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2014年7月31日 (木)

恋愛で死ねなかった皆さんのために(広末涼子)

理屈じゃねえんだよ・・・という意味で面白いものの一つが「つかこうへいの世界」である。

しかし、つかこうへいの世界に理屈がないかといえばそんなことはない。

「戦争で名誉の戦死」をすることが「不名誉」だった時代に「名誉の戦死をできなかった人がどれだけ恥ずかしかったか」を延々と叫び続ける「戦争で死ねなかったお父さんのために」は理屈を越えた理屈というものが・・・人の魂を翻弄することがある一つの証拠だ。

「命かけてと誓った日から素敵な思い出残してきたのに」・・・結局、なんとなく自然消滅しちゃう恋愛しかできなかった人々にもそういう慙愧に堪えない気持ちがあるはずである。

「あの人への思いはそんなもんだったのか・・・灯油かぶって火をつけて致死量に達する体表面積に火傷することでしか・・・気持ちを伝えられなかったのか・・・まあ、口惜しいからリベンジポルノしたり待ち伏せして殺しちゃうより、男らしいと言えば男らしいけどな」的な感傷が胸を刺すのである。

そういうものを借りてくるのはある意味、反則だが・・・。

好きなものはしょうがないよねえ。

で、『ち2014・第4回』(フジテレビ20140730PM10~)脚本・武藤将吾、演出・杉田成道を見た。つかこうへい的要素をまったく知らないでこのドラマを見る人々は悲しい人々だが・・・ある種の感受性を持つものは何も知らなくても「なんだか自分の知らないすごいものがこの世にあること」を感じたと思う。・・・っていうか、そうあってもらいたい。誰もが語れる時代で誰が何を語ってもいいわけだが・・・これが分からない人が語るのはものすごく虚しいよねえと思う夜だった。つかこうへいがある程度、この世に認知された頃、その凄さを「コント55号」との比較で語った人がいたが・・・つまり、コント55号はナンセンスの凄み、つかは意味ありすぎの凄みである的な・・・しかし、今となっては両者は混然一体と言っても過言ではないだろう。なにしろ・・・過ぎ去った革命の時代を・・・ロミジュリで語るという・・・このとんでも芝居はほとんど思い起こせよ10年前なのである。

「芝居が俺の夢なんだよ」

「そんなこと言ってないで大学卒業して就職してくれ」

亡くなった両親の代わりに兄弟たちを養うため、中学卒業後から働いてきた佐藤旭(妻夫木聡)にとって・・・ハルこと陽(柄本佑)が大卒の会社員になることがささやかな「夢」だったのだ。

しかし、ハルは芝居に熱中し、大学を留年し、就職にも興味を示さない。

ひかり(満島ひかり)は「ようやく、初めての公演ができるのだから・・・喜んであげればいいのに」と弟を庇う。

ハルは次男・暁(瑛太)にチケットを一枚送る。

「吉川瑞貴さんに来てもらいたい」

ハルの言葉に暁の顔色が変わるのだった。

ここまで・・・暁には様々な謎の部分があり、それが周囲との軋轢の原因となっていたわけだが・・・ついに最後のピースが明らかになる。

兄の旭との確執は旭が父親を殺した会社で働いていたことが原因だった。

その後、暁は屋代多香子(長澤まさみ)の母親(根岸季衣)から三千万円をだまし取った詐偽の容疑で服役する。

やがて・・・暁の真意が伝わってもつれた糸はほどけていく。

旭とは兄弟の絆を取り戻し、多香子の農場で働くようになった。

しかし・・・三千万円はどこに消えたのか・・・。

やがて・・・その件に・・・ひかりの不倫相手である新生児特定集中治療室(NICU)の医師・新城正臣(吉岡秀隆)が関わっていることが示される。

吉川瑞貴(広末涼子)が新城の愛人なのではないかと疑ったひかりは早速、本人を問いつめる。

しかし・・・瑞貴は新城が救えなかった患者の一人で・・・暁の恋人だった。

拡張型心筋症を患った瑞貴の手術費用には三千万円が必要だったのである。

暁はその点を隠していた新城を責める。

「もっと早く用意していれば・・・瑞貴は助かったかもしれないのに・・・」

蟠る暁の怨念。

「瑞樹さんに止められていたんだ・・・瑞樹さんは・・・お前が無理をするのを恐れていた・・・お前に幸せになってもらいたかったから」

「嘘をつけ」

「嘘なんかつかない・・・自分が救えなかった患者のことで・・・嘘なんかつかないよ」

救えなかった患者アルバムを秘匿している・・・ある意味、変態医師の新城だった。

つかこうへいの戯曲には様々な特徴があるが・・・そのひとつが「おちょくってはならないものをおちょくる」姿勢である。

「戦争で死ねなかったお父さんのために」では進駐軍にチョコレートをねだる浮浪児がおちょくりの対象となった。土人を土人のようにあつかった日本兵の子供たちがギブ・ミイ・チョコレートと叫び、チョコレート欲しさに米国の軍人に三度回ってワンと言う・・・こんなドス黒い「笑い」に満ちている。「熱海殺人事件」ではブスには殺される資格なんかないである。そして「飛龍伝」では・・・革命に真剣に取り組み、ついには夢破れて散々なことになった学生運動をおちょくっておちょくっておちょくりたおすのである。

しかし・・・そうでありながら・・・笑いの対象に・・・人の情のやるせなさを見出すことにその真価があることは言うまでもない。

ひたすらに妹や弟を思う旭のちょっとバカなところは・・・まさしく・・・そういうニュアンスで作られているわけである。

吉川瑞貴が死んだことを知らないハルもまた間抜けである。

しかし・・・吉川瑞貴が女優の卵であり・・・「飛龍伝」を演ずることが夢だったことが・・・現在を作っているという仕掛けになっている。

タダシこと旦(野村周平)が恋をした永原香澄(橋本愛)がハルの夢の女になっていくことも仕掛けになっていく。

暁の恋人に憧れるハル。ハルに夢中になっていく女に恋するタダシ。

歴史は繰り返すんだな。

「私は革命の理想のために・・・あなたの元へと送り込まれたスパイだったのです」

「そんなこと・・・最初から知ってたさ」

順調に見えたハルの夢もまた・・・危機に陥る。

ハルの主宰する劇団「bluehall」の団員・斉藤(小久保寿人)が舞台公演費用の30万を持ち逃げしたのである。

窮地に陥った劇団を見限る団員も現れ・・・ハルは公演の中止を決める。

そんなハルを「七人の侍」的な雨の空き地で・・・チョークスリーパーホールドで締め上げる旭。

「お前の夢はそんなものか・・・」

「だってしょうがないだろう・・・」

「あきらめたら試合終了なんだよ・・・」

旭は斉藤の居場所を突き止めていた。

母親が認知症を発症し・・・介護費用で借金を重ねていた斉藤に謝罪され・・・夢を託されるハル。

「俺の夢は終わった・・・代わりにお前が夢を見続けてくれ」

芝居なんて言うひどいことをやる人間は・・・そんな風に励まされなければやってはいけないのである。

さらに・・・親の残した遺産があると言って・・・旭はハルに三十万円を渡すのだった。

「今まで黙っていて悪かった・・・俺はお前を愛している」

「そんなこと・・・私が気付かなかったとでも思っているのですか」

「じゃあ・・・行けよ」

「なぜ・・・ひきとめてくれないのです」

「だってしょうがないじゃないか・・・俺の愛した女は・・・日本をよりよい国にするために戦い続ける・・・そういう女なんだから」

「私に戦い続けろとおっしゃるのですか」

「当たり前だ・・・お前なんかに地味で日蔭者の機動隊員の妻なんか・・・つとまるわけないだろう・・・このスベタがっ・・・お前にはエプロンよりヘルメットがお似合いなんだよ」

舞台で輝く・・・神林美智子(香澄)は暁の目には神林美智子(吉川瑞貴)となっている。

ちなみに・・・広末涼子は2003年に「幕末純情伝」の実は女だった沖田総司に続いて、「飛龍伝」の神林美智子も実演しているのである。

「今、世界同時革命戦争の火ぶたがきられるのです。私は愛する男と愛しい子供を残して出撃します」

暁の心は溶ける・・・ただし・・・吉川瑞貴のために使われなかった三千万円の使途はまだ不明である。

ショーアップされたつかこうへいの世界では情念を示すジャージ姿からハレの世界のステージ衣装にチェンジが行われる。華麗なるカーテンコール。

「パラダイス/からさきしょういち」をユイちゃんが歌うのだった。

霧の立ちこめる夜 

彼は私を見つめ

そっとつぶやく台詞 Be Mine 堕ちてゆく

闇を切り裂き走る 

狂った夢の翼

どこまでも昇ってゆける 時を超えて

銀色の雲のうえはパラダイス

「あの金は・・・兄貴が親父を殺した社長に頭を下げて借りた金だ・・・」

暁がハルに真実を告げ・・・。

ハルは旭の元へと走り出す。

「ありがとう・・・兄貴・・・俺は夢を背負うよ」

しかし・・・その頃、梓(蒼井優)は暗い便所で流産の危機に襲われていた。

そして・・・新城の娘・寿々(横溝菜帆)の笑顔がひかりの胸に突き刺さる。

男たちがバカをやっている間に女たちは現実に直面するのである。

「飛龍伝」で上昇してしまった成層圏で・・・次なる点火があるのかどうか・・・気がかりな今日この頃だ。

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2014年7月30日 (水)

ダイヤが人を狂わせることもあるし、狂った人が中央・総武緩行線のダイヤを狂わせることもある(橋本愛)

土用の丑の日なのでささやかなうな重を食べる。

食が細い人はうな重(小)で充分でなんとなくリーズナブルだ。

そういう日にガンマナイフを照射される人もいる。

月の内側にもホットスポットがある。

世界を正しく認識していた人が自分の居場所を忘却する。

完全なデータを求めるほどにデータは不完全になっていく。

天の川の中心には暗くて深い穴がある。

そして、男と女には心の準備が必要なときがあるらしい。

我を忘れる瞬間は確かにある。

やがて、それは時の彼方に過ぎ去って行く。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第6回』(NHK総合20140729PM10~)脚本・徳尾浩司、演出・橋本光二郎を見た。人は「全体像」を把握しようとする。同級生を殺害する女子高校生の全体像。殺害に至る動機の全体像。女子高校生の顔の全体像。女子高校生全体の全体像。宇宙の全体像。しかし、恐ろしいことに人は全体像を把握するための情報を蓄積するほどのハードウェアを持っていないような気がするのである。そのために人は全体像を把握するための近道を模索してきた。それが人類の歴史だといっても過言ではない。・・・そろそろいいかな。はいっ。

統計学的手法とGIS(geographic information system)=地理情報システムを結び付け、CPS( Crime Predict System)=犯罪予測システムを開発したサイエンスデータ社の貴島道夫(吉沢悠)の提案によって・・・初音署管内で試験的に犯罪予測マップが導入される。

過去の犯罪データから次に犯罪が起こる地域を予測してホットスポットに指定する画期的なシステム導入に・・・警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)は直感的にうさんくささを感じるのだった。

しかし、CPS試験運用の初日、ホットスポットでは銀行強盗事件が発生するのだった。

そんなこととは露知らず、中央・総武線各駅停車の停車駅に近い東都大学(フィクション)の天才女子大生・難波くるみ(橋本愛)は17日後に迫る伴田刑事の誕生日に完璧なお祝いをするためのデータを蓄積中だった。

恋する乙女だから。

東都大学数学科教授の森崎の留守につけこんで研究室を私物化しているくるみの元へ貴島が現れる。

森崎教授に「ITセミナー」への出席を依頼しに来た貴島はくるみに親しげに握手を求め、くるみは発情するのだった。

そこへ・・・CPSに懐疑的な伴田刑事が・・・くるみに意見を求めるためにやってくる。

二人の男と一人の女の組み合わせにくるみの妄想は激しく花開くのだった。

動物のお医者さんハムテルに似たシステム開発者と書店員ミチルのストーカーのような刑事は相容れぬムードを醸しだすが・・・くるみはそれを自分をめぐる恋の三角関係と誤解するのである。

CPSの数学的アプローチについて意気投合する貴島とくるみ。

ついには「ITセミナー」への出席をくるみに求める貴島。

受諾したくるみは貴島に抱擁されて発情するのだった。

しかし・・・伴田刑事は「犯罪が発生する時と場所を予知する」システムがどうしても信用できない。

だが、CPSは的中確率70%の範囲を越え、次々に当たって行く。

そのために・・・くるみは「当たりすぎ」に疑問を感じ始める。

システムの的中率が統計学における初歩的な誤差修正の範囲を越えていたからである。

当たりすぎる予想は有意水準によって「偶然の範囲」を越えるという考え方があり、その基準は研究対象によっても違いがあるものの、およそ5%を分水嶺とする。

あまりにも正確すぎる予想は不自然であり、なんらかの有意性=イカサマが疑われるのである。

つまり、予測されたホットスポットで犯罪が発生するのは意図的なものである可能性が高まるのだった。

しかし、犯罪発覚の危険性が高まるホットスポットで犯罪者が犯罪をあえて犯すことに意味はあるのか。

素朴な疑問が浮かぶくるみだった。

一方、ホットスポットで犯罪を犯し逃亡した容疑者が不審死するという事件が発生し、伴田刑事は裏社会の情報屋から大規模な窃盗団・春日グループの存在を知る。

ホットスポットで起きる犯罪には春日グループが関与していたのである。

貴島、情報屋、伴田刑事は続けて春日グループに襲撃される。

くるみは貴島の怪我の様子から・・・貴島への疑いの眼差しを向ける。

一方、情報屋は殺され、「台風で乱す」というヒントを残す。

くるみは・・・ホットスポットの犯行が最終的な犯罪日時を隠すために行われていると推定し・・・犯罪が発生しにくいと予測されるディスホットスポットを割り出すのだった。

伴田刑事はくるみの予測したいくつかのポイントから一点を選びだす。

「美術館だ」

「どうしてですか」

「ここでは宝石展が開催されて高額のダイヤが展示されている」

「・・・」

「台風で乱れるのは鉄道のダイヤだから・・・」

「だじゃれですかっ」

だが・・・冴えわたった伴田刑事の勘は当たるのだった。

犯人が逮捕されている頃・・・CPSがホットスポットとして指定した東都大学で貴島と対峙するくるみ。

「あなたは・・・犯罪グループと組んで・・・警察をはめようとしましたね」

「何を根拠に・・・」

「あなたの狙いは・・・私がまだ・・・はめたことのないものでしょう」

「誰が宝石なんか・・・」

「私は手錠について語ったのです」

「はめたのか・・・」

「でも・・・あなたの予測は当たりました・・・なぜなら・・・ホットスポットで・・・あなたは手錠をはめられるのです」

「僕はただ・・・犯罪の起きない世界を・・・目指しただけなのに・・・」

「犯罪をするかしないかは・・・個人的な選択の問題ですよ・・・」

「・・・君を食事に誘おうと思ったのに」

「あなたと食事できなくて残念です」

かけつけた伴田刑事は空腹のくるみをなぐさめる。

「何が食べたい・・・」

食べたい物のデータに埋もれたくるみは適当な一点を抽出する。

「ブール・ド・カンパーニュ・・・とか」

「それは・・・パン・ド・カンパーニュ・・・ただのフランスの田舎風パンの丸いやつだぜ」

「・・・」

食通を思わせる伴田刑事の知識に・・・くるみは禍々しい何かを感じるのだった。

くるみにとって伴田刑事は怪しく、謎に満ちた恋のお相手なのである。

そして・・・ハードナッツを乗せた電車は終点へと走り出す・・・。

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初歩的な統計的推測について興味のある方はコチラへ→天使テンメイ様のハードナッツ

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2014年7月29日 (火)

君が誰に微笑みかけてもいいさ、だけど私がここにいることをどうか忘れないで(木村拓哉)

一日は24時間である。

ぐっすり眠れば8時間で残り16時間。

9時から5時まで働けば8時間。

つまり、平日は残り8時間である。

それがいわゆるプライベートタイムである。

残業7時間で15時間も働いたら・・・残りは1時間。通勤時間を差し引いたら入浴もできないぞ。

まあ・・・新婚時代とかに・・・そんな生活をしていたら・・・帰宅した時に家具が半分消えていたりするので注意したい・・・。

家族の顔を見るより、仕事仲間の顔を見ている時間が長い・・・それは危険な兆候です。

会議室を抜けだして・・・ほんの少し仮眠をとり・・・同じ顔ぶれで続いている会議に戻った時・・・こんなことのために生まれてきたんじゃないと思ったことがあります。

で、『HERO(第2期)・第3回』(フジテレビ20140728PM9~)脚本・福田靖、演出・平野眞を見た。公僕たるものは公正でなければならない。一歩間違えればそれは無能であることを意味する。たとえば教師は生徒を依怙贔屓してはいけない。しかし、優秀な生徒の才能をさらに伸ばしたり、成績の悪いものを選んで特別に補習授業を施したりすることを否定していいものだろうか。警察官は好きな人も嫌いな人も差別せずに逮捕するべきだが、か弱い犯人を優しく確保することが許されないことなのだろうか・・・というような疑問が生じるわけである。公務員は逸脱しないように厳格な規則で縛られる。しかし、人間なんだから良心に従ってある程度の自由な振る舞いを許容するべきだろう。もちろん・・・組織を守るためにお互いを庇いあって罪を大目に見るというようなことではないのである。権力は危険なドラッグのように心を酔わせるがハートを盗られてはいけないのである。どうぞ、忘れないで・・・。

久利生公平検事(木村拓哉)から解放されておひとり様の天丼を楽しまんとする事務官と言う名の奴隷・麻木千佳(北川景子)・・・。

しかし、捜査の鬼である久利生検事は・・・拘留中の被疑者の死亡発生・・・それに伴う検死のために・・・麻木事務官を召集するのだった。

美味しいものを食べることが唯一の楽しみであるらしい麻木事務官は死体を目にしてテイクアウトした天丼さえ食べられなくなるのだ。

心の底から同情します。

死体は殺人の嫌疑がかかった佐伯亘(山崎画大)・・・。取調の担当は田村検事(杉本哲太)だった。佐伯の死因には事件性はなく・・・被疑者死亡のために不起訴となってしまう。死体を罰する法律はないからである。

しかし、東京地方検察庁城西支部には事件の裁判が行われないことに憤る佐伯が殺した相手の父親・長谷川誠一(前田吟)が苦情を申し立てる。

「息子が何故死んだのか・・・理由を知りたい」

しかし・・・殺した相手が取調中に死亡してしまった場合、捜査上の秘密を役人は誰にも明かすことはできないのだった。

被害者遺族が加害者の家族に戦争を仕掛けたりするかもしれないからだ・・・おいっ。

対応に困った田村検事は応対を遠藤事務官(八嶋智人)に任せる。クレーマーのような被害者遺族につきまとわれ遠藤は悲鳴を上げるのだった。

一方、久利生・麻木ペアは覚醒剤所持・使用のキャビンアテンダント(西原亜希)を取り調べる。

初犯であり、本人が罪を認め、反省しているので起訴すればいいと考える麻木事務官。

しかし・・・「ちょっと躓いたようなもの」と自分の罪について述べるCAに久利生はカチンと来たらしい。

「もう少し・・・被疑者の周辺を調査したい」と長期戦に突入するのだった。

被疑者の家族や友人から証言を聴取する久利生・・・残業の連打に麻木のストレスはたまるのだった。

「一体、何を知りたいんですか」

「被疑者のキャラ(人格)とか・・・」

「ちっ・・・」

「あああ、舌うちされたあ」

綾瀬はるかのものまねをする川口春奈のような傍若無人な態度の麻木秘書官だった。

一方・・・ひょんなことから麻木の手を握ることに成功した宇野検事(濱田岳)はうっとりしたついでに発情する。

そして・・・末次事務官(小日向文世)も社交ダンスのパートナーとして馬場礼子検事(吉田羊)に狙いを定めるのだった。

さらに・・・独身であり・・・かって、田村検事と交際し、東京地方検察庁本庁の牛丸(角野卓造)の娘・ハルナじゃなくてミユキに敗北した過去のある馬場検事は新婚さんの井戸事務官(正名僕蔵)が腹立たしいのだった。

整理してみよう。

久利生検事が残業しすぎるので麻木事務官が不満。

田村検事が逃げるので遠藤事務官が矢面。

麻木狙いの宇野検事と馬場狙いの末次事務官。

独身の馬場検事と新婚の井戸事務官。

様々な苦情が川尻健三郎検事部長(松重豊)に寄せられ・・・ついにパートナー・チェンジが発生するのだった。

久利生検事に末次事務官・・・末次は相手が馬場じゃなくてガッカリ。

宇野検事に井戸事務官・・・宇野は相手が麻木じゃなくてガッカリ。

馬場検事に遠藤事務官・・・馬場は麻木希望だった。

田村検事に麻木事務官・・・牛丸そっくりの嫁を持つ田村は美人過ぎる麻木をもてあますのだった。

こうして・・・パートナー・チェンジはそこはかとない虚無を生じさせた。

しかし・・・人材交流はそれなりに刺激をもたらすのだった。

田村は麻木から・・・久利生の拘りを聞き・・・感じるところがあった。

久利生はさりげなく・・・クレーマーの長谷川の真意を田村に伝える。

殺された長谷川の息子には・・・愛する妻と娘がいたのである。

田村は同じ人間として・・・長谷川に誠実に対応する気になったのだった。

「息子さんには何一つ落ち度はありませんでした・・・犯人の悪意の犠牲者だったのです」

「本当ですか」

主観を交えた言葉を言いかねる田村。

そこで・・・取調に立ちあっていた遠藤が客観的に語りだす。

「本当だと思います。取調をずっと聴取していた私には分かります。被疑者は・・・検事に嘘をつけないと観念して・・・真実を告げたのです」

「息子さんは・・・一方的に殺された犠牲者で何の罪もありません・・・それが真実です」

「よかった・・・これで孫に父親に落ち度がなかったと心から告げることができます」

胸のつかえがとれた一同だった。

麻木事務官も・・・久利生のやり方の・・・正しさを感じる。

昔馴染みの末次事務官を従えた久利生は被疑者のCAの更生のために鉄槌を下すのだった。

「あなたは・・・躓いただけだと言いました」

「・・・」

「でも大失敗をしているんですよ」

「・・・」

「あなたは初犯ですし・・・執行猶予もつくでしょう・・・しかし、罪を軽く考えてはいけない」

「・・・」

「あなたの家族や友人は・・・心からあなたを心配していました・・・あなたはそれにふさわしい人間だったのでしょう・・・」

「・・・」

「しかし・・・あなたはそれらをすべて台無しにしたのです」

「・・・」

「薬物依存を軽く考えてはいけません・・・ですよね」

「そうです・・・再犯率は高いです」

「・・・」

「覚醒剤やめますか・・・それとも人間やめますかっていう話なんです」

「ごめんなさい」

ついに涙にくれて罪を償う覚悟が出来た被疑者だった。

麻木は久利生の真意を悟った。

相手の人格に応じた説教をする・・・そのための周辺調査だったのである。

検事も事務官も人の子である。

人の子は過ごした歳月に情を生じさせる。

朱に交われば赤くなるのだった。

鮭が生まれた川に帰るようにパートナーたちは元さやに納まるのだった。

麻木はプライベートの御馳走よりも仕事のパートナーを選んだのである。

そこに幸があったから・・・。

もちろん・・・月9である以上・・・共感から恋が始る惧れは充分にあるのだが。

しかし、相手がヒーローなのだからヒロインとしてそれも仕方あるまい。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

Hero003ごっこガーデン・愛と宿命の空港セット。アンナ今回もマジでぇ~面白かったぴょ~ん。覚醒剤は暴力団の資金源・・・誰かが一時の快楽に溺れたら・・・誰かが新たな犯罪の被害者になるかもしれない・・・罪の重さを厳しく悟らせる優しさ・・・ダーリンならではの包容力なのぴょんぴょんぴょん。さあ・・・来週はあすなろ抱きレベル3にチャレンジするのぴょ~ん。ダーロイドの背中の体臭モードはムンムンフルパワーに調整してね~ノンストップライブ直後の汗臭さでよろしこぴょんまこクーラー強化型ペンギンちゃん着ぐるみで熱中症対策でしゅ~。罪を憎んで人を憎まず。心からの反省なくして更生なし。芸能界の皆しゃん、やらなければやめる必要なし、後悔先に立たずを忘れないでくだしゃい~。車のキズなら直せるけれど心の痛手は治せやしない~♪のデス・・・純と愛の女とあまちゃんの男の元鞘不倫はありましゅか?シャブリCA・鴨頭真理子役は駒木宏美さんなのでありました~mana私だから厳しい言葉で叱ってくれたんですよね的な・・・甘くて苦いお説教最高だo(≧∇≦)o・・・涙ふいたハンカチーフは洗濯して返しましょうmari職務に忠実すぎる男の部下は大変ですね・・・でもそこが素敵です

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2014年7月28日 (月)

我が夫、明智左馬助秀満、愛馬・大鹿毛と琵琶湖を渡りしこと(石橋杏奈)

