そして劇場版までもつづく夢を見た悪夢ちゃんスペシャル(北川景子)
一年半の不在を経て・・・悪夢ちゃん復活である。
そして・・・この日は主題歌「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を歌うももいろクローバーZが日本テレビで番組ジャックをしたわけである。
ある意味で・・・現在の日本のトップ・アイドルはAKBグループでもなく、モ娘でもなく・・・ももクロだという実感を初めて感じたお茶の間も多かったのではないか・・・。
まあ・・・そういう感覚は「人それぞれのもの」なので分らない人には分からなくていいと思う。
もちろん・・・当の日本テレビが随分偉い人になったサザンの桑田にちょっと似ている小杉氏を始め、どのくらい自覚しているかは定かではない。
番組ジャックの一環である「笑神様は突然に」ではスタジオ収録のスケジュールがとれないタイトさである。
企画はめちゃイケの「岡村隆史&加護亜依in竹下通り」の焼き直しで「ももクロ変装して竹下通り」なのだが・・・竹下通りの興奮が絶頂時代のモ娘。を上回っている演出になっている。
基本的にテレ朝ベースで展開しているももクロだが・・・気配を察知したフジテレビとNHKは最近、露出を増やしている。そもそも・・・「サラバ、愛しき悲しみたちよ」はアーティストとしてのももクロの起爆剤になっているわけだが・・・日本テレビとしては俺だっての気分なのだな。
そういう思い入れ濃度というのはどうしても個人差がある。
そう言う意味では「3分クッキング」の濃さは相当だった。
かわいいよ、ももクロかわいいよと言うしかないのである。
一方で・・・「劇場版」のPRとしての「ドラマ」はバラエティ・ショーのノリがやや強く、一部ドラマ・ファンには違和感があったことは確実だと思われる。
なにしろ・・・脚本が大森寿美男ではないのである。
なんと・・・アシスタント・プロデューサーが書いてるのだ。
まあ・・・素人のくせに・・・作品のイメージをそれほど損なわず・・・劇場版本編につなげたのは逆に凄ええええええとも考えます。
まあ・・・悪夢ちゃんワールドに魅せられていると些少なほころびには目を瞑る体質になっているのでございますけれど。
で、『悪夢ちゃんスペシャル』(日本テレビ20140502PM09~)原案・恩田陸、脚本・佐藤友治、演出・佐久間紀佳を見た。このドラマは夢の解釈をベースにしたファンタジーである。しかし、レギュラー・シリーズ中は大森寿美男がそれなりに世界観を展開し、強引なリアリティーを確保していた。なんといっても心に残るセリフが決め手である。今回は終盤で「夢を嗤うな」と彩未先生(北川景子)が説教するシーンがあるのだが・・・「夢を見ることを否定したら未来を切り開いていけない云々」というようなことを言う。これが何を言ってるのか・・・まるでわからない感じに仕上がっている。深みがね・・・ないんだよ。でも・・・まあ・・・なんとなく言いたいことは分かるのである。しかし・・・大森寿美男だったら・・・こうは言わせない気がいたしました。まあ・・・あくまで・・・妄想でございますがっ。
いろいろあったが・・・何事もなかったように存在する明恵小学校5年2組・・・しかし、1年半の歳月は成長期の子役たちを確実に成長させ・・・みんなでっかくなっちゃっているのだった。悪夢ちゃんこと古藤結衣子を演じる木村真那月もすでに13歳である。しかし、小学生だと言われれば小学生なのだった。「悪夢ちゃん」以前に「最後から二番目の恋」で長倉えりなを演じていた白本彩奈は「続・最後から二番目の恋」では中学生になっている。しかし、実際にはもうすぐ12歳(5月14日生れ)なのである。白本彩奈が演じるクラスで一番目立つ小泉綾乃がリアル小学生なのだから問題ないのだ。
