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2014年6月30日 (月)

大河名物、急にでっかくなっちゃった・・・(松坂桃李)じゃなくて兵法三十六計の二十七・・・仮痴不癲と軍師官兵衛(岡田准一)

仮痴不癲(かちふてん)とは「愚かもののふりをして正気」ということである。

「能ある鷹は爪を隠す」に通じるところがありますが・・・無害なふりをするのではなく・・・バカを装うところがさらに悪質なのですな。

逆に・・・有能すぎて馬鹿にしか見えないという趣もあります。

つまり・・・凡人には天才が理解できないという場合です。

戦国時代の場合・・・ここに「うつけ」というキーワードが加われば織田信長です。

「痴」にしか見えなかったものが・・・結局、「天下統一」という事業を半ばまで成し遂げたということになります。

しかし、信長の場合は「不癲」に問題があった。

「正気」ではなく「狂気」を感じさせてしまったところがあったのでしょう。

狂気は伝染するので危険なのですな。

それはともかくとして「陰謀家」であればあるほど「正直者」として振る舞うのが基本です。

相手を油断させ、欺くのが狙いでございます。

つまり、「猪武者」と相手に思わせるのが得策なのですな。

相手が猪武者と侮って簡単な罠でも仕掛けてくれば・・・その罠をたまたま運よく回避したようにみせて急襲する。

そのために・・・父親をも騙す。

「汝は猪武者か」と父に言われてニヤリ。

戦国若武者の基本の作法と言えるでしょう。

で、『軍師官兵衛・第26回』(NHK総合2014062908PM8~)脚本・前川洋一、演出・本木一博を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は三十六行・・・三十六計とシンクロでございます。久々の好感触ですな。戦国史上、最大の事件の序盤ですので・・・まあ、表現しやすかった・・・ということになるのかもしれません。今回の流れはでは・・・朝廷陰謀説をベースに・・・信長に仕えることに疲労困憊した明智光秀という定番で来る感じでしょうか。キッドは基本は下剋上の延長線上・・・明智光秀といえどもワンチャンスに賭けずにはいられないというのが・・・実相だと思いますけれど。坊主なんて光秀もかなり殺戮してますからなあ。しかし、今回の光秀(春風亭小朝)は枯れ具合がよろしいですな。鶴太郎も小朝も趣は違えど芸が達者で安心ですなあ。お笑い勢の躍動をとてもうれしく感じます。今回はそんな光秀快川紹喜の弟子と師匠のコンビ描き下ろしイラスト大公開で超お得でございまする。半年待てば一回くらいはよいのですか・・・。あ~届かぬ愛を~・・・。受けました。この調子で盛り上がってもらいたい今日この頃です。

Kan026運命の天正十年(1582年)である。今回の大河は俗説大好きであるので濃姫が信長の元にいつまでもいたりするのと同様、快川が「安禅必ずしも山水を用いず、心頭滅却すれば火も亦た涼し」と唱えながら往生するのだった。ちなみに・・・快川紹喜が匿ったとされる六角義治は慶長17年(1612年)まで生き、晩年はありがちな秀吉のお伽衆の一人である。一種の名将コレクションなんだな。ちなみに武田勝頼の死亡日である四月三日と快川の死亡日は同日である。快川は早い話が武田家の雇われ坊主であるから・・・武田氏壊滅とともに滅んだと考えるのが順当だろう。諸々のことは後世の脚色と考えた方がすっきりする。まあ、別にすっきりしなくてもよいのだが。織田四天王といえば柴田勝家、丹羽長秀、明智光秀、滝川一益である。これに羽柴秀吉が準ずるし、同盟者とは言え、筆頭が徳川家康という考え方もある。徳川家康・滝川一益が武田家殲滅という大手柄を立てた以上、上杉家殲滅、毛利家殲滅の使命を帯びた柴田勝家と羽柴秀吉はものすごくあせってしまうのだった。だもんで秀吉は播磨国姫路城を三月に二万の軍勢で出陣、備前国岡山城の宇喜多勢一万と合流して四月十五日に備中国高松城を囲むのであった。しかし、周囲を湿地帯に囲まれた高松城はなかなかに難攻不落の要塞なのである。すでに鉄砲による銃撃戦が主流となった合戦では遮蔽物がなく進軍速度の遅延する地形は死地となっていた。

すでに秀吉軍団というべき戦術単位が生まれている。

竹中半兵衛が織田家の直臣だったように黒田官兵衛も織田家の直臣である。つまり、秀吉と官兵衛は主従関係にはない。しかし、柴田軍団の目付けとしてつけられた前田利家が戦時においては柴田勝家の指揮下に入るように・・・指揮命令系統における上下関係は自然醸成される。秀吉の最初の組下武将とも言える蜂須賀小六、一門衆である羽柴秀長、秀吉の子飼いの若い衆である石田佐吉、福島市松、加藤虎之助、これらに加えて黒田官兵衛は播磨衆の代表として軍議の席に着く。

軍議の場は基本的に自由討論である。

秀吉自身が優秀なアイディアマンであるが・・・最終的な決断を下す前に・・・諸人の意見を聞くのは戦をそれぞれが命がけで行う以上、当然の成り行きであった。

高松城の支城をいくつか攻略した後で、一度、高松城を強襲し、失敗した後のことである。

「なかなかに手強いのだがや・・・ここは遠巻きにするしかないかの」

「大軍を持って攻めるには攻め口が狭すぎる」と秀長。

すでに山陰における攻略戦で戦慣れした秀吉の弟はなかなかの戦巧者となっている。

「やはり、付城を四方に築くのが一番だろうず」と蜂須賀小六が常套手段を口にする。墨俣築城以来、土木戦は秀吉軍団の特色の一つである。敵前で土木作業を行うのは危険が伴うがそれを成し遂げて来た自負が見える。

新参者ではあるが・・・秀吉の知恵袋であった半兵衛にお墨付きをもらった官兵衛に秀吉は水を向ける。

「官兵衛・・・何かあるか」

「春秋の時代、晋の智伯は地の利を得て・・・晋陽の城を水攻めいたしました」

「水攻めとな・・・」

「いかがする」

「堰を作るのか」

「さよう・・・まずは高松城を堤防で囲み、しかるのちに水の流れを変じまする」

「それは奇想天外じゃな」

秀吉の顔に血が昇る。本来が珍しいものが好きな男なのである。

官兵衛は図面を広げた。

「ここを閉じて・・・ここを開きまする」

秀吉は小六を見る。黒鍬(工兵)のしのびとして小六には実績がある。

「これは面白き仕掛けじゃ」

秀吉は小六が実現可能と見てとったことを知る。

「されば・・・それがよい」

軍議は整った。

普請奉行は小六が行い、官兵衛がそれぞれの侍大将に役割を振り分ける。

工作部隊と護衛部隊の編成である。

すでに官兵衛は・・・秀吉の忍びの一部を預かっている。

作業にはある程度の隠密性が要求されるために・・・忍びによる結界が必要不可欠であった。

黒田忍び、神明衆に加えて、秀吉の使う甲賀者たちも結界に参加する。

「飛騨のものたちは・・・」と官兵衛は秀吉に問う。

「あの者らは・・・上方に忍ばせている。上様(信長)が安土を御留守にしておいでじゃからの」

信長の支配により・・・京はかってのにぎわいを取り戻している。

幕府を滅亡させてから後・・・信長は権威を必要とする時のために御所を手厚く保護してきた。

しかし・・・千年の都の住人たちは三度の飯より陰謀が好きなのである。

そこには常に邪悪な欲望が芽生えているのだった。

赤影は今さらながらに京の都に忍ぶ藤原の忍びたちの底知れなさを感じていた。

時折、腕利きの配下のものが行方知れずになることも多い。

そうなれば・・・そこになんらかのあやしのものがあるはずであるが・・・その正体が杳としてつかめないのだった。

その探索を命じられていた黒影の様子もどことなくおかしかった。

「黒影・・・何かつかめたか」

「わからぬ・・・忍びの気配があって・・・忍びがおらぬ・・・赤影よ・・・俺はなんだかおそろしゅうなってきたわ」

二人の影の忍びは京の深い闇に飲み込まれつつあった。

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天地人の天正十年

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2014年6月29日 (日)

心が死んだ気持ち~セーラーゾンビ(渡辺麻友)

カレンダーを無視した編成はあまり好みではない。

NHK総合のドラマは最近、特に顕著で唯我独尊的な始り方と終わり方をしている。

しかし、それはあくまで好みの問題で・・・五話で終わりたいドラマを1クールやる必要はないわけである。

11話やりたいのなら七月になってもやればいい。

しかし・・・もう夏なのにまだ春ドラマやってんのかよ・・・という気分はあるわけである。

つまり・・・クリスマスの季節にクリスマスの話をやることのプラス・アルファと逆のことが発生するわけである。

まあ・・・春にコメディーとは言え・・・ホラーをやってることがすでに気分ではないわけである。

心が死んだ気持ちを想像するのは難しい。

なにしろ・・・死んだ人に気持ちは普通ないのである。

だが・・・まあ・・・死体の心理描写というのは文学的なアプローチとしてはあって然るべきものである。

やるなら、本格的にやってほしい。

で、『セーラーゾンビ・第1回~第10回』(テレビ東京201404190052~)脚本・渡部亮平(他)、総合演出・犬童一心を見た。ゾンビの気持ちというのも想像するのが難しい。ゾンビというものが一体どんな存在なのかも理解することも難しい。ゾンビ(死霊)という意味なら心はかなりありそうな気がする。死してなお霊のある状態で・・・霊は幽霊などのように妄執や怨念とは言え一つの心理的な状態を感じさせるからである。一方、ゾンビ=リビングデッド(生ける屍)の場合、死体がなんらかの事情で活動しているニュアンスが強く、それは機械的な無心を窺わせる。しかし、機械にも心かあるという発想なら生ける屍にも心はあるわけである。もちろん・・・恐怖はなんだかわけがわからないところから生じるので・・・そういうゾンビ設定に厳密さを求めるのはチープな展開に似合わないという考え方もある。しかし・・・なんとなくわかるけどやっぱりなんだかわからないというレベルは最低限必要なのだと感じるのだなあ。

とにかく、「バイオハザード」というエポックメイキングな作品によってゾンビが一種の病状という認識が浸透すると・・・ゾンビの心は・・・植物状態や認知症的な知能の範疇に入ってくるわけである。「バイオハザード」のヒロインはゾンビ病を克服したスーパーゾンビであり、人間以上に理性的だったりするわけである。

また、土葬された墓場の腐乱死体が歩きだすというイメージには故・マイケル・ジャクソンの「スリラー」のミュージック・クリップの大ヒットによってかなり一般的なものとなっている。

そうした「他作品」によりかかって・・・亜流のゾンビものは増殖していく。この作品もまさにそうしたものの一つとして・・・まことにふざけているわけである。

とりあえずゾンビのあふれた終末世界は・・・未来に対する漠然とした不安を抱く女子高校生・舞子(大和田南那)の心の象徴として・・・展開していくのだった。

作品世界に登場するミルクプラネットは世界崩壊以前の舞子が憧れていたアイドル・グループでメンバーのマユ(渡辺麻友)は危機に直面した舞子の心の支えとして舞子の内面世界に存在する。

ほとんどの人間が知性を感じさせず、人肉を食すモンスターとしてのゾンビになっている世界で・・・おそらくミルクプラネットのメンバーたちもゾンビと化しているわけである。

アイドルになりたかった舞子にとって・・・現在の世界はまさに夢も希望もない世界なのだが・・・それでも自暴自棄になれないのは心の中でアイドルたちが「あきらめないで」と応援してくれるから・・・という設定である。

まあ・・・そういう仕組みがなんだか・・・心に馴染まない人がノコギリを振りまわしたりする現実世界もなかなかに物騒である。

事件の直後にドラマの中で百花(川栄李奈)がゾンビに襲撃されて姿を消してしまうのがシンクロ率が高いというか物凄くタイムリーなのだった。

それはそれとして「進撃のゾンビ巨人」(向井地美音)とか、ファミリーゾンビとか、初恋の人ゾンビ(中山龍也)とか馬鹿馬鹿しいものからしんみりするものまでバリエーションにも富んでいる。

世界を彷徨っていた舞子は奇跡的に生存率の高い藤美女子高校の生徒・睦美(高橋朱里)に救助されひとときの安らぎを得る。

しかし、そこもゾンビ化した家族のために生徒を餌として与え続ける教頭(相島一之)や、何故か、生徒を裏切り、一人だけで脱出する音楽教師・小雪(石橋けい)という悪い大人たちによって安寧の地ではなくなってしまうのだった。

キャンピングカーで旅する自衛隊員のアイカ(吉田亜子)と看護師のミドリ(秋月三佳)に救助された舞子と睦美・・・。

しかし・・・ゾンビの群れに追われ・・・その心は絶望へと傾いていくのである。

アイドルたちが続々とゾンビとなり、あるいはゾンビの餌食となっていく荒涼たる世界。

殺伐とした描写と・・・時々コミカルな演出が・・・物凄くかみ合っていない感じもするが・・・ゾンビ・マニアとしては結末を見届けるしかないわけである。

ま・・・ちょっぴり、舞子を応援したい気持ちになってきたので・・・ビジネスとしてはこれはこれでいいのだろうと考えます。

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2014年6月28日 (土)

博士と助手と真夏の方程式(福山雅治)

本格的な谷間に突入である。

(春と夏の谷間の妄想劇場)

「これは・・・」

「ガラダマです」

「いかん・・・アルミホイルを・・・」

「はっ・・・」

「ガラダマを急いで包みたまえ・・・」

「どうなるんです」

「電子頭脳の電波を遮断して宇宙人のロボットを停止させるんだ」

「ヨダレですね」

「ヨダレだ」

「おやすみ、ガラモン」

平成時代に通用しない話だろう・・・。

で、『真夏の方程式(2013年公作品)』(フジテレビ20140621PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、監督・西谷弘を見た。真夏の方程式は・・・どこへ行ったという人は多いと思う。まあ、200メートル先にペットボトルロケットを着弾させるという弾道の方程式なんだと思うしかないわけである。まあ・・・ミステリとしては・・・痴情のもつれ+金銭トラブル=殺人事件発生というおなじみの方程式が基本中の基本となっています。まあ・・・そういう意味では由緒正しい二時間サスペンスでございます。

第一の事件

15、6年前のある日・・・東京西部でホステスの三宅伸子(西田尚美)が殺害される。

犯人は玻璃ヶ浦(フィクション)出身の実業家・仙波英俊(白竜)とされた。

金銭トラブルが原因だったという。

それから歳月が流れた。

第二の事件

海洋資源開発の調査に参加するために・・・ガリレオこと湯川学(福山雅治)が玻璃ヶ浦にやってくる。

旅の途中、携帯電話を巡るトラブルで知り合った一人旅の小学生・柄崎恭平(山﨑光)はガリレオが宿泊する旅館「緑岩荘」の経営者・川畑重治(前田吟)の甥っ子だった。

女将で重治の妻・節子(風吹ジュン)には一人娘の成実(杏)がいる。

成実は自然保護団体のメンバーで海洋資源開発には断固反対している自称・海の番人である。

美しい玻璃ヶ浦の海で「資源開発と環境保全はどちらも必要なこと・・・事実を把握して何を選択するかが重要だ」と語り、ガリレオは成実に反発されるのだった。

一方、恭平に「博士」と呼ばれて良い気持ちになったガリレオはひと夏の擬似父親気分を味わう態勢を整えるのだった。

そこへ・・・退官した元警視庁捜査一課刑事の塚原(塩見三省)が現れる。塚原は三宅伸子殺しの犯人として仙波を逮捕した男だった。

塚原は・・・事件に疑念を抱いており・・・招かれざる客となったのだった。

そして・・・翌朝・・・海岸で死体となって発見されるのである。

玻璃とは水晶の古称である。

玻璃はガラスの古称としても知られる。

ガラスは一般的にはケイ酸化合物であり、水晶は二酸化ケイ素の結晶である。

二酸化ケイ素はガラスの主成分なのである。

「水晶のようにキラキラした海」とは「ガラスのような透明度」を意味しているのであった。

「水晶の海が見たい」という恭平。

「見ればいいじゃないか」と応じるガリレオ。

「浜辺から二百メートルも離れているんだ」

「泳げばいい」

「そんなに泳げないよ」

「舟で行けばいい」

「船酔いするんだ」

「・・・解決できない問題に頭を悩ませるのはいいことだ」

「どうして」

「解決した時にすっきりする」

「ああ・・・」

ガリレオはペットボトルロケットに携帯電話を封入し、海洋探査を試みる実験に着手するのだった。

転落死と思われた塚原刑事の死因は一酸化炭素による中毒死であることが判明する。

塚原刑事は・・・警視庁捜査一課管理官の多々良警視(永島敏行)の先輩だった。

多々良警視は後輩の草薙警部補(北村一輝)に捜査を命じ、草薙は後輩の岸谷美砂刑事(吉高由里子)を玻璃ヶ浦に派遣する。

せっかくの夏休み気分を邪魔されて・・・ガリレオは少し不愉快になるのだった。

やがて・・・事件はありふれた「秘密」へとガリレオを導いて行く。

透明に見える海も・・・深層になれば光が届かない暗闇に包まれるのが普通なのである。

出生の秘密

塚原刑事の妻・早苗(根岸季衣)から三宅伸子殺人事件への執着が塚原刑事にあったことを知った美砂は・・・被害者・三宅伸子と加害者・仙波英俊の接点を探る。

そして・・・二人が三十年前に・・・鵜飼継男(綾田俊樹)の経営する小料理屋の常連客だったことを知る。

客の中には・・・川畑重治もおり・・・節子は店の従業員だった。

「ここだけの話・・・節ちゃんは・・・仙波に惚れてたね・・・だけど・・・仙波は妻帯者だった」

「不倫じゃないですか」

「でも・・・結局、川畑さんと結婚してよかったんじゃないか」

「そして・・・成美さんが生まれたという・・・」

「まあ・・・よくある話ですな」

「それを言ったらダメですよ・・・ごきげんよう・・・さようなら」

節子は・・・美しい女だった。

そして・・・子供を身ごもり・・・父親として川畑を選んだ。

川畑は・・・どんどん仙波に似ていく娘を・・・それでも愛し続けた。

仙波は・・・実は自分の娘と知りつつ・・・沈黙を守った。

幼い頃の成実(豊嶋花)は薄々、それに気がついていた。

そして、成実が中学生の時・・・金に困った三宅伸子が・・・秘密にすり寄ってきたのである。

中学生の成実(青木珠菜)は家族の秘密を守るために・・・三宅伸子を刺殺したのである。

天晴れなのだが・・・世の中はそれでは通らない。

実の娘を庇って仙波が罪をかぶったのである。

琥珀を掘ってればいいのに・・・塚原刑事は水晶の海に来て・・・真相を探り当てた。

そして・・・妻と娘が隠している秘密を実は見抜いていた重治によって・・・殺害されてしまうのだった。

重治は・・・事故にみせかけるために・・・甥の恭平に煙突をダンボールでふさがせる工作まで行っていたのだった。

実の父にも・・・育ての父にも愛された成実は罪の重みに耐えかねて海の底を目指す。

しかし・・・出所後に末期がんとなり療養中の仙波の存在を知り・・・別の男の娘と知りつつ実の父親以上に愛してくれた重治の恩情を知って・・・生きる覚悟を決めるのだった。

「君の従兄弟の恭平君は・・・知らずに殺人の手伝いをさせられていた・・・そのことにいつか気付き・・・真相を知りたいと思うだろう・・・その時は・・・すべてを告白してもらいたい」

ガリレオは・・・秘密の暴露を望みはしなかった。

真実が分かればそれでいいタイプだからである。

美砂は・・・事実を公表してもいろいろと面倒くさい感じなので激しく同意するのだった。

どんな父親も娘の前ではいい顔したいのである。

そうであって欲しいと誰もが思うのだった。

しかし・・・日本では親が子供を放置するケースは三年間で五百件ほどあるという統計もあります。

そして・・・恭平の実の父親・敬一(田中哲司)が迎えにやってくる。

擬似父子関係の終了にガリレオは幽かな郷愁を感じるのだった。

もう雨がやんで雲がすっかりなくなり

海の水もまるで硝子(玻璃)のように静まって

そらがはっきり見えます。

(双子の星/宮沢賢治)

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2014年6月27日 (金)

まるで誰かの夢みたいでファンキーな時計(小泉今日子)

夢の中の時間感覚は時に乱れている。

幼い頃、学生時代、大人になった日々、人生の黄昏がぐだぐだである。

時々、そのふわふわした感覚が覚醒時に起きれば・・・それは危ういわけである。

ドラマは基本的にそういう曖昧な時間を含有している。

終わりのないような物語、いつもと変わらぬ日常に・・・このドラマはリアルな時間をかいまみせる。

人間が成長し、年老いていくこと。

おかしいけれど・・・おそろしい・・・そういうテイストがにじみでる。

春ドラマのレギュラー・レビューのフィナーレを飾るに相応しい重厚なドラマなんだなあ。

ヒロインと相方の丁々発止のやりとりが面白いのは「おもしろうてやがてかなしきうぶねかな」(芭蕉・1688)なのである。

変わらないものなんてないんだからさ。

前シリーズから何も変わっていないように見えて・・・着々と流れていく時間。

その時の流れこそが愛おしいのである。

で、『続・最後から二番目の恋・最終回(全11話)』(フジテレビ20140619PM10~)脚本・岡田惠和、演出・宮本理江子を見た。いつものように千明(小泉今日子)が冒頭で示すカフェ「ナガクラ」の看板の文字が・・・白ペンキから桜貝デコレーションに変わっている。つまり、同じようで昨日とは違う今日が「存在」しているわけである。それは検査をしている昨日と検査結果を聞く今日が違うようにリアルなのである。一喜一憂は・・・すべて時間の魔法の成せる術なのである。第二シリーズの最後を飾るべく・・・千明の東京の時間と・・・プライベートな鎌倉の時間はあわただしく融合するのだった。

前シリーズで・・・千明が和平(中井貴一)を評価したのは・・・「つまらないけれどまともで大切なことを言う」からであった。今回は・・・ほぼその一点を千明がずっと思い続けていることを語る展開である。千明の見果てぬ恋の旅路は続くが・・・実際にはもうゴール地点を通りすぎているという話なのだった。

自宅をドラマのロケ場所として提供したために長倉家に間借りすることになった千明なのだった。

家族のような付き合いをしている長倉家の一員になっちゃった感じは否めない。

そして・・・当然のように早起きの和平と千明は朝から遭遇してイチャイチャするのだった。

「誰かと思いましたよ」

「いいましたね・・・すっぴんだと誰だかわからないって・・・私は研ナオコかよっ」

「研ナオコは確かにね」

和平は・・・千明と一緒に暮らせる喜びを隠しきれず「おめでとう」のくす玉まで用意しているのだった。

そして・・・千明は長倉家の浴室で・・・和平のシャンプーボトルを発見する。

ちなみに・・・現在の長倉家の住人は・・・。

和平

和平の娘・えりな(白本彩奈)

和平の妹・万里子(内田有紀)

そして、千明の四人である。

和平と三人の女なのである。ある意味、ものすごくエロティックな状況なのだった。

それは変態だけが感じることだぞ。

紆余曲折あって一緒に暮らし始めた二人・・・しみじみするところだが・・・もちろんそんなことはない。

ドラマのクランクインの朝であり・・・一種のスタッフルームと化した長倉家は活気にあふれるのだった。

ランチタイムなどのサービスを引き受けた真平(坂口憲二)は仕込みに忙しく、意外と料理の得意な千明は目玉焼きを焦がす。ゴリ押しで宅配ピザの配達員役をゲットした典子(飯島直子)ははりきって朝から衣装で登場である。

その中で・・・万里子は・・・「兄とシャンプーの話」を披露するのだった。

和平が愛用するシャンプー・・・その詰め替え時に・・・和平がいかに熱狂したかというエピソードである。

ゴールを決めたサッカー選手のようなガッツポーズ。

真夏の夜の長倉家浴室の全裸の和平の秘話に・・・千明は性的な意味でうっとりとするのだった。

そして・・・長倉家の長い一日が始るのだった。

フィナーレのために・・・オールスターが集合する。

ついにセフレの意味がそのままらしい薫子(長谷川京子)は千明と和平があまりにもイチャイチャするので「もう結婚しちゃえばいいのに」と忌憚のないセリフを述べる。

薫子と和平が結婚しないらしいことを確認したえりなは薫子の息子の蒼太(中島凱斗)と手をつないでデートに出かける。

和平は思わず涙目である。

才能のなかった高山涼太(加瀬亮)は消息不明だが電車を止めて通勤の足を乱していないことを祈るばかりだ。

アホ部長が無理難題を言い出してチビキノコこと武田プロデューサー(坂本真)が悪態をつく。

そこで和平が・・・「まともでつまらないこと」を言い出すのである。

「私・・・市役所でしがない課長をしているものですが・・・人生はいたるところが現場なんだと最近、実感しております。上も現場、下も現場なのでございます。それぞれの現場の数だけいろいろと大変なのではないでしょうか」

お茶の間を代表する人の意見に真摯に耳を傾けるドラマの現場の人々だった。

居合わせた伊佐山市長(柴田理恵)は「この人に片思いしてよかった」と和平にほれなおす。

千明に片思いの万里子は激しく同意する。

「この人を幸せにできないが・・・傍にいられるだけで幸せ」

しかし・・・千明は・・・「愛されることは元気の源です」とあこぎなアイドルのようなことを言い出すのだった。

鎌倉市役所観光推進課の田所(松尾諭)はJMTテレビの飯田(広山詞葉)に一目惚れして亜光速で失恋。

脚本の急遽、手直しのために狩りだされた脚本家の栗山はるか(益若つばさ)は天使に色目を使うが、新妻の知美(佐津川愛美)のガードは固い。

一条さん(織本順吉)は女優の着替えを覗く。

音楽業界の水野(渡辺真起子)と出版業界の荒木(森口博子)は新たなる恋を報告し、千明の尻を叩く。

万里子の原稿を持って典子の息子・翔(田中碧海)が郵便局に走る。

知美の母親・秀子(美保純)はハワイアン教室から帰還。

そして・・・広行(浅野和之)は怪しい荒野から戻ってくる。

てんやわんやである。

やがて・・・撮影初日は終了し・・・家族の揃った長倉家は賑やかな夕餉の時を迎える。

「この家を作った両親は・・・こんな風に人が集まってワイワイ騒ぐのを理想としていたんだ・・・そして・・・人々が去った後・・・くたびれてソファで二人が眠りこんでしまったのを見たことがある・・・子供心に・・・二人は幸せなんだと思ったよ」

家族全員の前で千明を口説く和平。

羞恥プレーである。

やがて・・・二人きりの夜がやってくる。

五十目前の女と五十を過ぎた男の・・・愛の営みは限りなく照れくさいのだった。

「あなたがきて・・・止まっていた時が動き出した気がする・・・あなたはとてもファンキーな時計です」

「・・・ここはぎゅっと抱きしめるところでしょうが」

「今、そうしようと思っていたのに」

「私、プロポーズってされたことないんだ」

「じゃ・・・今、してやる」

「またまたあ」

「俺以外の女と結婚したら許さん」

「・・・ずっと一緒にいてくれるの」

「ずっと一緒にいてほしい」

飲んだくれる二人だった。

もちろん・・・こういう時の千明は記憶がなくなっているのである。

プロポーズは素面の時にしないと無効なのだった。

しかし・・・二人は・・・ソファで寄り添って夢を見る。

おそらく・・・ふわふわした・・・幸せな夢を・・・。

そして・・・長倉家の歴史は続いて行くのである。

今度・・・会う時、二人は何歳になっているのだろう・・・。

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2014年6月26日 (木)

だるまさんがころんだよ・・・ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜(橋本愛)

