兵法三十六計の十二・・・順手牽羊と軍師官兵衛(岡田准一)
「順手牽羊」は羊泥棒の話である。
小さな羊の群れから羊を盗めば目立つが・・・大きな羊の群れから一頭を盗む時はただ、堂々と羊を連れ去っても誰も咎めないかもしれないという大胆な手口の教え。
基本的にテロリズムはこれが常套手段である。
防備を固めた敵軍を攻める必要はない。
無防備な一般市民を標的にすることで・・・敵に痛手を与えることができるわけである。
巨大な敵を相手にする時は・・・こっそりと少数勢力を狙い撃ちにする。
塵も積もれば山となるということで・・・いつしか、敵は崩壊してしまう。
無差別爆撃もこの手の延長線上にある。
一般市民を大量虐殺することを平時の人々は批判するかもしれないが・・・戦争中は勝利こそがすべてという考え方もある。
人の嫌がることをしてはいけない・・・という道徳的発想は・・・勝負の道には無用なのである。
「天下布武」を目の前にして・・・圧倒的な武力を誇る織田軍に対し・・・既得権益を守ろうとするものはあの手、この手で・・・順手牽羊を為す。
朝廷が・・・時代遅れの貴族たちが・・・世界侵略を狙うキリスト教徒たちが・・・土地を奪われた野武士たちが・・・権威を失くした将軍家が・・・信長の陣営をゆっくりと犯していくのだった。
天下無敵の織田信長は・・・理不尽な裏切りという嫌がらせにつぐ嫌がらせで神経を病んでいくのである。
「従軍慰安婦問題」もまた然りだ。
70年近く前に二十歳で慰安された人々ももはや90歳である。
その罪をもってその係累である老若男女一億人を辱める。
順手牽羊として見事な嫌がらせだと言えよう。
羊を引けば手に従う。従順な大衆を操ることは容易いものだ。
で、『軍師官兵衛・第25回』(NHK総合2014062208PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は十八行ですが・・・まあ、基本、戦国ホームドラマ絵巻で・・・戦国時代は東京ディズニーランドみたいなものだったというこのスタッフの頭のおかしさが一同爆笑ポイントという他はないのですな。まあ、それが面白くて楽しいという感覚なんでしょうからねえ。秀吉は好色、信長は黒人に好奇心旺盛、光秀はなんだかんだとしがらみに拘泥される・・・そのあれやこれやを主人公が瞬間移動の技で垣間見るという・・・なんじゃこりゃの世界。しかし・・・お茶の間は・・・松寿丸がイケメンになってご満悦かもしれないので・・・黒田長政イラスト描き下ろし大公開でお得と申し上げる他はございません。1582年(天正十年)に生まれる弟・熊之助が懐妊の運びとなったのできっと今は天正九年なんだと分かる今日この頃なのです。
天正八年(1580年)夏。佐久間信盛の追放と前後して、信長は老臣中の老臣である林秀貞(通勝)や美濃三人衆の一人・安藤守就を追放している。安藤守就の娘は竹中半兵衛の妻である。竹中一族も戦々恐々なのである。没収された領地は嫡子・織田信忠が吸収し、信忠は尾張・美濃両国で大量の収穫を得ることになる。そう言う意味では信長は子煩悩と言える。安藤守就の罪名は武田家への内通であり、真偽のほどは別として・・・いよいよ武田家滅亡へのカウントダウンが信長の中では始っている。戦う機械である信長は全身全霊をもって「天下布武」の事業に熱中しており、その広大な領土、膨大な配下武将の管理で・・・頭は爆発寸前なのである。そして・・・優秀であるがゆえにその中枢を担う明智光秀は物凄いプレッシャーを感じるのだった。特に領地である近江国と丹波国の中間にある京の都の管理はデリケート極まるものであり・・・幻想の朝廷権力と現実の織田軍事独裁政権の間で光秀もまったゆっくりと壊れていく。明けて天正九年(1581年)・・・信長の戦いは新たなる段階への準備を整える。近畿地方に唯一残る解放区・伊賀を滝川一益が、いよいよ本格化する中国攻めのために因幡国鳥取城を羽柴秀吉が攻略開始するのである。そして北方の柴田勝家、南方の徳川家康は・・・かっての大国・上杉家と武田家を殲滅するための調略にいそしむ。二月、明智光秀は京都内裏東における京都御馬揃えの実行責任者として忙殺されるのだった。病床の宇喜多直家は・・・後事を秀吉に託し・・・天正九年の終わりを見ることなく・・・この世を去った。小大名となった黒田官兵衛は第二子懐妊の喜びを胸に戦場へと向う。
