格付けしあう悪女たち・・・超超超超悪女、超超超超超悪女~ファースト・クラス(沢尻エリカ)
2012年の春から新設された「土ドラ」という枠。
「高校入試」(平均視聴率 6.9%)という最高傑作以外は、狙いすぎの「カラマーゾフの兄弟」(平均視聴率 6.3%)、西内まりやが頑張った「山田くんと7人の魔女」(平均視聴率 6.3%)、そこそこシュールな「主に泣いてます」(平均視聴率 5.3%)、問題外の「間違われちゃった男」(平均視聴率6.1%)、仲間由紀恵の無駄遣い「ハニー・トラップ」(平均視聴率6.0%)、三吉彩花の無駄遣いの「ロストデイズ」(平均視聴率 5.9%)と徐々に「ダメな枠」となりつつあったわけだが・・・。
「ファースト・クラス」は第一回*6.5%↗第二回*9.1%である。
これは・・・そそるものがあるのだな。
私事ですが・・・「極悪がんぼ」と「ファースト・クラス」は最後までキッドのブログの月曜日レビュー枠を争ったわけでございます。
今回は谷間に登場だが・・・展開次第では・・・「極悪がんぼ」をマウンティングして・・・なにしろ・・・。
「極悪がんぼ」はここまで13.9%↘11.3%↘*9.1%なのである。見事な下げっぷりなのだ。
「月9」と「土ドラ」の視聴率が並ぶなんて・・・実に下剋上の匂いがしますな。
見やすさという点では・・・「ファースト・クラス」の方が・・・すごくいいんだよなあ。まあ・・・あくまで悪魔目線の話ですけれど。
で、『ファースト・クラス・第1~2回』(フジテレビ201404192310~)脚本・渡辺千穂、演出・水田成英を見た。このコンビは「名前をなくした女神」(2011年)からここである。それだけで一種の安心感があるな。そして・・・おどろおどろしい女たちの足のひっぱりあいで果てしない陰口の応酬である。しかも・・・なんとなく可愛いのである。毒々しいのに萌え・・・こんな不思議な世界が繰り広げられる。レディース劇画的な展開にうっとりするのである。
ちなみに日本には後妻嫉妬(うわなりねたみ)という言葉があり、「古事記」や「日本書紀」にも登場する。若くて美しい後妻(うわなり)を先妻(こなみ)が激しく憎むのは伝統の感性なのである。
ついでに・・・女たちが格付けし合うことをこのドラマは「マウンティングする」と表現する。
おそらく、ニホンザルの集団で観察されるとされる下位サルが尻を向け上位サルがその後ろから乗りかかる「マウンティング」による格付けをヒントにしているのだろう。
ただし、マウンティングそのものは擬似性行為として哺乳類の同性間ではよく見られる行為である。
つまり・・・マウンティングしあう女たちは・・・百合なのである。
ファッション業界で働くことを夢見る・・・衣料材料店「Tokai」販売員の吉成ちなみ(沢尻エリカ)は店の同僚の中山美佐枝(りりィ)に気に入られ・・・美佐枝の娘を紹介される。
ちなみの愛読書「ファースト・クラス」の編集長・大沢留美(板谷由夏)は母の頼みを断れず・・・ちなみをインターン(見習い)編集者としてアルバイト採用するのだった。
「あなたが・・・生き残れるかどうかはあなた次第・・・ここで頼れるのは自分だけと覚悟しなさい」
絶対女王と言われる大沢編集長は冷たく言い放つ。
そして・・・女たちの根拠なき格付け大会が始るのだった。
もちろん・・・現場には・・・多くの女子たちがいるのだが・・・たとえば、モデル・ERENAのマネージャー(星井七瀬)がいる・・・しかし・・・ドラマ内で・・・マウンティング・バトルをするのは次の八人という設定になっている。
第1位 大沢編集長
第2位 八巻小夏(三浦理恵子)副編集長
第3位 MIINA(佐々木希)・・・専属モデル
第4位 松田静香(遊井亮子)・・・フォトグラファー
第5位 川島レミ絵(菜々緒)・・・編集者(正社員)
第6位 ERENA(石田ニコル)・・・専属モデル
第7位 木村白雪(田畑智子)・・・編集者(契約社員)
第8位 ちなみ・・・編集者見習い
・・・なんていう濃さなんだ。
ちなみは・・・まさか自分がそういう格付バトルに巻き込まれているとは気がつかない純朴ヒロイン設定である。
