける「ナニワ金融道」の常套手段で・・・担保の売却を目論む・・・本真商事を倒産に追いやった張本人・「破綻銀行」と対峙するのだった。

破綻銀行・課長の吉良(袴田吉彦)は「三年間の期限付きで売却を妨害したとして・・・それで本真商事の経営状況が回復するとは思えない」と正論を述べる。

「そんなことはやってみなけりゃ分からないだろう。あんたらが目先の利益に目が眩んで理不尽な真似をしなければ・・・本真は地道にやってたんだ・・・この世のことは金がすべてだけれど・・・金の怨みのこわさを忘れちゃいけねえよ・・・」

吉良は・・・裏社会の介入に怯えて・・・上司にお伺いをたてるのだった。

破綻常務(佐野史郎)である。

「今月のノルマはゾーンだけれども・・・銀行が裏社会にゾーンされたら・・・ゾーンな面子が立ちませんよ」

破綻常務はなんらかのどす黒いつながりがあるらしい政治家のとどろき(佐戸井けん太)に相談するのだった。

「毛利などについては別所の未来はない」と別所重棟は・・・じゃなくて・・・とどろき議員はかねてからの知り合いらしい・・・小清水所長に相談するのだった。

金子の画策により・・・本真の存続に可能性が見え始めた夜。

旅館「夕暮」にかかってくる一本の電話。

「本真さん・・・あんたのやってることは違法ですよ・・・明日、破綻銀行までお越しください」

金子の友情と・・・銀行の圧力・・・板挟みとなったヤスじゃなかった本真の心は折れるのだった。

穏やかに眠る小夏じゃなかった志保の枕元に生命保険の契約書を残すと・・・階段を昇るのだった。

そして高いビルからまっさかさまに堕ちるヤス。

「ヤス・・・昇ってこい」と銀ちゃんが手を差し伸べて叫んでも昇って来れない人になったのだった。

本真商事の番頭さん的小林専務(志賀廣太郎)から訃報の連絡を受ける金子。

「小夏は・・・小夏はどうしています」

「連絡がとれないのです」

小夏はヤスが身を投げたビルの屋上に立っていた。

もちろん銀ちゃんはかけつけて小夏に声をかける。

「小夏・・・」

「銀ちゃん・・・あたし・・・口惜しい・・・ヤスさんの仇討ちがしたい」

「上等じゃっ」

小夏でもヤスでも銀ちゃんでもないぞ。

第一、主人公は薫ですからっ。

果たして・・・薫は・・・おとうちゃんのあこぎに・・・一矢報いることができるのか・・・。

一話完結ものの掟破りの・・・つづくである。

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2014年5月26日 (月)

兵法三十六計の二十二・・・関門捉賊と軍師官兵衛(岡田准一)

結果論で物事を判断するのは禁物と言うが・・・結果が出ていることは確実なことである。

当然、勝敗という歴然とした事実がそこにある。

結果を論ずることは勝因や敗因を分析することであり、非常に重要なことである。

結果論を否定するのは主に敗者であり、敗北の事実から目を背けたいという心理が働くからと考えることができる。

有岡攻城戦は・・・まず正攻法の力攻めがなされてから・・・包囲戦に移る。

総攻めを一度撃退したからと言って守備側の勝利とはならないのは包囲が続くからである。

篭城戦の勝機は援軍の到着や、諸事情による包囲軍の撤退、野戦での包囲突破など様々な局面で訪れる。

しかし・・・そうした局面が封じられれば・・・兵糧攻めとなる。

「関門捉賊」は文字通り、出口を閉じて賊の逃げ場を奪い捕縛することである。

圧倒的な戦力を保持した織田信長にとって敵とはすべて警察力の及ぶ盗賊のようなものになっていた。

本願寺攻めがそうであるように・・・信長は相手の戦力を削ぐための力攻めを臨機応変に行う。

これは篭城側が総力を挙げて突破を図ることを妨げるためである。

敵戦力の弱体化を達成すると包囲戦に切り替える。

その間にも信長の版図では豊かな収穫が続き、敵は飢餓に陥るのだ。

こうして信長は・・・悪を断って行ったのである。

で、『軍師官兵衛・第21回』(NHK総合20140525PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は十二行・・・ある意味、一番の見せ場で・・・この評価、合掌・・・でございまする。たとえば官兵衛が己の愚行(単身敵地に乗り込んだこと)によって・・・一粒種の嫡男を処刑に追い込んだという苦悶を表現できるだけでも・・・かなりの人間ドラマになるのですが・・・主人公はまったく悪くない・・・悪いのは謀反をした村重や・・・あらぬ文を書いたその女房、あるいは短慮で残虐な信長様・・・という描き方がもう勘弁してくださいよ感を醸しだしますなあ。まあ・・・幼少の頃・・・初めて本能寺の変に遭遇して・・・そんな馬鹿なと驚いたり・・・官兵衛がこの窮地の後・・・どうなるかを初めて知った時に・・・運がいいとか悪いとか人はよく口にするけどこの話を聞いてそういうことって確かにあると思ったりしたことを思い出し・・・幼いお茶の間の皆さんがハラハラドキドキしてくれればそれでいいかと気を紛らわせる今日この頃です。今回の画伯の描き下ろしはNHK大型時代劇「真田太平記」より壺谷又五郎(夏八木勲)第三弾。圧巻でお得でございます。

Kan021 天正六年(1578年)十二月、池田城に本陣を構えた織田信長は有岡城への銃撃を開始する。圧倒的な戦力差を見せつけて城兵の戦意を喪失させるためである。これに対しい、応援に入った雑賀党の鉄砲隊は激しく反撃し、織田軍鉄砲隊の指揮官として接近戦を行った信長近臣の万見仙千代などが戦死する。信長は有岡城周辺に火をかけて焦土化し、掘と柵によって包囲網を完成すると安土城に戻る。有岡城篭城戦の開始である。籠城中の荒木村重は同盟軍である毛利氏に度々、救援を乞うが海上輸送力を失った毛利軍にはその余力はなかった。天正七年(1579年)正月、荒木村重は城兵五千で包囲中の織田信忠の守る加茂砦を急襲する。村重は加茂砦の撃破に成功するがたちまち駆けつけた包囲軍によって撤退する。これが荒木村重の最後の戦果らしい戦果となった。この後、織田軍はひたすらに包囲し、荒木軍はひたすら籠城するのである。冬がすぎ、春が過ぎ、夏が過ぎても・・・毛利の援軍は出現せず、有岡城の物資は底をつく。すでに二月、播磨では三木城の別所長治も平井山で羽柴秀吉に野戦を挑み、敗北を喫している。六月には明智光秀が丹波国八上城の攻略に成功し、波多野秀治は処刑される。毛利・本願寺同盟側はじわじわと劣勢となっていた。この頃、信長は四男の秀勝を秀吉の養子とする。羽柴秀吉は織田家の一門衆となったのである。竹中半兵衛は・・・秀吉の平井山本陣で最後の時を迎える。官兵衛はなお獄中にあった。

播磨国から丹波国・摂津国にかけての道筋には多数の忍びたちが暗躍している。

毛利から本願寺へ、本願寺から有岡城へ、有岡城から、三木城へ・・・忙しく密書が往還するためである。忍者たちは稼ぎ時とばかりに各地に散っている。一方で包囲する織田軍もまた忍者による結界を張り巡らす。伊賀甲賀の忍者は無論のこと、飛騨忍軍や関東風魔までが・・・この諜報戦に参加しているのである。

時には命のやりとりも生じるが・・・蛇の道である。とりひきによって情報が交換されることもある。

また・・・密書が敵側に読まれるだけで・・・無事に敵地にたどり着くこともあった。

「援軍来たらず」の報をあえて留める意味はないからである。

うかつな忍びは春花の術で眠らされ、密書を盗み読まれたことにも気付かず、敵に見守られて任務を果たしたりしているのである。

伊賀の里では老いた忍びたちが上忍として情報を交換していた。中忍や下忍たちはほとんどが戦地に赴いている。

「百地の三太夫じゃ・・・」

「藤林の長門じや・・・」

「服部の半蔵じゃ・・・」

「音羽の城戸じゃ・・・」

「柘植の黒猿じゃ・・・」

名のある忍びの頭たちは姿を見せずに忍び言葉で集会場に集うのであった。

「里が静かじゃのう・・・」

「伊勢の小僧(北畠信意=織田信雄)の動きはどうじゃ・・・」

「今のところ・・・大人しくしておる・・・」

「今、里を攻めても女子供しかおらんからのう」

「忍びに無用の怨みを買ってもつまらんと思い知ったものかの」

「そのこと・・・信長はどうかのう」

「あれは・・・魔王じゃからの・・・」

「本願寺坊主の悪戯もいよいよ終いじゃのう」

「所詮は後生大事、我が身可愛い腐れどもじや・・・」

「そうなれば・・・伊賀で忍びを切り売りにしていることもままならぬようになるかもしれぬ」

「主持ちになるのは面白くないのう・・・」

「だが・・・甲州の乱波、越後の軒猿、関東の風魔と・・・忍びの一族が大名に仕えることも珍しいことではあるまいて」

「しかし・・・伊賀は別ぞ・・・」

「ふふふ・・・百地のそんなのんびりしたことを申しておってよいのかや」

「なんじゃ・・・」

「お主の屋敷に石川の若い衆が忍んでおるわの」

「なんじゃと・・・」

評定の場の一角から気配が消える。

その頃、百地屋敷で・・・美人と評判の百地の後添えを犯した石川五右衛門は抜け忍の道を歩みだしていた。

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2014年5月25日 (日)

死んだあいつを忘れるために新しい旅をしよう(二宮和也)死んでませんっ(有村架純)

精神と肉体は不可分のものである。

精神の不調は肉体の不調を招くことがあるし、肉体の不調は精神の不調を招くことがある。

根性もガッツも気合いも基本的にはメンタルの問題である。

しかし・・・集中力が体力や体技に直結している以上、精神論を馬鹿にすることはできないのだ。

基本的に精神論を否定する人は馬鹿なのである。

だが・・・メンタル・トレーニングというものの怪しさは常に付きまとう。

たとえばうつ病に効果のある薬剤があるように脳内物質のコントロールはドラッグへの傾斜を含んでいる。

無我の境地を開く精神修養はたちまち洗脳の手段となる。

何より・・・マインド・コントロールには個人差がつきものなのである。

しかし、それでも人はリラックスを求め、コンセントレーションを高めようとし、やる気が起るのを待つのである。

自分自身が自分自身の最高のカウンセラーであること。

そのためにこそ知識はあると言える。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・第7回』(日本テレビ20140524PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・池田健司を見た。チーム・ワークを求められるスポーツでは仲間意識は諸刃の剣である。仲間を信頼することは大切だが、仲間に依存するのは禁物である。言葉にするのは簡単だが・・・脳内の化学変化はそれほど単純ではない。仲間の戦死は復讐心を燃えあがらせ、戦闘意欲を高める絶好の機会だが、闘争心の薄い集団では逆に喪失感による不安感や現実逃避を招くこともある。やる気だけは抜群だった亀沢(本郷奏多)が経済的困窮という家庭の事情で退学してしまった小田原城徳高校野球部は・・・へっぽこだけにネガティプな方向に向かうのだった。

いつもの顔ぶれがそろわないことの精神的ダメージは基本的に認知のドーパミンの欠如によって表現される。

身内に不幸があった場合の心情は・・・見慣れたものを見ることができないフラストレーションを生じさせるのである。

認知のドーパミンは基本的に興奮系作用物質なので・・・これが不足すれば気分は沈みこむわけである。

前述したように喪失により、怒りに着火して興奮することもできるのだが・・・その方向に誘導できなければ意気消沈は免れないのだった。

亀沢の不在により・・・せっかく構築しかけた野球魂が退行しているのを感じた青志監督(二宮和也)はカンフル剤投入の必要性を感じる。

好奇のドーパミンを呼びこむ作戦である。

認知のドーパミンと同じように・・・珍しいものを見た時に放出される脳内化学物質も・・・人間を高まらせる効果があるのだ。

つまり・・・感傷旅行である。

青志監督は野球部の大先輩である三条校長(笹野高史)をコントロールして・・・宿敵・堂東学院の合宿施設を利用可にするのであった。

堂東学院は景勝地にホテルのような合宿施設を保有していたのだった。

仕方なく、堂東学院野球部監督・峠直介(川原和久)は小田原城徳高校野球部との合同合宿に応じるのだった。

レギュラー選手となってストーカー時間の短縮を余儀なくされ欲求不満状態の志方(桜田通)もマネージャーの柚子(有村架純)と72時間密着できることに興奮するのだ。

他の部員たちも・・・日常空間から離れた旅の興奮でウキウキするのだった。

ただ一人、一年生の光安祐太(平岡拓真)だけが・・・堂東学院との合宿に新たなる不安を抱く。

さて・・・お茶の間の皆さんはさておき・・・ショート光安と・・・二年生のセカンド樫山(鈴木勝大)、三年生でキャプテンのキャッチャー江波戸(山﨑賢人)の区別はキッドには難しい。みんなヘタレ系のそこそこイケメンである。

セカンド樫山はスケジュール狂で、ガールフレンド飯室芽衣(藤原令子)もいるのに影は薄いのである。青春ドラマにつきもののワカメ的長髪で利根璃子(麻生久美子)に憧れる二年生のレフト牛丸(栁俊太郎)とコンビを組むことが多いのでワカメの相方のイケメンと認識するしかない。まあ、知っている人は特命戦隊ゴーバスターズのレッドバスターなのだが。

さて・・・中学時代にセンター岡留(間宮祥太朗)にいじめられていたキャプテン江波戸・・・とりあえずキャプテンなのでいい加減、顔を覚えなければいけない。しかし、実はこのキャプテンは映画「管制塔」(2011年)と映画「Another」(2012年)で橋本愛の相手役を務めるほどの主演級なのである。今回はキャプテンシーを発揮する重要回なので・・・なんとかしたいものだ。・・・お前がかっ。

そして・・・本題のショート光安である。ワカメの相方セカンド樫山方式で行くと、一年生で唯一の眼鏡男子であるライト伊勢田(阿久津愼太郎)の相方という覚え方があります。つまり、メガネの友達ですな。余計、分かりにくいわっ。まあ・・・ショート光安は何を隠そう「中学生円山」である。

実は・・・将来の主演級イケメン部員が・・・ひしめいているナインなのだった。

合宿に突入した城徳ナイン・・・過去に青志監督がひどい目にあった堂東学院の猛練習を見て・・・とりあえず発奮するのだった。

勢いで・・・柚子に告白しようとする赤岩(福士蒼汰)・・・旅にはそういう効果もあります。

しかし・・・それは素振りをしすぎた柚子の筋肉痛によって未遂に終わるのだった。

「強いチームが勝つことより弱いチームが勝つことの方が価値があるわ」

「柚子・・・」

覗き見をしていた恋仇・白尾(中島裕翔)と男子高である堂東学院野球部員たちは思わずバットを取り落とすのだった。

これだけは言っておく必要があるだろう・・・。

絶対に負けられない戦いとは・・・。

男女共学高を相手にした時の男子高校、女子高校の戦いである。

何が何でも勝たねばやってられないのだ。

・・・それはさておき・・・ショート光安の不安の原因は・・・両親が離婚して姓が変わってしまった別居中の実の兄が・・・堂東学院のエース・近江聡希(宮里駿)だったことなのだった。

堂東学院のエースの弟だと知れていじめられたらどうしようと悩んでいたのだった。

キャプテンと同じメンタルである。

近江は頭のいい弟は・・・勉強に集中するべきだとアドバイスするが・・・弟は・・・勉強もやるけど・・・野球もやると生意気なことを言う。

「俺がいつ東大に行くと言った」と野球オンリーの兄は叫ぶのだった。

まあ・・・兄が東大を射程外にしているように弟も甲子園は実質射程外と推定できる。

しかし・・・兄が気になるのは・・・野球の宿敵であるスラッガー白尾の存在なのである。

なぜ・・・こんな弱小高に・・・と思わずにはいられないのである。

だが・・・それは白尾が柚子に片思いしているからという野球とは別の青春の問題なのだった。

ナイン全員の入浴サービスなどもあり・・・合宿二日目・・・。

合宿所に・・・浦瀬監督(酒井敏也)率いる平塚武宮高校野球部とオーナーの赤岩の父(光石研)、そして柚子の母の楓までがやってくる。

堂東学院と平塚武宮は練習試合を組んでいたのだ。

堂東学院のエース・近江と平塚武宮のエース・国友悟(井手大稀)の投げ合いで始った試合は・・・後半、コントロールを乱した国友が自滅し、堂東学院が勝利する。

Tvsd001 野球部のマネージャーとして敗戦投手の国友に「ドンマイ」とエールを贈る柚子。

しかし、そんなことも気になる嫉妬深い赤岩だった。だが・・・楓も何故か国友の敗因はメンタルにあるのではないかと唐突に分析したりする。

ひょっとして・・・母子で好みのタイプが一緒というギャグなのか・・・そういうこだわりかっ。

とにかく勝利投手・近江には言及しない楓・柚子母娘だった。

謎の転校生的にはすれ違う亀沢と近江であった・・・分らんわっ。

それはそれとして試合を見て・・・自分たちとは次元の違う野球の存在に戸惑う城徳ナインだった。

しかし・・・青志は断言する。

「彼らの強さは異常だが・・・練習は普通だった。弱いものはもっと異常なことをして対抗するのだ」と嘯くのである。

だが・・・それに従うべきかどうか・・・ナインたちは迷うのだった。

勝てる気がしないのである。

「お前はキャプテンとして・・・どう思うんだ」と元いじめっ子。

「それは・・・」と元いじめられっ子。

優柔不断なキャプテン江波戸は監督の指示を仰ぐ・・・。

「お前はどう思うんだ・・・」

「野球は国語と同じです・・・正解が定まらない」

「なにも正解にこだわる必要はないだろう・・・とりあえずとか・・・さしあたりとかで」

「なるほど・・・」

偏差値の高いもの同志の情報交換に全国でお茶の間が涙目になっていないことを祈るばかりだ。

これは・・・テリトリーの問題でもあるよな。

学校教育によってジャンル分けされる種族的な棲み分け。文系、理系、芸術系、体育会系、家庭科系、落ちこぼれ系、ヤンキー系・・・その辺でやめておけ。

その頃、グラウンドでは・・・城徳野球部を認めない光安の兄・近江が・・・白尾に勝負を挑んでいた。

白尾は俺と勝負するのは・・・俺の仲間たちを倒してからだ的な流れを作るのだった。

白尾は・・・仲間たちにバッティングのチャンスを作ってやりたかったのだ。

それが・・・練習ではない何かなのだ。

近江に挑むナインたち。

一番・赤岩・・・三振!

二番・岡留・・・三振!

三番・樫山・・・三振!

四番・伊勢田・・・三振!

五番・志方・・・三振!

六番・牛丸・・・三振!

七番・光安・・・三振!

弟に全力投球をする兄だった。

そして・・・キャプテンである。

「とりあえず・・・さしあたり・・・」と念じながらバッターボックスへ。

出会いがしら打撃に開眼するキャプテンだった。

ホームランである。

茫然とする近江。歓喜する城徳ナイン。

いつの間にか彼らは・・・とにかく・・・当たれば飛ばす打撃力を身に着けていたのだった。

これはもう・・・ものすごく特化した「キャプテン」や「プレイボール」・・・つまりちばあきおの世界なのだった。

「俺たちは練習はしない。仮説をたて・・・実験して・・・結果を評価する・・・科学だ・・・野球を科学するんだ」

偏差値の高いナインは監督の言葉を理解した。

そして・・・始る夏の甲子園・・・地区予選。

組みあわせ抽選に出かけるキャプテンとマネージャー。

元監督(荒川良々)が結果を伝える。

初戦の相手は・・・平塚武宮高校・・・。

城徳ナインは勝つ気満々である・・・マジかよっ。

そして・・・予告編・・・妄想か・・・夢なのか・・・初勝利の文字があああああああっ。

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2014年5月24日 (土)

老人と・・・死神とカラスと悪魔とオレオレ(徳山秀典)

なでしこで一回休みでココである。

徳山秀典といえば仮面ライダーザビーだが・・・最近では2012年に「高校入試」で高校教師を演じた後で2013年に「山田くんと7人の魔女」で高校の生徒会長を演じている。年齢不詳だが実際は32歳である。

今回は極悪非道のオレオレ詐偽主犯から・・・魔力で改心して善良なチンピラになるという難役である。・・・これを見事に演じている。

役者として地道に生きるってこういうことなんだなあ。

腐らずのんびりやってもらいたいと心から願う。

そのチンピラの子分を演じるのが西井幸人である。「彼岸島」ではある意味でもっとも悲惨な最期を遂げるポンだった。今回は・・・運命の悪戯でラッキーな展開に・・・。

オレオレ詐偽の常習犯が罪を裁かれることもなく・・・結構、いい感じに・・・ある意味、凄い展開のフィクションなのである。

で、『金曜ナイトドラマ・・第5回』(テレビ朝日201405232315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・中田秀夫を見た。ホラー映画のプロフェッショナルなので幻象界のルールの取り込みが澱みない。たとえば死後の世界の魂の行方についてである。もちろん・・・ローカル・ルールにはいろいろあるが・・・キリスト教がなんらかの影響を及ぼす範囲・・・キリスト生誕を大々的に祝う日本国は当然、これに含まれる・・・においては神と悪魔の最終戦争が背景にある。人類史開闢以来・・・天界(神)と魔界(悪魔)は激しい人間の魂の争奪戦を繰り広げているのだ。宗教として厳密には神の審判によって選ばれた人間だけが天国の扉をくぐるのだが・・・通俗的には善男善女が天国に・・・悪人は地獄にふりわけられるのである。この物語では死神くんこと死神413号(大野智)にたまたま悪魔くん(菅田将暉)がからんでくるわけであるが・・・死神=死を司る天使=神の御使いである以上、境界線上にある魂は常に悪魔=魔王サタンの配下=叛乱魔族の標的になっているのが基本である。つまり・・・天国入り決定の人間や地獄行き決定の人間の前には死神も悪魔も現れないのだ。

Photo 都会の片隅に暮らす老夫婦。病床の夫のためにおかゆを作る妻・佐藤民江(吉行和子)は健気に介護の日々を贈っているのだった。しかし・・・いよいよ、夫・佐藤留吉(山本圭)に死期が迫ってくる。押入れから死神くんが登場したのである。

「めでたいことだ・・・病の苦しみから解放される」と喜ぶ留吉。

死神くんは素直に死を受け入れる老人に無邪気に感心するのだった。

三日後に迫る死亡期日までに・・・思い残すことがないようにと・・・唯一の家族である民江に協力を得ようと正体を明かす死神くん。・・・もちろんルール違反である。

たちまち・・・運命の糸はもつれ・・・霊界のカラスである監死官45号(桐谷美玲)は担当死神の無能さを呪うのだった。

「なにしてくれちゃってんだよ・・・カスが」

しかし・・・地道に生きて来た老夫婦には特に希望はないのだった。

だが・・・夫には笑顔で旅立ってもらいたいという欲望に目覚めた民江は・・・「うなぎを御馳走したい」と願う。

「そんな贅沢な・・・」

「特売品ですから」

泣ける老夫婦だった。もちろん・・・欲望が醜いというのはフィクションである。美しい欲望も醜い欲望も厳密には存在しないのである。

うなぎを食べたいというのが醜い欲望ならうなぎ屋さんの立場はないのである。

早速、うなぎを購入する旅に出た民江に付添う死神くん。作中世界は老人に冷たい設定で・・・バス・ストップでは若者に割り込まれ、席を譲る若者はいない。特売場ではうなぎはたちまち売り切れ・・・目的は達成されない。

すべてを淡々と見守る死神くんだった。無能にも程があると・・・全老人に優しい人々が思うのだった。

その帰路・・・意地悪な地球の重力に導かれ転倒する民江。

優しく手を差し伸べるのは悪魔くんだった。

「私にできることがあればご用命ください」

例によって簡単に悪魔くんの介入を許す死神くんである。

「だめです・・・悪魔に願いを三つかなえてもらうと地獄行きなんですよ」

そんなことを言っても後の祭りなのだった。

「お友達とは仲良くしなくちゃだめよ」と民江に注意される死神くんだった。

「なにしてくれやがんだよ・・・ボケが」とカラスも呆れるのだった。

佐藤家に一通の手紙が届く。老夫婦の子供である順平からの便り。

この時代に・・・息子から手紙が来るというのが・・・すでに・・・怪しさを漂わせる。

ちなみに・・・民江は携帯電話を持っているのである。

手紙には・・・孫の誠が成人し・・・不動産屋で働きだしたという近況が認められている。

同封されているのは・・・勤務先で撮影された孫の佐藤誠(西井幸人)のスナップ写真である。

「そういえば・・・最近、会ってないなあ・・・死ぬ前に孫の顔が見たいもんだ」

つぶやく留吉の言葉に・・・顔色を変える民江だった。

しかし・・・無能な死神くんは「さっそく迎えに行って来てもらいましょう」と提案する。

だが・・・誠は不動産屋をすでに退職していた。

悪い先輩(徳山秀典)に誘われて悪の道に踏み込んでしまったらしい。

そこで民江は悪魔に第一の願い「孫を夫に会わせてほしい」をしてしまう。

悪い先輩と振り込め詐偽を実行中の誠は魔力によって佐藤家に導かれてしまうのである。

孫と会って喜ぶ留吉。

しかし・・・誠は意外な事実を口にする。誠の父親は家族を捨てて失踪中だという。

そして・・・「家族を捨てるような息子を育てた親なんか最低だ」と誠は留吉を罵るのだった。

一度は激昂した留吉だったが・・・やがて孫が不憫に思えてくる。

すると・・・誠は殊勝な態度で暴言を侘びるために戻ってくる。

そして・・・部屋の掃除を手伝ったりするのである。

喜ぶ留吉。しかし・・・誠は先輩に命じられて金目のものを物色しにきただけなのであった。

誠が外出すると・・・孫のために貯金を贈りたいと言い出す留吉。

同意した民江がキャッシュカードを取り出そうとするが・・・すでに持ち去られた後だった。

ついに行動に出る死神くん。

現金を引き出した誠を説得しようとする。

「そんなひどいことして・・・君は平気なのか」

「でも・・・先輩には逆らえない」

まったく役に立たない死神くんだった。

誠から金をすべて取り上げる悪い先輩。

そこへ・・・民江がやってきて・・・悪い先輩を平手打ちするのだった。

「あんた・・・死んだ俺のばあちゃんみたいだな」

たちまち・・・改心して良い先輩に・・・。

お金も全額・・・返し「俺はやり直す・・・お前もやり直せ」と颯爽と去って行く良い先輩。

誠と民江はお金とともに家路につくのだった。

「結局・・・悪い人間なんていないんだなあ」と感動する死神くん。

「バカじゃね・・・ばあちゃんが第ニの願いを使っちゃったんだよ」

カラスは死神くんを罵倒するのだった。

結局、民江の第二の願い「孫が悪い先輩と縁がきれますように」が発動しただけなのであった。

「えええ」とあわてる死神くんである。

第三の願いはなんとしても阻止しなければならないのである。

微笑む悪魔くんにカラスが問いかける。

「なにも・・・ウチの死神ばかりに手を出さなくてもよくね」

「あの死神には二度も邪魔をされましたからね」

「狙い撃ちかよ・・・」

カラスの裏工作失敗である。

なんだかんだで・・・佐藤家に平穏が訪れる

改心した誠は・・・留吉と縁側で末期の思い出に将棋を指そうとしていた。

そこで・・・留吉はしまいこまれていたアルバムを取り出す。

幼い孫の写る幸せな日々。

しかし・・・アルバムにはとある葬儀の写真が挟まれていた。

それは・・・留吉と息子夫婦そして孫の誠の葬儀だった。

三人は交通事故ですでに他界していたのである。

事故の日・・・孫可愛さに息子夫婦を予定より長く引きとめたことが・・・留吉の精神をおかしくしてしまったのだ。

すべてを忘却していたのである。

「じゃ・・・俺は・・・」と茫然とする誠。

「ごめんなさい」と謝罪する民江。街で見かけた同姓同名の誠を見て思わず写真を撮り、手紙まで書いてしまった民江だった。誠は赤の他人だったのである。

「おれのせいでおれのせいでむすこふうふはしんだまごもしんだみんなしんだみんなおれがわるいのだおれのせいなのだ」すべてを思い出し・・・狂乱する留吉。

「笑顔で旅立ってほしかったのに・・・悪魔さん・・・お願い」と民江。

「そんな・・・だめです・・・三つ目の願いをしたら御主人とあの世で離ればなれになってしまいますよ」

「いいのよ・・・女はね・・・今が大事な生き物なの」

民江の第三の願い「夫にすべてを忘れさせて」が発動し、鎮まる留吉。

「そんな・・・これじゃあ・・・まるでダメじゃないですか」とぼやくしか能のない死神くんだった。

「残念だが・・・まだ勝負は途中だよ・・・」と告げる悪魔くん。

「え」

「だって・・・誠が本当の孫でないなら・・・第一と第二の願いは無効だもの」と悪魔くん。

「うわ・・・すげえラッキーじゃね」とカラス。

その時・・・タイムリミットが来たのだった・・・。

留吉は天に召されたのである。

一人残された民江・・・特売のおはぎを買い損ねるのだった。

そこへ・・・誠が現れる。

「これさ・・・じいちゃんのお供え用だろう・・・ばあちゃんが買い損ねるんじゃないかと思って・・・とっておいたんだ・・・」

「ありがとう」

霊界で民江と誠のその後を見守る死神くんとカラスだった。

「なんだかんだいって・・・悪魔っていい奴かもしれない」と呟く死神くん。

そこへ・・・主任(松重豊)がやってくる。

「何を甘いこと言ってるんです・・・ちょっと来なさい」

死神くんとカラスは寿命の部屋に連れていかれる。

死神298号と監視官16号の蝋燭が消えるところだった。

「三件の連続魂強奪事件が発生して・・・担当だった死神が消滅したところです・・・連帯責任で監視官も消滅しました」

ドラマオリジナル設定により・・・死神くんもカラスも存在が風前の灯になっているのだった。

まあ・・・霊的な存在が霊素に還元されるのが・・・どのくらい恐ろしいのかはそれぞれの想像の範囲で違うわけだが・・・。

もちろん・・・悪魔にとってはそれはかなり甘美な恐怖に属するわけだが。

今回もかなり深みのある展開でしたな。

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2014年5月23日 (金)

長い間お世話になりました(坂口憲二)お前は花嫁か、俺は花嫁の父か(中井貴一)

日差しは強く、風は冷たい。

物凄い音がして雨が降る。

妙な天気である。

しかし・・・妙と感じるのはあくまで人間で・・・大自然はレリゴーレリゴーなのである。

人間が頑張って温暖化しても・・・太陽がちょっと冷えたら氷河期なのである。

不治の病にかかっていようがいまいが・・・一瞬先には死んでいるかもしれないのが人間だ。

もうこれで終わりだという時間に点をとるのがなでしこである。

宮間から沢。

宮間から岩清水。

仲間のミスを帳消しにするプレーこそが華である。

お茶の間の期待に応えるってすごいよね。

漫画みたいだったよね。

そういう意味で・・・このドラマもすごいと思う。

で、『続・最後から二番目の恋・第6回』(フジテレビ20140522PM10~)脚本・岡田惠和、演出・宮脇亮を見た。仕事はできるが家族には恵まれない女・吉野千明(小泉今日子)である。48歳で独身、一人暮らしなのである。未婚だし、もちろん子供もいない。ただし、転居先の鎌倉で・・・隣人に恵まれたと言う話である。家族のように暖かく、他人だから気楽に付き合える理想のご近所一家。時には渇いた生活を心身ともに潤してくれた長倉家の人々・・・。しかし・・・時は流れていく。一時は温もりを交わし合った真平(坂口憲二)にも嫁ぐ日がやってきたのだった。いや・・・大橋知美(佐津川愛美)と結婚式前日がやってきたのだ。常に恋愛モードの千秋は・・・結婚について悩むところがあるらしい真平に心騒ぐのだったが・・・。

しかし・・・真平の相談は・・・知美との婚前交渉がないまま・・・結婚式を迎えることだった。

その理由は・・・発病すれば・・・死ぬかもしれない病気に基づく悩みである。

幼くして両親を失くした真平は・・・知美との間に子供が出来たら・・・同じ思いを抱かせたくないと考えていたのだった。

千秋との恋愛モードは一切ないのだった。

全く、表情にはだしませんが・・・千秋はガッカリしています。

とにかく・・・ここまでの処・・・このドラマの千秋は・・・。

和平(中井貴一)に対して何やら湿った感情を醸しだす伊佐山市長(柴田理恵)とポジションが一緒なのである。

ついに前回、退場した高山涼太(加瀬亮)はそれを説明するためにだけ登場したようなものである。

ギャフン・・・なのである。千明はギャフンと言わされた状態なのだ。

そこに・・・千明的には元カレ・・・真平の結婚式なのである。

千明の中で・・・微妙に食い違う理想と現実という話なのだ。

そして・・・この世界は千明に・・・徹底的に意地悪をする覚悟なのだな。

まあ・・・脚本家は男だからな。

それでも・・・千明は男らしく・・・若者の悩みに応えるのだった。

「真平にとって・・・知美ちゃんはさ・・・それぐらい大切な存在なんだよね。知美ちゃんとさ・・・ずっと一緒に暮らしていこうと決心したんだよね。だったら・・・信じるしかないんだよ。素晴らしい明日が来ることをさ。だって・・・未来のことなんて・・・誰にも分からないんだから」

「ありがとう・・・千明」

天使の笑顔を取り戻す真平。

そして・・・千明は鎌倉の風を冷たく感じるのだった。

新婦と新しい家族たちは・・・結婚の報告のために・・・長倉家の墓参りに出かけるのだった。

新婦の知美・・・新郎の真平、新郎の兄・和平、姉・典子(飯島直子)、妹・万里子(内田有紀)たちは・・・墓の下の亡き両親に結婚の報告をするのだった。

その場にいけない千明は生き霊を飛ばして卒塔婆をガタガタ揺らすのだった。

それから・・・和平・真平の兄弟は結婚式の準備に・・・。

女たちは・・・長倉えりな(白本彩奈)と千明も合流して・・・結婚前夜祭のための買い出しに出かけるのである。

結婚式場となるカフェ・ナガクラの掃除、会場の設営、結婚式のための料理の準備は何故か男たち二人の仕事なのである。まあ・・・普通は無理だわな。

一方、女たちは・・・知美の独身最後の夜をエンジョイするのだった。

前夜祭会場は・・・吉野家である。・・・牛丼の店ではありません。

そこで・・・存在そのものが・・・不吉の・・・夫・広行(浅野和之)が浮気の果てに出奔中の典子が離婚だの別れるだの殺すだの・・・おめでたくない言葉を連発するのだった。