レギュラー最終回で夢違観音で彩未先生と悪夢ちゃんは・・・彩未の恋人で悪夢ちゃんの父親らしい志岐(GACKT)と「夢みたい」な再会するのだが・・・それが夢でリンクしている彩未先生と悪夢ちゃんの共有の夢だった・・・という幕開けである。
ちなみに悪夢ちゃんも彩未先生も超能力者である。
悪夢ちゃんは人類の無意識に接触して時間軸を越え、予知夢を見ることができる。
彩未先生は夢を意識でコントロールする明晰夢を使用して他人の夢に侵入できるし、悪夢ちゃんの予知夢を解釈して未来を改変することが可能である。
この設定は完全にSF的であるが・・・このドラマはそのサイエンスの部分をファンタジーというオブラートで包んでいるのである。
もちろん・・・夢科学は現在では幻想の産物である。
しかし、このドラマのまあまあの成功がその後の「みんな!エスパーだよ!」や「安堂ロイド」、「なぞの転校生」などSF的ドラマの出現に貢献していると思われる。
さらに言えば「夢落ちで何が悪い」の姿勢は「失恋ショコラティエ」を生んだとさえ言える。
ま・・・あくまで妄想の話です。
レギュラー・シーズンの「悪夢ちゃん」が小中学生に絶大な人気を誇ったかどうかは別として一部業界には勇気を与えていることは間違いないのである。
主題歌の「サラバ、愛しき悲しみたちよ」は全篇が「夢」を主題としている。
見ざる 言わざる 聞かざるでござる
君子、危うきに近寄らずデス
この脈絡のなさは「夢」そのものである。
そして・・・
こころの声が木霊する
涙と希望のカーニバル
とは・・・まさに「夢」の正体を分析的に語っているのである。
こんな哲学的な歌詞を小中学生の多くが正確に理解しているとは到底思えないのだった。
・・・もういいか。
学校では甘澤校長(キムラ緑子)と中込教頭(阿南健治)が霜月女子学院との「高校生と小学生の異年齢交流」という行事の担当を彩未先生に命じるのだった。
その実行委員に選ばれてしまった悪夢ちゃんと屋上で情報を交換する彩未先生。
「女子高校まで行って変な夢もらってこないでよ」
「私・・・志岐さんは生きていると思う・・・昨日、志岐さんが無人島にいる夢をみました」
「その夢、私も見た・・・悪夢ちゃんの無意識が流れ込んで来たのかな」
「志岐さんは骸骨になったけど・・・やはり生きてたから」
「でも・・・捜索は打ち切られたし・・・」
志岐は海に消えたまま行方不明なのである。
しかし・・・悪夢ちゃんが予知した以上・・・志岐が瀕死から生還するのは確実なのだった。
そして、今は亡き永井一郎のいつものナレーションで「悩夢」は開幕するのである。
そこで述べられるのは意識は有限だが・・・無意識は無限というこのドラマのお約束である。
そしてお茶の間は悪夢の世界へ誘われる。
学校の廊下に整然と並ぶ児童たち。
その列は保険室へと続いている。
悪夢ちゃんは不審に思いつつ中の様子を窺う・・・怪しすぎる養護教諭の琴葉先生は児童に「あーんして」と口を開かせると・・・児童の口からは紫色の魂状のものが出現して、琴葉先生はそれを無造作に吸入してしまうのだった。悪夢ちゃんは琴葉先生に発見され・・・確保されてしまう。たちまち超人ハルクのように筋肉質な身体になる琴葉先生は「あなたも私の一部になりなさい」と巨大な口を開くのだった。
「キャー・・・キモい」と悪夢から覚醒する悪夢ちゃんだった。
まあ・・・優香史上もっともキモい役柄である。
早速、彩未先生に報告する悪夢ちゃん。
「琴葉先生がおかしい・・・」
しかし・・・琴葉先生がおかしいのはいつものことだととりあわない彩未先生。
そして・・・琴葉先生は異年齢交流会に勝手に同行してくるのだった。
明恵小学校一行を出迎えるのはドラマ「高校入試」から抜け出たような高校教師・松田先生(小松利昌)である。
そして・・・異年齢交流会を指導するのは霜月女子学院の生徒会長で異年齢交流会の委員長を務めるいかにも優等生な玉井詩織(玉井詩織)だった。ももクロのイエローはレギュラー・シーズンから夢獣の声優も務めている。