待ちに待ったBSからのお下がり放送である。

最初のオンエアは2013年10月なので・・・大晦日の最終回まで・・・あまロスを埋めた作品の一つである。

ユイちゃんこと橋本愛の演ずるヒロインは・・・少し、アキちゃん(能年玲奈)が入っているという評判である。

もちろん・・・妄想では・・・橋本愛はアイドルグループ潮騒のメモリーズの北鉄のユイちゃんの仮の姿なのである。

さて・・・ももクロJAPANを見ていた頃から予感していたのだが・・・男子サッカーワールドカップも早々と店じまいである。

何度も言うが・・・憲法九条を改正し、いざとなったら戦って勝っても良い国にならない限り・・・勝つことが当然の世界では通用しないと考える。

なでしこはある意味、憲法なんか知らないから勝てるのだと思う。

・・・おいっ。

それから、うっかりと近所に自転車で出かけどしゃぶりにあってずぶぬれになる。

近所の河童の医者のところで雨宿りをしていると・・・「脳に腫瘍が出来た疑いのある患者に告知するべきかどうか悩んでいる・・・」と相談される。

そんなことを素人に聞いてどうするのだ。

キッドだからといってなんでもかんでもアドバイスできるとは限らないのである。

昨日なんて更新時刻を間違えたしなあ・・・認知症の子は認知症の運命だしなあ。

まあ・・・とにかく・・・もうすぐ夏なんです。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第1回』(NHK総合20140624PM10~)脚本・蒔田光治、演出・河合勇人を見た。BSのコンテンツ作りには様々な人材が流れてくるわけだが・・・ちょっとおかしなヒロインとややまともなパートナーの繰り広げるミステリはついにここにも来たけである。「ケイゾク」で「トリック」で「パズル」でここだ。由緒正しい感じで清々しいぞ。

しかし・・・中谷美紀で、仲間由紀恵で、石原さとみなのである。

錚々たる顔ぶれだ・・・。つまり・・・橋本愛もまた・・・そういう潜在力を秘めていることは間違いないのである。いや・・・もう潜在力とは言えないか・・・大活躍だもんな。

今、映画「渇き。」で、来年にかけて映画「寄生獣」だし・・・。夏ドラマは「若者たち2014」があるわけである。物凄いメンバーに混じってるなあ。

変則なので・・・火曜日の定位置レビューになるかどうかは・・・わからないが・・・とにかく・・・橋本愛のかわいさを見るために三回くらいリピートします。

東都大学(フィクション)数学科の学生・難波くるみ(橋本愛)は頭脳明晰ながらちょっとおバカというエキセントリックなキャラクターである。教授が海外出張で不在のために・・・研究室を何故か独占しているのだった。

実は・・・くるみが数学を学んでいるのは・・・復讐のためらしい・・・が、それは先の話。

そんなくるみを訪ねてくるのが・・・文学部の学生・奈津子(岡野真也)である。

学生同士の賭けポーカーで多額の負債を背負い・・・初対面のくるみに泣きついてきたのだが・・・普通はこういう場合は他のメンバーとグルである。

ポーカーをやったことがないくるみは・・・当然、「負けたことがない」ので頼みを引き受ける。

そして・・・まんまと300万円の借金を作ってしまうのだった。

つまり・・・アホの子です。

その頃・・・連続爆破事件が発生。

入所中の受刑者、湯沢道明(嶋田久作)は何故か、爆破の日時と場所を予言するのだった。

テロリストであると同時に数学者だった湯沢がなんらかの暗号を外部から受け取っていると判断され・・・湯沢の所持品の分析が東都大学に依頼される。

くるみの師事する教授は暗号の専門家だったのである。

ろくでもない系の上司・警視庁捜査第一課管理官のバカタレ小林(勝村政信)に命じられ・・・研究室を訪ねる警視庁初音署(フィクション)の新人刑事・伴田竜彦(高良健吾)はくるみと出会い・・・ついにおなじみの凸凹コンビが誕生する。

なぜか・・・カード賭博のイカサマ術に詳しい伴田のアドバイスにより、不良学生から三千万円を巻き上げたくるみは・・・爆弾予告の暗号の謎も簡単に解いてしまう。

イカサマの手口を知って「キタナイ」と叫び、伴田刑事とのデートを妄想してお鮨を奢ってもらえる確率を計算する・・・かわいいよ、くるみ、かわいいよなのである。

連続爆破事件というよりは・・・橋本愛のかわいさ爆発事件なんだな。

しかし・・・暗号解読は・・・爆弾魔・湯沢の仕掛けた脱獄の罠だったのだ。

直感で気がついたくるみだったが・・・巧妙なトリックでまんまと脱獄に成功する湯沢である。

現場にかけつけた伴田刑事とくるみ。

「危ないから・・・君はここにいて」

「はい」

・・・と返事をしながら、速攻で付いてくる。

「だから・・・来るなって言ってるだろう」

「はい」

・・・と返事しながら忍び足で接近である。

「だるまさんがころんだよ」

・・・アホの子なのである。

湯沢の逃走経路の不自然さから・・・逃走に使われた車の持ち主・滝田(森下能幸)が共犯者と見抜くくるみ・・・。

アホの子の可愛さ爆発にうっとりしながら前篇終了である。

読み切りだともっといいよね。

まあ・・・脚本家が二時間体質に冒されているから仕方ないけどね。

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2014年6月25日 (水)

うわっ・・・ドジったぜ(キッド)

サクサクっと谷間のレビューをして・・・日付変更前に更新してしまったのだった。

そのために前日の記事が二本立てになってしまったのだ。

削除して・・・更新してもいいわけだが・・・なんとTBもサクサクっと送ってしまったのだった。

そのために・・・この記事は単なるリンク記事と化したのだった。

これもまた・・・老化の現れなのでしょうか。

まあ・・・いろいろなことに使えるスペースとして確保しておくことにします。

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2014年6月24日 (火)

ソファで仮眠をとるのは三本掛け持ちだったからです・・・リバースエッジ大川端探偵社(オダギリジョー)

予告通りだったな。

やるべきことはやります。

現役の時に欲しかった姿勢だな。

火曜と木曜の間の谷間も・・・春と夏の間の谷間に移る季節だなあ・・・。

日本三大探偵事務所の受付といえば・・・。

綾部情報社の浅川京子(ホーン・ユキ)「傷だらけの天使」

工藤探偵事務所の同居人・かほり(竹田かほり)「探偵物語」

麻生探偵事務所の秘書・YUKO(多岐川裕美)「俺たちは天使だ!」である。

異論は随時募集中です。

まあ・・・「エイトマン」のサチコは別格として・・・久しぶりに・・・探偵事務所の怪しい受付嬢登場である。

大川端探偵社のメグミ(小泉麻耶)・・・よかったと思います。

こういうのって・・・女は所詮、お茶くみ時代の名残だよな。

古き良き時代だよな。男尊女卑を美化するのか。

でも、人が意見を言ってる時にやじる奴は死ねばいいと思うよ。

客じゃないんだもんな。会議の席なんだもんな。

殺される覚悟があって野次るならいいのか。

うん。

で、『リバースエッジ 大川端探偵社・第10回』(テレビ東京201406220012~)原作・ひじかた憂峰、脚本・大根仁、黒住光(他)、演出・神徳幸治を見た。オーソドクックスな下町探偵物語である。基本は人捜しであって・・・昔のアイドル桃ノ木 マリン(小池里奈)に会いたい・・・捜してみたら男(宇野祥平)だった・・・とか、雪女(國武綾)に会いたい・・・捜してみたら女優(秋山菜津子)だったとか、スケ番(吉倉あおい)に会いたい・・・捜してみたらおばさん(池津祥子)だった・・・みたいなことばかりやっているのだ。いや、違うエピソードもあるだろう。まあ・・・初恋の人を捜せは古き良き企画だからいいよね。

で・・・今回は・・・乳母(秋山実希)を捜す話である。

大川端探偵社の所長・・・探偵社だから社長なんだろう・・・大川端一平(石橋蓮司)は「男は乳から下へと成長するにつれて興味対象が変わる」と乳自慢のメグミ(小泉麻耶)に意見したりするわけだが・・・優秀な村木タケシ調査員(オダギリジョー)は速攻で乳母の死亡を確認する。

乳兄妹の乳母の娘(秋山実希)がやってきて郷愁にひたるという趣向である。

昔は・・・地下鉄車内で授乳する母親・・・という微笑ましい情景があった。

そういう時には一部変態を除いては欲情はなく敬虔な気持ちが生まれたものだ。

今は・・・まあ、哺乳瓶が発達してるしな。

とにかく・・・話がショートだったので・・・おまけ付きである。

とある暴力団会長(堀田眞三)傘下の赤木組長(佐藤正宏)と青田組長(深見亮介)が決闘することになり、喧嘩の仲介役となった黒川組長(中野英雄)が第三者として探偵に審判を依頼する。

代討ちの鎖鎌男(リー村山)が大討ちのバズーカ男に隠し武器のブーメランで攻め、狙いを誤ったバズーカで村木が死にそうになるというドタバタである。

まあ・・・週末の深夜・・・眠る前に見る番組としては最高なのだが・・・その後で「セーラーゾンビ」や「GARO」も見るわけである。

テレビ東京・・・いい加減にしてくれよ。

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妖艶なことはええことなんよ・・・ええことはすすんでやってみるもんよ(オダギリジョー)

オダギリジョーって書けたな。

明日も書く予定です。

なんか、なつかしいタイトルだな。

広島風金暮市(フィクション)に敬意を払いました。

まこお嬢様がレビューしてくだされば仁義なき戦いごっこができましたものを・・・。

夏ドラマは久しぶりにアンナお嬢様ダーリンドラマがあるからな・・・。じいやも老骨に鞭打つんだな。

エリお嬢様は最終回総括でございまする。

ハブ・ア・ナイス・デイ!

で、『極悪がんぼ・最終回(全11話)』(フジテレビ20140623PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・池上純哉、演出・河毛俊作を見た。脚本や演出によって極端にテイストが替わり、ネタがかぶったりして見にくかったのが視聴率的敗因だよな。さんまのまんまでヒロイン自身が語っていたように遅咲きの主人公だから・・・まだまだ華がないんだよな。家政婦が見た・・・的なことをやる頃には浸透するんじゃないか。遠いなっ。渋い中年の相手をさせるより・・・男なんて関係ない的な役がいいんじゃないかねえ。男なんてどうでもいいと思っていたけれど今夜死んでもいいから綺麗になりたい的な方向で落す手もあるよな。まだまだ先が楽しみだよねえ。悪役もできるしねえ。男まさりのかわいい女もできるしねえ。

東京の公安警察の刑事・白崎(篠井英介)から・・・極道なら極道らしく裏の世界である公安とよろしくやるべきだともちかけられる薫(尾野真千子)・・・。

追いうちをかけるようにせっかく手に入れた年間10憶円のアウトレットモールの利権を一千万円で禿高コーポレーションに譲渡するように迫られる薫である。

「なんでそうなるの」とお父ちゃん・・・いや、組長・・・じゃなかった小清水所長(小林薫)に噛みつく薫。

「水は流れ流れて海に還るのです」と病床の小清水は薫に謎をかける。

裏で・・・小清水が国会議員・銭山貞夫(武田鉄矢)とつながっていることを知っている薫は・・・何か恐ろしいものを感じるのだった。

いよいよ自分がこの世の闇に飲み込まれそうな気分なのである。

小清水と銭山・・・薫から幼い日の幸福を奪って行った二人の男たち。

薫の胸中は複雑だった。

幼い頃に父親と離別した薫にとって絶対的な力を持つ小清水は好むと好まざるとに関わらず父性的な存在となっているのである。

その小清水に忍びよる病魔の影と・・・ある意味で小清水の主人のような銭山の存在・・・薫のよるべない心は揺れる。

追い詰められた薫は油断ならない存在ではあるが・・・どちらかと言えば利害関係の一致する義理の兄弟たちに相談するのだった。

冬月(椎名桔平)は薫から得た情報で総合的な判断が可能になった。

小清水経営コンサルタントこと小清水組の危機である。

冬月は組員に集合をかける。

「えらいことになった・・・」

「どないしたんや」

「組長が公安にマークされてるんじゃ」

「なんでじゃ・・・わしらは組の看板掲げてるわけでもないのに」

「いや・・・これは単なる組織暴力団つぶしではないんじゃ。知っての通り、組長と議員の銭山はコインの裏表・・・組長が汚れ仕事をやり、銭山は美味しい汁を吸う替わりにそれなりの後ろ盾をする仲じゃ・・・。しかし・・・銭山は党の総裁選に出馬する気じゃ」

「そうなれば銭山総理か・・・」

「おそらく、銭山は・・・組長との関係を断つ腹積もりじゃ・・・」

「そがいなことできんやろ・・・つぶされるとなったら・・・組長は爆弾かかえとるじゃろうから・・・心中事件の発生になろうがのう・・・」

「銭山はおそらく公安警察を動かして・・・組長の口を封じる気じゃろう」

「そこまでやるかのう」

「実は・・・組長は今、倒れて入院中なんじゃ」

「なんじゃと・・・」

あわてて・・・病院にかけつける組員たち。

しかし・・・すでに組長は人工呼吸器をつけ・・・物言えぬ危篤状態となっていた。

「おやじ・・・」

組長のために辛酸をなめた金子(三浦友和)も親分の無残な姿に動揺を隠せない。

そして・・・悪徳弁護士(宮藤官九郎)は組長の遺志を薫に伝えるのだった。

「ここに・・・小清水氏の悪事をすべて記した小清水事件簿があります・・・銭山との関係もすべて記されている原爆ですわ・・・小清水氏はこれをあなたに託すそうです」

「ええええええ・・・なんでえええええ」

身の危険を感じた薫はただちに兄弟たちに報告するのだった。

「恐ろしゅうて・・・こんなのいらんわ」

「そう言わずにもろうておきんしゃい」

しかし・・・小清水組員たちの動向はすでに・・・盗聴監視を常とする公安警察(フィクション)によって丸裸にされているのだった。

だが・・・元警察官僚である冬月にはすでにそのことが織り込み済みなのである。

冬月は銭山に一矢報いるために・・・秘策を練っていた。

薫の周辺に腐れ外道(三浦翔平)を見出した公安警察(フィクション)の白崎はさっそく腐れ外道を協力者として仕立て上げる。生まれつきの裏切り者体質である腐れ外道によって薫周辺の情報は完全にだだ漏れ状態である。

一方・・・小清水秘録が・・・薫の元にあると知った銭山は・・・秘書・柘植口(高橋光臣)とともに・・・薫の家を急襲するのだった。

「あんた・・・小清水の女かい」

「バカにせんといて・・・」

「まあ・・・よか・・・男と女のことは・・・暮れなずむ光と影の中ちゅうわけや・・・」

「だから・・・ちがうんじゃ」

「しかし・・・あの小清水の最後の女がこげんもんとは・・・人間わからんもんたいね」

「しぇからしか」

「とにかく・・・小清水からあずかってるもの・・・大人しく出してもらえんね」

「・・・」

「小清水ももうしまいや・・・君がその気なら・・・小清水の跡目をまかせてもよかよ・・・」

「私に・・・」

「君が見ている世界なんちゅうもんは・・・狭い狭い向こう三軒両隣みたいなもんたい・・・私にその身を預けるなら・・・広い広い世界を裏表なく見れるとよ」

「・・・」

「悲しみ堪えて微笑むより・・・涙枯れるまで人を泣かせる人間になれと言うとると。他人の涙の分だけ懐があったかくなるのが本当の人間ぞ。人に信じさせて私腹を肥やしてナンボたい」

「ひでぶ・・・」

総裁候補の議員先生の腹黒さを知った薫は同時に公安警察が何から何まで調べあげていることも知る。

このままでは・・・つぶされると感じた薫は・・・金子とコンタクトして・・・喧嘩の芝居を打つのだった。

公安警察(フィクション)から逃れるために・・・地元の金暮警察に逃げ込んだのだった。

そこには・・・冬月の手下である伊集院刑事(オダギリジョー)が開襟シャツの胸元を必要以上に解禁して待っていたのだった。

そこで・・・薫は・・・伊集院から意外な情報を手にしたのだった。

表面上は・・・アウトレットモールの建設に反対しながら、裏では「禿高コーポレーション」を使い利権を一人占めするという怪物・銭山。

金子は・・・強引な地上げで買収した土地の元地主たちを煽って反対運動を盛り上げる。

冬月は濃厚な一夜を過ごしたスーパーハッカー真矢樫キリコ(仲里依紗)に偽物の「小清水ファイル」を作らせる。

薫は勝負下着を履いて銭山に面会を申し込むのだった。

「なんの御用ですか・・・」

「先生に御相談がありまして・・・」

「私に・・・」

「アウトレットモールの土地買収に絡んで訴訟事件になりそうなんです・・・そうなると外資が手を引く可能性もあります」

「私にどうしろと・・・」

「先生が手に入れた利権・・・全部とは言いません・・・七三でこちらに渡してもらいませんか」

「なんのことだか・・・」

「例のファイル・・・すべて先生にお渡ししますから・・・」

「ほう・・・ようやくその気になりましたか・・・」

「先生に逆らっても無駄だと思いました・・・私ら所詮・・・腐ったみかんじゃけえ」

「悪いようにはせんとよ・・・腐ったみかんだって・・・ジュースにしてしまえばなんぼでも使えます。アホな国民には腐ったオレンジ・ジュースでも御馳走たい。私が総理になった暁にはなんぼでも美味しい汁が吸えるとよ。表だって反対、裏ではぼろ儲け・・・これが世の中ちゅうもんたい・・・」

その模様は夏目大作(竹内力)と真矢樫キリコによって反対集会の会場で地元住民に実況されているのだった。

「なんということでしょう・・・夏目さん」

「いやあ・・・銭山先生がこげな悪党だったとは・・・ルパン三世もびっくりですなあ、キリコさん」

そして・・・正体を現す公安警察(フィクション)の白崎。

「先生・・・小清水氏より・・・先生の方に反社会的な疑いがありますねえ」

「なんばしようとかいな」

「先生・・・総裁候補ともなると・・・身辺は整理する必要がありますが・・・あまりに汚れたお身体ですと・・・問題がございます」

「私を誰だと・・・」

「先生・・・先生より上の先生がいないとでも・・・」

「ひでぶっ」

こうして・・・悪の巨星・銭山は・・・監獄送りになったのだった。

案の定・・・何事もなく・・・退院してくる小清水。

「皆さん・・・よくやってくれましたねえ」

「仮病にもほどがある・・・でしょ」

「とにかく・・・死なばもろともファイルが世に出た以上・・・組は解散です」

「・・・」

「しかし・・・闇資金があるから・・・いくらでもやり直しができますよ」

「・・・」

「さあ・・・名前を変え・・・顔を変えて・・・隣りの金出県(妄想)にでもいって・・・新しい看板作りをしましょうかねえ」

親分が黒と言えば黒の世界である。

薫はエレベーターでヒーロー気質の検事とすれ違うが別件なので問題は生じないのだった。

こうして・・・世界は昼と夜を繰り返すのである。

まあ・・・人畜無害のお茶の間の多くの皆様がこのドラマの深淵を理解するとは・・・全く想像できないわけですが・・・。

関連するキッドのブログ→第10話のレビュー

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2014年6月23日 (月)

兵法三十六計の十二・・・順手牽羊と軍師官兵衛(岡田准一)

「順手牽羊」は羊泥棒の話である。

小さな羊の群れから羊を盗めば目立つが・・・大きな羊の群れから一頭を盗む時はただ、堂々と羊を連れ去っても誰も咎めないかもしれないという大胆な手口の教え。

基本的にテロリズムはこれが常套手段である。

防備を固めた敵軍を攻める必要はない。

無防備な一般市民を標的にすることで・・・敵に痛手を与えることができるわけである。

巨大な敵を相手にする時は・・・こっそりと少数勢力を狙い撃ちにする。

塵も積もれば山となるということで・・・いつしか、敵は崩壊してしまう。

無差別爆撃もこの手の延長線上にある。

一般市民を大量虐殺することを平時の人々は批判するかもしれないが・・・戦争中は勝利こそがすべてという考え方もある。

人の嫌がることをしてはいけない・・・という道徳的発想は・・・勝負の道には無用なのである。

「天下布武」を目の前にして・・・圧倒的な武力を誇る織田軍に対し・・・既得権益を守ろうとするものはあの手、この手で・・・順手牽羊を為す。

朝廷が・・・時代遅れの貴族たちが・・・世界侵略を狙うキリスト教徒たちが・・・土地を奪われた野武士たちが・・・権威を失くした将軍家が・・・信長の陣営をゆっくりと犯していくのだった。

天下無敵の織田信長は・・・理不尽な裏切りという嫌がらせにつぐ嫌がらせで神経を病んでいくのである。

「従軍慰安婦問題」もまた然りだ。

70年近く前に二十歳で慰安された人々ももはや90歳である。

その罪をもってその係累である老若男女一億人を辱める。

順手牽羊として見事な嫌がらせだと言えよう。

羊を引けば手に従う。従順な大衆を操ることは容易いものだ。

で、『軍師官兵衛・第25回』(NHK総合2014062208PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は十八行ですが・・・まあ、基本、戦国ホームドラマ絵巻で・・・戦国時代は東京ディズニーランドみたいなものだったというこのスタッフの頭のおかしさが一同爆笑ポイントという他はないのですな。まあ、それが面白くて楽しいという感覚なんでしょうからねえ。秀吉は好色、信長は黒人に好奇心旺盛、光秀はなんだかんだとしがらみに拘泥される・・・そのあれやこれやを主人公が瞬間移動の技で垣間見るという・・・なんじゃこりゃの世界。しかし・・・お茶の間は・・・松寿丸がイケメンになってご満悦かもしれないので・・・黒田長政イラスト描き下ろし大公開でお得と申し上げる他はございません。1582年(天正十年)に生まれる弟・熊之助が懐妊の運びとなったのできっと今は天正九年なんだと分かる今日この頃なのです。

Kan025天正八年(1580年)夏。佐久間信盛の追放と前後して、信長は老臣中の老臣である林秀貞(通勝)や美濃三人衆の一人・安藤守就を追放している。安藤守就の娘は竹中半兵衛の妻である。竹中一族も戦々恐々なのである。没収された領地は嫡子・織田信忠が吸収し、信忠は尾張・美濃両国で大量の収穫を得ることになる。そう言う意味では信長は子煩悩と言える。安藤守就の罪名は武田家への内通であり、真偽のほどは別として・・・いよいよ武田家滅亡へのカウントダウンが信長の中では始っている。戦う機械である信長は全身全霊をもって「天下布武」の事業に熱中しており、その広大な領土、膨大な配下武将の管理で・・・頭は爆発寸前なのである。そして・・・優秀であるがゆえにその中枢を担う明智光秀は物凄いプレッシャーを感じるのだった。特に領地である近江国と丹波国の中間にある京の都の管理はデリケート極まるものであり・・・幻想の朝廷権力と現実の織田軍事独裁政権の間で光秀もまったゆっくりと壊れていく。明けて天正九年(1581年)・・・信長の戦いは新たなる段階への準備を整える。近畿地方に唯一残る解放区・伊賀を滝川一益が、いよいよ本格化する中国攻めのために因幡国鳥取城を羽柴秀吉が攻略開始するのである。そして北方の柴田勝家、南方の徳川家康は・・・かっての大国・上杉家と武田家を殲滅するための調略にいそしむ。二月、明智光秀は京都内裏東における京都御馬揃えの実行責任者として忙殺されるのだった。病床の宇喜多直家は・・・後事を秀吉に託し・・・天正九年の終わりを見ることなく・・・この世を去った。小大名となった黒田官兵衛は第二子懐妊の喜びを胸に戦場へと向う。

「困った・・・」と官兵衛は顔をしかめた。

国府台城の忍び小屋で神妙尼が微笑む。

「不死身の悲しさでございますね」

「そうだ・・・儂は・・・有岡城で一年に渡り、監禁され・・・不具者になったということになっておる。そのおかげで信長様の同情を引き出すことに成功し、難を逃れたのじゃ」

「しかし・・・完治してしまったわけでございますな」

「うん・・・もう・・・きれいさっぱり治ってしまったわ」

「なにしろ・・・お子を授かるほどでございますからな」

「まあ・・・それは・・・片輪であろうと子作りができぬことはないだろうから・・・いいとして」

「偽るしかございませぬな」

「そうなるか・・・」

「まずは・・・足萎えの演技をなさいませ・・・跛を引くくらいは造作ないこと」

「面倒だのう」

「人前に出る時は忍び化粧を施しまする・・・古来、顔を汚すことは変装の基本でございますよ」

「だのう」

「薬によって爛れなどを引き起こす手もありますが・・・そこまでせずとも・・・よろしいでしょう」

「うむ」

「片目はつぶれたことにして眼帯をなされるがよろしかろう」

「うむ・・・ここまでもうかなり放送倫理に抵触する感じだな」

「妄想ブログならではでございます」

神妙尼はたちまち・・・悲劇の軍師・黒田官兵衛の装いを仕上げた。

「ふむ・・・鬼気に迫っておる・・・」

「恐ろしゅう感じがしてよろしゅうございましょう」

官兵衛は痛くもない足を引きずりながら姫路城の軍議の場へと赴くのだった。

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2014年6月22日 (日)

好きだ!(福士蒼汰)好きだよ(有村架純)小中高東大一貫カップル誕生!!(二宮和也)

そこかっ。

まあ、・・・美少女だからひどい目にあうことが多いドラマの世界において・・・たまには幸せになってもらいたいよね。

奇跡の(木)有村架純(金)桐谷美玲(土)有村架純(日)桐谷美鈴という展開で・・・。

(木)「MOZU」ジャーナリストの有村架純→拷問の末の凌辱死

(金)「死神くん」カラスの桐谷美玲→無能な主人公により連帯責任で存在消滅

(日)「軍師官兵衛」荒木村重の妻の桐谷美玲→無能な夫のために成敗され晒し首

・・・という無残な末路の連続である。

ここで・・・有村架純がヒロインとして幼馴染のハートをゲットした上に東大生になるというハッピーがあって救われた気持ちがします。

まあ・・・ここはいつもそうだけどな。

基本、争いごとが嫌いな人が勝負にこだわってみた・・・と言う感じてすかね。

結局、勝ちとか負けとかどうでも良い感じに仕上がってますけどね。

勝負とか敵味方とかが苦手な人は多いからなあ。

まあ・・・競技場では自分以外、みんな敵だけどな。

チーム・プレーでもか。

味方に足を引っ張られるのが基本じゃないか。

ああ。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・最終回(全11話)』(日本テレビ20140621PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・菅原伸太郎を見た。小さな小さな世界の話である。高校生の部活動の話なのである。教室があって、部室がある。練習場があったりなかったりする。時には他校との交流や、競技会への参加がある。地区予選があり、時には全国大会がある。そういう中で野球部はある意味、特殊かもしれない。何と言っても目指す場所として甲子園大会がある。そこまで行くとテレビやラジオで全国中継である。サッカーやバレーボールがこれに準ずるだろうか。「国立競技場」とか「代々木体育館のセンターコート」とかがあるからな。テレビは多チャンネル化されて結構マイナーな競技も中継されたりするが・・・注目度は全然違う。吹奏楽部とか合唱部とか書道部とは別次元である。柔道や剣道というかっての国技でさえも地味だ。「甲子園」のある野球部は特別な部活動と言えるかもしれない。

