地獄の沙汰も金次第ですよ(小林薫)あの世に金なんか持っていけんのじゃ(尾野真千子)
1960年代の政治の季節・・・。
ものごとをあまり深く知らない若者たちが△(賛カッケー)と盛り上がった世界同時革命幻想・・・。
反米で左翼な人々は・・・様々な恥ずかしい傷痕を刻んでいく。
ものすごいのは自らが反日だったりするわけである。
自分で自分を否定するのは虚しいだろうに・・・。
しかし、貧乏だったり馬鹿だったりする人々にとって・・・平等は甘い理想なんだなあ。
そのためには・・・暴力も辞せず・・・。
その行きつく先が総括と言う名の虐殺的粛清、ハイジャック、日本国内で爆弾テロである。
彼らは米国に飼われる日本人を糾弾するのだが・・・結局、自らも共産圏の思惑に踊らされているだけなのだった。
時は過ぎ去り・・・あるものはまったりと過去を懐かしみ、あるものはじっとりと怨みを募らせる。
そんな時代もあったねと・・・いつか笑顔で話せるのか。
で、『極悪がんぼ・第10回』(フジテレビ20140616PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・いずみ吉紘、演出・河毛俊作を見た。急激に人間関係が複雑になる・・・金暮市(フィクション)の仁義なき戦い・・・。そして・・・繰り出される朝ドラマ・ファクター・・・。なにしろ・・・主人公・薫(尾野真千子)を家なき子にした黒幕が・・・小清水(小林薫)で・・・「カーネーション父娘」である。思い出して見れは・・・第一回のゲストが「純と愛ヒロイン」(夏菜)で最終回ゲストが「純と愛ヒロインの史上最悪の父親」(武田鉄矢)なのである。今回は・・・その子分の秘書役として・・・「梅ちゃん先生のかませ犬」(高橋光臣)も参戦なのだった。しかし、「あまちゃん脚本家」(宮藤官九郎)の出番はないのだった。でも今回はオダギリジョーって書けるのだった。
「おどれ・・・冬月への借金はあとなんぼ残っとんのじゃ」
「500万くらい・・・」
なんだかんだ・・・稼いでいる薫だった。
「その金返したら・・・カタギになれ」
「なんでじゃ」
小清水に地の果て・東京行きを命じられた金子(三浦友和)はついに秘密を明かす。
お好み焼きの店「花子」をつぶしたのが・・・小清水だったことを・・・。
そういう「秘密」は胸にしまっておくものだが・・・アホの薫には無理なのだった。
「ウチを地上げしたの・・・所長じゃったんかい」
「そうですよ・・・で、それを知ってどうするつもりです・・・復讐しますか」
「ウチの目標はテッペンとることじゃ」
「そうですか・・・気に入りましたよ」
小清水は・・・西日本最大級のアウトレットモールの利権の簒奪を・・・薫と抜道(板尾創路)に命じるのだった。
三年後に完成するアウトレットモールは外資系企業・アリー・アンド・ギブソンによるものだったが・・・その利権の一部を「金市商事」が独占しているという。
小清水は・・・アウトレットモール建設反対を唱える国会議員の銭山貞夫(武田鉄矢)の秘書・柘植口(高橋光臣)と密会しており・・・さらに裏がありそうなのである。
一方・・・銭山は公安警察の白崎(篠井英介)を動かし・・・極左テロリストだった過去を持つ小清水に何かを仕掛けようとしているらしい。
突然・・・二十世紀の亡霊が蠢きはじめた模様である。
そんな・・・裏の事情はともかく・・・すっかり経済系犯罪者の色に染まった薫は新たなる犯行(ヤマ)に熱中する。
指南役となった抜道は「金市商事」乗っ取りの手口を薫にレクチャーする。
「今回は追いかぶせを仕掛けるんや」
「おい・・・かぶせ・・・?」
「たとえば・・・ミシンを大量発注するやろ・・・相手はそれを仕入れるわな・・・そこでキャンセルしてやれば・・・相手は在庫を抱えてぎゃふんとなるで・・・」
「だけど・・・どうしてのっとれるん?」