しかし・・・ちなみの先輩・叩き上げハングリーモンスターである白雪は連続テレビ小説「私の青空」のヒロインの名にかけて絶対に負けられない戦いを仕掛けてくるのである。
ちなみは知らないが・・・ちなみの前任者である編集者見習いは女たちのバトルに巻き込まれ・・・編集部を去って行ったのである。
カメラアシスタントの西原樹(中丸雄一)と近所の定食屋で知り合ったちなみは順調に六畳一間のアパートから夢の東京生活をスタートさせる。・・・ただし、樹はフォトグラファー静香に首輪をつけられた飼い犬なのだった。
簡単な仕事として・・・白雪に「読者モデルへの連絡」を命じられた新人ちなみ。
しかし・・・相手が素人なので遅刻や無断欠席する読者モデルは定員より多めに呼ぶのが常識であることをあえて教えない白雪だった。
言われた通りに連絡した新人ちなみは・・・撮影当日に予定の人数が集まらず・・・白雪に罵倒されるのだった。
懸命に街で読者モデルをスカウトするちなみ・・・しかし、集まった女の子たちをレベルに達していないと追い返す白雪。
もちろん・・・新人ちなみに意地悪がしたいだけのこの行為は・・・雑誌の評判を下げるというあまり賢明とは言えない行動だが・・・白雪にはそういうビジョンはない。
そのことを嘲笑するレミ絵・・・「相手の格を下げようとして自分を下げてどうするの」なのであるが・・・そのことをけして口には出さない腹黒さをレミ絵も内蔵しているのだった。
格付けを上げるために・・・時には共闘する女たち。
白雪は・・・トップモデルのMIINAに接近し、自分の格を上げようとする。
しかし、噂はたちまち広がり「新人ちゃんをいじめたんだって・・・やりすぎじゃない」とMIINAにたしなめられる白雪なのだった。
あわてて・・・表面上は優しい先輩を演じ始める白雪だった。
そんな白雪を警戒するレミ絵は・・・帰国子女仲間のモデル・ERENAとチームを組んでいる。
ERENAの知名度をあげるためにF1レーサーとの熱愛発覚をお膳立てるレミ絵。
MIINAとERENAのトップモデル争いも激化するのだった。
詢香社の編集長会議でも上司(高知東生)から大沢編集長に「表紙のモデルを更新したらどうか」と圧力がかかる。
「ファーストクラス」も発行部数が順風満帆ではないのだ。絶対女王の大沢編集長もさらに大いなる競争にさらされている。
そこにつけこんで・・・隠れ肉食系性悪女子・・・いつまで女子なんだ・・・小夏副編集長は虎視眈々とトップの座を狙っているのである。
新人のネタをパクるという噂があるレミ絵は・・・新人ちなみに企画会議への参加を呼び掛ける。
喜んだちなみは熱心にレミ絵の指定したパソコンで企画書作成に取り組むのだった。
だが・・・企画会議の当日・・・パソコンから新人ちなみの企画は削除されてしまう。
それでも・・・仮印刷のプリントをゴミ箱から回収するちなみ。
そんなちなみに・・・レミ絵は・・・夜の編集部で・・・パソコンに細工する白雪の監視カメラ画像をプレゼントする。・・・おそるべし帰国子女なのである。
そして・・・結局、ちなみの企画をパクるレミ絵。
「私の企画です」と主張するちなみに・・・編集長は「よくある企画だ」と冷たく突き離す。
ついに・・・ちなみのガッツに火が付くのだった。
「お互いの足を引っ張り合ってそれでいい雑誌が作れるんですか」
「身内の争いにも勝てないようでは世間との競争にも勝てないのよ」
・・・物凄い論理である。
「こんなことまでしてですか」
ついに・・・白雪が自分の企画を削除したことを明かすちなみだった。
「それは・・・やりすぎね」と突然、評価を変える編集長・・・同じ悪意でも・・・上位者と下位者では許容範囲が異なるのである。
このドラマの格付けは・・・恋愛、仕事、金、持ち物など様々な要素で決まるらしいが・・・基本的には作者の胸先三寸である。それでお茶の間が納得すれば問題ないのである。
二回目の順位は・・・。
第1位 大沢編集長→
第2位 八巻小夏(三浦理恵子)副編集長→
第3位 ERENA(石田ニコル)・・・専属モデル↗(知名度アップ)
第4位 MIINA(佐々木希)・・・専属モデル↘(後妻嫉妬のためか?)