しかし・・・半分の学校は地区予選の初戦で姿を消すのである。二回戦ではさらに半分が姿を消す。特別な「甲子園」も特別だからこそ遠い存在なのである。

しかし・・・甲子園に行く学校よりも・・・行けない学校が大半である以上・・・そこに大衆性があるわけである。

今回は・・・そのような大衆の中から・・・偏差値の高い学校がチョイスされているわけだ。

ある意味・・・物凄い矛盾である。

こういう矛盾は・・・創作にはつきものなのだ。

珍しくなければ面白くない、わかりにくいと面白くない。

わかりやすい珍しさ・・・このありえないものを人々は求めてくるんだなあ。

頭がいいけど普通の少年少女が野球は下手だけど頑張る姿は清々しい・・・そういうお茶の間の理解がどれほどあったのか・・・不安な気持ちになる。

なにしろ・・・最後の夏が終わった野球部の三年生が図書館が語りあう内容が・・・。

「さすが・・・赤岩・・・全部A判定かっ」

エース赤岩(福士蒼汰)の模試の合否判定の話である。

東大 A

一橋 A

早稲田 A

慶応 A

合格確率は限りなく100%に近いのだった。

「私なんか東大Bだよ」

とマネージヤーの柚子(有村架純)・・・。

「僕も・・・」

とキャプテン江波戸(山﨑賢人)・・・。

もちろん・・・二人ともそれ以外はAなのだ。

夏まで野球ばっかりやっていたのにである。

このままでは全国の受験生の神経を逆なでするとばかりに・・・天下御免の無敵男・岡留(間宮祥太朗)は・・・。

「むひょおっ」と叫ぶのだった。

東大 E

一橋 D

早稲田 D

慶応 D

お茶の間の親近感は大切である。

小さな世界の住人である喫茶店「サザンウインド」オーナーの楓(薬師丸ひろ子)は・・青志(二宮和也)が小田原城徳高校の監督を辞することに納得が行かない。

なにしろ・・・連戦連敗だった城徳高校に勝利をもたらした奇跡の監督なのである。

だが・・・高校時代の忘れものをすでに取りかえした青志の決意は固い。

青志は・・・高校野球部の監督よりも・・・生物学の研究者として成すべきことがあるのである。

なにしろ・・・東大が待っているのだ。

これで母校の野球部に残るようでは「男どアホウ甲子園」である。なんのこっちゃ。

同棲中の現地妻・利根璃子(麻生久美子)も気が気ではないのだが・・・。

主人公設定的には・・・最初に研究ありきで・・・たまたま野球で・・・女性関係にはほとんど興味がないわけである。

ほとんど冷たいと言っていい・・・青志に・・・大人の意地で生温かく接する年上の女なのだった。

まあ・・・東京まで押し掛けて行ってもそれなりにつきあってくれそうな青志だった。

基本、女なんてどうでもいい感じのキャラクターだからな。

きっと、楓や柚子が迫ってきても対応はするが・・・だからといって愛とかはよくわからない鬼畜な感じが漂う主人公なのだった。

それは・・・お前が悪魔だからだろう。

やがて・・・秋から冬へと季節は過ぎゆく。

卒業の気配が漂う・・・帰り道。

海辺のピッチング練習場で・・・ストライクがとれたら告白しようと考える赤岩。

「私・・・もう帰るよ」

「もうちょっと待って・・・」

「いい加減・・・うざいと思ってるんでしょ・・・小中高と一緒の幼馴染なんて・・・東大は不合格になればいいと思ってるんでしょ」

ストライクである。

「好きだ」

「え・・・」

カップル誕生だった。

特撮ヒーローと昼メロのヒロインが・・・朝ドラヒロインの恋人と母だったり、宇宙人同士なのに地球人に負けたりする紆余曲折あって・・・ついに結ばれるという長編恋愛巨編完結なのだった。

そして・・・たちまち大晦日なのだった。

受験生にとっては恐ろしい時計の進み方である。この間、春だったのにもう受験直前になっているのだよ・・・。

カップル誕生に・・・遊びに来た退学者・亀沢(本郷奏多)は叫ぶのだった。

「こっちは家業を手伝っているのに・・・お前らときたら・・・何やってんだ」

仲間に祝福される息子に親馬鹿の赤岩晴敏(光石研)は目を細める。

そして・・・一夜明けると・・・卒業式なのである。

早い、早すぎるぞ・・・時の流れ・・・。

三年生の受験勝負の結果・・・。

東大野球部進学・・・赤岩、柚子、江波戸、亀沢。

早稲田野球部進学・・・白尾(中島裕翔)・・・やはり、柚子・赤岩のカップル成立が・・・。

岡留・・・浪人。

野球部から東大生が四人も・・・。

「野球部に入って東大に進学しよう」で来年、部員確保できるだろう・・・。

残された部員は・・・。

柚子のストーカー志方(桜田通)

特命戦隊ゴーバスターズのレッドバスターの樫山(鈴木勝大)・・・。

利根璃子好きの牛丸(栁俊太郎)・・・。

堂東学院高校のエースの弟・光安(平岡拓真)・・・。

メガネのライト伊勢田(阿久津愼太郎)の五人。

前途多難確実の城徳野球部だった。

その上に監督が・・・増本信樹(荒川良々)なのだった・・・。

そして・・・卒業式の後で・・・部室に全員集合。

青志は部員たちの一人一人に声をかけ・・・涙にくれる。

「柚子・・・野球部に誘ってくれてありがとう」

「監督になってくれてありがとうございました」

全員、泣きすぎである。

そして・・・お別れ野球紅白試合が開催されるのだった。

三条校長(笹野高史)や何故か、堂東の峠監督(川原和久)も借り出される。「相棒」のシーズン・オフだからか。

(紅組) 

青志

柚子 

増本部長 

三条校長 

白尾 

岡留 

牛丸 

江波戸 

伊勢田

(白組) 

 

赤岩 

赤岩(父) 

樫山 

亀沢 

志方 

光安 

利根 

青志はエース赤岩と投げ合うのだった。

青春・・・夢と希望のパレードの終焉である。

一人・・・グラウンドに残った青志の前に・・・谷内田健太郎(市川海老蔵)が現れる。

「君に・・・アウトを贈りに来たよ・・・」

「・・・」

プロ野球のコーチと東大の研究生・・・。

野球を通じて・・・敵味方を越えた絆が芽生えた二人だった。

「肩は大丈夫なのか」

「心配だったら・・・しっかりキャッチしてくれ」

キャッチボールという名の愛のしごきが始るのだった。

若さゆえに吐いた言葉。

若さゆえに傷ついた心。

二人は・・・お互いを思いあう。

白球はミットに吸い込まれる。

小さな小さな世界に永遠が見えます。

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2014年6月21日 (土)

死神ってなんなのですか、悪魔ってなんなのですか、人間ってなんなのですか、神様ってなんなのですかと誰もが問いたい時があります(大野智)

カラスは問わずに「カアッ」って言うけどな、

どこか、非人間的な無表情さで独特の「人間らしさ」を演じる主人公の・・・面目躍如の一作だったなあ。

人間味あふれる死神っていう設定が生きているよねえ。

実際、死神たちはもう少し、粛々と業務を遂行するわけだけどな。

悪魔仲間がおちょくっても、なにしろ、皮肉の通じない相手だからつまらんとぼやいていたぞ。

死神くんは・・・どちらかというと悪魔のイメージもあるよね。

水木しげるの「悪魔くん」が再ドラマ化されるとしたらメフィストを彼に演じてもらいたいねえ。

芦田愛菜が悪魔くんぐらいだと楽しそうだな。

悪魔くん(芦田愛菜)で、メフィスト(大野智)か・・・見たいな。

生意気な女子小学生にソロモンの笛を吹かれて・・・頭をかかえるメフィストの「こんちくしょう」な感じが目に浮かぶ。

一話完結をテレビシリーズでやって・・・映画は「千年王国」で・・・。

ヤモリビトはピエール瀧だったらいいよね。

蛙男は相島一之がいいな。

そりゃ「セーラーゾンビ」を見ていたからか。

そーでーす。

「やっぱり殺されたのは私です」(田中圭)のタイトルは・・・。

普通だものな。

いつものことだものな。

珍しくないものな。

で、『金曜ナイトドラマ・・最終回(全9話)』(テレビ朝日201406202315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・本橋圭太を見た。終わってみると、エピソード5の演出はさすがだったな。今回のストーリーも、復讐される側の心理から描くと相当なホラーになるよねえ。まあ、基本、アイドルドラマなのでしないわけだが・・・。まず、罪悪感がね。そうそう、責任なすりつけて自殺者まで出して・・・平気な人間と・・・そうでない人間がいたりしてな。で、結局、無残に殺されることには変わりがないという。そういうテイストでも見たかった。ま、しかし、基本的に神は人間の復讐心を認めないからな。「復讐するは我にあり」で復讐していいのは神だけだものな。なんて自己中心的なんだろう。まるで自分が神様だと思っているみたいな・・・あ、神様か。

「どんな些細なミスも許されないなんて・・・お前にできるのかよ」

カラスの監死官(桐谷美玲)に指摘されて・・・ハッとなる死神くん(大野智)・・・。

かわいいよ、死神くん、かわいいよである。

カラスもそんな死神くんを「馬鹿な子ほどかわいい」気持ちで見守るしかないのであった。

大河ドラマのだしと同じく、カラスはここでもダメなパートナーに殉じるんだな。

基本、洗練された「だめんずウォーカー」の役柄なんだな。

そして、霊界に舞うカラスの黒羽、緊急警報発令である。

「運命線に乱流発生、魔界勢力の干渉による不慮の大量死に注意」なのである。

カラスに尻をたたかれて事情聴取に向かう死神くん。

そこは大手食品会社「簑島食品」の自社ビルだった。

ロビーで倒れた老婆を助ける警備員が目にとまった死神くん。

緊急事態即応体制で実在化許可が下りたので彼にコンタクトしてみるのだった。

「あなたは親切な人ですね」

「祖母の教えで・・・他人には優しくしろと・・・」

「このビルで大量殺人が計画されているという話があります・・・不審な人物を見かけませんでしたか」

「さあ・・・不審な人物と言えば・・・あなたが一番それらしい・・・」

不審者を見る目で死神くんを見る警備員・中平毅(田中圭)だった。

「失礼な・・・」

こうなったら・・・トップと交渉するしかないと・・・珍しく知恵が働いた死神くんは社長室に転移する。

「私、死神と申します」

素直に事態を受け入れる簑島社長(ベンガル)と秘書の中村絵里(伊藤裕子)・・・。

もちろん・・・彼らに来るべきものが来たという実感があったのである。

「何か・・・心当たりがあるのですか」

「いや・・・特に」

しかし、彼らの心は蒼ざめるのだった。

「とにかく・・・常務に相談しよう」

「しかし、常務は出張中です」

そこへ・・・田中常務(中丸新将)がやってくる。

「常務、出張中じゃなかったのか」

「社長からの緊急招集メールが届いたので・・・」

「メールだと?」

「森部長や、他にも何人かに同じメールが届いて会議室に待機しています」

秘書の中村は集められたメンバーに関連性を感じる。

(これは・・・やはり・・・)

森部長(宮崎吐夢)たちの待つ会議室に向かう一同。

その頃、警備室は中平によって占拠されていた。

警備員たちは皆、拘束されていた。

そこへ姿を現す悪魔くん(菅田将暉)・・・。

「これで第一の願いはかなえられたであろう」

「うん・・・望み通り・・・彼らを集めることができた・・・感謝するよ・・・悪魔」

「感謝などいらぬ・・・契約を果たしただけのこと」

警備システムを利用して中平は・・・蓑島ビル封鎖に成功する。

ビル内にいた人間はすべて彼の人質になったのだった。

会議室のモニターに中平は姿を現した。

「もう・・・逃げられませんよ」

「なんだ・・・君は・・・」

「おやおや・・・もう・・・お忘れですか・・・やった方はやられた方ほど記憶にないというのは本当らしい」

「中平くん・・・」

「中平だと・・・」

「そうですよ・・・三年前、食品擬装問題の全責任を負わされ・・・あなたたちに解雇された男です」

「・・・」

社長は素知らぬ顔をするかどうか・・・躊躇していた。

もちろん・・・明らかな悪事である。できれば忘れてしまいたかったが・・・忘れることはできない。

問題は解決済みと思いたい気持ちと裏腹に罪の意識は消えにくいものなのである。

「逆恨みか・・・」

蓑島はようやく・・・知らん顔に向けて舵を切った。

「逆恨みですって・・・この三年間・・・僕が何もしなかったとでも・・・」

「・・・」

「あなたたちの悪事はすべて・・・調査済みです・・・テーブルの上の資料をお読みください」

閉じ込められた一同は仕方なく着席する。

最悪の会議の始りである。

中国からの安価な食品を国産と偽って販売した「産地偽装問題」で中国側からのリベートを受け取った社長、常務、部長たちだった。

その罪をすべて・・・無実の中平課長とその部下の長友次長(菊田大輔)にかぶせたのは紛れもなく事実だった。

資料を読むまでもないことだ。

「今さら・・・そんなことを蒸し返してどうする気だ」

「盗人猛々しいとは・・・このことですね・・・どうやら、私の気持ちがおわかりでないようだ」

「・・・」

「このビルには爆弾が仕掛けてあります」

「・・・」

「そうそう・・・今日は新商品の試食会がパーティー形式で開かれているんですよ・・・御存じですか」

「なんだって」

映像は・・・ビル内の会場に切り替わる。

「多数の方々がお集まりで・・・盛況でしょう・・・参加者は皆さんのご家族ですよ」

「ああ・・・」

「私の気持ちがおわかりですか・・・」

「復讐か・・・復讐する気なのか・・・そんなことして何になる」

「そのセリフを・・・復讐される側から聞かされようとは・・・あんたたち・・・ひどいな」

「・・・」

「根性が腐ってるな」

「わ、私は・・・何もしていないわ」

秘書が口を挟む。

「そう・・・君は・・・何もしなかった。すべてを知っていたにも関わらずだ・・・」

「・・・」

「それが罪とは言えないと・・・」

「・・・」

「君が何もしてくれなかったおかげで・・・僕は会社をクビになった後・・・犯罪者呼ばわりで・・・再就職もできずに・・・路頭に迷った・・・どんな気持ちか・・・分からないとでも」

「ごめんなさい」

「そんな言葉で・・・私の悲惨な三年間が帳消しになると・・・」

「・・・」

秘書はうつむいた。その目に・・・異様なものが映った。

黒衣の女がテーブルの下にいたのである。

カラスだった。

カラスは秘書にメモを渡す。

「アナタガノゾムコトヲメモニ」

秘書は総務部長の早田(吉家章人)への伝言を託す。

早田は・・・社長秘書の命じるままに・・・警備システムを解除し、緊急避難警報を発するのだった。

「これは・・・」

驚愕する中平。

人質たちの避難見守る死神くんとカラス・・・。

しかし、数十名を残してビルの扉は再び閉鎖される。

「これは・・・魔力」

驚愕するカラス。

「まさか・・・悪魔が・・・」

「その通り・・・このビルは私が封鎖したよ・・・彼の第二の願いを叶えたのだ」

悪魔くんが姿を見せる。

「なんで・・・悪魔なんかと契約を・・・」

「もちろん・・・この世の地獄を味わったからさ・・・」

「金か・・・」と蓑島社長。

「・・・」

「金ならいくらでも払う・・・お前と一緒にクビにした長友にもだ」

「知らなかったんですか・・・長友は・・・自殺しましたよ・・・一年前に・・・誰にも省みられない悲惨な最期だった・・・そして、私は復讐を誓ったんです」

「あなたは・・・一緒に死ぬ気ですか・・・」と死神くん。

「そう・・・そして、私が死ぬ前に第三の願いがかなえられる・・・すべての事実が・・・社会に公表されるのです」

「しかし・・・あの人たちに何の罪があるのです」

「一蓮托生という言葉は・・・霊界にはないのかな」

「さっき、あなたが助けたおばあさんもいますよ」

「・・・」

「気にすることはない・・・彼女は蓑島社長の母親だ」と悪魔くん。

その頃・・・カラスは死神主任(松重豊)に呼び出されていた。

「彼にしてはよくやった・・・人数が五十人程度に絞られたので・・・天界はこの件を承認事項にしたよ」

「運命の書き換え・・・」

「そうだ・・・あのビルに残っているものたちは・・・死ぬべき運命と決まったのだ・・・君もよくがんばったな。ご褒美に・・・担当替えの書類を用意したよ・・・君がサインすれば・・・あの無能な死神くんと手を切ることができるよ」

カラスは書類を見つめ・・・唇をかみしめる。

新たな死亡者リストを見て・・・死神くんは・・・呻く。

「運命って奴は・・・なんて勝手なんだ」

「ふふふ・・・神様なんてそんなものさ・・・」と嘯く悪魔。

「思いなおしてください。あなたを助けたい・・・だって地獄に落ちたら・・・あなたの部下の長友くんとは再会できないんですよ」

「彼は・・・自殺だ・・・天国には行けないだろう」

「そんなの・・・人間の作った宗教の話でしょう・・・迷信ですよ・・・運命的な自殺者は・・・ちゃんと天界に行けるんです・・・でも、悪魔との契約が完了したら・・・あなたは地獄行きなんだ・・・」

「しかし・・・今、やめても彼には何の救いもないよ」と悪魔くん。

「・・・」

「それとも・・・君が彼に何かをしてやれるのかな」

「私に・・・できること・・・ですか」

死神くんは・・・自分が出来ることをした。

悪魔くんは驚愕した。

中平は何故か・・・屋上に足が向いた。

昔・・・部下の長友を説教した思い出の場所。

「長友・・・もうすぐ・・・お前の仇をとれるぞ・・・」

「それはできません」

「何・・・」

「あなたは・・・まもなく・・・彼に再会できるでしょう・・・彼はそのことをきっと喜んでくれるでしょう」

「どういうことだ」

「私が運命を書き換えました」

Photo死亡者・中平毅

死因・転落事故死

「おめでとうございます・・・あなたは・・・誰も殺すことなく・・・旅立つのです」

「・・・」

運命の風がそよぎ始める。

中平はよろめくように屋上の淵に導かれて行く。

「なるほど・・・」

「こんなことしか・・・できなくて・・・すみません」

「いいさ・・・これが君の優しさなんだろう・・・優しくされてうれしいよ・・・この三年間で一番心が安らかだ・・・ありがとう」

屋上の手すりが脆くも崩れた。

中平は転落した。

その死に顔は天使に祝福されたように安らかだった。

「変更された運命をさらに変更するなんて・・・前代未聞の不祥事ですよ」

主任は・・・二人を運命の部屋に案内する。

「せっかくのチャンスを無駄にするとはね・・・」と主任はカラスを見る。

「いいさ・・・私もなんだか・・・疲れたし」

由緒正しいツンデレである。

「そうですか・・・君には何か言いたいことがあるかね・・・」

「迷惑ばかりでごめんなさい」とカラスに謝る死神くんだった。

「サザンかよっ」

「では・・・処理を執行する」

死神くんとカラスは消えた。

現世に佇む悪魔くんの前に主任が現れる。

「今回は残念だったね」

「ふふふ・・・神と悪魔の戦いに終わりはないですからね」

「そうか・・・残念だが・・・彼とはもう戦えない」

「何故」

「今回の規則違反で・・・彼らは消されたよ」

「そんな・・・勝ち逃げかよ」

「一つ、忠告しておこう・・・天使と悪魔は・・・友達にはなれない」

「・・・」

この世のすべては神の手の内にある。

分解された死神くんとカラスは・・・素材の海に還元される。

そのある部分は・・・神の手によって・・・星となり、ある部分は・・・。

いつか・・・地球のどこかで・・・カラスに似た女と死神くんに似た男がすれ違う。

二人は一瞬、何か、懐かしいものを感じるが・・・それが何かを理解することはできない。

そして万物は流転する。

破滅と再生をくりかえしながら・・・。

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2014年6月20日 (金)

ガチョーンは谷啓さん、お呼びでない、お呼びでないね、こりゃまた失礼いたしましたは植木等さんですけどね、お二方ともハラホロヒレハレなことになってます(小泉今日子)

クレージーキャッツ世代かっ。

「シャボン玉ホリデー」は1972年までやっていたので・・・1966年生れの小泉今日子は・・・ギリギリ、視聴可能世代なのである。

しかし・・・とても「シャボン玉ホリデー」を見ていた世代には見えないよなあ。

知ってたら年がバレるから昔なら隠すところだよなあ。

最近、植木等も谷啓も見ないなあ・・・と思ったら亡くなっていたのだった。

知らなかったのではなく・・・死んだことを忘れていたのだった。

ハナ肇だって・・・猫屋敷で今も猫を抱いてすわっているような気がするからなあ。

「ニッポン無責任時代」を見るとみんな元気だしなあ・・・それは映画だからだろっ。

四十代や五十代はまだまだ若いとはいうものの・・・もう・・・あっと言う間に「ハラホレヒレハレ~」になっちゃうんだよな。

だから・・・何を言っても・・・せつないのです。

だけど・・・涙が出ちゃう・・・だって・・・老い先短いんだもん。

で、『続・最後から二番目の恋・第10回』(フジテレビ20140619PM10~)脚本・岡田惠和、演出・宮脇亮を見た。口は災いの元・・・と言うが、わかっているのにやめられないのが人間である。まあ、うっかり口がすべったり、汚い野次を飛ばすことが人間の品性下劣さを示すとなればむひょーっと言うしかないのである。一ヶ月もあるお祭りが始ってすぐに終わったりしたら・・・いろいろと問題があるので絶対に負けられない戦いをしていても試合中のエルボーとかは面白すぎるわけである。世の中って本当にいろいろありますねえ。無敵艦隊は沈没する運命なんだな。

そんな世界とは無縁で・・・自分の中の何かと戦い続ける千明(小泉今日子)・・・今回のお相手は「人間ドック」である。JMTテレビにおける千明のコンシェルジェ、三井AP(アシスタント・プロデューサー)は・・・千明に「人間ドックへ行ってください」と懇願するのである。

酒、煙草、ストレス、運動不足、不規則な生活・・・不健康の道を歩む千明にとって・・・それは絶対に避けたいイベントなのだった。

まあねえ・・・死んだら楽だろうなあ・・・とつい思うのと・・・「医者に行くと病気になる」という確信は・・・誰にでもあるよね・・・あるかっ。

絶対負けられない戦いのために・・・千明は・・・禁酒・禁煙・ジョギングの一夜漬けである。

一方、和平(中井貴一)は年に一回の「人間ドック」を欠かさないのだった。

万里子(内田有紀)がセッティングすることにより・・・期せずして・・・同じ病院で・・・あたかも仲の良い夫婦のように・・・人間ドック入りする二人だった。

戦い続ける女・千明は・・・ハチロクで峠を攻める走り屋の如く、負ければ引退の瀬戸際ボクサーのように・・・闘志を燃やし検査を受ける・・・。

戦い終わって・・・極めて健康であることが判明した千明。

一方、和平はいろいろと気になる数値を担当医から指摘されてしまう。

まあ・・・医師のその時の気分とか・・・言い方もあるよなあ。

美人の女医さんに微笑まれて「再検査ですねえ」と言われたら死んでもいい気分になるしな。

大病院の採血センターで居並ぶ看護師さんの中で美少女の人にあたったら・・・些少、採血が下手でも許したい気分になるわけである。ならないねっ。

人間ドックの出口で待ち合わせをした二人は・・・どちらが待たされるわけでもなく、小さな石鹸もカタカタ鳴らさずに朝食抜きの日の遅いランチを楽しむのだった。

お互いの健康を讃えあう二人・・・。

「来年もご一緒しましょうか・・・リベンジしたいし」

「望むところですよ」

いや・・・それはある意味、ブロポーズだぞ、お二人さん。

言いたいことを言う自分と違って和平はストレスをためるタイプだからと指摘する千明。

いや・・・それは夫を気遣う妻のセリフですよ・・・千明さん。

和平は・・・なぞのセフレ志願の女・薫子(長谷川京子)や、伊佐山市長(柴田理恵)に言い寄られて困っていることを打ち明けるのだった。

やたらと誘惑される夫かっ。

「未亡人キラーですねえ・・・」と応じるさばけた妻だった。

だから夫婦ではないぞ。

さて・・・セフレのことを考えていると・・・ダブル不倫の事例が浮かんだが・・・乙女のロマンス的には・・・鰥夫と寡婦の肉体的交際と言うのもあるような気がしてきた。

つまり・・・天国の妻や・・・夫に貞淑でありたい・・・わけである。

「もう恋なんてしない」と誓っているわけである。

もちろん・・・子供の手前もある。

しかし、性的欲望がある。そんな男と女が・・・セックスフレンドになってもいいと思う。

まあ・・・一般的には再婚するけどな。

なにしろ・・・年下の未亡人なら妊娠・出産の可能性もあるしな。

いや・・・あくまで乙女チックな話としてだよ。

鎌倉の潮風を浴びてすっかり健康的な気分になった千明は・・・たちまち不健康な何かを求めるのだった。

すると・・・鎌倉の自縛霊のような広行(浅野和之)と一条さん(織本順吉)が湧いて出るのだった。

「昼キャバ始めました」という「キャバレー宝塚」へ昼間から同伴出勤に応じる一条さんは一行を昼間から不健康な生活にご案内するのだった。

千明は何故か、和平に「昭和ブルース」をリクエストするのだった。

見えない鎖が重いけど

行かなきゃならぬおれなのさ

だれも探しに行かないものを

おれは求めてひとりゆく

天知茂も最近見ないなあと思ったら・・・お亡くなりになってます。三十年前だぞっ。二十世紀だし、昭和のことだよっ。

まあ・・・とにかく・・・もう・・・見た目、夫婦だよ。

市役所に用事で来た美しい未亡人・薫子をランチに誘う未亡人キラー。

二人は・・・江の電の引退車両で友達ランチである。

「この間は・・・傷つけるよなことを言ってしまい・・・」

「・・・」

「でも・・・淋しいという気持ちは分かるんです」

「私、好きになりかけていたのかもしれません」

「その場合は・・・もっとはっきりとあなたを失恋させることになるかもしれません」

「・・・」

「だって・・・あなたとは・・・永遠に友達ですから」

殺し文句なのかどうか・・・不明だが・・・とにかく・・・薫子は喜んだらしい。

変態色魔である悪魔には理解不能だが・・・そういう男と女の関係があっても別に構わないと思う。

一方・・・市長は妄想の擬似片思いの現状維持を和平に命ずるのだった。

明らかなパワハラだが・・・かわいすぎてクレームが付けにくい事例なのだった。

とにかく、持ち味の優柔不断、態度不明瞭でその場をしのぐ和平である。

鎌倉の・・・移ろいを感じさせない・・・平和な日常。

しかし、東京では時が流れていく。

音楽業界の水野(渡辺真起子)とともに・・・「トリオ・ザ・結婚できない女」の一角を担う出版業界の荒木(森口博子)が名古屋への出向を命じられるのだった。

名古屋市民は涙目なのだが・・・都落ちなのである。

東京以外はみんな地方だからだ。

変なエステの変なサウナパックに呪縛されながら・・・「東京にいられなくなる女」との別離を惜しむ千明と水野だった。

誰も本を読まない、誰もテレビを見ない、誰も音楽を買わない・・・そういう時代は目前なのである。

これは・・・想像しただけで泣ける。

そして・・・ロケ場所のキャンセルという些細なトラブルが発生。

急遽・・・千明の家がロケ場所に指定されるのだった。

お約束の展開なんだな。

プロデューサーとして鎌倉市役所に撮影許可申請をする千明。

市長は・・・自分が出演することを条件に許可するのだった。

職権濫用である。

まあ・・・もうかわいいので許すしかないらしい。

そして・・・短期引っ越しの必要に迫られる千明。

「大変ですね・・・ウチへ来たらどうですか・・・真平の部屋が空いてるし」

「そんな・・・そうなると一緒に暮らすみたいだし」

「いいでしょう・・・一緒に暮らしましょうよ」

和平のプロポーズである。

千明がずっと聞きたかった言葉。

しかし・・・単なる隣人の行為の申し出であるのは明らかなのだった。

核心に迫る最終回を前にして・・・乙女チックなオチが展開する。

亡くなった妻が・・・集めていた桜貝の謎が・・・解き明かされるのだった。

十年間・・・謎だった答えを乙女チックから一番遠い典子(飯島直子)が知っていたのだった。

「カフェ・ナガクラの飾り付けにするって・・・」

「なんで黙ってた・・・」

「え・・・聞かれなかったし・・・っていうか、みんな知らなかったの」

長倉えりな(白本彩奈)をはじめとして家族全員が唖然とするのだった。

そして・・・千明を含めた・・・家族たちは・・・亡き、和平の妻、えりなの母を偲んで・・・「カフェ・ナガクラ」を十年間採取され続けた桜貝によってデコレーションするのだった。

穏やかな日々の輝かしい一時。

世界の片隅の話である。

それは明日、世界が滅んでも語り継がれる幸せな記憶なのだな。

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2014年6月19日 (木)

ねえ、待ってよ、仲間にしてよ、僕、強くなるから・・・仲間にしてよ、磁石男(相武紗季)

ドラマと関係ないだろう。

チェックしましたが・・・着ぐるみスライム(能年玲奈)のスポットはありませでした。

でも、テレ東のしょうもないSF映画で確保したぞ。

編集して本編消して、15秒だけ残したよ。

いや・・・このドラマの・・・公式キャッチフレーズが「恋愛あまちゃん女」なんだよ。

どういう意味なんだ・・・いや、この脚本家に意味とか尋ねてもな。

ぼくの夏休み 第1部・少年編」の人だな。

でも・・・単に奇をてらってそのまま二時間作る根性は評価したいと思う。

で、『金曜ロードSHOW!特別ドラマ 』(日本テレビ20140613PM9~)脚本・樫田正剛、演出・中島悟を見た。ほのぼのラブコメである。まあ、基本的には笑える要素はないが・・・相武紗季がかわいいのでなんとなく最後まで見ることができました。まあ・・・よいではないか、よいではないか・・・というドラマである。