「困った・・・」と官兵衛は顔をしかめた。
国府台城の忍び小屋で神妙尼が微笑む。
「不死身の悲しさでございますね」
「そうだ・・・儂は・・・有岡城で一年に渡り、監禁され・・・不具者になったということになっておる。そのおかげで信長様の同情を引き出すことに成功し、難を逃れたのじゃ」
「しかし・・・完治してしまったわけでございますな」
「うん・・・もう・・・きれいさっぱり治ってしまったわ」
「なにしろ・・・お子を授かるほどでございますからな」
「まあ・・・それは・・・片輪であろうと子作りができぬことはないだろうから・・・いいとして」
「偽るしかございませぬな」
「そうなるか・・・」
「まずは・・・足萎えの演技をなさいませ・・・跛を引くくらいは造作ないこと」
「面倒だのう」
「人前に出る時は忍び化粧を施しまする・・・古来、顔を汚すことは変装の基本でございますよ」
「だのう」
「薬によって爛れなどを引き起こす手もありますが・・・そこまでせずとも・・・よろしいでしょう」
「うむ」
「片目はつぶれたことにして眼帯をなされるがよろしかろう」
「うむ・・・ここまでもうかなり放送倫理に抵触する感じだな」
「妄想ブログならではでございます」
神妙尼はたちまち・・・悲劇の軍師・黒田官兵衛の装いを仕上げた。
「ふむ・・・鬼気に迫っておる・・・」
「恐ろしゅう感じがしてよろしゅうございましょう」
官兵衛は痛くもない足を引きずりながら姫路城の軍議の場へと赴くのだった。
関連するキッドのブログ→第24話のレビュー
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コメント
黒田官兵衛はいつから
信長の語り部になったのかと思うくらい
信長ベースの物語ですなぁ
これが秀吉・家康の語り部になってくみたいな
なんか官兵衛としての主体性が全然見えない
この流れ
やっぱりこのままいくのねって感じですね┐(´ー`)┌
イラスト、茶々が出るまで適当にしようかなぁ・・・
投稿: ikasama4 | 2014年6月23日 (月) 23時53分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ようするに趣味の違いと言うしかないのですな。
周囲の有名人が
凄いと言っているので
凄い主人公なんだ・・・という評判重視の展開です。
主人公の凄さくらい描かんかっという話ですよねえ。
兵糧攻めは信長の基本戦略ですが
秀吉はそれをさらに特化している。
それが官兵衛の知恵だというくらいでよろしいのです。
本願寺や有岡城の包囲は甘くて
兵糧の搬入を許していますが
三木の干殺し、鳥取の干殺しと言われるように
城兵を徹底的に飢餓に追い込む・・・
そのために秀吉得意の土木工事を
徹底させる。
それを官兵衛が学び
相手を苦しめるために
手段を選ばない非情さを見せる。
それがさらに水攻めへと発展する。
おぬしも悪よのう・・・的な・・・
そういう趣味がこのスタッフには欠落してるんですな。
まったく・・・大河ファンへの嫌がらせとしては素晴らしい。
ふふふ・・・光とおね、濃は
おねだりしたいところですが・・・
あくまでマイペースでお願いいたします。
投稿: キッド | 2014年6月24日 (火) 08時36分