第5位 松田静香(遊井亮子)・・・フォトグラファー↘(飼い犬に嫉妬のためか?)
第5位 川島レミ絵(菜々緒)・・・編集者(正社員)→
第7位 ちなみ・・・編集者見習い↗
第8位 木村白雪(田畑智子)・・・編集者(契約社員)↘
妙に納得するのだった。
そして・・・次回は・・・専属モデル総選挙という展開なのだが・・・早くもモデルのようなことをしているちなみ・・・それは反則なんじゃないのか・・・。
とにかく・・・女たちの心の声の応酬が抜群に面白いよね。
関連するキッドのブログ→悪女について
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コメント
ファースト・クラス キター\(^o^)/
初回は久しぶりにエリカ様が主演するのでチェックしてみました
出だしは プラダを着た悪魔にそっくりだし
心の声まであったので なんだかなぁと思ったんですが
エリカ様 やっぱり綺麗だけど髪がちょっとパサパサな気が〜
佐々木希はこの役あってるかも
田畑さんは良い人のほうが似合うんだけどな
とかミーハーに見る分には
すごく楽しくて あまり話のすすまないドラマを
辛抱しながら見てるせいか 良い気分転換になるし
ちょっと月9の雰囲気もあるので私はとっても気に入ってます(^^)
番組最後のマウンティングには実はあまり興味がなくて
順位は価値観で変わるよねと思ってボンヤリ見ていたせいか
ERENAの順位も変動しているのに気がつきませんでした!笑
エリカ様が豹変して
人を押しのけて上にあがっていく姿を
早く見たいです^ ^
投稿: chiru | 2014年5月 1日 (木) 08時31分
シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン
「極悪がんぼ」と「ファースト・クラス」は
実は構造的には似ているドラマ。
相手が「おっさん」と「悪女」に代わっているだけで
純粋なヒロインが自分を通そうとするストーリー。
「がんぼ」もそれなりに歯ごたえあるのですが
楽しさでは「ファースト・クラス」の方が
圧倒的に勝っていると思われます。
さらに「沢尻エリカ」の2007~2011年という
「失われた五年間」を埋める意味も大きいですよねえ。
21~25歳という・・・女優としては
言わば黄金期を逃がして・・・なお、この輝き。
失われた時は戻りませんが
沢尻エリカ主演の朝ドラマとか・・・
沢尻エリカ主演の大河ドラマとか・・・
沢尻エリカ主演の月9とか・・・
ああ・・・見たかった・・・のでございます。
まあ・・・そういう残念な感じもあわせて
「エリカ様」でございますからねえ。
なんといってもこの脚本家とこの演出家は剛腕ですので
破綻しようがなんだろうが面白おかしく仕上げてくるという安心感がありますな。
女の子は比べられることが嫌い・・・
でも比べるのは大好き・・・
という・・・なんじゃそれなところがありますが・・・
何をもって「勝ち」なのか
わからないけど・・・わかってるのですな。
キャリアを積んで仕事で勝つ。
玉の輿で高層ビルの最上階に住む。
子供を生んで愛される母親になる。
ブランドものに身を包む。
誰よりも美しく輝く。
そのすべてを得てもまだ不満な人もいれば
ひとつもないけど別にいいじゃないという人もいる。
その心の隙間を埋める・・・
女たちのステータス・バトル・・・。
そして・・・シンデレラの「エリカ様」が
負けるはずはないという・・・絶対的信頼感。
そして・・・敵役ヒロインをすべて
集めました的な・・・重厚な女優陣。
心の声の応酬がものすごく痺れます。
レミ絵なんか明らかにテレパシー使ってるし・・・。
少し病んでるミーナも気になるし
編集長と副編集長の熟女対決も楽しみです。
そして・・・ドクターヘリを呼ばない変態カメラマン。
その奴隷犬王子。
正体不明のスタイリスト(平山浩行)もおりますし。
ゲスト抜きでこの面白さ・・・。
来週の月曜日のレビューがとうなるか・・・。
悪魔にも分からない勢いですぞ~。
投稿: キッド | 2014年5月 1日 (木) 20時25分