そして・・・話題は・・・結婚すれば回数が減るものなのに結婚する前にしないってどういうことっていう・・・中学生の前ではふさわしくないガールズ・トークだった。

しかし・・・真相を知るお隣さんは・・・柔らかく追及を封じるのだった。

ちなみに・・・女子会参加者は・・・。

典子(非処女)

千明(非処女)

万里子(処女・推定)

知美(処女・推定)

えりな(処女・推定)

という処女率の高さなのであった。

ツイッターゲームで「パンツ丸出し」などと嬌声を上げる女子たちに心騒ぐ長倉兄弟だった

そして・・・うらぶれた感じの広行は結婚祝いの金二千円を残し・・・こそこそと去るのだった。

なんだかんだ・・・準備が終った男組。

しんみりとする。

弟を育て上げた兄である。

兄を父のように慕う弟なのだ。

「今までありがとうございました・・・」

「よせやい・・・」

涙にくれる兄弟だった。

そして・・・お天気に恵まれた結婚式当日。

知美の母親・秀子(美保純)があでやかな和装で登場し・・・バージンロードを花嫁と歩むのだった。

唯一の赤の他人である千明は・・・司会進行の大役を仰せつかりポジションを確保するのだった。

若い順で・・・新郎新婦に誓いの儀式である。

(例)司会の千明・・・幸せになって私に結婚したいと思わせること

えりな・・・私の結婚式に二人そろって出席すること

水谷翔(田中碧海)・・・この強烈な存在感のなさ・・・うちの両親みたいに揉めても元にもどること

万里子・・・近所にいること

典子・・・ずっと幸せでいること・・・この強烈な存在感・・・元々癒し系だからな。

和平・・・話が長い・・・二人らしさを大切に長生きすること・・・話がくどい。

秀子・・・準レギュラー的に私のことも忘れないこと

そして・・・和平と千明という本題カップルを冷やかす秀子。その男性自身を示すジェスチャーはすでに伝説の領域に・・・。

そうだ・・・自分には・・・最悪、和平がいるとまんざらでもない態度の千明がフリである。

最後に千明は・・・新婚カップルの性的な問題解消のために・・・ホテルのスイート・ルームをプレゼントするのだった。

ある意味・・・泣けるポイントである。

なにしろ・・・千明は・・・結婚式の御祝儀を渡し続けてもうすぐ五十歳である。

こうして・・・長倉家は秀子・知美母子という新たな家族を迎えたのだった。

その夜の・・・鎌倉ホテル・スイートルーム。

「はじめてなんだ・・・」

「うん・・・」

「やさしくするからね」

「うん・・・」

「金太郎・・・」

「クマさん」

いい加減にしておけよ。ええっ・・・全貌を妄想したのにっ。

いよいよ・・・本題であるが・・・その前に立ちふさがる水谷家問題なのだった。

西口不動産の女・石田詩織(中西美帆)を締め上げる極道の妻・典子とその介添人・千明。

「あんたなあ・・・人の亭主迷わせて・・・ただじゃすまねえぜ」

「まさか・・・本気にするなんて・・・」

「まあねえ」

「それに・・・私・・・もうすぐ結婚するんです」

「・・・」

「気をつけてね・・・世の中・・・淋しいおじさんだらけなんだから」

「はい・・・」

詩織・・・もう少し出番欲しいよね。

しかし・・・典子は・・・ベビーシッターをしながら・・・知人に電話で夫の消息を訪ねるのだった。

しかし・・・運命は・・・新婦の母親・秀子と新郎の姉の夫・広行をコンビニ前で遭遇させるのだった。

それにしても・・・秀子・・・スタイル抜群過ぎるのだった。

ここで・・・もつれるのか・・・二人、面識なかったのか・・・。

一方・・・未亡人キラーの和平は・・・恋愛経験の乏しい伊佐山市長とアイスクリームを食べたことによってあらぬ噂を広められているらしい。

そして・・・極楽寺駅前に・・・たこ焼き屋の屋台が出現し・・・たこ焼きを買ってしまう和平。

家に戻ると熱烈新婚性交渉中の真平はどこか近所の新居に帰宅し・・・美しい未亡人・薫子(長谷川京子)と息子の蒼太(中島凱斗)・・・そして愛娘のえりなに迎えられるのだった。

甲斐甲斐しく夕飯を作る未亡人・・・。

食後の神経衰弱・・・。

良い感じの・・・未亡人と男鰥夫と息子と娘なのだった。

そこへ・・・たこ焼き二人前買って・・・帰宅・・・寄り道だけどな・・・する千明。

千明の心に・・・思わずその場から立ち去るほどの・・・動揺が生じるのだった。

思わず自分の心から目をそむける千明である。

さあ・・・ここからだ。

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2014年5月22日 (木)

娘(大島優子)に性的な意味で親子丼を強要するのは犯罪です~映画・闇金ウシジマくん(山田孝之)

映画「闇金ウシジマくんPart2」の公開中に深夜でPart1のオンエアである。

本編は2時間超の大作だが・・・放送はいろいろな意味で大幅カットされてのオンエアである。

春ドラマのレビューは(月)「極悪がんぼ」、(火)「サイレント・プア」という流れになっているのだが・・・「極悪がんぽ」が金にからんだ犯罪が主題で、「サイレント・プア」は金にからんだ救済が主題である。

その両方を合わせ持ち・・・より深く、よりエンターティメントに仕上がっているのが「闇金ウシジマくん」シリーズだと言えるだろう。

ただし・・・犯罪は「極楽がんぼ」のように薄っぺらくはなく、救済は「サイレント・プア」のように慈愛には満ちていない。

クズたちの人間関係の中でひっそりと花咲く闇の花・・・それがウシジマくんなのだ。

もちろん・・・これを見て・・・クズはクズなりに真面目に生きていこうと思うことが大切なのである。

で、『映画 ウシジマくん(2012年劇場公開作品)』(TBSテレビ201405190151~)原作・真鍋昌平、脚本・福間正浩(他)、監督・山口雅俊を見た。金に価値があるのは信用があるからである。そこには当然、法治国家が関係している。国家である以上、公序良俗が維持される必要があり、秩序は既得権益を保護する。それは簡単に貧富の差を生みだすのである。世界戦争後の安定した世界秩序がどれほどの貧富の差を拡大させたことか。経済力は簡単に支配力に変換される。男尊女卑によって男性の経済力が優位になれば女が売り物になる所以である。一方で徒手空拳(学歴も金もない立場)で一攫千金を狙う方法の一つに口入屋があるのは今も昔も一緒である。美人局があれば女衒もある。売春が禁止された世界ではそれは非合法となる。非合法の社会で信用されるのが暴力なのである。

合法と非合法の間で生きる人間は金を賭けるのと命を賭けるのが同じだという現実を受け入れる必要に迫られる。

つまり、金がなければ生きづらい、命がなければ生きていないということだ。

頭がおかしいために・・・警察に手間をかけさせる困った人も多いが・・・正気の人間は警察のお世話にならないように・・・非合法活動を行う。

法治国家では暴力行為は禁じられている。

暴力で語るものたちは・・・法を信じる相手の口を封じる覚悟を求められるという物語である。

東京近郊で育った小川純(林遣都)はイベントサークル「BUMPS」代表を名乗っている。

東京の繁華街にたむろする若者たちのネットワークを作り、携帯3台にメルアド3000件という人脈を通じて・・・なりあがろうとしている男だ。

しかし、その実態は・・・尚也(井出卓也)やGO-RANJAYを名乗るイケメンダンサーたちに群がる若い女性を選別し、スポンサーである資産家の男性たちに紹介するという・・・擬似恋愛斡旋業なのであった。

裏社会の資金源である売春業スレスレで基盤を築き・・・イベント運営や人材派遣業という正規の企業家になること。

小川純はその危ういパランスの上で足を踏み外しかけていた。

規模を拡大しすぎてイベントを開催するための資金繰りが難しくなっていたのだった。

特にイベントのための会場使用料を踏み倒しまくっている段階に突入しており、なんとしても協賛を得て出資を募る必要に迫られていた。

そのために・・・手持ちの女子数人を派遣して参加したホームパーティーで・・・FXで大儲けしたという猪股(岡田義徳)との賭けに勝ち、100万円の出資の約束を取り付けたことは・・・僥倖だったのだ。

しかし・・・会場に・・・闇金業「カウカウファイナンス」の社長ウシジマくん(山田孝之)が柄崎(やべきょうすけ)と高田(崎本大海)をひきつれて現れると事態は一変する。

猪股は・・・資産家ではなく・・・単なる債務者だったのである。

「明日、事務所に来てくれたら一千万円払う」と虚勢を張る猪股。

「借金の返済をばっくれようとした奴の明日は信用できない」とウシジマくん。

「お前ら・・・闇金だろう・・・犯罪者だろう・・・警察を呼ぶぞ」とウシジマくんの暴力を疑う猪股。

ウシジマくんは電源コードを裂いて、猪股の鼻に一方の電極を差し込むと、もう一方を猪股の眼球に突きつける。

「ドラマとかであるだろう・・・風呂場で感電いる奴・・・実際にやったらどうなるか・・・見たいと思っていた」

「わかりました・・・払いますから・・・やめてください」

「この会場の人間から半金の500万円を立て替えてもらえたら・・・明日まで待とう」

しかし・・・さっきまで友人として振る舞っていた紳士たちは猪股を汚物を見るような目で見るのだった。

ウシジマくんに拉致される猪股。

大切な資金源を失うことでうろたえる小川純。

「待てよ・・・猪股さんを放せよ・・・警察呼ぶぞ」

「邪魔だ・・・」

「・・・本気だぞ」

「金は奪うか・・・奪われるかだ・・・恵んでもらうものじゃない」

ウシジマくんは教育的指導をサービスするが・・・野心に憑依された小川純の心には届かない。

そんな小川純を単純に慕う若者たちは多い。

高校を卒業して進学も就職もせずに母親の勤務するスナックで週末だけアルバイトをするその日暮らしの鈴木未來(大島優子)もその一人だった。

「純くん・・・今度VIP席にいれてよ・・・」

「今度のイベントのチケット30枚さばいてくれたら考えておいてやるよ・・・」

「本当?」

ミコこと鈴木未來には純のいる世界は眩しく輝いているように見えるのだった。

ミコの母親はギャンブル依存症の自堕落な女だった。

母の手一つで育てられたミコだったが・・・母親の堕落ぶりは拍車がかかり、幼い弟のタケルは食事も満足に与えられない状況になっていた。

ついに自宅で売春を始めるミコの母親・文江(黒沢あすか)・・・。

さらに客(中丸新将)の求めに応じ・・・ミコに3P売春をもちかけるのだった。

「深く考えないで・・・ちょっと目をつぶってたらいいんだ。世の中には若い女が楽して稼げる方法なんていくらでもあるんだよ・・・私がこれまで育ててやったんだ・・・今度はあんたがママに楽させておくれよ」

「嫌」

家出をするミコである。

しかし・・・母親はついに「カウカウファイナンス」の顧客となり・・・ミコの前にウシジマくんが利息の取り立てに現れる。

「なんで・・・私が払わないとならないの」

「母と娘だからだ」

複雑な心情でなけなしの金を払うミコだった。

ある意味・・・ものすごくいい子である。

母子を演じる黒沢あすかと大島優子はともに子役あがり・・・。

八百屋の娘は八百屋になり、売春婦の娘は売春婦になるしかない的なニュアンスを見事に醸しだしている。

そんなミコの前に幼馴染の冬美(野口綾奈)が現れる。クラスでも地味な存在だった冬実はピンクサロンに就職したという噂もあり・・・容姿が派手になって金回りもよさそうだった。

最初は渋っていたミコだったが・・・冬実の誘う「出会いカフェ」でアルバイトを始める。

冬実は売春目的だったが・・・痩せても枯れてもアイドル的な容姿のミコは食事につきあうだけで5000~10000円を稼ぎ、店に上納しても一日三万円程度は稼げるようになる。

おそらく日三(一日三割)の利息を十日で五割にしてもらったのだろう。

「利息は私が払うから貸した金はママから取り立てて」とウシジマくんに凄むミコだった。

「えらく鼻息の荒い女ですね」と柄崎。

「あいつは・・・身体を売ってないが・・・心を切り売りしてるんだ・・・まあ・・・そういう自覚はないだろうけどな」と応じるウシジマくんだった。

しかし・・・ウシジマくんは・・・母親の文江に着実に稼がせるために・・・その道のプロを斡旋するタイミングを計っているのだった。

一方、小川純はイベント開催のための借金に追われ始めていた。

会場の手配師であるハコ屋の中西(日向丈)からは300万円の前払いを要求され、イベントの指南役である広告代理店勤務の原(ムロツヨシ)からは売上の上納を求められる。地元の暴走族のヘッドであるブタ塚こと石塚(手塚みのる)からも顧問料を請求される始末である。

腐れ縁があるネッシーこと根岸(鈴之助)に借金を申し込む小川純。

「お前・・・背伸びし過ぎなんだよ・・・借金しまくって人脈広げるどころか狭くしてるだろ」

「次のイベントが成功したら・・・すべてが変わるんだよ」

ネッシーはまいたんこと舞(坂上麻美)を使って美人局を行い稼いでいた。そんな男に説教されたくない小川純だった。

「こうなったら・・・闇金から金借りるか」

「利子を払うなんてアホだよ」

しかし、ネッシーは闇金は違法だから・・・踏み倒せると嘯く。

それにヒントを得た純は・・・こわいものしらずの絵を描くのだった。

人脈の中からバカな女子を選び出し、恐喝で被害届を出させ・・・ウシジマくんから示談金をせしめようという無謀な作戦だった。

裏社会の常識を破った小川純の素人計画によって窮地に立たされるウシジマくん。

利息の取り立てのために女の呼び出しに応じたところで・・・黒岩刑事(古館寛治)らに現行犯逮捕されてしまうのだった。

闇金撲滅キャンペーンに賛同しているが裏の仕事もこなす西尾弁護士(金田明夫)を呼びだす拘留中のウシジマくん。

「逮捕されたことを柄崎に伝えてくれ」

「示談にすると・・・起訴は免れられないよ」

「闇金業務を摘発されたら・・・俺は終わりだ」

「とにかく・・・五人に訴えられている・・・妙な女が四人と・・・」

「小川純か・・・」

「どうして・・・」

「とにかく・・・五人のことを柄崎に伝えてくれ」

「・・・」

正攻法ではないことは弁護士には委託しない・・・暗黙の了解をする二人のプロフェッショナル。

「とりあえず・・・金だよ・・・」

訴えの取り下げに応じないバカな女。

弁護士が去ると柄崎が現れる。

バカな女の取り巻きたちは・・・柄崎の存在にすでに下手にでるのだった。

「お前・・・なんかしたのか・・・」

「知らないよ・・・」

「知らねえじゃ・・・すまないぞ」

たちまち事務所に連れ込まれるバカな女だった。

刑事たちは・・・すでに・・・事務所の家宅捜査の準備に入っていた。

しかし・・・当然、事務所は緊急避難場所に移転していた。

その物件を・・・ドラマ「闇金ウシジマくん」(第一シリーズ)でAV女優あがりの社員だった千秋(片瀬那奈) が再就職の報告に来る。

踏み込む側と踏み込まれる側の切りかえしのお約束である。

刑事たちの踏み込んだ事務所はもぬけの殻。

カウカウファイナンス一同は・・・ノックの音に緊張するという展開である。

ちなみに・・・映画版の受付事務員は・・・あつ子(雪子)だった。

もちろん、キッドには歴代受付事務員・小百合(西條るり)、あつ子、摩耶(久保寺瑞紀)の区別は難しい。

しかし・・・なんとなく・・・存在のニュアンスは分かるのだった。

ウシジマくん不在のカウカウファイナンスはどうやら堅気の世界に戻るらしい千秋を生温かく迎えるのだった。

イベント開催直前の小川純に問題が持ち上がる。

ファンの女に無理射ち(和姦とはいえない性的交渉)をしていたイケメンの一人・尚也が一匹狼の暴力者・肉蝮(新井浩文)に拉致監禁されてしまうのだった。

「こいつ女に悪いことしてたから・・・折檻してるんだ・・・解放してほしいなら百万持ってこい」

「百万・・・」

小川純はまたしても切羽詰まるのだった。

拘留中のウシジマくんはオムライスのケチャップ不足に凹む。

ミコは冬美と衝突する。

「あんた・・・私がウリ(売春)やってるから・・・避けてるでしょう」

「そんな・・・私だって似たようなもんよ」

「似てるわけないでしょ・・・性病に怯えながらオヤジたちに中出しさせてる私と・・・食事して金もらってるあなたのどこが同じなのよ・・・私なんか・・・仕事も家も最低なんだよ」

「ごめんなさい」

「口だけであやまらないでよ」

親に売春しろと言われているとは口に出せないミコだった。

売春だけはしない・・・それがミコの崖っぷちだった。

客と食事中の・・・ミコの元へ・・・小川純が現れる。

自分の身を案じてくれたと勘違いするミコ。

「心配しないで・・・ウリやってるわけじゃないから」

「百万円なんとかならないか」

「一ヶ月あれば・・・なんとかできるかも」

「それじゃ・・・間に合わないよ・・・お前ならその気になれば風俗店で百万円なんて」

憧れの小川純に売春を仄めかされ・・・店を飛び出すミコだった。

小川純には夢の女がいる。

手の届かない高嶺の花。

ミコはそうではない。

手持ちの札の一枚だ。

しかし・・・何故か後ろめたさを感じる小川純。

そこへ・・・バカな女から電話が入る。

「カウカウから・・・口止め料とれたよ・・・あんたにも払うって・・・」

小川純は「勝利者の気分」に浸る。

しかし・・・バカな女はカウカウに拉致監禁されているのだった。

それでも・・・被害届の取り下げを条件に百万円を入手する小川純。

なんとか・・・肉蝮に熱湯拷問中の尚也を救出する。

だが・・・ウシジマくんは・・・すべての被害届が取り下げられ無罪釈放されたのだった。

野獣は野に放たれたのだった。

小川純は・・・野獣に噛みつけば食うか食われるかだ・・・という掟を知らない愚か者なのである。

やがて・・・華麗なイベントの幕があがる。

華やかな宴に・・・気分が高揚する小川純。

一方で出会いカフェのミコはようやく悲哀にたどり着くのだった。

流されて何もない孤独な自分に気がつくミコ。

心を売って金を得ていた自分の憐れさにいたたまれなくなるのだ。

得意の絶頂にある小川純の前にはウシジマくんが現れる。

「借金、借金の利息、営業妨害による損害・・・もろもろあわせて一千万円だ・・・とりあえず、今夜の売上は全額回収する」

「そんな・・・」

頼みのブタ塚はウシジマくんの顔を見るなり去った。

そこで・・・小川純は・・・肉蝮とウシジマくんを対決させるように仕組む。

コンビニで包丁が入手できなかった肉蝮は百円ショップで包丁を買ってイベント会場に到着する。

ウシジマくんの鉄拳。柄崎の消化器。千秋のパイプイスの連続攻撃。

最後は高田が営業車をぶつけて・・・肉蝮は戦闘力を奪われる。

「殺せよ」

包丁をつきつけられ・・・挑む肉蝮。

しかし・・・ウシジマくんの眼光に怯むのだった。

「わかった・・・もう・・・やめてくれ」

ウシジマくんは肉蝮の屈服を認めるのだった。

けれど・・・現実から目を背ける小川純には・・・ウシジマくんの恐ろしさが見えない。

死の匂う営業車の中でまだ虚勢を張るのだった。

「お前なんか・・・犯罪者だ・・・今度は訴えを取り下げないからな」

「そうか・・・それなら・・・俺にも考えがある」

ウシジマくんは・・・堅気になる千秋を下車させる。

「達者でな」

「社長・・・」

営業車は地獄行きに車線を変更するのだった。

人里離れた山奥。

小川純は樹木に縛り付けられる。

「おい・・・やめてくれよ・・・たかがはした金で・・・人を殺すのか・・・」

「ゴキブリなんか・・・存在するだけで毒殺されるぞ」

「勘弁してください・・・警察には行きません・・・金も払います」

「さっきと言うことが違うじゃないか・・・お前の言うことは信用できない」

「助けてください」

「お前の人脈から・・・三人選べ・・・一人でも借金の保証人になったら・・・チャンスをやる」

一人目・・・ネッシー。しかし・・・ウシジマくん逮捕劇の発案者として高田に制裁されたネッシーはモコこと看護師・葉山朋子(希崎ジェシカ)の勤務する病院で意識不明だった。

二人目・・・イケメンゴレンジャイの春樹・・・しかし打ち上げパーティーの真っ最中で着信無視。

三人目・・・実の親。寝ているところらしく・・・電話に出ない。

「親にも見捨てられたな」

そこへ・・・事情を知らないミコから電話が入る。

「ミコか・・・頼みがある」

「私ね・・・やり直してみようと思うんだ・・・純くんが眩しくてうらやましかった・・・でも自分の手の届かない世界をいくら憧れても・・・なんにもならないもんね・・・でも、純くんのことは応援し続けるよ・・・頼みってなに?」

「いや・・・もう・・・いいんだ・・・ミコ・・・がんばれよ」

虚栄心を捨て去ることができない小川純。

そして美談はウシジマくんには通用しないのだ。

愚かな若者を残しウシジマくんたちは・・・去った。

小川純を囲む・・・色とりどりの蟲たち・・・。

夜の森は弱肉強食なのである。

小川純が虚しく大地に還った頃、ミコは時給780円のファミリーレストランでウエイトレスとして働いていた。

最後の利息をウシジマくんに支払う。

同僚(市原隼人)は心配そうに見守るが・・・ミコの表情は晴れ晴れとしていた。

「大丈夫・・・」

「はい・・・私もいろいろと勉強しましたから」

「勉強って・・・」

「お金を稼ぐのって大変なんだなあ・・・とか」

「そうか」

ミコの明るい声に微笑むチョイ役の同僚だった。

ミコは覚悟を決めて・・・どうしようもない母親と・・・可愛い弟の待つ家へと帰る。

その顔には以前にはなかった気迫が現れている。

「時給780円じゃ・・・苦しいでしょう・・・金を貸しますか」と柄崎。

「あいつは借りないだろう」と断言するウシジマくんだった。

しかし・・・すべての人間たちは・・・いつでも境界線に立っているのだ。

世の中には二通りの人間しかいない・・・闇金から借りる人間と借りない人間である。

賢い人間は借りない。

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2014年5月21日 (水)

妻よりも餃子を愛した夫(深田恭子)だけど介護しちゃうぞ(前田亜季)

全9話なので・・・今回を入れて残り3話である。

(1)ゴミ屋敷の老女を助ける

(2)多重困窮家庭のニートを助ける

(3)余命宣告されたホームレスを助ける

(4)若年性認知症の徘徊者を助ける

(5)30年間引きこもりを助ける

・・・ここまで奇跡を起こしまくって・・・重い現実に救いを示してきたヒロイン。

(6)在日外国人の困窮の救助失敗。

序破急の構成なら・・・(1)~(5)までが序。

(6)が破となって・・・ここから(7)~(9)までが長めの急ということになるだろう。

当然、残り三回は序破急に分割できる。

今回は・・・序破急の急の序であり、ヒロインの核心である「阪神淡路大震災のトラウマ」が概ね明らかになった。

現実は思わぬ過酷さを人間にもたらす。

それでも生きていく人に・・・制度が何を為すべきか・・・ドラマは淡々と物語を紡いでいくのである。

で、『ドラマ10・サイレント・プア・第7回』(NHK総合20140520PM10~)脚本・相良敦子、演出・清水拓哉を見た。おそらく国籍の違う母子がこの国で暮らせるように軟着陸を試みたどんな貧困も許さないCSWの里見涼(深田恭子)だったが・・・別の制度を維持する組織(警察)によって・・・任務を妨害されてしまう。「助けようとしたが・・・助けられなかった」・・・不法滞在の摘発を惧れて消息不明となった母子によって・・・涼の古傷は疼く。同時に・・・涼を主人公と考えればヒロイン・ポジションの新人職員・三輪まなか(桜庭ななみ)にも挫折の時が訪れる。絶体絶命のヒーローたちを救援するために・・・やんちゃな聖女・みき(前田亜季)が降臨するのだった。

救助の失敗を補うものは新たなる救助しかないのである。

先制点を奪われたらとりあえず同点に追いつくしかないのだから。

心理的に追い詰められた涼を慰める江墨区(フィクション)社会福祉協議会地域福祉課の近藤事務局長(モロ師岡)・・・。

しかし・・・そこに舞い込む救援要請。

たちまち、復活する涼なのだった。

江墨病院の顔見知りの看護師(久保田磨希)・・・女性主人公をフォローさせたらピカイチなことになってきたな・・・は手早く事情を説明する。

交通事故で入院した一口餃子店「ささやん」の店主・啓(成河)は一命を取り留めたが高次脳機能障害の後遺症が残り、全身麻痺に近い身体状態の上に記憶障害で失語症状態である。長期入院の限度が来たために・・・療養病院への転院を医療スタッフが提案したところ・・・患者の妻・みきが自宅療養を申し出たという。

患者の状態から・・・支援なしでの自宅介護は困難が予測され・・・「病院が厄介な患者を追い出した」感じを払拭したいというのが病院側の事情であった。

すでに・・・スーパー救援ヒロイン・モードに入った支援対象のみきをキャッチして寄り添い始めるのだった。

しかし、みきはゲストとしての存在感を越え・・・先制攻撃に出る。

「クリーニング吉岡の娘さんですよね」

「あ・・・祖父が吉岡で・・・私は孫の里見です」

「うち・・・同じ商店街の・・・ささやんです」

「あ・・・」

町内に困窮していた人がいて・・・気がつかなかったことにうろたえる涼だった。

みきは・・・希望している「自宅介護」へ涼を誘導するのだった。

「夫には古い記憶が残っているので・・・店舗兼自宅に戻れば・・・回復のきっかけがつかめるかもしれないんです」

「ささやん」を実況見分する涼。

ささやん夫妻には身よりがなく・・・経済的にも豊かではないために・・・療養病院への転院が難しいことを察する涼だった。

「高齢者ではないので・・・障害者として・・・できるだけのケアをします」

「ありがとう」

「でも・・・心身ともに大変ですよ」

「覚悟しています」

「困ったことがあったら相談してください」

「はい」

涼はたちまち・・・みきの中に潜む「思いつめた事情」を察するが・・・それを問いつめることはせず・・・見守る姿勢に入るのだった。

心配していた隣人も・・・退院の報を聞いて駆けつけるが・・・まるで廃人のような啓に言葉を失ってしまう。

とりあえず・・・介助のためのリホーム助成金や障害者手帳の入手などの初期手続きを終えた涼は夫妻を残して事務所に戻る。

しかし・・・そこでは三輪まなか(桜庭ななみ)の担当していた独居人が孤独死し・・・死体をまなかが発見してしまうという不幸が発生していた。

ショックで動揺するまなかは「私なんかに誰かを助けることができるのでしょうか」と涼に問う。

涼は・・・その答えに無言で応ずるしかない。

明らかにまなかに気がある男性職員・梶田(千代將太)は心なく涼を「冷たい」と詰るのだった。

涼のやりすぎる援助に反感を持つ職員たちは激しく同意するが・・・そうでない職員は無言で・・・事務局には微妙な空気が漂う。

ここでお茶の間は知っているが・・・登場人物たちが知っているとは限らない涼のトラウマがドラマに深みをもたらす。

本人の口から・・・それを聞きだしたのは・・・救援側では・・・江墨区役所地域福祉課の山倉課長(北村有起哉)である。

また・・・民生委員の石田敬子(坂井真紀)もある程度の事情を知っている。

涼の母親の幸子(市毛良枝)さえも・・・涼の口から「その話」を聞けないでいる・・・涼の伝家の宝刀なのである。

ショックのために欠勤してしまうまなか。

それを思いやる涼の前に山倉課長が現れて・・・「結果がすべてじゃない・・・しかし・・・私たちがやるべきことはやる」と・・・孤独死予防のための見守り強化を宣言する。

涼は山倉課長の助立ち姿勢に・・・たちまち・・・フレッシュアップである。

春の嵐が吹き荒れる「ささやん」をじっと見守る涼。

その中でものいわぬ夫を介護するみきの孤軍奮闘は続くのだった。

「ささやん」は商店街の新参者であった。

当然・・・店の歴史は浅い。

経営は順調ではなく・・・夫婦で諍いが生じることもあった。

悲劇はその時・・・起きたのである。

涼は・・・その「事情」をみきの中に直感的に見出している。

だが・・・そこには涼の方から立ち入ることはできない。

みきが打ち明けてくれるのを待つ。

それが涼のスタイルなのだ。

一方・・・商店街の人々はお節介である。新参者である「ささやん」の困難にひと肌脱ぎたいのだった。特に奥さんが美人なので男衆の熱意は高まる。

スポーツ万能だったささやんのために・・・草野球大会を開こうというのが男たちの結論だった。

河川敷の野球場に・・・招待されるささやん夫妻。

しかし・・・夫は無反応だった。

妻は・・・元気だった頃の夫の姿を回想し・・・胸がつまるのだった。

その胸中を完全に読みとる涼だった。

「なんだか・・・悪いことをしてしまったみたい」

「そんなことはないですよ・・・でも・・・もう一人でがんばるのは限界みたい。この店を売って・・・地方の療養病院に夫を入院させて・・・傍にアパートでも借りようと思ってます」

「・・・」

「あの日・・・私、喧嘩しちゃったんです・・・経営に自信がなくなって・・・店をたたもうなんて・・・夫に言ってしまって・・・」

「・・・」

「その後で・・・こんなことに・・・夫は今も私のことを怒っているのかもしれない」

「餃子焼きましょうよ・・・最後に・・・ささやんの餃子を・・・」

「え・・・」

「ご主人のために・・・」

「はい」

その頃・・・涼と山倉課長の仲を勘繰る・・・明らかに童貞の新聞配達員・郷田光良(渡辺大知)は居酒屋屋形船でウーロン茶に溺れる。

見かねた女将の敬子は「涼の悲しい顔の裏事情」を話して聞かせるのだった。

お茶の間も「その朝の全貌」をつかむ。

震災の朝。

崩れた家屋。

身動きできない弟・光(馬渕誉)を残し、崩れた家屋を脱出する幼き日の涼(山田萌々香)・・・眼前で瓦礫が崩れ・・・生き埋めになった光に燃えあがる炎。一足遅い救助隊が到着し・・・弟の名を呼びながら身悶える少女・・・。

そういう事象がいたるところで起っていたその日・・・。

郷田光良は涼の背負った傷の重さに震えるのだった。

みきは・・・夫の残した餃子日記を取り出す。

夫が書き遺した結婚記念日の・・・メモ。

「二人で初めて作ったレシピを今日は作ってみよう・・・」

みきは求めていた答えを見出す。

みきは涼の前で一口餃子を包みだす。

早くも反応している夫。

「涼さんも包んでくださる」

「はい」

ふたりの女は餃子を包む。

やがて・・・焼かれた餃子が音を立てる。

「私・・・この音が好きなんです」

涼は思わずふりかえる。この音はきっと・・・。

案の定、その音はみきの夫を覚醒させていた。

涙を流し・・・餃子に反応する夫だった。

「みきさん・・・」と涼。

「あなた・・・」とみき。

私の温もりより・・・餃子か・・・とみきが思い至った時・・・夫が口を開く。

「ありがとう・・・みき・・・ありがとう」

餃子は鎹(かすがい)という話です。

だじゃれかよっ。

夫婦は危機を乗り越えたのであった。

二週間ぶりに・・・涼を讃える河原の虫たちが鳴き出す昼下がりであった。

孤独死をした住人の家に花を捧げるまなか。

そこに・・・ベテラン職員の久慈(田口浩正)が現れる。

「お前の名刺をさ・・・故人は受け取ってた・・・」

「・・・」

「だからさ・・・故人は・・・孤独じゃなかったんだ」

「・・・」

「世間じゃなんと言うか知らん・・・しかし・・・本当は孤独死なんかじゃなかったと俺は思うよ・・・」

「ありがとうございます」

まなかを・・・救援する男鰥夫の久慈だった。

しかし・・・さすがにこのカップルは成立しないだろう。

一方で・・・童貞なので山倉課長に思いをぶつける・・・郷田・・・。

「彼女の過去のことを知っているんですか」

郷田と違い・・・本人の口から聞いた山倉課長なのである。

「彼女をちゃんと・・・支えてくれるんですか」

余計なお世話なのであるが・・・童貞だからな。

走り去る郷田を茫然と見送る山倉課長だった。

毎週うっとりと深キョンを眺める火曜日も終わりが近付いているのだなあ。

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2014年5月20日 (火)

家畜と奴隷どっちにする?(椎名桔平)選べんわっ(尾野真千子)そこに愛はありますか(三浦翔平)

家畜より・・・奴隷だよな・・・人間だもの。

奴隷なら滅多に食べられないよね。

・・・選ぶのか・・・。

愛の奴隷はあっても・・・愛の家畜はあまりないよな。

いや・・・家畜あつかいもなかなか・・・。

それはあんたが変態だからだろう・・・。

奴隷だろうと、家畜だろうと・・・人間としてのプライドを忘れなければな。

言ってる意味がわからねえよ。

今回はスマートな演出。

極端に軽くなるんだよな。

まあ・・・三人の演出家の個性が出て面白いとも言えます。

株券偽造したら・・・本物とすり替えると完璧だよな。

それだと窃盗がつくじゃないか。

いや・・・もう・・・なんでもありだろう、このフィールドは。

ある意味、「麻雀放浪記」の死ぬまで終わらないゲームみたいな。

で、『極悪がんぼ・第6回』(フジテレビ20140519PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・いずみ吉紘、演出・石井祐介を見た。刑法第162条で「行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、3月以上10年以下の懲役に処する」のが有価証券偽造等罪である。この場合、真矢樫キリコ(仲里依紗)が罪に問われる。刑法第163条で「偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、3月以上10年以下の懲役に処する」のが偽造有価証券行使等罪である。神崎薫(尾野真千子)はこの罪に問われるが・・・あくまでそれは日本国の話である。ここは地の果て金暮市(フィクション)なのでなんでもありなのだった。

