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2014年6月 6日 (金)

誰かが書いたシナリオみたい・・・ってドラマだからね(小泉今日子)

「のびしろ」という言葉がすっかり定着しているのだった。

「のりしろ」とか「のみしろ」は20世紀にもあったが・・・のびしろはなんとなく21世紀の言葉である。

基本的に優しいニュアンスの言葉である。

今は未熟だが・・・成長の可能性がある・・・というわけである。

つまり・・・「ゆとり」だな。

逆に全力を出し切っていると見られれば「もはやのびしろがない」ということになるわけだが・・・なにしろ、一種のゆとり言葉なので・・・そういう意味ではあまり使われない気がする。

♪今はそこそこあとは伸びしろ~・・・なのである。

五十代の人間がまだまだこれからという時代である。

もちろん・・・そんなことが許されたり許されなかったりするのが現実というものだが・・・ファンタジーにそんなことを言ってもな。

で、『続・最後から二番目の恋・第8回』(フジテレビ20140605PM10~)脚本・岡田惠和、演出・宮脇亮を見た。吉野千明(小泉今日子)は「あまちゃん」の春子を経て少しキャラクターが変わっていると思う。たとえば今回は和平(中井貴一)が「校舎の窓ガラス」をガンガン割っている不良少女としてイメージしたりするわけだが・・・千明はおそらくキー局の正社員であり、東京大学もしくはそれに準じる有名私立大学の卒業生もしくは強力なコネ入社である。基本的には・・・尾崎豊的なキャラクターとは程遠い青春時代を過ごしたはずである。しかし・・・不良少女・春子を経てキョンキョンが新たに再生して・・・昔はそこそこ不良だった風な味も醸しだしてしまうわけである。まあ・・・深く考えないでスルーしてもいいし・・・もちろん千明本人はそう見える自分の過去のイメージを否定するわけである。頭の回転が速いし、思慮深く見えるが・・・エリートなので意外と他人の気持ちがわからない女・・・今回はそういう展開なのだった。

一時間ドラマが「二時間スペシャル」でスタートする場合・・・よほどのことがない限り・・・最初から二時間ものとして作るわけである。連続ドラマの場合、基本的には一話と二話を合体するわけである。世の中にはふくらませるのが得意な人や、きりつめる人のが得意な人がいるわけだが・・・きりつめるのが得意な人にふくらませるとロクな事がないのはお茶の間の方が感じることが多いだろう。

とにかく・・・スケジュールがない急発進ドラマがいきなり、一時間を二時間にしろと言われてもスケジュールが押せ押せになるだけである。

そんなもやもやが漂う現場の空気を断つべく・・・千明はもう一つの朗報を告げる。

JMTテレビが社運をかける映画の脚本に・・・万里子(内田有紀)が大抜擢された・・・のである。

まあ・・・現実の世界でも・・・大抜擢は存在する。

成功するか失敗するかは・・・運次第である。

千明にしてみれば・・・埋もれていた万里子の才能を開花させた自負があり・・・この大抜擢を喜ぶ気持ちが大きいわけである。

万里子がどういうキャラクターであったのか・・・忘れることができるのが・・・今を生きるエリートの特性であることは言うまでもない。

また・・・常に調整役として生きて来た千明には・・・自分が万里子の才能の一部だという自覚・・・自分あっての万里子という奢った考え方がなじまない。

引きこもりの部屋から卒業してJMTテレビまで出て来た万里子なのだから・・・千明の上司のクソ部長の作る世界にも行けるはずと思いこむわけである。

なにしろ・・・千明は自分に全く気がない男を元カレと思いこめる女なのである。

しかし・・・JMTテレビが自分の部屋の延長線上になったに過ぎない万里子にとっては千明の元を離れるのは耐え難い苦痛だったのだった。

その苦痛は・・・テレパシーで通じ合う双子の兄の真平(坂口憲二)の胸を直撃するのだった。

そのショックのために・・・真平はついに・・・死が間近に迫ったのかと勘違いするのだった。

一方・・・明らかに超勘違いで千明の誇張されたドッペルゲンガーである伊佐山市長(柴田理恵)は和平(中井貴一)の動揺に動揺して・・・ハッピーエンドが近いことを予感する。

しかし・・・和平を動揺させたのは・・・バスの中から目撃した典子(飯島直子)の夫・広行(浅野和之)の姿だったのである。

広行は相手が嫁の弟の妻・知美(佐津川愛美)の母親とは知らずに秀子(美保純)から食事を奢ってもらっているのだった。

「もう、あんたと会うこともないだろう・・・俺は新たな荒野に旅立つから・・・」

長倉家の人間をどんどんスタッフとして採用する千明によって典子はJMTテレビ専属ベビーシッターとして小銭を稼いでいたが・・・和平から情報をもらい、勤務を終えると直ちに・・・野良犬化した夫の捕獲に向かうのだった。

「死」を感じる真平は・・・新婚妻を激しく抱きしめる・・・そして新居に戻る途中で・・・家族を見収めしたい気持ちに陥るのだった。

弟夫婦の激しい抱擁を目撃してどぎまぎした和平だったが・・・久しぶりに愛娘の長倉えりな(白本彩奈)には冷たくあしらわれるのだった。

そこへ・・・典子が帰ってきて、捕獲した野良犬を預け、千明を極楽寺で待ち伏せる。

広行、和平、千明、典子の最後の晩餐風横並びの食卓。

「あんた・・・何考えてんだ」

「一人で行くんだ幸せに背を向けて・・・」

「誰が青年は荒野をめざすだよ・・・あんたじじいだろう」

「男だからわかるでしょう」

「だったら・・・正式に離婚して一人で生きろよ」

しかし・・・「離婚」を結婚の義務を果たさない理不尽な行いとして認めない千明。

「それはないんじゃないの・・・結婚して・・・家庭を持って・・・それなりに幸せを味わって・・・今度は離婚して幸せになろうとするなんて・・・ずるいよ」

千明は・・・本当に結婚して・・・幸せになりたかったんだなあ。

突然、始る広行に味方したと千明に判定された和平と千明の痴話喧嘩である。

しかし・・・とにかく・・・浮浪者特有の臭気を漂わせた広行とよりを戻す気満々の典子なのであった。

そこへ・・・家族と最後の食事をしたいと思いつめた真平が・・・知美とともに戻ってきて・・・一家団欒へ突入しようとするところ・・・真平の胸騒ぎの原因である万里子が電車を降り損なって反対車線で引き返してのご帰還である。