山崎の合戦が・・・地味な描写で終わった以上、左馬助の湖水渡りなんて描かれるかよっ。

史実はどうあれ、語り継がれる名場面をお見せしてこその大河ドラマであってほしい・・・。

せっかく、明智秀満(鳥羽潤)もその妻・倫(石橋杏奈)のキャスティングがあるんだからな。

湖水を渡ってくる夫を坂本城の望楼から見つめる石橋杏奈なんか・・・儚げでよいのになあ。

泳げる馬を一頭、用意するだけでいいのにな。

NHK職員の給料が高すぎて、合戦シーンの予算がありませんでしたって陰口たたかれなくてすむのにな。

いや・・・湖水渡りぐらいじゃ、誤魔化されないだろう。

で、『軍師官兵衛・第30回』(NHK総合2014070627PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はなんと衝撃の五十六行で・・・主役中心の描き方が高評価なのですな。確かに秀吉・官兵衛主従の阿吽の呼吸は丁寧に描かれていましたし、中国大返しの描写もなかなか迫力がありましたな。明智光秀の間抜けっぷりというか・・・不運の極みもそこそこ描かれておりました・・・銀五百枚の小道具に全精力を傾けましたという感じですな。しかし、肝心の山崎の合戦スルーでいいのかよとそういう気持ちでいっぱいの今日この頃でございます。しかし、いよいよ逝去間近い、黒田職隆の近影描き下ろしイラスト大公開で感無量でございます。老衰の兆しも見せず、このままいつまでも生きていそうな父・職隆、はたして、没年不詳の黒田休夢の描き下ろしの日は来るのか・・・手に汗握って待機しておりますが・・・あくまでマイペースでお願い申し上げまする。・・・だから、私信はコメント欄でしろと・・・まあ。いいか。

Kan030天正十年(1582年)六月・・・本能寺の変を知った羽柴秀吉は備中高松城攻めの幕引きに成功し、中国大返しと言われる長距離短期間の反転行動を開始する。そもそも迅速こそが羽柴秀吉の得意技であった。兵農分離を達成した信長軍団の中でも、長距離移動、兵站維持、工兵活動は秀吉軍団の真骨頂である。桶狭間合戦の諜報戦、墨俣築城の土木戦、山陽道・山陰道同時侵攻戦など・・・常識を覆す秀吉の軍事力は明智光秀の想像の範囲を越えたのだった。一方、光秀は丹波国亀山城と近江国坂本城で囲む京の都の確保と同時に織田家本城の安土城、秀吉の拠点・長浜城などがある近江国の確保に全力をあげている。これは上杉景勝と対戦している柴田勝家を近江・越前国境で迎撃する態勢作りである。一方、毛利家と対戦している秀吉軍には盟友である丹後国の細川家、動向が定かではない摂津方面の押さえには大和国の筒井家をあてにしていた形跡が濃厚である。しかし、本能寺の変の翌日には細川家が中立宣言をし、筒井家には秀吉の使者が到着していた。光秀が近江の制圧をほぼ終了し、安土城に娘婿・秀満を残し、京の都で公家を通じて朝廷工作を開始した頃、羽柴秀吉は備前、播磨を経由し、摂津国にまで迫っていたのだった。十一日、摂津国尼崎に秀吉軍団が到着しているという諜報に接した光秀は絶句した。信長の遺児・織田信孝と宿老・丹羽長秀や摂津国の中川清秀、高山右近、池田恒興ら諸将が参陣し、秀吉軍は五万に膨れ上がっていた。山城国防衛を意図した光秀は摂津・山城境界の難所に決戦場を想定する。光秀は秀吉の戦力を二万程度と読み、光秀主力一万と筒井順慶の援軍と戦力が拮抗できると考えた。しかし・・・筒井家は動かず、五倍の大軍を前に勝算なしの合戦に引きずりこまれる。十二日に前哨戦が始り、十三日に秀吉軍が前進を開始すると大軍に飲み込まれた明智勢は各所で崩壊し消滅する。

山崎北岸の光秀の本陣で斉藤利三は主君・光秀の憔悴した顔を盗み見る。

(なんという・・・やつれようか・・・)

本能寺の変から十日目・・・光秀はほとんど一睡もしていなかった。

炎上した廃墟から・・・ついに信長の首は発見されなかった。

上様が生きている・・・光秀にとりついた妄想は背後に常に「信長の視線」を感じるという恐怖を生みだしていた。

それが恐ろしくて光秀は眠れないのだった。

以来、光秀が行ったのは戦力の分散である。近江安土城、近江坂本城、丹波亀山城・・・各地に守備兵を置き・・・決戦の場での兵力不足を招くという最悪の結果を招いていた。しかも・・・光秀は少ない兵力で鶴翼の陣を敷いたのである。その層の薄さはほとんど致命的であった。

(かくなる上は・・・)

利三は覚悟を決める。明智軍団の猛将である・・・自分の隊と足利幕府以来の戦上手・伊勢貞興隊によって山崎の西・天王山を突破し、秀吉本陣に奇襲をかける・・・その手にかけるしかないのである。

しかし・・・敵がどのように布陣しているのか定かではない。

明智忍びもまた分散しすぎて諜報能力を欠いていた。

斉藤・伊勢連合部隊は天王山にとりつくやいなや、黒田官兵衛率いる鉄砲忍び衆の集中砲火を浴びて壊滅的打撃を受ける。

津波のように押し寄せる秀吉軍の前に明智軍は飲み込まれ崩壊した。

安土城を守備していた明智秀満は情勢分析から援軍となるべく摂津方面に進軍していた。

そこへ・・・山崎の合戦の敗戦の報せが届く。

明智忍びの背後から秀吉の忍びが現れ、さらに前進してきた秀吉軍が迫る。

背後は琵琶湖である。

その対岸には坂本城があった。

秀満は忍び馬を湖水に乗り入れた。

忍馬・大影の見事な水泳に秀吉軍の兵がどよめく。

秀満は決意をしていた。

明智の家は滅ぶ・・・。

しかし・・・生まれたばかりの子と妻は・・・四国に・・・なんとしても落ち伸びさせることを。

湖上の果て・・・坂本城は迫ってくる。

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2014年7月27日 (日)

見えない敵と戦う君へ~すごいやん、プロになれるやん・・・っていうか、もうプロやん(山本美月)ファン1号(黒島結菜)アオイホノオ(柳楽優弥)

SUMMER NUDE」から「安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜」そして「僕のいた時間」と堅実だが当たり障りのない美人脇役を演じて来た山本美月がついに・・・爆発したのだった。

ものすごく期間限定のマドンナ・・・それは新入生(男子)と大学の先輩(女子)である。

なんといっても・・・新入生は18~19歳で未成年、先輩は19~20歳で大人の女なのだ。

もう・・・この期間・・・めぐりあった二人は・・・永遠の愛を構築するのだった・・・まあ、そういう人もいるだろうが。

その・・・魅惑的な年上の人、しかも少しアホの子を演じて・・・山本美月は・・・本領を発揮というか伝説になったのだった。

いや・・・とにかく・・・ものすごく、甘酸っぱいぞ。

一生の思い出だな・・・。

これを演じてからの「サマーヌード」や「アンドロイド」や「僕」だったらものすごかったのにな・・・っていうか録画を見るよ。

そして、とんこ先輩かわいいよ、とんこ先輩って言うよ。

で、『アオイホノオ・第1~2回』(テレビ東京201407190012~)原作・島本和彦、脚本・演出・福田雄一を見た。谷間でいいのか・・・というくらい最高の作品だが・・・これを本格的にレビューする時間も体力もないのだった。冒頭、1981年8月の日本SF大会「DAICON 3」でアマチュアだった庵野秀明が公開したオープニングアニメーションが挿入される。登場するキャラクターは80年代ロリコンブームの主役・吾妻ひでおの不気味氏やなはは氏である。彼らは科学特捜隊の制服を着用している。おタクなら説明不要のこれらのアイテムが前人未到の濃さを醸しだす・・・テレビ東京の深夜ドラマの中でも極北の濃度である。こんなのにまともにつきあったら死ぬ可能性があるのだった。

そのアニメが公開され、SFファンの度肝を抜く一年半前・・・1980年の春に時は遡る。

主役は・・・庵野秀明ではなく・・・大阪芸術大学映像計画学科(限りなくノンフィクションに近いフィクション)に通う島本和彦を連想させる学生・焔モユル(柳楽優弥)である。

「漫画家になって天下をとる」という野望を秘めながら・・・バトミントン部のマネージャーでかわいい先輩である森永とんこ(山本美月)に勧誘され、バトミントン部員になってしまったモユルだった。

しかも、とんこ先輩はキャプテンの村上(川久保拓司)の彼女だったのだ。

しかし・・・かわいい後輩であるモユルに何故か密着するとんこは・・・様々な意味で痛い未成年の心を揺らすのだった。

教授(きたろう)の課題「パラパラマンガ」にとりくんだモユルが「走ってくる男」を描きあげればとんこ先輩は・・・。

「凄い・・・動いてるやん・・・モユルくん、プロになれるやん、っていうか、もうプロやん」

ものすごく好意的に褒め称えてくれるのだ。根拠のない自信だけでなんとか大地にたっているモユルの心は激しく燃えるのだった。

少年時代に仮面ライダー派だったモユルは風を感じるのだった。

しかし・・・その前に巨大な敵が現れる。

後に第18回日本SF大賞受賞作「新世紀エヴァンゲリオン」(違う意味でフィクション)を生みだす庵野ヒデアキ(安田顕)である。

庵野ヒデアキの「パラパラマンガ」はもはや・・・アニメと言える完成度だった。

その緻密な画力に圧倒されるモユル。

あだち充や高橋留美子にアドバイスできるほどの男(妄想)が同学年の男に打ちのめされてしまうという不条理(現実)な展開・・・。

「パラパラマンガの勝負でアニメに負けた・・・」

絶望の淵に佇むモユルだったが・・・「相手の実力を過大評価できるのは自分の器が大きいからだ」と意味不明の論理で立ち直るのだった。

そんなモユルにとんこ先輩はラーメンを奢ってくれるのだった。

リベンジに燃えるモユルに新たな課題が提示される。

「五分程度の八ミリ映画作品実習」である。

グループ分けにおいて・・・出現するのはプロデューサー気質の男で後の「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の監督・山賀ヒロユキ(ムロツヨシ)だった。山賀は庵野ヒデアキや後の「天元突破グレンラガン」のプロデューサー・赤井タカミ(中村倫也)をスカウトするが・・・モユルは選ばない。

屈辱を感じるモユルを後の「鋼の錬金術師」プロデューサー・南マサヒコ(遠藤要)が拾いあげる。

南マサヒコはグループ「なんとなくクリスマス」を立ち上げ、モユルに絵コンテを担当させる。

そして・・・完成上映会・・・モユルの絵コンテは採用されず・・・とんこに「しょうもないなあ」と言われる超駄作「追われる男」が試写される。

しかし、とんこは「モユルくんが監督したらよかったんや」と優しく慰めてくれるのだった。

だが・・・少年時代にウルトラマン派だった庵野ヒデアキが総監督を務める「ウルトラマンごっこ」が上映されると・・・その桁違いの完成度が・・・モユルを奈落の底に突き落とす。

ハヤタ(ムロツヨシ)からウルトラマン(安田顕)に変身するだけの怪獣ごっこが効果的な効果音や、二重露出による特殊効果、ストップモーションやスローモーションの多様、フィルムに傷をつける光学的技術などにより、バカうけする作品に仕上がっていたのだった。

しかも・・・庵野は「うけようとは思っていない。感動してもらいたい」と斜め上の言動でモユルの神経を逆なでするのだった。

「誰が・・・感動するか・・・感動しない限り、俺の勝ちだ」

さらに意味不明の言葉を残し、逃走するモユル。

そして・・・モユルは・・・とんこに宣言する。

「僕はアニメーターではなく、漫画家になるんです」

明らかな敗北宣言である。

そんなモユルの前に・・・後の「ネコじゃないモン!」の作者・四回生だが一年生の矢野ケンタロー(浦井健治)が立ちはだかる。

「みせてもらおうか・・・君の作品とやらを・・・」

赤い彗星のBGMを背負ってモユルの覚悟を問うケンタロー・・・。

「なれない場合のことを考える奴はなれないんだよ」

再び落ち込むモユルを励ますとんこ。

「だって・・・モユルくんは絵が上手やん」

「それは・・・とんこさんが素人だから・・・だまされているんです」

「それでええんとちゃうの・・・だって漫画を読むのは素人なんやから」

そうか・・・漫画は商売なんだから・・・一番にならなくてもいいのか。

「下手でも漫画家になれるってみんなに勇気を与える人になれるんや・・・すごいやん」

とんこさん、最高と叫ばすにはいられないのである。

やがて・・・ドラマデビューの同級生ヒロイン・津田ヒロミ(黒島結菜)も登場し・・・「めぞん一刻/高橋留美子」の連載開始で・・・モユルの青春はモヤモヤし始めるのだった。

ああ・・・麗しの1980年なのである。

ルパンもサイボーグ009もハーロックも次々と降臨し・・・フィクションはノンフィクションとなり、ノンフィクションはフィクションとなるのだった。

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都市伝説の女

ガリレオXX 内海薫最後の事件 愚弄ぶ

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2014年7月26日 (土)

今夜も誰かが虐げられています(平岡祐太)

出番がないのは悲しいことだよな。

後ろ指を差しにくい世の中である。

2000年、天童荒太原作の「永遠の仔」がドラマ化され、ヒロインを演じた13歳の邑野未亜はオールヌードを披露している。14年の間にモラルやら表現の自由やらは変化し、もはやそれを所有しているだけで犯罪の時代である。

幼児虐待を主題としてドラマを描いたらそれが幼児虐待になる悪夢の時代はすでに始っている。

新時代のクリーンなエネルギーを目指すクルマが宣伝される時、その車を生産するための大電力が原子力発電所の再稼働を求めてやまないことはあまり強調されない。

そもそも・・・現代の大電力消費のために・・・三万年後まで保管を要する核のゴミの存在の責任を誰が負えるのか。

知ったこっちゃないのである。

そういう時代に生きるものがヒットラーの大虐殺を批判するのはちゃんちゃらおかしいわけである。

それでも・・・正義の声をあげるものはあえて愚か者の汚名を着るお調子者だと思う。

「金曜ロードSHOW!」21.9%(もののけ)↘19.4%(トトロ)↘17.2%(アリエッティ)

「家族狩り」10.5%↘*6.9%↘*5.6%

「家族狩り」が「ジブリ」に狩られています。

所詮、この世は弱肉強食なんだな。

で、『家族狩り・第4回』(TBSテレビ20140725PM10~)原作・天童荒太、脚本・大石静、演出・山本剛義を見た。このドラマにはクールだけどエキセントリックなヒロインを演じるに決まっている松雪泰子とか、軟弱な善人を演じるに決まっている伊藤淳史とか、こわもての刑事を演じるに決まっている遠藤憲一とか、少し猟奇的な女を演じるに決まっている山口紗弥加とか、裁判でお腹がすくに決まっている北山宏光が出演していて・・・それらしい役柄を演じているわけである。このキャスティングの成否は結末を見るまで語らないが・・・ここまでのところ・・・若干、役者に役が引きずられている感じはある。女を妊娠させておいて逃げ回る無責任な男がいい人に見えたり、自分の将来設計を地道に考える普通の女がおかしな人に見えていたりするわけである。本当にそれでいいのか・・・ふと疑問に思うのだった。なにしろ・・・このドラマの登場人物たちはみんな基本的にダメ人間なのである。

そして・・・「家族狩り」事件を捜査中の椎村栄作刑事(平岡祐太)が全く姿を見せない回って凄すぎると思ったりします。

一応、息子のマサル(三宅史)が首を吊った光島家一家心中事件、通販で薪割り用斧を息子の達也が購入していた麻生家一家心中事件が・・・連続殺人事件ではないかと警視庁捜査一課の馬見原刑事(遠藤憲一)が決めつけているのだが・・・。

馬見原刑事は精神に問題のある正妻・佐和子(秋山菜津子)の退院と・・・擬似家族である元風俗嬢の冬島綾女(水野美紀)研司(須田瑛斗)母子の元夫で父親の暴力団組織構成員の油井(谷田歩)の出所というダブル・パンチでそれどころではないのである。

児童虐待と言う主題では油井による研司への虐待が問題となるわけだが・・・油井のどれだけ余裕の出所直後なんだと思わせる潜伏中から繰り出される情報操作攻撃に翻弄されているとは言え・・・精神に問題ある妻・佐和子に対する粗暴なふるまいは「妻を虐げる夫」としての馬見原刑事を描いている。

そして・・・リストカット自殺を思わせる薔薇風呂は・・お茶の間を詐偽行為で虐げるのである。

狂いかけた妻よりも愛人の綾女を心配する馬見原刑事は知らず知らずのうちに妻を狂気へと追いこんでいくと言う趣向なのか・・・。

一方、油井から逃げ回る綾女も必死とは言え・・・馬見原刑事の家族にも危機が迫っていることを伝えようとはしない。

馬見原刑事は綾女を守ろうと暴力団組織構成員の長峰(菅原卓磨)に容赦のない暴力を行使するのだが・・・明らかに片思いである。

無垢な子供である研司は馬見原刑事を「お父さん」と呼ぶことで佐和子の痛んだ心を切り刻むのである。

馬見原刑事には一片の正義もないのだった。

巣藤浚介(伊藤淳史)は両親とのなんらかの確執を抱えている。

それをなかなか明らかにしようとしないために・・・その場しのぎの短絡的な性格が強調される。

ホームレスへの放火を行う謎の集団に喧嘩を売り、自らが放火されるという失態を演じた後で・・・かけつけた自称婚約者・清岡美歩(山口紗弥加)に危地から救われながらショックで一時的な記憶喪失になってしまうという脆さである。

そして・・・現実から逃避するために・・・美歩のことは忘れるが・・・行きずりの女・氷崎游子(松雪泰子)のことは思い出すのである。

ちなみに・・・美歩は七歳年上、游子は五歳年上なのである。

つまり・・・游子の方が美歩より若いのである・・・念のため。

実年齢は山口紗弥加が34歳、松雪泰子が41歳である。

ギリギリ、ミスキャストである。

それ以上言及すると女性全体を虐げることになるぞ。

ともかく・・・美人看護師(朝倉えりか)とも仲良しの元教え子の電気屋・渓徳(北山宏光)の癒しパワーの源・女教師AVによって記憶を回復する浚介だったが・・・。

明らかに・・・美歩を虐げているのである。

そして游子は気のないそぶりを見せているが・・・明らかに年下の男の子に依存しかかっているのだった。

氷崎家には夫を放棄したい妻・民子(浅田美代子)の姿はなく、認知症を患っている氷崎清太郎(井上真樹夫)の姿があるばかり・・・もちろん、認知症だからといって虐げるのはよくないが・・・実際には虐げたくなる存在である。

毎日が舌打ちの連続になるのである。

児童虐待という主題では現在、東京都児童ケアセンターが保護している駒田玲子(信太真妃)がこのドラマのヒロインといえるのだが・・・今回は登場せずに・・・児童虐待の加害者である駒田幸一(岡田浩暉)が意味不明のクレイマーとして登場する。

児童虐待で摘発されたために失職した件で游子を訴えるというのである。

児童ケアセンターの游子の上司は訴訟沙汰を嫌い、游子に形式的な謝罪を強要したり、游子が応じないと契約の更新をしないという必要以上に無能な公務員として描かれるのだった。

一方、放火殺人未遂の容疑者を確保した刑事は・・・浚介に目撃証言を強要するという必要以上に悪辣な刑事として描かれるのだった。

まあ・・・ここは脚本家の趣味なんだな。

だが・・・すでに記憶喪失の一時を過ごした浚介がそんな証言を自信をもってできるわけがないのである。

「わかりません」と正直に応じる浚介だった。

浚介はあえて曖昧な人格として描かれているので・・・この後、妊娠が嘘だったと告白をした美歩にプロポーズし、親に挨拶してもらいたいという美歩の要求は拒絶する。

そこには・・・浚介のおいたちが影響しているようだが・・・なかなか語らないのである。

そこへ・・・降って湧いたように起こる桐明学院高校の生徒たちの家庭内暴力の嵐。

美歩にとっては必要以上に踏み込みたくない他人の家庭の事情に・・・何故か、重大な関心をよせる浚介だった。

浚介にとって家庭とは一定の距離を置きたいものであるらしい。

自分の家庭は嫌だが・・・他人の家庭ならいいのである。

どうしてそうなったのかは・・・まるで語られないが・・・とにかく狂ったように暴れる実森勇治(岡山天音・・・また、お前か)・・・母親の智代(占部房子)は担任の美歩に救いを求めるが当然スルーである。

すると・・・突然燃えあがる野次馬的浚介の教師根性なのだった。

馬鹿は放火されても治らないのである。

その上・・・游子の指示を仰ぐ体たらくである。

だが・・・相手が未成年者ということで児童心理司魂に点火する游子だった。相手は児童ではなく生徒だけどな。

とにかく・・・二人は何故か・・・実森家に走るのだった。

ま・・・基本的に余計なお世話であるが・・・そういう人情が必要とされる時代であるという考え方もある。

一方、浚介が美術の時間に煽ってしまった芳沢亜衣(中村ゆりか)の眠れる狂気はいつの間にか大爆発していたのだった。

大暴れする亜衣に母親の希久子(相築あきこ)は手を焼き・・・高圧的な父親の孝郎(二階堂智)は娘にナイフのようなもので斬りつけられ出血沙汰となる。

連続心中事件の次の舞台は・・・芳沢家なのか・・・それとも実森家なのか。

亜衣が犠牲になるより・・・勇治が死ねばいいと考えます。

でも・・・第三の事件が起きないと・・・どうにもならない感じの展開だからな・・・。

これまでのバランスから考えると芳沢家か・・・。

どうやら浚介よりもバスキア的美術の天才らしい亜衣はどうせサイケデリックなペインテイングするなら・・・全裸だったんじゃないか・・・まあ、演者が未成年なんで無理なんだけどね。ユイちゃんだって18歳じゃないか・・・。あれは前世紀の巨匠がらみだから。セミ・ヌードだしね。

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2014年7月25日 (金)

お饅頭になさいますか、お姉さんになさいますか(宮武美桜)

ニュース・キャスターが「停電でクーラーが使えないので扇風機などで暑さをしのいでください」と言ったという噂があるが・・・電池式のことなのか。

などと・・・つまらないツッコミをしたくなるくらい・・・今夜は蒸すのである。うだるような暑さだ。

関東ローカルでは「のだめカンタービレ」が再放送中なのだが・・・ぼぎゃーんと言いたい気分である。

峰(瑛太)や清良(水川あさみ)も懐かしいが・・・なんといっても真澄ちゃん(小出恵介)が「きーっ」と言っていて時の流れを感じるのだった。

木曜八時は時代劇対決になっているわけだが・・・。

「信長のシェフ」 ・・・・・・・・・*9.7%↘*6.1%

「吉原裏同心」*8.3%↘*8.2%↗11.1%↘*9.9%

結構、いい勝負をしているのだった。

「軍師官兵衛」では死んだ信長様が「信長のシェフ」では生きている・・・でも本当はとっくに死んでいるのが時代劇の醍醐味である。

夏休みなので時代劇にはまる小中学生が増えるといいと思うよ。

で、『吉原裏同心・第5回』(NHK総合20140724PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・佐藤峰世を見た。大奥が男子禁制の場なら、吉原は女子禁制の場である。なにしろ、吉原の女には「金」がかかっており、自由に出入りされては都合が悪い。しかし、遊女以外の女性が出入りできないのは不便なので「吉原遊郭」に入るための女性専用の切手(通行手形)がある。一般女性は入場の際に受け取り、退場の際に返すわけである。しかし、地獄というものは入るのは比較的たやすいものである。大人の目をくぐりぬけて少女が一人・・・大金のかかった薄墨太夫(野々すみ花)の宴席に紛れ込むのだった。

少女の名はおけい(宮武美桜)・・・薄汚い田舎娘だが器量よしだった。

「おら・・・遊女になりてえ」

おけいの申し出になにごとかを感じた薄墨太夫は吉原裏同心の神守幹次郎(小出恵介)を呼びだす。

おけいは八王子宿の桶職人の娘だが・・・父親が博打で借金を作り、身売り話が持ち上がったので先手を打って吉原にやってきたらしい。

つまり・・・親に売られるより・・・自分から進んで遊女になった方がましだという健気な娘だったのである。

事情を聞いた幹次郎の駆け落ち相手の汀女(貫地谷しほり)は自分の過去を思い出す。

汀女もまた父親の借金によって身売り同然で嫁に出されたのである。

汀女はおけいを不憫に思い・・・しばらく面倒を見る決意をするのだった。

しかし、翌日、おけいの父親の谷平(柳沢慎吾)が吉原に現れる。

「娘を売るとは何事だ」としかりつける幹次郎。

だが、谷平は身売りの話は確かにあったが・・・谷平にその気はなく、借金は働いて返せるので・・・おけいを吉原に売ったりはしないと言う。つまり、すべてはおけいの早合点だったのだ。

「もう、博打はやめるのだな」

「へえ」

安堵した幹次郎は父娘を一泊させるのだった。

その頃・・・吉原で足抜けを試みた遊女の吉野(小倉百代)が捕縛されていた。

吉原に娘を売った金を持ったまま父親が行方不明になったと吉野は足抜けの理由を語る。

番方の仙右衛門(山内圭哉)にその話を聞いた医者の柴田相庵(林隆三)は「同じような話を聞いた・・・」と言う。

吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)が調べると確かに二人の遊女の父親が金を受けとった後で行方知れずになっていた。

