私がおばあちゃんになったらあなたはおじいちゃんよ(小泉今日子)
コントというとお笑いのジャンルという図式があるわけだが・・・基本的には小芝居である。
コントの積み重ねがドラマと考えてもよい。
「サザエさん」は永遠に続くコントであり、その積み重ねはドラマなのだろう。
サザエさん誕生以前の人々はしだいに少なくなっている。
サザエさんという特殊な家庭生活がいつもそこにあるおとぎ話だった人たちの世界が積み重なって行く。
あのテーマソングを聞くだけで・・・明日は月曜日かとちょっとアンニュイになる人もいればそうでない人もいる。
その気になれば100年後もどら猫はお魚を加えて逃げていくのだろう。
「笑っていいとも」はリアルな人間が主人公だったので・・・終わりが来るところがリアルなのである。
認知症の人は・・・終わったことを忘れてお昼になると「笑っていいとも」を捜し続けアンニュイな気分を感じる。
だが・・・それもいつかリアルに終わりが来るのだった。
だったら・・・その日まで「笑っていいとも」があってもよかったのになあとアンニュイな気分になる。
ともかく本格的な夏が来る頃には終わっているドラマ。
コントのようにさりげなく通りすぎていく日常。
うっとりと眺めていると・・・あっという間に次週予告なのである。
で、『続・最後から二番目の恋・第7回』(フジテレビ20140529PM10~)脚本・岡田惠和、演出・加藤裕将を見た。和平(中井貴一)は好みのタイプの美しい未亡人・薫子(長谷川京子)の手料理を食べ、薫子の息子の蒼太(中島凱斗)とともに長倉えりな(白本彩奈)と楽しい一時を過ごしていたところを・・・二人分のたこやきを買ってきた心の愛人・吉野千明(小泉今日子)に目撃され・・・心落ち着かぬ気分を味わう。
一方・・・千明はドラマの第一話の脚本の入稿に追われ・・・忙しさにまぎれつつ・・・心に残る動揺を消せずにいる。
千明の分身のような啓子(森口博子)と祥子(渡辺真起子)に語らずにはいられないのである。
「嫉妬・・・」
「いやいやいや・・・なんていうかさ・・・一家四人の団欒って言うの・・・そういうのはもう無理かなって・・・終電に乗り遅れた感じ・・・」
「ないものねだりか」
「でも・・・こっちの人生はこっちの人生でいろいろあったわけだしね」
「あったのかな」
「お金とか」
「自由とか」
「自由になるお金とか・・・」
虚しいのである。手に入らなかったものを・・・認めるのは難しいのである。
うらやましいとか、ねたましいとか・・・そういうザワつきではなくて・・・欲しいものをあきらめるしかない・・・淋しさをともなった何かなのだ。
一方で・・・優柔不断な和平は・・・正室と側室の間で揺れる殿さま気分を味わうのだった。
そういう日に限って千明の帰りは遅く・・・いろいろと気にかかる和平だった。
しかし、朝になればいつもの朝倉家の朝食がスタートする。
新婚妻の知美(佐津川愛美)とその母親の秀子(美保純)と同居しているらしい天使の真平(坂口憲二)は通いで朝食を作りに来る。
薫子が「カフェ・ナガクラ」で時々、アルバイトすることを知ってますます動揺する和平だった。典子(飯島直子)の夫・広行(浅野和之)ほどアホではないが・・・心理的には同じなのである。
しかし・・・中学生のえりな(白本彩奈)にさえ・・・その心底は見抜かれているのだった。
「何もしないってことが優柔不断なのよねえ・・・千明さんがママだったらかっこいいと思うけど、チャンスは逃したっていうか・・・もう無理な感じだから」
二兎追う気分の和平は頭の上に洗面器を落される気分になるのだった。
「兄に負けたと思うと複雑な気分になりますし」と妹・万里子(内田有紀)も宣のだった。
出番のない一人息子の水谷翔(田中碧海)の朝食の世話を終えた典子や千明も加わり・・・兄弟の男としての出来の良さを比較される和平。
「真平と和平では男として出来が違う」と実の娘、妹二人、隣人の女四人に断言されて洗面器が頭の上で乱舞する和平である。
しかし、和平がたこやきの件を気にかけていると知った千明は二人で花火をした夜以来、心が潤うのだった。
かわいいぞ、千明、かわいいぞである。
一方・・・まったくの対象外であることから・・・なにやら妄想している伊佐山市長(柴田理恵)の心の内にはまったく気がつかない和平。
鎌倉の穴場スポットに案内して市長をますますその気にさせる。
しかし・・・そこに市長とは顔見知りらしい一条さん(織本順吉)が現れて、エロ本仲間だの親子丼だのあることないこと言われた上で薫子まで現れて・・・和平に対する市長の妄想は爆発寸前まで高まるのだった。
放浪中の広行はクッションとして登場するが・・・今回の浮気騒動の発端となった・・・千明と同じファンデーションの相手はゲイ的なバケモノ(前田健)だった。
かわいいぞ、マエケン、かわいいぞである。
そして・・・長倉家の知らないところで発展して行く・・・姉の夫と夫の義母の男と女の友情。
それにしてもエンディングの美保純のソロ・パートは若い子には負けないわ。
広行不在の淋しさをベビーシッターの仕事で紛らわす典子。
今回の典子はうざさ控えめなのである。
和平は・・・薫子に・・・「友達のままだと好きになってしまいそうなのでセフレになりたい」とよくわからない告白をされて・・・完全に混乱するのだった。
いや・・・もう・・・申し分のない理想の関係なのだが・・・和平はその申し出に戸惑うキャラクター設定を呪うのだった。
そんなこんなで・・・「離婚」を口にする典子に・・・兄として冒険的な発言をする和平。
「したいなら・・・してもいいぞ離婚・・・兄としてお前が幸せならそれでいい」
しかし・・・独身が本当に嫌になっている千明は・・・。
「せっかく持っているものを手放すなんてもったいないよ」と本音を口にするのだった。
「一人ってことは・・・どうしようもなく淋しいんだから」
まあ・・・ずっと一人だと淋しいってことにも快感を見出すのが人間だけどな。
こじれちゃって・・・淋しくなさそうな人を殺したくなるのも困ったことだけどな。
典子を挟んで和平と千明・・・その背後にそれぞれ心配げな顔の双子とえりな。
見事な構図である。
やがて・・・長倉兄弟は・・・貧乏な時に五千円のお小遣いをくれるおばさんの思い出話にひたるのだった。
その思い出話をうっとりと聞く千明。
千明の求める家族がそこにあるのだった。
そんなおばさんを結婚式に呼ばなくてよかったのかよっ・・・と思うが・・・墓か施設にいるのかと・・・アンニュイになるのだった。
あのドラマが存在するらしい・・・鎌倉(フィクション)・・・。
「たこやきパーティーで・・・たこやき返しだっ」と和平がいかにもおじさんなフレーズで決める。
あっという間に引きである。
どうやら・・・来週は万里子が出世するらしい。
そして・・・天使が死ぬ死ぬ状態を思わせ、心の愛人とセフレ候補は激突するのだった。
市長の見果てぬ夢の行方は最初からどうでもよかったのだが・・・それなりに盛り上がってくるのが連続ドラマの恐ろしさである。
一度も四葉のクローバーが見つからない人は週末・・・野に出たりして。
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