つまり、夢王子(GACKT)と同様に二役であり・・・当然、物語のキーパーソンとなる。
ここから・・・ももクロがゲストとして登場するが・・・その使い方が・・・脚本家的・・・というよりはプロデューサー的なのである。
そこはもう・・・確実に賛否が分かれるところだが・・・これはこれでいいと思う。
旬のアイドルの使い方としては王道だ。
ひょっとすると・・・大森寿美男では・・・ここまで美味く使えなかったかもしれない。
そういう・・・綱引きが内在しているドラマなんだな。
さて・・・詩織委員長のリードで・・・「将来の夢の作文発表」と「出し物対決」という異年齢交流会のイベントが決定される。
会議を終えたメンバーたち。児童たちは校庭で・・・ダンスを練習する女子高校生を発見する。
綾乃が興味津々で接近すると・・・小学生たちは女子高校生たちに群がるのだった。
その様子に不快感をあらわにする詩織委員長に・・・琴葉先生が注目する。
可愛い小学生たちのリクエストに答え・・・「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を踊り出すダンサーたち。
レッドのダンス部キャプテン・百田夏菜子(百田夏菜子)、ピンクの佐々木彩夏(佐々木彩夏)、グリーンの有安杏果(有安杏果)、パープルの高城れに(高城れに)・・・布袋寅泰のギターが鳴り響くのだった。
ちなみに現在足首骨折中のピンク以外はなんちゃって高校生である。
この曲でももクロは紅白歌合戦(2012年・「行くぜっ!怪盗少女」とメドレー)に初出場を果たすのである。
ヒャダイン→やくしまるえつこ→岩里祐穂&布袋・と続くシングル楽曲提供者の流れがかっけええええっのである。
・・・もういいか。
とにかく、小泉綾乃たち小学生はダンス部のダンスに魅了され・・・詩織委員長は「でも彼女たちは落ちこぼれです」と琴葉に吐き捨てるのである。
異年齢交流会の課題である「将来の夢の作文」に取り組む悪夢ちゃん。
しかし、その筆は進まないのだった。
彩未は琴葉を酒の席に誘い・・・一応、魂吸引の有無を確認する。
「そんな・・・どうやって魂を吸うんですか」
「まあ・・・そうだわね」
なんとなく・・・お互いの高校時代を打ち明け合うガールズ・トークである。
琴葉は親の言いなりでガリ勉していたのに成績はいつも八位を上回らない暗い青春・・・。
唯一の趣味のポエム作りも・・・基本は盗作で蕎麦屋のバイクを盗んで走り出したこともあったのだった。
一方・・・彩未は才色兼備で学校の女王・・・ブタ野郎どもの陳腐な恋文を読まずに燃やす時にカタルシスを感じるサイコJKだった。
「彩未先生の将来の夢は・・・何だったんですか・・・」
「子羊たちの番人になることよ・・・」
「じゃあ・・・夢はかなったのですね」
「思った形ではないけどね・・・羊飼いの仕事は面倒くさいことばかりだし」
彩未は・・・将来の夢を持てない悪夢ちゃんを危ぶみ、琴葉は鬱屈したところが過去の自分を思い出させる詩織委員長が気になっていた。
教え子や若者の未来を案じるという・・・二人は・・・結局、いい教師なのである。
ダンス部のダンサーたちは練習に余念がない。
しかし、暗雲がたちこめ・・・黒い霧の中から怪物が出現する。
天使の身体にフクロウの頭、黒狼にまたがっているのは地獄の辞典に登場する地獄の大公爵・悪魔アンドラスである。
アンドラスの頭は悪魔学者によってはゴイサギやカラスとする説もあるが・・・基本的には公爵様のその時の気分で変容するのである。ドラマではゴイサギでは分かりにくいので地獄の辞典の挿絵に従った造形らしい。
基本武装はサーベルである。配下に三十堕天使の軍団長を従え、百万の悪魔を支配する。
悪魔学的には不和の扇動者として知られ、人間に殺人の方策を指南する悪魔の代表として分類されている。
アンドラスの背後からは詩織委員長が現れる。
驚くダンサーたち。