件の二人の遊女が府中宿、日野宿と甲州街道沿いの出身で・・・同じ女衒のあつかいだったことから・・・悪事の匂いをかぎ取る四郎兵衛だった。

「女衒」は女を衒(ひけらか)す職業である。つまり、人身売買のブローカーであった。金に困った家に器量よしの女があれば吉原に売りこみをかけるわけである。そして手数料を受け取るわけだが・・・時には悪辣な罠を仕掛けるものもあった。

甲州街道沿いに縄張りを持つ女衒の庄助(冨家規政)に悪い噂があると知り、四郎兵衛は探索を命じる・・・。

その頃、江戸の知りあいに挨拶に行くと言って出掛けた谷平はあろうことか庄助にあっていた。

「娘は見つかったのかい」

「おかげさまで・・・」

「じゃ・・・高く売るぜ」

「いえ・・・金の工面はつきましたので・・・その話はなかったことに・・・」

「そいつはよかった・・・どうだい・・・せっかく江戸まで来たんだ・・・少し遊んで行くかい」

庄助が案内するのは博打場だった。

ギャンブル依存症が簡単には治らないのは今も昔も同じである。

たちまち・・・熱くなって仕組まれた八百長賭博で十五両の借金を作る谷平。

その一部始終を幹次郎と仙右衛門は監視していた。

飛び出そうとする幹次郎を押さえる仙右衛門。

「なぜ・・・とめる・・・」

「今、出たんじゃ・・・殺しの証拠がありません」

四郎兵衛は谷平・おけい父娘を囮にすることを告げる。

「しかし・・・それでは嘘とはいえ・・・おけいは父親に一度は売られることになる」

悩む幹次郎に汀女が告げる。

「おけいちゃんは・・・強い子だから・・・大丈夫よ」

汀女の純潔が野卑な夫・藤村惣五郎(皆川猿時)に汚される前に救い出すことが出来なかった幹次郎は従う他ないのだった。

帰って来た谷平は娘に頭を下げる。

「こんな父親ですまねえ・・・お前を吉原に売ることになっちまった」

「・・・いいよ・・・わかったよ」

おけいは天使のように大人の事情を受け入れるのだった。

もちろん・・・子供だからである。

おけいはニ十五両で売れた。

金を受け取った谷平は賭場に借金を払いに行く。

すると庄助は正体を現す。

「おめえの命をいただくから・・・金にはもう用がねえだろう」

「なんだって・・・」

そこへ・・・幹次郎がやってきて薩摩示現流の達人で眼志流居合術も嗜む腕前を披露するのだった。

今回は相手が弱すぎて余裕の勝負だった。

晴れて帰郷することになった谷平父娘。

「本当にすまねえ」

「もういいよ・・・はやく帰ろう・・・おら、おっ母にあいてえ」

子供なのだった。

おけいは吉原番所に切手を返した。

夕闇せまる江戸の町・・・。

「もうひとついかが・・・」と幹次郎に饅頭をすすめる汀女。

「姉様・・・」とその手をそっと握る幹次郎だった・・・。

割り切れぬ思いを抱え・・・それでも人々は生きていくのである。

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2014年7月24日 (木)

飛龍が飛ばなかったので自転車を投げたのでしょうか?(蒼井優)

気高い人間の魂を辱めるのが悪魔の生業だとすれば、恥ずかしい人間の営みを謳いあげるのがつかこうへいである。

このドラマが「飛龍伝/つかこうへい」を劇中劇として挿入してきて・・・思わずニヤニヤしてしまうわけだが・・・そうであるならもう少し最初に匂わしたいところである。

ま、前回、根岸季衣が出てたけどな。

つかこうへい的世界を想起すればドラマ冒頭の兄弟たちのかけあいが・・・お茶の間に受け入れられないのは・・・もう少し稽古が必要だったとも言えるし・・・主人公が役に入りすぎてしまった結果だとも言える。

恥ずかしさと美しさは紙一重なのである。

かなり慣れてきても・・・もう少しがならないで・・・寅さんができるといいのになあと思ったりする。

橋本愛は神林美智子の器(歴代・井上加奈子、菅野園子、岩間たか子、富田靖子、牧瀬里穂、石田ひかり、内田有紀、広末涼子、黒木メイサ、黒木華、桐谷美玲など・・・)だと思うが・・・そうか、つかこうへい(1948~2010)はもういないのか。

で、『ち2014・第3回』(フジテレビ20140723PM10~)脚本・武藤将吾、演出・並木道子を見た。「飛龍伝」はつかこうへいの代表作の一つである。既成概念からのズレで笑いを構築するつかこうへいは1960年の樺美智子の死を倒錯的に昇華させて幻の革命戦士的ヒロイン・神林美智子を創出する。世界同時革命を夢見る美智子は恋人である学生運動のカリスマ桂木により、機動隊員・山崎の元へスパイとして送り込まれる。やがて・・・稀代の女闘士と純情な公僕の間にはロミジュリ的な許されぬ愛が芽生えるのである。飛龍とは機動隊の盾をも撃ち抜く磨き抜かれた投石の名器なのだった・・・。時代の交錯するこのドラマはついに1970年代に突入する。演劇部がつかこうへい一色だったあの頃・・・。

「俺はあのことを許さない・・・」と前科者の次男・暁(瑛太)が佐藤旭(妻夫木聡)を責めるのは・・・父の死が非業のものだったからだった。

旭の勤務するサワタリ道路で働いていた兄弟たちの父親は佐渡社長(岩松了)の杜撰な工事計画によって事故死していたのだが・・・それを知りつつ、経済的な問題から真相を隠すことに同意して「父親を殺した社長」の元で働いてた旭を・・・暁は許せなかったのだ。

「生きるために長いものにまかれた兄」を真相を知ったハルこと陽(柄本佑)、タダシこと旦(野村周平)も責める。

「訴えるべきだった」

「父さんの名誉を守るべきだった」

しかし、ひかり(満島ひかり)は「本当にそんなことができたのかな」と兄弟たちを宥める。

「俺はただ・・・必死だったんだ」と呟く旭・・・。

「自分に酔ってただけじゃないのかよ」と吐き捨てる暁・・・。

そんな旭に佐渡社長は原爆を落して敗戦に追い込んだからこそ高度成長ができた的な慈愛で・・・「暁を雇用する」と言い出す。

一方で旭は梓(蒼井優)との結婚を許してもらうために梓の母親(余貴美子)を訪ねる。

「私は・・・結婚には反対だ・・・結婚前に子供を作るような無責任な男に娘はやれない」とものすごいことを言い出すわけである。

「娘さんと生まれてくる子供は必ず幸せにしますから・・・」

「根拠は・・・?」

「根拠はありません」

人生一寸先は闇なので根拠のある親なんていないわけである。

そんなこと言われたら難民キャンプで子育てしている人たちの立場はないのである。

しかし・・・親は子の幸せを願う以上、いつだって保証は欲しいのだ。

鬱屈を抱えて現実逃避を続ける暁の前には屋代多香子(長澤まさみ)が現れる。

「人手不足なんだ・・・うちの畑を手伝って」

「やだね」

「気が変わったら連絡して・・・」

しかし・・・耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んできた旭の心を悟った暁は・・・佐渡社長の申し出を受け入れることにする。

就職の挨拶に出向く兄弟。

しかし・・・酒に酔った佐渡社長は暁を「犯罪者」と親しみを込めて呼んでしまう。

逆上して社長を殴らずにはいられない旭だった。

「あんたを親だと思ったことはない・・・あんたなんか大嫌いだ」

「首だ・・・解雇だ・・・馬鹿野郎」

最近、首都高速を走ると思う。錆びたガード・・・道路公団が美酒を飲んでこんな貧しい景観を作る・・・。

台風で痛んだ田舎の町は労働力不足で補修ができない。

だけど俺たちいなくなりゃ、ビルも道路もできやしない時代である。

妊娠した詐偽だった永原香澄(橋本愛)に女優魂を見出したハルは逃げ出した主演女優・市ノ瀬沙紀(大谷英子)の穴を埋めるために稽古場に香澄を引きずり込む。

「ごめんだね」

「ただセリフを読むだけじゃないか・・・男を騙すより簡単だぜ」

とにかくセリフはくさすぎて意味不明だが・・・香澄は負けん気を発揮するのだった。

「季節のない町で愛を知らずに育った私はマルクスもレーニンも知りません。しかし、女として生まれたことが幸せだったと思えるような美しい日本を作りたい。そういう男の言葉にだまされることだけは上手にできたのです。そんな私をあなたは優しく包んでくれた。朝が来ておはようと挨拶をした後にあなたは機動隊の制服に着替え、私はヘルメットとタオルで武装して右と左に別れるけれど・・・あなたの無事を祈らずにはいられない。その心に芽生えたものを愛と呼んでいけないわけがありますか。国会議事堂前に降り積もった雪を血に染めて私たちが命の炎を燃やす時・・・世界は二人をきっと祝福してくれる。そう信じて何が悪いのです」

いきなり大女優の香澄にうっとりするタダシだった。

失職という逆風の中・・・再び、結婚の挨拶に向かう旭。

「娘さんをどうしても笑顔にしたいんです」

「その気持ちが大事だよ」と手のひらを返す梓の母親。

実は・・・暁が事情を説明して梓の母親の心を動かしていたのだった。

結局、なかよし兄弟か・・・。

けれど・・・要するに・・・多香子の老いた母(根岸季衣)と同じで梓の母親も暁に色ボケしただけなんじゃないのか。

そして・・・暁は多香子の農場へ出向くのだった。

旭は無職になったが・・・すべては決着したと思わせて・・・「ブラックジャックによろしく」ごっこを展開するひかりと新生児特定集中治療室(NICU)の医師・新城正臣(吉岡秀隆)の不倫問題にスポットライトが当たるのである。

「未熟児だって生きているのに」

「親だって生きていかなくちゃいけないんだ・・・仕方ないじゃないか」

「奥さんがいるのに愛し合うのも・・・」

「仕方ないじゃないか」

萌え殺しのコトーナース、つか版ユイちゃん、モテキドラマ版のヒロインとモテキ映画版のヒロインが交錯する第三話・・・。

とにかく・・・女優陣は・・・最高レベルなんだよな。

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2014年7月23日 (水)

ポワソンには白ワインをヴィアンドゥには赤ワインをアムールにはシャンパンを(橋本愛)

1980年代には日本のレストランでアントレと言えばメインディッシュで主にステーキなどの肉料理を指す言葉だった。

当時は前菜はアぺタイザー(オードブル)である。

そして、魚料理はポワソンである。

しかし、今はフレンチで肉料理はヴィアンドゥだし、アントレは前菜を意味する。

アントレは入り口という意味だから・・・ニュアンス的にも正しいわけである。

そもそも、アントレがメインディシュと呼ばれるのは北米の習慣らしい・・・合衆国支配の名残が料理の総称にまで影響を与えていたと想像できる。

言葉というものの流動性の恐ろしさである。

しかし、現在はヴィアンドゥと呼ばれるのが正しいのに・・・アントレと聞けばローストビーフの仄かな香りを思い出したりするのが人間というものだ。

魚料理は今でもポワソンでなじみ深い。

ポワソンと聞いて、舌平目のムニエルでなく、シメオン・ドニ・ポアソン(フランスの数学者1781~1840)を連想する者は変人だと思う。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第5回』(NHK総合20140722PM10~)脚本・山浦雅大、演出・河合勇人を見た。週に一度の「ユイちゃんかわいいよ、ユイちゃん」の時間である。全8回なのでそろそろ、くるみロスの心の準備が必要だ。セカンド・シーズンはないのかよっ。ここ数年で最高のアイドル女優の一人である橋本愛の柔らかくオードリー・ヘップバーン的果実味が豊かで上質な味わいをもう少し楽しみたいものですな。

さて・・・警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)に対してどこまで本気か解読不能の恋をしているらしい天才女子大生・難波くるみ(橋本愛)は「ラブレター大作戦」の失敗を糧として「男の胃袋鷲掴み大作戦」を開始したらしい。

数学的理論に基づくフレンチの定番「牛肉の赤ワイン煮込み」にチャレンジである。

料理は科学であるからレシピに従えばそれなりに味は再現されるのだ。

なんとなく友達の浅尾奈津子(岡野真也)による試食・・・しかし、味は微妙なものだったらしい。

結果に納得できないくるみはレシピの作者で料理研究家の里中舞(能世あんな)のサイン会に乗り込み、クレームを申し立てるのだった。

「レシピ通りに作ったのにい」

「あらあら」

どうやら、いい人らしいさとだまいじゃなかった里中舞はくるみの料理実験レポートを検証し・・・「ワインの選び間違い」を指摘する。

その上で・・・時価20万円のシャトー・マルゴーの1982年(20世紀最高の呼び声が高い)を料理に使ったくるみの大胆さを指摘する。

「ぎょえ」

ワインは東都大学法学部教授・権堂(大河内浩)が秘蔵していたものだった。

くるみは酒泥棒である。

その頃、くるみの意中の人・・・伴田刑事は自宅の階段で転落死したワイン評論家・夏目慎一郎(小須田康人)の死に疑惑を感じていた。

なんだかんだ・・・素人探偵としてのくるみを高く評価している伴田刑事は現場写真を見せて意見を求めるのだった。

くるみは惨状に慄きながら・・・たちまち床で砕けたワインの壜の破片に不自然なものを見出す。べき分布的に破片の大小が偽装工作を匂わせたのだった。

そして・・・現場に残された擬似的な「アッシェンフェルターのワイン方程式」・・・。

収穫年の天候・・・日照時間、雨量、気温から複雑なワインの出来不出来を数学的に占う・・・。

ワインの当たり年を予測する方程式の絡みから・・・投資対象としてのワインを巡る事件を予感するくるみだったが・・・同時に夏目家のワインセラーに「マルゴーの82年」が置かれているのを見逃さないのだった。

未亡人となった夏目の妻・里花子(原沙知絵)の運転する自動車に自転車特攻を敢行するくるみ。

当たり屋である。

「まるごーのはちじゅうにねんものがあああ」

ブドウジュースを詰め込んだワインを破損させ・・・未亡人から慰謝料としてシャトー・マルゴー1982年をせしめるくるみだった。

どうやらいい人らしい夏目未亡人は・・・おしゃれな服までプレゼントしてくれるのだった。

しかし・・・そこで・・・くるみは・・・夏目夫婦と里中夫婦が友人関係にあったことを知る。

さらに・・・スナップ写真から・・・さとだまい・・・じゃなかった里中夫人と夏目が理数系同士で不倫関係にあったことを嗅ぎ取るくるみなのである。

不倫中の男が殺されたとなれば・・・二人の容疑者が浮上する。

夫に裏切られた妻・・・夏目未亡人と・・・妻に裏切られた夫・・・里中である。

「夏目をしのぶ会」に招待されるくるみ。

そこにはワイン関係者が集い、伴田刑事も訪れる。

ブドウジュースをワインと勘違いして叱る伴田に「勤務中に飲酒したらいーけないんだいけないんだ」と幼児プレーを仕掛けるくるみ。

しかし・・・ワインカクテルに刺激少なめの次亜塩素酸ナトリウムを仕込んだ毒殺で・・・ファンド会社「SNファンド」の社長・里中(岡田浩暉)は容疑者リストから姿を消す。

くるみは失敗料理のまざらないソースから・・・殺人のトリックを暴き・・・夏目未亡人を追い詰めるのだった。

酒泥棒の当たり屋が殺人者を追及である。

「あの人は・・・私の生れ年のワインだといって・・・あの女の生まれ年のワインを開けたのよ」

うっかりミスには気をつけようとお茶の間の妻帯者一同は気を引き締めるのだった。

くるみソースで伴田刑事に恋の料理ショーを挑むくるみ。

しかし・・・惨敗である。

そして、一人暮らしの長い伴田刑事は美味しいオムライスをくるみに作ってくれるのだった。

「伴田さん・・・あなたは何者・・・」とふと疑念を抱くくるみ。

「ただの刑事さ」とためらいながら答える伴田刑事・・・。

物語は終盤戦に突入していくのである。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

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2014年7月22日 (火)

富めるものも貧しきものも分け隔てることなく起訴、起訴、起訴の鬼だ(木村拓哉)

キックボクシングだからかっ。

・・・そういう時代もあったよな。

真空飛膝蹴り・・・何もかもなつかしい。

どこが真空なのか・・・最後まで謎だったな。

キックの軌道上の気圧がゼロになるっていうことだろう。

・・・そうなのかっ。

とにかく・・・「モップガール」(2007年)の桃子(北川景子)と大友(谷原章介)の共演・・・懐かしすぎる。

「プライド」(2004年)のハル(木村拓哉)と夏川(谷原章介)のことも思い出してあげてください。

DV男か・・・。DV男だったな。

で、『HERO(第2期)・第2回』(フジテレビ20140721PM9~)脚本・福田靖、演出・鈴木雅之を見た。ドラマに司法のシンボルとして登場する正義の女神は一般的にはギリシャ神話のテミス、ローマ神話のユースティティアとして知られる。テミスはゼウスの妻の一人である。テミスとゼウスの娘の一人ディケー(あるいはアストライアー)こそが正義の女神であるともいわれる。そもそも、テミスは宇宙の法則の神だからである。神の法と人の法は不一致するのが基本である。だから娘のディケーが人の法を司るということだ。たとえば自然界の弱肉強食の掟は・・・秩序や正義あるいは平和とは無縁である。戦争が悪とされ、武装勢力による民間機撃墜が悪とされるのがその証拠である。ちなみに正義の女神はタロットカードのジャスティスでもある。その図案は右手に剣を、左手に天秤を持っている。そして、時に目隠しをしている。これは・・・法の支配の理想を図案化したものである。天秤は「目には目を」と言う罪と罰の計量化を示す。罪にふさわしい罰を計るためのアイテムである。また、剣は裁きを実行する権力を示している。実行力を持たない法は無意味だからである。ごめんですんだら警察いらないのだ。そして・・・目隠しは・・・法の下の人間平等を示しているとも言われる。つまり、相手の容姿や貧富の差を裁きに持ちこんではならないという戒めである。しかし、同時に・・・犯罪の立証の難しさや・・・裁判官の自由裁量を示しているという穿った見方もある。そもそも・・・人が裁く以上・・・錯誤や賄賂はつきものなのである。目隠しをした神に裁かれるということは・・・つきつめれば運命に身を委ねるということでもある。理想の実現の困難さをジャスティスは人に示しているのである。しかし。真の正義が実現すれば世界には秩序が生まれ、平和が保たれる。これはその理想を目指すジャステイスの使徒・・・人間の英雄の物語なんだな。

東京地方検察庁城西支部に二人の痴漢の案件が送られてくる。

一人は貧乏な常習犯・・・一人は裕福な初犯だった。

初犯のエリートサラリーマン勝俣大毅(岩瀬亮)の案件を担当する久利生公平検事(木村拓哉)と事務官の麻木千佳(北川景子)だった。

貧乏な方は馬場礼子検事(吉田羊)が厳しく取り調べるのだった。

ストレス解消のために出来心で夜道において背後から女性の胸を触った被疑者に・・・麻木は憤慨する。

しかし、久利生は例によって淡々と取調を行うのだった。

被害者の女性・宮原祥子(大谷英子)は護身術としてキックボクシングを習っていて、加害者に逆襲・・・駆けつけた警官によって現行犯逮捕に至ったのだった。

勝俣は罪を認めるが・・・現れた相談料が30分十万円の高級弁護士・桜井丈太郎(谷原章介)は被害者と示談交渉をしたいと連絡を求めるのだった。

そして・・・現金・二百万円で示談に応じる被害者だった。

だが・・・事件のショックで精神的外傷を発している被害者を見た久利生と麻木は釈然としない思いを抱くのだった。

性犯罪の被害者の感じる苦痛と「過剰防衛」を口にして示談を示唆した弁護士の手口に怒りを募らせる麻木・・・。

久利生はそんな麻木を宥めるが・・・結局、事件現場で再会するコンビネーションを見せる。

「このままでいいんですか」

「試合はまだ終わってない・・・彼女はキックボクサーだし・・・セコンドだってタオルを投げないだろう・・・」

一度はリングに倒れたボクサーがカウントエイトで立ち上がり、ニヤリと笑う展開である。

事件現場の印象から・・・容疑者がレイプを想定していた可能性を疑う久利生。

やがて・・・現場付近の監視カメラの映像から容疑者が計画的に待ち伏せしていた状況証拠が浮上する。

一方で・・・馬場礼子検事の被疑者の十八件の犯行のうち・・・三件の立証が難しくなったことが新たな展開を見せる。

三件の被害者のうち・・・一人が勝俣を知っていたのだった。

勝俣は前科こそなかったが、レイプおよびレイプ未遂の示談の常習者だったのだ。

「これを見逃せば・・・新たな犠牲者が生まれる」

麻木事務官の説得に・・・被害者のキックボクサーは傷ついた心で立ち上がるのだった。

敗者となった桜井弁護士は負け惜しみを口にする。

「久利生くん・・・君はいつでも弁護士になれるね」

しかし・・・久利生を代弁して麻木事務官は叫ぶのだった。

「あなたは・・・検事にはなれないわ・・・久利生さんは金のためではなく・・・人のため、社会のために・・・検事の仕事をしているんだから・・・」

「・・・君の名は・・・」

「も・・・麻木です」

「麻木くん・・・失礼する」

ジャスティスは検事と事務官に微笑みかけるのだった。

そして・・・馬場礼子検事と田村雅史検事(杉本哲太)の過去には恐ろしい関係があるらしく・・・牛丸(角野卓造)の娘で田村検事の妻の名は「ミユキ」というらしい。

ちなみに麻木事務官はいじめっ子で宇野検事(濱田岳)はいじめられっ子だった。

ついでに無口なバーテンダー(田中要次)でおなじみの「St.George's Tavern」にカツ丼はあるのだった。

多くの人間は世界を認識する上で「目隠し」をしたまま生きている。

法律に精通した一般人は一般人とは言い難い。

だが、触法したかどうかも分からず罪に問われる場合、知らなかったではすまされない。

専門家に違法を匂わされれば委縮もする。

時の権力者・・・力あるものは・・・時には力で正義を買う。

正義の女神はそうした無法が続けば世は乱れ、万民の幸福が失われることを警告しているのだ。

そういう主題をさりげなく盛り込んだこの物語・・・実は重厚なのだった。

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Hero002ごっこガーデン。検事と事務官の戯れる密室。アンナ検事が中卒と聞いて世界が遠のく麻木さん・・・ものすごくかわいいぴょん。短パンも似合う久利生さん最高・・・アンナもおそろいの短パンはくから・・・じいや、オーダーよろしこぴょ~ん。賢治なのに検事とか、年齢詐称とか、未婚詐偽とか・・・事務官は嘘つきトリオだぴょん。警察怒らせちゃうけどすぐ後悔の部長もいい味出してるぴょ~ん。すみからすみまでずずずいーと面白い城西支部万歳ぴょんぴょんぴょんmanaある時は理屈っぽい芝居くずれに愛想をつかし、ある時はレイプ目的のクズ男にキックの制裁・・・大谷英子さん大活躍~。ありのままの事務官合コンは虚飾の宴に・・・徹頭徹尾、面白要素満載の上で・・・頭を冷やせと言っている人が一番燃えてるお約束の展開!・・・あるよ~シャブリ勝俣さんを帰してくださいますよね?よろしく お願いします・・・帰してやるもんですか! もげっ!なのでありました~まこぼぎゃああああん。スライムヘッドの空冷装置が故障したのにかぶりつづけていたら熱中症になったのでしゅ~。それともこのお熱は平成財閥弁護士団に悪事の後始末させ続けた呪いデスか~!・・・じいや、まこは反省したのでソーダフロートフラッペ宇治金時アンミツパフェを作ってくれろ~。ついでに夏休みの宿題もやっといて~。しょれから竹様ロイドにもあしゅなろレベル2機能追加しておいてくだしゃ~い

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2014年7月21日 (月)

浮世をば今こそ渡れもののふの名を高松の苔に残して・・・と清水宗治(岡田准一)

戦国武将たちは多かれ少なかれ死後の世界を夢見た。

当然、目指すのは極楽浄土である。

殺生戒を犯しまくっても南無阿彌陀仏を唱えれば往生出来る御仏の教えは甘美なものであった。

この世では武士として高名を残して浄土に渡る・・・と備中高松城主・清水宗治は辞世を詠む。

その前に能の「誓願寺」をひとさし舞うわけである。

「誓願寺」は14~5世紀の能作家・世阿弥の作品である。

SFホラーものなので13世紀の僧侶・一遍智真と10世紀の歌人・和泉式部の邂逅が描かれる。

舞台となるのが7世紀に天智天皇が創建した誓願寺という時空を超えた壮大な物語だが・・・つまるところ、成仏できないで彷徨っている和泉式部の霊が「浄土に定員があるか」と尋ねるので一遍が「誰でも成仏できます」と応じ、和泉式部がめでたく往生するという話だ。