「まあ・・・実際は高価な工作機械を発注するんや・・・ま、総額で三億円くらいのな」
「さんおくえん・・・」
「相手は・・・仕入の資金が不足するに決まってる」
「・・・」
「そこで・・・こちらが融資を持ちかけるんや」
「金を貸すんか」
「そうや・・・一億円ほどな・・・」
「いちおくえん」
「まあ・・・一種の見せ金や・・・こっちで・・・キャンセルすれば・・・当然、返済不能じゃ・・・そこで・・・相手の持ち株51%を担保にとって・・・経営権をいただくわけや」
「えげつないのう・・・」
腐れ外道(三浦翔平)とともに幽霊会社販売業者である伊香佐間経営コンサルタントを訪れた抜道は伊香佐間社長(金山一彦)から「亜利喜多利商事」を八十万円で購入する。
薫と腐れ外道が・・・亜利喜多利商事の社員となり、「金市商事」に架空の大量発注を行い・・・系列の金融企業「ライアーライアー」の社員に扮した抜道が融資を持ちかけるという算段である。
そのための一億円は巻上金融社長(宇梶剛士)が都合するのだった。
「ひーひー言わされてたねーちゃんが・・・立派な極道になったのう」と感無量の巻上社長である。
面映ゆい薫だった。
この歪んだ感覚がお茶の間に伝わっているのかどうかは微妙である。
小清水とつながる金暮県議のとどろき(佐戸井けん太)の仲介で金市社長(阿南健治)との商談に成功した薫・・・計画は順調に進展する。
しかし・・・腐れ外道が・・・金市商事に・・・夏目(竹内力)が出入りしているのを偶然目撃・・・薫が夏目を尾行させると・・・今度は真矢樫キリコ(仲里依紗)が夏目と密会していることが判明する。
数々の苦渋をなめてきたアホの薫はなにやらきな臭い匂いを感じるのだった。
そんな折・・・不整脈で小清水が倒れる事態が発生。
緊急入院先の病院で薫は小清水に病気のことを口止めされる。
一方で・・・金子の真意を確かめようと上京した冬月(椎名桔平)は金子が外資系企業・アリー・アンド・ギブソンの幹部と密会しているのを目撃するのだった。
小清水に逆らわない体裁を繕いつつ・・・金市商事のオーナーとして金子は年間十億円の利権を確保しようとしていたのである。
金市商事のっとりのために・・・やってきた抜道。
「融資を返済できんのやったら・・・株を担保にしてもらわんとあきまへんねえ」
しかし・・・そこに金子と夏目がやってくる。
「そんな・・・追いかぶせが通用すると思うとるんか・・・亜利喜多利商事なんて幽霊会社で架空の発注なんぞしたら・・・立派な業務妨害じゃ」
「・・・」
そこへ・・・ついに・・・いよいよ・・・やっとの思いで・・・最終回直前にして・・・颯爽と登場する薫だった。
「架空発注ってなんじゃろうねえ・・・この通り、支払い金の残り二億円・・・用意しましたけん」
現金を示す薫・・・。
小清水に泣きついて出資してもらったらしい・・・。
「融資したのに取引はしていない、金はないというなら・・・横領じゃ」
「ぎゃふん」となった金市社長。
「くそ・・・わしらの負けじゃ」と白旗を掲げる金子。
ついに・・・薫は金子に勝ったのだった。
まあ・・・「誰も信じない男」小清水に乗せられているだけだけどな。
その頃・・・金暮警察の伊集院刑事(オダギリジョー)は冬月と密会していた。
「東京の公安警察が・・・小清水をつぶしにくるそうです」
「なんだと・・・」
「冬月先輩・・・この際・・・小清水と手を切ったらいかがですか・・・」
「俺に・・・おやじをうらぎれぬかすんかい・・・」
「・・・」
怪しい公安刑事・白崎の魔手が・・・薫に伸びるのだった。
まあ・・・基本、犯罪者なのである。
もう、完全にたたけば埃の出るヒロインになってますからあああああああっ。
次回・・・いよいよ、極悪・仁義なき戦い・頂上作戦・金暮死闘篇である。
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