アンドラスは詩織委員長の魂を地獄の炎で燃えあがらせる。
詩織委員長は炎を発し、ダンサーたちを焦熱地獄に追いやるのだった。
たちまち・・・大自然を貫通する死の絶叫(ムンクの叫び)を発し白骨化するダンサーたち。
暗い喜悦を感じる詩織委員長。
しかし、アンドラスは夢王子に変身すると炎のサーベルで詩織委員長を貫くのだった。
詩織委員長も業火に包まれ・・・世界は炎上する。
「キャー」と悪夢から覚醒する悪夢ちゃんだった。その模様は例の「夢札」に録画されたらしい。
悪夢ちゃんが欠席した教室では異年齢交流会の小学生サイドの名称らしい「年の差交流会」の出し物会議が行われる。・・・統一しろよ・・・。
委員になっている発明家志望の蒼太(渋谷龍生)と親友の卓弥(若山耀人)は「サイエンス・ステージ」を提案するが・・・女子たちに猛反発され・・・小泉綾乃の主導で「シンデレラ」の上演が決定するのだった。
蒼太と卓弥はめげるが・・・琴葉先生は「男ならあきらめるな」と二人を煽るのだった。
一方、悪夢ちゃんの家庭訪問をした彩未先生は悪夢ちゃんの祖父・古藤万之介教授(小日向文世)から・・・「孫を悪夢から救ってくれ」といつもの要請をされるのだった。
仕方なく、夢札の分析を開始する彩未先生。
「不和の悪魔アンドラスが・・・詩織委員長を使って・・・ダンス部に不幸を招かせようとしているのね・・・しかし・・・どうして・・・夢王子が・・・アンドラスなのかしら・・・とりあえず、詩織委員長を見張るしかないわね・・・悪夢ちゃん、これから霜月女子学院に行って張り込みをしなさい」
小学校教師が小学生に命じることではない。
詩織委員長を尾行した悪夢ちゃんは詩織委員長の意外な一面を見る。
詩織委員長は公園で子供たちにダンスを指導していたのである。
詩織に発見されてしまった悪夢ちゃんは偶然を装って詩織と話し合う。
「明日の将来の夢の発表会楽しみね」
「私・・・まだ・・・書けてない」
「そうなの・・・実は私も・・・」
「詩織ちゃんの夢はダンスですか」
「ダンスはもうやめたのよ」
詩織委員長は元ダンス部員だったのである。
しかも・・・百田キャプテンのダンスグループの一員だったらしい。
そのことは・・・ダンス部員たちにも波紋を投げかけていた。
小学生のリクエストに応え、「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を踊ることにしたダンサーたち。しかし、そのダンスは詩織委員長もかって一緒に汗を流した演目だった。
ダンス部員は詩織委員長の退部を裏切り行為と感じているらしい。
そして・・・どうやら「年の差交流会」に決定したらしいイベントで・・・「将来の夢」を発表する代表たち。
しかし悪夢ちゃんは「将来の夢はわかりません」と発表する。
それに対して・・・詩織委員長は「国立大学に進学し、経済学を学び、IT企業の経営者になる」という夢を滔々と語るのである。
悪夢ちゃんは裏切られた気分になるのだった。
続いて運動部を代表してダンス部の高城れにが「将来の夢はプロのダンサーになり東京ドームで観客を狂喜乱舞させ・・・伝説になることです」と語り、場内を沸かせる。
しかし、詩織委員長は「小学生相手に妄想を語るのはどうかと思う」と高圧的態度で批判するのだった。
たちまち・・・高まる対決ムード。
年の差交流会は不穏な空気に包まれる。
小学生たちは・・・高校生たちの軋轢を分析するのだった。
「夢を語っているのに妄想だって決めつけるなんて空気読めてないわよね」
「ダンス部のお姉さん、激オコだったよね」
「でも・・・結局、大それた夢は見るなってことじゃない」とまとめたのは小泉リーダーだった。
予知夢は見れるのに自分の将来は見えないのかと指摘された悪夢ちゃんは思い悩むのだった。
一瞬先は闇である。職員室で彩未先生は蒼太の親から連絡を受けていた。