小清水経営コンサルタントの看板料を冬月啓(椎名桔平)に立て替えてもらった薫は・・・借金の返済に追われるのだった。

そんな・・・薫に・・・仕事を与える冬月だった。

「ありがとうございます」

「奴隷は・・・生かさず殺さずだ」

「・・・」

顧客の巻上金融社長(宇梶剛士)から投遣警備保障社長(今井雅之)の借金取り立ての依頼を受けた冬月は・・・借金の担保として・・・投遣警備保障の株券60株を入手する。

冬月はそれを善意の第三者である薫に渡し、大株主として株主総会の開くように要求させるのだった。

投遣警備保障の総株数は200株。

現在は60株なので30%を保有しているわけだが・・・冬月は他の株を入手し、会社の乗っ取りを計画しているのである。

早速・・・薫は投遣警備保障に乗り込むが・・・冬月から撤退命令が下るのだった。

巻上金融社長から・・・投遣警備保障のバックに警察幹部がついているという情報を得たからであった。

伊集院刑事から関連情報を聞き出す冬月。

黒幕は・・・かって汚職を摘発されそうになり・・・先手を打って冬月を冤罪の罠にはめた犬神(國村隼)だった。冬月は警察を追われ、犬神は金暮県警幹部に昇進していたのだ。

道路工事等の警備を行政指導の名目でペーパーカンパニーに誘導し、投遣警備保障などの下請けに発注することで中間搾取をするシステムである。

もちろん、汚職であるが・・・犬神を摘発する浄化力は金暮県警にはないらしい。

冬月にとって犬神はうかつに手が出せない相手だった。

中止命令に不満を感じる薫。

腐れ外道(三浦翔平)とともに再び投遣警備保障に乗り込み、仕事を続けようとする。

しかし、投遣社長に泣きつかれた犬神が強権を発動し、小清水経営コンサルタントは警察の手入れを受ける羽目になる。

命令を無視した薫を鉄拳制裁する冬月。

「奴隷は主人に忠実であれ」

「・・・」

だが・・・小清水所長(小林薫)は薫にシャトーブリアンのメダリオンカット・ステーキを振舞って・・・冬月と犬神の因縁を話し・・・薫に冬月の手助けを示唆するのだった。

薫は冬月を慕うキリコと協力して株券の偽造に踏み切るのだった。

人質として無価値=愛されていない腐れ外道が拘束されている投遣警備保障に偽造株券を持って乗り込む薫。

腐れ外道・・・60株

薫・・・・・・・・100株(偽造)

投遣・・・・・・100株

その他・・・・40株

しかし・・・投遣の株は偽造株と通し番号が同じなので相殺され・・・。

腐れ外道・・・60株(60%)

その他・・・・・40株(40%)

腐れ外道が筆頭株主となり、投遣社長は解任され、薫の乗っ取りは成功する。

もう・・・なんでもありである。

「俺が社長か・・・」と先輩のホストCLUB騎士団(ナイツ)を経営する諸子氏武(綾小路翔)に憧れる腐れ外道は思わず呟く。

「アホかお前は奴隷じゃ」と毒づく薫だった。

一方でリベンジに燃える冬月は密かに調査を進め・・・政界進出を目論む犬神が献金している政治家の蟹股歩(浜田晃)の秘書(山本浩司)に接近する。

犬神と蟹股との癒着の暴露の抑止と引き換えに・・・犬神とペーパーカンパニーの関係についての証言を得る冬月だった。

ペーパーカンパニーから犬神への送金と薫が手に入れた投遣警備保障からペーパーカンパニーの送金・・・双方の資料を押さえた冬月は犬神に迫る。

「なんだ・・・私を告発するつもりか」

「そんなことをしても一銭にもなりませんよ・・・ペーパーカンパニーの権利をいただいて・・・あなたを食うだけです」

「私は君の家畜になるわけか」

「ええ・・・豚は太らせて食えっていいますからねえ」

薫もようやく・・・「悪を野放しにするのか」とは言わなくなった。

なにしろ・・・薫本人がすでに完全な犯罪者なのである。

薫と冬月の前に所長が現れる。

「投遣警備保障は私にくださいね・・・欲しがっている人がいるんですよ」

「はい・・・」と冬月。

「ええっ・・・私の取り分・・・」と薫。

「ちゃんとやるから・・・黙ってろ」と冬月。

所長はにこやかに去って行く。

「俺たちもな・・・あの人の家畜なんだよ」と冬月。

「生かさず・・・殺さずですか」と薫。

「そして・・・いつか・・・食われちまうんだ」

それが闇の食物連鎖なのだった。

所長→冬月→薫→腐れ外道なのである。

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2014年5月19日 (月)

兵法三十六計の十・・・笑裏蔵刀と軍師官兵衛(岡田准一)

人気女優だから掛け持ち出演は当たり前なのである。

しかし、なでしこベトナム戦のために「死神くん」が一回お休みで・・・桐谷美玲不足だったわけだが・・・ここで荒木だしの出番が多かったのだった。

しかし、史実に登場するだしらしいだしだと・・・退場の日は近いのである。

このスタッフは・・・荒木村重と中川清秀が従兄弟と言い張ってるのでどうなるか・・・不明である。

まあ・・・村木系図も中川系図も謎に満ちているのである程度のフィクションは許容範囲である。

ちなみに根拠は不明だが・・・司馬遼太郎の「播磨灘物語」では中川重清(清秀の父)が娘を村重に与えたことになっており・・・その説によれば村重と清秀は義兄弟ということになる。

キッドは司馬氏が・・・古田織部と村重を混同したとは思わないが、この脚本家が・・・義兄弟を従兄弟と読み間違えた可能性はあると思う。ついでに清秀と高山右近が従兄弟というのを混同している可能性もある。

そもそもだしがだしなのかたしなのかも不明な男尊女卑の世界なのである。

だしの享年は21とされている。これを信じれば生まれたのは1558年前後である。荒木村重が頭角をあらわすために必要だった摂津池田氏の一門化のために池田長正の娘を正室とすることは自然である。長正は永禄六年(1563年)まで生きているのでだしがその娘であることは可能だ。

また・・・村重は義兄弟の池田知正と組んで池田宗家に謀反したのが元亀元年(1570年)なので・・・村重はだしが12歳頃に婚姻したものと考えられる。

村重の嫡子とされる村次が永禄四年(1563年)生れとすると・・・村次がだしの子である可能性は低くなるが・・・村次の生没年は確定したわけではないので村次が村重と池田だしの子供である可能性は完全には否定できない。

また・・・村次は伊丹氏の一族・北河原氏の娘を母とする説もある。そうなればだしは北河原氏の女ということになる。

ついでにだしがクリスチャンネームであるという珍説もあり、このドラマはおそらくその影響を受けているらしい。

だしが信長の側室の一人・生駒吉乃と前夫の娘であるという説もある。

この場合、信長は義理の娘を村重に与えたことになる。だしの運命を考えると信長の冷酷さを際だたせる趣向ということだ。

このように・・・だしは・・・池田氏の娘なのか、伊丹氏の娘なのか、中川氏の娘なのか、信長の娘なのか・・・諸説ある女なのだった。

まあ・・・そういう謎の女を演じる桐谷美玲が・・・美しいのですべて許容する体制である。

「笑裏蔵刀」は戦力が拮抗している時に、友好を装っておいてから裏切るというみもふたもなく卑怯な計略である。

だが・・・それが兵法というものなのだ。

敵中に乗り込んでまんまと虜囚となり・・・さらに相手に丸腰で降伏を求めるとは・・・官兵衛・・・バカなのか。

いや・・・敵の女に助けられるところは・・・軍師というよりはジェームス・ボンド的な・・・ヒーローなんだな。

もう・・・とりあえず笑って・・・懐に隠した刀を・・・抜きたいです。

で、『軍師官兵衛・第20回』(NHK総合20140518PM8~)脚本・前川洋一、演出・本木一博を見た。画伯のレビューがまだなので・・・っていうかついに・・・見捨てられたのか軍師官兵衛・・・ドラマ「リバースエッジ大川端探偵事務所」からまたもやオダギリジョー描き下ろしで。探偵事務所的には・・・キッドの願望としてはアシスタントも含めてトリオで揃えたいところでございます。ついでに(木)有村架純、(金)桐谷美玲、(土)有村架純、(日)桐谷美玲と夢の如き展開の今季・・・ありがたい描き下ろしをお待ちしている今日この頃でございます。し・か・し、あくまでマイペースでお願いします。だから・・・私信はコメント欄でしろと何度言ったら・・・。・・・と言っている間にikasama4様が更新なさっておいででした。今回は二十八行で・・・だけど19~20回まとめてなので実質十四行・・・官兵衛、風前の灯ですな。なんていうか、フリオチの基本ができてないのですよねえ。三角飛びするならそういう修行をしていないと・・・みたいな。今回のイラストはNHK大型時代劇「真田太平記」の山中大和守俊房・・・現在の時系列では柴田勝家配下の忍びでございます。妄想では来週、大物忍者に転生する予定でございまする。

Kan020 天正六年(1578年)十月、荒木村重の有岡城に入場した小寺官兵衛は消息を絶つ。同時に播磨国御着城の小寺政職は毛利との同盟を表明。織田信長はただちに小寺家の人質である松寿丸(官兵衛嫡男)の処刑を命ずる。秀吉はこれを受け竹中半兵衛と相談の上で松寿丸を隠匿することを決意する。官兵衛不在の播磨で姫路城代・黒田職隆(官兵衛の父)が小寺氏から独立し、秀吉への臣従を誓ったからである。秀吉としては命令違反だが、これは秀吉の常套手段であった。戦勝後の信長の気分を読んだのである。十一月六日、九鬼一族の率いる鉄甲船部隊は木津川口で毛利船団を撃破する。これによって摂津は海上封鎖され、石山本願寺の包囲は完成する。九日、信長は山崎に着陣し、荒木村重攻略戦を開始。十日、信長はオルガンティノ、フランシスコら宣教師を召集し、高槻城の高山右近調略を命ずる。十六日、説得に応じ右近は高槻城を開城。一方、茨木城の中川清秀には義兄弟の古田織部が説得に当たり、降伏開城に応じさせた。つまり・・・中川清秀の内通問題によって発生した荒木村重の謀反は中川清秀の信長への帰服というとんでも展開を生じさせたのである。現代から言えば悪名高い感じだが・・・清秀はこの後、問題なく出世する。前哨となる茨木城、高槻城を失った荒木村重は野戦を挑むが、秀吉、明智光秀、滝川一益、安藤、氏家、稲葉の美濃三人衆、細川藤孝など錚々たる織田軍団に一蹴される。十二月、早くも有岡城は織田軍団に包囲されてしまうのである。

竹中半兵衛の命を受けた飛騨の忍者、赤影、青影、白影の三人は、長浜城から人質・松寿丸と郎党を神隠しすることに成功した。

飛騨忍軍に守られた松寿丸は近江と美濃の国境を越え、騎馬で竹中半兵衛の用意した山中の古城へと向う。

「父上は・・・殺されたのですか」

松寿丸の問いに・・・忍びたちは無言で応じるのだった。

馬上の松寿丸は唇をかみしめた。

神明尼は有岡城内に潜伏していた。

一万あまりの軍勢をかかえる有岡城は摂津国の首府でもあり、平時において人の出入りは激しい。隣国である摂津国に黒田忍びは早くから草を入れている。

伊吹のおうまや、母里のお国など官兵衛ゆかりのくのいちたちもすでに婢として有岡城の女衆となっている。

神明尼にとっては有岡城に忍びこむことは赤子の手をひねるがごとき仕事であった。

「官兵衛殿はどうなされておる」

「北の岩窟に幽閉されておいでです」と城内の女中部屋でお国が忍び声で応える。

「村重殿もお優しいことよ・・・」

「お互いに相手を説得できると思っておられるようで・・・」とおうまが口を挟む。

「食事はどうなされておるのじゃ」

「キリシタンである加藤重徳と申すものが村重殿の許しを受けて差し入れておりまする」

「城内に・・・キリシタンがの・・・」

「城内には本願寺派とキリシタン派の二つの派閥ができております。お方さまは本願寺派・・・側室の方にキリシタン派の方がいらして・・・それなりに諍いもございます」

「どちらが・・・優勢か」

「数は本願寺派が多くございますが・・・村重殿は・・・無神論者でございますから・・・」

「茶の湯があれば・・・神も仏も無用なのですね」

「右近殿の裏切りにあっては本願寺派が色めきたちましたが・・・その日のうちに本願寺に通じていた中川殿も裏切りとあって・・・城内は騒然でございました」

「中川殿も節操のないことでございますね」

「播磨の黒田のくのいちは他に十名ほどが城に入っておりまする」

「そうですか・・・官兵衛殿の身の周りの世話は・・・」

「村田のおきぬ様が・・・着替えなどを」

「おきぬ様は女中頭でしたね」

「はい・・・それで・・・官兵衛殿をいつお救い申し上げますか」

「それは・・・まだ定めの時が参っておりませぬゆえ・・・」

「けれど・・・身動きもままならぬ岩窟でございます・・・いかに不死身の殿といえどもお身に障りまする」

「この幽閉は・・・官兵衛殿にとって覚醒をもたらす・・・いい機会なのです・・・不自由な時を過ごすことが・・・あの方の甘さを消しさるのです」

「・・・」

二人のくのいちは思い当たることがあるのか・・・顔を見合わせて微笑んだ。

摂津の国に冬が到来していた。

官兵衛は冷たい岩窟で身をかがめ頭を冷やしている。

入牢時には床一面に蠢いていた虫たちも少なくなった。

「退屈だな・・・」

官兵衛は独り言をつぶやいた。

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2014年5月18日 (日)

女殺未遂球地獄(二宮和也)殺されるのは嫌よ(有村架純)さよならの決心(本郷奏多)

人気女優だから掛け持ち出演は当たり前なのである。

しかし・・・木曜日に社会人として惨殺されて・・・土曜日に高校生を演じていると・・・まるで在りし日の姿みたいで・・・悲しくなるじゃないかっ。

フィクションの中にはやたらと人が死ぬドラマは嫌いというプロデューサーがいるわけだが・・・現実を模倣する芸術作品には「不条理な死」はつきものである。

しかし、文化祭なのに・・・観客を暗い気持ちにしてどうするというフィクションの高校教師もいるわけである。

鼻血が出るのは現実と違うとして・・・フィクションなのである。

まあ・・・ノンフィクション的な発言もあるから微妙だけどな。

それに・・・表現の自由とビジネスの関係にも悩ましい問題はあるよ。

吹けば飛ぶような表現の自由に賭けた命を笑えば笑えなのだね。

女子高生コンクリート詰め殺人事件→こんな女に誰がした→従軍慰安婦問題→北朝鮮による拉致事件→韓国フェリー転覆事故→ナイジェリア女生徒誘拐事件→MOZU→女殺油地獄・・・である。

この世界はそもそもとんでもないところなのである。

それを忘れている人には時々思い出してもらわないといけない気分になる誰かがいるらしい。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・第6回』(日本テレビ20140517PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・菅原伸太郎を見た。いつ沈んでもおかしくない船で修学旅行に行くことや、たまたま親切にしてあげた人の関係者に拉致されて拷問されて殺害されたりすることがフィクションであろうがノンフィクションであろうが日常茶飯事な世界で・・・貧富の差による仲間の脱落なんかもよくあることである。小学生くらいで親が夜逃げして一緒にいなくなった友達の一人や二人いるものだろう・・・それはどうかな。まあ・・・そういう時、いなくなられた方にもある程度、喪失感はあるが・・・いなくなった方はもっと大変なのが普通である。人生が思い通りにいかないことを知るのはいいことだと言わざるを得ないのだった。

家庭の事情で・・・高校生活の続行が困難になった元吹奏楽部の八番ファースト亀沢俊一(本郷奏多)・・・。

実家の経済状態は悪く・・・両親にこれ以上負担をかけたくない・・・亀沢は・・・義務教育ではない以上・・・これ以上、親を頼れない心情に追い詰められていたのである。

高校教師として、野球部の監督として青志先生(二宮和也)は亀沢の退学に反対するが・・・それが正しいことなのかどうか悩むのだった。

亀沢も・・・退学を決意しながら・・・それを両親に話し、野球部の仲間たちに話し、理解を得られるかどうかで悩むのだった。

マネージャーの柚子(有村架純)は亀沢の事情を知り、仲間たちと問題を共有するべきかどうかで迷う。

事情を知った仲間たちは亀沢の決意を尊重するべきかどうかで悩むのである。

みんな・・・悩んでグローイング・アップなのである。

悩んで成功することも悩んで失敗することもある。

鯛のお刺身にするか平目のお刺身にするか・・・悩んだあげく、両方注文して食べきれなかった時など・・・悩んだ時間はほぼ無駄に等しいわけである。

しかし・・・小田原の母である楓(薬師丸ひろ子)は人生相談のプロとしてあまり悩まないのだった。

悩んでも悩まなくても同じと達観しているのである。

そもそも・・・悩みを相談するというのは一種の依存であって・・・自己責任の放棄なのである。そんな弱者にいちいち付き合っていたら人生相談者は身が持たない。・・・おいっ。

アドバイスは三通りだ。専門知識によって的確な情報を与える。決断するのは本人だと諭す。そうなんだ、あなたも大変ねえと相槌を打つ。

もう・・・レリゴーレリゴーなのである。

平塚武宮高校に五回コールド十点差負けを喫した野球部・・・。

最後の打席を三振で終えた亀沢。

次こそは負けまいと決意する青志先生。

それなりに燃える野球部員とマネージャーたち。

しかし・・・二週間後の五月下旬には文化祭という行事が控えており、何故か、ノリノリの元監督・増本先生(荒川良々)だった。

亀沢と青志の「退学問題」の攻防が続く頃、恋のライバルである赤岩公康(福士蒼汰)と白尾剛(中島裕翔)、元いじめられっ子だったキャプテン江波戸(山﨑賢人)といじめっ子だった岡留(間宮祥太朗)も恩讐を乗り越えて・・・柚子の見える屋上で早朝練習に励む。

一方で・・・利根璃子(麻生久美子)は報道価値の高い谷内田健太郎(市川海老蔵)と青志との因縁を書くように上司に言われ・・・それなりに悩む。

青志が野球を一度はやめる気になった事件を書くことに抵抗があったのである。

ここに三条校長(笹野高史)が加わって・・・青春人生相談は二重奏となるのだった。

青志の退部問題・・・退部する人・青志・・・ひきとめ役・三条先生。

亀沢の退学問題・・・退学する人・亀沢・・・ひきとめ役・青志先生。

壮大なリフレインである。

「私の気持ちがわかったか・・・」と三条校長。

「わかったからって問題は解決しませんよ」と青志。

「それじゃ・・・私が正解のアドバイスをしたら・・・君の決意は変わったのか」

「・・・」

青志の中で・・・青志の理想と・・・亀沢の自由意志の尊重がせめぎ合うのだった。

一方・・・一人思い悩む柚子は・・・補欠のストーカー志方(桜田通)を叱りつけるフリで・・・亀沢に語りかける。

「補欠だからって手を抜かないで・・・ウチはギリギリの人数しかいないんだから・・・誰ひとり欠けてはならない・・・大切なメンバーなのよ」

そうとは知らず萌える志方だった。

ついに・・・堪え切れず・・・赤岩たちに真相を漏らす柚子。

赤岩たちは困惑しつつ・・・なんとか・・・仲間を励まそうと心掛けるのだった。

そして・・・文化祭の出し物会議である。

紆余曲折の後で・・・目立ちたがり屋の亀沢を主演とする演劇の上演を決める野球部だった。

演目は・・・志方の発案で「女殺油地獄/近松門左衛門」を原作とするのである。

近松晩年の傑作である浄瑠璃「おんなころしあぶらのじごく」(1721年)は放蕩息子・与兵衛の両親・徳兵衛・お沢の老夫婦から金を預かった同じ町内の油屋の女房お吉を借金で追い詰められた与兵衛が自暴自棄の果てに惨殺してしまう物語である。

もちろん、「女殺油地獄」は歌舞伎の演目でもある。

見せ場は・・・油まみれになりながら与兵衛がお吉を殺すシーンである。平成21年の歌舞伎座さよなら公演「六月大歌舞伎」では河内屋与兵衛を片岡仁左衛門が豊嶋屋お吉を片岡孝太郎が演じている。まあ・・・盛り上がるわけである。

お吉を演じる柚子がのたうつ様を妄想するだけでうっとりする志方だった。

まあ・・・そういう気持ちが「MOZU」の残虐拷問シーンを作らせるんだな。・・・おいおいっ。

野球部員たちは・・・なんとか・・・亀沢の決意を翻させようと奮闘するのである。

お茶の間は・・・野球はどうなったのか・・・と思ったりするわけだが・・・野球より青春である。

それでも・・・青志は・・・部員たちに「準備する心の大切さ」を説くのだった。

「バッターボックスでボールが来て驚いてどうする・・・来ることが分かっているんだから・・・来いという気持ちで待ち構えろ」

しかし、亀沢のことで思い悩む青志に楓・柚子母子や・・・利根の女子トリオは諭すのである。

「悩んだ末に・・・決断して・・・進んだ先の未来にあなたがいるのでしょう」

野球を一度は捨てた青志が・・・今、母校の野球部の監督になっている。

そのことに・・・不足はないのである。

青志は・・・その想いをこめて「女殺油地獄」の脚本化にトライするのだった。

同時に、いつの間にか・・・青志の下宿に呼び出される仲になっている利根は青志の承諾を得て・・・青志の退部にいたる顛末を記事にするのだった。

「女殺未遂球地獄(おんなころしみすいたまのじごく)」

作・青志先生

与兵衛・・・亀沢

すぽおつ堂のお吉・・・柚子

与兵衛の義父・・・白尾

与兵衛の実母・・・赤岩

・・・与兵衛の養父・徳兵衛の妻を演じる恋しい赤岩の女形ぶりに思わずうっとりとする柚子だった。

野球部員たちは意外な実力(偏差値が高いので文系のことはある程度なんでもできる・・・っていうかむしろ得意)で舞台を完成させる。

時代考証を無視して油屋はスポーツショップに設定変更され油の代わりにボールが転がるのである。

お吉は・・・与兵衛の親から託された金を渡そうとする。

「ありがてえ・・・しかし、それは受け取れねえ」

「どうして・・・」

頑なに援助を拒む与兵衛・・・。

舞台が進行しないので与兵衛の両親も出てきて説得するが・・・与兵衛の決意は固い。

あげくの果てに勝手に退場しようとする与兵衛。そうはさせじと裏方たち・・・。

稽古を見つめる先生たちは無言であった。

そこへ・・・亀沢の母親から・・・学校へ緊急の電話が入る。

亀沢の父親が発病し入院したのである。

舞台は幕が上がらないまま・・・終了したのだった。

「あいつは・・・一番・・・準備が出来てたな」と赤岩が呟く。

「目立ちたがり屋って言うけれど・・・誰よりも思い出を作ろうとしてたんだ・・・」

何不自由のない赤岩は・・・誰よりも悩める若者の気持ちに敏感なのである。

野球部の出し物は・・・メニューにレモ冥土、餓鬼氷、六道団子などがある「女殺未遂球地獄カフェ」になるのだった。

女殺Tシャツもあることだしな。

こうして・・・城徳祭は終了した。

青志は・・・亀沢に教師として何もできなかったけれど・・・最後に最高の思い出を贈りたいと考えるのだった。

幸い、亀沢の父親の病状は軽かった。

しかし・・・亀沢はついに退学について親の同意を得て・・・退学届を提出する。

そんな亀沢を・・・グラウンドに呼び出す青志とナインとマネージャー。

「最高の打席は用意できなかったけど・・・最後に指揮者をやってくれ・・・」

晴れ晴れとした表情で整列した部員たち。

「小田原城徳高校・・・校歌斉唱・・・」

相模の海に

茜さすところ

そびえる山に

たかまりし

あふれる希望

輝く未来・・・

ふるさとへ向かうバスの中で亀沢は・・・利根の書いた記事を読む。

青志が・・・退部していたことを知り・・・亀沢は青志の心を察するのだった。

なにしろ・・・偏差値が高いのである。

そして・・・ストーカー志方はレギュラーの座を獲得したのだった。

八番ファースト志方で・・・大丈夫なのか・・・。

まあ・・・元々、大丈夫じゃないからいいか。

仲間の無念は・・・闘志の源の一つだからな。

これで・・・ようやく燃えるんだな。チームは一つになったしな。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

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2014年5月17日 (土)

佐伯日菜子のかくも長き不在からの牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-(石橋菜津美)

石橋菜津美は「メイちゃんの執事」にも「小公女セイラ」にも「Q10」にも登場しているわけだが・・・キッドのブログに登場するのは「空飛ぶ広報室」からである。なんだろう・・・二十歳になったから解禁みたいなことか・・・意味不明だぞ。

一方、佐伯日菜子は十代の終りに「エコエコアザラク」(テレビ東京および映画「エコエコアザラク3 〜MISA THE DARK ANGEL〜」)の二代目黒井ミサという・・・史上最強の美少女として・・・キッドの内的宇宙に君臨していたのである。

映画「毎日が夏休み」(1994年)のスギナ、映画「静かな生活」(1995年)のマーちゃんからの黒井ミサである。

なんていうか・・・もう・・・これで「永遠の美少女」として完成している・・・と言える恐ろしさがある。

もちろん・・・「ねらわれた学園 THE MESSIAH FROM THE FUTURE」の高見沢みちるとか、「らせん」の山村貞子とか・・・そういうものもあるわけだが・・・あまりにも美少女が過ぎて・・・表現者が使いきれなかったという悲劇はあるんだな。

現時点では佐伯日菜子も37歳・・・「続・最後から二番目の恋」の長倉万里子(内田有紀)の世代となっている。

私生活でいろいろあって・・・ここである。

物凄く、自分勝手な感覚で言えば・・・つまり・・・「弱くても勝てます」の青志先生が・・・「邪魔なんだよな・・・勉強が」とつぶやくように・・・「邪魔なんだよな・・・女優の私生活が」という気分なのである。

まあ・・・そんなこと言って・・・女優の人間性を否定してどうする・・・という話だ。

で、『牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-・第3話「温室」』(テレビ東京201404190123~)原作・雨宮慶太、脚本・藤平久子、田口恵、演出・阿部満良を見た。基本的にキッドは・・・「美」をプラトン的に規定している。つまり・・・イデア(絶対)の世界にある「美」である。それは・・・個々人の感性による相対的な美しさとは違う・・・否定できない絶対的な美しさである。つまり、キッドが美しいと思うものを認めない人はバカでクズで愚か者なのである。・・・おいっ。そして・・・夢魔サキュパスを演じる佐伯日菜子の美しさは・・・パーフェクトじゃないか。

そもそも・・・サキュバスは・・・すべての人間に理想の異性として具象化する悪魔である。これを演じることのできる女優は基本的に完全に美しい必要があるのだった。

さて・・・シリーズ四作目の「牙狼と書いてGARO」である・・・大衆的賭博機械メーカーという絶対的スポンサーによって・・・深夜枠としては破格の予算でお届けされているのだった。

基本的に「美」と「金」は縁深いものであるから・・・これでいいと考える。

野に咲く薔薇だって・・・ただでは入手が困難なのである。

まず・・・野に行かなくてはならないんだから。

今回のシリーズは・・・黄金騎士・牙狼の称号を持つ冴島雷牙(中山麻聖)が破壊神エイリスの封印を目指して九体の魔物ホラーを捜索する趣向である。捜索のための魔導具生命体である魔号百合型ことマユリ(石橋菜津美)が元老院から派遣され・・・雷牙とコンビを組むのだった。道具として練成されたマユリが・・・人間として成長していく模様が隠し味になっている。

一話完結なので・・・九体だと話数不足に陥るために・・・普通のホラーも刈るストーリーも織り交ぜられ・・・今回はエイリス封印とは無関係である。

悪魔として名高いサキュバスは本筋とは無関係でも大物狩りと言える。

彫塑と花道を融合させたような総合芸術家として・・・大衆的な人気もあるらしい美女・常盤エリナは・・・この世には存在しない絶対的美を追い求め・・・ついに狂気に陥る。

この世にはあの世の美の反映があるだけで・・・美そのものは存在しないのである。

ないものをあると感じるということはすでに狂っているということである。

エリナの「芸術」のモチーフ(主題)は「死」であった。

「死」に含まれる美しさを追求するあまり・・・エリナは死体を素材として作品を作ろうとする。第三者の視点では「殺人衝動に取りつかれた人」になってしまうのだった。

エリナは自然の作りだした美である「花」も素材とするために・・・アトリエに巨大な温室を付属させていた。

個展に訪れたファンの女性を作品化するために・・・温室に誘うエリナ。

「素晴らしい温室ですね・・・なんて綺麗な花なんでしょう」

「花は・・・自然の生み出した究極の美よ・・・あなたも花のように美しくなりたいのかしら・・・」

「花のように・・・」

「もちろん・・・あなたを美しくするのは・・・私の手・・・」

「先生の手・・・」

美しいエリナに見つめられ・・・あらぬ妄想をする女性ファンはエリナの手で絞殺されるのだった。

「ふふふ・・・私が生み出した死・・・それを永遠に留めることが・・・私の芸術」

すでに・・・人としての道を越えたエリナ・・・しかし・・・エリナの獲物には・・・エリナの魂を狙うホラーが潜んでいた。

エリナこそが・・・獲物だったのである。

「死に含まれる美しさを求める・・・汝の望みをかなえよう」

「なんですって・・・」

「汝は・・・生命を食らうものとなるのだ」

ホラーとエリナは融合し・・・夢魔サキュバスとして実体化する。

サキュバスは温室に男女を問わず美しい人々を誘いこみ・・・次々と作品化するのだった。

たちまち・・・アトリエは「死のオブジェ」で満ちていく。

ホラーの出現を探知した青の番犬所の神官ジイル(護あさな)は雷牙に出動を命じる。

しかし・・・散歩中のマユリは・・・一足先にサキュバスに囚われてしまう。

「生も死も感じさせない・・・虚無の存在・・・あなたは素晴らしい素材だわ」

「・・・」

「あなたから・・・生命を奪った時・・・私は新しい美の境地を得ることができる」

マユリには・・・サキュバスの言動は意味不明である・・・しかし、ホラー探知機であるマユリは・・・サキュバスがまぎれもなくホラーであることが分かっている。

ホラーの気配を追ってたちまち・・・温室に到着する雷牙。

「魔戒騎士か・・・我が芸術の道を邪魔するのか」

「何が・・・芸術だ」

「この花を見よ・・・美しく咲き誇り・・・やがて儚く枯れる・・・生と死・・・そのプロセスこそが究極の美なのだ・・・美しさを完成するためには死が必要なのだ」

「花は自分を美しいなとどは思わない・・・ただ咲くこと・・・生きることこそがあるがままの美しさだ」

「己の感性など・・・美に対するセンスのかけらもないわ」

芸術音痴であることを指摘されて傷ついた雷牙は激しい闘志を燃やすのだった。

「問答無用だ」

黄金騎士化した雷牙。

サキュバスもホラー化し・・・美しい花弁を開き、怪しい触手が蠢く。

しかし・・・牙狼剣が一閃すると・・・マユリを縛った鎖は砕かれ・・・サキュバスも崩壊を開始する。

「これが・・・私の死・・・なんという甘美な・・・この美しさを作品として仕上げなければならぬ・・・私はまだ・・・死にたくない」

死を前にして正気を取り戻すエリナ。

しかし・・・すべては過ぎ去って行く。

「人間の命を奪って作る美しさなど・・・何の価値もない」と断言する雷牙。

しかし・・・エリナ/サキュバスは反論する術がないのだった。

「私は・・・人間なのか」とマユリが問う。

「もちろんさ」と明快に応える雷牙だった。

冴島邸である雷瞑館では執事のゴンザ(螢雪次朗)が生花を嗜んでいる。

ゴンザが席を外すと・・・マユリが現れて・・・ゴンザの作品を一輪ざしに変えてしまう。

かわいいよ、マユリかわいいよ・・・なのである。

人間であり道具である存在は・・・生と死を含有するので萌えるのだった。

もののあはれである。

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2014年5月16日 (金)

夫婦喧嘩は犬も食わないとあきらめろ(小泉今日子)

才能の有無とは悩ましい問題である。

このドラマの脚本家はおそらく才能があるわけで・・・その才能をプロデューサーがあると認めているわけである。

こうしてレビューを書いているキッドもそれについては肯定的である。

しかし・・・「才能がない人」に引導を渡すのは別問題である。

現在の毎日放送されているドラマの脚本家が全員・・・「才能があって」書いているとは言えなくなってしまう。

いやあ・・・もう・・・できれば他の人が書けばいいのになあ・・・というドラマは連打されているわけである。

だが・・・「作品」が作られて・・・そこそこ需用がある以上・・・そこには「才能」が存在するわけである。

もちろん・・・「あきらめろ」と言われてあきらめるなら・・・それで試合終了ということはある。

いきなり、天才の人・・・気がつけば天才の人・・・よくぞここまできたな的に天才の人・・・。

単なる現実逃避や・・・暇つぶしであっても・・・生まれてきてよかった・・・生きていてよかったと思える凄みには出会いたい・・・そういう希望を叶える才能。

思えば人は・・・奇妙な才能を求めているのだなあ。

かって・・・多くの若者たちを前にして・・・才能について考えていたことがあったわけだが・・・自分に才能があるのかないのか分からないのに他人の才能なんか云々できないよ・・・といつも最後にはそう思う。

それでも・・・チャンスはなるべく与えたい・・・チャンスをものにするかどうかが才能なんだろうから。

そういう前向きな考え方をしないプロデューサーに対する・・・ある意味、皮肉も感じたりして。

でもねえ・・・見る目のあるプロデューサーの見る目に叶うのも才能だからねえ。

で、『続・最後から二番目の恋・第5回』(フジテレビ20140515PM10~)脚本・岡田惠和、演出・宮本理江子を見た。和平(中井貴一)の衣装がグレーでお地蔵さんを連想させるなら・・・吉野千明(小泉今日子)のストライプのジャケットは何の象徴なのか・・・と言えば牢獄の格子なんじゃないかと思う。基本的に動けない点ではお地蔵さんも囚人も大差ない。和平はなんだかんだと死別した妻に拘泥しているわけで・・・成仏を祈り供養しているわけである。それはそれで素敵なのだが・・・本当にそれで幸せなのかどうかは不明だ。一方で・・・千明は・・・早い話が「恋に恋する老いた女」なのである。人間の自然なサイクルで言えば・・・二十歳前後に子を生み、その子が二十歳前後に子を生めば四十すぎたら婆なのである。もちろん・・・時代はそういう実態を人工的に装飾して隠してしまう。まして小泉今日子が演じていたらとても婆には見えないわけである。その上でお茶の間から見れば・・・千明にとって和平は・・・これ以上なく理想の配偶者候補である。しかし・・・千明本人の理想やらプライドやら経験値が・・・本人にそれを感じさせないというのが・・・このドラマの趣向なのだ。実は・・・すでに・・・第1シリーズで千明は・・・それに気がついている風だったのだが・・・続編ではそれがいつの間にかリセットされている。まあ・・・そうなったら・・・おしまいみたいなところがあるわけである。そういう意味で・・・千明の恋心は牢屋の中からお地蔵さんを見つめているのです。

