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2014年5月27日 (火)

いいくらしを捜して堕ちてみせます(平田満)そこは階段じゃありません(尾野真千子)

話題作りのために・・・ちょっとした遊びを入れるのは別に悪くはないが・・・そういうところしか話題にならないとしたら少しさびしいことになると考える。

なにしろ・・・基本的に楽屋落ちなのである。

これが・・・本編に重要な要素としてからんでくるなら別だが・・・要するに主演女優同士が・・・それぞれのドラマですれ違うだけなら・・・まあ・・・いいか。

続・最後から二番目の恋」の舞台である鎌倉は・・・実在の都市のようだが・・・「極悪がんぼ」の金暮は・・・仮空の都市である。

ただし、神崎薫(尾野真千子)が姿を見せるのは架空のテレビ局JMTテレビだった。

ここが最低限の辻褄合わせと考えられる。

架空世界ですれ違うことの意味が生じるのである。

「遊び」が「お遊び」になるためには・・・このフリからお互いのドラマでオチをつける必要がある。

吉野千明(小泉今日子)は「続」の中でなんらかの用事で・・・金暮市に出張しなければならないし、神崎薫は「極」の中で東京に出張しなければならない。

そうでなければ・・・「なんだかな」を歌わずにはいられないのだ。

まあ・・・歌うことになりそうだけどな。

で、『極悪がんぼ・第7回』(フジテレビ20140526PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・伊志規哲也、演出・河毛俊作を見た。すでに・・・夏目大作(竹内力)が幼馴染との友情ネタをやっているわけだが・・・今度は金子千秋(三浦友和)も友情ネタでかぶせて来た。こういう形式のドラマではこのかぶりはすでにくどいわけだが・・・まあ・・・いいかとも思う。金がすべてだけど・・・愛も欲しいんじゃってことだからな。次々と繰り出されるゲストがまた・・・地味だけど・・・豪華な感じを漂わせる。地味か豪華かはっきりしろよ・・・まあ、地味です。

前座として不渡り手形を出して逃亡中の鼠商事の鼠社長(半海一晃)が登場する。

債権者に追われる鼠社長を神崎薫が誘導して、夏目大作(竹内力)が債権者たちの追跡を阻む。

「通りたければ俺の屍を越えて行け」と言う夏目だが左右からエルボーを繰り出すらしい。

借金のある人はけして乗ってはいけない怪しいワンボックスカーに誘われた鼠社長は・・・金子と抜道琢己(板尾創路)に遭遇するのだった。

そして・・・債権者の一人である本真商事の本真社長(平田満)のもとへと連行されるのだった。

金子が・・・高校時代の親友である本真のために一肌脱いだらしい。

鼠社長は計画倒産していたが資産隠しのために土地を名義変更していることまで押さえている金子。

本真の貸した三千万円は土地の権利証によって回収可能となった。

もちろん・・・土地が六千万円の価値がある以上・・・事件屋として金子もそれなりに稼ぐ算段だが・・・何よりも親友の本真に力を貸したいという心情らしい。

そして・・・どうやら・・・そこには・・・本真の妻・志保(朝加真由美)に対する仄かな思いが潜んでいるような・・・金子だった。

これが・・・「蒲田行進曲」なら・・・志保は小夏、金子は銀ちゃんなのである。

こちらの世界ではヤス・・・じゃなくて本真の表の世界での成功を・・・銀ちゃんじゃなくて・・・金子が裏の世界から生温かく支援するという関係らしい。

そして・・・小夏じゃなくて志保は二人の男に守られて幸せな人生を歩んでいたのだった。

一方、冬月啓(椎名桔平)に死体となって発見された・・・いや死んではいなかった「小清水経営コンサルタント」所長の小清水元(小林薫)は・・・それとなく・・・この物語の行方を暗示するのだった。