つまり、それにあやかりたいと清水宗治は謡い舞うのである。

「我が力には往き難き、

御法の御舟の水馴棹、

ささでも渡るかの岸に至り至りて楽しみを極むる国の道なれや、

十悪万邪の迷ひの雲も空晴れ、

真如の月の西方も、

ここを去る事遠からず、

唯心の浄土とはこの誓願寺を拝むなり」

もう極楽往生する気満々なのである。

ちなみに和泉式部は父・大江氏、母・平氏の出自である。

大江氏の毛利家と平氏の清水家の和合も象徴していてなかなかにくどい趣向である。

そして・・・清水宗治は切腹して果てた。

で、『軍師官兵衛・第29回』(NHK総合2014070620PM8~)脚本・前川洋一、演出・本木一博を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は倍増の二十六行で・・・チョイ悪おやじ風官兵衛と恵瓊のコンビが受けました模様でございますな。まあ、ここはある意味、最大の見せ場でございますからねえ。そして、ついに、待ちに待った、一同待望の、首を長くして待ちわびた黒田官兵衛の正室・櫛橋光の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。おとくだけにひもで釣りたいくらいです。女性陣続々登場で歓喜ですな。濃姫は一期一会でしたが光はまだまだ長生きしますものねえ。万歳です。堰を切らないのは・・・津波映像の自粛か・・・まさかとは思いますが・・・もう予算がないのでは~・・・。来週、吉川家の侍がいくらか流されるといいですなあ。

Kan029天正十年六月三日の深夜・・・明智謀反、信長殺害の報せが秀吉陣営に届く。毛利が先にそれを知ることができなかったのは運の成せるわざという考えもあるが・・・変事が起ったのが後方だったから当然という見方もできる。山陰道の因幡国、山陽道の播磨国は共に羽柴軍の勢力圏であり、さらに瀬戸内海の制海権も羽柴軍が握っていた。明智が毛利に向けてはなった密偵は届かなかったのである。秀吉にとって幸いだったのは和睦の条件が整いつつあったことである。四日に清水宗治が切腹し、両家が兵をひくことは約束済みであった。もちろん、信長本軍進出までの一時的停戦である。毛利軍としては羽柴軍と交戦中であるよりも織田家との和平交渉の余地を残すためには停戦中であることの方が望ましかったのである。武田家のように滅ぼされるよりもたとえ安芸一国の安堵になろうとも毛利家の存続を小早川・吉川両家は選択したのだった。その頃、魚津城攻略中の柴田勝家は変事を知り撤退を開始。上杉景勝は命拾いをする。滝川一益は北条家を相手に身動きを封じられ、徳川家康は伊賀越えで脱出中、織田信孝と丹羽長秀は光秀の娘婿・津田信澄を五日に殺害。その日、秀吉軍は備中の戦場から反転する。明智光秀は近江国の反明智勢力を排除しながら六日に安土城を占領。しかし、その時、すでに秀吉は播磨国に向かっていた。丹後半国の主で光秀にもっとも近い同盟者である細川父子は何故か、中立を表明する。光秀の勝算はたちまち狂って行くのだった。

安国寺恵瓊が京の変事を知ったのは石見のくのいち宇多田小糸から・・・清水宗治が切腹を同意した旨の報告を受けている時だった。京の僧しのびが・・・異変の第一報をもたらしたのである。しかし・・・京で何かが起ったという報せの後は具体的な報せが届かない。本能寺の変の事実を知らせる忍びはすべて秀吉しのびの結界にからめ捕られていた。

情報不足のまま・・・事態は動き・・・数時間後には清水宗治は見事に切腹し、和睦が整った。双方の人質が交換され・・・毛利軍、羽柴軍の撤退が開始される。

清水城に取りついていた巨大な羽柴鉄甲船が川を下り姿を消すと・・・戦場には静寂が残る。

羽柴軍の殿(しんがり)を務める黒田軍が堤防を結界させると泥沼と化した高松城下が広がった。

その時、ようやく、山陰道経由の情報がもたらされる。

「そうか・・・もう信長はいないのか」

恵瓊はすでに姿を消した羽柴の軍勢を目で捜す。

そして、舌うちをした。

「まんまと・・・計られたか」

しかし・・・と恵瓊は考える。

備中国が空白地帯となっただけで毛利軍は無傷で残ったのである。

瓦解した信長体制がどうなるのかは不明だが・・・毛利家の滅亡の危機はひとまず去ったと言える。

(わが殿・・・小早川隆景にとっては満足のいく結果じゃのう・・・)

恵瓊は情報をまとめながら・・・毛利本陣へと向う。

天下の行く末を占い・・・毛利家の安泰の道を探るのが・・・父を毛利元就に殺された安芸の守護・武田氏の末裔の今の仕事なのである。

恵瓊は羽柴軍が勝つと読み始める・・・。

なにしろ・・・これほど早く・・・秀吉が退陣すると・・・光秀は考えないだろうと恵瓊には思えるのだ。

伊賀山中では京の変事を受けて活性化した山賊たちが徳川家康一行を襲撃していた。

しかし・・・全員が忍びである家康一行は山賊風情の敵するところではない。

徳川四天王はたちまち山賊の集団を殲滅していく。

そこへ血の匂いを嗅ぎつけたように新たな黒装束の集団が現れた。

「殿、ご無事でございますか」

初代・服部半蔵が跪く。

「遅いだに」

家康は肥大した身体を倒した敵の死体の上に休ませながら、一服していた。

家康はこの日のことを最初から読んでいたように・・・伊賀山中に影の軍団を配置していたのだった。

異常に用意周到な男なのである。

山中には・・・茶室を持つ隠れ家まであらかじめ準備されていたのだ。

半蔵は家康の慧眼に惧れいる。

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2014年7月20日 (日)

私はA(川口春奈)、私はE(岡本あずさ)、私は東宝シンデレラ(上白石萌歌)金田一少年の事件簿N(山田涼介)

四代目・金田一少年に山田涼介、四代目・七瀬美雪に川口春奈でのこのシリーズ。

すでにスペシャル・ドラマとして「香港九龍財宝殺人事件」(2013年)と「獄門塾殺人事件」(2014年)が作られているが・・・意外にもレビューしていないんだよな。

本格ミステリのレビューは書きにくいからな。

なにしろ・・・まさにネタバレになってしまうのである。

今さらかっ。

今回も危なかったな・・・「水球ヤンキース」のレビューをしないということは(土)は谷間になったんだな。

夜中についに教師役の山下智久を見て決断した。谷間がないと語れないからな。・・・語るのか。

歴代・美雪・・・ともさかりえ、鈴木杏、上野樹理に対して、川口春奈は全く遜色ない。

できればもう少し早くレギュラー化してもよかったな。

主人公に対するストレートなヒロイン役が意外に少ないんだなあ。

天魔さんがゆく」ぐらいだもんな。

こういうヒロイン役で持ち味が発揮できるタイプなのにな。

で、『金田一少年の事件簿・第1回』(日本テレビ20140719PM9~)原作・天樹征丸・さとうふみや、脚本・高橋悠也、演出・木村ひさしを見た。脚本は「三毛猫ホームズシリーズ」「相棒」など一応ミステリのキャリアがある人だ。スペシャル篇では海外ロケの展開が続いたが今回はオーソドックスな学園ミステリの展開で好感がもてる。神木隆之介21歳、浅利陽介26歳、岡山天音20歳、大和田健介23歳、山田涼介21歳、岡本あずさ22歳、川口春奈19歳、上白石萌歌14歳となんちゃって高校生祭りも花盛りである。

おっぱい星人としてキャラが強調される金田一耕助(フィクション)の孫・金田一一(山田涼介)にAカップと推定され、憤慨する不動高校2年生の七瀬美雪(川口春奈)は着替えのシーンで仄かなふくらみを強調しており、小ぶりのおっぱいがキュートである・・・そこかよっ。

しかし、ガードは固いのでセーラー服がびしょ濡れになっても下着は透けないのだった。

絶対に黒沢明を連想させる映画監督・蔵沢明(フィクション)の孫・蔵沢光(神木隆之介)が部長を務める不動高校・映画研究部。

光が監督した映画「殺人鬼スコーピオン」は不吉な映画として封印されている。

この映画を巡って猟奇的な連続殺人事件が発生するのだった。

美雪は光にスカウトされ・・・次回作の主演を務めることになる。

美雪を口説く光の甘い言葉に心騒ぐ一(ハジメ)・・・。

つまり・・・このドラマは・・・美雪とハジメがまだまだ幼馴染の域からスタートするのである。

主役の座を奪われた映画研究部2年生・黒河美穂(岡本あずさ)は美雪に嫉妬の炎を燃やす。

黒河に執心しているらしい脚本担当の泉谷シゲキ(岡山天音)は主役を交代させることを光に求めるが祖父・クラサワアキラを一刻も早く越えたいと願う光は己の信念を揺るがせない。

すると・・・「あのことを警察に告げる」と泉谷は光を脅迫するのだった。

警察に告げる「あのこと」となれば・・・光はなんらかの犯罪にかかわっているわけである。

犯罪者である光に魅かれる美雪・・・それを危惧するハジメという構図が生まれ・・・二人の心は幼馴染を脱皮し始めるのだった。

基本ですな。

やがて・・・泉谷や・・・俳優の真田コウジ(中川大志)が死体となって発見され、連続殺人事件の幕開け・・・。

警視庁刑事部の剣持警部(山口智充)の登場である。

フィクションなので・・・ハジメが事件を解明するまで警察は全く捜査をしないが・・・そこは冷静にスルーしなければならない。

やがて・・・映画「殺人鬼スコーピオン」にはスタントマンの本多影行(中島広稀)が参加していたことが判明し・・・本多が撮影中に消息不明になっていたことが明らかになる。

そして・・・睡眠薬を飲まされて部室に閉じ込められる関係者一同。

遅刻したミステリー研究部の真壁部長(浅利陽介)が駆けつけると・・・廊下で撮影担当の門脇(大和田健介)が殺害されており、鍵のかかった別室で光の死体が発見される。

撮影中の事故を隠蔽し・・・事故死したスタントマンの遺体を遺棄した罪を悔いて自殺したと光は遺書を残していた。

しかし・・・ハジメは「じっちゃんの名にかけて」・・・「謎はすべて解く」のだった。

もちろん・・・真犯人は最後に残された美少女で・・・動機は復讐である。

もう・・・何百回使われたか設定なのか分からないが・・・スタントマンと美少女は・・・離婚した兄妹なのだった。まあ・・・一つのジャンルだよな。

見事に復讐を遂げて天晴れでいいと思うのだが・・・「人殺しはよくない」という現代の作法に従い・・・甘い結末が用意されています。

まあ・・・復讐だけが正義であるというのは・・・米国にちっとも復讐しない敗戦国民には相容れない考え方なんですな。

もちろん、生きるための知恵という考え方もあります。

とにかく・・・久しぶりに素直に「かわいいよ、川口春奈かわいいよ」が言えるドラマが始ったのだった。十代の終りに間に合ったな。

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理想の男子

金田一耕助VS明智小五郎

探偵学園Q

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2014年7月19日 (土)

世界に蝕まれるあなた、世界を蝕むあなた(山口紗弥加)

さあ、どんどんやりきれなくなってきました。

まともな人間が一人もいないという世界のありのままを描写したら・・・こうなるよね。

家人と「老人ホーム」の実態について予想したわけだが・・・。

「実態なんかないよ・・・集金が済んだら即、店じまいでしょう」

「しかし・・・一応、顧客を納得させる事業形態が必要なんじゃないか」

「だって、基本、詐偽でしょう・・・足がついたらおしまいなんだから、バカな獲物がひっかかったらただちに解散しないと・・・」

「さすがにそんなに迂闊な獲物はいないんじゃないか」

「放棄したいほどの家族が一人いたら・・・まともな神経じゃいられない・・・そういう話でしょう」

そういう話だった。

で、『家族狩り・第3回』(TBSテレビ20140717PM10~)原作・天童荒太、脚本・大石静、演出・山本剛義を見た。すぐそこにある危機を人はほとんど回避できない。通学路に飛び込んでくる自動車、教室に飛び込んでくる狂人、航路に飛び込んでくる地対空ミサイル・・・。しかし、容赦ない現実の狂気には統計的にはそうそう遭遇するものではない・・・とたかをくくるしか対処法はないのである。長命寺の桜もちが食べたくなって買いに行く途中、時々、ぴょんと飛びあがりながら意味不明なことをつぶやいている人が接近してきた時は道を変えるのが無難である。油断すると桜もちを食べそこなうからである。それどころかこの世の見収めになる場合もある。

そういう・・・危機感を常に持っている人から見れば・・・君子危うきに近寄りすぎ、うかつにもほどがある登場人物たちだが・・・まあ、フィクションでございます。

酒乱の父親・駒田幸一(岡田浩暉)は幼児虐待で逮捕され、職を失う。そのあげくに飲酒し、児童養護施設に乱入するのだった。

虐待された娘・駒田玲子(信太真妃)が施設の窓から見下ろす中、対応する児童ケアセンターの児童心理司・氷崎游子(松雪泰子)・・・。

「娘を返せ」

「娘のことを考えるなら・・・まともになりなさいよ」

「そんなの無理だ・・・俺は弱い人間なんだよ」

「世の中に強い人間なんていないのよ」と言いたい玲子だったが・・・とにかく、職務を遂行するのだった。

酒乱の父親から娘を保護することで給与を得ているのである。

父親の醜態を見ながら、父親を失うことに納得がいかない玲子は食を絶って・・・世界に反抗を試みる。

游子に唾を吐きかけようとした玲子だったが・・・脱水症状で唾が出ない。

「あんたも負け犬ね。あんたの父親も負け犬だし。口惜しかったら・・・食事をして唾を吐けるようになりなさい」

仕方なく、食事をする玲子だった。

もちろん、食べても負け犬である。

餓死して・・・游子の対応に問題があったと世間の非難を浴びせる勝ち方もある。

玲子が死ねば玲子の感じる世界は滅びるのだから大した差はないわけだが。

かっては人情味あふれた役人であった父親の清太郎(井上真樹夫)が認知症になって以来・・・この世の正義を疑い始めている玲子。

母親の民子(浅田美代子)は自己責任能力の欠如を露呈し、現実逃避に熱中する。

神も仏もない

神も仏もない

神も仏もない

両親が頼りにならないとはそういうことである。

強気の背景を失い・・・游子の理性は蝕まれている。

家を売って・・・夫を老人ホームに入れるという民子の主張に揺らぐ游子の信念。

いかにもブラックな老人ホームに対する警戒感も・・・過酷な現実から全速力で逃走しようとする母親に対する嫌悪感も・・・両親への依存心に拘泥された子供としての自分によって麻痺してしまうのだった。

民子は恐るべき行動力で家の売却を決め、ブラック老人ホームに一千万円を入金してしまう。

そんな馬鹿なと誰もが思うが・・・民子は少し気がおかしくなっているわけである。

游子はそれに気がつきながら・・・子供としてそれを認めたくないのである。

結果として・・・氷崎家は・・・家も一千万円も一瞬で失うことになるのだった。

「あんたのせいよ・・・あんたが強く反対しないから」

「なにもかも・・・お母さんが決めたことじない」

「お母さんはもう年寄りなんだよ・・・あんたがしっかりしなきゃダメじゃないか」

そんな馬鹿なと思う人は多いかもしれないが・・・年齢を重ねればそれが単なる現実だと言うことが分かるのである。

しかし・・・どうしようもなく親ではなくなった親の残骸から逃れるために家出する游子だった。

そうならないためには早急に親から自立し、無縁になっておくのが正しいのである。

それが嫌なら・・・物凄い経済力を獲得するかだ。

いや・・・あくまで一部の事例の話である。適当に仲良くして適当に寿命がきて適当にお別れできる場合もあります。

一方・・・のほほんとエッチなことはするが・・・なんらかの事情で家庭を持つことに嫌悪感があるらしい私立高校の美術教師・巣藤浚介(伊藤淳史)は妊娠したと称する同僚の清岡美歩(山口紗弥加)の求婚を避けて避けて避けまくる。当然、避妊もしておくべきだが、完全なる結婚がないように完全な避妊もないのだった。・・・いや、精巣除去すればいいんじゃね。

清岡美歩(山口紗弥加)もまた・・・不登校の生徒に対し「嫌悪感」を丸出しにするなど社会人としては不適切な言動を展開し、浚介のダメ人間ぶりを緩和するわけだが・・・ある意味、お似合いのカップルとも言える。

それにしても山口紗弥加はこの役をやるためにキャリアを積んできたのかと思わせるはまり役である・・・それで女優としていいのかどうかは別として。

英語教師に「てめえのおふくろとファックしな」と叫ぶ問題生徒・芳沢亜衣(中村ゆりか)に軽く接触しようとしたり、元教え子の電気屋・渓徳(北山宏光)と渓徳の歌舞伎狂いの妻について談笑したりとのほほんと生きる浚介は・・・妊娠させた相手の両親が乱入してくると、「お腹の子供については責任とって堕胎費用は出すが娘さんについては責任なんてとらない」と母体の健康なんて知ったこっちゃないよという態度で自分の家から脱走するのだった。

夜の街で恐ろしい偶然が・・・いい年して子供じみた家出をしてきた二人を邂逅させるのだった。

「元気ないじゃないですか」

「そういう夜もあるわよ」

「現実がくそだったら・・・そんな現実変えてやる・・・そういうあなたの方が好きだな」

「・・・」

軽い男の軽い言葉に乗せられて・・・不動産屋に向かう游子。

父親に恩義を感じていた不動産屋は・・・売却後に借用したいという游子の申し出を受諾してくれるのだった。

氷﨑家は首の皮一枚つながったのである。

地獄に仏だ

地獄に仏だ

地獄に仏だ

なんだか・・・自分がいいことをしたような気分で家路に着く軽い男。

しかし、地獄はそういう人間を容赦しないのだった。

路上で燃えあがるホームレス。

そして、歓声をあげる恐るべき若者たち。

そんな現実を前にして・・・なんの武装もせずに・・・相手を叱りつける浚介だった。

頭が悪いにもほどがあるのだった。

たちまち・・・恐るべき若者たちのターゲットとなった浚介は放火されてしまうのだった。

うわあ。

 

やめて。

 

熱いから。

連続一家心中事件の犯人を何故か游子と決めてかかるおかしな警視庁の刑事・馬見原光毅(遠藤憲一)は裏では反社会的組織とつながり、小銭を稼いでいる悪徳刑事だったらしい。

捜査中に知り合った冬島綾女(水野美紀)と研司(須田瑛斗)の母子と親密な関係となった悪徳刑事は・・・狂気に蝕まれた妻の佐和子(秋山菜津子)にたじろぎながら形ばかりの夫婦生活を続ける。

しかし・・・暴力団関係者の元・夫の油井善博(谷田歩)が出所後、行方不明となり、綾女母子に危機が迫るのではないかと危惧する。

しかし・・・油井は悪徳刑事の娘・真弓(篠田麻里子)の営む花屋に現れ、手伝いに来ていた佐和子に綾女宛ての花束を配達させる。

添えられたカードから・・・油井の接近を知った綾女は・・・悪徳刑事には通報せずに逃亡の準備を開始するのだった。

悪徳刑事は「声が聞きたくなった」などと綾女に探りを入れるが・・・危機感はまるでない。

しかし・・・油井の魔の手はすでに身辺に及んでいる。

「他人の女房に電話している場合かよ」

「なんだと・・・」

「お前が俺の家族を狩ったように・・・俺もお前の家族を狩ってやる」

あわてて帰宅した悪徳刑事はバスタブで血に染まる佐和子を発見するのだった。

その瞳に映るものは底知れぬ虚無・・・。

この世のささいな偽善を許さない無垢な地獄の業火がスタンバイを始めた模様・・・。

そして・・・連続一家心中事件に対応して中の下の私立高校では不登校生徒の駆除を開始するのだった。

ゾクゾクしますな。

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2014年7月18日 (金)

よきこともあしきこともつれづれに姉さん女房とふるくらし(貫地谷しほり)

夏ドラマも続々と発進し、レビューに手が回らない季節である。

谷間が欲しいところだが・・・(月)「HERO」(火)「ハードナッツ」(水)「若者たち2014」(木)「吉原裏同心」(金)「家族狩り」(土)「水球ヤンキース」(日)「軍師官兵衛」・・・とレギュラーが一歩も譲らないんだな。

この中で・・・谷間となる可能性があるのは(木)と(土)である。

すでに「ペテロの葬列」「おやじの背中」など、レギュラーにしたいほどのドラマもあり・・・悩ましいのだった。

夏ドラマのくせに・・・。

(木)では脚本・大石静、主演・武井咲という「お天気お姉さん」のコンビが「ゼロの真実 ~監察医・松本真央~」というミステリを開始している。「お天気お姉さん」はどちらかと言えば作品に恵まれなかった武井咲が手堅いキャラクターを得た秀作だったが・・・「ゼロの真実」も期待を裏切らないスタートぶりである。だが・・・ミステリ盛りの夏・・・。

「信長のシェフ」で料理人の女助手を演じる志田未来がいつまでたっても男の子みたいなキャラを爆発させる「ST 赤と白の捜査ファイル」とか、コメディエンヌ水川あさみが結婚詐欺師にだまされる婦人警官を演じる「東京スカーレット ~警視庁NS係~」、イノッチが「冴えている」と言われる「警視庁捜査一課9係」など・・・ぞろぞろなのである。

さらに(土)をめぐって「水球ヤンキース」と対決する「金田一少年の事件簿N」もミステリなのである。

「お天気お姉さん」は「みんなエスパーだよ」に負けたのだが・・・「ゼロの真実」もまた・・・同じ運命をたどるのか・・・。

大体、「ゼロの真実」ってなんだよ・・・とは言いたいのだが。

言うためには谷間が必要と言う話なんだな。

で、『吉原裏同心・第4回』(NHK総合20140717PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・佐藤峰世を見た。政府公認の売春組織が舞台である。そういうものが許されるのが時代劇の特色と言っていいだろう。時代劇は一種の様式美である。現代では失われかけた様々なスタイルがそこにはある。たとえば・・・浴衣を着て花火見物などというものがある。普段はジーンズを履いてる若者がちょっとおしゃれをしてみるわけである。そういうおしゃれの原点が江戸時代にあるわけだ。同じ日本人同士が盛大に殺し合う戦国時代があり、そして、吉原遊郭となれば・・・「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」なんて酔狂も可能なのである。一種のおとぎの国なんだな。そこから・・・人間の普遍の姿が垣間見えたら・・・感じることも多いのだ。だから、時代劇が流行らぬ時代はどこか・・・空虚なんだな。もちろん、これはひどい・・・という時代劇も確かにある。しかし・・・入門編としては非常に素晴らしいこのドラマ。今さら語るほどのこともない人気作だが・・・落すに落せないのだった。

吉原遊郭で・・・心中未遂が発生。

火事と喧嘩は江戸の華だが・・・心中未遂は遊郭の花である。

なにしろ・・・売春婦と客が商売抜きで・・・「一緒に死のう」と心を通わせるわけである。

極悪非道の人身売買、売春管理者たちの心もゆらゆらと揺れるのだった。

心中を企てたのは遊女・おかん(高橋由美子)となじみ客の大工・幸助(おかやまはじめ)である。

ちなみに馴染みというのは基本的に三度目以後の客を言う。

最初は「ふり」で入り、二度目で「裏を返す」となって三度目はもうおなじみさんなのである。

しかし・・・二人に緻密さや計画性はなく・・・心中は未遂に終わる。

番方の仙右衛門(山内圭哉)とともに薩摩示現流の達人で眼志流居合術も嗜む吉原裏同心の神守幹次郎(小出恵介)は二人に事情を聞く。

おかんは晴れて年季明けの身の上だったが・・・見世の主・徳蔵(近童弐吉)から身に覚えのない借金の証文をつきつけられ・・・世をはかなんだ・・・というわけである。

年季が開けるというのは年季奉公という一種の労働契約の終了を意味する。

年季奉公は・・・江戸時代には一般的な労働契約である。

大工の幸助も大工の棟梁・栄吉(加藤武)の元でおそらく年季奉公をしているのである。

大工の棟梁は労働力として幸助を確保し、幸助はそこで手に職をつけるわけだ。

年季(契約期間)が明ければ独り立ちするわけである。

遊女も・・・身売りされ、同様に年季奉公をする。しかし、そこは苦界と呼ばれる世界である。商売の道具として・・・遊女たちはあの手この手で見世の主人に搾取されることになる。なにかと理由をつけてあらたな借金を発生させ・・・売れる間は手放さないのである。

薄墨太夫(野々すみ花)のような高級遊女もまた・・・様々な支度にかかる費用を借金として背負わされるのだった。

しかし・・・借金の証文はあっても借金をした覚えがないというおかん。

年季が明けたら晴れて幸助と夫婦になるという約束も泡と消え、あの世で結ばれようと心中未遂に至ったのだった。

吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)におかんの見世の主人・くれない屋の徳蔵にはよからぬ噂があると聞いた幹次郎は探索を開始する。

一方、心中騒ぎで大工仕事を無断欠勤した幸助は奉公先に戻りづらくなり、しばらく、幹次郎の駆け落ち相手の汀女(貫地谷しほり)が面倒を見ることになる。

幸助は屋根の修繕などをしてみせ、「こういう男が一人いると便利だなあ」と医者の柴田相庵(林隆三)と言わしめる。

幹次郎は幸助の奉公先にとりなしに出向くが頑固な棟梁に手を焼くのだった。

「仕事を忘れて遊女と遊ぶような奴のことなんか知るか」という正論に反論できない幹次郎だった。

しかし・・・幹次郎の前に刺客が現れる。

妻仇討ちの対象者でもある幹次郎は新たなる追手かと身構える。

だが・・・刺客は徳蔵の放ったものだった。

身替り屋佐吉(三宅弘城)からの情報で「証文の証人が証文の書かれた五年前に江戸にはいなかったこと」が判明し・・・ついに徳蔵の悪事が露見する。

からくりを暴かれ、殺意を露わにした徳蔵。

もちろん・・・幹次郎の剣におよぶはずもない。

おかんの年季は明けた。

残るは幸助の身のふり方である。

もう一度、棟梁を訪ねる幹次郎・・・だが、先回りした汀女がすでに話をつけている。

女には甘い棟梁だったらしい・・・。

「よし、わかった」でおなじみの加藤武も老けたなあ・・・。

悲しみに満ちた吉原遊郭から・・・苦楽を共にする一組の夫婦が旅立つ。

吉原の男たちも刹那、幸せな気持ちを感じるのだった。

「姉様・・・腹がへりました」と幹次郎も汀女に甘えるのだった。

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2014年7月17日 (木)