父親の転勤で蒼太一家は北海道に引っ越すことになったらしい。
それを知った卓弥は蒼太との思い出作りのためにでかい花火を打ち上げることを計画するのだった。
やがて幼い発明家コンビはとんでもないものを作り出すのである。
自宅に戻った悪夢ちゃんは祖父のくたびれた歯ブラシを新品に交換した後で鏡を覗きこむ。
「私の将来・・・」
鏡の国に彷徨いこんだ悪夢ちゃんは女子高校生になっている自分に気がつく。
予知能力者として恐れられた悪夢ちゃんは教室で孤独な時を過ごしている。
将来の夢はまったく見えないのだった。
海岸にある祖父の墓参りに出かけた悪夢ちゃんは「私・・・うまくやれない」と報告する。
墓石の扉を開き現れる亡霊の祖父に恐怖を感じる悪夢ちゃん。
時は刻まれ、ショムニのOLとなった悪夢ちゃん。しかし、コピーひとつ満足にできず、無能者の烙印を押されるのだった。
再び、海辺の墓地で今度は彩未先生の墓参りをする悪夢ちゃん。
「私、大人になってもダメみたい・・・」と報告すると地中からキャリーとなった彩未先生が手を伸ばす。
時を越えて独居老人となった悪夢ちゃん。2083年のテレビからは貞子となった彩未が救いの手を差し伸べる。
気がつけば夢獣が暗闇を彷徨う悪夢ちゃんに寄り添う。
夢獣は琴葉先生に姿を変え・・・鏡を破壊するのだった。
夢から解放された悪夢ちゃんは自宅の洗面所で目を覚ます。
悪夢ちゃんの超思念は物質化現象を引き起こし、鏡を割っていた。
その夜・・・現実の人々は様々な行動を開始するのだった。
男の子たちは秘密の作戦に熱中し、琴葉先生はバイクで夜の闇に消え・・・高校には不気味な人影が接近する。
翌日・・・教室ではシンデレラの稽古が行われている。
悪夢ちゃんは配役不足の協議の結果、お地蔵さん役となっていた。
彩未先生は悪夢ちゃんを不憫に思うのだった。
悪夢ちゃんが・・・彩未先生に琴葉先生の安否を尋ねている時・・・緊急事態が校長室から報告される。
「小学校に不気味な爆破予告」「高校で職員室の窓ガラスが割られる」・・・ふたつの事態を受けて・・・年の差交流会は中止となったのだった。
彩未先生と悪夢ちゃんは屋上で情報を交換する。
「私が大人になって・・・おじいちゃんが死んで・・・幽霊になって・・・彩未先生も死んじゃって・・・琴葉先生がバラバラになって・・・」
「なんだか・・・ちっともわからないわ・・・夢札は・・・」
「記録してません・・・白昼夢だったから・・・」
「しょうがないわね・・・」
彩未先生は保健室に行き、奥の手である強制睡眠による明晰夢に着手する。
彩未先生は夢獣とコンタクトをとり、琴葉先生の無意識に侵入する。
琴葉先生は駐車場に佇んでいた。
やがて・・・玉井詩織が現れて琴葉先生は魂の吸引を行う。
琴葉先生は玉井詩織に変身して罪を告白するのだった。
「私が職員室のガラスを割って・・・その罪をダンス部になすりつけたのです」
「どうしてそんなことを」
「夢ばかり見てたら現実が見えなくなるから」
「どういうこと」
「私はダンス部をやめて・・・現実と折り合いをつけたのに・・・キャプテンたちはチームを解散しなかった」
「あなたは夢から逃げたのね・・・でもそれと残った四人は関係ないじゃない」
「違う・・・私は未来を見たの」
「未来ですって」
「私がダンスを続けていたら死神に命を奪われるの・・・彼女たちは身体を刈られて足だけで不毛なダンスを一生踊り続けることになるのよ」
「一体・・・そんなことを誰に・・・」
「夢を占う・・・知らない男の人・・・」
彩未先生は懐かしい男の影を感じる。
しかし・・・今は詩織の真意を確かめなければならないのだ。
「あなたの本当の気持ちはどうなの?・・・心の底からダンスをあきらめたの?」
「私は・・・」
悶え苦しむ玉井詩織は再び琴葉先生に変身する。
「そんな風に追い詰めたら・・・彼女は心を閉ざしてしまいます」
「じゃ・・・どうしろっていうのよ!」
