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2014年5月12日 (月)

兵法三十六計の三・・・借刀殺人と軍師官兵衛(岡田准一)

軍師が兵法の基本中の基本にはめられてどうする・・・という話でございます。

本音はともかく、建前としては戦争は世界的に悪ということになっています。

戦争の基本の一つに先手必勝というものがありますが・・・つまり、一対一の殺し合いの場合、最初に殺してしまえば・・・殺されることはないということです。

逆に、殺し損ねると悪として裁かれる可能性が出てきます。

つまり・・・「先に手を出した方が負け」という状態が発生するわけです。

「平和を愛する民主主義国家」同士は・・・そうなるとなかなか戦争はできないということになります。

しかし、世の中には世界を解放するためには手段を選ばない独裁国家もまだ存在しますので・・・厄介な事態が続出するわけです。

ここで同盟国を利用する「刀を借りて人を殺す」計略が脚光を浴びるわけです。

ドラマでは・・・西播磨の名目的主である小寺政職が毛利に味方することに決め、反毛利の家臣・官兵衛を排除するために・・・同盟者の荒木村重に官兵衛殺害を示唆する・・・というストレートな展開になっています。

しかし・・・さらに言えば・・・西播磨の軍事的脅威である官兵衛に・・・荒木村重の正室だしが書簡(フィクション)を送り、小寺政職に官兵衛を粛清するように仕向けているという裏も考えられるわけです。

基本的に日本は同盟国のアメリカに常に「借刀殺人」を仕掛けているとも言えます。

同盟国と敵国に戦争をさせ・・・自国は無傷で凌ぐ・・・そんな都合のいいことがいつまで続くかは別として。

もちろん・・・弱小国が大国の顔色を窺うのは必然ですが・・・戦争を避けて譲歩を繰り返せばいつかは亡国というのもセオリーです。

そのせめぎ合いが・・・ロシアとウクライナ、中国とベトナムで発露しているわけでございます。

同盟国が「刀を借りて人を殺す」計略を厭うならば敗北は必至なのですな。

どうすれば・・・同盟国がその気になるか・・・その一つが集団安全保障の問題となって顕在化しているわけです。

春秋戦国時代の魯は周囲を強国に囲まれた弱小国で・・・東の強国・斉から圧迫を受けています。

そこで魯の使者となった子貢(孔子の弟子の一人)は斉に赴き、魯よりも南の大国・呉を討った方が利があることを説きます。

ところで呉はさらに南の越と交戦中でした。子貢は呉に越との停戦を呼びかけ、これを実現します。

斉と呉は戦争に突入します。

すると子貢は今度は西の大国の晋に赴き、斉との戦争準備を整えることを提案するのです。

斉は呉に勝ち、呉は弱体化して越に滅ぼされてしまいます。

そして斉は勢いに乗って晋に攻め込み、今度は準備の整っていた晋によって手痛い打撃を受けることになります。

魯はこうして・・・周囲の大国同士を争わせ・・・存続を守ったということです。

ま・・・魯も結局は遠方の大国・楚にやがて滅ぼされてしまうわけですが。

なんにせよ・・・複雑な国際情勢・・・子貢のような「うまい手」がそんなに簡単には実現しないところが醍醐味でございます。

で、『軍師官兵衛・第19回』(NHK総合20140511PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。画伯のレビューがまだなので・・・ここは・・・ドラマ「リバースエッジ 大川端探偵事務所」より・・・探偵さんのイラスト大公開のご紹介に留めておきたいと思います。1日1レビューを厳守していると・・・谷間一つではなかなか・・・テレビ東京にたどり着かないという今日この頃でございます。妄想では案の定、赤影になっちやいました。

Kan019 長い長い天正六年(1578年)は続くのである。三月に別所が叛旗を翻し、東播磨が毛利・本願寺同盟に加わり、織田方の上月城が落城。しかし、羽柴秀吉は宇喜多直家の調略に成功し、西からの圧力を減殺し、三木城包囲戦を開始する。しかし、十月、突如として摂津国・有岡城主・荒木村重が織田軍からの離脱を開始する。これにより、丹波国波多野氏、東播磨別所氏、摂津国荒木氏による反織田同盟が成立する。荒木氏は波多野氏の一族と言う説もあり、別所と波多野が姻戚関係にあることから・・・充分にありうる同盟だったが・・・基本的には石山本願寺の地元である摂津国では門徒の勢力が根強かったというのが背景にあるものと考えられる。同時に波多野氏の抵抗が足利幕府に起因することから・・・旧勢力の結集の側面もある。そのために・・・西播磨を一時は縄張りした小寺家がそこに参加するのは必然的だったとも言える。主家・小寺家の反織田勢力への参加を阻止するべく・・・小寺官兵衛は単身、有岡城の荒木村重説得を試み、捕縛・幽閉の憂き目を見るのだった。複雑怪奇な下剋上の世に謎に満ちた荒木村重の謀反と乱心、黒田官兵衛の艱難辛苦の物語の幕が劇的に開く・・・。