恋愛あまちゃん女・・・意味不明だが・・・あまちゃんと言いたい気持ちはわかる・・・いいよ~と仲間にするしかないのである・・・という小日向しおん(相武紗季)は婚活企画会社のそこそこの従業員だったが・・・大学時代の憧れの先輩・氷室浩太郎(要潤)が社長を務めるベンチャーな会社にヘッドハンティングされる。

婚活事業部門を新設するからである。・・・どんな会社なんだよっ。

そして・・・氷室浩太郎が目玉として狙いを定めているのが・・・農作業体験合宿で何故かカップルが生まれるという伝説の婚活スポットの主催者・磁石男こと大庭ファームの大庭壮介(向井理)である。

大庭は・・・「人間には二種類しかない・・・N極人間と・・・S極人間だ。NとSは相性抜群で・・・必ず魅かれあう」と・・・おバカな理論を唱える農業の人なのだった。

氷室浩太郎は大庭ファームとの独占契約を結ばせるために・・・小日向を送り込む。

契約の条件として大庭が小日向に提示したのが・・・「牛の牛子の世話係になること」だった。

「どうしてですか・・・」

「牛子が・・・君を気に入ったからだ・・・」

小日向は牛子と相性抜群だったのである。

牛に願いを」かよっ・・・とは言わないであげてください。

ちなみに・・・磁石には南を指すS極と北を差すN極があるわけだが・・・ということは地球は逆に北極がS極で・・・南極がN極なのである。ややこしいと感じる人は科学者には向きません。

そもそも、磁石はS極とN極が一体化しているもので人間の二面性を示すたとえの方がまだわかる。

まあ・・・磁場の形成として磁力線のベクトルを示したいんじゃないのか。それなら凸凹で示すべきだろう・・・まあ、よいではないか、よいではないか・・・。

小日向は・・・好条件の結婚相手を獲得するために女に磨きをかけてきたタイプである。

そして・・・まさに・・・条件にピッタリの氷室社長に見初められたわけだが・・・そこに立ちはだかるのが自分の作った野菜をこよなく愛する磁石男・大庭だった。

しかし・・・相性抜群の牛子の搾乳に精を出す小日向はいつしか・・・磁石男のことが気になって行くというラブコメでなかったら殴打したい展開である。

だが・・・農業体験でカップリングする大庭の見識は素晴らしく・・・実際に何組ものカップルが成立するのだった。

「あんた残念だなあ・・・」と大庭は人間の内面を残酷なまでにえぐり・・・結果として相手を素直にさせる魔性の話術も持っているのだった。

やがて・・・小日向は・・・「相性のいいものが組んだ方が農作業がはかどる」という単純な理由で・・・大庭がカップルを作っていたことに気がつくのだった。

「バカだ・・・野菜バカだ・・・」

しかし・・・大庭の理論から言うと・・・小日向も氷室もN極人間で相性は最悪らしい。

「そんなもの・・・努力でどうにでもなるわ・・・」と思う小日向だった。

だが・・・住み込みで働くうちに・・・どんどん大庭を好きになる小日向なのである。

もう・・・それ・・・単に一緒に暮らしたから愛着が生じただけだろう。

婚活イベントは順調に展開するが・・・フィナーレに用意した花火で・・・小日向は火事を起こしてしまうのだった。

納屋にある大庭の父の形見を取り出そうとして火の海に飲まれる小日向。

そこで・・・大庭は火の中に飛び込み・・・小日向を助け出す。

「でも・・・あなたも・・・N極なんでしょう」

「バカだな・・・俺はどSだよ」

「じゃ・・・私はMかっ」

まあ・・・磁石のSNと・・・性的倒錯のSMが入り混じった展開なのである。

なんじゃ、そりゃ・・・なのである。

でも・・・もう・・・ラブコメだから仕方ないよね。

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ミス・パイロット

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2014年6月18日 (水)

彼と彼の妻とキャンピングカーと私~55歳からのハローライフ(長谷川博己)

幻想譚である。

幻想というのは基本的に心の病なのである。

この世に存在しないものをあると思うことは心の病だからである。

もちろん・・・そういう意味ではすべての人間は心の病にかかっている。

この世に存在しないものをあると思わない人間はいないからである。

だが・・・人々は思う。

この世にあるものとないものの区別は出来ている。

だから病んでいるわけではない・・・と。

しかし・・・たとえば愛。

そんなこの世には影も形もないものをあると信じてしまう人は多いのである。

で、『土曜ドラマ 55歳からのハローライフ 第1回 キャンピングカー』(NHK総合20140614PM9~)原作・村上龍、脚本・大森寿美男、演出・加藤拓を見た。大手家具メーカーの敏腕営業マンだった富裕太郎(リリー・フランキー)は勤務先を55歳で早期退職し・・・妻の凪子(戸田恵子)とともに退職金を費やしたキャンピングカーで悠々自適の旅に出る・・・太郎は美味しいコーヒーを飲み、絵を描くことを生きがいとしている凪子は時折、スケッチブックを開く。そこへ・・・見知らぬ男がやってくる。

「阿立と申します」と男(長谷川博己)は名乗った。

「素晴らしいキャンピングカーですね」

「ええ・・・」

「これでもう長い間、旅をしているんですね」

「いえ・・・」

阿立の質問に戸惑う太郎。

いつしか、太郎は回想の世界に入って行く。

「退職金でキャンピングカーを買うつもりだ・・・一緒に旅をしよう」

太郎は妻の凪子が当然、賛成してくれるものと思っていた。

少なくとも喜んでくれるはずだと考えていた。

しかし・・・妻の反応は鈍い。

「もう・・・買ってしまったんですか」

「いや・・・手付金を払っただけだ」

「私は・・・反対です」

「なんで・・・」

「なんでって・・・子供たちの結婚資金のこともあるし・・・第一、私は長い休みはとれないのです。絵画教室の付き合いもありますし・・・」

子供たちはまだ未婚だったが独立している。

長男の進武(橋爪遼)は「父さんの好きにすればいい」と賛意を示してくれた。

しかし、長女の美貴(市川実日子)は「お母さんの気持ちを考えてあげて」と難色を示す。

「母さんの気持ちって・・・」

「家計は母さんにとって大事なんじゃない・・・第一、父さん・・・ずっと遊んでいるわけ?」

「人を怠け者みたいに言うな・・・」

「じゃ・・・再就職のことも考えてみたら・・・旅は仕事があったって行けるけだし・・・」

「それじゃ・・・意味がないんだよ」

「仕事をしないで旅をすることに意味があるの・・・?」

「いや」

「じゃ・・・再就職にチャレンジしてみれば・・・」

自由に旅をするはずが・・・いつの間にか就職活動をしている太郎だった。

そして・・・思いの他・・・再就職は難航するのだった。

太郎の学生時代からの親友・駒野(ピエール瀧)はアドバイスする。

「俺たちは会社が沁みついてるんだよ・・・会社があったからそれなりの立場があるんだ・・・知らず知らずに上から目線になってるんじゃないのかな」

恐ろしい現実の壁に立ちすくむ太郎。

「英語が中国語ができますか。女性社員を部下に持った経験は? セミナーなどで講師をされた経験はありますか。プラインド・タッチはできますか。何か資格をお持ちですか」

キャリアカウンセラーの仲西(小林高鹿)の質問は太郎を追い込む。

「あの若造に・・・将来の夢について作文書かされたんですよ・・・屈辱です」

同じく再就職にチャレンジしている大手企業退職者の林(田山涼成)はぼやく。

いつしか・・・心身が不調になっていく太郎。

夜は眠れず・・・食は喉を通らない。

隣の家の飼い犬の吠え声が気になってしょうがない。

「ワンワンワンワンワンワン」

「あああああああああああ」

ついに錯乱する太郎だった。

そして・・・心療内科を受診する太郎。

担当医は・・・亜立だった。

「私は・・・心の病でしょうか・・・」

「驚かれるかもしれませんが・・・あなたは少し驚いているのです」

「え・・・」

「奥様に・・・大切にしている自分の時間があった・・・ということにです」

「・・・」

「そんなこと・・・と思われるでしょうが・・・人間は自分の信じている現実が現実ではなかったと知ると激しくショックを受けるものなのです」

「・・・私はどうすればいいのでしょうか」

「あるがままを受け入れることですよ・・・あなたがあなたの時間を生きているように・・・奥様も奥様の時間を生きている・・・ただそれだけのことです」

太郎は・・・凪子を捜した。

凪子は近所の公園で・・・絵を描いていた。

「コーヒー煎れて来た・・・飲むかい」

「ありがとう・・・」

「しばらく・・・君が絵を描くところを・・・見ていていいかな」

「・・・どうぞ・・・お好きなだけ・・・」

太郎は気がつく。

これが現実で・・・キャンピングカーで旅している自分は・・・幻想だったのだと。

それでも・・・太郎はキャンピングカーで旅をする夢を見る。

いつか・・・それが・・・現実になるのかどうか・・・今の太郎には分からなかった。

こんな調子で・・・後四回やる気らしい。オムニバス形式だから・・・ま・・・キャスト次第では堪能できるかもね。

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2014年6月17日 (火)

地獄の沙汰も金次第ですよ(小林薫)あの世に金なんか持っていけんのじゃ(尾野真千子)

1960年代の政治の季節・・・。

ものごとをあまり深く知らない若者たちが△(賛カッケー)と盛り上がった世界同時革命幻想・・・。

反米で左翼な人々は・・・様々な恥ずかしい傷痕を刻んでいく。

ものすごいのは自らが反日だったりするわけである。

自分で自分を否定するのは虚しいだろうに・・・。

しかし、貧乏だったり馬鹿だったりする人々にとって・・・平等は甘い理想なんだなあ。

そのためには・・・暴力も辞せず・・・。

その行きつく先が総括と言う名の虐殺的粛清、ハイジャック、日本国内で爆弾テロである。

彼らは米国に飼われる日本人を糾弾するのだが・・・結局、自らも共産圏の思惑に踊らされているだけなのだった。

時は過ぎ去り・・・あるものはまったりと過去を懐かしみ、あるものはじっとりと怨みを募らせる。

そんな時代もあったねと・・・いつか笑顔で話せるのか。

で、『極悪がんぼ・第10回』(フジテレビ20140616PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・いずみ吉紘、演出・河毛俊作を見た。急激に人間関係が複雑になる・・・金暮市(フィクション)の仁義なき戦い・・・。そして・・・繰り出される朝ドラマ・ファクター・・・。なにしろ・・・主人公・薫(尾野真千子)を家なき子にした黒幕が・・・小清水(小林薫)で・・・「カーネーション父娘」である。思い出して見れは・・・第一回のゲストが「純と愛ヒロイン」(夏菜)で最終回ゲストが「純と愛ヒロインの史上最悪の父親」(武田鉄矢)なのである。今回は・・・その子分の秘書役として・・・「梅ちゃん先生のかませ犬」(高橋光臣)も参戦なのだった。しかし、「あまちゃん脚本家」(宮藤官九郎)の出番はないのだった。でも今回はオダギリジョーって書けるのだった。

「おどれ・・・冬月への借金はあとなんぼ残っとんのじゃ」

「500万くらい・・・」

なんだかんだ・・・稼いでいる薫だった。

「その金返したら・・・カタギになれ」

「なんでじゃ」

小清水に地の果て・東京行きを命じられた金子(三浦友和)はついに秘密を明かす。

お好み焼きの店「花子」をつぶしたのが・・・小清水だったことを・・・。

そういう「秘密」は胸にしまっておくものだが・・・アホの薫には無理なのだった。

「ウチを地上げしたの・・・所長じゃったんかい」

「そうですよ・・・で、それを知ってどうするつもりです・・・復讐しますか」

「ウチの目標はテッペンとることじゃ」

「そうですか・・・気に入りましたよ」

小清水は・・・西日本最大級のアウトレットモールの利権の簒奪を・・・薫と抜道(板尾創路)に命じるのだった。

三年後に完成するアウトレットモールは外資系企業・アリー・アンド・ギブソンによるものだったが・・・その利権の一部を「金市商事」が独占しているという。

小清水は・・・アウトレットモール建設反対を唱える国会議員の銭山貞夫(武田鉄矢)の秘書・柘植口(高橋光臣)と密会しており・・・さらに裏がありそうなのである。

一方・・・銭山は公安警察の白崎(篠井英介)を動かし・・・極左テロリストだった過去を持つ小清水に何かを仕掛けようとしているらしい。

突然・・・二十世紀の亡霊が蠢きはじめた模様である。

そんな・・・裏の事情はともかく・・・すっかり経済系犯罪者の色に染まった薫は新たなる犯行(ヤマ)に熱中する。

指南役となった抜道は「金市商事」乗っ取りの手口を薫にレクチャーする。

「今回は追いかぶせを仕掛けるんや」

「おい・・・かぶせ・・・?」

「たとえば・・・ミシンを大量発注するやろ・・・相手はそれを仕入れるわな・・・そこでキャンセルしてやれば・・・相手は在庫を抱えてぎゃふんとなるで・・・」

「だけど・・・どうしてのっとれるん?」

「まあ・・・実際は高価な工作機械を発注するんや・・・ま、総額で三億円くらいのな」

「さんおくえん・・・」

「相手は・・・仕入の資金が不足するに決まってる」

「・・・」

「そこで・・・こちらが融資を持ちかけるんや」

「金を貸すんか」

「そうや・・・一億円ほどな・・・」

「いちおくえん」

「まあ・・・一種の見せ金や・・・こっちで・・・キャンセルすれば・・・当然、返済不能じゃ・・・そこで・・・相手の持ち株51%を担保にとって・・・経営権をいただくわけや」

「えげつないのう・・・」

腐れ外道(三浦翔平)とともに幽霊会社販売業者である伊香佐間経営コンサルタントを訪れた抜道は伊香佐間社長(金山一彦)から「亜利喜多利商事」を八十万円で購入する。

薫と腐れ外道が・・・亜利喜多利商事の社員となり、「金市商事」に架空の大量発注を行い・・・系列の金融企業「ライアーライアー」の社員に扮した抜道が融資を持ちかけるという算段である。

そのための一億円は巻上金融社長(宇梶剛士)が都合するのだった。

「ひーひー言わされてたねーちゃんが・・・立派な極道になったのう」と感無量の巻上社長である。

面映ゆい薫だった。

この歪んだ感覚がお茶の間に伝わっているのかどうかは微妙である。

小清水とつながる金暮県議のとどろき(佐戸井けん太)の仲介で金市社長(阿南健治)との商談に成功した薫・・・計画は順調に進展する。

しかし・・・腐れ外道が・・・金市商事に・・・夏目(竹内力)が出入りしているのを偶然目撃・・・薫が夏目を尾行させると・・・今度は真矢樫キリコ(仲里依紗)が夏目と密会していることが判明する。

数々の苦渋をなめてきたアホの薫はなにやらきな臭い匂いを感じるのだった。

そんな折・・・不整脈で小清水が倒れる事態が発生。

緊急入院先の病院で薫は小清水に病気のことを口止めされる。

一方で・・・金子の真意を確かめようと上京した冬月(椎名桔平)は金子が外資系企業・アリー・アンド・ギブソンの幹部と密会しているのを目撃するのだった。

小清水に逆らわない体裁を繕いつつ・・・金市商事のオーナーとして金子は年間十億円の利権を確保しようとしていたのである。

金市商事のっとりのために・・・やってきた抜道。

「融資を返済できんのやったら・・・株を担保にしてもらわんとあきまへんねえ」

しかし・・・そこに金子と夏目がやってくる。

「そんな・・・追いかぶせが通用すると思うとるんか・・・亜利喜多利商事なんて幽霊会社で架空の発注なんぞしたら・・・立派な業務妨害じゃ」

「・・・」

そこへ・・・ついに・・・いよいよ・・・やっとの思いで・・・最終回直前にして・・・颯爽と登場する薫だった。

「架空発注ってなんじゃろうねえ・・・この通り、支払い金の残り二億円・・・用意しましたけん」

現金を示す薫・・・。

小清水に泣きついて出資してもらったらしい・・・。

「融資したのに取引はしていない、金はないというなら・・・横領じゃ」

「ぎゃふん」となった金市社長。

「くそ・・・わしらの負けじゃ」と白旗を掲げる金子。

ついに・・・薫は金子に勝ったのだった。

まあ・・・「誰も信じない男」小清水に乗せられているだけだけどな。

その頃・・・金暮警察の伊集院刑事(オダギリジョー)は冬月と密会していた。

「東京の公安警察が・・・小清水をつぶしにくるそうです」

「なんだと・・・」

「冬月先輩・・・この際・・・小清水と手を切ったらいかがですか・・・」

「俺に・・・おやじをうらぎれぬかすんかい・・・」

「・・・」

怪しい公安刑事・白崎の魔手が・・・薫に伸びるのだった。

まあ・・・基本、犯罪者なのである。

もう、完全にたたけば埃の出るヒロインになってますからあああああああっ。

次回・・・いよいよ、極悪・仁義なき戦い・頂上作戦・金暮死闘篇である。

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2014年6月16日 (月)

今はただ怨みもあらじ諸人の命に代わる我が身と思えば・・・と別所長治(岡田准一)

説明不要の責任者が自己犠牲に酔った辞世である。

二週連続辞世かよっ。

主君が家臣に名前の一部を与えることを諱と呼び、ある種の褒美にあたる。

別所長治の長は織田信長の長である。

信長は臣従した別所の総領に諱を与えて厚遇したのである。

しかし・・・情勢判断を誤った別所家家臣団は・・・主君を自害に追い込んだのである。

では・・・別所長治は誰を怨んだのだろうか。

敵対した織田家か・・・。

それとも謀反を唆した家臣団か。

あるいは謀反をさせながら援軍をよこさなかった毛利家か・・・。

まあ・・・敗軍の将は自分の不明を恥じるべきなのだろう。

ザックもまた然りである。

7回勝てば優勝じゃなかったのかよっ。

信長は前年の天正7年9月、娘婿である松平信康を実の父・徳川家康に命じて切腹させている。

二年連続・・・諱を与えたものを切腹させた信長・・・第六天魔王の面目躍如である。

で、『軍師官兵衛・第24回』(NHK総合2014061508PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は13行で・・・クララが立ったじゃなくて・・・官兵衛が立ったじゃなくて・・・一行増えたのですが・・・しかし、イラストは渾身の織田信長地獄の帝王黒田官兵衛地獄の使者の豪華二大描き下ろしでお得でございます。地獄の悪約プロレスラーのタッグチームでございますねえ。しかし・・・せっかく悪の官兵衛登場で盛り上がりを見せたのも一瞬、青面獣のように大きな痣を残せばいいのに・・・どんどんきれいになっていくメイクとともに・・・いつものお人よし官兵衛に逆戻り・・・一回で終わりかよ・・・どんだけ悪の持続力ないんだよ・・・でございました。なんかもう・・・「乾杯戦士アフターV」と大差ないドラマのクオリティーだな。だし(桐谷美玲)の怨霊アンコール出演が唯一の救いだな。ふう・・・だからためいきはコメント欄でつけと何度言えばっ。

Kan024天正八年(1580年)正月、三木城に籠城中の別所長治は・・・包囲中の羽柴秀吉軍の降伏勧告を受け入れ、城主・長治、正室の波多野照子、嫡子・千松丸、弟・友之ら一族の自害によって開城となった。摂津の有岡城、丹波の黒井城という連携相手を失い孤立しての憤死である。まあ、ある意味三国同盟でイタリア、ドイツに先に降伏された帝国のような運命である。欲しがりません勝つまではなどと言い出したらまず勝たないのである。波多野氏、荒木氏、別所氏の降伏により、孤立した石山本願寺の顕如は正親町天皇からの調停による和議に応じる。四月、顕如は紀伊国に退去し、本願寺残党は口惜しさ余って放火し、石山本願寺は灰燼に帰する。寺に火をつける罰あたりな坊主たちだったのである。荒木村重は有岡城から尼崎城、尼崎城から花隈城と後退しながらなおも抵抗を続けている。七月、花隈城を織田軍の池田一族が落城させ、ついに村重は落ち武者となった。それでも村重は生きのびるのだった。八月、近畿戦線の終結を見定めた信長は積年の怨みを込めて老臣・佐久間信盛を高野山に追放する。よほど無能だったのだろう。もちろん・・・本願寺攻略戦において荒木村重の謀反を招いた監督不行き届きが根本にあったと考えることができる。十一月、かって・・・信長への謀反歴がある柴田勝家は・・・蒼ざめて加賀一向一揆を制圧し、能登国・越中国にも侵攻した。よほど信長の目がこわかったのだろう・・・。ついに信長は東西両面作戦が可能な局面に到達したのだった。東の武田、西の毛利は風前の灯となった。西に羽柴秀吉、東に徳川家康。信長の両サイドは完璧な布陣になっていた・・・。

小寺藤兵衛政職は播磨灘を望む名もなき浜辺に潜伏していた。

毛利家の使者を名乗る草のものが手引きして・・・ここまで逃亡してきたのである。

怯える小動物のような表情を浮かべて、藤兵衛は身をすくめていた。

「舟の準備ができました・・・」

「さようか・・・」

「後は舟の揺れにまかせて落ちるがよろしかろう・・・」

「儂はどこへ参るのかのう・・・」

「もはや播磨には小寺様に同心するものはおりませぬゆえ・・・安芸に向かうのでございます」

「毛利は・・・儂を受け入れてくれるのか」

「もちろんでございます・・・なにしろ・・・敗れたといえども・・・小寺家は毛利のお味方・・・」

「そうじゃのう」

その言葉にようやく安堵して・・・藤兵衛は浜辺へ出た。

いかにも頼りなげな小舟が待っていた。

「その方は・・・参らぬのか・・・」

「拙者にはまだ草としての役目がありますれば・・・後は船頭がご案内しますので・・・」

藤兵衛は単身だった・・・一族郎党はすでに離散している。

やがて憐れな藤兵衛を乗せた小舟は沖へと漕ぎだし・・・たちまち視界から遠ざかる。

「はてさて・・・何の手柄もなきものを・・・毛利はどうするかのう・・・」

忍びの者は仮面を取り出した。

竹中半兵衛の命により・・・藤兵衛の脱出を手助けしたのは赤影であった。

播磨国に藤兵衛を残しておいては支障が出ると・・・今は亡き半兵衛は読んでいたのである。

官兵衛に独立を促し、秀吉の陣に加えることが・・・勝利への道だった。

赤影は半兵衛の未来予測の真髄を疑う気はなかった。

忍びのものは・・・ただ命に従うまでと思い定めているのだ。

播磨の浜辺を風が渡って行った。

安土城天主の間。

信長は葉蔵を呼んだ。

しかし、現れたのは忍びの一族・・・森の乱丸である。

「いかがした・・・」

「葉蔵は・・・老いによりて死にましてございます」

「であるか・・・」

「この乱丸が御用を承りまする」

「・・・」

信長は心に幽かに揺らぐものを感じる。

それは信長の感傷だった。

(あれも死ぬまでよう働いた)

言葉にならぬ思いがほんの一瞬、信長に沈黙を強いた。

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2014年6月15日 (日)

監督の強打の指示に逆らってバントする選手って最高だ(二宮和也)

えーと・・・この期におよんで・・・このドラマが熱血スポーツドラマのジャンルに属していると考える人は少ないと思うが・・・。

あくまで・・・柚子(有村架純)と監督と城徳ナイン、そして他校の野球部員のラブ・コメですので・・・お間違えのなきように。

そりゃ・・・あんただけだろう。

え、違うの。

違うぞ。

だって今回の名場面は・・・ストーカー志方(桜田通)が人さし指をにぎにぎしてもらえるシーンだろう。

ご褒美の前払いかっ。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・第10回』(日本テレビ20140614PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・池田健司を見た。ドキドキしたぞ・・・雨天コールドもありだったからな。関東地方、ものすごく雨が降ったからなあ。雨男がいるんだな。うん・・・雨男がな。編集がつながらなくなるからもうずっと雨が降ってたことにしたんだな。高校野球で不完全燃焼した主人公・田茂青志(二宮和也)が監督になって失われた青春を取り戻すということでは今回が最終回だったな。しかし、それで終わらないのがこのドラマの特別なところなんだよねえ。ほのぼのしてるよねえ。

「試合を楽しもうなんて言ってるやつには頭にくる・・・勝負なんだから勝ちにこだわれ」と往年のサッカー選手が一言する季節である。

まあ・・・勝ちにこだわるから・・・「最高のプレーを引き出すリラックスをするためにエンジョイする」というメンタルの話なんだけどな。

しかし・・・バカは本当にエンジョイしちゃって勝負を忘れるからな・・・。

とにかく・・・そこそこ強い平塚武宮高校を弱いくせに葬ってしまった小田原城徳高校は・・・後六回勝てば甲子園である。

しかし・・・立ちふさがるのは優勝候補の堂東学院高校。

青志から野球を奪った相手である。・・・まあ、青志が一方的に挫折しただけなのだが。

青志は下位打線に好打者を集中させる奇策で挑む。

四番打者スラッガー白尾(中島裕翔)との勝負が終わった後の心の隙間を尽く作戦である。

確率論で言うと・・・野球の得点とは三割打者によって作られるものである。

ここでは全員が打率三割三分三厘という三回に一回ヒットする打者で考えてみよう。

先頭打者打者がヒットで出塁すれば・・・二人がアウトになった後、四番目の打者がヒットすることになる。

そのために・・・先頭打者は盗塁やバントなので・・・二死の間にスコアリングポジション(二塁)に進塁するわけである。

これで一点を取るというのが野球の得点の基本なのだ。

実際には・・・打者一巡のヒットとか・・・ノーヒットノーランとかがあるわけで・・・経験論から「打線は水もの」という言葉も生まれるわけである。

そういう意味で・・・青志が勝負を考えれば一番に白尾を置くのが正しいのだが・・・別に青志は正しいことを求めているのではない。どんな手段を使っても勝ちたいだけなのだ。

もちろん・・・戦力的に不利な戦いで・・・指揮官が・・・「奇襲」を口にするのはお約束なのである。

だって、まともにやっても勝てないんだもんね。

しかし・・・正攻法と違って奇襲は失敗のリスクも高まるわけである。

昔の戦争では・・・真珠湾の奇襲に成功した帝国海軍のおかげでトーキョー、ヒロシマ、ナガサキなどで千倍返しされてしまうわけである。

「奇襲」とはそれほどまでに・・・強いメンタリティーを求められるものなのだった。

もちろん、最後に勝つのは「一番勝ちたいと思った人」なのである。

なぜなら・・・人間一人一人の能力なんて大差ないからだ。

ゴジラと比べたらな。

とにかく・・・「より異常な野球を求めて」・・・偏差値の高いナインは頭を使うのだった。

一方で・・・平塚武宮高校を敗北に導いた柚子の母・楓(薬師丸ひろ子)は容赦なく、平塚武宮のエース・国友悟(井手大稀)を城徳高校野球部のバッティングピッチャーとして借り出す。柚子のストーカー2号である国友は喜び勇んでかけつける。

ここで・・・「ゆず」と名前で呼んでおいて恥ずかしくて「たるみ」と姓で言い直す・・・赤岩(福士蒼汰)の隠しきれない恋心が炸裂し、ナインをニヤニヤさせるのだった。

恋仇の白尾はニヤニヤしながら柚子を「ゆずたるみ」と呼んでみるのだった。

まさに・・・ラブコメである。

ロマンチックをつけてもいい。

そして・・・ガールフレンドとのデートの時間も惜しんで素振りをするセカンド樫山(鈴木勝大)・・・。ガールフレンドの飯室芽衣(藤原令子)は不満だが、野球に興味はないので応援には来ないのだった。

