悪いことしておいて善人面ってむかつくわ(仲里依紗)
ものすごくドス黒い話である。
こんなドス黒い話を月9でやって・・・誰が得するんだ・・・と思わないでもない。
しかし、やってしまったものは仕方ないよなあ。
さらに言えば・・・ものすごくいろいろと神経を使っているので・・・ドス黒さが伝わっていないんじゃないかと危惧する。
つまり・・・これは「凶悪事件の犯人を育てたものは死ね」という話なのである。
だけど・・・あれだぞ・・・少女を殺したり、少女を殺したり、少女を殺したりする奴の親なんて・・・普通だったりする場合もあるんじゃないかな。
鳶が鷹を生むってことあるんじゃないのか。
それでも・・・死んでお詫びしなくてはいけないんだろうな。
まともな親ほど死ぬよな。
救いようのない話だよな。
で、『極悪がんぼ・第9回』(フジテレビ20140609PM9~)原作・田島隆・東風孝広、脚本・池上純哉、演出・石井祐介を見た。尾野真千子が演じているので・・・とりあえずの情感は伝わっているのだが・・・ストーリーは物凄く難解だと思う。早い話がクズがクズを殺す話なのである。月9のヒロインだから・・・なんとか善意とか・・・人の良さを醸しだそうとするのだが・・・結局は「人間を食べちゃってごめんなさい」という話なのである。「でも悪く思わないで・・・」というふっきれなさがずっとつきまとう。これってエンターティメントとしてはギリギリのラインだよな。後味の悪さをお楽しみくださいという・・・。
小清水経営コンサルタントの小清水所長(小林薫)を囲む食事会。
組長・・・所長は監査と称して上納金の・・・所員の仕事ぶりを評価するのだった。
「冬月の・・・あがりが少ないのお」
冬月(椎名桔平)は蒼ざめる。
「夏目は看板に泥を塗った落し前・・・ビルのひとつもおさめてもらわんとのう」
夏目(竹内力)は蒼ざめる。
「抜道は・・・まあいいか」
抜道(板尾創路)は蒼ざめる。
「金子はのう・・・看板を返してもらおうかのう・・・」
金子(三浦友和)は失神しかける。
「冗談じゃ・・・金子には看板背負って東京に行ってもらおうかのう」
「東京に・・・」
金暮市(フィクション)から見ると東京は地の果てになるらしいが・・・広島市民以外にはまったくピンと来ない話である。・・・おいっ。
「行ってくれんかのう」
「しかし・・・ワシにはこっちにやりかけのシノギがあるんですわ」
「まあ・・・それが片付いたらということで・・・のう」
金子は結局、蒼ざめた。破綻銀行を巡る一件で結果的に組長と敵対したことが金子を心理的に圧迫しているのである。
「神崎の・・・そろそろ一本立ちせんとのう」
「はあ・・・」
神崎(尾野真千子)だけはアホなので所長の恐ろしさがもうひとつピンとこないのだった。
食事会の後で冬月に教えを乞う神崎。
「シノギのネタって・・・どうすればみつかるんですか」
「そりゃ・・・お前のようなクズを見つけることだ」
「私みたいなですか」
「そうだ・・・この事務所に初めて来た時のお前のようなクズを・・・な」
クズはクズからしか搾りとれないという話である。
しかし・・・底抜けのクズである神崎は素直にクズを捜しに出るのである。
そして・・・金暮市はクズに不自由しない街なのである。
巻上金融の巻上社長(宇梶剛士)を尾行した神崎は・・・600万円の借金が返済できずに闇の労働者市場に送り込まれる天枝太郎(六角慎司)を発見する。
「宗教法人は金になる」と小耳にはさんでいた神崎は・・・太郎が寺の跡取り息子と知り、借金回収に名乗りをあげるのだった。
だが・・・太郎の父親で住職の史郎(片岡鶴太郎)は放蕩息子の帰還に御立腹で・・・借金の肩代わりを拒否する。
「お前のようなバカ息子は・・・ガキの頃に捨てておけばよかったわい」と罵倒する史郎。
その言葉は・・・神崎の心の傷に触れるのだった。
神崎は・・・幼い頃に父親に捨てられた苦い記憶があったのだ。
「それでも・・・親か」
誰がどう見ても悪いのは息子だが・・・神崎にとって親は子供のどんな面倒も見なくてはならない・・・と思いたい心のゆがみを持っているのだ。
自分と他人の区別がつかない幼さが心に居座っている人間なのである。
「あんたんとこに金目のものはあるの?」
怒りに目が眩み窃盗を教唆する神崎だった。
「重要文化財があります」
「それって金になんの」
「そりゃ・・・もう」
神崎は太郎の手引きで寺の本堂に忍びこみ、「重文の硯」を入手する。