啓子(森口博子)と祥子(渡辺真起子)は千明の分身のような存在である。

啓子の出版業界も祥子の音楽業界も・・・千明同様・・・才能あるフリーランスの人間を扱う職種である・・・もちろん・・・本人にもある程度才能は必要だが・・・サラリーマンであるために・・・外部発注という手があるわけである。

そういう相手に・・・別の手を出していることは・・・職業倫理的にはかなり問題があるわけだ。

千明は下心があるために・・・プロとしての切味を失っているのである。

親友たちは・・・そういう危うさに気がついているわけである。

「お酒はほどほどにして言うべきことを言わないと」

「でも・・・元カレにひどいこと言わなきゃいけないんだよ」

「だからさ・・・酒の力を借りて言うことじゃないって言ってんの」

千明は・・・できれば・・・酒の力を借りてプロデューサーとしてでなく、女として高山涼太(加瀬亮)に接したいのである。

しかし・・・親友たちは千明の願望が虚しいことに気がついているのだった。

才能のないものに異性としていれあげても・・・笑い物になるのがオチなのである。

それが・・・才能を食いものにする業界の鉄則なのだった。

もちろん・・・才能のあるものに異性としていれあげるのはセーフであるが・・・それはそれでいろいろと差し障るのだった。

仕方なく帰宅した千明は・・・せめて最後の夜をロマンチックに締めくくりたいのだが・・・凶暴な虎である典子(飯島直子)がそれを許さない。

夫・広行(浅野和之)の西口不動産の女しおり(中西美帆)に対する横恋慕に心乱された典子は見苦しく荒れるのだった。

姉の狂乱に・・・妹の子猫・万理子(内田有紀)も手を焼く。

しかし・・・姉が泥酔すると・・・妹は・・・精神的に恋する千明と肉体的に恋する涼太が素晴らしい「シナリオ」についてミーティングすることを予測し・・・潔く身を引くのだった。

可愛いぞ、万里子可愛いぞである。

下で虎が寝ているために・・・二階で二人きりになった千明と涼太。

千明の胸は・・・期待でいっぱいになる。

しかし「シナリオのこと・・・話があるんだろう」と涼太は仕事モードなのである。

何度も繰り返すわけだが・・・涼太を元カレと思っているのは千明だけで・・・涼太は千明を元カノとは思っていないのである。

そのことに気がつかない女が恋愛ドラマのプロデューサーとして敏腕だというのが一同爆笑ポイントなのだな。

「ああ・・・」仕方なく・・・言いたくない本題に入ろうとする千明。

「思いっきりつまらなかっただろう・・・自分で読んでそう思った。恋愛ドラマなのにドキドキも胸キュンもなくて・・・登場人物はトラウマだらけでトラウマの宴かよって感じだし・・・セリフもストーリーも陳腐だし・・・頭の中では傑作だったのに・・・書いてみたらどうしようもない駄作だった・・・俺は分かったんだ・・・自分には才能がないって・・・」

言うべきことを相手に言われて・・・「もうちょっと頑張ってみたら」と女をさらけだす千明。

「いや・・・今、やめないと・・・先に進めないって思う」

「そうか・・・男らしいよね・・・私が嫌な思いしないで済むようにって・・・」とあくまで女を主張する千明。

「言ってくれ・・・本当のことを」

「あきらめな・・・涼太」

「ありがとう・・・」

涼太の男としての可愛さについに我慢できずに抱きつく千明。

そして・・・二人は一つのベッドに身を横たえる。

千明の胸は高まるが・・・千明の胸に顔をうずめ・・・安眠する涼太だった。

千明がいかに望もうが・・・涼太にとって千明は最初から恋愛対象じゃないんだってばさ。

それでも千明は涼太が・・・あまりにも性的な期待に応えないことが不思議に思えるのだった。

一同大爆笑である。

一方・・・美しい未亡人・薫子(長谷川京子)から突然「セフレになりたい」と言われた和平は混乱の極みに達するのだった。もちろん・・・薫子に下心のある和平なのだが・・・そんな風に肉体的なものを求められるのは主義に反するのだった。

できれば相思相愛になり・・・合体するのが和平の望みである。

しかし・・・男なのでセフレに心揺らぐところもあり・・・落ち着かない気分なのである。

そのために一人酒に逃避しようとした和平だったが・・・お約束で年上の義弟・広行が悪い酒でからんでくるのだった。

夫婦揃って・・・なんだかなあである。

なんだかなあ

本当にいやだね

なんだかなあ

夫婦そろって酒乱なんて

誰がミュージカルを挿入しろと・・・。

「俺はね・・・詩織ちゃん一筋なの」

「って・・・相手はあんたのことどうとも思ってないでしょう」

「人が人を好きになるのは・・・相手が自分を好きな時だけですかっての」

「あんたには・・・妹の典子がいるでしょ・・・既婚者でしょう・・・もしも・・・典子と別れて・・・詩織って人にも相手にされなかったらどうするつもりです」

「こわい・・・しかし・・・そうして荒野に佇むことを考えると・・・男としてワクワクする」

「何言ってんの・・・バカじゃないの・・・あんたたち・・・好きあって夫婦になったんでしょ・・・だったら添い遂げなさいよ・・・私なんか・・・女房が生きててくれたらと・・・いつも・・・なんだ・・・寝てんのかよ」

とにかくだ・・・典子と広行ほど・・・お茶の間から将来どうなってもいいと思われる夫婦も稀だと思われ・・・さりげなく脚本家の恐ろしい実力を感じさせるのである。

そんな夫婦のなれの果てに対して・・・これから夫婦を始めようという・・・。

天使の真平(坂口憲二)と大橋知美(佐津川愛美)である。

長倉家も大橋家も親戚が少ないらしい。

真平は男らしく結婚式についてはどうでもいいと考えているが・・・知美は女らしくそれなりのこだわりを見せている。

問いつめられてなんとなく・・・「カフェ・ナガクラで家族だけでやるのはどうか」と提案する真平。

知美はそのことに涙が出るほど感激するのだった。

ここをすれ違っていると感じるか・・・適当に流すかはそれぞれの感性でという趣向であろうか。

しかし・・・どうやら・・・結婚式よりも・・・婚約者たちの間には別に微妙な問題があるらしい。

どうやら・・・婚前交渉に関することで・・・二人はまだ・・・一夜を共にしていないのか?

なにやってんだ・・・鎌倉の天使。

で・・・とにかく一夜が明けるのだった。

シナリオのことも・・・千明と涼太の性的関係も気になる万里子は眠れない夜を過ごしたのか・・・千明邸門前で張り込みである。

そこへ・・・姿を見せた涼太。

涼太は無言でティッシュペーパーを万里子に渡し・・・握手をして去る。

万里子はすべてを察し、涙と鼻血を流すのだった。

ここは・・・クスクスするとこかな。

さらに・・・海辺で悪い酒を抜く和平と遭遇する涼太。

「朝・・・早いんですね」

「俺・・・漁師の息子なんですよ」

「そうなんだ」

「ここは気持ちのいいところでした」

「そうですか」

「いつか・・・また・・・来たいと思います」

「鎌倉は・・・いつでもそれほど変わりなく・・・お待ちしていますよ」

鎌倉市役所観光推進課の課長である。

「お世話になりました」という涼太のメモのような置き手紙に・・・。

最後まで女として扱われなかった千明は舌打ちするのだった。

長倉家の朝食。

相変わらず不機嫌な典子。

六月一日に決まった真平・知美の結婚式。

家族として招待される千明。

「家族でもないのに・・・」と遠慮しつつ、他人の家で朝食を食べる千明。

「男でも女でも一人で飲みたい夜がある」で軽く談義があり・・・。

涼太が去ったことを察して千明を思いやる和平なのである。

「そろそろ・・・」と長倉えりな(白本彩奈)が出勤時間を告げるのだった。

つまり・・・えりなは時計代わりのテレビの代わりになんだな。

「七時四十五分」・・・とか言ってるわけである。

脚本家が消えたことを告げる千明。

しかし・・・仕事にそつがない三井(久保田磨希)はすべてを予知し・・・準備終了なのである。

超能力者かっ。

そして・・・帰って来た若手脚本家の栗山はるか(益若つばさ)だった。

なんと妊娠中に夫に浮気され・・・離婚したらしい。

はるかは・・・そこそこのギャラとベビーシッター代を要求するのだった。

はるかは「まどかという名の女が登場して、性悪で最悪なキャラクターで、悲惨な最期を迎えるドラマ」を書く予定なのであった。

もちろん・・・まどかは夫の浮気相手の名前である。

そして、はるかは万里子を愛玩するのだった。

市役所では・・・一条さん(織本順吉)と田所(松尾諭)が共通の趣味で親密になっているらしい。

真平は担当医に婚前交渉について質問する。

和平は時間調整のために伊佐山市長(柴田理恵)と「始球式の練習してたら抱き合っちゃったコント」を展開する。

千明は典子の出番確保も兼ねてベビーシッターとして採用する。

そして、微妙な視聴率の月9女優(尾野真千子)は局内ですれちがうのだった。

朝ドラヒロインと朝ドラヒロイン母の遭遇である。

まあ・・・ある意味・・・ものすごく意味不明なお遊びだった・・・。

一貫して・・・すべての女を敵視するという・・・典子のキャラクターである。

女優にも脚本家にも喧嘩を売るのだった。

そういう妹や・・・弟と結婚する部下にも気を使う和平。

弟のフィアンセとおそろいのおにぎり弁当でランチである。

そして・・・花嫁の父親の代わりにバージンロードを歩くことを頼まれる。

「謹んでお引き受けします」

「ところで・・・和平さんは・・・婚前交渉の方はどうだったんですか」

「えええ」

やはり・・・清い仲の新郎新婦らしい。

はるか万里子の脚本家コンビは快調にシナリオを仕上げる。

例によって・・・はるかのシナリオにクレームをつける千明に・・・。

「千明さん何も変わらないですね」

「・・・」

「この二年間女として何やってたんですか」

「えええ」

「結婚、出産、離婚した女の気持ちが分からなくて恋愛ドラマのプロデューサーかあ・・・女としてもアレですが」

はるか・・・容赦ないのだった。

そして・・・和平は薫子と・・・陶芸教室だか染物教室だかに・・・。

「セフレ」の意味が分かっているのか問い質したい和平だったが・・・薫子は「もう・・・いけそうですか・・・」とますます意味深なことを言うのである。

「セフレなんですか・・・きれいな人ですね」

・・・ついに帰ってくる知美の母・秀子(美保純)・・・。

うわあ・・・千明と秀子が揃ったら・・・もはや違う海の色になりそうです。

もう去年のことなのに今週ももクロは深夜でじぇじぇじぇと言いながら潮干狩りしてたぞ。

・・・一度は交際しかけた和平と秀子である。

・・・っていうか・・・薫子、鎌倉市長、秀子と・・・和平の相手が入り乱れての登場なのだった。

つまり・・・千明本人がどう思うかは別として・・・「女としてどうか」と批判され・・・恋のライバル多数出現なのである。

まあ・・・でも湘南の夕陽で二つの影が一つになる寸前・・・なんだよね。

そして・・・親友たちにも恋の季節が訪れたようで・・・。

彼氏ができたら・・・置き去りにされる女友達なのだった。

まあ・・・中島みゆきなら・・・涼太は親友のどっちかと付き合ってるわけだが。

一人残された家路。

えりなが友人宅でお泊まりしたので一人の和平。

二人は・・・縁台でビールを飲むのだった。

「セフレって言われて・・・」

「なんかあるかと思ったら母と息子みたいな感じに・・・」

「癒し系だったんですね」

「癒されたいんですよお」

愚痴る二人は・・・ついに花火を始めるのだった。

まあ・・・なんだかなあと思わないでもないが・・・お茶の間的にはうっとりなのかもしれない。

とにかく・・・疲れを知らない子供のようには行かない二人を時が足早に追い抜いて行くのである。

来週は一足早く六月の花嫁なのである。

うわあ・・・夏か・・・もう・・・夏が来るのか。

凄い・・・加速力だなあ・・・。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

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2014年5月15日 (木)

無口な容疑者(吉田里琴)冤罪につぐ冤罪につぐ冤罪とホワイト・ラボ~警視庁特別科学捜査班~(北村一輝)

さて・・・なでしこのシーズンである。

この春ドラマになでしこジャパンのアジア杯は殺意に満ちているわけだが・・・いきなり、審判団が中国と北朝鮮でオーストラリア戦というクライマックスなのだった。

中東の笛どころではない・・・逆風の中・・・新参選手たちは浮き足立つ。

そして坂口はいつものようにラフ・プレー。

しかし、やられたらやりかえすところが・・・男子とは一味違うガッツなのである。

なんてったってワールド・チャンピオンなのである。

なでしこのチャンピオンとしての旅も終りに近づいている。

延長するためにはワールドカップで優勝するしかないのである。

後半も中盤で・・・0-2である。

この絶望の中でなんとかするのが・・・なでしこなのだった。

木龍がメカゴジラ的にロング・シュートを放ち、ガッツを見せると川澄奈穂美と大儀見優季で同点においつくのだった。

精密機械・宮間あやは微妙にメンタルにチューニングが必要な感じだが・・・勝ち点1で少し落ち着くだろう。

とにかく・・・澤穂希がベンチで見つめている安心感は半端ないよね。

さあ・・・残り四戦全勝で・・・アジア杯をゲットだぜ。

で、『ホワイト・ラボ~警視庁特別科学捜査班~・第4回』(TBSテレビ20140505PM8~)脚本・中澤圭規、演出・酒井聖博を見た。科学捜査を行う警視庁特別科学捜査班(フィクション)の物語である。今季に限らず、これでもかと警察ミステリ花盛りの今日この頃、ネタはかぶりまくってなんだかな~と歌いだしたい勢いである。冤罪もなんだかな~だし、被害者家族の加害者への復讐もなんだかな~である。もちろん、劇団ひとりが歌っているのである。・・・テレビ東京深夜を愛していない人にはなんだかなだぞ。

まあ・・・劇団ひとりが「ラララ♪なんだかな」と歌いだして「ああ・・・凄いものを見た」という気分になれるくらいの凄いミステリを見るのは大変だよなあ。

しかし・・・吉田里琴ゲスト回なので見ないわけにはいかないのだった。

六月に・・・「魔法★男子チェリーズ」(テレビ東京)というとんでもない出演情報があるわけだが・・・それでいいのかよっと言いたい気分である。

今回は・・・意識不明の被害者の家族で・・・事情があって無口になっている・・・またもや表情の演技が求められる役・・・っていうかセリフ少なめである。なんだかなあ・・・と言いつつ・・・さすがの存在感を堪能するしかないのだった。

連続殺傷事件の容疑者として四年に渡る裁判を戦った野島賢治(山崎銀之丞)が証拠不十分で無罪となる。

一部マスメディアは・・・冤罪被害者として野島をもてはやすが・・・被害者遺族たちは・・・野島を真犯人として疑う気持ちを払拭できない。

犠牲者の中でただ一人・・・植物状態になりながら生存している牧野弘枝(西尾景子)の夫・健一(林泰文)と娘のゆい(吉田里琴)も野島に疑いの眼差しを注ぐ。

ノンキャリアのたたきあげで通称・ホライトラボと呼ばれる特別科学捜査班の班長・神山恵子(和久井映見)は野島の有罪を信じる。

しかし、冤罪事件に含むところがあるらしい一ノ瀬捜査官(北村一輝)は「疑わしきは罰せず」と推定無罪の原則をつぶやくのだった。

おりしも・・・連続殺人事件と同じ手口の犯行が発生し・・・容疑者として被害者の血痕のついたシャツを着ていた男・近藤勇弥(恩田括)が重要参考人として浮上する。

現場には近藤の毛髪も残されており・・・容疑は濃厚だった。

しかし・・・匂い感知器で被害者を分析した一ノ瀬は加害者が犯行後、一服したと推定。

近藤容疑者が喫煙の気配がないことから・・・無罪を申し立てる。

「つまり・・・擬装ということか・・・」

「真犯人は擬装の必要がある人間です」

捜査線上に野島が浮かぶ。

一ノ瀬は・・・植物状態の被害者と意思疎通をはかるために・・・fMRIを使用し、血流動態反応から・・・牧野弘枝の目撃証言を引き出すことに成功する。

加害者は野島だった。

しかし・・・うかつにもそれを被害者の娘・ゆいに聞かれてしまうのだった。

逮捕に向かった神山班長は・・・野島が自宅で死亡しているのを発見する。

そして・・・現場に残された兇器や室内からはゆいの指紋が、死体の爪からはゆいの皮膚片が発見される。

身柄を拘束されるゆい・・・は黙秘を続ける。

しかし・・・一ノ瀬は現場に飛散した血痕の散布状況からゆいが野島から離れて立っていたことを推定する。

「すると・・・ゆいちゃんは手裏剣の使い手・・・つまり・・・くのいち」・・・おいっ。

「野島は・・・自殺したんですよ・・・逮捕されて殺せなくなるのが嫌だったのかもしれない」

こうして・・・事件は解決した。

野島の家の地下室からは・・・野島が真犯人であることを裏付ける数多い証拠が見つかる。

「犯罪を立証する証拠なんか・・・本当はない・・・しかし・・・裁判官を説得する材料はある」

一ノ瀬は事情を知って・・・ゆいに母親への謝罪の機会を与える。

母親とゆいは最後に口喧嘩をしていたのだった。

最後に「死ねばいいのに」と母親に暴言を吐いたことが・・・ゆいの心を閉ざしていた。

母親は直後に外出して被害にあったのである。

夜の一人歩きは危険なのだ・・・という話である。・・・おいっ。

ゆいは母親に謝罪した。

「ごめんね・・・お母さん・・・許して」

fMRIの画像は答える。

「はい」・・・と。

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Cr003 CLUB Rico開催中。シャブリ録画予告なうでつぶやけばじいやがチェックするお約束なのでありました~・・・どんどんスタイルがよくなってきたのでありました~・・・今度はセリフがたくさんあるといいななのでありました~

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2014年5月14日 (水)

目を閉じて、平等に豊かに、自由に貧しく・・・何も見えず(深田恭子)

このタイトル・・・日本語としてどうなんだ。

ぎりぎり、オーケーじゃね。

もう、その応答がアウト臭いけどな。

不法滞在と低賃金労働はもはや、セットらしいぞ。

2014年の不法滞在者は①韓国およそ14000人、②中国およそ8000人、③フィリピンおよそ5000人である。

これは在日外国人の順位と同じではない。①中国およそ650000人、②韓国およそ520000人、③フィリピンおよそ210000人である。

まあ・・・顔ぶれは同じである。韓国が不法滞在でトップに躍り出るのも・・・ある種の親しみやすさによるだろう。

そして・・・中国が来ていることは案の定である。

とにかく、国家の経済力や・・・日本との外交関係にも影響するが・・・フィリピンが・・・中国と韓国に次ぐ日本に近い外国であることは間違いない。

中国の暴走に対処するための国際関係的目標として・・・日本と同盟関係にある米国と再び親密になる韓国、フィリピンとは友好関係を紡ぎたいところである。

些少のことには目をつぶり、暖かく受け入れるというのは一つの戦略なのである。

だが・・・不法滞在の外国人集団は犯罪の温床でもある。

工作員として要注意の中国は別格としても・・・当局は柔軟に対応を求められていると言えるだろう。

最低賃金の壁を突破する・・・不法滞在者の不法就役と・・・労働力不足の解消・・・日本は曲がり角に立っているのだった。

で、『ドラマ10・サイレント・プア・第6回』(NHK総合20140513PM10~)脚本・相良敦子、演出・清水拓哉を見た。江墨区(架空)に度々登場する都電荒川線。江東区でもなく、墨田区でもなく・・・終点・三ノ輪橋があるのは荒川区である。まあ・・・貧困ドラマだからな。仕方ないか・・・おいっ。そもそも・・・23区内でも歴史的に貧しいエリアなので・・・ロケーションにリアリティーが出るんだな・・・おいおいっ。そもそも・・・政府が政策として貧しい人々を集団移転させてスラム化を目指したという・・・もうそれ以上はやめておけ。まあ、現在はそんなことはありません。ただし、来るべき首都圏直下型のアレで相当な被害が出ることが予想されるレッド・ゾーンである。燃えやすい家屋が密集してるからなあ・・・。まあ・・・そういうところへ・・・国際化によって国外から貧しい人が流入してくるという・・・必然的な展開なのだった。

どんな貧困も許さないCSWの里見涼(深田恭子)は江墨区社会福祉協議会地域福祉課の職員の職域を越えて全身全霊で住民の救済に取り組むのである。

新人職員の三輪まなか(桜庭ななみ)は涼に影響されて「逃げない精神」で担当エリアをカバーするのだった。

現在は・・・問題のありそうな家庭をマークしているのであるが・・・なかなか、本人とコンタクトのとれない三輪まなか・・・しかし・・・くじけずに訪問を続けるのだった。

しかし・・・その顛末は・・・明らかにされず・・・今回は・・・里見涼の新しいターゲットの事案が展開していく。

仕事を終えた涼が帰宅の途中、とある都電の停留所付近で・・・しゃがみこむ子供を発見することから物語は始る。

少年の名はすばる・・・父親の帰宅を待っているという。

不審に思う涼だが無頓着で少年は器用に駒を操っている。

張り込みを開始した涼は終電の時刻を過ぎたのを確認して再び少年に問いかける。

「お腹すいていない」

「すごくすいた」

「もう・・・電車も終わったし・・・ここで待っていてもお父さん帰って来ないと思うんだ」

「そうだね」

「夜も遅いから・・お姉ちゃんが送っていってあげる」

「うん」

素直に川沿いの家に案内する少年すばる。小学校三年生だった。

すばるの家は・・・スラムの一角にある安アパートで・・・室内は乱雑だった。

ネグレクト(育児放棄)の疑いを抱きつつ・・・コンビニおにぎりを入口において一時撤退する涼。

「これ・・・買いすぎちゃったから・・・よかったら食べて」

「ありがとう」

少年の素直な応対に・・・涼の心は揺れる。

涼の死んだ弟・光(馬渕誉)の・・・最後の姿に重なるすばるなのだった。

すばるは救済対象として涼にロックオンされたのである。

地球のみんなを守るため

土俵はけして割らないぞ

スモウ戦士ウッチャリアー

すばるが好きだというキャラクターのTシャツをバザーの売れ残りから捜しだした同僚の久慈吾朗(田口浩正)も働く父親として支援を誓うのだった。

すばるを救援対象として確認するために・・・リサーチを開始する涼。

すばるが通学する小学校で・・・すばるの両親が離婚し、母子家庭になっていること。父親は日本人だが、母親はフィリピン国籍であること。母親は弁当工場で働いていること。しかし、すばるの給食費が滞納されていること・・・などを聞き出す。

そして・・・見守り対象とするために・・・地区担当の民生委員・石田敬子(坂井真紀)を連れて仕事帰りの母親を直撃する。

しかし・・・すばるの母親アナ(アーリン・ディングラサン)は日本語が得意ではなく、涼の話に耳を傾けようとしない。

「困ったことがあったら相談してほしいんです・・・」

「コマッテナイヨ」

「見守りたいんです」

「カエッテヨ」

言葉の壁に困惑する涼だった。

しかし・・・そんなことでくじける涼ではない小学校のプリントの英訳で残業である。

同僚の原留美(小橋めぐみ)も「私も働く母親だから」と英訳を手伝うのだった。

街で涼がすばるを見かけ・・・たまたまいあわせた祖父の一郎(米倉斉加年)も顔見知りとなる。

一郎は・・・涼のすばるを見る目に・・・亡き弟の件の影響を感じ・・・不安になるのだった。

弟の件は一種のタブーだったからである。

さりげなくすばるに手をつかまれ・・・泳ぐ涼の瞳だった。

アナとすばるの貧困見てとった涼は生活保護を視野に入れて江墨区役所地域福祉課を訪れる。

山倉課長(北村有起哉)はすっかり涼の虜なのである。

「ウチの区には英訳された資料はないが・・・他の区からとりよせよう・・・しかし」

「・・・」

「問題は不法滞在の可能性だな」

「私は逃げません」

「しかし・・・法的問題をクリアしなければ・・・支援はできない。貧困を救えるのはお金だけだからな」

しかし・・・そんな言葉に耳を貸す涼ではないのは課長も百も承知なのである。

そんなある日・・・すばるが一郎のクリーニング店を訪ねてくる。

すばるの様子がおかしいことに気がついた一郎は帰宅した涼に伝える。

あわてて・・・すばるの家を訪ねる涼。

しかし・・・すばるは帰宅していなかった。

仕事終わりに牛丼を食べた山倉課長は・・・食堂の見本を食い入るように見つめる少年を発見する。

「君・・・すばるくんじゃないか」

「おじさん・・・誰・・・」

必死にすばるくんを捜す涼に山倉課長から連絡が入る。

二人はレストランで食事をしていた。

すばるは空腹だったらしい。

すばるは・・・母親にぶたれて家出をしていたのだった。

三人は運動会の話題で和み、涼は紙ナプキンで月桂冠を作ってすばるに贈る。

社会福祉協議会の事務所ですばるを保護する涼。

先に帰宅する山倉課長を見送りに出た涼・・・。

その姿を・・・新聞配達員の郷田光良(渡辺大知)は見た。

まさか・・・光良・・・涼が好きなのか・・・いや、好きでもいいけれど。

ともかく・・・すばるを家に送るために・・・助っ人として英語が得意な部下・水澤純子(山口紗弥加)を派遣する山倉課長。

ものすごく迷惑そうな水澤である。

もちろん・・・水澤・・・課長が好きなのか・・・まあ、好きでもいいけど。

アナはすばるがいなくなったことで動転していた。

「ナニシニキタノ・・・」

「すばるくんをぶったのですか・・・」

涼の言葉を英訳する水澤。

「アナタニカンケイナイ」

「私はあなたたちを助けたいのです」

水澤は通訳すると同時にアナに出入国管理法による在留カードの有無を確認するのだった。

突然、態度を変え、涼にすがるアナ。

「アリマス・・・アルニキマッテイル・・・ワタシハフホウタイザイデハナイ」

明らかに不法滞在の気配のするアナだった。

しかし・・・涼はすべてを受け止める覚悟である。

やがて・・・涼はアナの心を開くために・・・周辺の在日フィリピン人の交流会をサロンで開催するのだった。

異国で一人・・・孤独だったアナは・・・ようやく、涼の善意を理解するのだった。

そして・・・ついに真実を告白するのである。

「ワタシハフホウタイザイデス・・・すばるトオナジヨウニワタシモすばるノチチオヤヲマッタ・・・デモ・・・ウラギラレタ」

おそらく・・・すばるの国籍は日本。アナの国籍はフィリピンで・・・不法滞在が発覚すれば母子は一緒には暮らせなくなるのである。

しかし・・・涼は動じない。

「一緒に入国管理局に行って問題を解決しましょう」

涼は法の壁も断固粉砕する覚悟なのである。

「ソンナコトガデキマスカ」

「この町の住人の幸せを守るのが私の仕事です」

もちろん・・・大いなる困難が待ち受けているわけである。

しかし・・・現実は別の方向から綻ぶのだった。

アナの勤務先が・・・不法滞在者の不法就労の罪に問われ・・・摘発されたのだった。

山倉課長からの連絡を受け・・・すばるの家に向かう涼。

しかし・・・アナとすばる・・・二人の姿はない。

どうやら・・・在留資格を当局に問われることを惧れ・・・母子は出奔してしまったようだ。

「私は・・・結局・・・誰も助けられない」

救助の挫折に心が揺れる涼。

到着した・・・山倉課長が慰めの言葉をかける。

「そんなことはない・・・」

「私は・・・阪神淡路大震災で・・・崩れかけた家から・・・弟を残して一人で逃げたんです」

「・・・」

「弟を見殺しにしたんです」

涼の初めての告白である。

しかし・・・山倉課長はすばるの置き手紙を涼に見せる。

お姉ちゃん

ありがとう

「救ってる・・・君は・・・救ってるよ・・・」

しかし・・・涼は一人、家を飛び出すのだった。

ここは・・・追いかけないと・・・山倉課長・・・好きなんだろう・・・涼が。

ついに・・・涼の貧困救助初失敗が確定するのか・・・つづくであるけれど。

全九話なので・・・ここから終盤戦である。

スモウ戦隊の中の人に涼がなるのではないかとドキドキしたぞ・・・それは杞憂すぎるだろう。

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2014年5月13日 (火)

幸せも痛みも期間限定の約束手形ですが公務執行妨害は悪徳刑事のお約束です(オダギリジョー)

フイックションかっ。

もう完全にオダギリジョーって書きたいだけのドラマになっているよな。

再び・・・演出家がチェンジ・・・薄い脚本家も帰ってきて・・・なんだかよくわからないドラマに戻ったな。

もう・・・すべてなんとなくそういうもの・・・として見るしかないんだよな。

公式の・・・このドラマのここが「今週の犯罪」が虚しいよね。

なにしろ・・・金暮市(フィクション)なんだから・・・日本国の法律にこだわらなくてもていいんじゃないかな。

それを言ったらいろいろアレなんだよ。

妹とセックスするマンガを描いたら怒られる国だからな。

福島県で鼻血を出すのもいろいろとなんだしな。

「中国が日本の大気を汚染するのは物理現象だからしょうがない」とか「中国共産党の独裁は上手く行っているから世界は見習うべき」とか「天安門事件のような悲劇をおこさないために当局とはなあなあでやるべき」とか達観した中国人たちがある意味、うらやましいぞ。

まあ・・・生まれる国は選べないからな。

「日本の政府は嫌いですが日本人は大好きです」って・・・そんな論理が通用するとでも・・・。

思ってるんじゃね・・・思ってるのかもな。

誰がTVタックルの話をしろと・・・。

で、『極悪がんぼ・第5回』(フジテレビ20140512PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・いずみ吉紘、演出・林徹を見た。母の日の翌日とは思えないドラマになったな。・・・でも極悪の女ヤクザがマザコンの息子を溺愛するという・・・母と子のフジテレビにふさわしい内容だったのでは・・・どこがだよっ。まあ、カーネーションが赤いうちは親孝行するといいよね。認知症の母親に捧げる気持ちがブルーになりがちな青白いカーネーションも開発してほしいよね。まあまあ・・・わらび餅はないが冷凍しておいた柏もちでもチンして食べなさい。

ここは地の果て・・・金暮市である。

東の大坂市(フィクション)から流れて来た女ヤクザ鬼切虎子(室井滋)が金暮市の夜の世界で・・・小清水経営コンサルタントのテリトリーに進出したことを吹聴している。それを耳にした金子(三浦友和)は情報収集に乗り出すのだった。

時々、演技がゆっくりモード(高齢者のために会話の速度が遅くなる)になるような気がして仕方ない。

どういうことなんだっ。そういうのも・・・演出だからな。

眠くなる原因はこれか・・・。

夜のお店で・・・高い酒を注文するかわりに夜の女(松尾れい子)に「情報収集」を頼む・・・そんな客は嫌だな。

一方で・・・「小清水経営コンサルタント」という組の新米女極道、神崎薫(尾野真千子)は経済ヤクザとしての道を切り開くために法律書を読みあさるのだった。

組員の抜道(板尾創路)のレクチャー料は一問千円である。ある意味、良心的じゃないか・・・。

そんな事件屋たちの元へ・・・組長の小清水(小林薫)から監査という名の組員締め付けの予告が入る。

つまり・・・組員たちの行状を厳しく査定するわけである。

組長・・・所長って言ってやれよ・・・に後ろ暗いところを突かれるので戦々恐々となる組員たちだった。

特に前回・・・旧友がらみで不始末をした夏目(竹内力)はびびり倒し、前回の責任を薫が引き受けてくれるのを条件に債権回収の仕事を回すのだった。

フィクションの世界なので・・・曖昧なのだが・・・それは額面一千万の約束手形のようなものである。

その振出人は名真津水産の社長(ビートきよし)であり・・・手形の回収を金子に依頼してきた組の顧客だった。

基本的には・・・約束手形とは・・・手形所持人に期日までに金を支払う有価証券である。

期日までに支払うことが出来ないと不渡りになり、不渡りを出すことは信用を失い倒産に至る行為となる。

名真津は株の取引で損失を出し、資金不足のために手形の支払いが不可能となったために・・・手形を取り戻す必要が生じたのだ。

一方、債権者は倒産目前の名真津から全額でなくても何割かは回収しようとして夏目に取り分半分(トリハン)の債権回収代行を依頼し・・・手形を託したということになる。

薫は名真津が不渡りを出す前に手形と現金を交換するのが仕事ということになる。

そこへ・・・縄張りあらしの鬼切虎子が介入してくる。

「女同士・・・悪いようにはしない」という鬼切の言葉に簡単に誑かされる薫だった。

もちろん・・・鬼切は薫には一銭も渡す気はないのである。

一方で・・・何故か「小清水経営コンサルタント」の顧客情報を知る鬼切は・・・組員たちの顧客に様々な嫌がらせを仕掛けてくるのだった。

「ここは・・・一致団結して・・・戦いましょう」という薫に・・・組員たちは「自分の縄張りは自分で守る」とクールに対応するのだった。

金子は例によって・・・腐れ外道(三浦翔平)に小遣いを渡して暗躍する。

ここで・・・金子が極秘ノートを腐れ外道に渡すというありえない展開があるが・・・脚本家が薄い人なので見なかったことにするしかないのである。

ともかく・・・焼き肉屋で・・・腐れ外道と下品な食事をした薫は・・・どうせ一銭にもならないなら・・・鬼切の面子をつぶすことを決意するのだった・・・。

もう・・・なんのこっちゃの展開である。

それは・・・手形を銀行に提出して・・・不渡りを決定させるというやぶれかぶれの行為なのだった。

だが・・・大人の組員たちは・・・着々と鬼切つぶしを実行していたのである。

夏目は鬼切の事務所に不法侵入し、重要書類を盗み出すと・・・それを勝手に売りさばく。

金子は鬼切の泣き所であるバカボンな鬼切の息子・政夫(山下健二郎)の経営する会社から・・・薫の持つ手形を偽造した手形とすり替えて・・・手に入れた不渡り確実の手形で・・・総額一千万円の水上ジェットを納品させることに成功するのである。