そして・・・元陸上部の岡留(間宮祥太朗)は牛丸(栁俊太郎)と秘策を練る。

さらに・・・キャプテンの江波戸はキャッチャーとして敵バッターへの囁き戦術の練習をするのだった。

まあ・・・誰もが言うだろう。

そんなことで勝てたら・・・苦労はしないぞと。

しかし・・・ジャーナリストの利根璃子(麻生久美子)は・・・敗戦が縁の切れ目の青志との関係をなるべく長くエンジョイしたいともはや通い同棲状態なのだった。

「一試合でも多く勝ってね」

「まあ・・・勝つのは選手たちだけどな」

負けた時の心理的防衛にも余念がない青志だった。

最後に退学者・亀沢俊一(本郷奏多)は「納品日だから試合は応援できないけど・・・お前らなら勝てる」と気合いを入れて出番を確保である。

試合当日は雨天だった。

神奈川県予選・・・二回戦・・・堂東学院高校VS小田原城徳高校・・・。

堂東学院野球部監督・峠直介(川原和久)はチームのモチベーションの低さを気にしていた。相手が弱すぎるからである。

堂東学院のエース・近江聡希(宮里駿)はスラッガー白尾との対決以外は眼中にはなかった。

しかし・・・近江の別居中の弟・光安祐太(平岡拓真)はそんな兄に一矢報いることを目標にしていた。

「取れる球を取れ・・・そしていつでもフルスイング」

エース赤岩は淡々と打たせるピッチングを開始するのだった。

そして・・・。

D15j2_2五回裏の城徳の攻撃。得点差は13点・・・四点とらないと五回コールド負けが成立してしまうピンチである。このドラマを最初から見ているお茶の間の方々はすでに・・・涙ぐんでいるだろう・・・あの城徳が堂学相手に・・・五回まで・・・野球をしているのである。しかも・・・敵の攻撃を無得点に押さえたり・・・得点までしているのだ。「あの城徳に点を取られるなんて・・・」さすがの・・・エース近江も動揺する。

「敵のピッチャーを見ろ・・・あれだけ打ちこまれて平然としている・・・見習え」と思わず鞭を入れる峠監督だった。

もはや・・・打たれることに慣れ切った赤岩だった。

「白尾に回せ」と一丸となる城徳ナイン。そのためには・・・三人が累に出る必要があった。

ここでマネージャーの柚子は無限の女子ーズパワーを炸裂させるのだった。

ストーカー仕方は発情・・・いや発奮するのだった。

そして・・・満塁で白尾。

満塁ホームラン炸裂である。15-6の九点差で五回10点差コールドを免れる城徳。

しかし・・・。

D17j8七回裏の城徳の攻撃。得点差は9点・・・三点とらないと七回七点差以上コールド負けが成立してしまうピンチである。降り続ける雨の中・・・白尾まで回すためには四人のバッターが出塁しなければならない。

俊足の岡留が出塁・・・牛丸が続く。ここでバッターは岡留と特別な関係にある・・・キャプテン江波戸である。

英会話の囁き攻撃で敵を翻弄してきた江波戸だったが・・・「We Will Win(我等の勝利)」のために・・・監督の「いつでも強打」にあえて逆らうのだった。

江波戸がバントし、牛丸が転び、岡留が本塁急襲という・・・そんな馬鹿なのトリックプレーで・・・まずは・・・一点。

そして・・・光安祐太(平岡拓真)も兄から内野安打を奪い・・・二死満塁で・・・白尾。

ヒットが出れば・・・コールド負け回避の六点差の場面・・・。

光安は・・・兄から打てた喜びで我を忘れた。

兄は宿敵・白尾との対決よりも勝利を選んだ。

近江は打者と勝負せずに・・・牽制球で一塁ランナーの弟を殺したのだった。

カインとアベルである。

D17j9_3試合終了である。城徳高校は・・・七回コールド負けを喫したのだった。青志監督は・・・満足だった。現役時代には・・・たどり着けなかった遥かな高みに連れてきてくれた選手たちに感謝した。相手チームの峠監督は見た。勝つつもりで勝負して敗れた相手チームの口惜しい顔の表情を・・・。その努力の跡を峠監督は感じ取るのだった。対象外だった城徳高校は・・・弱いけど一応敵に格上げされたのである。

城徳ナインの夏は終わった。

「お前たちは・・・よくやった・・・次は勝て」

監督の言葉に元気に応じる偏差値高いナインとマネージャーだった。

ナインの夏は終わったが・・・ドラマは終わらない。

ラブコメだからである。

柚子と青志がゴールだってありえるのである。

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2014年6月14日 (土)

私は死神です。名前はまだありません(大野智)

人間は言葉によって独自の獣となったという。

言葉とは名前をつけることである。

「上」を指さして「空」と叫び、目を細めて「太陽」と呟く。

「自分」がいるから「他人」がいる。

そういう意味では「死神」もまた名前である。

「死神」も「悪魔」も「カラス」までもが・・・ファンタジーの世界では日本語を話す。

そもそも、「悪魔の契約」は「口約束」である。

そして・・・「名前」は・・・人間が思う以上の「力」を持っているのだ。

で、『金曜ナイトドラマ・・第8回』(テレビ朝日201406132315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・本橋圭太を見た。オンエア日は由緒正しい「13日の金曜日」である。たとえば・・・半世紀前なら「本能」は言葉としてかなりの力を持っていた。「男の本能」だの「逃走本能」だの「闘争本能」だの「母性本能」だのが飛び交っていたのである。まさに本能の時代だったのだ。しかし、本能ってなんだよという疑問が生じ・・・本能的な行動を恥ずかしいと感じる人々が増加して・・・本能は力を失ったのである。じゃあ・・・本能はどこへ行ったんだ・・・ということになるが・・・代わって力を得たのが「欲望」である。特に「食欲」は恥ずかしいほどに世界を支配しているようだ。さらに「欲望」が恥ずかしい人は「衝動」なんて言ったりします。つまり・・・「本能」も「欲望」も「衝動」も本質は同じなのである。本能的でも欲望的でもない衝動なんていうものはないのだが・・・人によっては「本能」よりも洗練されて「欲望」よりも複雑なものが「衝動」だと思ったりもするのである。ちょっと面白い。まあ、母性本能がくすぐられるより、母性欲望が燃えあがり、母性衝動に突き動かされるのがかっこいい時代なのかもしれない。・・・母性はあるんだな。

神が運営する世界で・・・「生死」を司る天使の組織の歯車である死神くんこと死神No.413号(大野智)はどちらかといえば不良品で・・・運営に支障が生じるのである。誤作動の原因になるので場合によっては部品の交換が必要となる。そうなれば死神くんは破棄されてしまうのである。天使に墓場はないので・・・それは存在の消滅を意味する。死神くんの付属品である監死官のカラス(桐谷美玲)も連帯責任で消滅してしまう。

たび重なる不祥事のために審査にかけられた死神くんだが・・・審査中も業務は遂行する必要があり・・・働かなければならないのだった。

「上司としてできるだけの弁護はする」という死神主任(松重豊)もまた歯車に過ぎないのだ。

使えない死神くんに罵詈雑言を重ねながら・・・カラスは・・・担当エリアの監死は怠らない。

不審な死の気配があれば・・・ただちに・・・死神くんに告げるのだった。

「死亡者リストにない人間が二人も死にそうだ・・・急げよ」

死神くんはマイペースで下界に降りるのだった。

裕福そうに見える会社経営者の内田克也(小市慢太郎)は妻の美恵(中越典子)と息子の翔太(髙橋來)を巻き込んでガスによる無理心中を計画していた。内田の経営する会社は巨額な負債を抱えて倒産したのだった。

幸せな翔太の誕生日は・・・死に満ちた宴で幕となったが・・・死神くんの通報により・・・救急隊員が到着し・・・三人は一命を取り留める。

「二人じゃなくて・・・三人じゃないか・・・しっかりしてくださいよ」と注意する死神くん。

「カスッ」と死神くんをノックアウトするカラス。「一人は死亡者リストに乗っているんだよ」

Photo克也は気がついていなかったが死の病に冒されていたのだった。

「一家心中なんてやめてください・・・あなたはもうすぐ死ぬんですから」

「なんだって・・・」

「死神が言うのですから間違いないのです・・・あなたの余命は後、三日です」

「じゃあ・・・ますます無理心中しないと」

「どうしてですか」

「私の家族は・・・ダメな人間なんだ・・・妻には生活力がないし、息子は出来が悪い・・・とてもじゃないが・・・私が死んだら不幸になるしかない」

「そんなこと・・・分からないじゃないですか」

しかし・・・実際、妻の美恵は虚栄心ばかりが強い無能な女だった。克也と結婚する前は有能なビシネスマンの父親に庇護され・・・資産家の令嬢として何不自由のない暮らしを送って来たのである。本人は・・・仕事ができる女のつもりだったが・・・すべては親の七光だったらしい。その父親も婿である克也の保証人になったことで経済的に困窮してしまったのである。

そして・・・幼い息子の翔太も・・・ピーマンが食べられない甘えん坊で・・・期待しすぎる両親の期待には何一つ答えることができないのだった。学校の成績も悪く、友達一つ作れないのである。

出来の悪い翔太に・・・自分自身を見出した死神くんは・・・「友達になろう」と近付くが・・・幼い翔太にジャニーズ系の魅力は反映しないのだった。

虚飾に満ちた両親に育てられた翔太は・・・虚飾にしか魅力を感じない。

「じゃあ、私が・・・」とカラスが登場するが翔太は本能的にカラスに恐怖を感じるのだった。

美恵の境遇を知った知人女性が清掃業者の正社員の口を紹介するが・・・生活レベルを落せない美恵はにべもなく拒絶する。

「そんなことになるくらいなら・・・死にたいぐらいなんて・・・情けないとは思えいませんか」と忠告する死神くん。しかし・・・美恵は聞く耳を持たないのだった。

両親が運命に翻弄される間に・・・不遇を感じる翔太。

そこに悪魔(菅田将暉)が現れる。

虚飾そのものである悪魔にたちまち魅了されてしまう翔太。

「願い事を叶えるよ」

「じゃあ・・・友達になって・・・」

「と・・・友達に・・・」

第一の願いをかなえた悪魔は・・・契約上、厳密な意味で「友達」になってしまうのだった。

悪魔としてはこの時点でオチているわけである。

人間の友達とは違う。契約上の「友達」は・・・けして友達を不幸にはできないのだ。

なぜなら・・・友達を不幸にしたら・・・もはや「友達」ではなくなってしまうのだから。

喜んでかっこいい友達を両親に紹介する翔太。

「みっつの願いをかなえたら魂を盗られる」相手に・・・さすがの両親も蒼ざめるのだった。

克也も美恵ね・・・我が子の幸せを願う父親と母親に過ぎなかったのである。

我が子の不幸に接して・・・克也と美恵は覚醒したのだった。

しかし・・・死神くんの説得も虚しく・・・翔太は暴走していく。

第ニの願いし「壊してしまった父親からのプレゼントを直して」だった。

突然、故障の直ったラジコンカーに衝撃を受ける美恵。

「そんなことを・・・願ってはダメよ・・・」

しかし・・・幼い翔太にそんな理屈は通じない。

「ママのために・・・ピーマンを食べられるようになるよ」

「待って・・・」

しかし、翔太は苦手を克服してしまうのだった。

絶句する一同。

そこへ悪魔がやってくる。

「そうだ・・・確かに翔太は第三の願いをした・・・ピーマンを食べることができるようにって・・・だけど・・・俺が魔力を使う前に・・・翔太はピーマンを食べたよ・・・自分で好き嫌いを克服したんだ」

「えええ・・・」

悪魔は茫然としていた。

悪魔の力の深淵を感じていた。

友達を不幸にできない悪魔は・・・最大級の不幸である第三の願いを叶えることが実行不可能になってしまったのだった。

悪魔は自己嫌悪でいっぱいになった。

「友達って・・・最悪だな・・・悪いことが・・・何一つできないんだぜ・・・吐き気がする」

「なんていうか・・・超ラッキーな展開じゃね」とカラス。

「・・・」

死神くんは翔太に悪魔よりかっこ悪いと言われたことに傷ついていたのだった。

ただの子供である翔太によって・・・ただの親になった克也と美恵は・・・克也の最期の時を親子三人で分かち合うのだった。

死神くんの審理は結審した。

「情状酌量による寛大な処置が出た。今後ミスをしなければ処分は見送るということだ」

「ありがとうございます」と喜ぶ死神くん・・・。

「ボケがっ・・・今度一回でもミスったら処分されるってことじゃね」

「え」

死神くんとカラスの運命は最終回のゲスト・・・不慮の死の帝王ともいえるあの方(田中圭)に委ねられるのだった。

う~ん、ナイスキャスティング。

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2014年6月13日 (金)

ストッキングを買わされる女(小泉今日子)と地蔵の気持ちがわかる男(中井貴一)

さあ・・・いよいよ、男子サッカーワールドカップ開幕である。

みんながバタバタと最終回に駆け込む中で悠然と展開する鎌倉の恋の物語・・・。

余裕だな。

エンディングでみんなが踊るダンスのシーンが毎回、微妙に変化して・・・今回はゲストが見事なダンスを披露している。

今週は・・・「花子とアン」「MOZU Season1〜百舌の叫ぶ夜」「トクボウ 警察庁特殊防犯課」と三本かけもちの吉田鋼太郎がトークショーで「おやすみ/井上陽水」をギターの弾き語りで披露していたが・・・さすがは芸能人なのである。

素晴らしく出来る人たちのことをなんとなく出来ない人が素直に楽しむ世界は平和である。

喜びも悲しみも・・・人生の突き当たりまでの話なのである。

で、『続・最後から二番目の恋・第9回』(フジテレビ20140612PM10~)脚本・岡田惠和、演出・加藤裕将を見た。些少のニュアンスの違いはあるが演出家が誰でも・・・ほぼ同質の世界を描くことができる・・・脚本の力強さが半端ないのだなあ。今回は・・・長倉家と極楽寺の駅の間の通勤路が披露されるのだが・・・そういう場面もちょっとうれしくなるくらい・・・ドラマ世界が存在しているわけである。ここで・・・あまり・・・運動をしている風には見えない四十八歳のヒロインが息切れして、優しい隣人の手助けを拒むシーンが展開され、さりげなくフリと最後のオチを成立させていく。フリとしての「遅刻なんですけど」を発しない長倉えりな(白本彩奈)は大人たちに甘えたり構ったりせずにさっさと通学のために出発する。それもまた歳月の流れのひとつのオチなのである。もちろん・・・コントとしても・・・差し迫った時間にみんなが同時に気がつく一体感は微笑ましいフリオチの完成なのだ。フリとオチが巧妙に錯綜する脚本は・・・もはや神々しい。

前夜・・・ついに激突する千明(小泉今日子)と未亡人・薫子(長谷川京子)である。

薫子には「セフレ」の謎があり・・・本当に肉体交渉だけを求めるセックスフレンドの略なのか・・・何か別の言葉で勘違いしているという問題・・・和平(中井貴一)を争う二匹の雌という構図なのかどうかは微妙だが・・・千明が最悪でも彼なら・・・と考えているらしい相手の周囲に存在する美人として・・・千明としては心穏やかではない相手なのである。

相手はまっこうゆとり世代なので・・・ひとまわりも違う年齢差をものともせずに・・・千明の心中に斬りこんでくるのだった。

「男の前で涙を見せたら負けだと思ってるから・・・」

「何で勝負してるんですかあ」

「・・・」

「悲しい時と泣きたい時って違いますよねえ」

「違うの?」

「悲しい時は一人でも泣けるけど・・・泣きたい時は誰かの胸を借りたいじゃないですか」

「・・・」

「涙は女の武器っていうけど・・・それで幸せになれるなら・・・素手で殴り合うよりいいですよね」

「・・・」

「千明さんは・・・和平さんのこと、どう思ってるんですか」

「えっと・・・」

「和平さんはどう思ってるんでしょう」

「なんなら・・・呼んじゃう」

「呼びましょう・・・私も呼んでみますね」

完全に勝負を挑まれた千明なのである。

しかし・・・爆睡中の和平は・・・お地蔵さんパワーで危機を回避したのである。

翌朝・・・和平の表情から・・・娘と二人の妹・・・典子(飯島直子)と万里子(内田有紀)は和平が何か「優柔不断系」の行動をとっていることを察する。和平・・・読まれ過ぎである。

つまり・・・どちらにも折り返しをしなかった和平なのである。

そこへ・・・千明も現れて・・・和平の優柔不断さを袋叩きにするのだった。

朝から半殺しにされた和平は開き直るしかない。

「優柔不断で何が悪い・・・優しく柔らかく断らない・・・悪いところはないじゃないですか」

「おじさんが天使だった時みたい」とこっそり叔父・真平(坂口憲二)に大人モードで擬えるえりなだった。

「私は博愛主義者なんです」

「なるほど」

「宮沢賢治にもあるでしょう・・・雨ニモマケズ風ニモマケズ・・・ええっと」

「雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチですよ」とエリートとしての教養をさりげなく見せる千明。

「とにかく・・・東ニ病気ノコドモアレバ行ッテ看病シテヤリ的にみんなのことを思っているという」

「でも・・・この詩の最後の方・・・知ってます」

「最後の方って・・・」

「ミンナニデクノボートヨバレホメラレモセズクニモサレズサウイフモノニワタシハナリタイ」ですよ。

「・・・」

千明は・・・別に勝ちたくて男に勝つわけではない・・・つい勝ってしまうのだなあ。

そして・・・結婚したくないわけでもないのに・・・気がつけば昔なら「結婚できない可哀想な女」になってしまっているのだった。

まあ・・・そういうことに今も昔もないけどな。

そして・・・実は結婚している過去があり・・・そう言う意味では千明より女子力があるという伊佐山市長(柴田理恵)はなりふり構わぬ告白である。

「実は・・・私はあなたに恋しています」

「ええっ」

「だからといって・・・あなたとどうこうなろうという気持ちはありません・・・それともありますか」

「いえ・・・」

「答えなくてもいいのです・・・私は片思いには二つあると思っています・・・相手にその気がない片思いと・・・その気があるのかどうか分からない片思い・・・できれば後者でお願いしたいと思っています」

市長命令である。

今回は・・・ついに・・・市長問題がクリアされたようだった。

さらに・・・和平は薫子にも問いつめられる。

「私のこと・・・好きですか、嫌いですか」

「それは好きです」

「女としてはどうですか」

「すみません・・・」

「それならセフレになれますね」

この謎の展開・・・普通に考えれば・・・女=セックスなので意味不明である。

そう言う意味で・・・回答する和平。

「愛がなければそういうことはちょっと・・・」

すると悲しげに席を立つ薫子。

とにかく凄く欲求不満なのか・・・男なしではいられない身体とか・・・でなければ「セフレの謎」は深まるばかりなのだった。まあ・・・最終回まで間があるからな・・・。

さて・・・今回のゲストは・・・霧に閉ざされた千明の故郷からの刺客・・・ブレイクダンスの得意な幼馴染のテル(風見しんご)である。

あえて言えば・・・千明の初恋の・・・無論片思いの相手と言うことになる。

千明が・・・ずっと恋愛の縁のない生活をする原点である。

あえて言えば・・・千明は偶然を装った再会にときめいているのである。

しかし・・・テルは単に「ストッキング」の行商にきたしがないセールスマンだった。

千明の経済力が目当てだったのである。

もちろん・・・千明は買うのだったが・・・そういうことなら偶然を装わないで・・・素直に「買ってくれ」って甘えてもらいたいのである。

もちろん・・・深層心理的には「恋愛目的」ではなかったことが腹立たしいのだが・・・それはさすがに・・・セリフにできない千明だった。

だから・・・もやもやするのである。

せつないのである。

そして・・・今夜のその時がやってくる。

自分の心を持て余した・・・夜の駅前で・・・ついに・・・意中の人に電話をする千明だった。

秀子(美保純)と知美(佐津川愛美)の母親から拝まれるほどのお地蔵さんのような男は断らないと知っているからだった。

「私・・・勝ちたくて勝ってきたわけじゃないよ」

「うん・・・あなたはただ・・・一生懸命生きてきただけでしょう・・・宮沢賢治系で・・・」

「・・・」

ついに男の前で泣いてしまう千明だった。

酔い潰れた千明を和平が背負っての家路。

「でも・・・あなたのそういうところが好きですよ」

「・・・」

「夢の中か・・・もっと近い店にしておけばよかったな・・・」

四十代の女を五十代の男が背負うのは・・・ある意味、地獄ですからな。

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2014年6月12日 (木)

コーヒーが苦いのよ(安達祐実)裸エプロンで玉子炒飯を(伊原剛志)トクボウ 警察庁特殊防犯課(松下洸平)

このドラマが谷間でようやく登場である。

今年の春ドラマの充実ぶりが窺われる。

・・・二週間くらい・・・超マイナードラマに寄り道してただろう。

あれは・・・あれで大切な思い出です。

とんでも警察ドラマとしては・・・「コドモ警察」に匹敵する面白さである。

まあ・・・ドラマとしては「コドモ警察」よりずっとまともだがな。

とにかく・・・安達祐実がかわいいのである・・・結局、そこかよっ。

で、『トクボウ 警察庁特殊防犯課・第1回』(日本テレビ201404032359~)原作・高橋秀武、脚本・福田卓郎、演出・植田尚を見た。警察庁生活安全局特殊防犯課指導係(フィクション)の朝倉草平警視(伊原剛志)は上司の叶美由紀警視正(安達祐実)の命令に従い・・・社会にはびこる害虫に神妙にお縄を頂戴させ・・・業務内容の改善を促すための徹底的な指導を強制執行するのである。早い話が・・・悪い奴をお仕置きする係です。

ちなみに例の資料で確認してみよう。

巡査 遠藤鶴(本刈屋ユイカ)「ゴンゾウ 伝説の刑事」

巡査部長 恩田すみれ(深津絵里)「踊る大捜査線」

警部補 柴田純(中谷美紀)「ケイゾク」

警部 大澤絵里子(天海祐希)「BOSS」

警視 銭形舞(堀北真希)「ケータイ刑事」→朝倉警視

警視正 銭形愛(宮崎あおい)「ケータイ刑事」→安達祐実

警視長 沖田仁美(真矢みき)「踊る大捜査線」

警視監 銭形泪(黒川芽以)「ケータイ刑事」

警視総監 橘朝子(かたせ梨乃)「奥様は警視総監」

二人は結構、警察の偉い人である。つまり、宮﨑あおいと堀北真希と同じくらい偉いのだ。その理解の仕方はどうなんだ・・・。第一朝倉が役名なのに、叶は芸名じゃねえか。

そんな二人の偉い人たちにまきこまれ苦労するのが警視庁豊島警察署刑事課から出向になった辻恵一(松下洸平)で・・・いい味出している。

叶警視正は・・・正義感が強すぎて追及してはいけない巨悪を追及する傾向があるために・・・警察庁の片隅のこの部署で飼い殺しにされており、お目付役として柏木警視長(宅間孝行)の監視を受けている。

しかし・・・その欲求不満を晴らすために・・・叶警視正は特殊な能力を持つ朝倉警視に悪党をいびらせているのだった。

すでに・・・一同爆笑の設定である。

しかし・・・その特殊能力とは・・・団鬼六先生も御照覧あれの緊縛術なのである。

美女を縛ってもらいたいのは山々であるが・・・朝倉警視は毎回、かなりつまらないものも縛ります・・・だが、そこが面白いという考え方もあります。

都内某所で・・・男性の変死体が発見される。

自動車部品工場作業員の吉岡努(工藤優太)である。

大豆アレルギーだった吉岡の体内からは大豆が発見され・・・恋人の津村愛(多岐川華子)にも疑惑が向けられるが・・・現場に現れた朝倉警視は・・・所轄の辻刑事に・・・吉岡と津村が初めてのデートで訪れた「リストランテ峰岸」の開店前の行列に並ぶように指示するのだった。

「しかし・・・大豆が入ってないことは確認済みですが・・・」

「メニューに大豆が入っていないからといって入っていないとは限りません」

「食品擬装・・・ですか」

ノーリミットの高級フレンチをノーリミットのお手頃価格が売り物の「リストランテ峰岸」だったが・・・味にうるさい叶警視正が客として訪れ・・・疑惑を持ったのである。

階級社会のパワーで辻警視に無理難題を押し付ける朝倉警視。

潜入捜査と称し、「リストランテ峰岸」でアルバイトさせ、ゴミを漁らせ、ついには自宅でシャワーの後の裸エプロンで玉子炒飯を作らせるのだった。

「おかしい・・・」と思いつつ、何故か逆らえない辻刑事なのである。

ちなみに朝倉警視は大の玉子好きで・・・生卵かけご飯、味玉子ラーメン、オムレツと様々な玉子料理が登場するのも見どころだす・・・玉子嫌いな人はそうでもないがな。

ゴミの中からザリガニを発見した朝倉警視。

「どういうことですか・・・」

「君が食べた伊勢エビはザリガニだったんですよ」

「リストランテ峰岸」のオーナー峰岸邦夫(名高達男)は食材擬装などしていないととぼけるが・・・良心の呵責に耐えかねたシェフの国立(高橋洋)は自殺する。

すべての罪を国立に着せた峰岸・・・。

しかし・・・朝倉警視の強制執行からは逃れられない。

「証拠はすべて処分した・・・」

「なんだ・・・これは・・・」

「あなたの声ですよ」

「盗聴したのか・・・そんな違法捜査で得たものに証拠能力はないぞ」

「証拠はいらないんですよ・・・起訴ではなく強制執行ですから」

「なんだって・・・」

たちまち豪華な屋敷の食卓に恥ずかしい姿で縛りあげられるオーナー。

(なんだこれ・・・なんで亀甲縛り・・・なんでM字開脚・・・強制執行って聞いたことねえ・・・)

立ち会っていた辻刑事は唖然とするのだった。

「いたい・・・いたたたた」

「汗水たらして働いて作った金で・・・彼女のために御馳走した男は・・・あんたの欲望のために・・・命まで失くしたんだ・・・その痛みはこんなもんじゃないぜ」

「いたい・・・いたたたた」

「あんたのことも調べさせてもらったよ・・・あんたも大豆アレルギーなんだってな・・・」

「いたい・・・いたたたた」

「あんたのところの倉庫からいただいたこの肉の味見をしてもらうぜ」

「いたい・・・やめて・・・死ぬ・・・・いたたたた」

「てめえが食えない肉を客に出すなんて・・・どんな料簡なんだよ」

「ごめんなさい・・・私が悪かった・・・もうしません・・・いたい・・・いたたたた」

縄を解いた朝倉刑事は念を押す・・・。

「業務改善が見られなければ再度強制執行しますのでご注意ください」

「ひーっ」

その帰り道・・・。

「朝倉警視・・・あなたは凄い人だったんですね」と辻刑事。

「害虫に噛みつくことしかできない・・・私も・・・害虫みたいなものです・・・はあ・・・死にたい」

とため息をつく朝倉警視。

悪人に対してサディスティックな朝倉警視だが・・・上司に対してはマゾの気配を漂わせる。

「コーヒーが苦いのよ・・・まったくコーヒーひとつ満足に煎れられないなんて・・・このクズ野郎が・・・」

叶警視正の罵倒に耐える朝倉警視。

しかし・・・・二人にはまだ大いなる秘密が隠されているのだった・・・。

だが、とにかく・・・週に一回、叶警視に汚い言葉で罵倒されるなんて・・・もうそれだけで充分でございます。

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2014年6月11日 (水)

逢いたい人に逢えました・・・もげっ(北川景子)

いつまで・・・もげって言うんだ。

忘れられられないの・・・あの人が好きよ・・・なのです。

それにしても2007年の記事を見てみると・・・「モップガール」のレビューと「ちりとてちん」の一口メモが同時掲載で運命を感じるよな。時空を越えて・・・桃子(北川景子)と若狭(貫地谷しほり)が邂逅しているという・・・。

あれから七年である。

途中・・・休眠期間もあるわけだが・・・ドラマを見続ける旅はいつ果てるともなく続く。

「サイレント・プア」が終って・・・ちょうど谷間と言うのが凄いのである。

凄いと言えば片岡鶴太郎も凄い。

今回・・・出番がなかったが・・・「軍師官兵衛」で御着の殿を演じて・・・ここでは江戸時代の粋な戯作者、そして、翌日の月曜日には「極楽がんぼ」で狙われたお寺の住職である。