謝罪できない若者たちにやぶれかぶれのフライング・ボディアタックを(瑛太)

痛烈な痛みを伴うドラマである。

その責任を担うのはおそらく脚本だろう。

ものすごく・・・汎時代的な主題をまとめあげるには・・・少し・・・若いんだな。

あくまで・・・1966年に「原案」があるために・・・そこに記された言語が・・・ものすごい波となって脚本家を翻弄しているのである。

そのために・・・まったく無関係であるはずの「橋田壽賀子」的ニュアンスが生じてしまったりしている。

まあ・・・そういう「事故」が一同爆笑を誘うわけだが・・・一般のお茶の間は大体、戸惑う他ないのではないかと危惧するわけである。

どうしていいのかわからない倫理観・・・知性そのものの複雑化・・・景気のことしか頭にない国民性・・・そういう現代性が抜けおちたまま・・・火だるまになっていくスターたち。

まあ・・・それでも・・・これだけの人が集まっているのでそれなりに燃え尽きていくのだろう。

盆の送り火の炎のように・・・どこまでもわびしく・・・。

それはそれで一遍の詩だな・・・。

で、『若者ち2014・第2回』(フジテレビ20140716PM10~)脚本・武藤将吾、演出・中江功を見た。ひとつ屋根の下で暮らす兄弟姉妹たちなので当然のように野島伸司が混入してくるのだが・・・今回は演出家が「ひとつ屋根の下」の人だ。しかし、あんちゃんは・・・「原案」の長男・佐藤太郎(田中邦衛)から「北の国から」の五郎(田中邦衛)までの半世紀近い歳月を背負ったために「青大将」的ですらある。もう・・・わけがわからない人格を演じる佐藤旭(妻夫木聡)なのだった。

そこに・・・前科者の次男・暁(瑛太)が出所して帰ってくるのだった。

旭にとっては弟のサトル。

ひかり(満島ひかり)、ハルこと陽(柄本佑)、タダシこと旦(野村周平)にとっては「サトニイ」である。

「なんで帰ってくるんだよ」

「帰って来ちゃいけないのか」

「犯罪者がぬけぬけと」

「なんだよ・・・犯罪者って・・・刑期をつとめて出所した前科者を差別するのか」

「するだろう」

「罪をつぐなっているのに・・・」

「お前のおかげで家族はすごくつらかったんだぞ」

「そうなのか」

「ひとつ屋根の下だって小雪のせいでいろいろと大変なことになってるんだよ」

「再放送が中止になったりな」

「サトニイのせいでいじめられてタダシは高校中退したし」

「そんなことでいじめるやつらが悪いんじゃないか」

「ケーズデンキの会長だって言ってるだろう・・・犯罪者は家族がいじめられることまで考えて犯罪しろって」

「誰だよそれ・・・」

「杉浦直樹だよ」

「手紙じゃねえか」

「とにかく・・・家族のことを考えてくれって・・・言いたいわけで」

「家族なら冷たい世間の目にさらされる前科者を暖かく迎えろよ」

「にぎやかでいいわねえ」

旭の子供を宿し、結婚するらしい梓(蒼井優)は兄弟喧嘩のある家族を羨むのだった。

「私は一人っ子の方がいいな・・・兄弟多いのって貧乏くさいでしょ」

「馬鹿ね・・・一人っ子だって貧乏は貧乏よ・・・親が借金残せば、一人で返済よ」

「そうかあ・・・」

はてしなく・・・かみ合わない嘘っぽいセリフが続いて行く。

・・・ほぼお前の妄想じゃないか。

とてもじゃないが・・・再現性高くにはなりません。

「ともかく、みんなで言いたいことを言うのが臨場感を高めることになると勘違いして脚本をこしらえているんじゃないか。だから役者もそれなりの演技をさせていただくしかないことになるよ」

「無理してえなりかずき風にこしらえなくてもいいんだよ」

前回、ひきの手として・・・サトニイは殺人者風に描かれているのだが・・・実際には屋代多香子(長澤まさみ)の老いた母(根岸季衣)から三千万円を騙し取った詐偽行為が・・・サトニイの犯罪らしい。

屋代多香子の母親は四十歳で多香子を出産しており、多香子の年齢設定が二十七歳なので・・・生きていれば六十七歳である。

しかし、多香子の母はサトニイが獄中にいる間に病死したらしい。

このあたりの事情が曖昧模糊であり・・・サトニイが多香子の母からどうやって三千万円をだまし取れたのかも・・・判然としない。

多香子の母はサトニイを息子のように思ったと「美化」するわけだが・・・ひょっとしたら・・・婆が若いイケメンにおいらくの恋をしただけじゃないのか。

高年齢出産あふれる現代に・・・「母がおばあちゃんみたいで恥ずかしかった」と言わされる長澤まさみが銃殺されている感じである。

ともかく・・・「オレオレ詐偽」なんて・・・家族の絆が失われている証拠じゃないかとわかったようなことを言わされる瑛太も絞首刑されているようだ。

脚本から「認知症」という概念が脱落しているんだなあ。

まあ・・・一種の若書きなんだよな。はっきり稚拙と言え。

結局、妊娠した詐偽だった永原香澄(橋本愛)が「謝罪なんて要求されてするものじゃない」などと盗人猛々しいことを言って・・・いかにも良いこと言った風に描かれるのも・・・。

まあ、いいじゃないか。

それにしても・・・妊娠の責任から逃れるためにものすごく底の浅そうな兄のハルに付き添って談判の席に着くタダシのかっこ悪さはもはや異常のレベルだよな。

イノッチでさえ・・・「冴えてる」って言われる帝国風土からは想像外の世界を生きているのだ。

大変だよねえ。

でも、中国語が話せるらしいぞ。

そうなんだ。

ハルには「祭りの準備」のインテリゲンチャの匂いがするね。

とてつもなく恥ずかしいよね。

やがて・・・実子よりも・・・サトニイを我が子のように感じていたという「告白」が遺言ビデオとなって・・・提示される。

多香子や多香子の兄たちはどこまでも通俗的な「金の亡者」なのだった。

まるで・・・サトニイを詐偽で訴えたことが犯罪であるかのようなムードである。

これは・・・気持ち悪いな。

「金より大切なものがあるだろう」というなんの説得力もないセリフを叫ぶロトぶきくんは大惨殺である。

突然・・・幼き日の母を想起して涙にくれる多香子の唐突感も半端ないよな。

「モテキ」でおっぱいもませて築きあげたステータスがもろくも崩落しそうな勢いがあったよねえ。

とにかく・・・ここからは根岸季衣の演じる「優しいニッポンの母さん」のイメージビデオで押しまくるのだった。

すげえ・・・。

自主制作映画なのか・・・。

NHKのアレで・・・「母」がテーマの時に佳作に選ばれそうな・・・いや、選ばれないか。

まあ・・・とにかく・・・歴史に残るよな・・・黒い方で。

すごく・・・見逃せないドラマになったよねえ。

どこまで落ちていくのか想像もつかないよね。

結局、ドラマは脚本なんだぜ。

アンチテーゼってやはり高度な技術を要求するんだねえ。

エロも演出家チェンジで完全に蒸発したしな。

とにかく、そこに愛はないな。

舌なめずりをするな、舌舐めずりを・・・。

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2014年7月16日 (水)

恋の花など咲くものか・・・恋は胸に刺さった薔薇の棘(橋本愛)

自筆というものが衰退し筆跡鑑定が効力を失う。

恐ろしいことである。

タイピングされた文章の真贋を判定することは・・・時代の要求の一つである。

そこで計量文献学が注目される。

だが・・・その実態は多くの場合、不可解なものとなる。

なぜならば・・・人間の脳における情報処理のアルゴリズムはまだ解明されていないのである。

文章は・・・脳活動の表現結果である。

人間が言語を活用した結果、膨大な情報が生まれ、伝達された。

その情報の発信者を特定したいと・・・人間は見果てぬ夢を見るのである。

それはつきつめれば・・・一つの言葉に集約されるだろう。

私を愛してくれるのは誰ですか?

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第4回』(NHK総合20140715PM10~)脚本・蒔田光治、演出・橋本光二郎を見た。平凡と非凡の境界を見極めることは難しい。しかし、常人には思いも及ばぬものを生みだすものには運命の影がさすという考え方がある。たとえば核エネルギーについての成果というものがある。目に見えぬ原理が大量破壊兵器を生みだす時・・・その原理に人々は恐怖する。その原理の提案者に非常の人を感じる。しかし・・・それは個人の業績に還元できるとは言えない。運命が情報を展開して行ったと考えることも可能なのである。

一握りの天才が・・・世界を変革していく。

それを否定したいと願うのもまた・・・天才ではないものの宿命なのである。

たとえば・・・「ロミオとジュリエット」の作者・ウィリアム・シェイクスピアは常に実在を疑われてきた。

16世紀から17世紀にかけて大衆を熱狂させた劇作家は・・・その栄光ゆえに・・・妬まれ続けてきたのである。

栄光なき人々は・・・「それほどの栄光が一人占めされること」が我慢ならないのである。

だから・・・人々は時々、「シェイクスピアなんて幻さ」と叫ぶのだった。

このドラマの架空の登場人物である難波くるみ(橋本愛)は天才的ヒロインとして造形されている。

もちろん・・・女子大生に過ぎないくるみにはさしたる栄光はない。

ただし・・・とてつもない情報の発信者になるかもしれない匂いを放つわけである。

お茶の間にそれを伝える手段が・・・奇人・変人としてのくるみの側面なのである。

当然、パートナーである警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)は凡人の代表を務めるわけである。

伴田刑事は「文章が計量されて解析されてしまうこと」を理解できないし、それが可能であると主張するくるみを否定する。

しかし・・・実際にくるみが「計量文献学によって得た結果」は利用するのである。

このあたりが平凡と非凡の現実的側面を強烈に穿っているわけである。

「原爆の原理」を知らなくても広島や長崎に「原爆を投下すること」は可能なんだな。

今回はグリコ森永事件を模倣した「浄水器を利用した不特定多数殺害未遂事件」が発生する。

その毒牙は・・・どうやら伴田刑事に恋をして・・・計量文献学を利用した完璧な恋文作成を模索するくるみに及ぶのである。

「飲んだら死ぬで」の水を飲んでしまい・・・遠ざかる意識の中で伴田刑事に通報するくるみ・・・。

しかし・・・それは単なる寝不足だった。

やがて・・・事件はサエキ浄水社長・佐伯隆弘(目黒祐樹)の誘拐事件へと発展する。

そして・・・身代金受け渡しの失敗と・・・犯人の自覚で幕を閉じるのだった。

その過程で・・・いくつかの文書が登場する。

①企業恐喝の脅迫状

②社長誘拐の脅迫状

③匿名者による犯人の暴露文書

④犯人の遺書

事件の流れから・・・①、②、④が・・・同一人物の文書であるはずが・・・くるみが計量文献学的解析を行った結果・・・②、③、④が同じカテゴリーに属することが判明する。

そこで・・・浮上する佐伯社長の狂言説。

真偽を確かめるために社長室に潜入したくるみは・・・反社会的組織とつながっていた佐伯社長に拘束され・・・口封じのために殺害されるのだった。

しかし・・・それでは物語が終るので・・・くるみは暗号で・・・伴田刑事に自分の居場所を伝える。

危機一髪・・・くるみは伴田刑事に救助されるが・・・伴田刑事には暗号は解けなかったのである。

佐伯社長の敵対組織と通じていた伴田刑事は・・・佐伯社長を監視下に置いていたのである。

「女子大生誘拐の現場」は最初から押さえられていたのだった。

非凡な女子大生のくるみが恋した男は・・・普通の刑事ではなかった。

一話完結でありながら・・・闇を宿した流れが渦巻き始めるのだった。

そうして・・・くるみ、かわいいよくるみの物語は続くのである。

キッドは「とにかく」という言葉をかなりの頻度で使う文章癖を持っているが・・・今回はそれを意識して使用しなかったので・・・すごく疲れたことを報告しておく。

けして計量しないでください。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

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2014年7月15日 (火)

もげっVSよろしこ・・・ガンのくれあいとばしあい13年目のHERO(木村拓哉)

このブログは2006年スタートなので・・・なんと「HERO」(1stシーズン)のレビューはないのだった。

2001年のドラマである。21世紀となって13年・・・ついに・・・待望の2ndシーズンスタートである。

いくらなんでも・・・またせすぎだろう。

しかも・・・あなたを待つのも松の内の松たか子抜きのスタートなのだった。

だが・・・おそろしいことに・・・13年の歳月が何事もなかったように・・・ドラマはお茶の間に溶け込んでいくのだった。

みんな・・・年とらなさすぎだぜ・・・。

「HERO」歴代ヒロインは・・・雨宮舞子(松たか子)、泉谷りり子(綾瀬はるか)に続いて、麻木千佳(北川景子)である。

「ロング バケーション」(1996年)「ラブ ジェネレーション」(1997年)の松たか子、「MR.BRAIN」(2009年)の綾瀬はるか、「月の恋人〜Moon Lovers〜」(2010年)の北川景子(ただし第三の女)と・・・木村拓哉の相手役の中でも「HERO」のヒロインは別格という気がする。

13年前には中学生だった・・・北川景子がついにここまでやってきたのだった。

で、『HERO(第2期)・第1回』(フジテレビ20140714PM9~)脚本・福田靖、演出・鈴木雅之を見た。東京地方検察庁城西支部に帰ってきた検事・久利生公平(木村拓哉)・・・。歳月はかっての仲間たちの顔ぶれの変化に滲み出る。

2007年に六年間放置された後、ついにゴールインか・・・と思わせた事務官・雨宮舞子(松たか子)とは「何もかもうまくいった」わけではないらしく・・・別れたらしいと噂されている。そして・・・雨宮は念願の検事となったらしい。

中村美鈴検事(大塚寧々)、芝山貢検事(阿部寛)の姿はない。不倫の仲はどうなったのか。

雨宮に片思いをしていた江上達夫検事(勝村政信)はついに特捜のエースに昇格したらしい。

しかし、社交ダンスが趣味の末次事務官(小日向文世)、合コン好きの遠藤事務官(八嶋智人)は残留である。

そして・・・かっては居眠りばかりしている守衛だった井戸(正名僕蔵)が事務官となっている。

これに・・・明らかにヤンキーあがりの麻木千佳(北川景子)が事務官を務めている。

久利生は新たなパートナーがバイクの車種に詳しすぎることに・・・自分と同じ種族の匂いを嗅ぐのである。

かっての部長だった牛丸(角野卓造)は東京地方検察庁本庁に出世している。

ニューフェイスの一人、馬場礼子検事(吉田羊)は独身である。馬場に「結婚相手も出世のために選んだ」と評される田村雅史検事(杉本哲太)は・・・牛丸と風貌だか性格がそっくりの娘と結婚しているらしい。

もう一人・・・年齢不詳だが若手らしい・・・宇野検事(濱田岳)が配置されている。

新部長は死神上司・・・ではなくて川尻健三郎検事部長(松重豊)である。

久利生検事の恩人である鍋島東京地検次席検事(児玉清)は他界していた。

しかし、「St.George's Tavern」の無口なバーテンダー(田中要次)は健在である。

もはや・・・登場人物を語るだけで息切れしそうな濃さである。

久利生検事はいきなり、居酒屋の傷害事件に遭遇し・・・犯人の大西祐二(森山直太朗)の確保に協力するのだった。

そして・・・検事として被疑者となった大西を担当するのだった。

「酒に酔っていたので・・・記憶があいまいだ・・・」と主張する大西。

麻木事務官は「初犯」なので起訴は見送りでいいのではないかと事件を見切る。

久利生はもちろん・・・どんな事件もけして手を抜かないのである。

マイペースで取調を行う久利生検事に苛立つ麻木事務官。

お約束の流れなんだなあ・・・。

しかし・・・大西被疑者の指紋が「15年前の宝石強盗犯人」が残した凶器の指紋と一致したことによって・・・取調は予想外の方向にもつれていくのだった。

時効間近の事件はトップキャスター・中田有紀も注目する世間の関心事となったのである。

「事件解決」に色めき立つ刑事たち・・・。

しかし・・・宝石強盗事件は証拠不十分で起訴は困難と判断し・・・傷害事件をひたすら追求する久利生なのだった。

お約束の流れなんだなあ・・・。

マスメディアの注目を集める事件であるがために・・・起訴を焦る検事部長は・・・久利生を解任し・・・田村検事たちに・・・「とりあえず起訴」を求める。

しかし、田村検事も、馬場検事も起訴に踏み切れず・・・ついに宇野検事が担当者に・・・。

「どうして・・・起訴しないんですか・・・」

「検事は・・・起訴をする責任を負っている。裁判にかけられるだけで・・・被告となった人間は普通の生活を奪われてしまう。もしも冤罪にでもなれば・・・その人の人生そのものを奪うことになるかもしれない・・・その人が・・・罪を犯したという確信がなければ・・・起訴はできない」

ラフなスタイルの久利生からこれ以上ない正論を聞かされ・・・目からうろこが落ちる麻木事務官だった。

お約束すぎるのだった。

傷害事件の被害者の入院先を訪れる久利生。

「お客様を怒らせた私が悪かったのです」という被害者の善人ぶりに・・・久利生は激しく違和感を覚えるのだった。

時効寸前に・・・なぜ被疑者は・・・つまらない事件を起こしたのか。

やがて・・・検事と事務官は・・・被疑者と被害者が同じ中学の出身者であることを突き止める。

凶器に残された指紋。現場から走り去った大型バイク。

二つの証拠は・・・共犯者によって一つに結ばれるのである。

被疑者はバイクの免許を持っていなかったが被害者は持っていたのだ。

つまり・・・二人は共犯者・・・そして欲に目が眩んだ仲間割れである。

お約束の極みなのだ。

時効寸前・・・末次事務官は「銀座の宝石店オレオルから50カラット(時価13億円相当)のダイヤモンドが盗まれた事件」の起訴状を裁判所の夜間受け付け(小松利昌)に提出するのだった。

起訴状は受理された。

かくも素晴らしいお約束の世界はあるのだった。清々しいぞ。

絶対に譲れないものをヒーローが奇跡的に譲らないのだ。

これぞエンターティメントである。

お約束なので・・・近藤春菜はキャスティングされるべきだと考える。

とにかく・・・素晴らしいヒーローが帰って来たのだった。

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映画HERO

Hero001ごっこガーデン・正義の天使が舞い降りる夏の街角セット。アンナ面白かった面白かった面白かったぴょんぴょんぴょ~ん!録画では見逃してしまう通販番組から予告編まで・・・前のネプから後のスマまで全部面白かったの~。リピしてリピしてリピして冤罪被害者が出ないようにお祈りしたいと思うのぴょ~ん・・・寝不足確定まこ雨宮さんは久利生くんのお嫁しゃんにはならなかったのでしゅか~。大人の恋愛はいろいろ大変でしゅね~。夫婦で検事で二人とも職務に忠実だと・・・すれちがい夫婦になっちゃうのデスか?・・・仲良くしてくれよ~と天国からあの人も祈っていると思いましゅ~。ナムナムくう2001年・・・いや2014年か・・・松たか子はこっちだよ

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2014年7月14日 (月)

上様は舞わなかったのでございます(内田有紀)兵法三十六計の一・・・瞞天過海と織田信長(江口洋介)

「瞞天過海」は海嫌いの天(皇帝)を騙して屋敷船に乗せて渡海させた唐代の故事にちなんでいる。

しかし、兵法の極みとして語られる場合は敵を味方と勘違いさせることである。

海を陸と思わせるというたとえは・・・それが奇想天外な領域にあることを示している。

羽柴秀吉が氏素性も定かではない卑賤の身とすれば・・・明智光秀は美濃国守護の土岐氏の系譜に置かれる。

しかし・・・光秀本人は信長に臣従する以前は流浪の身の上だった。

そこから丹波国主となるまで・・・比叡山を焼き打ちにしろと言われればそれをなし、将軍を追放しろと言われればそれをなした。

毛利元就に就職面接で「狼の眠りし相貌」「利害半ば」と評された悪党が・・・信長の前では飼い犬のように従順だったのである。

すべて・・・敵である自分を味方と思わせる兵法・・・。

そう考えれば・・・兵力差一万対百の状況は「瞞天過海」そのものである。

信長はまんまと騙されてしまったのだ。

まさに是も非もないのだ。

「光秀、すげえよっ」と感嘆したわけである。

明智光秀が天海を名乗ってもなんの不思議もない所以である。

で、『軍師官兵衛・第28回』(NHK総合2014070613PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は十三行・・・主役が黒田官兵衛なのに・・・本能寺の変に時間さきすぎ・・・なのでございますよねえ。しかし・・・三度の飯より本能寺の変が好きな人は多いのでこらえてつかあさい・・・。そして・・・ついに・・・織田信長の正室にして挙動不審生没年不詳の女・チョチョチョチョチョ濃姫の描き下ろしイラスト大公開で満員御礼でございます。やはり・・・公開と同時に他界はセオリーでございますなあああああっ。公開先に立たずとはこのことなのでございましょうかああああ・・・しかし、あくまでマイペースでお願い申し上げます。

Kan028天正十年六月二日(1582年6月21日)・・・織田信長の正室・斎藤帰蝶(濃姫)がどこにいたか・・・戦国最大のミステリのヒロインのアリバイは・・・謎に満ちているわけだが・・・司馬遼太郎色の濃いこのドラマは「国盗り物語」に回帰したわけである。本能寺で信長と散った説・・・まあ・・・そうだと言われればそうなのである。その他にも・・・とっくに死んでいる説から、逃げ延びて長生きした説までなんでもあり・・・それが濃姫なのである。しかし、濃姫の弟・斉藤利治は斉藤道三の家来・猪子兵助とともに信長の嫡男・信忠の籠る二条城で討ち死にしおり・・・濃姫が信長と共に上洛していた可能性は否定できない。一方、明智光秀の出生も秘密のベールに包まれているが・・・光秀の父・秀綱が明智光継の子であれば・・・光継の娘である小見の方の娘の濃姫は・・・光秀とは従兄妹同志ということになる。骨肉の争いということでは・・・その方が盛り上がるわけである。正室の従兄だからすごく油断した信長・・・理にもかなっている。まあ、実弟殺している男がそんなことでどうするという考え方もある。信長死す・・・の報は東西南北津々浦々に伝播して行く。光秀が安土城に向かった四日・・・羽柴秀吉・黒田官兵衛主従は・・・その事実を知った。

黒影は・・・信長の目付け忍びを殺す魔性のものを影の中で見た。

明智光秀につけられた目付け忍びは信長の忍びの中でも極めて手練れである。

その達人たちが・・・容易く絶命する様は黒影の心を麻痺させた。

魔性のものは・・・確実に黒影の気配を感じ取っている。

しかし・・・黒影は無視されたのだった。

やがて・・・明智光秀は・・・信長の目付けが殺されたことを知り・・・追い詰められる。

「敵は本能寺にあり」と叫ばずにはいられない状況に追い込まれたのである。

炎に包まれた本能寺から・・・黒影は静かに身を引いた。

魔性のものをこれ以上、追い続けることは死を意味すると悟ったのである。

黒影は京を脱出して・・・摂津国で白影に合流する。

白影は魔性のものを真田の忍びと看破した。

「それは・・・おそろしきくのいちよ・・・」

「やはり・・・光秀殿ははめられたのか・・・」

「ともかく・・・赤影に知らせねばなるまい・・・」

赤影は・・・播磨、備前、備中を走破する。

堺で伊賀者の通報を受けた徳川家康は「うん」とひと唸りすると忍び装束に着替えた。

情報をもたらした石川五右衛門は道案内を請け負う。

家康はこの日のために伊賀に服部半蔵影の軍団を忍ばせている。

「伊賀までたどり着けば・・・脈はある・・・TENGAも夢ではないだに・・・」

家康と四天王は忍び装束で堺を突破する。

備中の陣中・・・黒田官兵衛は赤影から報告を受けた。

官兵衛の頭脳に「好機到来」の合図が鳴り響く。

「皆のもの・・・結界を張れ・・・」

(好機到来だ)

「明智の忍びを一人も通すな・・・毛利をつんぼ桟敷に置くのだ・・・」

(好機到来だ)

「清水に腹を切らせ・・・その替わりに国を返す・・・毛利にとって好条件だ・・・」

(好機到来だ)

「秀吉様・・・」

(好機到来だ)

「好機到来ですぞ・・・」

「・・・」

秀吉は官兵衛の言葉ですべてを悟る。

最大のピンチは最大のチャンスなのである。

陰暦六月五日の朝・・・備中備前国境には明智忍びの死骸が積み重なっている。

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2014年7月13日 (日)

僕は番長、時の流れを越えてやってきた・・・水球ヤンキース(新川優愛)