その様子に・・・問題発生を悟る長倉一族ととなりの千明だった。

「どうした・・・ひょっとして・・・映画の仕事・・・ことわっちゃったのかな」

「・・・」

「私はさ・・・万里子がもっと大きな仕事をできると思ってさ・・・今よりもっと幸せになってほしくて・・・」

「私は今が幸せなんです・・・今の幸せを維持したいんです・・・それじゃダメですか」

「ダメなことなんかないよ・・・ごめん・・・私が悪かった・・・万里子の気持ちがちっともわかってなかった」

「ダメなのは私です」

「そんなことないよ・・・いいのよ・・・万里子は今のままで」

「申し訳ありません」

「いいんだよお」

「千明さん」

「万里子~」

まあ・・・ある意味、面倒な人々である。

万里子の心理的な衝撃を感じていたと悟った真平は安堵するのだった。

そこへ・・・お呼ばれされた秀子が到着。

娘の夫の姉の夫とご対面するのだった。

間違いが起きなくて残念なくらいであるが・・・和行はロリコン気質なので仕方ないのだった。

すべてのドタバタが過ぎ去って・・・庭ではまぐり焼きながら・・・しみじみとする二人。

「いつも・・・妹たちがあなたに頼ってばかりですみません」

「いいんですよ・・・楽しいから」

「僕なんか・・・いい年してまだまだなんだと思います・・・でもそれはのびしろがあるってことみたいですから」

「のびたとのびしろは似てますよね・・・もうそんなに伸びないとおもいますけどね」

「いや・・・あなたは僕にくらべたらまだまだでしょう」

「一緒じゃないんですか・・・」

「そりゃ・・・世代は一緒だけど・・・僕にとってあなたはいくつになったって年下の女の子ですから・・・」

「・・・」

くっついちゃえば~と言う展開だが・・・まだまだくっつかないのである。

そのために・・・シナリオはあの手この手を用意するのだった。

千明のゴールの前に立ちふさがる未亡人・薫子(長谷川京子)と伊佐山市長・・・。

ラストシーンが先週の予告編にあったので・・・千明とセフレの女の直接対決は次週に持ち越しという阿漕な展開である。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

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コメント

いつまでたっても4歳年下の女の子
さりげなく流してるつもりでも内心かなり嬉しくって
テンションアップしちゃいそう^ ^
こういう言葉って不思議とストンと入って
ずっと忘れない 笑

千明カッコイイですね
女性としてはやっぱり憧れます
音楽もいいし ドラマ現場の本音 皮肉?みたいなのを聞くのも
とっても楽しいです
スペシャルでは もっと仲が進展しそうにみえたけれど
微妙な距離感があったほうがずっといい関係でいられるんでしょうか

今さらな疑問ですが
最後から2番目ってどういう意味合いなんでしょうか
2番目は言葉の綾で 人生をよくわかってる大人のする恋っていうニュアンスだとなんとなく思ってましたが 二人は別れるんだ
と訳のわからない事を家族がいうのでちょっと自信がなくなっちゃいました(≧∇≦)
最終回 結婚しなくてもいいけれど
スペシャルよりは関係が進んで終わるといいな〜♪
って願ってます(^^)

投稿: chiru | 2014年6月 6日 (金) 21時02分

シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン

ふふふ・・・男と女の間には
深くて暗い川がありますからな・・・。
男子高校生が女子中学生に言うのと
100歳の爺が96歳の婆に言うのとでは
違うんじゃないかと悪魔はつい思ってしまいますぞ。

まあ・・・プロの書いたシナリオですからねえ。

口説き文句を考えて考えてナンボですからな。

素晴らしいかもしれません。

ふふふ・・・和平が「ふぞろいの林檎たち」で
冴えない大学生を演じていた頃・・・。
千明は「まっ赤な女の子」とか「艶姿ナミダ娘」とか
歌ってましたからな。
昔はとても手が出なかったアイドルが
ようやく・・・視野に入って来た感じもいたします。

まあ・・・中井貴一自身はサラブレッドなわけですが。

二人がここで共演していることは
一種の奇跡と言えるでしょう。
いろいろあって・・・ここなんですものねえ。

そういう年輪があるから・・・どんなに微妙な関係でも
面白おかしく見える気がします。

最後から二番目は文字通りの意味でございましょう。
この恋が最期じゃない・・・まだ次があるというゆとりです。

最初で最後の恋なんてない・・・という皮肉も些少は感じられますな。

恋は色あせるものですから・・・
色あせてもまた・・・あなたに恋をするという意味では
男は最初の男になりたがり、女は最後の女になりたがる
という通俗的なフレーズに女性サイドから寄り添い
港港に女ありという男の願望にも寄り添うなかなかの名言なのではないでしょうか。

まあ・・・最後から二番目の恋をしているつもりで
最後になってしまうのは・・・よくあることだと考えますが。

投稿: キッド | 2014年6月 7日 (土) 02時32分

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