「ちょっと・・・その前にやることがあります」
駐車場に現れる暴走族風の若者たち。
琴葉先生は若者たちの魂を吸引し始める。
「何してるのよ」
「先生も私とひとつになりますか・・・涙の数だけ強くなれるでしょう・・・」
琴葉先生は妖怪変化グール(食屍鬼)となり・・・巨大な牙をむき出す。
「キャー」と保健室のベッドで目を覚ます彩未先生。
彩未先生には大体のことがわかったのだった。
それは・・・あたかも熱海の捜査官のオダギリジョー的にである。
彩未先生と悪夢ちゃんはまず・・・・怪しすぎる養護教諭を訪ねて件の駐車場へ向かうのだった。
そこで琴葉先生は悩める若者たちの悩みを聞くという街角カウンセラーをしていたのだった。
しかも・・・暴走族になりきり暴走族の心の扉を開いていたのである。
こうして・・・若者たちの魂を獲りこんで自分の心の成長を達成していた姿が・・・悪夢ではムキムキマン化した琴葉先生の象徴となっていたのだ。
彩未先生は琴葉先生そのものには少し引きながら・・・相手の気持ちに寄り添う琴葉先生の姿勢にインスピレーションを受けるのだった。
次に三人は・・・琴葉のサイドカーで夢科学研究室に向かう。
そこには・・・行方不明だった志岐が待っていた。
彩未先生は再会の歓喜を抑制しつつ・・・不和をもたらすアンドラスとしての志岐の行動を確認する。
案の定、志岐は詩織委員長に接触し、彼女の悪夢から最悪の未来を提示していたのだった。
ダンサーとしての未来に不安を感じていた彼女はダンス部をやめて生徒会長になったのである。
「あなたのせいで彼女は自分を見失ってしまったのよ」
「どんな未来を選ぼうが彼女が彼女であることに変わりはない」
愛し合っているが相容れぬ部分がある彩未と志岐だった。
希望と絶望は紙一重なのである。
彩未先生は希望の未来を切り開くために・・・琴葉先生と二手に分かれるのだった。
悩みをかかえる詩織には琴葉が・・・。
担任教師として爆弾魔の悪童に彩未先生が・・・。
琴葉先生は詩織委員長に罪を告白させ・・・謝罪させることに成功する。
詩織は・・・自分がダンスがメンバーの中で一番下手なことにわだかまりを感じていて暗黒面に堕ちたのである。
一方、悪童コンビは・・・巨大な花火を打ち上げるための予告状を書いただけだったのだ。
二つの問題は解決し・・・年の差交流会は予定通り開かれることになる。
しかし・・・最後の危機は・・・そこまで迫っていた。
悪夢ちゃんは夢を見た。
ステージでダンス部とダンスを踊る彩未先生。
しかし、舞台は暗転し・・・突然、大爆発が起こる。
ダンサーたちが黒焦げになって倒れ伏す大惨事である。
そして・・・舞台袖には小悪魔が・・・。
夢札を見た古藤教授と助手の山里(和田正人)は彩未先生不在のまま・・・夢判断に挑む。
「あれは・・・グレムリン」
「機械に宿るいたずら好きの小鬼ですか・・・」
「古の英国の魔女たちが使い魔にしていた猫の化身・グリマルキンの進化系とも言われておる」
「なるほど・・・」
朝ドラマ「ごちそうさん」で身に付けた縁の下の力持ち属性が山里を走らせるのだった。
「年の差交流会」の出し物対決は滞りなくプログラムを終了した。
司会を務めた大川美咲(川嶋紗南)からマイクを受け取った彩未先生は悪夢ちゃんを壇上にあげる。
将来の夢を発表する悪夢ちゃん。
「私の将来の夢は将来の夢を見つけることです・・・」
思わず失笑する会場の人々・・・。
しかし・・・彩未先生は・・・。
「他人の夢を笑うな・・・他人の夢を笑うものを私は軽蔑します。ここにいる人たちも多かれ少なかれ未来に不安を抱いているでしょう。そして現実の未来は困難に満ちているかもしれません。時には夢は消え失せてしまうかもしれません。しかし・・・人生を切り開くことができるのは夢を見続けようとする・・・心を持っているものだけです。夢だけが絶望の暗闇に打ち勝つ希望の光だからです・・・だから・・・夢を追い続けるものは必ず人生に打ち勝つのです」