おい・・・。

誰を見るか・・・という問題では、倉科カナでも大政絢でもなく、水着現役の新川優愛だろう。

だな。

だよな。

夏だもんな。

しかし・・・強敵が現れたな。

(日)黒田

(月)もげH

(火)ハードナッツ

(水)くたびれた若者たちと橋本愛

(木)かけおち侍

(金)家族ハンター

(土)ハイレグ

・・・夏らしいラインナップじゃないか。

まあ・・・ミステリ多過ぎなので・・・(土)四代目・美雪(川口春奈)が負ける可能性はあるな・・・。

ミステリによせる手もあるぞ・・・。

(日)黒田くん

(月)もげH

(火)ハードナッツ

(水)ペテロくん

(木)監察医・咲

(金)犯人はきっとなだめ役

(土)N

う~ん。それはどうかな。第一ネタバレにつぐネタバレになるんじゃ・・・。

誰のためにバランスとるんだよっ。

ま・・・とにかく・・・来週のことは来週考えよう。

ハード・スケジュールだものな。

・・・そうだった。ホテルでバイキング食べたから忘れてた。

ロースト・ビーフを食いすぎなんだよっ。

胃薬でございます。

で、『水球ヤンキース・第1回』(フジテレビ201407122310~)脚本・徳永友一、演出・宮木正悟を見た。路線が彷徨う・・・この枠。スリリングな「ファーストクラス」から一転・・・超おバカドラマである。第一、舞台が栃木県だぜ・・・おいおいっ。ちなみに昨年の第81回日本高等学校選手権水泳競技大会は福岡県立福岡工業高等学校が埼玉県の私立秀明英光高等学校を決勝戦で破り、優勝している。まあ・・・ほとんどの人は知らないわけである。

名門私立・水蘭高校女子水球部マネージャーの岩崎渚(大原櫻子)の幼馴染・・・稲葉尚弥(中島裕翔)は・・・幼い頃・・・街のチンピラ(池田鉄洋)にからまれた折、霞野工業高校(通称カス高)の伝説の番長・黒澤義男(横山裕)に救われる。

その後、海外生活を経て・・・帰国子女となった稲葉尚弥はバリバリ伝説的な金髪のヤンキーとなって・・・憧れのカス高に転校してくるのだった。

その変貌ぶりに・・・渚はのけぞるのだった。

しかし・・・荒川重信(森本レオ)が校長を務める実際のカス高は廃校寸前の落ちこぼれ高校なのだった。

「カス高の番長」になって・・・恩人に報いたいと考える尚弥は早速、番長の指定席(窓際の一番後ろの席)に座る三船龍二(山﨑賢人)にタイマン勝負を挑むがスルーされてしまう。

しかし・・・何か恐ろしいパワーを秘めた尚也に女教師・青山千春(大政絢)は魅かれるものを感じる。

ちなみに・・・千春先生に恋をしている生徒に千秋亮(間宮祥太朗)がいる。

なんちゃって高校生のオンパレードだが・・・ここまでで・・・。

「弱くても勝てます」のメンバーが・・・白尾(中島裕翔)、江波戶(山﨑賢人)、岡留(間宮祥太朗)と揃い踏みである。続きかっ。

龍二のクラスメートである木村朋生(千葉雄大)、志村公平(中川大志)、加東慎介(吉沢亮)の三人はアイドル・橋本環奈(橋本環奈)に夢中の普通の高校生だった。渚は彼らと中学の同級生で今も仲がいいのである。

しかし、水球の全国大会で優勝した水蘭高校女子水球部は街を支配しており、完全に奢り高ぶっているのだった。水蘭でなければ人でなし展開である。

水蘭高校水球部のキャプテン北島虎雄(高木雄也)と女子水球部のキャプテン藤崎玲(新川優愛)らがカス高生徒を迫害していると知った尚弥は・・・水蘭高校水球部にタイマンを挑むのだった。

ヤンキーなら拳で会話してもらいたいのだが・・・何故か・・・水球勝負に持ち込まれてしまう尚弥・・・当然、なす術がないわけである。

噛みついたり、水中飛びひざ蹴りもしないのだ。

「どうせなら・・・あきらめて・・・負けを認めればいいのに・・・」と落ちこぼれたちが呟く。

しかし・・・尚弥は・・・。

「あきらめたら負ける・・・だから俺はあきらめない」

・・・とツッパリ精神の基本を説くのだった。

そして・・・たちまち・・・水球のコツをつかみ・・・水蘭高校の水球部を圧倒する力量を発揮する尚弥。主人公補正プラス100だな。

水蘭高校の水球部のコーチ・庄司真冬(倉科カナ)は「まさか・・・彼は・・・エリートヤンキー・・・」と呟くのである・・・おいっ。

勝負には負けた尚弥だったが・・・千春先生は・・・「水球で水蘭高校を破れば・・・カス高は生き存える・・・」といい加減なことを吹き込むのだった。

こうして・・・ツッパリなら勝てます・・・水球物語がスタートする・・・。

バカドラマだな。

うん・・・大バカドラマだ・・・夏にふさわしい。

そして、水着の切れ込みは美しい。

もはや・・・そこしか記憶に残っていない。

関連するキッドのブログ→弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜

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2014年7月12日 (土)

きれいごとを言い続けてもきれいにはなれない(篠田麻里子)

「狩る家族に狩られる家族同じ家族なら狩らなきゃ損々!」というタイトルも考えたわけだが・・・。

まだ、早いんじゃないか・・・そのうちにそういう展開になるかもしれん。

ブラックと言えば理解できるという風潮もなんだが・・・ブラック老人ホームというのは凄く恐ろしいな。

「姥捨て山」の企業化だからな。

「電話一本でOKです」みたいな。

「お近くのコンビニで1000万円のD券を購入してください」みたいな。

「ご本人様に直接、お貼りください」みたいな。

「指定期日に玄関前に出しておいてください」みたいな。

「担当、佐藤が承りました」みたいな。

まあ・・・認知症の老人はある意味、粗大ごみのようなものだからな。

おいおいおいおいおいおいおいおいおいお・・・。

で、『家族狩り・第2回』(TBSテレビ20140704PM10~)原作・天童荒太、脚本・大石静、演出・坪井敏雄を見た。児童ケアセンターの児童心理司・氷崎游子(松雪泰子)がなだめ役の児童相談員・山賀葉子(財前直見)と警視庁の刑事・馬見原光毅(遠藤憲一)の側を通りすぎた時・・・その匂い・・・はしたのだった。游子の怪しさがミスリードである以上、第2回には登場すらしない・・・その人が・・・まあ、いいか。

家族の基本は・・・夫婦だろうか。それとも親子だろうか。

それは一種の鶏が先か、卵が先か・・・である。

一人家族というのは駄目ですか・・・それを家族というのは苦しいよね。単に一人暮らしだよね。

単身赴任だって一人暮らしです。

やはり・・・夫婦だな。

で、子供が出来ることによって・・・家族らしさは増すのだった。

子は鎹というが・・・父親と母親は子によって初めて肉親となる。

ただし、それは・・・かなり、理性的な意味でだ。

共通の肉親である子を持つことによって・・・父親は妻を、母親は夫を・・・我子の片親として認知することによって擬似肉親となるわけである。

つまり、逆に言えば・・・夫婦は常に赤の他人である。

清岡美歩(山口紗弥加)が妊娠を盾に私立高校の美術教師・巣藤浚介(伊藤淳史)に家族化の制度である結婚を迫るのは極めて真っ当なのである。

つまり、私の子の父親になることによってあなたを夫として認めます・・・というわけだ。

しかし、夫婦の仲は多極化することによってたちまち崩壊する。

子供に対する大人の責任というものがあるとすれば・・・「親」である前に「男」や「女」であろうとするものは「無責任」そのものということになる。

もちろん・・・子供がそれを「自由」として認めれば・・・親は責任から解放されるわけである。

そういう子供がいてもいいと思うが・・・基本、何をしでかすか・・・わからない子供である。

そのように考えると・・・家族の絆なんて・・・あってないようなものだな。

だが・・・「情」という不可解な心理が時にそれを曖昧なものにするわけである。

氷崎家はそういう意味では・・・ある時期までは非常に「情」にあふれた家族だっただろう。

人情味あふれた役人である清太郎(井上真樹夫)と夫唱婦随の色濃い民子(浅田美代子)の夫婦。

一人娘の游子は父親や母親のような大人になりたいと思って育ったはずだ。

しかし、清太郎がアルツハイマー型認知症を発症したことによって・・・家族は崩壊の危機にさらされる。居間は便所となり、あらゆるものが糞尿の匂いを漂わせる。

巣藤浚介と元教え子の電気屋・渓徳(北山宏光)が気楽に交わす排便の臭気の笑い話が笑い話ではすまないのだ。

夫が夫でなくなった時、民子の中の家族への情はたちまち枯渇していく。

母親の裏切りに・・・游子は子供として怒りを覚えるが・・・父親が父親でなくなっていくことは過酷な現実なのである。

それは・・・人間としての游子の生活にフィードバックしていく。

游子自身の家族作りの夢は途絶え・・・生活の基盤となる仕事にも影響していく。

酒乱の父親・駒田幸一(岡田浩暉)に虐待される娘・・駒田玲子(信太真妃)に対するケアはゆとりのないものになり・・・幸一の立ち直りや、玲子の幸せを促すとは言えない結果となる。

逮捕された幸一は謎の虐待盗撮動画投稿で結局、職を失うことになる。

父親を慕う玲子は施設を逃げ出し、父親不在の自宅で泣き寝入りをする。

結局・・・游子は・・・虐待される子供を誘拐する独身女のような思い切りはなく・・・自分の無力を思い知るのである。

一方、そういう挫折感の最中にも、知性を失った父親は徘徊し、疲れ果てた母親は娘に責任を押し付けようとする。

それが嫌ならば・・・「老人ホーム」に清太郎を預けるしかないと游子に迫る民子。

薄情に見えるが他人である夫よりも肉親である娘を思いやっていると考えることもできる。

仕方なく・・・老人ホームの申し込み会場に出向く游子だったが・・・そこは産業廃棄物処理場を思わせるムードで游子をたじろがせるのだった。

赤の他人である巣藤浚介や渓徳の前で一瞬、正気に戻る清太郎も・・・現実的には何の救いにもならない。

浚介にとって家族は他人よりも遠い存在であるらしい。

その理由は明らかではないが・・・家族候補である美歩よりも・・・通りすがりの他人である游子や生徒の芳沢亜衣(中村ゆりか)に積極的に関わろうとする姿勢なのである。

今の処は軽いタッチで描かれる浚介だが・・・おそらく・・・このままではすまないはずだ。

大森、赤羽、世田谷と・・・連続して起る一家心中事件を連続殺人事件と断定する馬見原刑事だが・・・その私生活は暗澹たるものだった。

仕事に打ち込むことが家族のためという古典的な展開で・・・家族サービスを怠ったらしい馬見原刑事・・・。

長男・勲男(岡山智樹)は事故死、妻の佐和子(秋山菜津子)は精神を病み、長女の真弓(篠田麻里子)とは疎遠になった。

入院中の佐和子を一度も見舞わず・・・結婚して花屋を営む真弓から「母さんは私がひきとる」と言われる始末である。

しかし・・・何故か、佐和子は夫との同居を望むのだった。

未だに精神の不安定な妻に・・・落ちつかない気持ちを感じる馬見原刑事。

その心には・・・捜査中に知り合った冬島綾女(水野美紀)と研司(須田瑛斗)の母子が擬似家族として棲んでいる。

母子には・・・暴力団関係者の元・夫の油井善博が不気味につきまとっている。

馬見原刑事は自分の家族を破壊して・・・他人の家族を守ろうとする自己矛盾に・・・心穏やかではいられないのだった。

滲み出る人の愚かさである。

馬見原刑事の示唆により、心中事件を追う椎村刑事(平岡祐太)は事件の関係者として氷崎游子の名前が浮上したことに驚く。

もちろん・・・ミスリードだと思います。

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2014年7月11日 (金)

不義密通はよからぬこと(貫地谷しほり)駆け落ちは責任放棄(小出恵介)それがどうした文句があるか(富田靖子)

基本、盗人猛々しいわけですが・・・人殺しが万引き犯を説教するというのがこの世にはあるわけです。

やむにやまれぬ人殺しと・・・つい出来心でする万引き・・・どちらの罪が重いのかとふと考えるわけですな。

まあ・・・「相棒」の右京さんなら激昂して「人を殺すのも消しゴムちょろまかすのも悪いことに決まっているんですよっ!」と・・・。

善悪とは何か・・・時代劇はそういうところを超法規的に語ることができるジャンルでございます。

それはそれとして・・・「魔法★男子チェリーズ」(テレビ東京)とか「同窓生〜人は、三度、恋をする〜」とか・・・CLUB Rico開催をどうするか・・・なんですが。

谷間がないんだよなあ。

脇役の妹とか・・・ヒロインの少女時代とか・・・まだまだ下積みが要求されるんだねえ。

まあ・・・女子中学生が主役のドラマそのものが難しいからな。

とにかく・・・どこかでゲリラ開催するしかないよねえ。

四十過ぎた男女の色恋とか・・・お昼ごろにひっそりとやってもらいたいよね。

いい年して童貞の話は深夜にやるしかないけどねえ。

で、、『吉原裏同心・第3回』(NHK総合20140710PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・西谷真一を見た。父親が借金したために人身御供同然で嫁いだ汀女(貫地谷しほり)と駆け落ちした豊後竹田・岡藩の下級武士の神守幹次郎(小出恵介)は天明5年(1785年)頃、江戸に流れ着く。吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)に見出され・・・汀女は遊女たちの手習いの師匠となり、幹次郎は薩摩示現流の達人で眼志流居合術も嗜む剣の腕を生かし吉原裏同心となるのだった・・・。

時は陰暦七月である。早世した花魁・玉菊太夫の追善供養として始った玉菊灯籠が茶屋に飾られる吉原の風物詩・・・。七夕になれば遊女たちも笹の葉を飾り、短冊に願いを認める。

そんな折、吉原遊郭を南町奉行・村山(ダンカン)が視察に訪れる。

今回、完全な悪奉行として描かれるので村山はフィクションである。

この頃の南町奉行は山村信濃守良旺で・・・木曽の戦国武将・山村良勝の系譜を引く旗本である。勘定奉行なども務めている。ちなみに北町奉行は名奉行と噂される曲淵甲斐守景漸で武田信玄に仕えた曲淵吉景の後裔の旗本である。ついでに言えば江戸時代劇の基本であるが、南町・北町は担当地区ではなく、月替わりの交代制だ。

とにかく南町奉行・村山(フィクション)は金に汚く、女にだらしない嫌な権力者なのだった。

その視察中に卵が投げられて、村山を直撃、吉原は下手人捜しの騒ぎとなる。

番所の同心の村崎季光(石井愃一)は事件の解決のために卵売りの太平(森下能幸)を捕縛するのだ。

事件の真相を追って・・・幹次郎は番方の仙右衛門(山内圭哉)とともに・・・太平が卵を売った羅生門河岸の遊女・きく(富田靖子)を探索する。

きくは吐血し、吉原近くに住む医者の柴田相庵(林隆三)の元へ運ばれ労咳(結核)と診断された。

羅生門河岸は切見世と呼ばれる最下級の遊女が安く身を売る場所である。

汀女は薄墨太夫(野々すみ花)からきくの過去を聞きだす。

きくはかっては宮城野太夫と呼ばれる花魁で・・・薄墨太夫の恩人でもあった。

その宮城野太夫を身請けしようとした南町奉行・村山だったが・・・客の喜助(天宮良)と恋仲になっていた宮城野はその申し出を断ったのである。

事の次第を知った村山は喜助を無実の罪で捉え、江戸から追放したのだった。

宮城野は喜助の追放を知り・・・世を怨み、やがて身を持ち崩したのである。

一方、身替り屋佐吉(三宅弘城)からの情報で幹次郎は喜助が卵の商いをしていたことを突き止める。

きくを尾行した幹次郎は江戸に舞い戻っていた喜助との密会の現場に踏み込むのだった。

「あっしが怨みを晴らすためにやりました」

「しかし・・・濡れ衣で太平がお縄になっているんだ」

「・・・自首します」

しかし、死期の近いことを悟ったきくは・・・罪を背負って投身自殺するのだった。

その遺骸に寄り添い囁く薄墨太夫・・・。

「奉行の村山には・・・きっと天罰が下るからね・・・」

薄墨太夫の偽手紙で人気のない所におびき出された村山は・・・闇討ちにあって不具となり、お役を免ぜられるのである。

「一体・・・どんな暴漢が・・・天に代わって不義を討ったのでしょう」と問う汀女・・・。

「さあなあ・・・」ととぼける幹次郎だった。

いや・・・あんたたちが不義ですから・・・。

遊女たちの悲しい境遇を飲みこんで吉原遊郭は本格的な夏へと向って行く。

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2014年7月10日 (木)

言い訳の多い若者たち2014に闘魂ブレーンバスターを(妻夫木聡)

典型的ないまどきの若者なんてものを描くのは至難の業である。

子供の思い描く若者。

若者の思い描く若者。

中年の思い描く若者。

老人の思い描く若者。

それぞれが身近な若者を見て「今時の若者」をイメージするからだ。

それでも・・・創作者は・・・そういうものを描く必要に迫られる。

そういう時の一つの手が・・・「時代からとりのこされた若者」を描くことである。

そういう若者はいつだっているからだ。

ちっともおしゃれでなくて・・・ちっとも今風でなくて・・・時代の最先端から取り残された若者。

そういう若者にとっては北の国も・・・都会も・・・関係ない。

なにしろ・・・とりのこされちゃってるんだもの。

男子サッカー・ワールドカップの準決勝で・・・無慈悲なドイツ代表によって試合から取り残されたブラジル代表みたいに。

で、『若者たち2014・第1回』(フジテレビ20140709PM10~)脚本・武藤将吾、演出・杉田成道を見た。そういうわけで・・・どんなわけだよ・・・最底辺の若者たちの話である。基本的に貧乏で教養がないので・・・お粗末な感じが漂っている・・・。これを物凄いスターたちが演じるので違和感は半端ないわけだが・・・ベタな青春ドラマなんて基本的にそういうものなのである。

今は亡き・・・親の残した家で暮らす長男が佐藤旭(妻夫木聡)である。29歳の設定。

ここだけで言うと・・・「最後から二番目の恋」の鎌倉の人と同じである。しかし、家があるのは東京の下町で・・・旭の職業は建設現場で働く作業員である。ものすごい肉体労働者なのだった。

親が死んだ後、旭はかなりの人数の弟妹を食わせて来たらしい。

初回は相関図紹介なので・・・淡々と順不同でメンバーを見せていく。

次男の暁(瑛太)はいきなり「もう来るな」と看守に門でお決まりのセリフを言われる出所したての前科者である。もう・・・これ以上なく底辺なんだな。28歳だ。

しかも・・・喫煙して待ち伏せる一つ年下の見知らぬ女・屋代多香子(長澤まさみ)に「あなたの殺した女の娘よ」と自己紹介されるのだった。なんていうか設定としてひとつの極みだな。

長女のひかり(満島ひかり)は25歳で看護師。

独身なので・・・フーテンの寅さんごっこをしながら旭は見合い話をもちかける。

しかし・・・ひかりはすでに肉体関係を持つ相手がいる。

新生児特定集中治療室(NICU)の医師・新城正臣(吉岡秀隆)41歳がその相手で、正臣は旭が敬愛する男だが・・・妻子持ちだった。

「なんで・・・不倫なんか」

「子供が毎日死ぬんで息抜きが必要なんだ」

「そんなあ・・・」である。

とにかく・・・「愛しているの」と妹に言われても正臣を殴らずにはいられない旭である。

吉岡秀隆もふにゃふにゃ言いながら殴られてナンボだもんな。

殴られれば痛いわけで・・・でも抱いている時だって心が痛いわけで・・・。

ルールルルル・・・。

三男の陽(柄本佑)は23歳の大学生だが・・・芝居に狂って劇団を主宰している。恋人で主演女優・市ノ瀬沙紀(大谷英子・・・「平清盛」の藤原聖子)に就職のための脱退を告げられ裏切られた気持ちで一杯になるのだった。

四男の旦(野村周平)は18歳で高校を中退し、高校卒業の資格を取るために予備校に通う。

今回は抑え目の演技のユイちゃんこと謎の美少女・永原香澄(橋本愛)17歳とラブホテルで童貞を喪失させてもらったと主張するが・・・飲酒のために行為の記憶はないのだった。

セミヌードも披露して悪い演出家の口車に乗り体当たり演技のユイちゃんなのだった。

まあ・・・一部愛好家はそれで充分満足なのだった。

まあ・・・こんな感じで弟も妹も・・・ろくでもない感じなのである。

そんな弟妹を持つ旭は・・・弁当屋で働く女・澤辺梓(蒼井優)25歳と交際中なのだった。

しかし・・・「妊娠しちゃった」と告げられ・・・我を失うのである。

そもそも・・・妻夫木聡といえば代表作の映画「ジョゼと虎と魚たち」で見せるように残酷でだらしない二枚目が持ち味である。

しかし・・・今回は・・・あくまで・・・いろいろと心に迷いがあって・・・「産め」と素直に言えない優しい役どころなのである。

梓も夜はキャバレーでホステスやってるし、親の残した借金はあるしで・・・いろいろと底辺の女である。

「誰の子供か分かるもんか」と言ってしまい・・・妹に「最低」と言われる旭だった。

そんな・・・旭に喝を入れるのが・・・通りすがりのプロレスラー・・・プロレスリング・ノア所属の杉浦貴(杉浦貴)である。

成り行きでリングに上がった旭はブレーンバスターで悶絶し・・・介抱してくれた梓にようやくプロポーズである。

「出来ちゃった婚だね」

「いや・・・おめでた婚さ・・・」

お後がよろしいようで・・・。

つまり、基本的に落語なのである。

そして・・・初老の男性の感じるエロスだな。

バスタブで開脚する美少女とか。

暗がりで指なめとか。

メリーゴーランドで騎乗位とかな・・・おいっ。

さあ・・・次男はどんな犯罪者なのか・・・乞うご期待である。

よし・・・歯をくいしばり、なんとかまいたぞ。

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2014年7月 9日 (水)

和音のように従順に不協和音のように刺々しく(中越典子)

またしても夜の更新直前更新である。

スケジュールがまったくタイトな状態から脱しない。

そして・・・追い詰められると弱いタイプなのである。

妄想が膨らみ過ぎて収拾がつかないのである。

そういう時は操作ミスもしやすく・・・ますます無駄な時間を費やしてしまう。

もちつけっ・・・と言って杵と臼を用意して・・・違うだろう。

落ちつけ・・・。

なんというか母親が認知症を発症し、父親の脳腫瘍を告知されたような気分だ。

どんな気分だよ。

いつか・・・認知症になるかもしれないし、いつか脳腫瘍になるかもしれないという気持ちだ。

まあ・・・そんな心配しても無駄だよ。

録画した「ゴジラ」を繰り返し見なければいいだけだろうが。

それを言っちゃあおしまいだよ。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第3回』(NHK総合20140708PM10~)脚本・山浦雅大、演出・橋本光二郎を見た。この枠は再放送があるわけだが・・・呪われたように「お休み」になっている。うかつに見逃せないよな。なんだかんだ・・・夏ドラマが始っている中で・・・(日)大河(火)ハードナッツ(金)家族狩りが確定してしまっているわけである。(月)のペテロもなかなかに捨てがたい・・・しかし、大河を除けばミステリばかりである。まあ、これはオリジナルだが・・・他は一応、ミステリ風文芸、文芸風ミステリで差別化できるよね。それにしても(月)はアレがあるしな。ペテロは余るかな・・・。残り四枠・・・場合によっては・・・谷間なしか・・・まあ、ハードナッツは早めに終わるしな・・・とにかくまきたいな。まきたいねえ。残り三時間とか・・・精神的によくないね。

なんとなく、豪華なケータイ刑事の匂いがするハードナッツである。今回は特にその匂いがする。

東都大学(フィクション)数学科の学生・難波くるみ(橋本愛)は東都大学よりもバカでイチャイチャしている学生が多いケーオーじゃなくて京南大学(フィクション)の小板橋教授(斉木しげる)に招かれ、「講義中に居眠りをする学生」が覚醒するような「不快なメロディー」の構築を依頼される。

教授同士の交流でくるみは「天才的だが変人」と噂されているらしい。

受講中にイチャイチャしている学生たちに反感を抱いたくるみはただちに依頼を引き受けるのだった。

数学的アプローチとして背理法で「不快なメロディー」を導き出そうとしたくるみは「不快ではないメロディー」によって熟睡につぐ熟睡を重ねる。

そのために・・・締め切り日を守れなかったくるみは再び、京南大学に向かうのだった。

「あと、五日で完成する予定です」

独特のリズムで生きるくるみの存在感に圧倒される小板橋だった。

小板橋はピタゴラス研究の第一人者で・・・音楽と数学の融合を講義に導入している。

「次は・・・ピタゴラスの音楽について・・・アプローチするんだよ」

そのために・・・ピアノが調律されている・・・というのが今回のキーポイントである。

絶対音感を持っているとこの時点で謎は解けてしまうわけである。

ピタゴラスの音律は振周波数比2:1の音程動数の比率が2:3である純正5度音程を積み重ねていくもので現代の西洋音楽における周波数比2:1の音程とはずれるからである。ある意味、ホンキー・トンク(調子はずれ)ピアノになっているのだった。