「そんなもの引き取れますかいな・・・盗品なので警察に通報せにゃならんとこですよ」
骨董品屋に常識を疑われるクズ二人である。
「あかんやないの」
「すんません」
仕方なく・・・抜道のアドバイスを受ける神崎。
抜道は授業料を求めず・・・業務提携を申し出る。
抜道は「相続の形で・・・太郎が寺の住職になればいい」と言うのだった。
太郎は一応、修行を積んでその資格を持っていた。
「しかし・・・檀家が相続を納得してくれるでしょうか」
「まずは檀家総代を押さえるんじゃ」
総代は家電会社に勤める茶柱(矢柴俊博)だった。
スーパハッカーだがハニートラップもこなす真矢樫キリコ(仲里依紗)に頼み、色仕掛けを仕掛ける一味・・・なんだかんだで茶柱の弱みを握るのだった。
「重文」を売却しようとした冤罪で・・・史郎を認知症に仕立て上げる算段である。
乗っ取りの成功を確信した神崎は自分を捨てた父親への怨みを史郎にぶつけにいくのだった。
「私も親に捨てられたんだ・・・子供を捨てる親なんて最低だ」
毒づく神崎を痛ましげに見つめる史郎だった。
子育てには失敗したが・・・史郎は先祖伝来の寺を守るまともな住職なのである。
「坊主丸儲けじゃからのう」と寺社ビジネスに夢膨らむ一味。
しかし・・・抜道は乗っ取りの主導権を奪う画策をしていたのだった。
太郎には別に借金があり・・・信用できないという理由で別の僧侶(加藤歩)が立てられたのである。
「そんな・・・あの家族はどうなんの」
太郎には・・・クズを匂わせる妻と・・・二人の幼い子供がいたのである。
神崎は結局、幼い子供たちから親を奪う手伝いをしていたのだった。
「両親はしかるべき所に沈んでもらい・・・子供たちは施設やな」
「そんな・・・」
「もう・・・話はすんどる・・・神崎はんの手間賃はしっかり払うで・・・」
手間賃・・・金・・・神崎は結局、それを手にしなければ自分が生きていけない身の上なのである。
事情を話して・・・寺の乗っ取りを阻止したら・・・一銭にもならないのだった。
抜道も逃げた女房の連れ子を育てるために稼がなければならないのである。
それが神崎の生きる世界の現実・・・。
監視役として史郎につけていた腐れ外道(三浦翔平)が報告する。
「あの坊さん、檀家を回って息子に寺を継がせる根回ししていたよ・・・結局、親バカなんだね」
「・・・」
「どうした・・・あんた」とキリコ。
「私・・・仕事・・・降りた」
「あんたも・・・半端な女じゃねえ」
「もらうものは・・・もらうから・・・」
神崎は寺を訪ねる。
「ごめんなさい・・・寺は人手に渡ります」
「・・・」
「息子さんは・・・他に借金があって・・・どうにもならんかった」
「頭をあげんさい・・・ありゃ・・・どうしようもないバカ息子じゃけん・・・それを育てたワシがクソ坊主っちゅうことじゃ・・・因果応報じゃけん・・・仕方ない」
「その上で・・・お願いがあります」
「・・・」
「息子さんのお子さん・・・つまり住職のお孫さんを引き取ってもらいませんか」
「認知症の爺に孫の面倒が見れるんかのう・・・」
「・・・」
史郎に引導を渡すための冤罪の証拠として・・・「重文の硯」を太郎から受け取る神崎。
その筋のものが太郎とその嫁の身柄を拘束する。
「これはどういうことです」
「他に借金があること・・・隠していたあんたが悪いんじゃけん・・・地獄で根性叩きなおしてもらうとええんじゃ」
「ひでぶ・・・」
幼い姉妹を連れて寺に着く神崎。
太郎は笑顔で迎えるが・・・姉妹は怯えて泣きだす。
「こんな人知らない」
「おうちにかえりたい」
「泣くな・・・この人があんたらのおじいちゃんや・・・お父さんのお父さんや・・・あんたのおうちはもうないんじゃ」
「おばさんも・・・泣いておろうが」
「泣いたらあかんのじゃ・・・泣いたら食われてしまうんじゃ・・・あんたらは泣かずにしっかりと生きんしゃい」
幼い三人の子供を太郎は慈愛の目で見つめるのだった。
寺は奪われてもそれなりに蓄えがあるのだろう・・・なにしろ坊主丸儲けなのである。
その頃・・・金子は・・・不動産経営者の地揚四郎(ラサール石井)と組んでなにやら怪しげな土地買収に励んでいるのだった。まあ・・・地上げなんだな。
物語は・・・いよいよ・・・組長と神崎のバトルに突入するのか・・・。
きっと・・・組長は・・・神崎の忌まわしい過去の関係者なんだな。
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