そして・・・経営しているホテルに手を出された冬月(椎名桔平)は鬼切の不正行為を伊集院刑事(オダギリジョー)に密告し・・・伊集院は金暮警察のボールペンを使ったひっかけ技で公務執行妨害で鬼切を現行犯逮捕するのだった。

「どやさ」は「なんじゃこれ」になるのだった。

そういう気持ちはお茶の間にもあるのだった。

そして・・・鬼切の調査のために・・・古巣の大阪(フィクション)にやってきた難波はかっての部下(ノブ小池)に調査を頼み・・・汚職で職を追われた役人だったこと・・・男と逃げた女房美代子(山口香緒里)がいたことなどを明らかにするが・・・だからなんだという・・・。

やがて・・・明らかとなる鬼切のバック・・・。

それは小清水組長だった。

「ハブとマングースの対決ショーが見たかった・・・」と告白する小清水組長・・・。

まあ・・・ある種の唐獅子株式会社もの・・・と思えば面白くないこともないような気がしないわけでもないような展開と言えなくもないと当たらずと言えども遠からず・・・気分でございます。

さあ・・・テレビ東京深夜にオンエアされていた「一角獣的なガンダム」でも見てリフレッシュするかな。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

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2014年5月12日 (月)

兵法三十六計の三・・・借刀殺人と軍師官兵衛(岡田准一)

軍師が兵法の基本中の基本にはめられてどうする・・・という話でございます。

本音はともかく、建前としては戦争は世界的に悪ということになっています。

戦争の基本の一つに先手必勝というものがありますが・・・つまり、一対一の殺し合いの場合、最初に殺してしまえば・・・殺されることはないということです。

逆に、殺し損ねると悪として裁かれる可能性が出てきます。

つまり・・・「先に手を出した方が負け」という状態が発生するわけです。

「平和を愛する民主主義国家」同士は・・・そうなるとなかなか戦争はできないということになります。

しかし、世の中には世界を解放するためには手段を選ばない独裁国家もまだ存在しますので・・・厄介な事態が続出するわけです。

ここで同盟国を利用する「刀を借りて人を殺す」計略が脚光を浴びるわけです。

ドラマでは・・・西播磨の名目的主である小寺政職が毛利に味方することに決め、反毛利の家臣・官兵衛を排除するために・・・同盟者の荒木村重に官兵衛殺害を示唆する・・・というストレートな展開になっています。

しかし・・・さらに言えば・・・西播磨の軍事的脅威である官兵衛に・・・荒木村重の正室だしが書簡(フィクション)を送り、小寺政職に官兵衛を粛清するように仕向けているという裏も考えられるわけです。

基本的に日本は同盟国のアメリカに常に「借刀殺人」を仕掛けているとも言えます。

同盟国と敵国に戦争をさせ・・・自国は無傷で凌ぐ・・・そんな都合のいいことがいつまで続くかは別として。

もちろん・・・弱小国が大国の顔色を窺うのは必然ですが・・・戦争を避けて譲歩を繰り返せばいつかは亡国というのもセオリーです。

そのせめぎ合いが・・・ロシアとウクライナ、中国とベトナムで発露しているわけでございます。

同盟国が「刀を借りて人を殺す」計略を厭うならば敗北は必至なのですな。

どうすれば・・・同盟国がその気になるか・・・その一つが集団安全保障の問題となって顕在化しているわけです。

春秋戦国時代の魯は周囲を強国に囲まれた弱小国で・・・東の強国・斉から圧迫を受けています。

そこで魯の使者となった子貢(孔子の弟子の一人)は斉に赴き、魯よりも南の大国・呉を討った方が利があることを説きます。

ところで呉はさらに南の越と交戦中でした。子貢は呉に越との停戦を呼びかけ、これを実現します。

斉と呉は戦争に突入します。

すると子貢は今度は西の大国の晋に赴き、斉との戦争準備を整えることを提案するのです。

斉は呉に勝ち、呉は弱体化して越に滅ぼされてしまいます。

そして斉は勢いに乗って晋に攻め込み、今度は準備の整っていた晋によって手痛い打撃を受けることになります。

魯はこうして・・・周囲の大国同士を争わせ・・・存続を守ったということです。

ま・・・魯も結局は遠方の大国・楚にやがて滅ぼされてしまうわけですが。

なんにせよ・・・複雑な国際情勢・・・子貢のような「うまい手」がそんなに簡単には実現しないところが醍醐味でございます。

で、『軍師官兵衛・第19回』(NHK総合20140511PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。画伯のレビューがまだなので・・・ここは・・・ドラマ「リバースエッジ 大川端探偵事務所」より・・・探偵さんのイラスト大公開のご紹介に留めておきたいと思います。1日1レビューを厳守していると・・・谷間一つではなかなか・・・テレビ東京にたどり着かないという今日この頃でございます。妄想では案の定、赤影になっちやいました。

Kan019 長い長い天正六年(1578年)は続くのである。三月に別所が叛旗を翻し、東播磨が毛利・本願寺同盟に加わり、織田方の上月城が落城。しかし、羽柴秀吉は宇喜多直家の調略に成功し、西からの圧力を減殺し、三木城包囲戦を開始する。しかし、十月、突如として摂津国・有岡城主・荒木村重が織田軍からの離脱を開始する。これにより、丹波国波多野氏、東播磨別所氏、摂津国荒木氏による反織田同盟が成立する。荒木氏は波多野氏の一族と言う説もあり、別所と波多野が姻戚関係にあることから・・・充分にありうる同盟だったが・・・基本的には石山本願寺の地元である摂津国では門徒の勢力が根強かったというのが背景にあるものと考えられる。同時に波多野氏の抵抗が足利幕府に起因することから・・・旧勢力の結集の側面もある。そのために・・・西播磨を一時は縄張りした小寺家がそこに参加するのは必然的だったとも言える。主家・小寺家の反織田勢力への参加を阻止するべく・・・小寺官兵衛は単身、有岡城の荒木村重説得を試み、捕縛・幽閉の憂き目を見るのだった。複雑怪奇な下剋上の世に謎に満ちた荒木村重の謀反と乱心、黒田官兵衛の艱難辛苦の物語の幕が劇的に開く・・・。

安土城下には武家屋敷が立ち並んでいる。清州城から岐阜城へ。岐阜城から安土城へ。信長が指令部を前進させる度に配下の武将は増大し、城下町も巨大化している。戦国武将の中で信長が特異であるとすれば・・・そのビジョンの斬新さが筆頭にあげられるだろう。信長が石山本願寺攻略に十年をかけるのも・・・もちろん、門徒衆という従わぬ民の頑迷さもさることながら・・・そこに大阪城下という新たなる首都建設の目論見があったからだと思われる。

すでに安土城は完成していた。当然、信長は大坂の城の構想に熱中していたはずである。

すでに・・・抵抗勢力の包囲殲滅という手法を確立した信長にとってそれは計画と実戦の問題であった。

しかし・・・信長のビジョンを理解しないものはその前途にたびたび立ちふさがるのであった。

「またもや・・・か」

荒木村重謀反の報せは・・・たび重なる裏切りの非道さを信長の心に想起させる。

「天下布武」というビジョンを掲げ・・・その素晴らしさを誰よりも理解している信長にとって・・・寸暇を惜しみ、その成立に粉骨砕身している自分が無性に憐れに思えてくるのだった。

美濃・近江国境を裁量する池田恒興の安土城下の屋敷には養徳院が居住している。

鬱屈した信長は時に養徳院を安土城天守閣に招くのだった。

恒興の母である養徳院は・・・信長にとって大御乳様と呼ばれる乳母である。

恒興の父の恒利の死後、信長の父・信秀の側室となった養徳院は・・・信長にとってまさに母に等しい存在だった。

池田家の跡取り娘として厳しい教育を受けた養徳院は感情も豊かだが・・・武家としての素養も供えていた。

実母の愛を知らぬ信長にとって・・・人としての情の根源は養徳院の育みの日々に帰するのだった。

「吉法師様・・・およびでございますか」

信長は養徳院と二人きりの時に限り、幼名で呼ばれることを好んだ。

「摂津の荒木が謀反いたしたわ」

「なんと・・・情けなきこと」

「で・・・あるか」

「吉法師様のお心を苦しめて・・・なんの益がございましょうや」

「是非もなし・・・わしが思うように・・・人も思うでなあ・・・」

「人はあさましきものでございますなあ・・・恩に報いず徒で返すとは・・・」

蒼白の面をした信長は張り詰めていた心が和らぐのを感じる。

荒木村重の裏切りはそれほどまでに信長の心を傷つけていた。

養徳院の柔らかなもの言いは・・・信長の絶望を緩和する効果があった。

狂いが生じた計画を見直すゆとりを信長は得た。

今にも窒息しそうになっていた呼吸機能が回復し、信長は大きく息を吸う。

その頬に赤みがさした。

「輝政は息災かのん」

信長は養徳院の孫の名をあげた。

「おかげさまで・・・」

「摂津攻めには我が陣に加えるがよかろうず」

「ありがたきしあわせにございまする」

「さがってよい・・・」

信長は憂いを含んだ瞳で養徳院を見た。

修復された計画はすでに実行段階に入っていた。

「村重め・・・この世の地獄を見るがよい」

信長は自らの出陣を決意した。

その頃、決死の覚悟で・・・荒木村重の説得に賭けた官兵衛の賭博は失敗に終わった。

姫路城で病気療養中の竹中半兵衛の枕元に仮面の忍者が現れる。

「赤影参上・・・」

「官兵衛殿はいかがいたした・・・」

「一服もられ・・・獄につながれてございます」

「ふふふ・・・不死身のもののふの体力勝負はうらやましい限りじゃ」

「これで・・・御着城の旗色は決しましてございます」

「ふん・・・いらぬ仕事が増えるのう」

「いかがしますか・・・」

「官兵衛殿が何をしようが・・・人質の命は・・・風前の灯じゃ・・・そもそも・・・官兵衛殿の人質ではなくて・・・小寺家の人質じゃからな・・・もう・・・安土からの使者が秀吉様の元に届く頃じゃ・・・これは・・・儂が手当てせねばなるまい・・・」

「お身体に障りますな」

「ふふふ・・・もう儂の命数は尽きておる・・・とにかく・・・手配りはすましておく・・・その後は・・・赤影と愉快な仲間たちにたくす・・・頼み参る」

「承知」

姫路の城に秋風がふきわたる。

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2014年5月11日 (日)

優劣と勝敗は別って考えてみよう(二宮和也)プライドってよくわからないけど傷つく感じが素敵(有村架純)

主人公の目指しているものは・・・青白きインテリの発想なので・・・物凄く難解である。

一方・・・いくら秀才でも・・・高校生たちの日々の暮らしは・・・青春の可愛さに満ちている。

その両方をうっとりと堪能できるドラマなのだが・・・偏差値が高すぎて物凄くお茶の間が脱落しているんじゃないかと不安に思う今日この頃である。

まあ・・・このプロデューサーがからんだものは・・・基本的にそうなっちゃうわけですが~。

それにしても・・・栄光なき天才たち的なドラマ「お家さん」(日本テレビ)の朝日新聞おちょくりは凄かったな。

そうなんだよな・・・どんなに今を繕っても・・・おバカで・・・いやらしい過去は消せないのだった。

日本人に反省を促す前に・・・まず、自社が土下座しろよってことなんだよな。

まあ・・・そういう意味では読売新聞だってアレだけどなあ。

とにかく・・・メディア・リテラシーの向上しかないんだよね。情報機関は必要だけど・・・情報を読み説く力は個々人に帰するわけで・・・。

なぜ・・・中国ばかりを擁護する毎日新聞があるのかとか・・・聖教新聞には公明党の悪口は乗らないのかとか・・・しんぶん赤旗にはなぜ共産党の・・・いや・・・それはさすがにわかるか。

知れば知るほどわからなくなっていく・・・それが世界なのです。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・第5回』(日本テレビ20140510PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・池田健司を見た。プライドほど日本人に分かりにくい言葉はないっていつも思う。そもそも・・・プライドはキリスト教では七つの大罪の一つ・・・傲慢(神を畏れぬふるまい)のことである。一方、仏教でも「慢心」は諌めの対象となる。たとえば「増上慢」とは悟りを得ていないのに悟ったようなことを言うという・・・坊主全員の耳が痛い言葉である。つまり・・・プライドはものすごく悪いことなのである。それなのに・・・よくプライドを持て・・・なんて説教する人がいる。これは理解困難な展開だよなあ。それというのも・・・プライドの訳語が・・・自尊心だったりするからだろう。自分を尊いと感じなければ他者を尊いと思えない的な論理展開によって・・・「我」を肯定する考え方があるわけである。

基本的に「我=個人」というものは前提として存在するものである。

一つの目標として「無我の境地」などというものが設定されるのは・・・最初にどうしようもなく「我」があるということなのである。そして・・・存在するものをあまり否定してもしょうがないよなあと思うのが人情なのだ。

そこで・・・「我」があってもいいけど・・・そこそこにねえ・・・というのが・・・プライドを傲慢と決めつけずにそういうものがあってもいい自尊心として解釈するわけである。

「弱くても勝てる」・・・主人公の主張のわかりにくさと同じくらい「プライド」も分かりにくいのでございます。

とにかく・・・そういう監督の指導によって・・・小田原城徳高校野球部は「守備を捨て攻撃に特化したチーム作り」を戦略とするのだった。

そこに・・・平塚武宮高校が練習試合の相手として名乗りをあげる。

小田原VS平塚・・・ものすごく・・・神奈川県ローカルな対決なのだった。

しかし・・・その裏には・・・子供みたいな性格の富豪・赤岩の父(光石研)の画策があった。

せっかく、寄付したバッティングネットが邪険な扱いを受けたことを根にもった赤岩の父は・・・実は強豪校である浦瀬監督(酒井敏也)率いる武宮高校に・・・最初は手加減して最後は本気を出してもらう天国から地獄作戦を命じていたのである。ああ、馬鹿馬鹿しい。

基本・・・甲子園を目指し、さらにはプロ野球やメジャー・リーグを目指すエリート球児にとって・・・小田原城徳高校野球部の存在そのものがあほくさいというのが前提なのだ。

だが・・・生物学の研究者である青志先生(二宮和也)は・・・理論的には「弱いものが勝つことは生物学的にはありうる」と確信しているのである。

東大卒の生物学のエリート研究員でありながら・・・一方で「野球バカ」である青志は母校の監督に就任すると・・・野球部を勝利に導くことで頭がいっぱいになり・・・「生物」の授業も基本・・・「野球」が主軸になっているのである。

今回は・・・黒板に・・・縄張り(テリトリー)の記述があり、動物行動学あるいは個体群生態学的なアプローチの説明がなされていることが分かる。・・・もう生物の授業の範疇じゃないだろう・・・。餌の確保のために役立つ縄張りと餌の量、縄張りの面積と競争者数の相関関係など社会生物学でも明確ではない理論を高校生相手に展開してどうするつもりなのか。

「野球で言えば強豪校には明確な目標が設定されている・・・つまり、甲子園に出たいという強い希求がある。弱小高が同じ希求で勝負して勝てるだろうか」

「純粋に勝ちたいという気持ちではダメなんですか」と学年五位という才色兼備の柚子(有村架純)が応える。

「それは・・・前提のさらに前提だ」

「校歌を歌いたいというのは・・・」と元吹奏楽部の亀沢俊一(本郷奏多)は言ってみる。

「歌いたいのか・・・」

「いえ・・・それほどでは・・・」

「縄張りは生存のための餌の確保という目標であるが、そのために形成される縄張りは群れの序列を示す場合がある。つまり、強い個体が餌の豊富なスペースを確保するということだ。つまり、餌の豊富な中心部に強い個体がいて・・・餌の少ない周辺部に弱い個体が散開したりする。一方、生物にはもう一つの目標設定である繁殖があったりする。その場合、たとえば中心部にいる強いオスを求めて、メスは中心部に向かう習性を持ったりするのである」

「だから・・・地方から女子が消えて都市部に集中するわけですね」

「そうだ・・・しかし、弱いからといって弱いオスはやれないのか・・・といえばそうではない」

「やるって・・・」

「たとえば中心部にはいられない弱いオスでも・・・上京中のメスと一瞬のスキをついて交尾する可能性がないわけではない」

「なるほど・・・」

「つまり弱くてもやれるんですねっ」

目を輝かす男子生徒たち・・・若干、引き気味の女生徒たちだった。

基本的に・・・青志の目指す「弱くても勝てる野球の秘密」はこの辺にあるわけである。

つまり・・・姑息なのだな。

しかし・・・「強くても負けることがある」のはあらゆる局面で常識だろう。それならば・・・当然、「弱くても勝てる」のである。

打撃に特化したチーム作りのために・・・フルスイングの練習をメニューに加える青志。

「当てる確率を高めるよりも当たった時に遠くへ飛ばす確率を高める作戦」である。

いや・・・もちろん・・・弱い打球はゼロ、強い打球はプラスワンという設定におけるゲーム理論である。

たとえば10回スイングして、弱いスイングなら5回弱い打球を飛ばせるとする。しかし、結果はゼロである。

一方、10回スイングして、強いスイングなら1回強い打球を飛ばせるとする。この場合、結果はプラスワンなのである。

まあ・・・野球ではこれを「三振かホームランか」と言います。

もちろん・・・一般論としてはあまり評価の高くない戦術です。

だが・・・そんなことを無視するのが「弱くても勝てる」セオリーなんだな。

そういう訓練が続く中・・・部員たちはそれぞれの青春模様を繰り広げる。

スカウト組(他の部からの転入者たち)の一人、亀沢は吹奏楽部の女子部員に・・・「野球って楽しい」と聞かれ・・・「超楽しい」と答える。

しかし・・・突然、下宿先を訪ねた両親から・・・家計の苦境を伝えられ煩悶することになる。

母親に家を掃除してもらい・・・「これで勉強の合間に素振りができる」とひのきのぼうをフルスイングした後で眠れない羊になってしまうのだ。

そして・・・睡眠不足で練習中に倒れるのだった。

そんな・・・亀沢を見守る青志。

しかし・・・熱血教師ではないので・・・そこは一歩引いているのである。

「お前の家庭の事情に深く介入はしない・・・お前のご両親にもお前にもプライドがあるだろうから」

「プライド・・・ですか」

亀沢にはプライドの意味がもうひとつわからない。

もちろん・・・お茶の間にも分からないのである。

元陸上部員だった岡留(間宮祥太朗)は陸上部員たちに「陸上競技から逃げた」と非難される。

しかし「違う・・・俺は無敵になった・・・そしてチームメイトのために戦う責任を背負ったのだ」とプライドを示すのである。

元いじめられっ子だったキャプテン江波戸(山﨑賢人)といじめっ子だった岡留との微妙な関係を案じる牛丸(栁俊太郎)も・・・岡留の心の高ぶりに何故か刺激され、好意を感じるのだった。

つまり・・・高いプライドは・・・周囲を高揚させるマジックを伴っているのである。

マネージャーの柚子(有村架純)に思いを寄せられるエースの赤岩公康(福士蒼汰)と柚子に思いを寄せるスラッガー白尾剛(中島裕翔)も恋仇のプライドが炸裂する。

勇気を出して交際に踏み出せない赤岩に対し、白尾は攻勢に出るのだった。

「私も打撃練習したい」と柚子。

「また・・・そんなことを」と赤岩。

「マネージャーの仕事が終ってからならいいじゃないか」と白尾。

「いいだろう」と青志。

「わ~い」と喜ぶ柚子。

「・・・」となんとなく面白くない赤岩だった。この赤岩のものすごく煮え切らないところを怒る白尾なのである。

「俺は柚子には本当に好きな人とつきあってもらいたい・・・しかし、お前がそれをいいことにぬるま湯にひたるなら・・・俺は今度の試合で負けたら柚子に告白する」

「なんなんだ」

「お前を追い込んでいるんだよ」

賢い高校生たちの複雑な恋の駆け引きなのである。

しかし・・・動揺した赤岩は暴投で・・・白尾を負傷させてしまうのだった。

スラッガーを欠いて試合に臨む城徳高校である。

城徳高校のために敵情視察をするなど・・・ジャーナリストとして完全にどうかと思われる利根璃子(麻生久美子)は・・・城徳高校の一員として・・・違うわけだが・・・前途を危ぶむのだった。

一方、青志によって・・・城徳高校の野球部の弱さに張りが出たと評する永遠のマドンナ・楓(薬師丸ひろ子)はなんとなく勝利を祝って「祝初試合・青志監督・初勝利」のケーキを焼くのだった。

妄想的には楓の亡き夫も城徳高校の野球部で・・・とにかく・・・楓は青春時代から一度も母校の勝利を味わっていない人なのである。そりゃもう・・・悲願だよな。

そういう意味では青志と違って監督時代に守りに特化したらしい三条校長(笹野高史)なんてきっと半世紀近く・・・敗北を重ねてきたのに違いない。

そういう歴代の祈りを込められている青志の決めた打順は・・・。

1番ピッチャー赤岩
2番キャッチャー江波戸
3番セカンド樫山
4番レフト牛丸
5番ショート光安
6番ライト伊勢田
7番サード志方
8番ファースト亀沢
9番センター岡留

「なぜ・・・足の速い岡留が・・・ラストバッターなんですか」

「何度も言わせるな・・・一番が出塁して二番がバントで送り、三番、四番が打って返すセオリーなんて・・・ウチの野球部には必要ないんだ・・・っていうか無理なんだ・・・打って打って打って大量得点でコールド勝ちしか・・・勝利の道はないんだと信じろ」

「はい」

こうして・・・試合は始り・・・奇跡が起きたのである・・・。

Ykjt001 三回表で16-0で城徳のリード・・・しかし・・・それは・・・赤岩(父)の謀略によるものだった。

だが・・・試合の途中で・・・自分の誤解を知った赤岩(父)は方針を変更・・・浦瀬監督に本気モードを命じるのだった。

Ykjtoo2たちまち・・・大逆転され、四回終了で16-26である・・・このままでは五回10点差コールドのルールに従い・・・敗北してしまう城徳だった。たちまち委縮してスイングが小さくなる城徳ナインだった。

五回の表・・・先頭打者は八番、亀沢・・・。

しかし・・・プライド高い亀沢はフルスイングで三振になる。

「今までで最高のスイングだった」と亀沢を誉める青志。

つまり・・・監督の指示に従うのが高校野球なのである。

監督に死ねと言われたら死ぬのが選手だ。

なぜなら・・・高校野球は勝負・・・戦争だからだ。

監督の指示に従って・・・フルスイング・・・それを自分の意志で行った亀沢は・・・栄光ある戦士なのだ。

戦って名誉の戦死を遂げたのだった。

信念に従ってチームのために戦うこと・・・それがこのドラマにおけるプライドなのだった。

それが勇者の誇りというものなのだ。

まあ・・・ある意味、命知らずのバカということです。

しかし・・・その魂は九番打者・岡留に乗り移る。

亀沢のプライドは後に続く岡留によってさらに高められるのである。

岡留の強打・・・そして出塁。一死一塁である。

打順は一番に帰って・・・赤岩。

「赤岩・・・続け」と白尾。

白尾に告白されたくない赤岩は必死になるのだった。

「がんばって」と素直に声援する柚子。

赤岩は勝負の鬼と化す。

フルスイング。空振り。

岡留は盗塁・・・成功。

盛り上がる城徳ベンチ。江波戸はチームのために・・・戦う岡留の姿に・・・かってのいじめっ子ではなく・・・戦友を感じるのだった。

「赤岩・・・打て」と青志も叫ぶ。

フルスイング・・・打球は三塁強襲・・・ランナー岡留に気をとられた三塁手が・・・赤岩の出塁を許した。

一死、一塁、三塁。

そして・・・打順は二番・江波戸・・・様々な思いがキャプテンである彼を呪縛する。

一人返せば・・・コールドゲームを逃れることができる。

岡留を返せば一点とれる。

転がせば岡留は帰って来れる。

重圧が江波戸に自分を見失わせる。

プライドの崩壊である。

江波戸はバントをしてしまった。

「あれほど・・・フルスイングをしろといったのに・・・バカが・・・」

江波戸は監督の指示を無視したのだった。

それはチームに対する裏切りだった。

結果として・・・打球はフライとなった。

最悪の結果である。

飛び出した岡留もさされダブル・プレー。

しかし・・・結果以上に・・・岡留との関係に拘泥してしまった江波戸の明らかなエラーなのである。

ゲームセット。

Ykjt003 (五回十点差コールド)

「弱いけれど勝つために打撃に特化する仮説」による・・・「最初の実験」は・・・キャプテンのプライドの低さによって失敗に終わるのだった。

その弱さを・・・しかし・・・チームメイトは責めない。

そして・・・そのことを誰よりも感じるキャプテンだった。

城徳高校の初勝利はお預けなのである。

しかし・・・選手たちは手ごたえを感じるのだった。

負けたので柚子に告白しようとする白尾を止める赤岩。

「今回は・・・なしだ・・・お前が試合に出ていないもの」

「うん・・・いいよ・・・今日のお前はかっこよかったから・・・」

「なに・・・なんの話・・・」と柚子。

青春である。

「弱くても勝てる・・・そういう強い意志を持て」と語る青志。

強いって・・・言っちゃったな。

まあ・・・弱者のプライドとは・・・弱いものにだって意地があるという話だからな。

人口10億の独裁国家に人口1億の民主主義国家が対峙する時・・・最も必要なものが何かっていう話なのである。

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2014年5月10日 (土)

死の天使は嬰児を夢見る胎児を抱きて佇む(大野智)

日本国では経済的理由による堕胎が限定的に認可されている。

個々人の意識の世界ではその善悪は問われたり、問われなかったりする。

個人の尊厳を重視すれば・・・望ましくない妊娠は確かに存在し、「生」と「生」は衝突するのである。

もちろん・・・生きる権利はあらゆる生命にあるわけだが・・・それを完全に保証することは困難である。

その是非を問うことは答えのない問題を解くことと同じである。

ただし・・・絶対主義者はそれぞれの理念に従ってこれを否定し、相対主義者はそれぞれの情緒に従ってこれを容認する傾向にある。

妊娠出産が女性に限定された現象であるためにジェンダーの問題も色濃く反映することは言うまでもない。

しかし・・・すべては単なる運命なのだという考え方もある。

見知らぬものに犯されて父親の分からぬ子を生む母親も・・・理想の生活を求めて中絶を選択する母親も・・・些少の苦しみを味わうのが普通である。

で、『金曜ナイトドラマ・・第4回』(テレビ朝日201405092315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・本橋圭太を見た。リアリズムという点では異常な回と言えるだろう。次から次へとホテルの一室に集まる登場人物たち。プライベートな密会の場でそもそも医師に患者の治療を要請する客室担当者がいるのか・・・いたとしてホテル側が急患と母親を案内せずに他の客室を訪問させるのか・・・それより、なんて火の回りが遅いんだ・・・しかし・・・そもそも、死神だの悪魔が登場するドラマである。それを言ったらおしまいだろう。どうせならリアルタイムに近い30分くらいに凝縮した方があわただしくてよかった気がする。

Photo あの世とこの世の間。死すべき運命の予定表の更新があり・・・経験豊かな死神上司(松重豊)は特例の記述に目を細める。彼にとっては特に珍しいケースではないが・・・若き死神くんこと死神413号(大野智)や、カラスに過ぎない監死官45号(桐谷美玲)には初めてのケースである。

職業訓練ではケースでしか学べない技能というものがある。死神くんや監死官の右往左往ぶりを想像すると上司は微笑みを禁じない。

退屈なお役所仕事では些細な刺激が何よりの楽しみなのである。

擬人化されたふたつの霊的存在に上司は通告する。

「今回の案件は死亡時刻と死亡場所は判明しているが死亡者の氏名が明示されていない。担当官は善処するように・・・」

「そんなの・・・ありなんですか」

「カア・・・」

仕方なく死神くんは・・・死亡者が発生する予定の夕暮れのホテルの一室に向かう。

死亡予定時刻まであと・・・30分だった。

鏡の前で看護師の山口真奈美(臼田あさ美)が化粧を直している。

「ああ・・・あなたが・・・お亡くなりになるんですね」

「え・・・」

「私・・・死神でございます」

そこへ・・・医師・南雲雄司(平岳大)が到着する。

二人は・・・恋人同志であり・・・今夜はホテルの一室でささやかな真奈美の誕生祝いをする予定だった。

「この人・・・誰・・・」

「え・・・あなたもこちらにお泊まりになるのですか」

南雲も死神くんもとまどうのだった。

そこへ・・・フロントから電話があり・・・ホテルに勤務する友人に頼まれごとをされる南雲医師。

「どうした・・・なに・・・子供の急患・・・ホテルのドクターは・・・不在って・・・とにかく医務室に行くよ・・・なに・・・こっちに直接来るって・・・おいおい・・・今夜は」

しかし、幼い息子・亘(押場大和)の発熱に切羽詰まった母親の高野洋子(佐藤仁美)は制止をふりきって部屋に押し掛けてくるのだった。

「先生・・・この子、熱で意識が朦朧としているのです」

「うわあ・・・この人たちも・・・」とさらにうろたえる死神くん。

「とにかく・・・ベッドに寝かせましょう・・・こりゃあ・・・熱が高いな・・・君、氷を持ってきてくれ」

シックな装いから客室係と思われた死神くんはドクターに命じられ、氷を捜して部屋をでる。

そこへ・・・血まみれのナイフを持った男・須藤五郎(安田顕)が廊下をよろめきながら駆けてきて・・・死神くんを部屋に押し戻すのだった。

「ええっ・・・また増えた・・・」

「なんだ・・・君は・・・」

「静かにしてくれ・・・俺は今・・・人を刺してきた」

混乱する一同。

死神くんは事態を収拾するために・・・思わず空中浮遊するのだった。

一同、唖然である。

「すみません・・・私・・・死神です・・・あの・・・後30分ほどでこの中のどなたかが事故でお亡くなりになる予定なんですが・・・」

「なんですって」と看護師。

「どういうこと」と母親。

「ふざけんな」と犯罪者。

「おいおい・・・」と医師。

「はあはあ・・・」と病の息子。

恋人たち・・・母と息子・・・そして傷害犯・・・果たして・・・死ぬのは誰なのか・・・という話である。

その時、衝撃で揺れる室内。

「なんだなんだ・・・」

「爆発みたい・・・」

「おい・・・廊下が火の海だ・・・」

「逃げられないの」

「はあはあ・・・」

「というわけなのです・・・誰かがお亡くなりになるにせよ・・・心の準備をですね」

「ふざけるな」

「冗談じゃない」

「心の準備って・・・」

「誰が死ぬっていうのよ」

「はあはあ・・・」

医師が言う。

「死ぬなら・・・こいつじゃないのか・・・犯罪者だ」

「違う・・・俺はただ・・・女の子にからんでるチンピラを注意して・・・そしたらそいつがナイフをとりだして・・・もみあってるうちに・・・そいつを刺してしまって・・・でも・・・そいつが死にそうな感じで・・・パニックを起こして逃げちゃっただけで・・・」

「そんなの信じられるか」

五郎はサイフから紙きれを取り出す。

それはかって五郎が人命救助で表彰された新聞記事の切り抜きだった。

「ほら・・・俺は・・・ヒーローなんだよ」

「だから・・・なんなんだよ・・・」

「つまり・・・死刑になるようなことはしてないってことだ」

「私が死にます・・・」と名乗りを上げる真奈美・・・。

「えっ」と驚く医師。

「私・・・あなたと別れて・・・自殺するつもりだったから・・・」

「なんだって・・・」

「私・・・聞いてしまったの・・・経営難の病院を救うために・・・あなたが資産家のお譲さんと婚約したことを・・・」

「う・・・それは・・・」

「だから・・・今夜は最後の夜にするつもりだったんでしょう」

「・・・」

幸せそうな恋人たちの事情を知り、立ちすくむ傷害犯の五郎と病気の子供の母親の洋子だった。

「あのう・・・盛り上がってるところをすみません・・・誰が死ぬかを決めるのは私ではなくて神様の定めた運命でして・・・」

「なにそれ・・・あなた・・・なんの権限もないの・・・じや、なにしにきたの」

「ですから・・・やりのこしたことなどないように注意をですね」

「残り、20分で何ができるんだよ」

「そうですねえ・・・御家族に最後のメッセージを送るとか」

「うちは母一人、子一人です」

「結局、運命には逆らえないのか」

「いや・・・できるよ・・・悪魔を呼べば願い事を叶えてくれる」と五郎。

「悪魔って」と死神くん。

「俺はヒーローになりたかった・・・でも勇気がなかったんだ・・・で・・・悪魔に願い事をして・・・表彰されたんだよ・・・二回もね」

「じゃ・・・私たちも助けてよ」と母親。

「三つの願い事がかなうと・・・たちまち地獄行きです」と死神くん。

「じゃ・・・私がお願いするわ・・・どうすればいいの」と母親。

「強く願えばすぐに来るよ」と五郎。

「やめてください」と死神くん。

「やめてくださいと言われてもねえ・・・」とたちまち登場する悪魔くん(菅田将暉)・・・。

・・・あの世とこの世の間・・・。

「やべえ・・・悪魔まできやがったカア」

「困りましたねえ・・・急いで・・・原本から・・・死亡者を特定しないと・・・」

「そんなの・・・無理じゃね」

「しかし・・・そうでもしないとあなたの査定にも響きますよ」

「担当死神を変更をしてくれないカア」

「そうですねえ・・・今夜、お食事でもしなから相談しましょうか」

「それ、セクハラじゃね・・・」

「これまでの不祥事をもみけすことも可能ですよ」

「まじ、パワハラじゃね・・・」

上司のねっとりとした視線を受けてあわてて書類仕事にとりかかるカラスだった。

ま・・・自意識カア剰ですな・・・。

下界では悪魔くんと死神くんの対決が始っていた。

悪魔に魂を奪われたら死神の寿命が縮み。

魂を奪えない悪魔は消滅の運命である。

生死をかけた戦いなのだが・・・お互いにのんびり屋さんの性格を隠せない。

「願い事をかなえますよ」

「やめろよお」

「邪魔すんなよお」

「私たち全員の命を助けて・・・」と母親。

「そんなの・・・簡単ですと言いたいところですが・・・ここに死神が来ている以上・・・どなたかが死ぬことは定められてしまっているんです・・・これは天界と冥界の条約があって・・・悪魔にも違反できないただ一つの禁止事項なんですねえ・・・ですが・・・御安心ください・・・抜け道はありますから」