「ものすごく初歩的で猿でも理解できるほどわかりやすかった」と小板橋の講義を忌憚なく評したくるみは帰途に着く。

しかし・・・東都大学文学部でチアリーディングサークルに所属している浅尾奈津子(岡野真也)に呼び止められる。

東都大学野球部が遠征に来ているらしい・・・柚子も来ているのか・・・。

合コンの誘いを受けたくるみは荷物を小板橋の教授室に置き忘れたことに気がつき、奈津子とともに引き返すのだった。

廊下に流れるピアノのメロディー。

しかし、部屋の中から応答はない。

「いないのかな」

「いるんじゃないの・・・ピアノの音がしたし」

そして・・・床に転がった楽器を拾い・・・鈍器で撲殺された小板橋教授を発見するくるみだった。

奈津子は悲鳴を上げて逃げ出し、隣の部屋から駆けつけた准教授の堤彩葉(中越典子)に犯人と誤解される凶器を持ったくるみだった。

通報を受け・・・捜査にやってきたのは・・・警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)だった。書店員ミチルには優しいがくるみには厳しい・・・おいっ・・・伴田刑事は協力を申して出て捜査内容を立ち聞きするくるみに「学生は勉強していなさい」と事件に首をつっこまないよう釘をさす。

「はい」と言いつつ、心から血を流すくるみだった。

容疑者は三人浮上する。

呪われた病院から来た・・・おいっ・・・京南大学助手の坂下(大和田健介)は被害者から「無能呼ばわり」されていたらしい。

教授の学術書を出版している出版社の社員・三条文也(小松利昌)もトラブルを抱えていたらしい。

そして・・・堤准教授・・・。しかし、堤教授は最後に聴こえていたピアノのメロディーが一種のダイイング・メッセージだったのではないかと言い出す。

捜査会議で・・・メロディーを持ちだした伴田刑事。しかし、バカタレ管理官・小林(勝村政信)とチンピラ刑事・高垣(波岡一喜)は分析を音楽関係者に依頼する。

(数学者の残したメロディーなんだから・・・数学者でないと解けない)と直感する伴田刑事。

結局・・・ダイイング・メロディーをくるみにたくす。

くるみは心に刺さったクギを抜きながら・・・激しく愛を告白するのだった。

「学生は事件にかかわらず・・・研究しろと言われたので・・・大人しく研究しているわけですよ・・・研究しろとあなたがおっしゃったので研究している私なんですよ」

くるみは従順な女を強調して伴田の心を射止めようとしているのだが、単に恩着せがましい感じになっているのだった。

伴田とは「単なる知りあい以上」になりたいくるみなのである。

乙女なんだなあ。

何故か、協力的な堤准教授によって・・・メロディーに隠された暗号を解読し・・・283・・・ふみや・・・文也に到達するくるみだった。

しかし・・・三条文也はすでに投身自殺を図って死亡していた。

事件は解決したかに見えたが・・・東都大学法学部教授・権堂(大河内浩)のアドバイスがくるみに重くのしかかる。

「音楽を分析するな・・・音楽は感じろ」

今日は今までの どんな時より 素晴らしい

赤い糸でむすばれてく 光の輪のなかへ

伴田刑事に捧げる「Butterfly」のメロディーは悲しいほどにずれていく・・・。

そして・・・くるみは思い出す・・・ピタゴラスの音律が・・・現代の音律で再現されるはずがないことを・・・。

ピアニストでもある・・・堤准教授のリサイタル会場。

くるみは調律師に頼み・・・ピタゴラスの音律を再現してもらう。

絶対音感の持ち主である堤准教授はたちまち・・・音程の狂いに気がつく。

「おかしいですね」

「おかしいのよ」

「だって・・・あの日・・・教授室にあったピアノと同じ音程なんですよ・・・あの日・・・その音を聞いたはずのあなたが・・・何故、それに気がつかなかったんですか」

「あらら・・・」

「語りますよね」

「語るわよ・・・語るついでに一曲弾くわよ」

奏でられるピアノの音色は・・・悲しく狂う。

「ピタゴラスは・・・ピタゴラス教の教祖だったという説がある・・・独裁的で・・・高圧的な男だったとも・・・でもそれは彼が信じる神がヘカテ・・・ギリシャ神話の主神ゼウスの嫉妬深い妻・ヘラだったことによるのかもしれない。紀元前の伝説の真偽なんてわかるわけないわよね。とにかく・・・小板橋はピタゴラスの悪い側面をすべて継承したような男だった。傲慢で・・・他人の手柄を平気で横取りするような・・・ピタゴラスは無理数を発見したヒッパソスを口封じのために殺害したとも言われている。小板橋は私の研究の成果を横取りした上に私が彼の元から巣立つことを妨害したの・・・このままでは・・・私の研究は殺されてしまう・・・そう感じた時・・・衝動的に私は彼を殺し・・・その罪を盗作の共犯者である三条にかぶせることにした」

「そ・・・それはもはや・・・衝動とは呼べないのでは・・・」とたじろく伴田刑事。

「あなたの大いなる振動に私は共鳴しました・・・」

くるみは殺人者の心情に惜しみない拍手を贈るのだった。

「そうね・・・ヒッパソスは音が響くことにとても関心を持っていたというものね」

二人の数学に生きる女たちの会話を茫然と聞く伴田刑事であった。

伴田刑事とくるみの間には暗くて深い川があるのだ・・・。

まあ・・・どんな川でも泳いで渡れるからな。

関連するキッドのブログ→第2回のレビュー

ピタゴラスとヒッパソス師弟の真実に迫りたい方はコチラへ→テンメイ様のハードナッツ

さらにピタゴラス音律その他も解説してくれる→テンメイ様のハードナッツ

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2014年7月 8日 (火)

夜明け前に汝は我を知らぬと三度言うであろう~ペテロの葬列(小泉孝太郎)

この枠としては珠玉の名作と言える「名もなき毒」の続編登場である。

悪というにはあまりにはかない人間の行いが主人公・杉村三郎(小泉孝太郎)によって憐れにも暴かれて行くという趣きのこのシリーズ。

じっくりと読み解きたいのだが、多重人格一同、極めて多忙なのである。

本来、未明の更新が夜更けになっています。

そうなると・・・もう・・・タイトロープな気持ちになってくるのだ。

別に、更新が翌日になっても誰にも怒られないのだが・・・脅迫されている気になるわけである。

ビョーキだからな。

とにかく、ユイちゃん(橋本愛)のドラマが始るまでに心穏やかになりたいのだった。

で、『ペテロの葬列・第1回』(TBSテレビ20140707PM7~)原作・宮部みゆき、脚本・神山由美子、演出・金子文紀を見た。このシリーズの主人公はごく平凡な庶民だった。そして・・・菜穂子(国仲涼子)という娘と平凡な恋に落ちた。二人は互いを慈しみ結婚する・・・しかし・・・奥様はお嬢様だったのです・・・という背景が基本線になっている。どうしようもない貧富の差はあるけれど・・・疑いなく愛もある。その結果、杉村桃子(小林星蘭)も生まれているというのが前提である。しかし、お嬢様と結婚する庶民には職業選択の自由はなく、巨大企業に守護された箱庭のような職場で勤務するしかないのだった。それが・・・社内報「あおぞら」編集部なのである。そうしなければ今多コンツェルンの今多会長(平幹二朗)は娘との結婚を許可しなかったのである。

誰もが羨むような境遇は嫉妬という針の蓆に座るのと同じ・・・杉村三郎は毎日、毒を飲む気分で暮らしている。だからといって不幸ではない。妻と娘を愛し、妻と娘に愛される馬鹿野郎だからである。

職場ではおなじみのメンバー・・・編集長の園田(室井滋)、編集部員の手島(岡本玲)、長期アルバイトの椎名遥(岡本玲)に加えて何人かが移動してきている。

冒頭では菜穂子を担当するエステティシャン・間野京子(長谷川京子)がさりげなく登場する。一部お茶の間は「セフレにして」と言い出すのではとドキドキである。

Rembrandt001会長の愛人だった女流画家を母に持つ菜穂子は美術鑑賞が趣味である。元は絵本の編集者だった杉村も妻の趣味に付き合うことには異論はないのだった。

レンブラント(1606年 - 1669年)の「聖ペテロの否認」を干渉しながら、この物語の主題である「聖ペテロの罪と殉教」が暗示されていく。

ペテロは言わずと知れたナザレのイエスの一番弟子である。

しかし、イエス捕縛の夜、師を見捨て逃亡したペテロは・・・「イエスの関係者か」と三度問われ、「無関係だ」と三度答えるのである。

キリスト教における裏切りものの代名詞はイエスを売ったユダであるが一番弟子のペテロもまた師を見捨てたことでは全くの同罪なのである。

しかし、ユダとは違い、ペテロは聖人と呼ばれる。

Zurbarn001ペテロは逃亡の果てにローマに逃れる。そこでイエスの信じる神についての布教活動に入るのである。

時のローマ皇帝ネロはこの教えを迫害する。

身に危険が迫ったと知ったペテロはまたも逃亡を企てる。

しかし、ローマを脱する路で・・・ペテロは復活したイエスとすれ違う。

「わが師よ・・・どこに行かれるのです」

「弟子がまた逃げるというのなら・・・私がローマで十字架を背負うしかない」

ペテロは心の痛みに震え・・・ローマに帰還するのであった。

こうしてペテロは殉教し、裏切り者から聖人へと宗教的に名誉を回復したのである。

「裏切り」と「殉教」の二つの顔を持つペテロは「殉教」の場面もスルバラン(1598年-1664年)などによって描かれるのだった。

まあ、悪魔としては冷笑するしかないエピソードでございます。

今多コンツェルンの元常務取締役財務担当・森信宏(柴俊夫)の豪邸で取材を終えた園田編集長と副編集長の杉村、そして手島のトリオは風光明媚な路線を走る「シーライン・エクスプレス」のバスで帰路に着く。

しかし、そのバスは謎めいた老人・佐藤一郎(長塚京三)によって乗っ取られ、乗員は人質になってしまう。

乗客には・・・口汚い町工場の経営者・田中雄一郎(峰竜太)、上品な老婦人・迫田とよ子(島かおり)、一見、人の良さそうな青年・坂本啓(細田善彦)、ケーキ職人志望の少女・前野メイ(清水富美加)がいる。

一部、お茶の間は「磯部支店長」とか「私のサイフだよ」とか「お前の席ねえからあ」とか「宇宙キターッ」などと叫ばずにはいられないのだった。

最初にバスの運転手である柴野和子(青山倫子)が解放され、一部お茶の間に「おりん逃げた」と叫ばせた後、老婦人も解放される。

バスジャック犯の老人は・・・「人質の皆さんには慰謝料を払う」などと謎めいた言葉を残す。

柴野運転手の通報で・・・警官隊がバスを包囲。

監禁状態で何故か・・・精神的に追い詰められた園田編集長がジュース差し入れと交換で解放される。

老人は「悪人」として三人の人間を連れてくるように警察にメールを送信。

夫の身を案じ、菜穂子が広報部会長秘書室付の橋本真佐彦(高橋一生)の運転する車で現場に向かう途中・・・。

警官隊が突入し・・・老人は拳銃自殺を遂げる。

謎を散りばめて・・・決着するバスジャック事件。

残された様々な謎に・・・気になることが多過ぎる杉村三郎は・・・なんとなく挑んでいくのだった・・・。

喫茶「睡蓮」マスター・水田大造(本田博太郎)は・・・「人にはそれぞれの事情がある・・・その場その場で・・・違う顔を見せる」と当たり前のことを意味ありげに囁くのだった。

うっとりと・・・謎に身を委ねたい気持ち・・・ですな。

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2014年7月 7日 (月)

時は今雨が下しる五月哉・・・と明智光秀(春風亭小朝)

京の都の愛宕山で明智光秀が連歌会を催し・・・有名な発句を残す。

この席には元服間もない嫡男の明智光慶も参加している。

本能寺の変勃発の数日前で陰暦五月下旬のことだった。

信長と親交のある連歌師・里村紹巴も出席している。

そういう席で・・・謀反を仄めかす歌など歌えるか・・・という率直な疑問はあるのだが・・・歌がなぞかけという性質を持っている以上・・・解釈は可能なのである。

「土岐(明智氏は土岐氏系である)は今・・・天(あめ)が下知する殺気かな・・・」である。

天が私に殺せと命じている・・・誰を?という話である。

居並ぶ歌人たちは・・・それぞれに・・・おやと思うわけである。

その中には信長の忍びもいて・・・当然、信長はそれを知る。

しかし・・・五月といえば雨という月並みな歌い出しに・・・それほど心は動かされなかったに違いない。

また・・・光秀はその歌が恐ろしい掛け言葉を含んでいることには気がつかなかった可能性もある。

だが・・・心の底では・・・戦国武将として千載一遇のチャンスが巡ってきていることを意識していたはずである。

天正十年六月二日(1582年6月21日)未明・・・。

明智光秀は戦国最大のミステリを認めるべく・・・一万余名の直属軍を率いて本能寺へと進軍する。

で、『軍師官兵衛・第27回』(NHK総合2014070608PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は前回よりややダウンの三十一行。通俗的な尊王明智光秀の姿に苦笑でございますな。まあ、誰が殺した第六天魔王の音頭は果てしなく輪を描くのでございます。しかし、かっての光秀が今回は小早川隆景に転生し、暗い翳りを見せている。そんな毛利家の実質司令官・隆景の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。清水宗治の命をめぐる官兵衛、秀吉、隆景、安国寺それぞれの思惑が入り乱れる外交戦・・・とってつけたような織田ファミリー物語を止めて鳥取城攻防戦を描いて欲しかったですなあ。毛利家が何故、戦わずして敗北してしまうのか・・・この辺りの阿吽の呼吸が醍醐味なのですが・・・全く伝わってきませんなあ・・・。誰のために死ぬのか・・・清水宗治の心情を描くだけで・・・一篇の詩になるわけなのに。

Kan027天正十年(1582年)五月、羽柴秀吉は備中国高松城水攻めの土木工事を開始する。中旬に工事は完成し、梅雨(五月雨)にも恵まれ、高松城は水没し、城主・清水宗治は完全に孤立する。圧倒的な経済力を見せつけた織田方に対し、毛利家は条件付降伏の道を探りはじめる。武田家滅亡の報は毛利家内部に衝撃をもたらしていたのである。播磨国攻防戦における毛利と織田の代理戦争を先兵である羽柴軍との局地戦におさめ・・・信長出馬に際しては支配地域の半分を差し出すことによって毛利本家の保存を図る小早川隆景の大戦略である。しかし、そのためには毛利家が本国安芸などで影響力があることを信長に知らしめなければならない。つまり、信長傘下に入った毛利家の利用価値を認めさせなければならないのだった。高松城主・清水宗治の切腹は清水家の毛利家への忠誠心を示すとともに・・・信長の美意識にかなう物語を発生させる。秀吉と隆景はその筋書きで合意したのだった。すでに越後では三月下旬より上杉景勝が織田軍団の包囲攻撃を受けており滅びへと向っている。柴田勝家の軍団四万に加え、予備戦力二万が上杉家滅亡の後は、滝川一益二万と合流し、徳川軍団二万とともに十万の大軍となって関東に出る。一方、信長は明智光秀二万の軍勢に丹後衆、大和衆などを加え、およそ四万の援軍を毛利攻めに出陣させる。この後、信長が出陣すれば十万の大軍が毛利家を圧倒するわけである。東西に十万、合わせて二十万の軍事力を持った信長は天下布武の完成を確信し、上洛、本能寺に入る。丹波国で軍の終結を終えた明智光秀は・・・山城国を通過し、摂津国から西へと向う・・・はずだった。天正十年・・・六月・・・二日。

高松城の西、猿掛城に毛利本陣が置かれ、毛利輝元が在陣している。

小早川隆景はその前衛として猿掛城の東南にある日差山に陣を構えていた。

隆景は毛利忍びを父から受け継いでいる。

山陰、山陽では無敵を誇る毛利忍びも軍団全体が忍びという羽柴軍には手を焼かされていた。

秀吉が奇妙なことを始めた噂は・・・草の者から届いてくるが・・・その全貌がつかめない。

「何をしているのか」

隆景の問いに参集した忍びの頭領たちが応じる。

「土石を集めておるのは堤を築いているのかと」

桂の太郎と呼ばれる忍びが応じる。

「周囲に土壁を作ったという話もありまする」

杉の善三と呼ばれる忍びが囁く。

「百姓から俵を買ったそうです」

葦の作蔵が呟く。

「水攻めという言葉を残した下人もおりまする」

独活の鱸が告げる。

独活の鱸は水軍忍びの頭である。

彼らの一団は川からの潜入を図ったが、蜂須賀の忍びに殲滅されていた。

「毛利忍びが結界を破れぬとは・・・恐ろしきことよのう」

隆景は呻いた。

「それにしても・・・水攻めとは・・・」

その時、斥候からの諜報が届いた。

「何・・・高松城が水没しただと・・・そんな馬鹿な」

毛利の将兵が度肝を抜かれている頃・・・黒影は・・・京の河原でわらべ歌を聞いていた。

その歌を歌う童たちが藤原の忍びの幼忍であることは調べがついていた。

籠女 籠女

籠の中の鳥は

いついつであう・・・

その河原には吉田神社の当主・兼見が佇んでいる。

周囲は夕闇に包まれつつある。

夜明けの番に

鶴と亀が統べた

後ろの正面だあれ・・・

黒影は影の術で完全な穏形を成し遂げている。

河原には・・・吉田兼見と子供たちがいるだけだが・・・風の中に女の声がある。

「願いを聞こう・・・」

「この世にお上(かみ)と呼べるのはお一方のみ・・・しかるに・・・ものどもに上様と呼ばれる不遜のお方がおありや・・・」

「しかし・・・汝もそのものに護られておるのではないか・・・そのものに与えられた銭で・・・妾を買うのかえ・・・」

「・・・」

「その願いは聞けぬ・・・しかし・・・京の都の卦は・・・月が変われば凶となろう」

「それはどないな訳かいな・・・」

黒影は耳をすました。

しかし・・・風の声はそれきり途絶えた。

黒影は声の主を求めて・・・気を張った。

しかし・・・手ごたえはなかった。

(この世には・・・恐ろしき使い手がおるものよ・・・)

黒影は心が冷えるのを感じる。

誰かに嘲笑された気がしたのだ。

完全な闇に包まれた河原に子供たちの影も消え・・・一人、吉田兼見が残された。

暗殺者は一人のターゲットに対し二人の依頼人を持たぬものなのである。

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2014年7月 6日 (日)

誘拐につぐ誘拐、監禁につぐ監禁、緊縛につぐ緊縛(岡本玲)

すでに深夜枠では夏ドラマが始っているのだが・・・この枠としては久しぶりのヒットであるこれを語っておきたいのだった。

とにかく・・・このブログでは存在が確認できない衛星関係で七月は「ゴジラ」につぐ「ゴジラ」なのである。

とても穏やかにはすごせない気持ちだ。

まるで池袋文芸座地下の土曜の夜みたいな気分だぜ。

頭の中に伊福部昭が鳴り響くのである。

そういう中で・・・変態の極みであるこれを語るのはそれなりに趣きがあると思う。

で、『トクボウ 警察庁特殊防犯課・第2回~最終回(全13回)』(日本テレビ201404102359~)原作・高橋秀武、脚本・福田卓郎(他)、演出・植田尚(他)を見た。まず、きっちり13本、由緒正しい1クールである。トランプで言えば絵札までそろっている。この調子で第4シリーズまでやってほしいくらいだった。なんといってもゲストをロープで縛るドラマである。もちろん・・・前例がないわけではないが・・・ここまで緊縛にこだわったドラマは記憶にない。そして・・・当然、そこには深夜にふさわしい恥ずかしい要素があるわけである。キッドは死刑反対に反対だが・・・死刑に変わり凌辱刑が可ならそれはそれでもいいと思う。そういう意味で・・・超法規的な存在である朝倉草平警視(伊原剛志)が「なんとなく悪い人」を辱めるというこの設定が・・・すごく胸に沁みるんだなあ。

ものすごく際どい設定である。

たとえば・・・売春という罪を裁くにあたって・・・明らかにプレイのニュアンスがあるこのお仕置きが・・・果たして整合性があるのか・・・と問われる可能性がある。

それを表現するにあたって・・・エロティックに特化したら・・・すごく下品になってしまう。

つまり、演出力も問われるわけである。

だからといって・・・上品にまとめれば無味乾燥なものになる惧れがある。

当然、そこには中和剤としての「お笑い」のセンスも必要となってくる。

「やってることは変態じゃないか」と指摘される寸前に「変態ですから」と開き直る阿吽の呼吸が要求されるのだ。

そうした・・・脚本、演出、演技が一体となって・・・ギリギリのラインに仕上げてきた感じがするんだなあ。

まずはレギュラーの配置が抜群である。

知的で・・・秘めた情熱と・・・疑いようのない正義を上品に醸しだす朝倉警視。

常識人代表としてとまどいつっこみ踊らされエプロンを着用する辻刑事(松下洸平)・・・。

そして・・・いつまでたっても少女の薫り高くセーラー服の似合う叶美由紀警視正(安達祐実)・・・。

この絶妙のバランス。

これがあって・・・どうしようもなく・・・プレイであるオチに向って安心して向っていけるのだ。

なにしろ・・・JKお散歩店員の坪倉かおり(足立梨花・・・あまちゃんのマメりん)は最後、パンツ丸出しでお尻ペンペンをされてしまうのである。

すげえ・・・と言う他はない。

次のゲストが塩田ヒトミ(南野陽子)だったので・・・もう手に汗握るわけである。

しかし、緊縛されるのは綾野百合子(冨樫真)なのだった。もちろん、そういう系もOKの人とはいえ大女優だ。

もう・・・これが限界というぐらいのエロティシズムである。

だが・・・このドラマのもう一つの目玉が・・・男優縛りであることが・・・エロ視線だけではすまさないガッツを示すのだった。

名高達男に始り、落合モトキが、阪田マサノブが、升毅が、姜暢雄が、そしてついには吉田鋼太郎が緊縛されてしまうのだった。

すげえよ・・・と言う他はないのだった。

そして・・・絶え間なく繰り出される朝倉警視による辻刑事への言葉責め。

さらに清涼剤としての叶警視正の朝倉警視に対する女王様プレイの挿入。

よどみないのだった。

ドラマは後半、日本の政治的支配を目指す鶴井(吉田鋼太郎)との対決を軸として行くのだが・・・その中で法務大臣の娘でありながら騙されやすい初心な娘・北柴田マリエ(岡本玲)の一途な思いとか・・・政界の黒幕である大藪(品川徹)の愛人の息子である朝倉警視の出生の秘密・・・心に影のある森田勝利(川野直輝)と朝倉警視との倒錯的な友情などいろいろと絡めてくるのである。

そして、マリエは凌辱的な姿勢で森田に緊縛されたり、叶警視正が拉致監禁されたり大サービスなのである。

ついには・・・叶警視正が・・・制服のタイトスカートから脚線美を披露しつつ・・・緊縛術を披露して見得を切るという歌舞伎的世界にまで突入していくのである。

まあ・・・とにかく・・・春ドラマで一番、楽しみだったわけです。

それだけは・・・言わずにはおれないのです。

次は誰が縛られるのか・・・もうワクワクできないなんて・・・。

ああ・・・死にたい。

関連するキッドのブログ→第1回のレビュー

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2014年7月 5日 (土)

口で言うより手の方が早い方々に捧げる家族狩り(松雪泰子)

現代ではもはやそれだけで悪である。

暴力に絶対反対の人がいるからな。

愛の鞭が成立するのは秘密の一部愛好家の夜の営みだけでございます。

それでしつけが成立しないからこんなことになっちゃってるんだよな。

まあ、暴力で屈服させられるのが絶対に嫌だという人は多いよ。

だから、まず言葉の暴力で挑発して、相手に手を出させてから正当防衛で殺すといいと思うよ。

「殺したい」と思うのは自由だけど「殺したいと思った」と口に出すと脅迫になるから要注意だぜ。

虫も殺せないほどの優しさを克服するのは大変だよな。

生きた魚を捌くことができれば後は切り替えだけだけどな。

リストカットってある意味、その前段階か。

蚊をたたく。ゴキブリを踏みつぶす。活き造り。屠殺。それぞれに段階があるよね。

害虫駆除業者と大量殺人者にも壁はあるしね。

その辺にしとけよ。

とにかく・・・相手を人間と思わないことは一つの手段だよな。

え・・・それじゃ味気ないんじゃ。

おいおいおい・・・。

で、『家族狩り・第1回』(TBSテレビ20140704PM10~)原作・天童荒太、脚本・大石静、演出・坪井敏雄を見た。原作からは二十年のタイムラグがあるわけだが、初回を見る限りまったく問題なく現代を感じさせてくれる。それだけで成功と言えるだろう。原作もオリジナルと改稿版では違うと言う・・・ある意味で原作者の意識の変化がフィードバックする作品である。「家族」という存在や「殺人」という手段への認識が・・・一人の個人の中でさえ変遷するというわけである。「社会」の中の「家族」や、「家族」の中の「個人」もそれぞれで重みが異なるのが自然である。しかし、「愛」と「殺意」が絡み合い、不可分のものになっていくと言う過程を知らないものはまさに幸福者と言える・・・そういう基本線は崩れないのである。

