マーガレットの少女(杉咲花)悪魔くん(菅田将暉)VS死神くん(大野智)
マーガレットの花言葉は「恋占い」である。
あの・・・白い花弁を千切るという乙女の嗜みですな。
恋を占うくらいなので・・・そこには「秘められた愛」があり・・・少なくとも本人にとっては「真実の愛」と言うことになります。
そもそもマーガレットは「真珠の花」という意味でございます。
真珠の石言葉は「純潔」ですから・・・花占いをする乙女の「貞節」に通じるわけです。
真珠は・・・「月の雫」とか「人魚の涙」とも呼ばれるアイテムで・・・クレオパトラは「不老不死の妙薬」として愛飲しておりましたな。まあ・・・クレオパトラはコプラに胸を噛ませて自死してしまったのでその効能は明らかではございませんが。
フィクションですからなんでもありですが・・・ドラマ版「死神くん」は意表をついた死神くんの寿命設定ありでございます。まあ・・・天使に寿命があれば・・・神にも寿命があるということですな。
「神の死」を願う悪魔にとって・・・否定する理由はございません。
それよりも・・・春ドラマの見ても見ても終わらない津波のような勢いをなんとかしてもらいたい今日この頃です。
「悪夢ちゃんスペシャル」をリピートする間もないじゃん・・・でございます。
で、『金曜ナイトドラマ・死神くん・第3回』(テレビ朝日201402502315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・筧昌也を見た。幻象界の常識として・・・死神は天界に属する死の天使である。この場合は西洋的にはイエス・キリストを救世主とする宗教の神が支配するフィールドを天界と呼ぶのが一般的である。これに対し、魔界は神に反乱した天使ルシファーの一族が牢獄として堕天した地獄を意味する。そこで堕天使ルシファーは魔王サタンと呼ばれるのが普通である。アダムを誘惑した蛇と類似した行為は反逆者としての魔族の常套手段であり、魔神であるジンによる「三つの願い」を名もなき下級悪魔が模倣するわけである。魂とは超情報集積体であり・・・神にとってはこの世に遍在するという建前から神の一部分に他ならない。神体制へのテロリストである魔族が・・・これを奪取することは神の信頼性を揺るがせる不祥事なのである。なんで・・・そんなことを・・・と平穏を求める人々は呻くのだが・・・悪魔の知ったことではないのだな。
死神の寿命を設定することは神をも畏れぬ振る舞いだが・・・創作者というのはそういう罰あたりなことをしでかしてナンボなんだなあ。
もちろん・・・「死」こそが萌えの発生源である以上、この手はありなのである。
まあ・・・好みとしては死神くん(大野智)の死よりも監死官のカラス(桐谷美玲)の死の方が王道だとは思いますが・・・。
死神くんの不祥事により・・・地獄の門が開かれ、魔界から一匹の悪魔くん(菅田将暉)が地上に侵入する。この物語世界では悪魔くんにも寿命が設定されており、魂を一定時間に収奪できないと消滅するというノルマ設定である。
死神くんの上司である主任(松重豊)は「通常任務とともに悪魔くんの退治」を命ずる。
それは結局、悪魔くんに人間の魂を渡さないということである。
しかし・・・死神くんにはまだ・・・この世のこともあの世のこともよく理解できていないのである。
「口惜しさ」という言葉の意味さえわからない・・・未熟な死神くんに・・・カラスである監死官は歯がゆくも萌えるのだった。
悪魔くんは・・・この世を怨む若者・桐嶋譲二(柄本時生)と「三つの願いの成就と魂の交換」の契約を結ぶ。
譲二の第一の願いは「声をかけたすべての女が恋の虜になる呪い」であった。
たちまち・・・あらゆる女から欲情される譲二・・・しかし童貞である譲二には女たちの露わな欲望は恐ろしく・・・思わず尻ごみしてしまうのである。
一方、死神くんは幼い頃から病弱で外出もままならない西園寺財閥のお嬢様・瞳(杉咲花)に余命を宣告する。瞳の寿命は三日目の朝を迎えると尽きるのだった。不治の病に冒されて死に慣れ親しんでいる瞳は死神くんの言葉を素直に受け入れるのだった。しかし・・・死を目前とした瞳は最後の望みとして「一人で行動すること」を望むのだった。
死神くんの協力でお屋敷を抜け出した瞳は「最後の冒険の旅」に出るのだった。
やがて・・・死神くんが担当する瞳と悪魔くんが誘惑する譲二の人生は交錯していくのである。
死の天使と悪魔の魂争奪戦の開幕である。
街に彷徨い出た瞳は秋葉原のゲームセンターにやってくる。クレーンゲームに熱中する瞳。しかし、景品の人形をなかなかゲットできない。そこへ譲二がやってきて見事に成功してみせるのだった。初々しい瞳の可憐さに激しく欲情した譲二は瞳をカラオケ・ボックスに誘いこみ、キスをしようとするがビンタで報いられるのだった。