「私はね・・・神崎薫がビューティフルな世界を展開してくれるのを望んでいるのですよ」

「ビューティフル・・・ですか」

意識を失いかける冬月だった。

基本的に・・・「小清水経営コンサルタント」は「唐獅子株式会社」であり、えげつない小清水組長の悪い遊びに組員が右往左往するというスタンスである。

大坂の子分を金暮市の子分に噛みつかせたりして・・・そのスタンスは明らかになりつつあったのだが・・・いよいよ正体を示してきたのである。

メタフィクション現象としてはドラマ「カーネーション」で父親(小林薫)を乗り越えていった娘(尾野真千子)を叩きつぶしにきた様相を呈している。

そこに・・・千明が真矢樫キリコ(仲里依紗)のスナック「まやかし」をなんらかの事情で訪ねる場面となる。

どうせ、お遊びなので・・・女は不良の食べ物ナポリタンを食べたに違いないと妄想する。

女は・・・千明ではなくて・・・天野春子だったのだ。

店を出た春子は所属タレントの鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)と合流する。

ディナー・ショーのドサ回りで荒稼ぎをする「スリーJプロダクション」の社長と専属女優だった。

「さっき、百恵ちゃんの旦那そっくりのヤクザに会っちゃった」

「ええ~、友和そっくりなの~」

「まあ・・・金髪だったけどね~」

「ええ~、見たい~」

「へっへっへ」

・・・もう、いいだろう。

別件で巻上金融を訪れた薫は巻上社長(宇梶剛士)から・・・本真商事の悪い噂を聞きつける。

ヤス・・・じゃなくて本真は返済不能な借金を負って、不渡り確実の約束手形を振り出しまくっているというのだった。

薫が銀ちゃん・・・ではなくて金子に報告すると・・・金子はヤスじゃなくて本真を問いつめる。

「どういうことなんだ・・・ヤス」

「銀ちゃん・・・ごめん・・・銀行から七億借りたら・・・バブルがはじけて」

「いつの話なんだよ」

「お決まりの貸しはがし(担保にとった不動産の資産価値が下がったことを理由に銀行が返済の前倒しなどを融資相手に強要すること)で・・・五千万円を無理して用意したことが運転資金を苦しくして・・・気が付いたらどうにもならない経営状態になっちゃった・・・」

「馬鹿野郎・・・それじゃ・・・銀行にはめられたようなもんじゃねえか」

「うん」

「うんじゃねえよ・・・なんでもっと早く俺に言わなかったんだ」

「いつも銀ちゃんに頼ってばかりじゃ・・・男になれないと思って・・・」

「ヤス・・・」

だから・・・ヤスでも銀ちゃんでもないぞ。

本真の家屋敷も自社ビルも抵当に取られていると知った金子は・・・事件屋として・・・本真商事の存続を画策する。

本真夫婦を旅館「夕暮」に隠した金子は・・・例によって薫を整理屋に仕立て、本真商事を薫が乗っ取り新社長におさまったことにし・・・債権者会議で・・・債務者から債権を安く買い取り債権者代表になるのだった。

さらに・・・薫と腐れ外道(三浦翔平)に本間家を占有させ、自社ビルに三年間の借地権をつける「ナニワ金融道」の常套手段で・・・担保の売却を目論む・・・本真商事を倒産に追いやった張本人・「破綻銀行」と対峙するのだった。

破綻銀行・課長の吉良(袴田吉彦)は「三年間の期限付きで売却を妨害したとして・・・それで本真商事の経営状況が回復するとは思えない」と正論を述べる。

「そんなことはやってみなけりゃ分からないだろう。あんたらが目先の利益に目が眩んで理不尽な真似をしなければ・・・本真は地道にやってたんだ・・・この世のことは金がすべてだけれど・・・金の怨みのこわさを忘れちゃいけねえよ・・・」

吉良は・・・裏社会の介入に怯えて・・・上司にお伺いをたてるのだった。

破綻常務(佐野史郎)である。

「今月のノルマはゾーンだけれども・・・銀行が裏社会にゾーンされたら・・・ゾーンな面子が立ちませんよ」

破綻常務はなんらかのどす黒いつながりがあるらしい政治家のとどろき(佐戸井けん太)に相談するのだった。

「毛利などについては別所の未来はない」と別所重棟は・・・じゃなくて・・・とどろき議員はかねてからの知り合いらしい・・・小清水所長に相談するのだった。

金子の画策により・・・本真の存続に可能性が見え始めた夜。

旅館「夕暮」にかかってくる一本の電話。

「本真さん・・・あんたのやってることは違法ですよ・・・明日、破綻銀行までお越しください」

金子の友情と・・・銀行の圧力・・・板挟みとなったヤスじゃなかった本真の心は折れるのだった。

穏やかに眠る小夏じゃなかった志保の枕元に生命保険の契約書を残すと・・・階段を昇るのだった。

そして高いビルからまっさかさまに堕ちるヤス。

「ヤス・・・昇ってこい」と銀ちゃんが手を差し伸べて叫んでも昇って来れない人になったのだった。

本真商事の番頭さん的小林専務(志賀廣太郎)から訃報の連絡を受ける金子。

「小夏は・・・小夏はどうしています」

「連絡がとれないのです」

小夏はヤスが身を投げたビルの屋上に立っていた。

もちろん銀ちゃんはかけつけて小夏に声をかける。

「小夏・・・」

「銀ちゃん・・・あたし・・・口惜しい・・・ヤスさんの仇討ちがしたい」

「上等じゃっ」

小夏でもヤスでも銀ちゃんでもないぞ。

第一、主人公は薫ですからっ。

果たして・・・薫は・・・おとうちゃんのあこぎに・・・一矢報いることができるのか・・・。

一話完結ものの掟破りの・・・つづくである。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

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