鶴ちゃん・・・人気爆発なのか・・・。

で、『みをつくし料理帖・パート2』(テレビ朝日20140608PM9~)原作・高田郁、脚本・吉田紀子、演出・片山修を見た。待ちに待った続編である。前回は秋のオンエアだったが・・・今回は梅雨時のオンエアである。原作も面白く・・・ドラマも面白い・・・こういう作品をレビューするのは難しい。できれば・・・様々に視点で語っていきたいが・・・夏バテなのである・・・早すぎるわっ。くう様がもう夏ドラマのラインナップをおあげになっているし・・・。それにしても北川景子は・・・「モップガール」や「悪夢ちゃん」でコメディーをそつなくこなす上に・・・こうして時代劇でもしっとりしたいい女を演じることができる・・・素晴らしい女優なんだなあ・・・。

文化十一年(1814年)といえば曲亭馬琴が「南総里見八犬伝」を書き始めた年である。馬琴は数えで四十八歳・・・「八犬伝」は完成までに28年の歳月を要したのだった。

それはともかくとして・・・紆余曲折あって・・・神田・元飯田町で料理屋「つる家」を再開した種市(大杉漣)と女料理人の(北川景子)である。ちなみに屋号の「つる」は種市の今は亡き娘の名前である。種市は・・・澪を娘の生まれ変わりとして慈しんでいるのだ。

上方で名高い料理屋「天満一兆庵」で料理を仕込まれた澪だったが・・・今は女将の(原田美枝子)ともども・・・「つる屋」の使用人になっている。

澪は・・・江戸で生き抜くために・・・料理の腕を磨き、様々な名物料理を生みだしていくという趣向なのだが・・・様々な人間模様が渦巻いて行くのである。

芳の息子の佐兵衛は江戸で消息不明となっている。

また・・・澪の幼馴染・野江(谷花音)は吉原の花魁・翁屋のあさひ太夫(貫地谷しほり)となっている。

あさひ太夫は花魁の中の花魁・・・幻の花魁と言われる存在なのである。

そして・・・澪とあさひ太夫には心の絆が結ばれているのだった。

しかし・・・吉原の大門の向こう側は女郎以外女人禁制の場であるために・・・二人は再会することができないという設定である。

そして・・・二人を取り持つのが翁屋の料理番・又次(高橋一生)なのである。

他にも澪の周囲には様々な男たちが配置されている。

医師・永田源斉(平岡祐太)・・・。

そして、謎の浪人・小松原(松岡昌宏)・・・。

小松原は実は将軍の御膳奉行を勤める若年寄・小野寺数馬である。

澪は仄かに小松原に恋心を懐くが・・・あさひ太夫と同じように・・・小松原は雲の上の存在なのである。

逢いたい人に逢えない・・・恋しい人とは身分が違う・・・基本的にせつない話だが・・・澪には料理があるのだった。

あさひ太夫に料理を作り、小松原に料理のアドバイスをもらう・・・料理だけが・・・澪と二人をつなぐのである。

まあ・・・とにかく・・・複雑な人間関係がもつれあうので・・・ざっと整理するだけでも大変なのだが・・・こういう緻密な設定がうっとりする世界を醸しだすんだなあ。

さて・・・冒頭・・・いきなりの修羅場である。

吉原で刃傷沙汰が発生・・・のこぎ・・・刃物を持って遊女の菊乃(黒川智花)を追いまわす無粋な客が菊乃をかばったあさひ太夫を斬ってしまうのだった。

幸い一命をとりとめたあさひ太夫だが・・・吉原の暮らしに疲れた太夫は養生にも身が入らない。

又次に求められ・・・上方の料理を太夫に差し入れる澪・・・。

そんなある日・・・「つる家」の雇った奉公人のふき(石井萌々果)が・・・澪を目の仇としている料理屋「登龍楼」のスパイであったことが発覚する。

やがて・・・騒動は発展し・・・八朔と呼ばれ、街の女たちも切符を買えば吉原に出入りが許される葉月一日・・・。

澪はあさひ太夫のために料理人の職を賭し・・・「ふっくら鱧の葛叩き」を披露するのだった・・・。

まあ・・・ものすごく端折るとそういうことになります。

この味わいばかりは・・・見てもらわないとっ。

ところで・・・今回の騒動の仕掛け人は・・・戯作者・清右衛門(片岡鶴太郎)というところ。モデルは曲亭馬琴らしいが・・・とにかく・・・嫌な感じで入ってきて・・・最後にはおいしい所をもっていくという手である。こういう手を見るのも時代劇の一つの楽しさなんだなあ。

わかっちゃいるけどニヤリなのである。

「春は芽を・・・夏は葉を・・・秋は実を・・・冬は根を・・・美味しく食べさせる・・・」

そういう料理人が一家に一人いるといいのになあ・・・。

「お料理・・・美味しかった」

一瞬のことながら幼馴染との夢のような再会・・・そして泣きながらしゃがみこむ澪・・・。

もげっ・・・なんだなあ。

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2014年6月10日 (火)

悪いことしておいて善人面ってむかつくわ(仲里依紗)

ものすごくドス黒い話である。

こんなドス黒い話を月9でやって・・・誰が得するんだ・・・と思わないでもない。

しかし、やってしまったものは仕方ないよなあ。

さらに言えば・・・ものすごくいろいろと神経を使っているので・・・ドス黒さが伝わっていないんじゃないかと危惧する。

つまり・・・これは「凶悪事件の犯人を育てたものは死ね」という話なのである。

だけど・・・あれだぞ・・・少女を殺したり、少女を殺したり、少女を殺したりする奴の親なんて・・・普通だったりする場合もあるんじゃないかな。

鳶が鷹を生むってことあるんじゃないのか。

それでも・・・死んでお詫びしなくてはいけないんだろうな。

まともな親ほど死ぬよな。

救いようのない話だよな。

で、『極悪がんぼ・第9回』(フジテレビ20140609PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・池上純哉、演出・石井祐介を見た。尾野真千子が演じているので・・・とりあえずの情感は伝わっているのだが・・・ストーリーは物凄く難解だと思う。早い話がクズがクズを殺す話なのである。月9のヒロインだから・・・なんとか善意とか・・・人の良さを醸しだそうとするのだが・・・結局は「人間を食べちゃってごめんなさい」という話なのである。「でも悪く思わないで・・・」というふっきれなさがずっとつきまとう。これってエンターティメントとしてはギリギリのラインだよな。後味の悪さをお楽しみくださいという・・・。

小清水経営コンサルタントの小清水所長(小林薫)を囲む食事会。

組長・・・所長は監査と称して上納金の・・・所員の仕事ぶりを評価するのだった。

「冬月の・・・あがりが少ないのお」

冬月(椎名桔平)は蒼ざめる。

「夏目は看板に泥を塗った落し前・・・ビルのひとつもおさめてもらわんとのう」

夏目(竹内力)は蒼ざめる。

「抜道は・・・まあいいか」

抜道(板尾創路)は蒼ざめる。

「金子はのう・・・看板を返してもらおうかのう・・・」

金子(三浦友和)は失神しかける。

「冗談じゃ・・・金子には看板背負って東京に行ってもらおうかのう」

「東京に・・・」

金暮市(フィクション)から見ると東京は地の果てになるらしいが・・・広島市民以外にはまったくピンと来ない話である。・・・おいっ。

「行ってくれんかのう」

「しかし・・・ワシにはこっちにやりかけのシノギがあるんですわ」

「まあ・・・それが片付いたらということで・・・のう」

金子は結局、蒼ざめた。破綻銀行を巡る一件で結果的に組長と敵対したことが金子を心理的に圧迫しているのである。

「神崎の・・・そろそろ一本立ちせんとのう」

「はあ・・・」

神崎(尾野真千子)だけはアホなので所長の恐ろしさがもうひとつピンとこないのだった。

食事会の後で冬月に教えを乞う神崎。

「シノギのネタって・・・どうすればみつかるんですか」

「そりゃ・・・お前のようなクズを見つけることだ」

「私みたいなですか」

「そうだ・・・この事務所に初めて来た時のお前のようなクズを・・・な」

クズはクズからしか搾りとれないという話である。

しかし・・・底抜けのクズである神崎は素直にクズを捜しに出るのである。

そして・・・金暮市はクズに不自由しない街なのである。

巻上金融の巻上社長(宇梶剛士)を尾行した神崎は・・・600万円の借金が返済できずに闇の労働者市場に送り込まれる天枝太郎(六角慎司)を発見する。

「宗教法人は金になる」と小耳にはさんでいた神崎は・・・太郎が寺の跡取り息子と知り、借金回収に名乗りをあげるのだった。

だが・・・太郎の父親で住職の史郎(片岡鶴太郎)は放蕩息子の帰還に御立腹で・・・借金の肩代わりを拒否する。

「お前のようなバカ息子は・・・ガキの頃に捨てておけばよかったわい」と罵倒する史郎。

その言葉は・・・神崎の心の傷に触れるのだった。

神崎は・・・幼い頃に父親に捨てられた苦い記憶があったのだ。

「それでも・・・親か」

誰がどう見ても悪いのは息子だが・・・神崎にとって親は子供のどんな面倒も見なくてはならない・・・と思いたい心のゆがみを持っているのだ。

自分と他人の区別がつかない幼さが心に居座っている人間なのである。

「あんたんとこに金目のものはあるの?」

怒りに目が眩み窃盗を教唆する神崎だった。

「重要文化財があります」

「それって金になんの」

「そりゃ・・・もう」

神崎は太郎の手引きで寺の本堂に忍びこみ、「重文の硯」を入手する。

「そんなもの引き取れますかいな・・・盗品なので警察に通報せにゃならんとこですよ」

骨董品屋に常識を疑われるクズ二人である。

「あかんやないの」

「すんません」

仕方なく・・・抜道のアドバイスを受ける神崎。

抜道は授業料を求めず・・・業務提携を申し出る。

抜道は「相続の形で・・・太郎が寺の住職になればいい」と言うのだった。

太郎は一応、修行を積んでその資格を持っていた。

「しかし・・・檀家が相続を納得してくれるでしょうか」

「まずは檀家総代を押さえるんじゃ」

総代は家電会社に勤める茶柱(矢柴俊博)だった。

スーパハッカーだがハニートラップもこなす真矢樫キリコ(仲里依紗)に頼み、色仕掛けを仕掛ける一味・・・なんだかんだで茶柱の弱みを握るのだった。

「重文」を売却しようとした冤罪で・・・史郎を認知症に仕立て上げる算段である。

乗っ取りの成功を確信した神崎は自分を捨てた父親への怨みを史郎にぶつけにいくのだった。

「私も親に捨てられたんだ・・・子供を捨てる親なんて最低だ」

毒づく神崎を痛ましげに見つめる史郎だった。

子育てには失敗したが・・・史郎は先祖伝来の寺を守るまともな住職なのである。

「坊主丸儲けじゃからのう」と寺社ビジネスに夢膨らむ一味。

しかし・・・抜道は乗っ取りの主導権を奪う画策をしていたのだった。

太郎には別に借金があり・・・信用できないという理由で別の僧侶(加藤歩)が立てられたのである。

「そんな・・・あの家族はどうなんの」

太郎には・・・クズを匂わせる妻と・・・二人の幼い子供がいたのである。

神崎は結局、幼い子供たちから親を奪う手伝いをしていたのだった。

「両親はしかるべき所に沈んでもらい・・・子供たちは施設やな」

「そんな・・・」

「もう・・・話はすんどる・・・神崎はんの手間賃はしっかり払うで・・・」

手間賃・・・金・・・神崎は結局、それを手にしなければ自分が生きていけない身の上なのである。

事情を話して・・・寺の乗っ取りを阻止したら・・・一銭にもならないのだった。

抜道も逃げた女房の連れ子を育てるために稼がなければならないのである。

それが神崎の生きる世界の現実・・・。

監視役として史郎につけていた腐れ外道(三浦翔平)が報告する。

「あの坊さん、檀家を回って息子に寺を継がせる根回ししていたよ・・・結局、親バカなんだね」

「・・・」

「どうした・・・あんた」とキリコ。

「私・・・仕事・・・降りた」

「あんたも・・・半端な女じゃねえ」

「もらうものは・・・もらうから・・・」

神崎は寺を訪ねる。

「ごめんなさい・・・寺は人手に渡ります」

「・・・」

「息子さんは・・・他に借金があって・・・どうにもならんかった」

「頭をあげんさい・・・ありゃ・・・どうしようもないバカ息子じゃけん・・・それを育てたワシがクソ坊主っちゅうことじゃ・・・因果応報じゃけん・・・仕方ない」

「その上で・・・お願いがあります」

「・・・」

「息子さんのお子さん・・・つまり住職のお孫さんを引き取ってもらいませんか」

「認知症の爺に孫の面倒が見れるんかのう・・・」

「・・・」

史郎に引導を渡すための冤罪の証拠として・・・「重文の硯」を太郎から受け取る神崎。

その筋のものが太郎とその嫁の身柄を拘束する。

「これはどういうことです」

「他に借金があること・・・隠していたあんたが悪いんじゃけん・・・地獄で根性叩きなおしてもらうとええんじゃ」

「ひでぶ・・・」

幼い姉妹を連れて寺に着く神崎。

太郎は笑顔で迎えるが・・・姉妹は怯えて泣きだす。

「こんな人知らない」

「おうちにかえりたい」

「泣くな・・・この人があんたらのおじいちゃんや・・・お父さんのお父さんや・・・あんたのおうちはもうないんじゃ」

「おばさんも・・・泣いておろうが」

「泣いたらあかんのじゃ・・・泣いたら食われてしまうんじゃ・・・あんたらは泣かずにしっかりと生きんしゃい」

幼い三人の子供を太郎は慈愛の目で見つめるのだった。

寺は奪われてもそれなりに蓄えがあるのだろう・・・なにしろ坊主丸儲けなのである。

その頃・・・金子は・・・不動産経営者の地揚四郎(ラサール石井)と組んでなにやら怪しげな土地買収に励んでいるのだった。まあ・・・地上げなんだな。

物語は・・・いよいよ・・・組長と神崎のバトルに突入するのか・・・。

きっと・・・組長は・・・神崎の忌まわしい過去の関係者なんだな。

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2014年6月 9日 (月)

消ゆる身は惜しむべきにも無きものを母の思いぞ障りとはなる(桐谷美玲)

荒木村重の妻・だしの辞世はいくつか伝わっている。

「残し置くその嬰児の心こそ 思いやられて悲しかりけり」というのもあるが、一族皆成敗の際である。荒木村重の子が生かされてしまう理由はなく、その存在を歌うことはありえない。

乳母に託した子が本願寺の庇護のもと・・・後に岩佐又兵衛となるという説に従えば・・・自らの生母に託して・・・生みの親の心情を歌ったともとれる「消ゆる身は惜しむべきにも無きものを母の思いぞ障りとはなる」の方が心に沁みる。

また、だしが摂津池田家の血筋として武家の心得を持っていたことも滲み出ている気配がある。

だしの年齢は不詳だが・・・荒木村次の実母だった可能性はまったくないかと言えばそんなことはない。

処刑された荒木の娘は十五歳で懐妊中であった。かぞえ歳なので実年齢は十四歳前後である。だしの妹は十三歳で荒木越中守の妻となっている。・・・そういう時代なのである。

荒木村次が年齢不詳である以上・・・だしが実の母だったのかもしれない。村次の母は北河原三河守の娘とされているが・・・その名がだしであった可能性もある。

だしの父は池田長正とも、川那部左衛門尉ともされるがいずれも摂津の武将であり、血縁によって養女になることは珍しくもない。三人とも父だったということもあり得るのである。

だしが本願寺門徒の娘であっても・・・クリスチャンになったことを否定はできない。

そもそも信仰については緩やかな国柄なのである。

御利益がありそうならなんでも拝む傾向は土着していると言える。

「磨くべき心の月の曇らねば光とともに西へこそ行く」も伝わる辞世の一つだが・・・西が西方浄土なのか・・・西洋天国なのかも意見の分かれるところである。

何はともあれ、謎の女・・・だしは美人薄命と薄情な亭主の伝説の中で怪しく揺らめくのだった。

大河ドラマに戦国の定番美女がまた新たに加わったと言えるだろう。

まあ・・・最初にこれでだしを知れば「だしといえばクリスチャン」になってしまうかもしれないが・・・それもまたよくあることなんだなあ。

すべては四百年以上も過去の・・・時の彼方に過ぎ去った出来事なのである。

「書置も袖や濡れけん藻塩草消え果てし身の形見ともなれ」の藻塩草は潔く散っただしも末期の涙を流したことを示している。海藻の乾燥後に残る海水の塩分が・・・当時の塩だったわけである。

そのしょっぱさが実にはかない。味わい深い辞世と感じる。

で、『軍師官兵衛・第23回』(NHK総合20140608PM8~)脚本・前川洋一、演出・本木一博を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は十二行ですが生ける怨霊と化した・・・落武者仕様の荒木村重と・・・キリシタン以外には容赦ない高山右近の二大イラスト描き下ろしでお得でございます。一年に及ぶ監禁生活。しかも蟲の這う岩窟で。現代人なら発狂確実でございますよねえ。キッドなら一日でおかしくなりますな。百足に這われたら・・・と思うだけで蕁麻疹が出る勢いでございまする。もちろん・・・すべての人間は内に狂を秘めているとも言えるわけでございます。「はんべえのぐんぱい」という特殊効果アイテムで覚醒したような展開でしたが・・・できれば狂気の陰翳が滲む新しき官兵衛像をドラマに反映させてほしいものですねえ。まあ・・・あまり期待はしませんけれど・・・。デスラー総統越えは目指してもらいたいものです。とにかく、官兵衛が有岡城に特攻した後で、官兵衛の拉致監禁、信長の人質成敗、村重の敗北落城、官兵衛の生存救出、官兵衛の心的外傷、官兵衛の感謝感激まで・・・すべてを読み切った竹中半兵衛は神軍師でございました。一方、一般に馴染みのないだしというキャラクターを見事に演じきった桐谷美玲・・・さすがである。「マリア」に祈りを捧げた後の「殿・・・」・・・このあまり熱を感じないシナリオの中で一瞬、命を感じさせました。それにしても死後の延長ありとは・・・。また、夢落ちかっ。数多い辞世・・・。たくさんいる父親候補・・・。当時から悲劇の美女としてだしの人気の高かったことが偲ばれるのでございます。われもわれもなのですな。

Kan023天正七年(1579年)十一月、有岡城落城の混乱の中、城中に忍び込んだ黒田家の家来たちによって監禁中の黒田官兵衛は救出される。劣悪な環境のもとで一年におよぶ監禁生活を強いられた官兵衛は半死半生だったという。全身を覆う皮膚病。栄養不足、運動不足による骨の変形、様々な感染症によってその姿は二目と見られぬ姿に変貌していたと言われる。そういう史実の中で帝国スターとしては精一杯頑張ったと言える・・・変貌メイクだったと言える。息子・村次の籠る尼崎城に退去した荒木村重に対し、有岡城に残されていた荒木一族の子女多数を人質にした織田信長は荒木村重に降伏勧告を行い、待つこと一ヶ月・・・降伏の使者である荒木久左衛門ことだしの兄・池田知正が逃亡したことを知った信長は十二月、人質の成敗を決意する。信長軍は鉄の規律の元・・・略奪や婦女暴行を禁じられていたが・・・命令が下れば虐殺を辞さない。有岡城の人質のうち、荒木一族以外のものは滝川一益らの指揮により、尼崎城の目前で122名を磔とし、数百人を閉じ込めた屋敷ごと焼殺処分とする。また荒木村重の妻・だしなどの村木一門の子女30名ほどを京の六条河原で津田信澄の指揮により斬殺。処刑に際し、子女たちの衣装は美しく整えられており、信長の美学を際だたせている。罪人を辱めることなく殺すべきものを殺すのである。もちろん・・・そこに狂気を見出すものもいるのが人情というものであろう。天正八年(1980年)正月、有馬温泉での治療を終えた官兵衛は播磨国に帰国した。荒木村重は尼崎城から花隈城に退去し、その後、消息不明となる。見事な逃げっぷりである。

花隈城を攻めるのは尾張池田氏の池田恒興とその子・元助、輝政の兄弟である。すでに降伏した紀伊国雑賀の鉄砲衆がその指揮下に入っている。

花隈城に籠るのはすでに五百に満たない少数である。

対する織田軍は池田軍他一万与であった。

攻城戦といえども・・・掃討戦に近い。

織田軍の総攻撃の気配を村重は読んでいた。

花隈城代の従兄弟・荒木志摩守元清に防備を命じると嫡男の村次とともに本丸に籠る。

元清の正室はだしの叔母にあたる女であった。洛中での処刑のことは花隈にも伝わり、姉の娘たちの最後を知った正室は元清に嘆きをぶつけた。

「もはや・・・降るわけにはいかぬのですか」

「それは・・・できぬ・・・」

戦支度を整えた元清は・・・すでに大手門からなだれ込む池田軍の怒涛の進撃を見る。

「もはや・・・これまでか」

必死の抵抗を試みる元清の郎党たちもたちまち打ち取られて行く。

元清は村重に自害を促すために本丸に走った。

しかし・・・本丸に村重はいなかった。

本丸には城を預かる元清さえ知らぬ抜け穴があったのである。

村重と村次はそこから・・・地下道を通り、城外へ脱出していた。織田軍が突入し、城外が手薄になるのを見計らっていたのだった。

「なんと・・・」

元清は・・・従兄弟の不甲斐なさを暫し嘆じた。

それから・・・抜け穴に入り・・・落城寸前の城から逃げたのだった。

荒木一族は忍びの一族である。

城外に出てしまえば・・・忍びとして身を隠すことに造作はない。

こうして・・・一族のほとんどを犠牲にして・・・荒木の主は遁走したのである。

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2014年6月 8日 (日)

私はかってこのような悲惨な戦いを見たことはない(二宮和也)

・・・というのは嘘である。

なにしろ・・・小田原城徳高校(フィクション)の野球部監督は高校生時代にもっと悲惨な戦いを演じていたはずである。

しかし・・・悲惨であっても・・・敗北ではなく勝利・・・そこが初体験なのであった。

だが・・・もちろん・・・実際の高校野球の地区大会予選では・・・こういう試合がないことはないはずである。

いや・・・どうかな。

男子サッカーワールドカップ開催まで残り数日・・・。

選手たちもファンも胸は高鳴るのだった。

それは・・・小学生だって試合前にはドキドキするのである。

そういうときめきを甘酸っぱい気持ちで思い出すことが出来る人は・・・ある意味で幸せなのである。

高校野球のどんなチームにもはじめての夏や最後の夏がやってくる。

敗北しか知らずに去ったとしても・・・頂点に君臨したとしても・・・栄光のときめきは確かにあったと信じたい。

これは・・・それを・・・なるべくたくさんの人が思い出せるようにと作られたドラマだと考える。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・第9回』(日本テレビ20140607PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・菅原伸太郎を見た。フィクションなのであまりきつくは言わないが・・・7回裏の小田原城徳高校の攻撃・・・経過的におかしかったぞ~。ちなみにノーアウトランナーなしで・・・一死をとられた打者にもう一度打順が回ってくるためには・・・八人の打者がいる。満塁で残り五人。二死目を獲られた打者一人で残り四人・・・つまり四人がホームインして四点取っているのである。流し眼の伊勢田(阿久津愼太郎)、ストーカー志方(桜田通)、塁間無敵の岡留(間宮祥太朗)の三連打からのスラッガー白尾(中島裕翔)の満塁ホームランですでに四点取っているので・・・二死満塁で打席に入ったエース赤岩公康(福士蒼汰)は走者を二人返せば十点なので・・・ランニングホームランを打つ必要はないのだった。まあ・・・笑うしかないのだな。少なくとも野球が好きな人は笑ってください。

ちなみに・・・コールドゲームには様々な形式があるが・・・2000年度からは日本高校野球連盟通達で地方予選大会の場合、5回以降は10点差以上、7回以降は7点差以上ついた場合にコールドゲームが成立するということになっているらしい。

まあ・・・偏差値の高い若者たちの青春模様を楽しめる人には・・・説明不要だと思いますが・・・念のため。

「七回勝てば甲子園か・・・」

見果てぬ夢を見るナインとマネージャーの柚子(有村架純)・・・そしてジャーナリストの利根璃子(麻生久美子)だった。

公平な立場をもはや完全に逸脱した利根璃子である。

まあ・・・そもそも集団自衛権の行使に反対の立場でしか記事を書かないジャーナリストとか、死刑反対の立場でしかものを言わないニュースキャスターとかがまかり通る国もあることだからな。

特定の高校しか応援しない・・・高校野球の記者がいてもいいのか・・・それはどうかな。

まあ、これが主観を持って客観となせ・・・ということか・・・それもどうかな。

とにかく・・・「弱くても勝てます」と・・・運命の流れに身をまかせ・・・母校の高校野球の監督となった田茂青志(二宮和也)は青春の忘れものを取り戻す気満々なのである。

その目標は「強豪校撃破」・・・そして・・・高校時代のライバルにもなれなかった堂東学院野球部の臨時特別コーチ・谷内田健太郎(市川海老蔵)へのリベンジなのである。

そんな・・・燃える青志監督に感化されて・・・柚子の母・楓(薬師丸ひろ子)は平塚武宮高校のメンタル専門臨時コーチに就任する。

赤岩の父・晴敏(光石研)も武宮高校のオーナーであり、赤岩と柚子は・・・親との因縁の対決をすることになるのだった・・・まあ、そこは笑うしかないのである。

練習終わりの武宮野球部を浦瀬監督(酒井敏也)とともに・・・経営する喫茶店「サザンウインド」に招待する楓・・・。

遭遇した城徳野球部は物凄く気まずいのだった。

東海道本線で小田原-鴨宮-国府津-二宮-大磯-平塚である。片道410円で乗車時間20分だが・・・練習後の寄り道としては・・・結構だるいと思うぞ。

とにかく・・・スパルタ方式の浦瀬監督に対して「褒めて伸ばす指導」を標榜する楓コーチ・・・この指導部のまとまりのなさは・・・弱体化の方策なのではないか・・・。

そして・・・ただでさえメンタルに問題のある平塚武宮のエース・国友悟(井手大稀)の精神に微妙な影がさすのだった。

ある意味、恐ろしい赤岩の父と小田原の母なのであった。

いつの間にか、青志の情婦のような関係になっている璃子は・・・試合前の一夜を過ごすのだった。

いや・・・肉体関係はないんじゃないか。

そんな・・・年頃の男と女なんだぜ。

「負けたら・・・連載も終わるし・・・私はファッション誌に移動になるの・・・私たちの関係も終わりね」

「どんな関係にも肯定できる点はあると思う・・・もちろん・・・俺は・・・来年は・・・東京大学に戻るから・・・否定する点はなにもないのだけれど」

「ちっ」

ちなみに二宮和也(30)、麻生久美子(35)のカップルである。

まあ、あってもいいよね。

とにかく・・・なんだかんだで・・・神奈川県大会が始ったのである。

背番号「10」を監督から贈られた退学者・亀沢俊一(本郷奏多)は遠路はるばる応援に来る。

旅費は大丈夫なのか・・・。

「ノーリスクハイリターン」のギャンブルとして・・・一回10点差コールド勝ちを目指す城徳ナイン。

しかし・・・そもそも初戦というのは実力が発揮できないものである。

いや・・・そこにつけこむのが・・・弱者のアレじゃないのかよ・・・だが・・・とにかく、制球が乱れるエース赤岩・・・。

T13j0コールド勝ちどころか・・・三回表を終わって13-0である。五回10点差コールド負けしそうな城徳高校だった。しかし・・・打者たちは落ち着きを取り戻す。なんといってもベンチには神奈川大会きっての美少女マネージャー(推定)がいるのだ。そしてスタンドでは無念の涙を流した亀沢が応援しているのである。ネジネジ打法の牛丸(栁俊太郎)も憧れの利根璃子の前で発奮するのだった。

T16j5実験打線に火がついて・・・五回表が終って16-5である。点差は11点に縮まったが・・・まだコールド負け寸前の城徳ナイン。打ちこまれつつなんとか踏ん張る平塚武宮のエース・国友の帽子には「甲子園 柚子」の寄せ書き(母・楓による代筆)があって心の支えとなっている。もちろん・・・柚子のあずかり知らぬことである。