「だったら・・・私を殺して・・・この子を助けて」と母親。

「いえいえ・・・そんなにあわてなくても大丈夫ですよ」

「あと10分しかないのよ」

「いいですか・・・願い事は三つ叶えますから・・・まず二つ願ってください。そして第三の願いで安らかな死を願えばいいのです」

「それじゃあ・・・この子に・・・富と・・・そして健康を・・・」

「素晴らしい・・・母親の愛ですね」

「ちょっと待ってよ・・・この子にとって何よりも大切なのは・・・お母さん・・・あなたでしょう」と看護師。

「でも・・・」

その時・・・目覚めた子供が母親を呼ぶ。

「お母さん・・・」

「・・・」

「お母さん・・・どこにも行かないで・・・」

思わず我が子を抱きしめる母親だった。

「おやおや・・・こりゃ・・・とんだ邪魔が入ったな」

「皆さん、悪魔の言葉に耳を傾けないでください」

「営業妨害だなあ・・・お譲さん・・・どうです・・・この人と結婚するのが夢だったんじゃないですか」

「確かに・・・だけど・・・一度捨てられたのに悪魔の力で結婚するって・・・なんだか惨めだわ」

「そうだ・・・俺も・・・悪魔の力を借りてヒーローになったけど虚しいだけだった」

「じゃ・・・ドクター、あなたはどうです・・・病院の経営苦しいんでしょう」

「悪魔に力を借りて・・・病気に苦しむ患者を救うのか」

「いやいや・・・そういう人多いですよ・・・特に奇跡の医師とか・・・そういう人・・・ブラック・ジャ」

「皆さん・・・時間がありません・・・残り五分です」と悪魔の誘惑を遮る死神くん。

「あわてたって・・・運命は変えられないんだろう」と五郎。

その時、検索仕事を終えたカラスから死神くんに死亡予定者の正体を明かすメッセージが届く。

死神くんは伝えられた運命の残酷さに立ち向かうのだった。

「誰かが死ぬという意味ではそうです。しかし・・・生きている限り、未来を切り開くことは・・・生きている人間のそれぞれの意志がなせることなのです」

「たとえば」

「何もしなければ大やけどを負うかもしれないし・・・何かをしたことでそうはならないかもしれない」

「なるほど・・・俺は・・・今日は非番だが・・・このホテルの警備員だ・・・廊下にスプリンクラーの手動装置がある・・・それで火勢を弱められるかもしれない」と五郎。

「しかし・・・廊下に出たら危険なのでは・・・」と医師。

「俺は意志が弱いから・・・このままだと第三の願いを使ってしまうかもしれない・・・その前に勇気をふりしぼってみたいのだ」と五郎。

「ふふん・・・この期におよんで・・・後生大事(死後の評価を考慮して善行をすること)の点数稼ぎですか・・・」と悪魔は鼻をならす。

「死ぬかもしれないと思ったら・・・人間は・・・いい子になったりするもんだ」

五郎は浴室に一同を集め、水をかぶらせるのだった。

「ドアを開けると一気に炎が入りこむかもしれない・・・みんな・・・浴室にふせてください」

残り・・・一分。

「いくぞ・・・」

ドアを開けると室内の酸素が火を呼びこみ・・・バックドラフトを引き起こす。

渦巻く炎。

爆風で吹き飛ばされる五郎・・・。

室内に立ちこめる煙。

咳込む看護婦・・・。

「あ・・・」

煙の向こうから消防団員がやってくる。

五人は意識を失う。

死神くんは悪魔くんをふりかえる。

「・・・魂が奪えなくて残念だったな」

「ふふふ・・・君は甘いな・・・勝負は始ったばかり・・・やがて君は人間がどれほど愚かな存在か・・・学ぶことになるだろう」

捨てゼリフを残して悪魔は去り・・・カラスが舞い降りる。

「今回はがんばったんじゃね」

「そうかな・・・」

「なんだよ・・・その目は・・・まさか・・・お前も俺の身体を狙ってるのか」

「身体って・・・おまえの身体で・・・何をするんだ・・・」

「カア、変態、クズ、カス、カアアアアアアア」

医師は病室のベッドで目覚めた。

おかしな・・・夢を見ていた気がする。

じゃあ・・・俺は助かったのか。

誰かが記者に囲まれて質問攻めにあっている。

「正当防衛が成立してよかったです」

あいつ・・・警備員・・・あいつも助かったのか。

「お母さん」

あっちのベッドには・・・あの母子がいる。

どうやら・・・元気そうだ。

それじゃ・・・まさか・・・真奈美が・・・。

俺はベッドから起きあがる。

思ったより軽傷のようだ。

「あなたがご主人ですか・・・母体は無事でしたが・・・赤ちゃんは残念でした」

なんだ・・・この看護師は何を言っているんだ。

見知らぬ看護師が案内する個室に真奈美がいた。

「真奈美・・・」

「赤ちゃんが・・・」

「どうして言ってくれなかった」

「私が・・・バカだったのよ・・・死のうなんて思ったりしたから・・・流産しちゃったの」

「悪いのは俺だ・・・俺が・・・間違っていた・・・他人の力をあてにして・・・」

「・・・」

「俺は俺の力で・・・病院を再建する・・・もしも・・・俺を許してくれるなら・・・君も手伝ってくれないか・・・」

「こんな私でいいのかしら・・・」

「君がいいんだ・・・」

死神くんは二人の会話を聞きながら虚空を見上げる。

幽かな無垢の魂の名残はすでにこの世から消えていた。

街の上空を漂うのは死を予告するカラスの黒い羽根だけだった。

今日も運命はこの世に降り注ぐのだ。

死神くんは少し憂鬱な表情を見せる。

生れなかった人間に名前をつける人間とつけない人間がいるとして・・・どちらが優しいのかと・・・ふと思う。

来週はなでしこでお休みなのである。

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2014年5月 9日 (金)

未亡人と男鰥夫が棲む街でちょっと期待しちゃう女(小泉今日子)

ふう・・・久しぶりに再現性高めをやったら・・・一瞬、寝落ちしてしまい・・・手首を下敷きにして熟睡したら・・・これは・・・捻挫系の鈍痛・・・湿布である。

そして・・・木曜日なのに「なでしこ中継」のために変則なオンエア体制である。

深夜には木南晴夏の「リアル脱出ゲームTV」があるわけだが・・・こういうのがもう全然面白くないお年頃なんだなあ。

一方、「MOZU」はようやく佳境であり・・・これぞハードボイルドな展開・・・ハードボイルドを誤解している人はこの殺伐感に引くのではないかと心配する。

まあ・・・一部愛好家は喜々として堪能である。

やはり・・・内出血でふくれあがった瞼はハードボイルドの基本でございますな。

落下した場所には突起物があって続々と刺殺されるくらいがいいよね。

そういう世界とは無縁のように見えて心がズタズタになるハードボイルドなこのドラマ・・・。

素晴らしい・・・。

で、『続・最後から二番目の恋・第4回』(フジテレビ20140508PM10~)脚本・岡田惠和、演出・加藤裕将を見た。吉野千明(小泉今日子)は高山涼太(加瀬亮)を元カレと表現するのだが・・・高山涼太は吉野千明と自分が恋愛関係にあったとは思っていないわけである。ここがポイントなんだなあ。しかし、小泉今日子が演じているのでとてもそうは見えないというのが一種のマジックである。この残酷な構図が・・・なんだかほのぼのしたムードを漂わせるという・・・ものすごい展開なのだった。

ひだまりの吉野家・・・「再会したら・・・すごくいい女になっていた」と涼太に囁かれて・・・勘違いのボルテージが高まる千明。

そこに凶悪な野獣・典子(飯島直子)と着ぶくれた子猫・万理子(内田有紀)という姉妹の獣が乱入し・・・千明の恋心は宙吊りとなる。サスペンスである。

貴重な元カレを「リサイクル」だの「シェア」だの言い出した典子から・・・虎の子を隠すために・・・涼太先生と万里子先生を家から撤退させる千明。

そして・・・1シーズンやっていたとは思えない典子の衝撃の告白。

「処女で結婚して・・・男性体験は夫ただ一人」である。

恐ろしい事実に呼吸困難になる千明だった。

「男に出来心があるように女にも出来心がある」理論で・・・典子を退治する千明。

機嫌を直した典子は帰宅するのだった。

しかし・・・典子の怒りを惧れた広行(浅野和之)は最後の逢瀬を楽しむために西口不動産の女しおり(中西美帆)に別れを告げに出向いているのだった。

そして・・・広行に下心を吐露された西口不動産のしおりは・・・「関係をつづけましょう」と意外なことを言い出す。もちろん・・・それが恋愛関係の継続を意味することは絶対ないと思われるが・・・広行はすっかりその気になるのだった。

一方・・・心に恋愛の灯が再点灯した千明は・・・街で勝負下着をルンルンで購入する。

ハードボイルドだなあ・・・。

蕎麦教室で・・・美しい未亡人・薫子(長谷川京子)と蕎麦打ちデートを楽しんでいる和平(中井貴一)は「あくまで友人」を強調された上に・・・薫子が天使の真平(坂口憲二)と遭遇したことを知り・・・ちょっとブルーな気分になるのだった。

しかも・・・薫子はすっきりしたらしい。

千明に家を追い出された涼太と万里子は・・・「新作ドラマの脚本」のネタを求めて鎌倉のデート・コースに繰り出すのだった。

「深海魚が好きなの・・・」

「生まれ変わったら深海魚になりたいです」

海底を覗きこむ二人はおそろいの猫背に・・・。

スリリングである。

真平と大橋知美(佐津川愛美)が結婚式の打ち合わせをする喫茶「ナガクラ」には続々と人々が集う。

時を越えて「悪夢ちゃん」の小学生から中学生に転生した長倉えりな(白本彩奈)は「思春期」を爆発させて・・・蕎麦デートから帰宅した父親にいろいろと難癖をつけるのだった。

一方・・・和平は真平と薫子が「やったのか・・・やらなかったのか」で頭がいっぱいである。

そこへ暇を持て余した典子。下着を買い終わった千明などが続々と集結する。

そして・・・ついには・・・薫子が突入。

真平の「天使復帰」の真偽が問われるのだった。

「握手してもらっただけ」

「握手しただけ」

「兄です」

「弟です」

「便秘がすっきりしたのよ」

「やっちまったな」

「天使はもうやめました」

「ええ~せっかく決意したのに」

「ファンキーだったねえ」

「あ・・・結婚式の打ち合わせの時間だ」

「・・・」

いろいろとホラーである。

こうして・・・鎌倉の休日は終わって行くわけである。

自室に籠った原田蒼太(中島凱斗)とえりなの中学生男女がどんな勉強をしたのかは神のみぞ知るのだった。

そして・・・万里子は涼太と車内で接触して再び鼻出血である。

「精神は千明様に捧げていますが・・・置き去りされた肉体が反応しているのでどうかお気になさらずに・・・」

「僕は書いてみたいドラマがあります・・・それを書いてみてもいいですか」

「ぜひ・・・お書きください」

ハードボイルドだど・・・。

仄かな恋を薫子に抱く和平を・・・上位から慰めるために酒の席に誘う千明。

なにしろ・・・千明は昔の男から「いい女になっていた」と言われた女なのである。

「慰めてます」

「慰められます」

夜更け・・・暗闇に潜む万里子はショッキング。

帰宅した和平は悲鳴をあげる。

「どうしたんだ・・・」

「お兄さんは・・・肉体だけの恋愛をしたことがありますか・・・」

「ええ・・・ないよ」

「ですよね」

「・・・」

続いて帰宅した真平は何か言いかけてやめるミステリーである。

基本・・・ミスリードです。

一方・・・クライマックス。

執筆に励む昔の男を愛おしげに見守る千明。

今夜は・・・勝負下着着用済みである。

しかし・・・「男と女の壁を越えて・・・よくしてくれた恩に報いる」と爆弾を投下する涼太だった。

男と女の壁を越えて・・・。

男と女の壁を越えて・・・。

男と女の壁を越えたら・・・もはや男と女ではないのである。

「期待しちゃったじゃん・・・」

勝負下着は虚しく千明の身を包むのだった。

もはやバイオレンスである。

しみじみと恐ろしい・・・部下である和平に対する伊佐山市長(柴田理恵)の態度。

和平が選んだブルーを身にまとった伊佐山市長は背後に迫るゾンビの如く・・・。

未亡人キラーに迫りくるのだった。

そして・・・正体不明の女・薫子は・・・非礼をわびる和平に対して・・・。

「セックスフレンドを前提にした友情を温めよう」と宣言するのだった。

和平は眩暈を感じる。

サイコである。

そして・・・修羅場となっている製作期間が超ショートなJMTテレビ・ドラマ班。

キャスティングは難航中だが・・・なんとか演出家が決まりかける。

先立つものは脚本である。

そして・・・ついに仕上がる涼太の第一稿・・・。

だが・・・涼太が背水の陣で乾坤一擲で渾身の一作は・・・千明がこれまで読んだ脚本の中で・・・一番つまらないという・・・。

恐ろしい恐ろしい恐ろしい展開なのである。

よどみないなあ・・・。

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2014年5月 8日 (木)

そして劇場版までもつづく夢を見た悪夢ちゃんスペシャル(北川景子)

一年半の不在を経て・・・悪夢ちゃん復活である。

そして・・・この日は主題歌「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を歌うももいろクローバーZが日本テレビで番組ジャックをしたわけである。

ある意味で・・・現在の日本のトップ・アイドルはAKBグループでもなく、モ娘でもなく・・・ももクロだという実感を初めて感じたお茶の間も多かったのではないか・・・。

まあ・・・そういう感覚は「人それぞれのもの」なので分らない人には分からなくていいと思う。

もちろん・・・当の日本テレビが随分偉い人になったサザンの桑田にちょっと似ている小杉氏を始め、どのくらい自覚しているかは定かではない。

番組ジャックの一環である「笑神様は突然に」ではスタジオ収録のスケジュールがとれないタイトさである。

企画はめちゃイケの「岡村隆史&加護亜依in竹下通り」の焼き直しで「ももクロ変装して竹下通り」なのだが・・・竹下通りの興奮が絶頂時代のモ娘。を上回っている演出になっている。

基本的にテレ朝ベースで展開しているももクロだが・・・気配を察知したフジテレビとNHKは最近、露出を増やしている。そもそも・・・「サラバ、愛しき悲しみたちよ」はアーティストとしてのももクロの起爆剤になっているわけだが・・・日本テレビとしては俺だっての気分なのだな。

そういう思い入れ濃度というのはどうしても個人差がある。

そう言う意味では「3分クッキング」の濃さは相当だった。

かわいいよ、ももクロかわいいよと言うしかないのである。

一方で・・・「劇場版」のPRとしての「ドラマ」はバラエティ・ショーのノリがやや強く、一部ドラマ・ファンには違和感があったことは確実だと思われる。

なにしろ・・・脚本が大森寿美男ではないのである。

なんと・・・アシスタント・プロデューサーが書いてるのだ。

まあ・・・素人のくせに・・・作品のイメージをそれほど損なわず・・・劇場版本編につなげたのは逆に凄ええええええとも考えます。

まあ・・・悪夢ちゃんワールドに魅せられていると些少なほころびには目を瞑る体質になっているのでございますけれど。

で、『んスペシャル』(日本テレビ20140502PM09~)原案・恩田陸、脚本・佐藤友治、演出・佐久間紀佳を見た。このドラマは夢の解釈をベースにしたファンタジーである。しかし、レギュラー・シリーズ中は大森寿美男がそれなりに世界観を展開し、強引なリアリティーを確保していた。なんといっても心に残るセリフが決め手である。今回は終盤で「夢を嗤うな」と彩未先生(北川景子)が説教するシーンがあるのだが・・・「夢を見ることを否定したら未来を切り開いていけない云々」というようなことを言う。これが何を言ってるのか・・・まるでわからない感じに仕上がっている。深みがね・・・ないんだよ。でも・・・まあ・・・なんとなく言いたいことは分かるのである。しかし・・・大森寿美男だったら・・・こうは言わせない気がいたしました。まあ・・・あくまで・・・妄想でございますがっ。

Momokuroqp いろいろあったが・・・何事もなかったように存在する明恵小学校5年2組・・・しかし、1年半の歳月は成長期の子役たちを確実に成長させ・・・みんなでっかくなっちゃっているのだった。悪夢ちゃんこと古藤結衣子を演じる木村真那月もすでに13歳である。しかし、小学生だと言われれば小学生なのだった。「悪夢ちゃん」以前に「最後から二番目の恋」で長倉えりなを演じていた白本彩奈は「続・最後から二番目の恋」では中学生になっている。しかし、実際にはもうすぐ12歳(5月14日生れ)なのである。白本彩奈が演じるクラスで一番目立つ小泉綾乃がリアル小学生なのだから問題ないのだ。

レギュラー最終回で夢違観音で彩未先生と悪夢ちゃんは・・・彩未の恋人で悪夢ちゃんの父親らしい志岐(GACKT)と「夢みたい」な再会するのだが・・・それが夢でリンクしている彩未先生と悪夢ちゃんの共有の夢だった・・・という幕開けである。

ちなみに悪夢ちゃんも彩未先生も超能力者である。

悪夢ちゃんは人類の無意識に接触して時間軸を越え、予知夢を見ることができる。

彩未先生は夢を意識でコントロールする明晰夢を使用して他人の夢に侵入できるし、悪夢ちゃんの予知夢を解釈して未来を改変することが可能である。

この設定は完全にSF的であるが・・・このドラマはそのサイエンスの部分をファンタジーというオブラートで包んでいるのである。

もちろん・・・夢科学は現在では幻想の産物である。

しかし、このドラマのまあまあの成功がその後の「みんな!エスパーだよ!」や「安堂ロイド」、「なぞの転校生」などSF的ドラマの出現に貢献していると思われる。

さらに言えば「夢落ちで何が悪い」の姿勢は「失恋ショコラティエ」を生んだとさえ言える。

ま・・・あくまで妄想の話です。

レギュラー・シーズンの「悪夢ちゃん」が小中学生に絶大な人気を誇ったかどうかは別として一部業界には勇気を与えていることは間違いないのである。

主題歌の「サラバ、愛しき悲しみたちよ」は全篇が「夢」を主題としている。

見ざる 言わざる 聞かざるでござる

君子、危うきに近寄らずデス

この脈絡のなさは「夢」そのものである。

そして・・・

こころの声が木霊する

涙と希望のカーニバル

とは・・・まさに「夢」の正体を分析的に語っているのである。

こんな哲学的な歌詞を小中学生の多くが正確に理解しているとは到底思えないのだった。

・・・もういいか。

学校では甘澤校長(キムラ緑子)と中込教頭(阿南健治)が霜月女子学院との「高校生と小学生の異年齢交流」という行事の担当を彩未先生に命じるのだった。

その実行委員に選ばれてしまった悪夢ちゃんと屋上で情報を交換する彩未先生。

「女子高校まで行って変な夢もらってこないでよ」

「私・・・志岐さんは生きていると思う・・・昨日、志岐さんが無人島にいる夢をみました」

「その夢、私も見た・・・悪夢ちゃんの無意識が流れ込んで来たのかな」

「志岐さんは骸骨になったけど・・・やはり生きてたから」

「でも・・・捜索は打ち切られたし・・・」

志岐は海に消えたまま行方不明なのである。

しかし・・・悪夢ちゃんが予知した以上・・・志岐が瀕死から生還するのは確実なのだった。

そして、今は亡き永井一郎のいつものナレーションで「悩夢」は開幕するのである。

そこで述べられるのは意識は有限だが・・・無意識は無限というこのドラマのお約束である。

そしてお茶の間は悪夢の世界へ誘われる。

学校の廊下に整然と並ぶ児童たち。

その列は保険室へと続いている。

悪夢ちゃんは不審に思いつつ中の様子を窺う・・・怪しすぎる養護教諭の琴葉先生は児童に「あーんして」と口を開かせると・・・児童の口からは紫色の魂状のものが出現して、琴葉先生はそれを無造作に吸入してしまうのだった。悪夢ちゃんは琴葉先生に発見され・・・確保されてしまう。たちまち超人ハルクのように筋肉質な身体になる琴葉先生は「あなたも私の一部になりなさい」と巨大な口を開くのだった。

「キャー・・・キモい」と悪夢から覚醒する悪夢ちゃんだった。

まあ・・・優香史上もっともキモい役柄である。

早速、彩未先生に報告する悪夢ちゃん。

「琴葉先生がおかしい・・・」

しかし・・・琴葉先生がおかしいのはいつものことだととりあわない彩未先生。

そして・・・琴葉先生は異年齢交流会に勝手に同行してくるのだった。

明恵小学校一行を出迎えるのはドラマ「高校入試」から抜け出たような高校教師・松田先生(小松利昌)である。

そして・・・異年齢交流会を指導するのは霜月女子学院の生徒会長で異年齢交流会の委員長を務めるいかにも優等生な玉井詩織(玉井詩織)だった。ももクロのイエローはレギュラー・シーズンから夢獣の声優も務めている。

つまり、夢王子(GACKT)と同様に二役であり・・・当然、物語のキーパーソンとなる。

ここから・・・ももクロがゲストとして登場するが・・・その使い方が・・・脚本家的・・・というよりはプロデューサー的なのである。

そこはもう・・・確実に賛否が分かれるところだが・・・これはこれでいいと思う。

旬のアイドルの使い方としては王道だ。

ひょっとすると・・・大森寿美男では・・・ここまで美味く使えなかったかもしれない。

そういう・・・綱引きが内在しているドラマなんだな。

さて・・・詩織委員長のリードで・・・「将来の夢の作文発表」と「出し物対決」という異年齢交流会のイベントが決定される。

会議を終えたメンバーたち。児童たちは校庭で・・・ダンスを練習する女子高校生を発見する。

綾乃が興味津々で接近すると・・・小学生たちは女子高校生たちに群がるのだった。

その様子に不快感をあらわにする詩織委員長に・・・琴葉先生が注目する。

可愛い小学生たちのリクエストに答え・・・「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を踊り出すダンサーたち。

レッドのダンス部キャプテン・百田夏菜子(百田夏菜子)、ピンクの佐々木彩夏(佐々木彩夏)、グリーンの有安杏果(有安杏果)、パープルの高城れに(高城れに)・・・布袋寅泰のギターが鳴り響くのだった。

ちなみに現在足首骨折中のピンク以外はなんちゃって高校生である。

この曲でももクロは紅白歌合戦(2012年・「行くぜっ!怪盗少女」とメドレー)に初出場を果たすのである。

ヒャダイン→やくしまるえつこ→岩里祐穂&布袋・と続くシングル楽曲提供者の流れがかっけええええっのである。

・・・もういいか。

とにかく、小泉綾乃たち小学生はダンス部のダンスに魅了され・・・詩織委員長は「でも彼女たちは落ちこぼれです」と琴葉に吐き捨てるのである。

異年齢交流会の課題である「将来の夢の作文」に取り組む悪夢ちゃん。

しかし、その筆は進まないのだった。

彩未は琴葉を酒の席に誘い・・・一応、魂吸引の有無を確認する。

「そんな・・・どうやって魂を吸うんですか」

「まあ・・・そうだわね」

なんとなく・・・お互いの高校時代を打ち明け合うガールズ・トークである。

琴葉は親の言いなりでガリ勉していたのに成績はいつも八位を上回らない暗い青春・・・。

唯一の趣味のポエム作りも・・・基本は盗作で蕎麦屋のバイクを盗んで走り出したこともあったのだった。

一方・・・彩未は才色兼備で学校の女王・・・ブタ野郎どもの陳腐な恋文を読まずに燃やす時にカタルシスを感じるサイコJKだった。

「彩未先生の将来の夢は・・・何だったんですか・・・」

「子羊たちの番人になることよ・・・」

「じゃあ・・・夢はかなったのですね」

「思った形ではないけどね・・・羊飼いの仕事は面倒くさいことばかりだし」

彩未は・・・将来の夢を持てない悪夢ちゃんを危ぶみ、琴葉は鬱屈したところが過去の自分を思い出させる詩織委員長が気になっていた。

教え子や若者の未来を案じるという・・・二人は・・・結局、いい教師なのである。

ダンス部のダンサーたちは練習に余念がない。

しかし、暗雲がたちこめ・・・黒い霧の中から怪物が出現する。

天使の身体にフクロウの頭、黒狼にまたがっているのは地獄の辞典に登場する地獄の大公爵・悪魔アンドラスである。

アンドラスの頭は悪魔学者によってはゴイサギやカラスとする説もあるが・・・基本的には公爵様のその時の気分で変容するのである。ドラマではゴイサギでは分かりにくいので地獄の辞典の挿絵に従った造形らしい。

基本武装はサーベルである。配下に三十堕天使の軍団長を従え、百万の悪魔を支配する。

悪魔学的には不和の扇動者として知られ、人間に殺人の方策を指南する悪魔の代表として分類されている。

アンドラスの背後からは詩織委員長が現れる。

驚くダンサーたち。

アンドラスは詩織委員長の魂を地獄の炎で燃えあがらせる。

詩織委員長は炎を発し、ダンサーたちを焦熱地獄に追いやるのだった。

たちまち・・・大自然を貫通する死の絶叫(ムンクの叫び)を発し白骨化するダンサーたち。

暗い喜悦を感じる詩織委員長。

しかし、アンドラスは夢王子に変身すると炎のサーベルで詩織委員長を貫くのだった。

詩織委員長も業火に包まれ・・・世界は炎上する。

「キャー」と悪夢から覚醒する悪夢ちゃんだった。その模様は例の「夢札」に録画されたらしい。

悪夢ちゃんが欠席した教室では異年齢交流会の小学生サイドの名称らしい「年の差交流会」の出し物会議が行われる。・・・統一しろよ・・・。

委員になっている発明家志望の蒼太(渋谷龍生)と親友の卓弥(若山耀人)は「サイエンス・ステージ」を提案するが・・・女子たちに猛反発され・・・小泉綾乃の主導で「シンデレラ」の上演が決定するのだった。

蒼太と卓弥はめげるが・・・琴葉先生は「男ならあきらめるな」と二人を煽るのだった。

一方、悪夢ちゃんの家庭訪問をした彩未先生は悪夢ちゃんの祖父・古藤万之介教授(小日向文世)から・・・「孫を悪夢から救ってくれ」といつもの要請をされるのだった。

仕方なく、夢札の分析を開始する彩未先生。

「不和の悪魔アンドラスが・・・詩織委員長を使って・・・ダンス部に不幸を招かせようとしているのね・・・しかし・・・どうして・・・夢王子が・・・アンドラスなのかしら・・・とりあえず、詩織委員長を見張るしかないわね・・・悪夢ちゃん、これから霜月女子学院に行って張り込みをしなさい」

小学校教師が小学生に命じることではない。

詩織委員長を尾行した悪夢ちゃんは詩織委員長の意外な一面を見る。

詩織委員長は公園で子供たちにダンスを指導していたのである。

詩織に発見されてしまった悪夢ちゃんは偶然を装って詩織と話し合う。

「明日の将来の夢の発表会楽しみね」

「私・・・まだ・・・書けてない」

「そうなの・・・実は私も・・・」

「詩織ちゃんの夢はダンスですか」

「ダンスはもうやめたのよ」

詩織委員長は元ダンス部員だったのである。

しかも・・・百田キャプテンのダンスグループの一員だったらしい。

そのことは・・・ダンス部員たちにも波紋を投げかけていた。

小学生のリクエストに応え、「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を踊ることにしたダンサーたち。しかし、そのダンスは詩織委員長もかって一緒に汗を流した演目だった。

ダンス部員は詩織委員長の退部を裏切り行為と感じているらしい。

そして・・・どうやら「年の差交流会」に決定したらしいイベントで・・・「将来の夢」を発表する代表たち。

しかし悪夢ちゃんは「将来の夢はわかりません」と発表する。

それに対して・・・詩織委員長は「国立大学に進学し、経済学を学び、IT企業の経営者になる」という夢を滔々と語るのである。

悪夢ちゃんは裏切られた気分になるのだった。

続いて運動部を代表してダンス部の高城れにが「将来の夢はプロのダンサーになり東京ドームで観客を狂喜乱舞させ・・・伝説になることです」と語り、場内を沸かせる。

しかし、詩織委員長は「小学生相手に妄想を語るのはどうかと思う」と高圧的態度で批判するのだった。

たちまち・・・高まる対決ムード。

年の差交流会は不穏な空気に包まれる。

小学生たちは・・・高校生たちの軋轢を分析するのだった。

「夢を語っているのに妄想だって決めつけるなんて空気読めてないわよね」

「ダンス部のお姉さん、激オコだったよね」

「でも・・・結局、大それた夢は見るなってことじゃない」とまとめたのは小泉リーダーだった。

予知夢は見れるのに自分の将来は見えないのかと指摘された悪夢ちゃんは思い悩むのだった。

一瞬先は闇である。職員室で彩未先生は蒼太の親から連絡を受けていた。

父親の転勤で蒼太一家は北海道に引っ越すことになったらしい。

それを知った卓弥は蒼太との思い出作りのためにでかい花火を打ち上げることを計画するのだった。

やがて幼い発明家コンビはとんでもないものを作り出すのである。

自宅に戻った悪夢ちゃんは祖父のくたびれた歯ブラシを新品に交換した後で鏡を覗きこむ。

「私の将来・・・」

鏡の国に彷徨いこんだ悪夢ちゃんは女子高校生になっている自分に気がつく。

予知能力者として恐れられた悪夢ちゃんは教室で孤独な時を過ごしている。

将来の夢はまったく見えないのだった。

海岸にある祖父の墓参りに出かけた悪夢ちゃんは「私・・・うまくやれない」と報告する。

墓石の扉を開き現れる亡霊の祖父に恐怖を感じる悪夢ちゃん。

時は刻まれ、ショムニのOLとなった悪夢ちゃん。しかし、コピーひとつ満足にできず、無能者の烙印を押されるのだった。

再び、海辺の墓地で今度は彩未先生の墓参りをする悪夢ちゃん。

「私、大人になってもダメみたい・・・」と報告すると地中からキャリーとなった彩未先生が手を伸ばす。

時を越えて独居老人となった悪夢ちゃん。2083年のテレビからは貞子となった彩未が救いの手を差し伸べる。

気がつけば夢獣が暗闇を彷徨う悪夢ちゃんに寄り添う。

夢獣は琴葉先生に姿を変え・・・鏡を破壊するのだった。

夢から解放された悪夢ちゃんは自宅の洗面所で目を覚ます。

悪夢ちゃんの超思念は物質化現象を引き起こし、鏡を割っていた。

その夜・・・現実の人々は様々な行動を開始するのだった。

男の子たちは秘密の作戦に熱中し、琴葉先生はバイクで夜の闇に消え・・・高校には不気味な人影が接近する。

翌日・・・教室ではシンデレラの稽古が行われている。

悪夢ちゃんは配役不足の協議の結果、お地蔵さん役となっていた。

彩未先生は悪夢ちゃんを不憫に思うのだった。

悪夢ちゃんが・・・彩未先生に琴葉先生の安否を尋ねている時・・・緊急事態が校長室から報告される。

「小学校に不気味な爆破予告」「高校で職員室の窓ガラスが割られる」・・・ふたつの事態を受けて・・・年の差交流会は中止となったのだった。

彩未先生と悪夢ちゃんは屋上で情報を交換する。

「私が大人になって・・・おじいちゃんが死んで・・・幽霊になって・・・彩未先生も死んじゃって・・・琴葉先生がバラバラになって・・・」

「なんだか・・・ちっともわからないわ・・・夢札は・・・」

「記録してません・・・白昼夢だったから・・・」

「しょうがないわね・・・」

彩未先生は保健室に行き、奥の手である強制睡眠による明晰夢に着手する。

彩未先生は夢獣とコンタクトをとり、琴葉先生の無意識に侵入する。

琴葉先生は駐車場に佇んでいた。

やがて・・・玉井詩織が現れて琴葉先生は魂の吸引を行う。

琴葉先生は玉井詩織に変身して罪を告白するのだった。

「私が職員室のガラスを割って・・・その罪をダンス部になすりつけたのです」

「どうしてそんなことを」

「夢ばかり見てたら現実が見えなくなるから」

「どういうこと」

「私はダンス部をやめて・・・現実と折り合いをつけたのに・・・キャプテンたちはチームを解散しなかった」

「あなたは夢から逃げたのね・・・でもそれと残った四人は関係ないじゃない」

「違う・・・私は未来を見たの」

「未来ですって」

「私がダンスを続けていたら死神に命を奪われるの・・・彼女たちは身体を刈られて足だけで不毛なダンスを一生踊り続けることになるのよ」

「一体・・・そんなことを誰に・・・」

「夢を占う・・・知らない男の人・・・」

彩未先生は懐かしい男の影を感じる。

しかし・・・今は詩織の真意を確かめなければならないのだ。

「あなたの本当の気持ちはどうなの?・・・心の底からダンスをあきらめたの?」

「私は・・・」

悶え苦しむ玉井詩織は再び琴葉先生に変身する。

「そんな風に追い詰めたら・・・彼女は心を閉ざしてしまいます」

「じゃ・・・どうしろっていうのよ!」

「ちょっと・・・その前にやることがあります」

駐車場に現れる暴走族風の若者たち。

琴葉先生は若者たちの魂を吸引し始める。

「何してるのよ」

「先生も私とひとつになりますか・・・涙の数だけ強くなれるでしょう・・・」

琴葉先生は妖怪変化グール(食屍鬼)となり・・・巨大な牙をむき出す。

「キャー」と保健室のベッドで目を覚ます彩未先生。

彩未先生には大体のことがわかったのだった。

それは・・・あたかも熱海の捜査官のオダギリジョー的にである。

彩未先生と悪夢ちゃんはまず・・・・怪しすぎる養護教諭を訪ねて件の駐車場へ向かうのだった。

そこで琴葉先生は悩める若者たちの悩みを聞くという街角カウンセラーをしていたのだった。

しかも・・・暴走族になりきり暴走族の心の扉を開いていたのである。

こうして・・・若者たちの魂を獲りこんで自分の心の成長を達成していた姿が・・・悪夢ではムキムキマン化した琴葉先生の象徴となっていたのだ。

彩未先生は琴葉先生そのものには少し引きながら・・・相手の気持ちに寄り添う琴葉先生の姿勢にインスピレーションを受けるのだった。

次に三人は・・・琴葉のサイドカーで夢科学研究室に向かう。

そこには・・・行方不明だった志岐が待っていた。

彩未先生は再会の歓喜を抑制しつつ・・・不和をもたらすアンドラスとしての志岐の行動を確認する。

案の定、志岐は詩織委員長に接触し、彼女の悪夢から最悪の未来を提示していたのだった。

ダンサーとしての未来に不安を感じていた彼女はダンス部をやめて生徒会長になったのである。

「あなたのせいで彼女は自分を見失ってしまったのよ」

「どんな未来を選ぼうが彼女が彼女であることに変わりはない」

愛し合っているが相容れぬ部分がある彩未と志岐だった。

希望と絶望は紙一重なのである。

彩未先生は希望の未来を切り開くために・・・琴葉先生と二手に分かれるのだった。

悩みをかかえる詩織には琴葉が・・・。

担任教師として爆弾魔の悪童に彩未先生が・・・。

琴葉先生は詩織委員長に罪を告白させ・・・謝罪させることに成功する。

詩織は・・・自分がダンスがメンバーの中で一番下手なことにわだかまりを感じていて暗黒面に堕ちたのである。

一方、悪童コンビは・・・巨大な花火を打ち上げるための予告状を書いただけだったのだ。

二つの問題は解決し・・・年の差交流会は予定通り開かれることになる。

しかし・・・最後の危機は・・・そこまで迫っていた。

悪夢ちゃんは夢を見た。

ステージでダンス部とダンスを踊る彩未先生。

しかし、舞台は暗転し・・・突然、大爆発が起こる。

ダンサーたちが黒焦げになって倒れ伏す大惨事である。

そして・・・舞台袖には小悪魔が・・・

夢札を見た古藤教授と助手の山里(和田正人)は彩未先生不在のまま・・・夢判断に挑む。

「あれは・・・グレムリン」

「機械に宿るいたずら好きの小鬼ですか・・・」

「古の英国の魔女たちが使い魔にしていた猫の化身・グリマルキンの進化系とも言われておる」

「なるほど・・・」

朝ドラマ「ごちそうさん」で身に付けた縁の下の力持ち属性が山里を走らせるのだった。

「年の差交流会」の出し物対決は滞りなくプログラムを終了した。

司会を務めた大川美咲(川嶋紗南)からマイクを受け取った彩未先生は悪夢ちゃんを壇上にあげる。

将来の夢を発表する悪夢ちゃん。

「私の将来の夢は将来の夢を見つけることです・・・」

思わず失笑する会場の人々・・・。

しかし・・・彩未先生は・・・。

「他人の夢を笑うな・・・他人の夢を笑うものを私は軽蔑します。ここにいる人たちも多かれ少なかれ未来に不安を抱いているでしょう。そして現実の未来は困難に満ちているかもしれません。時には夢は消え失せてしまうかもしれません。しかし・・・人生を切り開くことができるのは夢を見続けようとする・・・心を持っているものだけです。夢だけが絶望の暗闇に打ち勝つ希望の光だからです・・・だから・・・夢を追い続けるものは必ず人生に打ち勝つのです」