「なにすんのよ・・・世界であなたが一番きもい」
「ひでぶっ」
しかし、店を出た瞳を取り囲む財閥のボディガードたち。
死神くんは催涙スプレー攻撃で瞳を脱出させ、譲二は盗んだ車で瞳と逃走を開始する。
たちまち、ご令嬢の誘拐犯として指名手配されてしまう譲二だった。
「なんで・・・俺が誘拐犯に・・・」
「こうなったら身代金を請求するしかないわね」
「おっぱい触らせてくれたら・・・」
「きもいっ」
瞳は仕事にかまけて自分をかまってくれない父親に身代金を持参してもらいたかたのだった。
そんな二人の珍道中の裏で火花を散らす悪魔くんと死神くん。
「死ぬ予定ではない人間の魂を食べたりしないでくれ」
「人間と悪魔の契約は神だって認める公式ルールなんだぜ」
「神様も・・・余計なことを・・・」
「人間なんて欲望の塊りなんだぜ・・・なにしろ・・・生きるってことは欲望そのものだからな」
「いや・・・私の知っている人間はそうでもなかったよ・・・喜んで天に召されたし」
「それはお前の勘違いさ」
「神様の死亡リストにのることはおめでたいことなんだぜ」
「おめでたいのは神の奴隷である天使諸君ではないのかな」
「それは・・・ちょっといいすぎなんじゃないか」
「まあ・・・見ていたまえ・・・彼はもうすぐ二つ目の願いをすることになるのさ」
身代金の受取りに瞳の父親は現れなかった。
ボディガードに囲まれて瞳を連れ去られそうになる譲二。
「ほらね」
「・・・」
譲二は悪魔に願う。
「俺を世界最強の男にしてくれ」
「いいとも」
たちまち・・・譲二は瞳を取り戻すのだった。
再び逃げ出した二人。
「私・・・もうすぐ死ぬの・・・私が死んだらお墓にマーガレットを供えてね」
「嘘だろう」
「本当です」
死神くんの登場に驚愕する譲二だった。
「そんな・・・」
「私・・・死ぬ前に海が見たいな・・・」
「お父様との思い出の海ですね・・・」
「海・・・」
「お父様と行くべきなのでは・・・」
「ううん・・・私、譲二さんと一緒に海が見たい・・・そしたらキスぐらいならしてもいいことよ・・・だってキスもしないで死ぬなんて・・・ちょっとアレでしょ」
「よし・・・一緒に行こう」
瞳と譲二は海に向かって歩き出す。
しかし、譲二は負傷していて、瞳は体調が悪化・・・ついに海にたどり着く前に力尽きてしまう。
「さあ・・・そろそろ・・・最後の願いをしてもらおうかな」
「どんな願いでもいいのか・・・」
「そうさ・・・歩けるようにしてやろうか・・・」
「・・・」
「それとも彼女の病気を治そうか・・・」
死神くんが口を挟む・・・。
「魂を獲られたら君は死ぬ・・・そうしたら・・・君は彼女との約束を守れないのです」
「約束・・・」
「彼女のお墓に花を供えてあげるのでしょう・・・」
「でも・・・彼女は海を見たいって・・・」
「また・・・ベストを尽くさないで・・・後悔しますか」
譲二は歯を食いしばり、立ち上がる。そして・・・瀕死の瞳を背負うのだった。
夜明けの海によろよろとたどり着く二人。
しかし・・・瞳はすでに絶命していた。
譲二は儚くも美しい瞳の額にそっと口づけするのだった
「残念だったな・・・悪魔くん」
「ふふふ・・・人間の魂は人間の数だけあるんだぜ・・・死神くん」
瞳は譲二の気高い姿に満足して昇天するのだった。
あの世とこの世のはざま・・・。
「また・・・死者に死後の世界を見せたりして・・・ルール違反なんだと何度言えば分かるんだ・・・このカスがっ」
「でも・・・彼女はとても満足してくれたし・・・」
「死神が死ぬ人間にいちいち同情してどうするんだ・・・」
「それに悪魔の奴も大変だよな・・・魂食べないと消滅しちゃうって言うし」
「カーっ。天使が悪魔に同情すんなーっ」
「そうてすね・・・他人事ではありませんよ・・・死神にも寿命はありますからね」
「え」
上司は・・・恐ろしいあの世のルールを説明するのだった。
天使の寿命の間にならぶ蝋燭。
「この灯が尽きた時・・・死神は消滅します」
「え」
「ミスをしたり違反したりするとどんどん加速して燃えます」
「ええ」
「これが・・・あなたの蝋燭ですよ」
「・・・・・・短い」
かくて・・・死神くんの存在が限定的でいつか消滅するという・・・恐ろしいローカル・ルールが開示されたのである。
「死神が死ぬなんて・・・」
死神くんは茫然と立ちすくむのだった。
カラスはそんな死神くんをバカを見る目で憐れむ・・・。
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