一同は茫然とするのだった。
「玉井詩織さん・・・檀上にあがりなさい」
「・・・」
「窓ガラスを割ったのは彼女です」
「彩未先生・・・」
どよめく会場。
「しかも・・・彼女はその罪をダンス部に着せて廃部に追い込もうとしました」
唖然とする会場。蒼白になる詩織。憤然とするダンス部員たち。
「ひどい・・・なんで・・・そんなこと・・・」
「彼女は下手だったのよ・・・だから・・・ダンス部をやめた・・・でも・・・ダンスを続けるあなたたちを妬んだの」
「ごめんなさい」
「絶対に許さない・・・どうして私たちに相談してくれなかったの」とキャプテン。
「でもね・・・あなたは彼女の苦しみに気がつかなかったでしょう」
「・・・」
「だから・・・踊りなさい・・・今、ここで・・・すべてを水に流して」
「うん・・・踊ろう・・・詩織」とダンサーたち。
「でも・・・私は自信がない」と詩織。
「大丈夫・・・私が一緒に踊ってあげるから・・・」と彩未先生。
騒然とする会場。
「なんてたって素人の私が踊るのよ・・・失敗するのはあなたでなくて私でしょう」
琴葉風説得術は功を奏するのだった。
サラバ、昨日をぬぎすてて
勇気の声をふりしぼれ
「じぶん」という名の愛を知るために
夢では嘘偽りのない本当の自分が表現されるのだった。
踊り出す彩未先生とももいろクローバーZ・・・。
その時、彩未に許された景気づけのクラッカーを点火しようとする悪童たち。
間一髪、助手はそれを制止するのだった。
「こんなに火薬を使ったらみんな死ぬぞ・・・殺人犯になりたいのかっ・・・夢の実現は慎重にしなくちゃ・・・特に科学者は」
こうして・・・すべての危機は回避されたのだった。
ホメてますから、全力で。
迷えるこころの叫びを振り返るな
悪夢ちゃんはステージのダンサーたち見て・・・未来幻視を体験する。
現実に未来時間が浸透した場合、一歩間違えると発狂するので注意が必要である。
夢の中では欲望が解放され、殺意も、冷酷も、卑怯も、怠惰も、孤独も、寂寥も、沈黙も、絶叫もすべて平等に自由となる。
現在、過去、未来が混沌の中に同時存在し、自己と世界は融合する。
無意識につながる夢という無限の解放区こそが・・・意識という虜囚の救いなのである。
大惨事を回避したことで時間軸は新たな次元に推移し・・・未来は幽かに揺らぐ。
シンデレラを夢見る小泉綾乃の選択肢にダンサーが加わり、蒼太の父親は単身赴任することになり、蒼太は転校を免れる。
蒼太と卓弥は友情を育む時間を獲得し、蒼太の父親は孤独と家族からの解放を手に入れるのだった。
悪夢ちゃんは夢で無意識を経由し、彩未先生の明晰夢に出現する。
「私は・・・彩未先生になりたい」
「まあ」
「私は・・・自分の力で悪夢と戦いたい」
「そう」
「だから・・・私に明晰夢を教えてください」
「いいわよ」
彩未先生は夢獣に案内させて悪夢ちゃんと志岐の無意識に侵入する。
記憶回廊で過去に遡上し・・・無人島に漂着した志岐をキャッチするのだった。
志岐は飢餓におそわれていた。
「志岐しゃん・・・かわいそう・・・」
「明晰夢では自分の願いはすべて叶うの」
彩未は・・・天女に変身すると・・・渇きに苦しむ苦いお茶を与えるのだった。
可愛さ余って憎さ百倍である。
自分を死ぬほど心配させた志岐にちょっと意地悪して復讐する彩未だった・・・。
「彩未先生・・・ひどい」
悪魔ちゃんは全能であることの恐ろしさを感じる。
夢の教室に戻った悪夢ちゃんと彩未。
「さあ・・・あなたも何かを願ってみなさい」
「・・・無理みたい・・・」
「何を願ったの・・・」
「素敵な王子様・・・」
「あれれ・・・」
その時・・・少年夢王子(マリウス葉)が現れ・・・彩未を一刀両断する・・・・・・・・・・・・・・・・。
大切なのは愛の夢を見ることだ。
関連するキッドのブログ→悪夢ちゃん
→独身貴族
| 固定リンク
コメント