一同は茫然とするのだった。

「玉井詩織さん・・・檀上にあがりなさい」

「・・・」

「窓ガラスを割ったのは彼女です」

「彩未先生・・・」

どよめく会場。

「しかも・・・彼女はその罪をダンス部に着せて廃部に追い込もうとしました」

唖然とする会場。蒼白になる詩織。憤然とするダンス部員たち。

「ひどい・・・なんで・・・そんなこと・・・」

「彼女は下手だったのよ・・・だから・・・ダンス部をやめた・・・でも・・・ダンスを続けるあなたたちを妬んだの」

「ごめんなさい」

「絶対に許さない・・・どうして私たちに相談してくれなかったの」とキャプテン。

「でもね・・・あなたは彼女の苦しみに気がつかなかったでしょう」

「・・・」

「だから・・・踊りなさい・・・今、ここで・・・すべてを水に流して」

「うん・・・踊ろう・・・詩織」とダンサーたち。

「でも・・・私は自信がない」と詩織。

「大丈夫・・・私が一緒に踊ってあげるから・・・」と彩未先生。

騒然とする会場。

「なんてたって素人の私が踊るのよ・・・失敗するのはあなたでなくて私でしょう」

琴葉風説得術は功を奏するのだった。

サラバ、昨日をぬぎすてて

勇気の声をふりしぼれ

「じぶん」という名の愛を知るために

夢では嘘偽りのない本当の自分が表現されるのだった。

踊り出す彩未先生とももいろクローバーZ・・・。

その時、彩未に許された景気づけのクラッカーを点火しようとする悪童たち。

間一髪、助手はそれを制止するのだった。

「こんなに火薬を使ったらみんな死ぬぞ・・・殺人犯になりたいのかっ・・・夢の実現は慎重にしなくちゃ・・・特に科学者は」

こうして・・・すべての危機は回避されたのだった。

Kimokuro遭難しそうで まさかの号泣

ホメてますから、全力で。

迷えるこころの叫びを振り返るな

悪夢ちゃんはステージのダンサーたち見て・・・未来幻視を体験する。

現実に未来時間が浸透した場合、一歩間違えると発狂するので注意が必要である。

夢の中では欲望が解放され、殺意も、冷酷も、卑怯も、怠惰も、孤独も、寂寥も、沈黙も、絶叫もすべて平等に自由となる。

現在、過去、未来が混沌の中に同時存在し、自己と世界は融合する。

無意識につながる夢という無限の解放区こそが・・・意識という虜囚の救いなのである。

大惨事を回避したことで時間軸は新たな次元に推移し・・・未来は幽かに揺らぐ。

シンデレラを夢見る小泉綾乃の選択肢にダンサーが加わり、蒼太の父親は単身赴任することになり、蒼太は転校を免れる。

蒼太と卓弥は友情を育む時間を獲得し、蒼太の父親は孤独と家族からの解放を手に入れるのだった。

悪夢ちゃんは夢で無意識を経由し、彩未先生の明晰夢に出現する。

「私は・・・彩未先生になりたい」

「まあ」

「私は・・・自分の力で悪夢と戦いたい」

「そう」

「だから・・・私に明晰夢を教えてください」

「いいわよ」

彩未先生は夢獣に案内させて悪夢ちゃんと志岐の無意識に侵入する。

記憶回廊で過去に遡上し・・・無人島に漂着した志岐をキャッチするのだった。

志岐は飢餓におそわれていた。

「志岐しゃん・・・かわいそう・・・」

「明晰夢では自分の願いはすべて叶うの」

彩未は・・・天女に変身すると・・・渇きに苦しむ苦いお茶を与えるのだった。

可愛さ余って憎さ百倍である。

自分を死ぬほど心配させた志岐にちょっと意地悪して復讐する彩未だった・・・。

「彩未先生・・・ひどい」

悪魔ちゃんは全能であることの恐ろしさを感じる。

夢の教室に戻った悪夢ちゃんと彩未。

「さあ・・・あなたも何かを願ってみなさい」

「・・・無理みたい・・・」

「何を願ったの・・・」

「素敵な王子様・・・」

「あれれ・・・」

その時・・・少年夢王子(マリウス葉)が現れ・・・彩未を一刀両断する・・・・・・・・・・・・・・・・。

Akumusphc 美しい人生は限りない喜びである。

大切なのは愛の夢を見ることだ。

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独身貴族

天使とジャンプ

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2014年5月 7日 (水)

いつかは皆それぞれの道を歩いて行くのです(深田恭子)

2014年のゴールデン・ウィークも恙なく終了である。

首都圏では5月5日早朝に震度5弱の地震が発生し、早起きしたり、寝そびれたりした人がいたかもしれない。

この日、茨城県南部と伊豆半島沖で続けて発生した地震は・・・初期微動から縦揺れと言う流れがよく似ていた。

地盤ゆるめの東京東部の高層階はそういうニュアンスがデフォルメされるのである。

気象庁は首都圏直下型の地震との関連は薄いと発表したが・・・薄くても関係はあるわけである。

春の行楽シーズンで・・・意外な事故も多発したわけだが・・・幸不幸はそれぞれの運命なのだなあ。

次に何が起こるかわからないから人生は恐ろしい。

しかし・・・そこを楽しめばいいのである。

支配階級の人々はなんとか奴隷人口を確保したいとあの手この手をくりだす。

そういうこともある意味、恐ろしい。

だが、意地をはって反逆し続けるのも疲れる話である。

どこでおりあいをつけて手うちにもっていくか。

人生はありのままの人の欲望(夢)のぶつかりあいにすぎないのだから。

で、『ドラマ10・サイレント・プア・第5回』(NHK総合20140506PM10~)脚本・相良敦子、演出・清水拓哉を見た。ドラマの中ではまだ桜の季節である。元左官職人の木下和男(大地康雄)がホームレスになっていた時、その居住している公園からの強制排除を訴えた自治会の会長である園村幹夫(北村総一朗)は自治会が催す「桜まつり」のイベントの会議に出席している。幹夫は引退する前は信用金庫の理事まで務めた男だった。しかし、会議の席で息子の話題に触れられて言葉を濁す。

「息子は・・・日本にはいない・・・」

しかし・・・息子の健一(阪田マサノブ)は幹夫の自宅で二十歳の時から五十歳となる今まで三十年間・・・引きこもりを続けていたのだった。

幹夫はそれを隠し続け・・・息子は海外に留学し、そのまま現地で成功していることにしているのだった。

健一は幹夫の家の離れの一室で・・・母親の作る料理を食べながら三十年の歳月を過ごしていたのである。

「健一・・・お前、一体どうするつもりなんだ」

「・・・」

幹夫もすでに老齢である、妻も老いている。

園村家は追い詰められていたのだった。

一方、どんな貧困も許さないCSWの里見涼は江墨区(架空)のひきこもりの若者の救援策として時給250円で仕事のようなことをする立ち直りのためのプラットホームとしてサロンの運営を開始していた。引きこもりから脱して新聞配達で家計を支える元ヒッキーのミッチー(渡辺大知)がそのリーダー格である。

声が小さい・・・顔をあげられない・・・思ったことを上手く伝えられない人々を涼とその配下の三輪まなか(桜庭ななみ)や原留美(小橋めぐみ)が強引に盛りたてていくのである。

CSWとヒッキー軍団のテンションの落差、竜巻注意報が発生しそうな激しさがあります。

そこへ・・・何故か乱入してくる幹夫だった。

「あんたたちは・・・こんなクズどもに・・・なぜ構うんだ・・・」

高圧的な老人に怯えるヒッキーたち。

しかし・・・涼は幹夫の態度に「救いを求める声なき声」をキャッチするのだった。

配下の者たちも・・・サロンの意義を記したパンフレットを幹夫に渡し活動への理解を求めるのだった。

元ヒッキーのミッチーは幹夫に妙な質問をされる。

「あんた・・・どうして引きこもりをやめたんだ」

「やり直すのに遅いなんてことはないって・・・あの人たちに言われたからです」

幹夫は藁にもすがるように涼を見るのだった。

その夜・・・幹夫は健一に語りかける。

「いい加減にしないか」

「人の人生つぶしておいて・・・何言ってる・・・土下座してあやまれ」

ついに衝突する二人。

しかし・・・父親はすでに老人である。

息子にどつかれたら・・・倒れるしかないのだった。

深夜に木霊する健一の奇声。

幹夫も幹夫の妻・花世(長内美那子)も・・・為す術がない。

幹夫はついに涼を喫茶店に呼び出すのだった。

「私の息子は三十年間・・・引きこもっているのです」

「よく・・・話してくれました」

三十年前といえば・・・涼はまだ生まれたばかりだった。

1984年(昭和59年)・・・ロサンゼルスオリンピックの年である。森末慎二(体操)や山下泰裕(柔道)が金メダルを獲った年である。日本に最初にコアラがやってきた年。シンボリルドルフが三冠馬になり、トルコ風呂がソープランドに改称された年なのである。ある意味・・・遠い昔である。

その間、ずっと世間をスルーしていた男に・・・アタックを開始する涼だった。

「私は・・・コミュニティ・ソーシャルワーカーの里見涼と申します」

「・・・」

「せっかく来てくれたんだから答えなさい」と口を挟む幹夫。

「私は健一さんと話をしているんです」

「そいつはそういう奴さ・・・自分が一番大切なんだ」と閉ざされた扉の向こうから健一が応じる。

最初のコンタクトを終えた涼は幹夫に頼むのだった。

「私と健一さんが話す時は・・・離れていてください」

「・・・」

言葉を飲み込む幹夫だった。

そして・・・雨の日も風の日もアタックを開始する涼である。

涼の攻撃には何人たりとも耐えられないのだった。

やがて・・・涼は365日×30年×三食の健一が記録した母親のお献立日記を入手する。

32850食の母の愛もすべて虚しく排せつされたらしい。

しかし・・・涼は孤独な健一がまだ人の心を失っていない手掛かりを得たのだった。

ついに部屋への侵入に成功する涼。

室内にはパソコンがあり・・・アップルコンピュータがマッキントッシュを発表し、ファミリーコンピュータが「ロードランナー」や「ゼビウス」を売り出した当時を忍ばせる。

「三十年も一人で・・・つらかったでしょうね」

「・・・」

「お父さんも・・・お母さんもあなたを心配していますよ」

「あの人は・・・俺が二浪した時・・・俺を我が家の恥と言ったよ」

「そうですか」

「あんたはなんで・・・俺みたいのに構うんだ」

「私も・・・昔・・・阪神淡路大震災が起きた時にとりかえしのつかないことをしました」

「・・・」

「それから私は・・・長い間・・・こうして仕事をしている私がいる未来を信じられずに生きていたのです・・・息をするのも苦しいような頃がありました」

「・・・」

「でも・・・今はこうしてあなたと話しています・・・それは私にとって信じられないくらいうれしいことなのです」

「・・・」

「あなたには・・・ずっと夢がなかったのでしょうか」

「夢・・・」

「・・・あなたのやりたいことです」

「昔・・・絵を描いていたことがあった・・・絵を描いていた時だけ・・・息ができたような気がした」

「息が・・・」

涼は突破口を見つけた。

「健一さんは油絵を描きたいそうです」

「絵だって・・・」と涼の報告に言葉を荒立てる幹夫。

「そうです・・・」

「あんたは知らんのか。あいつは美大に通うために絵を描いていたんだ。絵なんて描いて生きていけるはずないじゃないか。まともな大学を出てまともな企業に就職する。それしかまともな人生を送ることはできない・・・私はあいつの描いた絵を全部、燃やしてやったんだ」

「親が子供の心配をすることと・・・子供の人生を支配することは違います・・・あなたのしたことは間違いでした」

「・・・」

息子が実際に三十年間・・・無為の時を過ごしている以上・・・父親に反論は許されないのだった。

もちろん・・・画家になれなかった息子が「何故、あの時、止めてくれなかった」と怨む未来もあるだろうが・・・それはそれ、これはこれなのである。

涼は・・・画材を調達し・・・健一に差し入れるのだった。

30years 健一は「作品」を仕上げた。

うねる大地を一本の道が貫きうねる青空に消えていく印象的な一作である。

サロンに飾られた息子の作品を見て・・・何かを感じる幹夫だった。

「素晴らしい作品だと思います」

「そうですか・・・」

幹夫の思い描いた理想の息子の人生は空虚だったが・・・健一の作品は実在するのである。

幹夫は息子の前で土下座するのだった。

「すまない・・・俺が悪かった・・・」

「父さん・・・」

「あの絵を見ていて・・・俺は何故か思い出したことがある。お前が初めて補助輪を外して自転車に乗った日のことだ・・・父さんはお前が転ぶのがこわくてなかなか手が離せなかった・・・しかし、ふと気がつくと、お前は自転車をのりこなしていた・・・父さんはお前を助けるつもりで・・・お前の邪魔をしていたんだなあ・・・」

息子は思わず嗚咽を漏らす。

思えば・・・遠くまで来てしまったのである。

「俺の命のある限り・・・お前を応援する・・・だから許してくれ」

「父さん・・・」

父と子は三十年ぶりに和解した。

もちろん・・・それで・・・健一の前途が保証されたわけではない。

しかし・・・仲の良い父子である方が・・・老夫婦にとっては望ましいことは確かなのである。

満開の桜の木の下を歩く涼と江墨区役所地域福祉課の山倉課長(北村有起哉)・・・。

「本当に君には・・・声なき声が聴こえるんだな・・・」

「そんなことはないですよ」

「いや・・・君にはサイレント・プアに対する超能力があるようだ」

「・・・」

「ひょっとして・・・それは君の中に・・・隠された悲しみがあるからじゃないのか」

「・・・」

二人の仲睦まじい姿は近所の噂になっていた。

涼の母親(市毛良枝)と祖父(米倉斉加年)は涼の恋愛について噂する。

「あの子にも春が来ないかしらねえ・・・」

「あまり・・・期待せんことだ・・・」

そこへ帰宅する涼。

「まあ・・・噂をすれば影ね」

「なんのこと・・・」

ウルトラスーパーデラックスきょとんを決める涼。

「なんでもないよ・・・桜は綺麗じゃったか」

「うん」

「桜はなあ・・・毎年一回花見客の顔を見に来るんじゃ・・・」

「・・・」

「もう・・・この世にいなくなってしまったものが・・・花に姿を変えてな・・・元気にしておるかってな」

祖父は涼の心の傷を優しく包み込む。

うつむく涼。

「じゃから・・・桜の花は美しいのじゃよ・・・」

そして、季節はゆっくりと巡って行くのである。

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2014年5月 6日 (火)

山は死にますか?海は死にますか?金は死にますか?喧嘩上等ですか?(井上和香)

「極悪がんぼ」(尾野真千子)か・・・「ファースト・クラス」(沢尻エリカ)をしのいだか・・・。

とにかく・・・演出が変わっただけでこれほど見やすさが変わるのも珍しい。

よほど感覚的な相性が悪いんだな。

っていうか・・・オダギリジョーでなくてよかったのか。

まあ、今回は・・・マキタスポーツが井上和香と共演というだけでも価値があるよね。

夏帆と「みんな!エスパーだよ!」で共演しているからな。

これで高岡早紀と共演すれば「日本三大巨乳美人演技派女優」と共演が達成されるのだが。

どういうくくりなんだよっ。

美人で巨乳で演技派って貴重だよな。

美人で巨乳だけでもう充分なのに演技もできるという。

殺意に満ちたこれ以上ない存在感だよね。

「軍師官兵衛」で小寺政職の正室・お紺(高岡早紀)に懸想しつつ戦死する小寺家の雑兵(マキタスポーツ)みたいなことでよかったのに・・・。貧乳揃いの朝ドラマに出ている場合じゃないよなっ。

・・・もう・・・いいか。

谷間一つはつらいよな・・・「悪夢ちゃんスペシャル」と「ホワイトラボでCLUB Rico」で悩ましいことになるしな。

今週、「悪夢ちゃん」で来週、「吉田里琴ゲストドラマ」にするしかないだろう。

「ロング・グッドバイ」とか「大川端探偵社」とか「ルーズヴェルト・ゲーム」とか「セーラーゾンビ」とかレビュー未消化なんだか・・・。

ま・・・いいんじゃね。「ファースト・クラス」さえ枠が確保できない今季だもの。

ま・・・いいか。

「ゾンビの巨人」はよかったけどな。

「ゾンビのファミリー」もよかったぞ。

「幼女ゾンビにソーセージで餌付け」もなーっ。

ま、見てる人だけ見てればいいよね。

で、『極悪がんぼ・第4回』(フジテレビ20140505PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・池上純哉、演出・河毛俊作を見た。GWも終盤である。子供の日に全然ふさわしくないストーリーだったな。子供の時の友情なんて飯の種にならないという。いや・・・飯の種にはなるのか。飯の種はこの場合、搾取という名のシノギのチャンスということじゃけえのう。・・・急に広島風金暮弁かよ・・・。金暮湾の水はまだ冷たいのじゃ、ボケ。誰か、土居の首をとってくれんかのう・・・。いきなり、仁義なき戦いごっこはやめんしゃいっ。

前回・・・余計なお世話という善意で・・・林五郎(要潤)のDVを告発するように妻の満利子(猫背椿)に推奨した神崎薫(尾野真千子)はストーカーとして告発されてしまうのだった。

逮捕され身柄を拘束された薫。

「あることないことうたわれたら困りますねえ」と小清水経営コンサルタントの所長と言う名の小清水組長(小林薫)に釘を刺された組員の金子(三浦友和)は仕方なく、薫の釈放の手配をする。

早速、出動して拘留中の薫に接見する悪徳弁護士・豊臣(宮藤官九郎)・・・。

「で・・・取調られちゃいましたか」

「それは・・・まだです」

「それはよかった・・・あることないこと言わされたら冤罪になっちゃいますからね」

「でも・・・郵送物を・・・」

「そうですか・・・郵送物なんか見たこともないんですか」

「え・・・」

「ないんですねえ」

「・・・はい」

「いいですか・・・やったことのないことをやったって言っちゃだめですよお・・・なんにもいわないのが一番ですからねえ」

「・・・はい」

容疑者の口を封じた金子は・・・被害届の取り下げを満利子に求めるのだった。

「ご主人がこんな暴力ふるっているところ・・・奥さんのお父さんに知られたら・・・結婚生活を続けるのは無理でしょうねえ」

「父には内緒にして」

「じゃ・・・訴え取り下げてもらわんと・・・」

こうして・・・薫は無事、釈放されるのだった。

「釈放にかかった手数料が250万円じゃ」

「200万円しかない」

「困りますねえ・・・弁護料は待てませんよ」

「でも・・・お金ないし・・・」

「借りればええじゃろ・・・」

金子と豊臣に・・・ウシジマくん(十日で五割)より金利が良心的な十日で一割の「大安ローン」に連れていかれる薫。

社長が高利十一(マキタスポーツ)で社長の愛人が事務員の桃尻花瑠子(井上和香)というピンクヒップな金融会社である。

「私・・・連帯保証人がいないんですけど・・・」

「大丈夫ですよ」

桃尻事務員は薫を連帯保証人を代行する「ハイエナ保証」(徒歩一分)に案内するのだった。

そこで夏目(竹内力)と遭遇する薫。

「ハイエナ保証」の社長の跳田鉄男(石井正則)は夏目と幼馴染だと言う。

連帯保証人の代行はすなわち借金取り立て代行である。

夏目は失踪中の債務者からの取り立てを跳田から委託されているところだった。

「私も一口かませてくださいよ」

薫は夏目の金魚のフンになるのだった。金魚の魚拓といい勝負である。

個人情報保護の壁を突破するために真矢樫キリコ(仲里依紗)に「事故写真」を捏造させた夏目はレンタカー屋経由で・・・借金踏み倒しで逃亡中の債務者・藤原(酒井敏也)の潜伏先・・・バー「隠れ家」に到達する。

藤原は逃げた。

ふじわら ぶき ぼう

なつめ そうびなし

ふじわらはぼうでこうげきした

なつめは0ポイントのダメージ

せいとうぼうえいがせいりつした

なつめのこうげき

つうこんのいちげき!

ふじわらはきぜつした

・・・こうして藤原を跳田に引き渡した夏目は報酬として借金400万円のうち、50%の200万円を受け取る。

しかし・・・そこに日本一口の軽い男・茸本和磨(三浦翔平)から情報を引き出した金子が現れる。

「ウチは新規のお客さんからは70%いただくのが決まりでして・・・」

だが・・・相手が幼馴染であることを理由に・・・掟を破る夏目である。

しかし・・・夏目の信じた跳田は腐れ外道だったのだ。

金子の調査で・・・藤原の借金は1000万円だったことが判明。

夏目は700万円の収入を得るところを200万円しか取得できなかったのである。

しかも・・・跳田はそのことを吹聴して嘲笑していると言う。

「ウチの看板に泥をぬられたんじゃ」

「この落し前はつけてもらわないとあかんで」

「夏目・・・下手をうったのう」

組員たちから責め立てられる夏目。

夏目は跳田を問いつめる。

「謝る気はないんかの」

「金貸しも事件屋も相手に恥かかせてなんぼじゃろ」

夏目は失われた友情に涙目で怒りを堪えるのだった。

そんな夏目に寄り添う薫。

「このままでいいんですか」

「落ち目の俺にかまうな」

「金魚のフンですから・・・」

「ふん」

「あの・・・私の親・・・連帯保証人になって・・・店をとられたことあるんです・・・」

「それがどうした」

「大安ローンとハイエナ保証はグルでしょう・・・だから・・・大安ローンには跳田が連帯保証人になっている借用書がたくさんあるはずです・・・それを盗んで売り飛ばしたらどうでしょうか」

早速・・・すけこましの茸を大安ローンに送り込む薫。

それしかとりえのない性的魅力で・・・桃尻は手を握る必要も胸の谷間を見せる必要もないのに茸に電話番号まで教えてくれて朝までサービスしてくれるのだった。

茸・・・おそるべしである。

久しぶりの井上和香、かわいいよ井上和香なのだった。

「大安ローン」に侵入した夏目と薫は一億円相当の借用書を入手する。

しかし・・・そこに現れた金子。

金子はまたもや親分(所長)にネジをまかれていたのだった。

「アホ・・・いくら借用書を盗んだってそんなもの紙きれじゃけえ」

「・・・」

「この譲渡を証明する書類に高利の判をついたれや」

「兄貴・・・」

金子の恩情に夏目は涙目になるのだった。

薫は高利を告発し、刑事・伊集院保(オダギリジョー)の出番を作って一部お茶の間を熱狂された上で・・・夏目と跳田をカタにハメに行き、ソファでかわいくふんぞりかえるのだった。

「お前の借用書は高値で売れたけえ」

「なんじゃと」

てつお ぶき ナイフ

なつめ そうびなし

てつおはナイフでこうげきした

なつめは5ポイントのダメージ

なつめはしゅっけつした

かおるがあらわれた!

かおるはかびんでこうげきした

ひっさつのいちげき!

てつおはきぜつした

「青春ドラマは終わりじゃ・・・急所刺されたら死ぬわ」

「・・・」

借用書は一千万円で売れ、「小清水経営コンサルタント」の面子は保たれた。

「なんじゃ・・・お前はただ働きか」と薫は金子に笑われる。

しかし・・・夏目は報酬をすべて薫に渡すのだった。

「画を描いたのはお前じゃ・・・手柄もお前のもんじゃ・・・じゃが・・・このことは誰にもいうたらあかんで・・・」

金魚のフンは現金の重みに思わず笑顔になるのだった。

しかし・・・金暮市に・・・西の大阪市(架空)から・・・新たなる敵がやってくるらしい。

それは・・・現在放送中の朝ドラマのヒロインの母親だった・・・。

元ヒロインVS現ヒロイン母親の対決である・・・。いや・・・そんなことで誰が得するんだよ。

来週こそは「ファースト・クラス」の勝利か・・・。

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2014年5月 5日 (月)

兵法三十六計の二十八・・・上屋抽梯と軍師官兵衛(岡田准一)

二十八計は「併戦の計」という同盟の戦略に属する。

孫子・九地篇では「兵を働かせるには他国に深く侵入させ退路を断つことで勝利以外に生きる望みを断たせることによって死に物狂いの境地を導く」と自軍の能力を最大限に引き出す方法を述べている。

ここから派生して・・・敵を死地に追い込み、味方につけるのが「上屋抽梯」の意味するところである。

つまり、「屋根に上がらせて梯子をはずす」ことによって・・・敵を窮地に追いやるのだ。

単純に使えば、囮によっておびき出し、伏兵によって退路を断つ戦法と言うことになる。

しかし、虚実が入り混じり、敵味方が判別できぬ状況では・・・敵の主君に部下の裏切りを疑わせ、主君に疑われた部下が進退に屈する状況を作ることもこの計略の応用となる。

罪なき罪を捏造し、故なき罰を逃れるために敵将を離反させるのは陰険さにおいて実に由緒正しい陰謀と言う他はない。

だが、計略とはそもそも悪い企みのことなのである。

荒木村重は見事に本願寺・毛利連合軍の陰謀にはめられてしまったのだった。

敵を味方に引き入れることは「兵を失わぬ勝利」という兵法の基本中の基本でもある。

で、『軍師官兵衛・第18回』(NHK総合20140504PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は23行の大躍進でございます。それでも・・・その裏にある敵側の謀略だったり、中川清秀のちょっとした臨時収入に対する出来心だったり・・・たまたまそうなったわけではない・・・というドス黒さが不足しているのですな。疑心暗鬼になってしまう荒木村重の演技がかなり良いだけに実に惜しい感じがいたします。だしが正室とすれば・・・その実家は村重が滅ぼした池田家でございますれば・・・だしが黒幕の可能性もある。そういう戦国の馬鹿馬鹿しいほどの恐ろしさが欲しい今日この頃でございます。今回はNHK大型時代劇「真田太平記」に登場する矢沢頼綱(加藤嘉)さんの描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。妄想では伊賀の老忍・葉蔵として登場いたしますぞ~。ついでに探偵社の所長は白影になっております~。

Kan018

天正六年(1578年)六月、播磨・美作国境の毛利・宇喜多連合軍は撤退し、信長に叛旗を翻した東播磨豪族連合は盟主・別所長治の三木城に籠城を余儀なくされる。本願寺に味方した軍勢の特徴は徹底した他力本願志向である。石山本願寺は武田や上杉、そして毛利の援軍を常に待っていた。しかし、武田信玄、上杉謙信、毛利元就・・・戦国の巨星たちはすでになく・・・頼りにはならなかったのである。波多野秀治の女を妻とする別所長治も同盟すれども互いを救援しあう余裕はない。織田政権の確定を遅延させるための時間稼ぎの捨て駒になったことの自覚がないところに憐れさがある。信長の天下布武は着実に前進し、北の驚異であった上杉軍には柴田勝家軍団が、東の驚異であった武田軍には徳川家康軍団が充分に対応可能な状況になっていた。尾張、美濃、伊勢、近江、山城、越前、大和を完全に支配下に収めた織田家は独自の経済成長戦略によって巨大な富を生み始めていた。もはやすべての他家勢力が屈服することは時間の問題であった。しかし、既得権益の保持を目論む影の勢力の暗躍はあらゆる局面に見出される。摂津国では領土内に多数の本願寺門徒を抱え、その浸透は国主の意図を越えて浸透していく。荒木村重配下の中川清秀による本願寺相手の物資売買は村重を絶対に勝てない戦いへと追い込んでいくのである。やがて村重は・・・自らの有岡城が本願寺門徒のアジトと化していることに気がつき戦慄するのだった。正室が・・・家老が・・・本願寺門徒なのに・・・本願寺討伐なんてできない・・・のだった。

近江国・安土城天守閣。その壮麗な高層部に・・・信長が姿を見せた。

その足元にコトリと一枚の枯葉が落ちる。

「伊賀の葉蔵か・・・」

「葉蔵・・・参上」

信長は枯葉を手にとり、それを宙に舞わせた。

「掃除の役目のものを手打ちにすることになりかねぬ・・・このような合図は無用である」

「しかし・・・その葉はそれがしの身の証でございますれば・・・」

「であるか」

「摂津に変事がございます」

「・・・」と信長の目に険しさが宿る。

「荒木村重殿・・・謀反と決しました」

「であるか」

「摂津の伊賀目付けたちからすでに報せが届いております・・・荒木一族の各城、高山殿、中川殿いずれも篭城支度を整えておりまする」

「村重も・・・他愛もない・・・」

「本願寺門徒の忍び坊主どもが・・・城の内外で念仏調略の限りを尽くしておりますれば・・・」

「狙われたのだがや・・・本願寺にしてみれば荒木を落せば摂津播磨の勢力が連結できるとみているのであろうず」

「御意」

「本願寺も・・・波多野も・・・別所も・・・城を出て戦いもせず・・・いかに毛利に頼ろうとて・・・戦局に変わりなし・・・荒木がそれに一枚加わっても何事であろうかのん」

「上様の如き、神の知恵を持たぬものの憐れでございましょう」

「飢えたければ飢え、渇えたければ渇えるがよかろうず・・・」

信長の目に冷たい炎が宿る。

信長の怒りは年を経た老忍の心底を凍えさせた。

すでに・・・毛利・本願寺の補給ルートを断つべく・・・九鬼一族の開発した鉄甲船は六隻が完成していた。

「一益に出陣を命ぜよ」

「は・・・」

伊賀の葉蔵は枯葉を撒き散らしながら姿を消した。

信長は森蘭丸に清掃を命じた。

官兵衛は宇喜多調略の任を終え・・・播磨国の帰路にあった。

宇喜多直家は秀吉との同盟の密約に応じていた。そのために生まれたばかりの娘を秀吉に人質として差し出すことに同意したのだった。

直家の冷徹な計算は・・・織田家の勝利を確信していたのだった。

野生の勘が冴える母里太兵衛が歩みを止める。

矢の唸りが聴こえ・・・一本の矢が頭上から飛来して地面に突き刺さる。

「あわてるな・・・矢文じゃ」

官兵衛は天高く大凧が舞うのを見た。

「これは・・・半兵衛様からの至急の報せ・・・なんと・・・」

「いかがなさいました」と栗山善助が問う。

「荒木村重が血迷うたわ・・・」

夏の日差しが影を濃くしていた。

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2014年5月 4日 (日)

高校野球史上最高に口が達者な人(二宮和也)悩みはすべて贅沢なもの(福士蒼汰)

人として生まれて次はどの国に生まれたいかと問われれば日本人としか答えようがない。

経済的に豊かなことは言うまでもないが・・・もう半世紀以上も実戦をしていないのだ。

そんな国は稀有である。

もちろん、女子小学生なら・・・「他の国の人になりたいよね」「どこの国の人」「パリとか」などという可愛い会話もありなわけだが・・・国際情勢をある程度、分析すれば・・・日本が一番に決まっている。

それでも・・・日本の人々の多くは・・・不満を抱いて生活している。

満足しないので・・・よりよい社会が建設され・・・ますます世界でも優れた国になっていくのである。

そんな馬鹿な・・・という人はいるかもしれない。

しかし・・・そういう人は世界の国々がどれだけ喘いでいるか知らないだけなのである。

とにかく、隣の芝生は緑ですからな。

トップであり続けるためにあせる合衆国、今だにかっての栄光を忘れられないロシア、内部の嫉妬に身悶えるヨーロッパ、独裁を維持するために手段を選ばない中国、嘆くことばかり上手になった韓国・・・どこにも素晴らしい世界はないのである。