ちなみに・・・楓の豚の手のポーズは・・・「スタートレック宇宙大作戦」(1966年~)のバルカン星人スポックが示す長寿と繁栄を祈るバルカン指揮挨拶である。

下手にこれをやるとスターウォーズのファンに袋叩きに合うので注意を要する。

米国西海岸の話かっ。

「こんなところで・・・負けていられるか・・・絶対打て」と指示する青志。

そして・・・期待に応える実験打者たちだった。

T16j12_2猛攻でついに四点差につめよる城徳高校だった。16-12・・・すでに野球ではない何かのスコアであるが・・・まだまだこんなものではないのだった。とられたら倍返しの実験打線なのである。挙動不審打法が・・・メガ振り子打法が「威風堂々」と火を吹くのだった。平塚武宮のエース・国友も火だるまだったが・・・城徳のエース赤岩も負けてはいないのだった。とにかく・・・五回を終わってコールド負けをしていない奇跡の城徳高校なのである。

実況中継を校長室で聞く三条校長(笹野高史)も涙目である。

T21j18七回表を終わって三点差・・・裏の攻撃で10点とれば・・・七回コールド勝ちが成立すると選手を励ます青志監督・・・。もうなんだか・・・悪い宗教の勧誘レベルの説得力である。「甲子園で柚子に告白する予定」の白尾はついに満塁ホームランを放ち・・・スラッガーの実力を示す。21-22・・・ついに城徳ナインははじめてのリードを体験するのだった。思わず意気消沈する平塚武宮高校の浦瀬監督。

しかし・・・楓は・・・。

「根性をみせろ・・・闘志を燃やせ」とガッツを示す。

柚子も愛しい赤岩にエールを贈る。

しかし・・・赤岩は力み過ぎて三振。

赤岩の父は思わず・・・息子を溺愛する本心を見せる。

「ドンマイ」

ナインたちも声を出す。

「ドンマイ」

もはや・・・弱小高校とは言えない城徳ナインである。

そして・・・打者一巡・・・スコアは21-26(推定)・・・。

二死満塁・・・二塁ランナーが変えれば七回七点差コールド勝ちの成立である。

そして・・・赤岩はランニングホームランを放ち・・・踏まなくてもいい30点目のホームを踏むのだった。

御愛嬌である。

T21j28xとにかく・・・柚子は記念すべき初勝利のボールを青志監督に渡すのだった。

「これからが本番だ・・・俺たちの目標は強豪校撃破・・・優勝候補の堂東学院を倒してこそ・・・実験成功と言えるのだ・・・」

猛練習を重ねて来た・・・平塚武宮高校の夏は終わったのだった。

誰もが思うだろう・・・こんなところで・・・こんなやつらにと・・・。

そして、ストーカー志方は柚子にどんなご褒美をもらえるのかと。

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2014年6月 7日 (土)

死にたい人が死んで生きたい人が生きる・・・ハッピーじゃないですか(菅田将暉)なるほど(大野智)納得すんな(桐谷美玲)

とある密室。

「考え直してください・・・」

「でもねえ」

「悪魔に魂を売ったら地獄行きですよ」

「地獄でなぜ悪い・・・」

「魔王に食われちゃうんですよ」

「それはやだな・・・」

「でしょう・・・大人しく天に召されてください」

「天国で魂はどうなるの」

「神様が食されます」

「え・・・」

「・・・」

で、『金曜ナイトドラマ・・第7回』(テレビ朝日201406062315~)原作・えんどコイチ、脚本・橋本裕志、演出・筧昌也を見た。そもそも魂量の調整はいかなる神の摂理によるものなのか・・・といえば食事制限なのである。魂は生ものなので過剰に入荷すると生ごみになりやすい。もったいないから食べちゃったということでは神のウエイトコントロールに問題が生じるのだった。魂の管理体制なんてそんなもんである。なにしろ・・・人間は生簀の中の魚のようなものなのだから・・・ま、悪魔の言うことですが。

上司である主任(松重豊)の案内する霊界に属するものの寿命の部屋。部屋というにはあまりに広大なスペースである。その果ては暗闇に包まれている。まあ・・・広大な宇宙のすべての魂を管理しているのだから当然である。

そして・・・死神くん(大野智)とカラスの監死官(桐谷美玲)の寿命は風前の灯なのであった。

絶対に負けられない戦いが始っているのである。

しかし・・・死神くんにリベンジを誓う悪魔くん(菅田将暉)は死神くんの担当エリアで新たな勧誘活動を開始するのだった。

悪魔の仕掛けた「黒魔術ブーム」到来なのである。

悪魔にお願いしたい人倍増計画に戦慄を感じる死神くんとカラスだった。

黒の歌姫がいた。

「デビュー曲」で一世を風靡したシンガーソングライターの立花ゆかり(清水くるみ)である。

生きる苦しみを歌にした

死にたい気持ちを歌った

歌えるならどこでもいい

場所なんて選んでいられない

歌はそこそこヒットして・・・「天才少女」ともてはやされた。

ゆかりに憧れて街角で歌う少女に上から目線で優しく声をかける余裕もあった。

しかし・・・それも昔の話。求められるものに応えられない立花ゆかりはたちまちスランプに陥る。

自殺未遂をするほど追いつめられても次の曲は完成しない。

仕方なく・・・ゆかりはゴーストライター・マサト(弓削智久)を起用した。

しかし・・・所詮は借りものの歌である。

世間はゆかりにそっぽを向いた。

世界に絶望したゆかりの心は歪んでいった。

白の歌姫がいた・・・ゆかりに憧れて歌い始めたシンガーソングライターのAMI(唯月ふうか)だった。

ゆかりの背中を追いかけたAMIは・・・あっという間にゆかりを追いぬいた。

「きっと/AMI」はシングルチャートの1位を独走する。

ゆかりは・・・AMIを呪う。

そして・・・悪魔くんを召喚するのだった。

楽屋の鏡から抜け出す悪魔くん。

「お呼びですか・・・」

「私の新曲を私の最大のヒット曲にしてよ」

「第一の願い・・・承りました・・・」

やがて・・・発売になった「innocent blue/立花ゆかり」は好調な売り上げを見せる。

何色の空が好きと君は聞く

離れる道行く未来とも知らず

しかし・・・ヒットチャートは・・・。

第1位「きっと/AMI」

第2位「innocent blue/立花ゆかり」

怒りに我を忘れるゆかりの前に死神くんとカラスが現れる。

「いけませんねえ・・・悪魔の言葉に惑わされるなんて」

「どういうことよ・・・なんで・・・私が1位じゃないの」

「でも・・・立花ゆかりの最大のヒット曲なんじゃね。それより売れた曲があっただけじゃね」

「そんな・・・インチキじゃないの」

「悪魔なんてインチキなものなんですよ」

「あなたたちだって・・・悪魔なんでしょう」

「失礼な・・・死神です」

「死神って悪魔でしょう」

「違いますよ・・・私たちは悪魔の違法行為を取り締まる側です。悪魔が神の定めた運命に反して・・・勝手に魂を奪うと・・・秩序が乱れるのです。死すべき運命の者の寿命が延びたりして・・・それは大変なことになるのです」

「どう・・・大変なのよ」

「魂一定の法則がありまして・・・これが乱されると不祥事になるのです」

「よくわからないけど・・・私はとにかく・・・AMIに勝ちたいのよ・・・あんな私の二番煎じにどうして・・・本家の私が負けなければならないの・・・おかしいじゃない。本物が偽物に負けるなんて・・・」

「しかしですね・・・」と口ごもる死神くん。

「そんなのは簡単ですよ」と悪魔くんが出現するのだった。

「栄光に包まれたものを奈落の底に突き落とす・・・悪魔の専門分野です」

「勝手なことを言うな・・・なんだよ・・・黒魔術ブームなんて作りやがって」

「営業努力ですよ・・・怠け者が勤勉なものにクレームつけるなんて・・・どうかと思います」

言葉巧みな悪魔くんにたやすく誘惑されてしまうゆかり。

すでに悪魔に魂を売った女なのである。

「そんなことをしてもろくなことありませんよ」

「いいのよ・・・薬に溺れてこの世を去った伝説の歌姫だっている。でも歌声は残るわ。聞き手の心に宿ることができるなら地獄落ちなんてなんでもないわ」

煌めくステージのライト

揺らめくブルースのリズム

舞台の袖では売人が笑っている

レディ・デイをいつでも愛してる

アーチストにありがちな自己弁護に言葉を失う悪魔くん。

「人間に言い負けてどうするんだよ・・・カス」と嘆くカラスだった。

通りすがりの黒柳徹子が死神くんのおひざに座るコントあって・・・。なんなんだっ。

お迎えが近いのか・・・。

白の歌姫・AMIをとりかこむ報道陣。

「熱愛発覚」

「盗作疑惑」

身に覚えのないスキャンダルに言葉を失うAMIは失神してしまう。

すべては悪魔による捏造だった。

「勝ったわ・・・あの女に勝った・・・」とほくそ笑むゆかり。

しかし・・・ヒットチャートは・・・。

第1位「きっと/AMI」

(圏外)「innocent blue/立花ゆかり」

「どうして・・・」

「それは・・・やはり実力というものがあるからではないでしょうか」と死神くん。

「そんな・・・」

「スキャンダルによって売上があがることもあるそうじゃないですか」

「妙にくわいしな」

「勉強しました」

「憎い・・・AMIが憎い・・・」

「どうして・・・そんなに彼女を憎むんです」

「AMIさえいなければ・・・私が栄光に包まれていたのよ」

「それならいっそ・・・彼女を消してしまえばいいじゃないですか」と悪魔くんが現れる。

「そうね・・・」

「第三の願いを叶えたら悪魔に魂を奪われてしまいますよ」

「構わないわ・・・手に入らないものは仕方ない・・・手に入れたものを道連れよ」

「承りました」と悪魔くんはAMIの病床に向う。

Photoしかし・・・そこにはカラスが待っていた。

「残念だったな・・・彼女は・・・すでに天に召されることが決まっている」

「なるほど・・・死亡予定者には悪魔は手出しできないルールでしたね」

死神くんはゆかりに真実を告げる。

「第三の願いは無効ですよ」

「どうして・・・?」

「AMIさんは不治の病で・・・余命宣告を受けています。六月六日の午前三時に・・・召される予定です」

「そんな・・・彼女はパフォーマンスで・・・」

「彼女は・・・ずっと死と戦っていたのです・・・あなたの歌に何度も救われたとおっしゃってました」

「私の・・・歌に・・・」

「彼女にとって・・・あなたは・・・スーパースターなのです」

「そんな・・・それだってポーズだとばかり・・・」

「これは彼女の書いた詞です・・・彼女の最後の願いは・・・あなたと二人で曲を作り・・・一緒に歌うことだそうです・・・その願いを叶えてあげてくれませんか」

「なんなの・・・一体・・・私は・・・」

「あなたは幻を憎んだのです」

「だけど・・・無理よ・・・私にはもう曲はかけない」

「なぜです・・・あなたはシンガーソングライターなんでしょう」

ゆかりはギターを手にとった。

病床のAMIに立花ゆかりから着信がある。

強い風が吹いて

横殴りの雨が降りかかる

甘い夢は崩れ

絶望だけが待っている

だけど、大丈夫

いつも私が傍にいるから

・・・途切れる歌声。

「ごめんね・・・間に合わなかった」

「とてもいい歌・・・ゆかりさんなら・・・きっと完成できますよ」

「いいえ・・・あなたが・・・完成させて・・・」

「ゆかりさん・・・」

死神くんは自分のミスに気がついた。

ゆかりは高いビルから身を投げていた。

しかし、空中でその手をとらえる死神くん。

「こんなことをしてはダメです」

「魂一定の法則を適用しなさいよ」

「そんなことはできません」

「いいじゃない・・・死にたいものが死んで生きたいものが生きるだけよ」

頭上から悪魔くんが声をかける。

「簡単ですよ・・・第三の願いをすればいいんです」

「やめてください」

「そうね・・・AMIの悪い噂を消して」

「承知しました」

ゆかりの魂は地獄に堕ちた。

魂の抜けたゆかりの肉体は虚しく落下する。

そして・・・AMIの寿命はのびた。

「どうして・・・勝手なことをするんだ」と死神くんは悪魔くんに問う。

「生きたいと願う人間を殺し、死にたいと望む人間を生かす・・・神の定めし運命の方がずっと残酷じゃないか・・・生きていてよかったとと言えるそんな夜を捜してる人間の方が多数派だろう・・・つまりみんな生きていてよかったって思ってないわけで」

「・・・」

いつでも傍にいる

歌が聴こえる

光の中で・・・

下界に流れるAMIの歌声。AMIと自殺した立花ゆかりの合作は大ヒットになっていた。

若きシンガーソングライターの卵がまた・・・その曲に耳を傾ける。

その様子を見下ろす死神くんとカラス。

「すまなかった・・・また君を巻き込んで・・・」

「・・・」

雲海の畔に・・・並んで膝をかかえる二人。

かわいいよ・・・死神くん、かわいいよカラスである。

まるで捨てられた幼い兄妹みたいだ。

そこに・・・主任がやってくる。

「悪魔に魂を奪われた件については今、審議中だ・・・私も上司として精一杯君たちを弁護する。情状が酌量され・・・万一・・・君たちの存続が許された時に備えて・・・粛々と業務を続けるように・・・」

ゆかりの死が「自殺」なのか「自己犠牲」なのか・・・判定はそれなりに微妙なものらしい。

それはともかく・・・死ぬまで働けという・・・やはり・・・ブラック霊界の香りがいたします。

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2014年6月 6日 (金)

誰かが書いたシナリオみたい・・・ってドラマだからね(小泉今日子)

「のびしろ」という言葉がすっかり定着しているのだった。

「のりしろ」とか「のみしろ」は20世紀にもあったが・・・のびしろはなんとなく21世紀の言葉である。

基本的に優しいニュアンスの言葉である。

今は未熟だが・・・成長の可能性がある・・・というわけである。

つまり・・・「ゆとり」だな。

逆に全力を出し切っていると見られれば「もはやのびしろがない」ということになるわけだが・・・なにしろ、一種のゆとり言葉なので・・・そういう意味ではあまり使われない気がする。

♪今はそこそこあとは伸びしろ~・・・なのである。

五十代の人間がまだまだこれからという時代である。

もちろん・・・そんなことが許されたり許されなかったりするのが現実というものだが・・・ファンタジーにそんなことを言ってもな。

で、『続・最後から二番目の恋・第8回』(フジテレビ20140605PM10~)脚本・岡田惠和、演出・宮脇亮を見た。吉野千明(小泉今日子)は「あまちゃん」の春子を経て少しキャラクターが変わっていると思う。たとえば今回は和平(中井貴一)が「校舎の窓ガラス」をガンガン割っている不良少女としてイメージしたりするわけだが・・・千明はおそらくキー局の正社員であり、東京大学もしくはそれに準じる有名私立大学の卒業生もしくは強力なコネ入社である。基本的には・・・尾崎豊的なキャラクターとは程遠い青春時代を過ごしたはずである。しかし・・・不良少女・春子を経てキョンキョンが新たに再生して・・・昔はそこそこ不良だった風な味も醸しだしてしまうわけである。まあ・・・深く考えないでスルーしてもいいし・・・もちろん千明本人はそう見える自分の過去のイメージを否定するわけである。頭の回転が速いし、思慮深く見えるが・・・エリートなので意外と他人の気持ちがわからない女・・・今回はそういう展開なのだった。

一時間ドラマが「二時間スペシャル」でスタートする場合・・・よほどのことがない限り・・・最初から二時間ものとして作るわけである。連続ドラマの場合、基本的には一話と二話を合体するわけである。世の中にはふくらませるのが得意な人や、きりつめる人のが得意な人がいるわけだが・・・きりつめるのが得意な人にふくらませるとロクな事がないのはお茶の間の方が感じることが多いだろう。

とにかく・・・スケジュールがない急発進ドラマがいきなり、一時間を二時間にしろと言われてもスケジュールが押せ押せになるだけである。

そんなもやもやが漂う現場の空気を断つべく・・・千明はもう一つの朗報を告げる。

JMTテレビが社運をかける映画の脚本に・・・万里子(内田有紀)が大抜擢された・・・のである。

まあ・・・現実の世界でも・・・大抜擢は存在する。

成功するか失敗するかは・・・運次第である。

千明にしてみれば・・・埋もれていた万里子の才能を開花させた自負があり・・・この大抜擢を喜ぶ気持ちが大きいわけである。

万里子がどういうキャラクターであったのか・・・忘れることができるのが・・・今を生きるエリートの特性であることは言うまでもない。

また・・・常に調整役として生きて来た千明には・・・自分が万里子の才能の一部だという自覚・・・自分あっての万里子という奢った考え方がなじまない。

引きこもりの部屋から卒業してJMTテレビまで出て来た万里子なのだから・・・千明の上司のクソ部長の作る世界にも行けるはずと思いこむわけである。

なにしろ・・・千明は自分に全く気がない男を元カレと思いこめる女なのである。

しかし・・・JMTテレビが自分の部屋の延長線上になったに過ぎない万里子にとっては千明の元を離れるのは耐え難い苦痛だったのだった。

その苦痛は・・・テレパシーで通じ合う双子の兄の真平(坂口憲二)の胸を直撃するのだった。

そのショックのために・・・真平はついに・・・死が間近に迫ったのかと勘違いするのだった。

一方・・・明らかに超勘違いで千明の誇張されたドッペルゲンガーである伊佐山市長(柴田理恵)は和平(中井貴一)の動揺に動揺して・・・ハッピーエンドが近いことを予感する。

しかし・・・和平を動揺させたのは・・・バスの中から目撃した典子(飯島直子)の夫・広行(浅野和之)の姿だったのである。

広行は相手が嫁の弟の妻・知美(佐津川愛美)の母親とは知らずに秀子(美保純)から食事を奢ってもらっているのだった。

「もう、あんたと会うこともないだろう・・・俺は新たな荒野に旅立つから・・・」

長倉家の人間をどんどんスタッフとして採用する千明によって典子はJMTテレビ専属ベビーシッターとして小銭を稼いでいたが・・・和平から情報をもらい、勤務を終えると直ちに・・・野良犬化した夫の捕獲に向かうのだった。

「死」を感じる真平は・・・新婚妻を激しく抱きしめる・・・そして新居に戻る途中で・・・家族を見収めしたい気持ちに陥るのだった。

弟夫婦の激しい抱擁を目撃してどぎまぎした和平だったが・・・久しぶりに愛娘の長倉えりな(白本彩奈)には冷たくあしらわれるのだった。

そこへ・・・典子が帰ってきて、捕獲した野良犬を預け、千明を極楽寺で待ち伏せる。

広行、和平、千明、典子の最後の晩餐風横並びの食卓。

「あんた・・・何考えてんだ」

「一人で行くんだ幸せに背を向けて・・・」

「誰が青年は荒野をめざすだよ・・・あんたじじいだろう」

「男だからわかるでしょう」

「だったら・・・正式に離婚して一人で生きろよ」

しかし・・・「離婚」を結婚の義務を果たさない理不尽な行いとして認めない千明。

「それはないんじゃないの・・・結婚して・・・家庭を持って・・・それなりに幸せを味わって・・・今度は離婚して幸せになろうとするなんて・・・ずるいよ」

千明は・・・本当に結婚して・・・幸せになりたかったんだなあ。

突然、始る広行に味方したと千明に判定された和平と千明の痴話喧嘩である。

しかし・・・とにかく・・・浮浪者特有の臭気を漂わせた広行とよりを戻す気満々の典子なのであった。

そこへ・・・家族と最後の食事をしたいと思いつめた真平が・・・知美とともに戻ってきて・・・一家団欒へ突入しようとするところ・・・真平の胸騒ぎの原因である万里子が電車を降り損なって反対車線で引き返してのご帰還である。

その様子に・・・問題発生を悟る長倉一族ととなりの千明だった。

「どうした・・・ひょっとして・・・映画の仕事・・・ことわっちゃったのかな」

「・・・」

「私はさ・・・万里子がもっと大きな仕事をできると思ってさ・・・今よりもっと幸せになってほしくて・・・」

「私は今が幸せなんです・・・今の幸せを維持したいんです・・・それじゃダメですか」

「ダメなことなんかないよ・・・ごめん・・・私が悪かった・・・万里子の気持ちがちっともわかってなかった」

「ダメなのは私です」

「そんなことないよ・・・いいのよ・・・万里子は今のままで」

「申し訳ありません」

「いいんだよお」

「千明さん」

「万里子~」

まあ・・・ある意味、面倒な人々である。

万里子の心理的な衝撃を感じていたと悟った真平は安堵するのだった。

そこへ・・・お呼ばれされた秀子が到着。

娘の夫の姉の夫とご対面するのだった。

間違いが起きなくて残念なくらいであるが・・・和行はロリコン気質なので仕方ないのだった。

すべてのドタバタが過ぎ去って・・・庭ではまぐり焼きながら・・・しみじみとする二人。

「いつも・・・妹たちがあなたに頼ってばかりですみません」

「いいんですよ・・・楽しいから」

「僕なんか・・・いい年してまだまだなんだと思います・・・でもそれはのびしろがあるってことみたいですから」

「のびたとのびしろは似てますよね・・・もうそんなに伸びないとおもいますけどね」

「いや・・・あなたは僕にくらべたらまだまだでしょう」

「一緒じゃないんですか・・・」

「そりゃ・・・世代は一緒だけど・・・僕にとってあなたはいくつになったって年下の女の子ですから・・・」

「・・・」

くっついちゃえば~と言う展開だが・・・まだまだくっつかないのである。

そのために・・・シナリオはあの手この手を用意するのだった。

千明のゴールの前に立ちふさがる未亡人・薫子(長谷川京子)と伊佐山市長・・・。

ラストシーンが先週の予告編にあったので・・・千明とセフレの女の直接対決は次週に持ち越しという阿漕な展開である。

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2014年6月 5日 (木)

お腹に赤ちゃんがいるので産休します(朝倉あき)

誤解を招くようなタイトルはよせっ。

それにセリフとして再現率高すぎるだろうっ。

第一、オチじゃねえかっ。

見逃してくれよっ。

まあ・・・谷間としては今回、別メニューも用意したのだが・・・お別れの儀式として・・・二週連続これである。

朝ドラマとしては・・・王道の極地の「梅ちゃん先生」と革命的名作の「あまちゃん」にはさまれて・・・キャスト一同を殺した「純と愛」があったわけだが・・・ヒロインの夏菜はもちろんのこと・・・心に傷を負った出演者は多かったと思う。

嫌な感じのドラマだったので嫌な感じの役柄だった黒木華が一番被害が少なかったとも言える。

その中でもチュルチュル(朝倉あき)はヒロイン(夏菜)の分身的な存在であり・・・微妙な影を落としている。

そもそも・・・人間ジュークボックスって・・・存在としてすでに恥ずかしい感じだもんな・・・一人カラオケより恥ずかしいぞ。

面ライダーオーズをヒロインの恋人の妹(岡本玲)と争って敗れる役柄である。

なんだか・・・もう・・・残念な感じしかしない役なのである。

明るい清楚なお嬢様の役が似合うタイプの女優である。

そういう役の需要がほとんどない最近のテレビドラマで・・・当然のように役に恵まれなかったなあ。

とめはねっ!鈴里高校書道部」(2010年)のヒロインがせめてもの救いか・・・。

「トリックシリーズ」のゲスト・ヒロインを務めることのできる器なのである。

このまま・・・去って行くのは淋しい気がするが・・・。

まあ・・・去るものは追わず・・・がこの世の定めだからなあ・・・。

赤ちゃんがいるんじゃなあ・・・だから違うってっ。

で、『乾杯戦士V・第8回』(チバテレビなど5いっしょ3ちゃんねる201404~)ストーリー構成・演出・細川徹を見た。戦隊ヒーローの職場(職場なのか)に咲いた一輪の花・・・新イエロー(朝倉あき)・・・その清楚な容姿と重要な装備品(変身用のチェンジバンド)を紛失してしまうようなドジッ子キャラの愛くるしさで職場の男性ヒーローたちを虜にしてしまうのだった。本来の紅一点・・・ピンク(吉川友)は当然の如く無性に腹立たしいのだった。もちろん・・・その反感は・・・新イエローには何の罪もないことなのである。すべては・・・可愛い女の子に我を忘れる男たちがいけないのである。

そして・・・男たちの新イエロー争奪戦はグロテスクなまでに露骨に繰り広げられるのだった。

ことあれば・・・二人きりになり・・・新イエローと親密になろうとする男たち・・・。

ピンクもある意味、立場がないのだった。

それにしても・・・そういう微妙な状況に全く気がついていないフリができる新イエロー・・・これはハマリ役なのかもしれない・・・。

ついに・・・堪忍袋の緒が切れたピンクは・・・「私、戦隊やめます」宣言である。

当然の如く・・・誰も引きとめない・・・男たちだった。

「でも・・・ピンクさんにはもっといろいろと教えてもらいたい」と唯一、ひきとめ役となる新イエロー・・・。

「新イエローちゃんがそう言うのなら・・・」

「新イエローちゃんのためにも・・・」

「新イエローちゃんを困らせるな・・・」

しょうもない・・・レッド(村井良大)、グリーン(飛永翼)、そしてブルー(加藤和樹)だった。

逆上したピンクは巨大ロボットに搭乗して街を破壊するのだった。

ただ存在するだけで・・・ヒーローのチームワークを破壊する新イエローの威力に悪の総帥(斉木しげる)も脱帽するばかりである。

なんやかんやあって・・・アフターVの飲み代免除を条件にチームに復帰するピンク。

「俺たちも大人げなかった・・・新イエローちゃんが俺たちの誰を選ぶかは・・・彼女の心次第ということを忘れていた」と反省する男たち。

すると・・・新イエローが重大なお知らせを告げるのだった。

「ごめんなさい・・・私・・・お腹に赤ちゃんがいることがわかったので・・・産休をとらせてもらうことになりました・・・今までお世話になりました・・・」

「えええええええええええええええ」

さらば・・・新イエロー・・・いつの日にか・・・また会えるといいなあ。

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2014年6月 4日 (水)

死者からの手紙(深田恭子)増水した川を見に行こう(桜庭ななみ)奇跡のカップとお似合いのカップルなんちゃって(小橋めぐみ)

まあ・・・いよいよシーズンなので・・・増水した川には近づかないようにという話である。

まったく・・・そうではなかった気がするが・・・。

分からない人には分からないのさ。

ドアの向こうに何が待っているか・・・分からないところが恐ろしくもあり面白くもありなんだな。

のこぎり持っている人や白骨死体があっても・・・それでも職務を果たす・・・それが期待される公僕像なのだ。

日帰り手術のために30分余裕を見て家を出て、用心して秋葉原-お茶の水もJRを利用することにしたのに両国で線路上に人が入って・・・電車が来ないみたいな危機はいつもあるんだよな。

2013年の自殺者は2万7195人だそうだが・・・自殺にみせかけた殺人も混じってるからな。

でも・・・変死体の何割かは自殺だろうから・・・なんとなく帳尻合うんじゃねえの。

自殺に見せかけた殺人と変死体に類別した自殺が同数ってことはないだろう。

まあ・・・とにかく・・・ヒロインだって心の病で・・・「死」を招いていたんだよな・・・そして・・・結局、そこから生還するためにはラブが不可欠ってことなんだよ。

マイナスとマイナスでプラスに転じたんだよねえ。

で、『ドラマ10・サイレント・プア・最終回(全9話)』(NHK総合20140603PM10~)脚本・相良敦子、演出・伊勢田雅也を見た。ついに・・・あの日の出来事を母親の幸子(市毛良枝)に打ち明ける里見涼(深田恭子)・・・二人の会話を盗み聞く祖父の一郎(米倉斉加年)だった。母の留守中に弟を見捨てて自分だけが助かったこと・・・最後に弟が笑ったように見えたことを話す涼。母は聞きたかった話を思わず遮る・・・考えようによっては弟よりも姉が死ねばよかったと深層心理がなした母親の態度にも見える。しかし・・・もちろん・・・このドラマはそこまで意地悪ではないのである。どんなに世界が過酷でも人間は助けあうことができるという物語なのだ。

