博士と助手と真夏の方程式(福山雅治)
本格的な谷間に突入である。
(春と夏の谷間の妄想劇場)
「これは・・・」
「ガラダマです」
「いかん・・・アルミホイルを・・・」
「はっ・・・」
「ガラダマを急いで包みたまえ・・・」
「どうなるんです」
「電子頭脳の電波を遮断して宇宙人のロボットを停止させるんだ」
「ヨダレですね」
「ヨダレだ」
「おやすみ、ガラモン」
平成時代に通用しない話だろう・・・。
で、『真夏の方程式(2013年公作品)』(フジテレビ20140621PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、監督・西谷弘を見た。真夏の方程式は・・・どこへ行ったという人は多いと思う。まあ、200メートル先にペットボトルロケットを着弾させるという弾道の方程式なんだと思うしかないわけである。まあ・・・ミステリとしては・・・痴情のもつれ+金銭トラブル=殺人事件発生というおなじみの方程式が基本中の基本となっています。まあ・・・そういう意味では由緒正しい二時間サスペンスでございます。
第一の事件
15、6年前のある日・・・東京西部でホステスの三宅伸子(西田尚美)が殺害される。
犯人は玻璃ヶ浦(フィクション)出身の実業家・仙波英俊(白竜)とされた。
金銭トラブルが原因だったという。
それから歳月が流れた。
第二の事件
海洋資源開発の調査に参加するために・・・ガリレオこと湯川学(福山雅治)が玻璃ヶ浦にやってくる。
旅の途中、携帯電話を巡るトラブルで知り合った一人旅の小学生・柄崎恭平(山﨑光)はガリレオが宿泊する旅館「緑岩荘」の経営者・川畑重治(前田吟)の甥っ子だった。
女将で重治の妻・節子(風吹ジュン)には一人娘の成実(杏)がいる。
成実は自然保護団体のメンバーで海洋資源開発には断固反対している自称・海の番人である。
美しい玻璃ヶ浦の海で「資源開発と環境保全はどちらも必要なこと・・・事実を把握して何を選択するかが重要だ」と語り、ガリレオは成実に反発されるのだった。
一方、恭平に「博士」と呼ばれて良い気持ちになったガリレオはひと夏の擬似父親気分を味わう態勢を整えるのだった。
そこへ・・・退官した元警視庁捜査一課刑事の塚原(塩見三省)が現れる。塚原は三宅伸子殺しの犯人として仙波を逮捕した男だった。
塚原は・・・事件に疑念を抱いており・・・招かれざる客となったのだった。
そして・・・翌朝・・・海岸で死体となって発見されるのである。
玻璃とは水晶の古称である。
玻璃はガラスの古称としても知られる。
ガラスは一般的にはケイ酸化合物であり、水晶は二酸化ケイ素の結晶である。
二酸化ケイ素はガラスの主成分なのである。
「水晶のようにキラキラした海」とは「ガラスのような透明度」を意味しているのであった。
「水晶の海が見たい」という恭平。
「見ればいいじゃないか」と応じるガリレオ。
「浜辺から二百メートルも離れているんだ」
「泳げばいい」
「そんなに泳げないよ」
「舟で行けばいい」
「船酔いするんだ」
「・・・解決できない問題に頭を悩ませるのはいいことだ」
「どうして」
「解決した時にすっきりする」
「ああ・・・」
ガリレオはペットボトルロケットに携帯電話を封入し、海洋探査を試みる実験に着手するのだった。
転落死と思われた塚原刑事の死因は一酸化炭素による中毒死であることが判明する。
塚原刑事は・・・警視庁捜査一課管理官の多々良警視(永島敏行)の先輩だった。
多々良警視は後輩の草薙警部補(北村一輝)に捜査を命じ、草薙は後輩の岸谷美砂刑事(吉高由里子)を玻璃ヶ浦に派遣する。
せっかくの夏休み気分を邪魔されて・・・ガリレオは少し不愉快になるのだった。
やがて・・・事件はありふれた「秘密」へとガリレオを導いて行く。
透明に見える海も・・・深層になれば光が届かない暗闇に包まれるのが普通なのである。
出生の秘密
塚原刑事の妻・早苗(根岸季衣)から三宅伸子殺人事件への執着が塚原刑事にあったことを知った美砂は・・・被害者・三宅伸子と加害者・仙波英俊の接点を探る。
そして・・・二人が三十年前に・・・鵜飼継男(綾田俊樹)の経営する小料理屋の常連客だったことを知る。
客の中には・・・川畑重治もおり・・・節子は店の従業員だった。
「ここだけの話・・・節ちゃんは・・・仙波に惚れてたね・・・だけど・・・仙波は妻帯者だった」
「不倫じゃないですか」
「でも・・・結局、川畑さんと結婚してよかったんじゃないか」
「そして・・・成美さんが生まれたという・・・」
「まあ・・・よくある話ですな」
「それを言ったらダメですよ・・・ごきげんよう・・・さようなら」
節子は・・・美しい女だった。
そして・・・子供を身ごもり・・・父親として川畑を選んだ。
川畑は・・・どんどん仙波に似ていく娘を・・・それでも愛し続けた。
仙波は・・・実は自分の娘と知りつつ・・・沈黙を守った。
幼い頃の成実(豊嶋花)は薄々、それに気がついていた。
そして、成実が中学生の時・・・金に困った三宅伸子が・・・秘密にすり寄ってきたのである。
中学生の成実(青木珠菜)は家族の秘密を守るために・・・三宅伸子を刺殺したのである。
天晴れなのだが・・・世の中はそれでは通らない。
実の娘を庇って仙波が罪をかぶったのである。
琥珀を掘ってればいいのに・・・塚原刑事は水晶の海に来て・・・真相を探り当てた。
そして・・・妻と娘が隠している秘密を実は見抜いていた重治によって・・・殺害されてしまうのだった。
重治は・・・事故にみせかけるために・・・甥の恭平に煙突をダンボールでふさがせる工作まで行っていたのだった。
実の父にも・・・育ての父にも愛された成実は罪の重みに耐えかねて海の底を目指す。
しかし・・・出所後に末期がんとなり療養中の仙波の存在を知り・・・別の男の娘と知りつつ実の父親以上に愛してくれた重治の恩情を知って・・・生きる覚悟を決めるのだった。
「君の従兄弟の恭平君は・・・知らずに殺人の手伝いをさせられていた・・・そのことにいつか気付き・・・真相を知りたいと思うだろう・・・その時は・・・すべてを告白してもらいたい」
ガリレオは・・・秘密の暴露を望みはしなかった。
真実が分かればそれでいいタイプだからである。
美砂は・・・事実を公表してもいろいろと面倒くさい感じなので激しく同意するのだった。
どんな父親も娘の前ではいい顔したいのである。
そうであって欲しいと誰もが思うのだった。
しかし・・・日本では親が子供を放置するケースは三年間で五百件ほどあるという統計もあります。
そして・・・恭平の実の父親・敬一(田中哲司)が迎えにやってくる。
擬似父子関係の終了にガリレオは幽かな郷愁を感じるのだった。
もう雨がやんで雲がすっかりなくなり
海の水もまるで硝子(玻璃)のように静まって
そらがはっきり見えます。
(双子の星/宮沢賢治)
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