しかし・・・それでも日本人は・・・このままではいけないと思い続けるのだった。

それはある意味、滑稽なものかもしれないね。

キッドは憲法九条は戦争をしないために改憲するべきだと思うが、とにかく、戦争したくないから憲法九条を守りたいという庶民の考え方にも一理あると思うのである。

もちろん・・・改憲しないことによって戦争にまきこまれてしまった時、それはそれでしょうがないと思うのも日本人の素晴らしさだと思うし。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・第4回』(日本テレビ20140503PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・菅原伸太郎を見た。物語のベースとなる超難関校の生徒の心情に共感できる人は極めて少ないだろう。そういう意味では画期的なドラマと言える。基本的にお茶の間の偏差値というのは50前後で・・・上下に移動すればそれだけ減少するわけである。ただし・・・アイドルに熱狂したり、スポーツ選手に拍手を贈る人がいることは「エリートの生活」に対する関心がないわけではないことを示している。

エリートは基本的に傲慢であり、批判の対象になりがちだが・・・それでは自分の子供をエリートにしたいのか庶民にしたいかと親に問えば・・・答えは分かれるけである。

競争社会の勝者に対して・・・無関心を装う敗者も多いが・・・関心の方向性には二つある。

つまり・・・素晴らしいものに憧れるか・・・妬むか・・・である。

このニュアンスの違いに気が付くにもある程度の知性が必要となる。

憧れと妬みは紙一重でもあり、陰陽でもあるからだ。

憧れを糧にして上を目指しても良し、妬みをバネに自分を磨くも良しなのである。

ただし・・・素晴らしいものを否定してしまえば・・・現状維持か脱落の可能性は高い。

否定する場合にはよほど覚悟して革命的な高みを目指す必要があるわけである。

生得的能力というものは生物学というより心理学的側面が大きい。

それは遺伝子解析の進む現代においてさらに明晰化しているだろう。素晴らしいハードもどのようなソフトを使用するかでまったく機能性が変わるからである。

「天は二物を与えない」と言う言葉は様々な含蓄があるが・・・才能に限って言えば・・・「才能なきもの」が「才能あるもの」に対してそうであってほしいと願う呪いである場合が多い。

実際には「多才の人」は存在するわけである。

赤岩公康(福士蒼汰)は持って生まれた才能により・・・努力なしで・・・超難関高校で主席になってしまうという学力を持ち・・・学園の憧れのマドンナである樽見柚子(有村架純)に激しく慕われ・・・家は富豪で何不自由ない暮らしなのである。

赤岩くんはそんな自分が不安でたまらないのだ・・・モテスギくんがのび太に感じる不安。こんなに非の打ちどころがないのに・・・脇役だったらどうしようと思うのだ・・・それはちょっと違うと思うぞ。あるいはスネ夫みたいに見られたらいやだとか・・・ドラえもんから離れろよ。

そこで・・・親の財力から逃れようと家出をしたりもするわけである。

しかし・・・実は野球部のエースでもある赤岩は・・・その一点だけはそれほど才能に恵まれているわけではない。

それは野球の名門・堂東学院にコールド負けをした時のショックで野球部を一時辞めたことでも明確だ。

ここに・・・赤岩の心の矛盾が提示される。「恵まれた自分から脱したい気持ち」と「落ちぶれて味わうショックから逃れたい気持ち」である。

こういう矛盾した心理状況こそが・・・「天は二物を与えない」の核心なのである。

失敗から学びたければ失敗するしかないのである。

赤岩の心の葛藤を・・・理解して見守る田茂青志監督(二宮和也)は・・・小田原城徳高校主席で東大卒のへっぽこ野球部OBとして痛いほどよくわかっている。

「お前たちは賢い」が口癖の青志だが・・・いくら賢くても未熟な自分というものがあることも知っている大人である。

そして・・・偏差値上位でありながら・・・赤岩の前には勉強のできない子になってしまう他の野球部員の苦悶も想像できるし、実は全学年五位という才色兼備の柚子(有村架純)の気持ちさえ推量できるのである。

青志に足りないものは謙虚さだけであるが・・・研究室閉鎖による挫折を経て・・・高校時代の「野球におけるへっぽこさ」に触れたために次のステージが出現するのだった。

つまり・・・「逆境で勝つこと」を目指すのである。

スポーツ専門誌「トロフィー」の記者である利根璃子は・・・一見、馬鹿のように見えるが喫茶店「サザンウインド」のオーナーで柚子の母親である楓(薬師丸ひろ子)に次ぐ大人である。

璃子は・・・東大はおろか、慶応早稲田でもなく、上智でも青学でもない名もなき大学卒でありながら・・・ジャーナリストという知的な職業についている。そこで得た経験知から・・・青志に足りないものを見抜いているのである。

だからこそ・・・堂東学院の峰監督(川原和久)や臨時コーチの谷内田健太郎(市川海老蔵)と青志の出会いをセッティングするのである。

青志には・・「野球」に関してだけは謙虚に「勝者」の意見に耳を傾けることが必要だと考えているからだ。

青志の優秀な頭脳は・・・刺激を受けてようやく・・・活路を見出しつつあるのである。

片手でも打ちこまれてしまうへっぽこエースの凹んだ気持ちも無駄ではなかったのである。

言葉は厳しいが大人になった谷内田健太郎も青志の心に潜む野球への情熱に敬意を払い、的確なアドバイスをしてくれるのだ。

「君には・・・具体的な戦略がない」

青志はそのことに気がつき・・・たちまち具体的な戦略を想起し・・・嘯くのである。

「戦略はあるさ・・・」

「そうか」

顔をそむけあっているが二人は・・・この瞬間、野球の師弟関係となっていたのだ。

二週間の部活動禁止という定期試験期間が終り・・・下手だけれど野球への情熱に燃える部員たちが集合する。

せっかく・・・バッティングネットを与えられて練習時間にゆとりができたのに・・・集中力を欠いて非効率になるというへっぽこぶりをさらす選手たち・・・。

野球のできない時間に「不足した時間」について考察を深めた青志は・・・「時間に対するセンス(感覚)」について語りはじめる。

「樫山(鈴木勝大)が女子(藤原令子)と付き合う時、そのデートに使う時間は無駄なのか。勉強に使う時間は無駄なのか。野球をする時間は無駄なのか。そんなことはないだろう。時間は無駄にはできないが・・・無駄な時間などないのだ。デートで勉強してもいいし、勉強でリフレッシュしてもいい、そして野球には集中すればいい。勉強には体力も必要だし、野球で女子を喜ばせることもできる・・・時間に使われるのではなく時間を使うのだ」

全員が賢いのでストーカー兼隠密で柚子の舌打ちの対象者である志方(桜田通)さえも一瞬で青志の語る哲学的考察を理解するのだった。

青志は野球を勉強にたとえる秀才たちの言動にもヒントを得ていた。

「諸君は・・・守備を継続学習の必要な文系の勉強に、打撃をひらめき重視の理系の学習にたとえた・・・もちろん・・・文系にもひらめきが必要だし、理系にも基礎知識の修練は必要となる。しかし・・・君たちはそういうレベルをすでに達成しているからそういう結論も可能なのである。しかし・・・野球に関して言えば君たちは偏差値0~10の最底辺にいるのだ・・・この場合・・・両者の平均的実力向上にあまり意味はない。では時間のかかる守備力強化と比較的短時間で達成可能な打撃の底上げ・・・優先するのはどちらか」

「打撃・・・」と素直に答える生徒たち。

「正解・・・だから・・・わが野球部は打撃中心のチームに特化する」

「おお・・・」

「これが・・・俺の戦略だ・・・守備は捨てて打撃に専念する。とられた分だけ取り返すのではなくとられたら倍返しだ・・・」

「とられるのが前提ですか・・・」とへっぽこエースはうつむきかける。

「ちがうぞ・・・お前はコントロールを磨いて・・・絶対にフォアボールを出さないピッチャーになれ・・・五割バッターを相手にしても二人で一つアウトをとればいい」

「なるほど・・・三安打でも満塁で三死なら・・・一点もとられないケースもあるわけですね」

「まあ・・・普通は1~2点・・・とられるけどな・・・しかし、ウチはその時は2~4点とる・・・いや10点とってコールド勝ちを目指す」

「コールド勝ち・・・」

「そうだ・・・そうすればノーリスクハイリターンだ」

「えええええ」と驚愕する理論についていけない利根璃子(部外者)だった。

果たして・・・青志の机上の空論が・・・実戦で通用するのかどうか・・・次週明らかになるようである。

赤岩の父親(光石研)の用意した対戦相手の武宮高校とはいかなる高校なのか・・・期待はそこそこ高まるのだった。

青志の論理展開は利根璃子同様、お茶の間を置き去りにしていると思うが・・・それはそれで面白い。

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2014年5月 3日 (土)

マーガレットの少女(杉咲花)悪魔くん(菅田将暉)VS死神くん(大野智)

マーガレットの花言葉は「恋占い」である。

あの・・・白い花弁を千切るという乙女の嗜みですな。

恋を占うくらいなので・・・そこには「秘められた愛」があり・・・少なくとも本人にとっては「真実の愛」と言うことになります。

そもそもマーガレットは「真珠の花」という意味でございます。

真珠の石言葉は「純潔」ですから・・・花占いをする乙女の「貞節」に通じるわけです。

真珠は・・・「月の雫」とか「人魚の涙」とも呼ばれるアイテムで・・・クレオパトラは「不老不死の妙薬」として愛飲しておりましたな。まあ・・・クレオパトラはコプラに胸を噛ませて自死してしまったのでその効能は明らかではございませんが。

フィクションですからなんでもありですが・・・ドラマ版「死神くん」は意表をついた死神くんの寿命設定ありでございます。まあ・・・天使に寿命があれば・・・神にも寿命があるということですな。

「神の死」を願う悪魔にとって・・・否定する理由はございません。

それよりも・・・春ドラマの見ても見ても終わらない津波のような勢いをなんとかしてもらいたい今日この頃です。

「悪夢ちゃんスペシャル」をリピートする間もないじゃん・・・でございます。

で、『金曜ナイトドラマ・・第3回』(テレビ朝日201402502315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・筧昌也を見た。幻象界の常識として・・・死神は天界に属する死の天使である。この場合は西洋的にはイエス・キリストを救世主とする宗教の神が支配するフィールドを天界と呼ぶのが一般的である。これに対し、魔界は神に反乱した天使ルシファーの一族が牢獄として堕天した地獄を意味する。そこで堕天使ルシファーは魔王サタンと呼ばれるのが普通である。アダムを誘惑した蛇と類似した行為は反逆者としての魔族の常套手段であり、魔神であるジンによる「三つの願い」を名もなき下級悪魔が模倣するわけである。魂とは超情報集積体であり・・・神にとってはこの世に遍在するという建前から神の一部分に他ならない。神体制へのテロリストである魔族が・・・これを奪取することは神の信頼性を揺るがせる不祥事なのである。なんで・・・そんなことを・・・と平穏を求める人々は呻くのだが・・・悪魔の知ったことではないのだな。

死神の寿命を設定することは神をも畏れぬ振る舞いだが・・・創作者というのはそういう罰あたりなことをしでかしてナンボなんだなあ。

もちろん・・・「死」こそが萌えの発生源である以上、この手はありなのである。

まあ・・・好みとしては死神くん(大野智)の死よりも監死官のカラス(桐谷美玲)の死の方が王道だとは思いますが・・・。

死神くんの不祥事により・・・地獄の門が開かれ、魔界から一匹の悪魔くん(菅田将暉)が地上に侵入する。この物語世界では悪魔くんにも寿命が設定されており、魂を一定時間に収奪できないと消滅するというノルマ設定である。

死神くんの上司である主任(松重豊)は「通常任務とともに悪魔くんの退治」を命ずる。

それは結局、悪魔くんに人間の魂を渡さないということである。

しかし・・・死神くんにはまだ・・・この世のこともあの世のこともよく理解できていないのである。

「口惜しさ」という言葉の意味さえわからない・・・未熟な死神くんに・・・カラスである監死官は歯がゆくも萌えるのだった。

悪魔くんは・・・この世を怨む若者・桐嶋譲二(柄本時生)と「三つの願いの成就と魂の交換」の契約を結ぶ。

譲二の第一の願いは「声をかけたすべての女が恋の虜になる呪い」であった。

たちまち・・・あらゆる女から欲情される譲二・・・しかし童貞である譲二には女たちの露わな欲望は恐ろしく・・・思わず尻ごみしてしまうのである。

Photo 一方、死神くんは幼い頃から病弱で外出もままならない西園寺財閥のお嬢様・瞳(杉咲花)に余命を宣告する。瞳の寿命は三日目の朝を迎えると尽きるのだった。不治の病に冒されて死に慣れ親しんでいる瞳は死神くんの言葉を素直に受け入れるのだった。しかし・・・死を目前とした瞳は最後の望みとして「一人で行動すること」を望むのだった。

死神くんの協力でお屋敷を抜け出した瞳は「最後の冒険の旅」に出るのだった。

やがて・・・死神くんが担当する瞳と悪魔くんが誘惑する譲二の人生は交錯していくのである。

死の天使と悪魔の魂争奪戦の開幕である。

街に彷徨い出た瞳は秋葉原のゲームセンターにやってくる。クレーンゲームに熱中する瞳。しかし、景品の人形をなかなかゲットできない。そこへ譲二がやってきて見事に成功してみせるのだった。初々しい瞳の可憐さに激しく欲情した譲二は瞳をカラオケ・ボックスに誘いこみ、キスをしようとするがビンタで報いられるのだった。

「なにすんのよ・・・世界であなたが一番きもい」

「ひでぶっ」

しかし、店を出た瞳を取り囲む財閥のボディガードたち。

死神くんは催涙スプレー攻撃で瞳を脱出させ、譲二は盗んだ車で瞳と逃走を開始する。

たちまち、ご令嬢の誘拐犯として指名手配されてしまう譲二だった。

「なんで・・・俺が誘拐犯に・・・」

「こうなったら身代金を請求するしかないわね」

「おっぱい触らせてくれたら・・・」

「きもいっ」

瞳は仕事にかまけて自分をかまってくれない父親に身代金を持参してもらいたかたのだった。

そんな二人の珍道中の裏で火花を散らす悪魔くんと死神くん。

「死ぬ予定ではない人間の魂を食べたりしないでくれ」

「人間と悪魔の契約は神だって認める公式ルールなんだぜ」

「神様も・・・余計なことを・・・」

「人間なんて欲望の塊りなんだぜ・・・なにしろ・・・生きるってことは欲望そのものだからな」

「いや・・・私の知っている人間はそうでもなかったよ・・・喜んで天に召されたし」

「それはお前の勘違いさ」

「神様の死亡リストにのることはおめでたいことなんだぜ」

「おめでたいのは神の奴隷である天使諸君ではないのかな」

「それは・・・ちょっといいすぎなんじゃないか」

「まあ・・・見ていたまえ・・・彼はもうすぐ二つ目の願いをすることになるのさ」

身代金の受取りに瞳の父親は現れなかった。

ボディガードに囲まれて瞳を連れ去られそうになる譲二。

「ほらね」

「・・・」

譲二は悪魔に願う。

「俺を世界最強の男にしてくれ」

「いいとも」

たちまち・・・譲二は瞳を取り戻すのだった。

再び逃げ出した二人。

「私・・・もうすぐ死ぬの・・・私が死んだらお墓にマーガレットを供えてね」

「嘘だろう」

「本当です」

死神くんの登場に驚愕する譲二だった。

「そんな・・・」

「私・・・死ぬ前に海が見たいな・・・」

「お父様との思い出の海ですね・・・」

「海・・・」

「お父様と行くべきなのでは・・・」

「ううん・・・私、譲二さんと一緒に海が見たい・・・そしたらキスぐらいならしてもいいことよ・・・だってキスもしないで死ぬなんて・・・ちょっとアレでしょ」

「よし・・・一緒に行こう」

瞳と譲二は海に向かって歩き出す。

しかし、譲二は負傷していて、瞳は体調が悪化・・・ついに海にたどり着く前に力尽きてしまう。

「さあ・・・そろそろ・・・最後の願いをしてもらおうかな」

「どんな願いでもいいのか・・・」

「そうさ・・・歩けるようにしてやろうか・・・」

「・・・」

「それとも彼女の病気を治そうか・・・」

死神くんが口を挟む・・・。

「魂を獲られたら君は死ぬ・・・そうしたら・・・君は彼女との約束を守れないのです」

「約束・・・」

「彼女のお墓に花を供えてあげるのでしょう・・・」

「でも・・・彼女は海を見たいって・・・」

「また・・・ベストを尽くさないで・・・後悔しますか」

譲二は歯を食いしばり、立ち上がる。そして・・・瀕死の瞳を背負うのだった。

夜明けの海によろよろとたどり着く二人。

しかし・・・瞳はすでに絶命していた。

譲二は儚くも美しい瞳の額にそっと口づけするのだった

「残念だったな・・・悪魔くん」

「ふふふ・・・人間の魂は人間の数だけあるんだぜ・・・死神くん」

瞳は譲二の気高い姿に満足して昇天するのだった。

あの世とこの世のはざま・・・。

「また・・・死者に死後の世界を見せたりして・・・ルール違反なんだと何度言えば分かるんだ・・・このカスがっ」

「でも・・・彼女はとても満足してくれたし・・・」

「死神が死ぬ人間にいちいち同情してどうするんだ・・・」

「それに悪魔の奴も大変だよな・・・魂食べないと消滅しちゃうって言うし」

「カーっ。天使が悪魔に同情すんなーっ」

「そうてすね・・・他人事ではありませんよ・・・死神にも寿命はありますからね」

「え」

上司は・・・恐ろしいあの世のルールを説明するのだった。

天使の寿命の間にならぶ蝋燭。

「この灯が尽きた時・・・死神は消滅します」

「え」

「ミスをしたり違反したりするとどんどん加速して燃えます」

「ええ」

「これが・・・あなたの蝋燭ですよ」

「・・・・・・短い」

かくて・・・死神くんの存在が限定的でいつか消滅するという・・・恐ろしいローカル・ルールが開示されたのである。

「死神が死ぬなんて・・・」

死神くんは茫然と立ちすくむのだった。

カラスはそんな死神くんをバカを見る目で憐れむ・・・。

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2014年5月 2日 (金)

せつない片想い・・・本人が気付かない(小泉今日子)

痛々しいのは・・・本人に自覚がない何かの場合がある。

たとえば認知症の女性が・・・料理も洗濯も掃除もしないのにエプロンを身につけるような・・・。

自分では凄くおしゃれが決まっているつもりでまったく決まっていないというような。

昔、好きだった男に再会して・・・こっぴどくふられたくせにもしかしたらやりなおせるんじゃないかと希望を抱くとか。

希望を抱いていることを周囲に隠しているつもりでバレバレだとか。

希望を抱いていることを本人が自覚していないとか・・・。

そういう痛々しさは・・・実は本人にはそれほど痛くないのかもしれない。

つまり・・・知らぬが仏である。

このドラマの人々はひたすら前向きなので・・・妙な明るさを醸しだす。

まあ・・・最高に痛い女の典子(飯島直子)の無自覚ぶりは・・・笑いを通りこしてホラーみたいでございますが・・・そこが面白いのですな。

で、『続・最後から二番目の恋・第3回』(フジテレビ20140501PM10~)脚本・岡田惠和、演出・加藤裕将を見た。昔の恋人が・・・実は同性愛者だった・・・などという優しい展開はないだろうと思っていたが・・・説明するのが困難なくらい・・・辛辣なふられ方である。そもそも・・・吉野千明(小泉今日子)は・・・高山涼太(加瀬亮)に恋愛対象として見られていなかったのである。しかも・・・高山涼太は「男」を武器にキャリアアップを狙い・・・千明に接近したというのである。

千明はそれを聞いて・・・涼太が良心の呵責に耐えかねて身を引いたと・・・なんとか心を取りつくろうのだが・・・。

要するに・・・「出世のためにであっても抱く気にならない女の烙印」を押されているわけである。

もちろん・・・小泉今日子が演じているから・・・まったく悲惨には見えないが・・・もう痛々しいにも程がある主人公なのだった。

これは・・・フーテンの寅次郎レベルの痛さだよな。

なにしろ・・・その男が落ちぶれて頼ってくると・・・食う寝るところを与え、お小遣いまで与え・・・お友達として接しようとさえするのだ。

頼ってくる男も男だが・・・受け入れる女も女である。

しかし・・・魔都・鎌倉ではそういうファンタジーも全然ありなんだな。

そして・・・昔の男とひとつ屋根の下で一夜を共にして何もなかった朝・・・まだワンチャンスあるんじゃないかと・・・「女」を続ける気配濃厚の千明なのだった。

だから・・・「ナガクラ」での朝食会で・・・早速、ポストイット高山をお披露目するのだった。

そして・・・このドラマでは唯一のティーンズの長倉えりな(白本彩奈)を紹介する。

「ロリータ」なら高山の性的対象はえりなだけだ。

もちろん・・・このドラマはそこにはいかないのである。基本的に年相応に落ち着くのが正解というベースなのである。

だからこそ・・・同じ穴のむじなというか兄弟の天使・真平(坂口憲二)よりも和平(中井貴一)の方が実はしっくりいってる風に描かれるのだ。

真平は・・・一応・・・大橋知美(佐津川愛美)と結婚予定なのである。

えりなは同級生のボーイフレンド原田蒼太(中島凱斗)ができるのである。

そういう意味でお茶の間は・・・たちまち・・・高山涼太(36)とほぼ同世代の長倉万理子(内田有紀)の関係の発展を予感する仕組みである。

ただし・・・設定的には万里子は(38)になっているのである。

キャラクター設定からはまったく見えないず・・・万里子はアラフォーなのである。

つまり・・・涼太より二つ年上なのだった。

ついでに・・・蒼太の母親の薫子(長谷川京子)は(37)なのである。

何故か、公式に年齢設定のない人々を実年齢で埋めてみると・・・。

一条(織本順吉)さん(87)・・・五十代(以上)のセックス特集関係者。

水谷広行(浅野和之)・・・典子の夫(56)

和平(52)

千明(48)

典子(47)

・・・・・・・・・・世代の壁・・・・・・・・・・・

原田薫子(37)

真平(37)

万里子(37)

高山涼太(36)

・・・・・・・・世代の壁・・・・・・・・・・

大橋知美(25)・・・金太郎

・・・・・・・・世代の壁・・・・・・・・

えりな(14)

・・・的なことになっているのだった。

愛があれば年の差なんて・・・の壁があるわけである。

だから・・・和平が仄かに恋している・・・薫子は・・・天使の真平と同世代なのである。

もちろん・・・フレッシュさではえりなに一番近い金太郎だが・・・うかうかしていると薫子・真平の同世代カップルが誕生する可能性は高いのだな。

そういう意味で・・・実は同世代の万里子・涼太カップルも全然、無理がないのである。

そういう年齢でどうのこうのというのは差別的だという考え方もあるが・・・。

じゃあ・・・・一条さん・えりなのカップル成立・・・でお茶の間が賛同してくれるとはとても思えない今日この頃なのだった・・・何を言っているのか。

とにかく、タイトル通りに最後から二番目の恋が本格始動である。

で・・・・今のところ・・・千明は「私って痛いよね」と独身悪友たちと早めのうなぎランチを食べながら・・・泣くものの・・・痛々しいせつない片思いに踏み出すのである。

「奇跡」を信じて「彼の寝顔」を見つめながら・・・ワントライを目指すのだった。

真平がそうだったように・・・千明はその世代が・・・あくまでターゲットなのである。

一方で和平は明らかに・・・「友達から始めて・・・恋が花咲くこともあるという神話」にチャレンジしているのだった。しかし・・・薫子との年の差は15歳で・・・薫子にはまったくその気がないのは明らかなのだった。

まあ・・・千明が鰻食べてるのに・・・蕎麦もカレーも食いそびれる男だからな。

そもそも・・・蕎麦教室でバンバンやってる時点で・・・薫子・・・人の話も和平の話も聞く耳持たないタイプなのだ。

裸もベッドも似合わない男・・・布団で浴衣は似合うんじゃないか。

一方・・・出会ってしまった以上・・・天使と薫子は・・・相性抜群風である。

金太郎は天使を泳がせている場合じゃないんだな。

そして・・・奥手すぎる万里子は・・・千明への同性愛的思慕を通過して・・・脚本家としのパートナーになる涼太に激しく反応するのだった。

握手されたらカチンカチンに硬直し・・・衝突したら鼻血ブーなのである。

これはもう・・・恋ですな。

恋なのかな。

恋って言うべきなんじゃね。

えーと・・・天使と薫子は・・・和平と千明がいかなかったホテルに行ったということでいいのかな。

行ったんじゃね。

そして・・・どうやら真相に気がついて・・・手負いの獣のように千明家に押し掛ける典子。

小動物のようにおびえる涼太。

それにしても・・・「鎌倉をじじいくさい街」と言い切る涼太。悪気がないけど毒舌って一種の病気だよな。「おばさんは無理」って千明に言う日も近いと思うぞ。

とにかく・・・緊急事態で予定されたドラマ制作が延期となり・・・プロデューサーとして現場に復帰する千明・・・キャスティングも・・・シナリオも・・・演出も決まっていないって恐ろしいほどの修羅場だよな。

はたして・・・万里子と涼太は仕事のパートナーとしては成功するのか・・・どうか。

それより・・・西口不動産の女(中西美帆)との修羅場をスルーしないでほしいよね。

まあ・・・なんだかんだで・・・盛り上がってまいりました・・・。

それにしても・・・同じ役所でも・・・観光課と福祉課じゃ・・・浮かれ具合がまったく違うよな。

典子は一歩間違えれば困窮しそうだがやかましくてサイレント・プアにはならないからな。

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2014年5月 1日 (木)

格付けしあう悪女たち・・・超超超超悪女、超超超超超悪女~ファースト・クラス(沢尻エリカ)

2012年の春から新設された「土ドラ」という枠。

高校入試」(平均視聴率 6.9%)という最高傑作以外は、狙いすぎの「カラマーゾフの兄弟」(平均視聴率 6.3%)、西内まりやが頑張った「山田くんと7人の魔女」(平均視聴率 6.3%)、そこそこシュールな「主に泣いてます」(平均視聴率 5.3%)、問題外の「間違われちゃった男」(平均視聴率6.1%)、仲間由紀恵の無駄遣い「ハニー・トラップ」(平均視聴率6.0%)、三吉彩花の無駄遣いの「ロストデイズ」(平均視聴率 5.9%)と徐々に「ダメな枠」となりつつあったわけだが・・・。

「ファースト・クラス」は第一回*6.5%↗第二回*9.1%である。

これは・・・そそるものがあるのだな。

私事ですが・・・「極悪がんぼ」と「ファースト・クラス」は最後までキッドのブログの月曜日レビュー枠を争ったわけでございます。

今回は谷間に登場だが・・・展開次第では・・・「極悪がんぼ」をマウンティングして・・・なにしろ・・・。

「極悪がんぼ」はここまで13.9%↘11.3%↘*9.1%なのである。見事な下げっぷりなのだ。

「月9」と「土ドラ」の視聴率が並ぶなんて・・・実に下剋上の匂いがしますな。

見やすさという点では・・・「ファースト・クラス」の方が・・・すごくいいんだよなあ。まあ・・・あくまで悪魔目線の話ですけれど。

で、『ファースト・クラス・第1~2回』(フジテレビ201404192310~)脚本・渡辺千穂、演出・水田成英を見た。このコンビは「名前をなくした女神」(2011年)からここである。それだけで一種の安心感があるな。そして・・・おどろおどろしい女たちの足のひっぱりあいで果てしない陰口の応酬である。しかも・・・なんとなく可愛いのである。毒々しいのに萌え・・・こんな不思議な世界が繰り広げられる。レディース劇画的な展開にうっとりするのである。

ちなみに日本には後妻嫉妬(うわなりねたみ)という言葉があり、「古事記」や「日本書紀」にも登場する。若くて美しい後妻(うわなり)を先妻(こなみ)が激しく憎むのは伝統の感性なのである。

ついでに・・・女たちが格付けし合うことをこのドラマは「マウンティングする」と表現する。

おそらく、ニホンザルの集団で観察されるとされる下位サルが尻を向け上位サルがその後ろから乗りかかる「マウンティング」による格付けをヒントにしているのだろう。

ただし、マウンティングそのものは擬似性行為として哺乳類の同性間ではよく見られる行為である。

つまり・・・マウンティングしあう女たちは・・・百合なのである。

ファッション業界で働くことを夢見る・・・衣料材料店「Tokai」販売員の吉成ちなみ(沢尻エリカ)は店の同僚の中山美佐枝(りりィ)に気に入られ・・・美佐枝の娘を紹介される。

ちなみの愛読書「ファースト・クラス」の編集長・大沢留美(板谷由夏)は母の頼みを断れず・・・ちなみをインターン(見習い)編集者としてアルバイト採用するのだった。

「あなたが・・・生き残れるかどうかはあなた次第・・・ここで頼れるのは自分だけと覚悟しなさい」

絶対女王と言われる大沢編集長は冷たく言い放つ。

そして・・・女たちの根拠なき格付け大会が始るのだった。

もちろん・・・現場には・・・多くの女子たちがいるのだが・・・たとえば、モデル・ERENAのマネージャー(星井七瀬)がいる・・・しかし・・・ドラマ内で・・・マウンティング・バトルをするのは次の八人という設定になっている。

第1位 大沢編集長

第2位 八巻小夏(三浦理恵子)副編集長

第3位 MIINA(佐々木希)・・・専属モデル

第4位 松田静香(遊井亮子)・・・フォトグラファー

第5位 川島レミ絵(菜々緒)・・・編集者(正社員)

第6位 ERENA(石田ニコル)・・・専属モデル

第7位 木村白雪(田畑智子)・・・編集者(契約社員)

第8位 ちなみ・・・編集者見習い

・・・なんていう濃さなんだ。

ちなみは・・・まさか自分がそういう格付バトルに巻き込まれているとは気がつかない純朴ヒロイン設定である。

しかし・・・ちなみの先輩・叩き上げハングリーモンスターである白雪は連続テレビ小説「私の青空」のヒロインの名にかけて絶対に負けられない戦いを仕掛けてくるのである。

ちなみは知らないが・・・ちなみの前任者である編集者見習いは女たちのバトルに巻き込まれ・・・編集部を去って行ったのである。

カメラアシスタントの西原樹(中丸雄一)と近所の定食屋で知り合ったちなみは順調に六畳一間のアパートから夢の東京生活をスタートさせる。・・・ただし、樹はフォトグラファー静香に首輪をつけられた飼い犬なのだった。

簡単な仕事として・・・白雪に「読者モデルへの連絡」を命じられた新人ちなみ。

しかし・・・相手が素人なので遅刻や無断欠席する読者モデルは定員より多めに呼ぶのが常識であることをあえて教えない白雪だった。

言われた通りに連絡した新人ちなみは・・・撮影当日に予定の人数が集まらず・・・白雪に罵倒されるのだった。

懸命に街で読者モデルをスカウトするちなみ・・・しかし、集まった女の子たちをレベルに達していないと追い返す白雪。

もちろん・・・新人ちなみに意地悪がしたいだけのこの行為は・・・雑誌の評判を下げるというあまり賢明とは言えない行動だが・・・白雪にはそういうビジョンはない。

そのことを嘲笑するレミ絵・・・「相手の格を下げようとして自分を下げてどうするの」なのであるが・・・そのことをけして口には出さない腹黒さをレミ絵も内蔵しているのだった。

格付けを上げるために・・・時には共闘する女たち。

白雪は・・・トップモデルのMIINAに接近し、自分の格を上げようとする。

しかし、噂はたちまち広がり「新人ちゃんをいじめたんだって・・・やりすぎじゃない」とMIINAにたしなめられる白雪なのだった。

あわてて・・・表面上は優しい先輩を演じ始める白雪だった。

そんな白雪を警戒するレミ絵は・・・帰国子女仲間のモデル・ERENAとチームを組んでいる。

ERENAの知名度をあげるためにF1レーサーとの熱愛発覚をお膳立てるレミ絵。

MIINAとERENAのトップモデル争いも激化するのだった。

詢香社の編集長会議でも上司(高知東生)から大沢編集長に「表紙のモデルを更新したらどうか」と圧力がかかる。

「ファーストクラス」も発行部数が順風満帆ではないのだ。絶対女王の大沢編集長もさらに大いなる競争にさらされている。

そこにつけこんで・・・隠れ肉食系性悪女子・・・いつまで女子なんだ・・・小夏副編集長は虎視眈々とトップの座を狙っているのである。

新人のネタをパクるという噂があるレミ絵は・・・新人ちなみに企画会議への参加を呼び掛ける。

喜んだちなみは熱心にレミ絵の指定したパソコンで企画書作成に取り組むのだった。

だが・・・企画会議の当日・・・パソコンから新人ちなみの企画は削除されてしまう。

それでも・・・仮印刷のプリントをゴミ箱から回収するちなみ。

そんなちなみに・・・レミ絵は・・・夜の編集部で・・・パソコンに細工する白雪の監視カメラ画像をプレゼントする。・・・おそるべし帰国子女なのである。

そして・・・結局、ちなみの企画をパクるレミ絵。

「私の企画です」と主張するちなみに・・・編集長は「よくある企画だ」と冷たく突き離す。

ついに・・・ちなみのガッツに火が付くのだった。

「お互いの足を引っ張り合ってそれでいい雑誌が作れるんですか」

「身内の争いにも勝てないようでは世間との競争にも勝てないのよ」

・・・物凄い論理である。

「こんなことまでしてですか」

ついに・・・白雪が自分の企画を削除したことを明かすちなみだった。

「それは・・・やりすぎね」と突然、評価を変える編集長・・・同じ悪意でも・・・上位者と下位者では許容範囲が異なるのである。

このドラマの格付けは・・・恋愛、仕事、金、持ち物など様々な要素で決まるらしいが・・・基本的には作者の胸先三寸である。それでお茶の間が納得すれば問題ないのである。

二回目の順位は・・・。

第1位 大沢編集長→

第2位 八巻小夏(三浦理恵子)副編集長→

第3位 ERENA(石田ニコル)・・・専属モデル↗(知名度アップ)

第4位 MIINA(佐々木希)・・・専属モデル↘(後妻嫉妬のためか?)

第5位 松田静香(遊井亮子)・・・フォトグラファー↘(飼い犬に嫉妬のためか?)

第5位 川島レミ絵(菜々緒)・・・編集者(正社員)→

第7位 ちなみ・・・編集者見習い↗

第8位 木村白雪(田畑智子)・・・編集者(契約社員)↘

妙に納得するのだった。

そして・・・次回は・・・専属モデル総選挙という展開なのだが・・・早くもモデルのようなことをしているちなみ・・・それは反則なんじゃないのか・・・。

とにかく・・・女たちの心の声の応酬が抜群に面白いよね。

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最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜

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