安土城下には武家屋敷が立ち並んでいる。清州城から岐阜城へ。岐阜城から安土城へ。信長が指令部を前進させる度に配下の武将は増大し、城下町も巨大化している。戦国武将の中で信長が特異であるとすれば・・・そのビジョンの斬新さが筆頭にあげられるだろう。信長が石山本願寺攻略に十年をかけるのも・・・もちろん、門徒衆という従わぬ民の頑迷さもさることながら・・・そこに大阪城下という新たなる首都建設の目論見があったからだと思われる。

すでに安土城は完成していた。当然、信長は大坂の城の構想に熱中していたはずである。

すでに・・・抵抗勢力の包囲殲滅という手法を確立した信長にとってそれは計画と実戦の問題であった。

しかし・・・信長のビジョンを理解しないものはその前途にたびたび立ちふさがるのであった。

「またもや・・・か」

荒木村重謀反の報せは・・・たび重なる裏切りの非道さを信長の心に想起させる。

「天下布武」というビジョンを掲げ・・・その素晴らしさを誰よりも理解している信長にとって・・・寸暇を惜しみ、その成立に粉骨砕身している自分が無性に憐れに思えてくるのだった。

美濃・近江国境を裁量する池田恒興の安土城下の屋敷には養徳院が居住している。

鬱屈した信長は時に養徳院を安土城天守閣に招くのだった。

恒興の母である養徳院は・・・信長にとって大御乳様と呼ばれる乳母である。

恒興の父の恒利の死後、信長の父・信秀の側室となった養徳院は・・・信長にとってまさに母に等しい存在だった。

池田家の跡取り娘として厳しい教育を受けた養徳院は感情も豊かだが・・・武家としての素養も供えていた。

実母の愛を知らぬ信長にとって・・・人としての情の根源は養徳院の育みの日々に帰するのだった。

「吉法師様・・・およびでございますか」

信長は養徳院と二人きりの時に限り、幼名で呼ばれることを好んだ。

「摂津の荒木が謀反いたしたわ」

「なんと・・・情けなきこと」

「で・・・あるか」

「吉法師様のお心を苦しめて・・・なんの益がございましょうや」

「是非もなし・・・わしが思うように・・・人も思うでなあ・・・」

「人はあさましきものでございますなあ・・・恩に報いず徒で返すとは・・・」

蒼白の面をした信長は張り詰めていた心が和らぐのを感じる。

荒木村重の裏切りはそれほどまでに信長の心を傷つけていた。

養徳院の柔らかなもの言いは・・・信長の絶望を緩和する効果があった。

狂いが生じた計画を見直すゆとりを信長は得た。

今にも窒息しそうになっていた呼吸機能が回復し、信長は大きく息を吸う。

その頬に赤みがさした。

「輝政は息災かのん」

信長は養徳院の孫の名をあげた。

「おかげさまで・・・」

「摂津攻めには我が陣に加えるがよかろうず」

「ありがたきしあわせにございまする」

「さがってよい・・・」

信長は憂いを含んだ瞳で養徳院を見た。

修復された計画はすでに実行段階に入っていた。

「村重め・・・この世の地獄を見るがよい」

信長は自らの出陣を決意した。

その頃、決死の覚悟で・・・荒木村重の説得に賭けた官兵衛の賭博は失敗に終わった。

姫路城で病気療養中の竹中半兵衛の枕元に仮面の忍者が現れる。

「赤影参上・・・」

「官兵衛殿はいかがいたした・・・」

「一服もられ・・・獄につながれてございます」

「ふふふ・・・不死身のもののふの体力勝負はうらやましい限りじゃ」

「これで・・・御着城の旗色は決しましてございます」

「ふん・・・いらぬ仕事が増えるのう」

「いかがしますか・・・」

「官兵衛殿が何をしようが・・・人質の命は・・・風前の灯じゃ・・・そもそも・・・官兵衛殿の人質ではなくて・・・小寺家の人質じゃからな・・・もう・・・安土からの使者が秀吉様の元に届く頃じゃ・・・これは・・・儂が手当てせねばなるまい・・・」

「お身体に障りますな」

「ふふふ・・・もう儂の命数は尽きておる・・・とにかく・・・手配りはすましておく・・・その後は・・・赤影と愉快な仲間たちにたくす・・・頼み参る」

「承知」

姫路の城に秋風がふきわたる。

関連するキッドのブログ→第18話のレビュー

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