弟を救えなかった心の傷を抱え、困窮者はバッタバッタと救いまくる涼。

しかし・・・誰にも平等に訪れる死を回避することはできない。

サロンの主の元ホームレスの木下和男(大地康雄)も臨終の時を迎え・・・サロンはついに「お別れ会」の会場となるのだった。拠点があるというのは便利なんだな。

次々と集まる関係者たち・・・。

涼が救助した人々が・・・それぞれに和を作っているのだった。

そして・・・最後のアイテムが提示される。現役のホームレスに・・・木下は形見のカップを贈ったのである。

そして・・・おだやかな日曜日。

江墨区役所地域福祉課の山倉課長(北村有起哉)は木下の遺族から託された故郷の本を持ってクリーニング吉岡を急襲する。

しかし・・・涼は留守だった。

だが・・・母親の幸子は理想の花婿チェックをするのだった。

最近は4Tである。

①低姿勢・・・山倉課長は腰が低いし、蛍光灯も換装できるのだ。

②低リスク・・・区役所の課長で申し分なし。

③低依存・・・ホームレスにも優しい男だから・・・多分、家事の分担も可だろうと推察。

④低コスト・・・これまでのところ・・・酒癖の悪さ、お金のかかる趣味の気配なし。

こじんまりした時代か・・・。

幸子は・・・娘の夫として・・・山倉課長をゲットするのだった・・・いや、まだしてないぞ。

なんなら自分が立候補しそうな幸子であった。嘘をつくなよ。

そして・・・季節はいつしか・・・梅雨。

その終わりに・・・東京は集中豪雨に襲われるのだった。

再び・・・集う「救われた人々」・・・。

地域は一体となり・・・避難は順調に進む。

江墨区(フィクション)の怪しい地図によれば・・・河川の増水による・・・浸水の激しい地域らしい。

一段落したところで・・・自宅の様子を見に行った涼は・・・祖父から・・・亡き弟の最後の手紙を開示される。

涼が・・・その日のことを自ら語る時を待って・・・祖父はその手紙を隠し持っていた。

「おじいちゃん、ぼくはもうすぐ十歳になるので・・・お父さんになって・・・お母さんとお姉ちゃんを守りたいと思います」

市毛と深田の親子丼とは・・・違うわっ。

あの日の弟の笑顔は・・・姉を助けることができた喜びの顔。

弟の愛に・・・涼は萌えるのだった。

愛・・・。

まったく・・・語られてはいないが・・・山倉課長をお慕いしている水澤(山口紗弥加)は「私は彼のことを知っている攻撃」で最後のチャレンジである。

「彼には穴があるのよ・・・ホームレスにいれこんで・・・結局、自殺に追い込んでしまったという穴が・・・」

その穴を埋めるのが・・・涼だと気がついた水澤は・・・自分が何を言っているかわからない状態だった。できれば・・・自分のラブを救ってもらいたいわけだが・・・涼が救うのはプアなのである。

やがて・・・なんとなく・・・ホームレスが危険地帯に戻った情報が涼に伝わる。

涼の不在に気がついた山倉課長は後を追う。

ホームレスは「形見のカップ」を川に落としていたのだった。

ホームレスが拾おうとするのを止めた涼は自分で拾いに行く。

「・・・」

涼を止めた山倉課長が自分で拾いに行く。

「・・・」

しかし・・・山倉課長は川に落ちる。

「・・・」

手を差し伸べる涼。

「・・・」

その手を振り払い水没する山倉課長。

「・・・」

水際を走る涼。

「・・・」

カップをつかんだ山倉課長が浮上する。

「・・・」

二人は手をつなぎ・・・土手をはい上がる。

しっかりと握られた手と手。

見つめ合う二人。

ようやく到着した江墨区社会福祉協議会地域福祉課の美人過ぎるメンバーたち。

出番の少ない新保佳苗(横田美紀)が声をかけようとするが・・・先輩たちに阻止されるのだった。

山倉課長がプロポーズするところだからである。

「幸せだなあ・・・僕はこの手を離さないぞ」

愛・・・燦々と・・・。

ホームレスをこよなく愛する二人はお似合いのカップルなのだった。

そして・・・おなじみの暗く汚れた部屋。

天使の声が響く。

扉が開かれ・・・光が差し込む。

貧しい人々に幸あれと願うが・・・そこには救い難い狂気が潜んでいるかもしれないという暗示が感じられるラストシーン・・・。

さあ・・・夏はお待ちかねの「ハードナッツ」(橋本愛)のお下がり放送である。

この枠・・・あなどれないよな。

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2014年6月 3日 (火)

私は金遣いの荒い女じゃけんね(尾野真千子)私の名刺は揺れるわよ(井上和香)

このドラマのレビュー終了の危機を救った桃尻花瑠子(井上和香)再登場である。

またしても・・・いい仕事をしているのだった。

是非、再々登場してもらいたい。

一瞬・・・暑さを忘れたもんね。

しかし・・・六月が始ったばかりだというのに・・・もう夏バテ気味である。

掟破りの前後編構成で・・・前回はほとんど「蒲田行進曲」妄想だったわけであり・・・解決篇の今回は銀ちゃんだけの独断場・・・ちょっとものたりなかった・・・オダギリジョーって書けないしな・・・そこを桃尻の胸乳が救ったのだった。

まさに・・・一服の清涼剤である。

それにしても・・・生命保険の五千万円と番頭さんの家抵当で作った二千万円、家屋敷と自社ビル売却の相場額に銀行が上乗せした五千万円で借金がチャラになった・・・という結末である。

未亡人も番頭さんも・・・路頭に迷うだけなのでは・・・。

これだけフィクションな設定でこのリアルな展開・・・エンターティメントとしてどうなんですかね。

いや・・・きっと・・・隠し財産があるんだな。

で、『極悪がんぼ・第8回』(フジテレビ20140602PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・伊志規哲也、演出・石井祐介を見た。情報の中でモラルを形成する情報はとりわけ厄介である。価値観の多様化という概念によって・・・モラルはほとんど意味を失ってしまう。正直とバカ正直の境界線も定かではないわけである。たとえば無自覚な幼児性を示す「中二病」という言葉は「大人げない」のと大差ないように思える。しかし、そこには・・・賄賂を否定する潔癖さを否定するニュアンスも含まれる。「童貞なのに童貞じゃないような言動」を揶揄している分には面白いが・・・「大人なのに賄賂も受け取れないのか」という流れになればインモラルなのである。そういう大人たちが支配する世の中では「積載量オーバーだけど大目に見てね」ということになり、船はたちまち沈没し、「海猿みたいな潜水装備にかける予算はないけれど慰安のための専用ゴルフ場を作る役所」が誕生するのだった。対岸の火事だといいけどなあと思う今日この頃なのである。

キッドは今、ユースケサンタマリアが「くせになる」と断定した「いいくらし/チームしゃちほこ」に厨房的にはまっているのだが・・・オダギリジョーって書けないからユースケサンタマリアって書くのかよ・・・。

One step 涙 「流せばいいよ」

Two step 努力 「無駄じゃないから」

友情 勝利 言葉はパワー

・・・とここまでは偽善的な匂いを漂わせるわけである。

その後で・・・。

魔法 信じる 人がいる

うわあ・・・この毒々しさ・・・たまりませんな。

「極楽がんぼ」もこのレベルまで来てもらいたい。

破綻銀行の過剰融資と貸しはがしによって多額の借金を背負い自殺に追い込まれた本真商事の本真社長(平田満)・・・残された未亡人・志保(朝加真由美)と小林専務(志賀廣太郎)は仇討ちを誓うが・・・志保を恋慕する金子千秋(三浦友和)は力添えを決意するのだった。

成り行きで復讐を手伝うことになった新人女極道・神崎薫(尾野真千子)はスナック「まやかし」で「きっちり、カタにハメたるわ」と息巻くのだった。

「銀行を敵に回して大丈夫かな・・・」と弁護士の豊臣(宮藤官九郎)がからかう。

「悪徳弁護士はだまっとらんかい」と応ずる薫。

「そんな甘い言葉じゃダメだなあ」と豊臣が調子に乗ると・・・スタンガンの電撃で豊臣を悶絶させる真矢樫キリコ(仲里依紗)だった。

金子から軍用金として大金を受け取った薫は・・・金にものを言わせて情報収集である。

「ホテルに電話してきた男を調べて欲しいんだけど・・・」

スーパー・ハッカーらしいキリコはたちまち・・・破綻銀行・課長の吉良(袴田吉彦)を割りだすのだった・・・どこに侵入してんだよっ。

大金をせしめて完全に機が大きくなった薫はさらに・・・吉良の弱点を探るために筋目から言えば兄貴分の冬月啓(椎名桔平)に300万円で身上調査を依頼する。

おい・・・主人公・・・まあ、いいか。

冬月は・・・たちまち・・・幽霊会社を使った吉良の横領の実態を突きとめるのである。

とにかく・・・当面の目標は・・・借金返済のために不足している五千万円を破綻銀行に吐き出させることだった。

薫は吉良の犯罪の証拠を持って本人を直撃するのだった。

あわてふためく吉良・・・。

いい気分の薫。

しかし・・・その状況を吉良の部下の植原希(あべまみ)は見逃さない。

たちまち・・・黒幕の常務の破綻(佐野史郎)の知るところになり・・・憐れ、吉良はトカゲのしっぽ切りで・・・最果島支店に左遷されてしまうのだった。最果島ってどこだよっ。

薫・・・軍用金を使い果たした模様・・・何のために小清水経営コンサルタントに関わっているのか忘れているのではないかと思う。

さて・・・お茶の間は・・・未亡人と番頭にも絶対に裏の顔があるはず・・・と期待しているわけだが・・・ないのである。

一方・・・薫にいろいろと命じた割には・・・金子は独自で・・・破綻銀行の内情を調査していたのである。

破綻一族の一人である破綻常務が・・・親戚の経営している「野呂間食品」と特殊な関係にあると見極めた金子。

「野呂間食品」の経理部長・狸(春海四方)をターゲットにして、薫や腐れ外道(三浦翔平)とともに監視体制に入る。

狸部長の行きつけの夜の店に腐れ外道の顔は忘れても身体は覚えている的なセックスフレンドである桃尻花瑠子(井上和香)が勤務していることを知った金子は・・・桃尻を仲間に引き入れ・・・賭けゴルフを狸に持ちかける。

うっかりと罠にはまり、300万円の配当を受け取った狸は賭博の罪に問われることを惧れ・・・経理資料を金子に覗かせるのだった。

主人公は証拠を押さえるキャディーさん役が似合うのだが・・・それでいいのかっ。

とにかく・・・ついに・・・破綻常務の背任的不正融資の証拠をつかむ金子だった。

頂上決戦である。

「おどりゃ・・・この不正をばらされたくなかったら・・・本真の借金チャラにしたらんかい」

「しかし・・・さすがに五千万円の上乗せは・・・」

「寝言言うてる場合かのう・・・」

破綻常務は・・・小清水所長(小林薫)に泣きつくのだった。

そこで・・・小清水は・・・自社ビルを買いたいという人間を紹介する代わりに・・・買い取り料金を全額融資するという五千万円の捻出法を指南するのだった。

実質・・・小清水の紹介する人間は・・・ほぼ無償で自社ビルを入手したことになるのだった。

おそらく・・・その人間は簡単には融資の返済に応じない人間なのである。

こうして・・・未亡人と・・・番頭さんは・・・借金から解放されて無一文になったわけであるが・・・その余裕のある言動から・・・かなりの財産を隠匿しているものと邪推できるのだった。

「ヤス・・・仇は獲ったぜ・・・」

墓前で報告する銀ちゃん・・・じゃなかった金子。

涙雨がふりかかる。

ますます金銭感覚がなくなって来た薫は報酬の半額を気前よく香典にするのだった。

まあ・・・二百万円くらいはその世界では相場とも言える。

あくまでヤクザの世界の話なのでお茶の間の人は真似しないでください。

いよいよ・・・春ドラマも終盤戦である。

仁義なき戦いは・・・勃発するのか。

「オヤジ・・・そろそろ花道を飾る気はないのかのう・・・」

「若頭のお前がそないなこと心配せんでもええんじゃ」

「・・・勘忍してつかあさい」

「吐いたツバをのう・・・飲めるもんなら飲んでみんしゃい」

ジャジャジャーン・・・あのテーマが聴こえてきます・・・。

次回、「組長、組員を食事に誘うの巻」です。

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2014年6月 2日 (月)

兵法三十六計の十九・・・釜底抽薪と軍師半兵衛(谷原章介)

「釜底抽薪」とは文字通り、釜の底から焚き木を抜く・・・という意味である。

石川五右衛門は釜ゆでされないために釜の底の薪をあらかじめ盗んでおけばいいのである。

煮えたぎる湯ではなくて・・・その根本にあるものに対処するというのは着眼点を変えるということである。

あえていえば・・・メルトダウンを起こさないためには原子力発電所を作らなければよい・・・ということになる。

兵糧攻めというのも「釜底抽薪」の一種と考えられる。

さらに・・・例としてあげられるのが「三国志」の「官渡の戦い」における「烏巣急襲」がある。

兵力において劣る曹操が敵対する袁紹の食糧庫である烏巣を襲い、兵糧不足に陥った袁紹の大軍は惨めに敗走することになる。

つまり・・・大軍を維持するための兵糧がなくなれば大軍は意味をなくすのである。

しかし、どのような優れた戦術も実行されなければ無意味である。

たとえば・・・女子中学生を誘拐されて哀しむ老夫婦のために・・・他国にある監禁場所を急襲することは当然のことである。

しかし、海外派兵を禁じる憲法がある限り・・・それは不可能なのである。

いつまでも平和であるためにはけして武力を行使しない。

そういう絶対多数の安寧のために・・・誘拐され監禁されている少女を救わない。

つきつめて考えると寝ざめが悪いので考えないことにする。

それもまた、「釜底抽薪」と言えるだろう。

それでも・・・ひたすらに誘拐犯の善意を信じ、平和的に人質解放の時を待つ。

我が身かわいさで・・・一族郎党を「死」に追いやる荒木村重を心の底から笑える人はそう多くはあるまい。

あの船から素早く脱出したあの船長もまた然りである。

で、『軍師官兵衛・第22回』(NHK総合20140601PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はなんと・・・40行でございます。まあ・・・ドラマは大きく動きましたからねえ。そして・・・ついに・・・ファン待望の・・・この日をどんなに夢見たことか・・・荒木村重の謎の正室・だし(桐谷美玲)の描き下ろしイラスト大公開で随喜の涙でございます。画伯に万歳三唱でございます。とにかく謎に包まれた出自と・・・絶世の美女ということで妄想膨れ上がる荒木村重の最愛の女・・・。まあ・・・本願寺に村重が転向した時期や・・・だしの年齢・・・村重家臣の荒木越中守や牧左兵衛に十三歳や十五歳というだしの妹の幼妻が嫁いでいること・・・などから本願寺の有力な家臣団である川那部氏の娘という説はかなりの説得力がございます。つまり・・・本願寺の色仕掛けに荒木村重も家臣たちも狂ってしまったということですな。村重の逃亡も本願寺派に乗っ取られた有岡城からの脱出ということで筋は通りますし・・・当然、だしがクリスチャンであることは・・・しかし・・・まあ、寺の娘に生まれたってクリスチャンになる人はなりますから・・・だから・・・誰かだしを運命から助けてくださいと世界の中心で叫びたい今日この頃でございます。それにしても・・・村重の女の噂・・・秀吉と並んでも劣らない感じですな。

Kan022天正七年(1579年)六月、竹中半兵衛は播磨国の三木城攻め陣中で病死する。石山本願寺、荒木村重の摂津国有岡城、波多野秀治の丹波国八上城、別所長治の播磨国三木城と連なる毛利同盟軍の篭城戦は明智光秀による丹波攻略成功によって転機を迎えていた。九鬼水軍の鉄甲船によって海上輸送力を減じた毛利軍は備前国の宇喜多家の中立宣言により完全に支援能力を失う。籠城中の各軍は孤立を深め・・・それぞれに飢餓に苦しめられていく。瓦解の時は刻一刻と迫っているのだった。十月、荒木村重は秘密裏に支城である尼崎城に脱出する。これを探知した織田軍は総攻めを開始。およそ一ヶ月の攻防により、有岡城本丸の包囲に成功する。十一月、城代の荒木久左衛門は開場を決意、城に残されていた荒木一族の子女はすべて人質となった。織田軍の滝川一益は荒木村重が降伏すれば人質は助命するという条件を出し、荒木久左衛門は村重の説得に向かうが、村重はこれに応ぜずさらに花隈城に脱出する。荒木久左衛門は途方に暮れ・・・自らも出奔する。信長は荒木家の男たちの命根性の汚さに呆れつつ・・・粛々と人質成敗の命を下すのだった。有岡城陥落のどさくさにまぎれて官兵衛は腹心の部下たちによって救出される。官兵衛の拉致監禁と救出は安土城の信長に知らされ信長は官兵衛の丈夫さに呆れつつ、小寺家の人質成敗のことを悔やんだという。

赤影は胸をなでおろした。飛騨忍軍も忍びである以上、非情の掟を持っているが・・・無益な殺生は好まない。

いざと言う時のために・・・松寿丸とよく似た百姓の子供をさらって監禁していたのである。

信長が・・・人質成敗の証を首実験する場合は・・・その子を殺して松寿丸として首を送れと半兵衛に命じられていた。

しかし・・・信長はその件を言い出さぬまま、半兵衛は死亡した。

赤影は半兵衛の命ずるままに・・・秀吉の正室・おねの配下となった。

これにより・・・やがて・・・おねの支配する飛騨忍軍と・・・三成の支配する真田忍軍という・・・因縁が生まれてくるがそれは・・・まだ先の話である。

赤影は白影に命じ、百姓の子を生まれた家に戻させた。

有岡城の落城により、任を解かれた忍びたちはそれぞれの里へと帰還していく。

拠点となっていた忍び小屋に伊賀の下忍たちが集まっていた。

「石川の五右衛門が抜けたそうじゃ」

「百地様から・・・抜け忍狩りの回状が出たわ」

「アホくさいのう・・・」

「とにかく里にもどらんと」

「五右衛門の奴、百地様の女房に手をだしたそうやで」

「百地様はええ恥さらしじゃの」

「門地を鼻にかけてえばりくさっておるのじゃからいい気味じゃわい」

「おお・・・そういえば儂は五右衛門を見かけたの」

「どこでじゃ・・・」

「有岡城の宝物倉じゃ・・・こ汚い茶道具をかかえておったわ」

「あやつの盗みの技はなかなかのものじゃからな」

「惜しいことをしたの・・・その時捕えておれば・・・褒美に与れたにのう」

五右衛門は花隈城で・・・村重配下のくのいち阿古と対峙していた。

「お城の蔵に盗みに入るとは大胆不敵な小僧じゃのう」

「しもうた・・・こんなに簡単に見つかってしまうとは・・・わややなあ」

「お主・・・どこの忍びじゃ・・・」

「伊賀ものでおます」

「火事場泥棒とは見上げたものじゃ・・・命は助けてやるから・・・とっとといね・・・」

「いや・・・そうもいきまへんのや・・・」

「なんじゃ・・・」

「お前様を見かけた時から・・・懸想しましてん」

「あほぬかせ・・・」

「とにかく・・・辛抱たまりませんのや」

「これ・・・何を・・・む・・・身体が動かぬ」

「伊賀流乱心法・・・土蜘蛛縛り・・・」

「これ・・・なにをする・・・」

「すぐにすませますから・・・この石川五右衛門・・・お宝よりもいい女をいただくことが大事なのでございます」

「あ・・・あああああ」

まだまだ乱世である。

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2014年6月 1日 (日)

私も実験したいです(有村架純)切ったスイカを食う(二宮和也)

来た球を打つ・・・野球の極意だよな。

天才だけが到達しうる真理。天才ならではの表現力。笑うしかない凡人の図式だ。

結局、世の中は天才の実力、秀才の解説、凡人の納得で構成されているんだよねえ。

それにしても・・・高校野球の監督が職業として成り立つなんて・・・世界は神秘に満ちているよな。

しかし、指導者の生み出す進化というものはある。

積み重ねたもののダイジェスト、いいとこどりの教育、そして才能とのめぐりあわせか。

学歴社会の批判と学歴社会の維持こそが次なる勝利の方程式なんだな。

不条理に耐えて不条理を打破することこそが理想だ。

慣れ合いの中で不死鳥のように蘇る理想こそが肝心なのだ。

ケンチャナ(まあいいじゃないか)官僚だけだと船が沈むからな。

世界は結局、弱いけど勝てます精神のるつぼなんだよな。

ロシアも中国も日本もヨーロッパも韓国も北朝鮮でさえ、アメリカより弱いけど勝てます精神でがんばっているのだな。

まあ・・・お茶の間はそこまで深く考えないけどな。

で、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜・第8回』(日本テレビ20140531PM9~)原作・高橋秀実、脚本・倉持裕、演出・明石広人を見た。人々はたとえで理解を深めることができる。あらゆる知識はたとえにすぎないともいえる。たとえば野球を戦争にたとえてみる。専守防衛とは・・・ある意味で守備しかしないということだ・・・勝てるか?・・・さらに個別的自衛権とはヒットを打って、ランナーになっても他人のヒットではホームに生還できない自衛権なのだ。適時打というのは集団的自衛権のなせる業なのだ。つまり、個別的自衛権の得点はホームランだけだ。満塁ホームランを打っても得点は一点しか入らないのだ。・・・やってられるかよ。ま、こういうたとえも野球を知らない人や戦争を知らない人にはなんのこっちゃなのですね。

まあ・・・野球をしなくても人間は生きていけるが、戦争をしなくては人間は生きていけないという前提があります。戦争なしでは生きていけないのかよっ。

歴史という過去を見てごらん。野球はなくても戦争のない世紀なんてない。

だけど・・・未来はどうなるか、わからないじゃないか。

コロニーを落したり、小惑星を落したりするんだよ。

ああ・・・。

夏の甲子園。その地区予選の組み合わせが決まる。

城徳高校の一回戦の相手は平塚武宮高校。

そして・・・二回戦の相手は堂東学院(おそらくシード校)である。

「げっ」となる選手一同・・・しかし、マネージャーの柚子(有村架純)は思わずガッツポーズをするのだった。

かわいいぞ、柚子かわいいぞ・・・である。

このドラマは90%ぐらいが柚子かわいいぞで出来ているので好きだ。

「目指せ、甲子園でしょ」と煽る柚子。

「しかし・・・甲子園は遠いよな」と赤岩(福士蒼汰)・・・。

「お前たちの目指すのは・・・甲子園ではない・・・」と青志監督(二宮和也)・・・。

「じゃ、どこですか」と利根璃子(麻生久美子)・・・。

「強豪校撃破だ・・・弱いけど強豪校に勝って・・・結果として甲子園に行くことになるのだ」

「なるほど」と納得するナインだった。

「だから・・・とにかく一回戦は勝て」

「はい」

素直でいい子たちである。再調整されてマスターに忠実になったプルツエルブのようだ。

みんな、強化人間かよっ。

一方で・・・東京大学では「生物科学専攻機能形態学ゲノム解析による両生類の進化発生的解析の研究室」が来春再開することが決定する。

青志は再び、亀の研究に戻るのである。

しかし、ナインもマネージャーも、ジャーナリストも、三条校長(笹野高史)、柚子の母の楓(薬師丸ひろ子)も猛反対である。

未来のノーベル賞よりも母校の一勝が大事・・・というのが庶民というものだ。

青志も野球への情熱に捨てがたいものがある・・・しかし、挫折した高校野球で失ったものを取り戻すには・・・ひと夏で充分なのである。

自分が高校時代に達成できなかったことを・・・若きナインに託すのが指導者の立場なのである。

そのために青志は全身全霊を捧げているのだが・・・偏差値の低い人々にはなかなか理解が困難なのである。

しかし・・・少なくともナインには青志監督の意志は伝わっている。

「野球部の伝統を築いてもらいたい」と柚子は願うが「今は目の前の試合のことだけを考えよう」と白尾(中島裕翔)が諭すのだった。

ここで・・・彼らの実力というものを考えておく。

彼らは少なくとも偏差値の高いエリート集団である。

つまり、高い知能指数を持っている。高い知能は基本的には高い作業力を伴う。

次に体力の問題がある。

リトルリーグから野球に特化した強豪校の生徒たちにくらべて基礎体力は劣るだろう。

しかし、人間の体力差はそれほど大きなものではない。

また、筋力はある程度の期間でそれなりの能力改善が見られる。

なにしろ・・・彼らはまだ成長期なのだ。

青志の適切な指導により・・・彼らの体力は少しずつ・・・強豪校のレベルに接近しているのだった。

その成果が・・・キャプテンの江波戸(山﨑賢人)の・・・堂東学院のエース・近江(宮里駿)からホームランを奪う打撃力となっているのだった。

スポーツもしくは武術に親しむものなら・・・そうした変化が地道な修練の積み重ねの後で突然やってくるという経験があるはずである。

今、城徳ナインは・・・三ヶ月の努力の成果を見せ始めているのである。

利根の書いた記事によって・・・好意的になったらしい他校により・・・城徳高校に練習試合のチャンスが訪れる。

西湘台高校との練習試合は・・・。

719j城徳は19失点したものの7得点をあげる。得点差は12点である。手抜きの武宮高校相手の五回10点差コールド負けよりも九回まで戦ったことに意義があるのである。明らかに城徳高校の実力は向上しているのだった。

樫山(鈴木勝大)は線的打撃を試み、光安祐太(平岡拓真)は体重移動打撃を試みる、ストーカー(桜田通)でさえも同調打撃を思案する。それぞれの課題を持って取り組む実験は次々に成果を上げていくのだった。メガネの横目やワカメのひねりも忘れないでください。

嘘のようだが・・・そういうことはあるのである。

なにしろ・・・本人たちが野球が楽しくて熱中しているのだ。

若者が何かに熱中するというのは凄いことなのである。

何もかも自分次第なのである。

続いて行われた隼田高校との練習試合・・・。

1017jついに10得点をあげ・・・7点差まで持ちこんだ城徳ナインであった。来ているのである。後、8点取れば勝てる所まで来ているのだ。堂東学院に62点を取られ・・・日没コールドされたあの日の・・・城徳高校野球部はもう・・・いないのである。

そんな・・・城徳ナインに危機感を覚えたわけではないだろうが・・・イケメンで勉強のできる弟の光安祐太が・・・野球までやっていることに違和感を感じる別姓の兄で堂東学院のエース・近江聡希(宮里駿)はなにかと・・・城徳ナインに絡んでくる。

それは・・・青志に対する野球エリートの谷内田健太郎の関係を彷彿とさせるのだった。

さらに・・・前回の樽見母娘の行動は・・・平塚武宮のエース・国友悟(井手大稀)のストーカー2号化を生むのだった。

告白もしたらしい国友に赤岩と白尾は複雑な同情を感じるのだった。

そして・・・部長先生(荒川良々)による西瓜差し入れは・・・城徳、武宮、堂東のキャプテンたちを巻き込んだ乱闘事件(冤罪)に発展するのだった。

結果として高校野球論を戦わせる各校の監督たち。

「不祥事で高校野球生命が終わったら取り返しがつかない」と堂東学院野球部監督・峠直介(川原和久)・・・。

「それで野球人生が終わるわけではない」と青志監督。

「しかし・・・小学校中学校と積み上げて来たものと・・・高校の仲間たちとのかけがえのない体験を逸することになる」と平塚武宮高校野球部の浦瀬監督(酒井敏也)・・・。

それぞれの経験と培われた野球哲学が衝突する・・・喫茶店「サザンウインド」の西瓜試食会だった。

そして・・・利根璃子は城徳学院高校の初勝利の夢を見るのだった。

ナインたちは・・・青志監督という先輩への愛に燃え・・・「強豪校撃破」を小田原の海な叫ぶのだった。

さらに・・・オーナーの赤岩の父(光石研)の歪んだ父性愛に乗せられた楓は平塚武宮の臨時コーチに就任するのだった。

もう、ここは無理矢理、出番を作りましたな。

まあ・・・いいじゃないか。

期せずして・・・いじめているつもりはなかったいじめっ子と・・・いじめられてる風になってしまういじめられっ子は野球という愛のフィールドで友情を育むのだった・・・。

ついに・・・決戦の日。

調和と信頼が勝利を生むのか。

実験と研究が勝利を生むのか。

すべてはゲームなのだ。

離脱した亀沢(本郷奏多)が東大野球部を目指すのもまた・・・然りである。

ドラマとしての深淵を感じさせる展開だが・・・このスイカの好きなチームは例によってお茶の間の理解とは程遠い極北を旅していくのだなあ。

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