まあ、世の中には認知症になった家族を合法的に処理できたらどんなに楽かと夜、眠る前に・・・朝、目覚めた時に考えたことのない人の方が多いのかもしれないのだ。

もちろん、金に糸目をつけなければなんでもありではあるわけだが。

東京都北区赤羽・・・。

児童ケアセンターの児童心理司・氷崎游子(松雪泰子)は「児童虐待の疑い」の通報を受け現場に向かう。

警視庁の刑事・馬見原光毅(遠藤憲一)は「一家心中事件」の現場に立つ。

私立高校の美術教師・巣藤浚介(伊藤淳史)は「泡沫の死」である眠りから目覚める。

三人の人生は運命の糸に操られ・・・手繰り寄せられていくことになるのだった。

酒乱で肩書きのない男・駒田幸一(岡田浩暉)は「酔って娘に暴力をふるう」常習犯である。

父親に殴られ血を流す娘・駒田玲子(信太真妃・・・三代目ちびまる子)はカーテンの影に隠れている。

游子は幸一を詰る。

しかし、酔っている幸一は耳を貸さない。

通報を受けて駆けつけた警察官は穏便にことをすませようとする。

「酔いがさめたら・・・反省するだろうし」

「娘に暴力をふるっているんだから・・・逮捕してください」

「まあ、大袈裟にすることはない・・・父親がいなくなって一番困るのはこの子なんだから」

游子は警察官の頬を張る。

「何をする・・・」

「痛いでしょう・・・この子だって痛いのよ」

「・・・」

游子は所轄署に電話して署長を呼びだすのだった。

「お宅の警官が見て見ぬふりをする気なのよ」

形勢が不利と感じた幸一は暴れ出す。

警官たちは仕方なく暴行の現行犯で幸一を逮捕するのだった。

残された玲子は游子に敵意を示す。

暴力をふるう父親よりも父親に敵対する游子が・・・玲子にとってはより唾を吐きかけたい人間なのだった。

児童相談所内の保護施設の職員・大熊(宮地雅子)に玲子を預けた游子は感情を殺した顔で帰宅する。

そこには・・・役所を定年退職した後で・・・アルツハイマー型認知症を発症した父親・清太郎(井上真樹夫)が待っている。

介護暮らしに疲れた清太郎の妻・民子(浅田美代子)はお勤めと称してギャンブルに狂っているのだった。

かってはおしどり夫婦だった両親の現状に・・・游子もまた壊れかけているようである。

血の匂いのたちこめる清算な現場で・・・馬見原刑事は・・・新人の椎村刑事(平岡祐太)に語りかける。

「現場の匂いを嗅げよ」

「アンドロイドじゃないので・・・たまりません」

「甘い匂いがしないか」

「え・・・」

「俺は・・・これが一家心中に見せかけた殺人事件だと思う」

「すると・・・」

都内では似たような一家心中が他にも起きていたのだった。

一人暮らしの巣藤教師の部屋には同僚の国語教師・清岡美歩(山口紗弥加)が押し掛けていた。

清岡は巣藤に懐妊を告げ、結婚を迫るのだった。

家庭を持つことになにやら躊躇いのある巣藤は動揺する。

「クレーム婆」の異名をとる游子は警官の勤務態度について署長に怒鳴りこむ。

游子のなだめ役の児童相談員・山賀葉子(財前直見)は警察署に怒りの収まらない游子を引き取りに現れる。

馬見原刑事は娘の真弓(篠田麻里子)が事件を起こした時に娘を鉄拳制裁して、「娘に手を出すな」と游子に殴打された苦い経験があった。

しかし・・・署内ですれ違った游子から・・・「あの匂い」を嗅ぐのだった。

はっきり言ってミスリードです。

米国出身の画家ジャン=ミシェル・バスキア(1960~1988)に憧れている巣藤は美術の授業で生徒に「家族」を題材とした作品を描かせる。

女生徒の芳沢亜衣(中村ゆりか)は不気味な自画像らしきものを描き、巣藤に絶賛される。

しかし、それは亜衣の苦悩を悪戯に刺激する行為だった。

自傷行為に耽る亜衣は支配的な父親・孝郎(二階堂智)と従順を装う母親・希久子(相築あきこ)の軋轢に敏感になっていた。

「この英語の成績・・・語学堪能な俺の娘だとは思えない・・・お前、誰の子なんだ」

「お母さんに聞けばいいでしょう」

機知のない父親にこの機知あるセリフを投げて亜衣は家出、援助交際、刃傷沙汰のコースを展開。

血まみれになってラブホテルの前に佇むところを通りかかった游子に保護される。

亜衣は虚言癖があるらしく・・・「教師にレイプされた」と警察で証言。

強姦犯人として巣藤は刑事たちに任意同行を求められるのだった。

巣藤は生徒の名前さえ把握していない失格教師だったが・・・教え子の一人で鈴木佳苗(松浦雅・・・「ごちそうさん」の西門ふ久)の夫・渓徳(北山宏光)の証言でアリバイが立証され、窮地を脱する。

しかし、生徒を心配しない態度の巣藤に游子の怒りは収まらない。

徘徊を重ねる清太郎を捜しては連れ戻す日常に・・・游子は疲れ果てていた。

せっかくのうな重も振り払う夜である。

あの娘はどこの子

こんな夕暮れ

民子は夫が正常だった頃のきしむベッドを懐かしむのだった。

「死にたい」と口にする母親をもてあます游子。

できれば夫婦そろって死んでもらいたいわけである。

しかし、そういう自分が恐ろしい游子なのだった。

だが、ドラマの中の偶然はもっと恐ろしいので徘徊中の清太郎は・・・巣藤と出会う。

何故か・・・巣藤と意気投合する清太郎だった。

そして・・・娘の八歳の誕生日を祝うバースデイ・ケーキを買い帰宅する二人。

けれども游子は三十六歳になっていた。

流されやすい巣藤は・・・氷崎家の誕生会に出席するのである。

チビノリダーにしか成しえない展開なんだなあ。

そして・・・なんだかんだ・・・清岡美歩と暮らす巣藤。

巣藤の部屋から見える家で・・・新たな一家心中事件が発生していた。

あいをみました 

ほんもののかぞくのあいをみました

現場に一種の美を見出す馬見原刑事。

ドラッグ中毒者のバスキアとか尾崎豊とかASUKAとかを美化するファンの心境か。

罪を憎んで人を憎まずか。

そして・・・見物の野次馬の中に游子を見出す巣藤。

きっとミスリードだと思います。

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Mother

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2014年7月 4日 (金)

さよなら、右京さん(林隆三)吉原裏同心(小出恵介)

1971年の金曜日といえば「天下御免」である。そこで主人公の平賀源内(山口崇)やヒロインの紅(中野良子)がピンチになると頼るのがどこかもの憂げな剣の達人・・・右京さんこと小野右京之介(林隆三)である。

そのダンディーな魅力に痺れるわけである。

そして・・・木曜日の時代劇「吉原裏同心」で医師・柴田相庵を演じる故・林隆三・・・。

これが見収めなんですか・・・右京さん・・・。

それにしても・・・あの「天下御免」が保存されていないなんて・・・なんて時代だったのか・・・。

で、『吉原裏同心・第1~2回』(NHK総合20140626PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・西谷真一を見た。大ベストセラー作家による大ベストセラーが原作である。相当な時代劇好きでもうならせる親父殺し的な面白さである。ある意味、反則に近いな。ここの処、不義密通の話が目につく・・・。まず、「真夏の方程式」で風吹ジュンが妻帯者と不倫の果てに出産である。それさえなければ悲劇は起きなかった。続いて「55歳からのハローライフ」の第二話では風吹ジュンが愛犬家によろめきかかっていた。風吹ジュンばかりじゃないか。昨日は栗山千明も夫と息子を捨ててたし。まあ、基本、不義密通はする方が悪いのだが、された方も格好悪いわけである。その格好悪さをデフォルメしていくとまるで不義密通が正義みたいなことになっていく。そして、かけおちカップル万歳の成立なのだった。一方で現在では売春そのものが悪であるから遊女には正義はないわけであるが・・・人身売買が当たり前の江戸時代・・・吉原遊郭が舞台となれば・・・そこには遊女の悲哀が成立する。かけおちカップルが迷い込む吉原迷宮・・・時は田沼意次健在の天明年間・・・これで面白くないわけないのである。

藤村惣五郎(皆川猿時)に父親が借金したために人身御供同然で嫁いだ汀女(貫地谷しほり)・・・。下級武士の神守幹次郎(小出恵介) は幼馴染の汀女の苦境を見かねて家を捨て賭け落ちするのだった。

女房を寝盗られた惣五郎は当然の結果として執拗に不義密通の二人を追うのだった。

故郷・豊後竹田の岡藩を脱出した二人は全国津々浦々を逃げ回り、時々追手を返り討ちにしながらついに江戸にたどり着く。

幹次郎は薩摩示現流の達人で眼志流居合術も嗜む剣豪である。

惣五郎は腕の立つ武芸者を雇うと同時に・・・二人を釣る餌として汀女の実弟・信一郎(上遠野太洸)を連れ出すのだった。

江戸に出た信一郎は吉原で・・・薄倖の切見世女郎(安売りの遊女)・初音(水野絵梨奈)と深い仲になってしまう。

初音を演じる水野絵梨奈がこれ以上なく薄倖なのだった。

薄倖だよ、水野絵梨奈、薄倖だよである。

この薄倖の遊女を前にして足抜きを企てるしかない信一郎・・・。

噂を聞きつけた幹次郎と汀女が駆けつけるが・・・信一郎と初音は吉原の追手から逃れようとして惣五郎の手下に斬殺されてしまうのだった。

薄倖すぎるぞ・・・。

怒りに燃えた幹次郎は峰打ちをやめ・・・信一郎の仇を討つ。

しかし、逃げ足の速い惣五郎は討ちもらすのだった。

あくまで格好悪い不義密通された人なのだった。

幹次郎の腕前を目にした吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)は吉原において発生する刃傷沙汰に対処する裏同心の仕事をもちかける・・・。

薄倖の遊女たちを薄倖にしている吉原の手伝いはできないと・・・断る幹次郎。

しかし・・・掟に逆らって信一郎と初音を丁重に葬ってくれた四郎兵衛に恩義を感じる。

一方、汀女は四郎兵衛の娘・玉藻(京野ことみ)から遊女たちの手習いの師匠になってほしいと懇願され引き受ける。

幹次郎もまた・・・薄倖な遊女をさらに不幸に貶める邪悪なものの存在に気付き・・・考えを改めるのである。

何者かに襲われた吉原の若い衆を助ける幹次郎。

吉原近くに住む医者の柴田相庵(林隆三)は下手人が小具足術の使い手だと指摘する。

幹次郎は江戸の小具足術の道場の探索を開始。

やがて・・・妹を身売りさせないために・・・火事場泥棒の手先となった遊女・梅園(奥菜恵)の存在に気がつく幹次郎と汀女・・・。

「おやめなさい・・・火つけは大罪・・・呪怨の元ですよ」

「こうするしかないのです」

しかし・・・幹次郎は黒幕の火事場泥棒・藤兵衛(山口馬木也)を罠にかける。

「助けると約束した梅園の妹をどうするつもりだ」

「高く売り飛ばすのさ」

幹次郎の剣は燃えるのだった。

うわあああ・・・面白すぎるのである。

この後も薄倖な遊女たちが続々と登場するのだった。

また・・・遊女たちの中に夕霧(近野成美・・・五代目黒井ミサ)が混じっていたりします。

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2014年7月 3日 (木)

夢、ときどき現実~殺人偏差値70(三浦春馬)

おい・・・これ、書くのか。

原点の「受験地獄・東大受験 その朝めざまし時計が鳴らなかった」の脚本家・岩間芳樹先生に敬意を払ってね。

心にもないことを・・・。

心にはあるよ、多重人格だから。

しかし、せっかくの迫真の狂気の演技が・・・今回は不運だったな。

久し振りに本物の機知外の人の阿鼻叫喚が大公開だったからな。

せっかくの演技プランが無残なことに・・・。

しかし・・・罪悪感がベースってどうなのよ。

そうだねえ。そもそも東大を受験するような人間に罪悪感はないからな。

おいっ。

で、『殺人偏差値70』(日本テレビ20140702PM9~)原作・西村京太郎、脚本・山岡潤平、演出・大谷太郎を見た。二浪して東大受験に挑む宮原圭介(三浦春馬)は試験当日に寝坊して遅刻、爆弾魔になりすまし爆破予告をフリーメールで送信し、試験開始時間の遅延に成功する。念願の東大合格を果たした圭介だったが・・・謎の脅迫者・田中宏志(城田優)が現れて運命は暗転するのだった。

とにかく、毎年、発表の日に圭介の背後に立つお嬢様・真山理佳子(滝本美織)の存在がすでに不気味なのだが・・・。

振り返れば奴がいるだよな。

それよりもテニスの王子様(桐山漣)の設定だよ。

二十世紀ならなあ。「めぞん一刻」の中に存在したし・・・。

三鷹さんか。

三鷹さんだよ。

とにかく・・・同時制多重人格が妄想の擬似人格を襲って自傷するのって困難だよな。

そうだよな。目の前に相手の幻影が存在するのにどうやって自分を刺すんだよ。

そんな器用な真似できるか。

急速に交代制多重人格に移行したんだろうさ。

それにしたって・・・切腹だからな。

狂気に対する認識が甘いんだよ。

なんでもありなんだよ。

結局、最後まで主人公が妄想していることに気がつかなかった人が楽しめたんじゃないの。

今時・・・そんな人いるのか。

偏差値低い人をなめちゃだめだよ。

おいおいおいっ。

とにかく・・・あの東大には「弱勝」の赤岩とか柚子もいたんだよなあ。

一目見たかったよなあ。

急に格差社会とか言い出されても困るよな。

一般大衆的には自己責任で決着してるんじゃないのか。

共産党独裁政権がものすごい階級社会を形成しているからな。

しかし・・・イデオロギーが終焉していない人たちは・・・隙あらば主張するからね。

まあ、一種の機知外だからな。

ともかく・・・せめてホラーにしてもらいたかったな。

妄想が現実を浸食するんだよな。

ケイスケとかヒロシとかが次々とお嬢様のストーカーになっていくべきだよね。

「あなた・・・誰なの」

「キング的なこの世の影だよ」

・・・キングって言っちゃだめだろう。

テニスの王子様は惨殺されるよね。

される、される。

口からテニスボールがあふれ出すよね。

ポトンと糸を引いて落ちるよね。

主人公の父親が懺悔しているとガーベラの花壇からゾンビ化した母(栗山千明)がぞぞぞってね。

うん・・・ぞぞぞ・・・だよな。

本当はザザザって言いたいんだろう。

マザコンなんだから・・・栗山千明と少年の濃厚なベッドシーンがあってもいいよね。

それはないな。

ないない。

最後・・・結局、人格破綻した主人公は爆弾さえまともに作ってないってのは・・・。

ありえないよな。

多重人格なめてるよな。

作るよね。

太陽を盗んだ男でさえ作ってるからな。

「しっかりして・・・すべてあなたの妄想なのよ」

「さあ・・・それはどうかな・・・このスイッチを押して確かめてみようと思う」

東大の時計台に設置されたプルトニウム型核爆弾は起爆した。

年老いた主人公の母親は場末のスナックで・・・オレンジ色の夕陽を見た。

東京から格差社会は消滅した。

残されたのは溶けて流れる放射性廃棄物のみ・・・。

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2014年7月 2日 (水)

ただいまとおかえりとランダムとカオス(橋本愛)

現在、関東ローカルでは「サマーレスキュー〜天空の診療所〜」の再放送中である。

最初のオンエアでは・・・それほど高くない評価のドラマだったわけだが・・・「カーネーション」のヒロインと「ゲゲゲの女房」の水木さんの競演にしてはグダグダが過ぎていた。

しかし・・・今や・・・2012年7月の天野アキこと能年玲奈が医療知識が乏しく、医療機器をうまく扱えない明慶大学医学部学生・まこちゃんこと鈴木真子を演じていることで・・・ものすごく萌えるドラマに生まれ変わったのだった。

なんといっても・・・まこちゃんはセリフが少ない。

たまにあっても・・・「はい」とか「あ・・・はい」である。

「先生の治療技術素晴らしかったです」などという長めのセリフがあっても・・・ガヤ扱いで・・・主人公の重要なセリフにかき消されているのである。

画面に映っていてもソフト・フォーカスだったり、首から下のバストショットだったりします。

しかし・・・たまに・・・カーネーションとゲゲゲの対立シーンの背景でぼーっと立っているあまちゃんが長めに映ったりすると・・・ものすごくうれしいわけである。

ドラマ本編の出来栄えは別として「あまちゃん」2012年チョイ役篇として・・・とにかく・・・もはや・・・名作の域に到達していると思う。

う、撃たないで~。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第2回』(NHK総合201407011030~)脚本・蒔田光治、演出・河合勇人を見た。一方で橋本愛を演ずるユイちゃんに萌える要素も含んでいるこのドラマはドラマ単体としてのエンターティメント性も高いのだった。その証拠として数学的アプローチをしている天使テンメイ様も数学的に萌えているわけである。今回は特に難波くるみ(橋本愛)が禁断の柵越えで痛みを感じる点や、伴田竜彦(高良健吾)が「死ぬ確率」を錯誤しているところをくるみが優しく調教する点について詳しく解説してもらえるのがうれしいのでございます。もちろん素因数分解を利用した暗号についての解説もバッチリです。キッドがタイトルにしようと考えていたランダムとカオスについては保留というのも愛を感じますな・・・勝手に愛されるなっ。

さて、東都大学(フィクション)数学科の学生・難波くるみと警視庁初音署(フィクション)新人刑事・伴田竜彦は凸凹コンビを結成し難事件に取り組む。警視庁捜査第一課管理官のバカタレ小林(勝村政信)が無能だからである。

テロリストであると同時に数学者だった湯沢道明(嶋田久作)は脱獄に成功したが、逃亡に使った車の持ち主の滝田(森下能幸)が共犯者ではないかと指摘するアホの子・くるみ。

しかし・・・「滝田は・・・湯沢の犯行による爆破事件の被害者遺族だ・・・共犯はありえない」と否定するバカタレ小林だった。

だが・・・伴田は刑事の勘で・・・「逆に怪しい」と感じるのだった。

基本的に・・・そこには確率の問題が介入している。

つまり・・・「たまたま・・・爆弾魔が強奪する車の持ち主が被害者遺族だった」という「偶然」を疑う心理が刑事の勘という話なのである。

数学者であるくるみは数式でそれを計算するのだった。

ついでに・・・伴田を好きになったくるみを伴田が好きになる確率も計算するのである。

そういう意味でくるみは計算づくめの女なのだった。

凸凹コンビは証拠を求めて滝田の経営する町工場・タキタ製作所に不法侵入を果たすが・・・発見したのは滝田の死体だった。

ここで「来るな」と言われて「はい」と答えたくるみは柵越えで地面に激突するのだった。

萌え~である。

女子寮暮らしのくるみは「ただいま」と言ってから自分で「お帰り」と言う。

この奇妙なふるまいは「クレヨンしんちゃん」をモチーフにしていると思われるくるみの演技プランと融合して実に印象的である。

やがて「ただいま」の言葉は両親と思われる写真に投げかけられる。

そして、写真は「お帰り」とは言わない。

くるみの中に眠る両親の不在と・・・復讐のために数学を学ぶ動機。

そこには・・・おされ星人の気配があるのだった。

コメンテーターとしてメディアに登場する法学部教授の権堂(大河内浩)の教授室に不法侵入したくるみは・・・権藤の研究対象となっている凶悪犯・湯沢の過去の論文を入手する。

くるみは・・・たちまち・・・湯沢論文の根本的な間違いを見抜くのだった。

湯沢が「ランダム」(乱雑)と考えていたものが「カオス」(混沌)であると気付くのである。

一部お茶の間は・・・ここで完全に置き去りにされかかるが・・・数学的なカオス理論とそれにまつわるランダムの立ち位置を知らなくてもドラマは楽しめる仕掛けになっています。

カオスとランダムの関係はとても一口では説明できないものですが・・・その違いはランダムが片付けられない人間の部屋のちらかり具合、カオスはものすごくちらかっているように見えてあるべきところにあるものがある美学に基づいた人間の部屋と言うことができます。

ランダムは完全なる無秩序、カオスは無秩序に見える秩序なのです。

その境界はものすごく難解ですが分かる人には分かるわけです。

そこには一種の宗教的葛藤があります。完全なるランダムは・・・神の領域で・・・それは一種の運命です。一方、カオスは人間の自由意志が介在する余白を残しています。たとえば善悪の問題。善も悪も神の定めたもので・・・ランダムであると考えることもできます。悪を為すのも善を為すのもすべては決定されているわけで・・・人間は善悪を判断することはできない。一方、カオス理論では人間が善の法則や悪の法則を見出すチャンスや・・・善悪を自由意志で選択するチャンスを与えられていると考えるわけです。

もちろん・・・カオスに見えるランダムや・・・ランダムに見えるカオスも存在する。

くるみは・・・天才として・・・才能のなかった湯沢の間違いを見出してしまうのです。

もちろん・・・それが神の計画の一部だったと言われれば人間には否定はできないわけですが悪魔はもちろん否定します。

コインを投げて裏が出る確率と表のでる確率は1/2ですが・・・実際には裏が続けて出たり、表が続けて出たりする。表が十回続いた後に裏が出る確率をどう考えるか・・・人間はランダムとカオスの間で頭を悩ます生き物と言えましょう。

湯沢は悩んだ果てに発狂したと思われる。

暗号を解読したくるみを危険視した湯沢は・・・くるみを抹殺することを決意。

たちまち、拉致監禁されてしまうくるみだった。

「あなたの論文間違ってますよ」

「・・・」

湯沢はくるみを餌に伴田刑事をおびき寄せ、二人を爆死させようとするが・・・くるみは湯沢の罠をたちまち見抜くのだった。

伴田刑事に救助されて・・・うっとりのくるみである。

99.9%の確率が1/10000ではどう作用するか・・・計算しない男にレクチャーする計算高い女だった。

伴田刑事は99.9%死ぬと思っていたのに・・・その可能性が一割もないと知らされ唖然とするのだった。

救助されたくるみは警察署で愛する男と一夜を共にするが・・・伴田刑事と同衾することはなかった。

婦人警官の高野沙織(橋本真実)は女の勘でくるみに嫉妬するが・・・自分の悲しい運命には気がつかないのである。

このようにランダムとカオスは常に混在しているのだった。

ランダムからカオスを分離することは神の意志を見抜くことにも匹敵する行いなのである。

やがて・・・ダミーと思われた暗号の真意を見抜くくるみ。

次の爆破日と爆破場所の大崎スカイホールの解読に成功する。

伴田刑事はくるみを残し、現場に向かうが・・・もちろん追いかけるくるみだった。

警備員(戸田昌宏)の制服を奪った湯沢は・・・伴田の拉致監禁に成功する。

そして・・・くるみをおびき出すのだった。

ランダムに見える狂人・湯沢の手口が・・・カオスとしての法則性を持っていることを見出したくるみは・・・湯沢のトラップを放置することを選択するのだった。

「君一人でにげろ」

「じゃ、逃げます」

萌え~である。

「彼を見捨てたのか」

「こんなことをして・・・楽しいですか」

「君の言う通り・・・私の理論は間違っていた・・・私は神に愛されなかった」

「・・・」

逃走する湯沢の車は爆発炎上する。

くるみにはすべてお見通しだった。

警備員も被害者遺族であった。

狂人ゆえに責任能力なしと判断され死刑にならなかった湯沢を脱獄させ・・・殺すことが彼らの狙いだったのだ。

「無関係の人を殺してまで復讐したかったんですか」

「他人のことなんか考えていたら復讐なんてできないだろう・・・復讐なんて自己満足の最高峰なんだから・・・」

「ですよね」

こうして・・・くるみは・・・伴田刑事とまた親密になったのだった。

しかし・・・二人が結ばれる日は遠いのである。

この物語の神はそういう法則に縛られているからだ。

ポーカー賭博のいかさま一味が逮捕され・・・。

「ひえ~」と言ってカードを捨てるくるみ。

萌え~である。

しかし・・・伴田刑事は何故か地下賭博場に姿を現していた。

物語はカオスを秘めてゆっくりと進んでいく。

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2014年7月 1日 (火)

2014年夏ドラマを待ちながら(キッド)

冬季五輪と男子サッカーワールドカップの間の充実の春が過ぎて・・・。

毎度おなじみのぐだぐだっとした夏ドラマである。

なにしろ・・・オダギリジョーって書けないよね。

それはもういいだろう。

なんだかんだ・・・いろいろとあった春ドラマ・・・最後の方は毎日、雨が降っている印象しかないぞ。

「セーラーゾンビ」や「オダギリジョー探偵事務所」はまだやってるけどな。

結局、書くのか。

明日は「誘拐につぐ誘拐、監禁につぐ監禁、緊縛につぐ緊縛」を書くかもしれんしな。

一部愛好家熱狂の展開だったよな。

そういう意味で頑張った岡本玲の出る「ペテロの葬列」はチェックしたい。

七夕スタートだねえ。

七月か・・・結構、注意しないとなあ。

なにをだ・・・。

思い出してごらん・・・日本人ががっかりしすぎた四年前・・・その後、何があったのかを・・・。

連動するのかよっ。

妄想的にはねえ。

問題発言にもほどがあるだろっ。

で、(月)は「HERO」だよな・・・もげっ版だし。それにしてもある程度、連続ドラマなわけで・・・松たか子と、綾瀬はるかがどう絡んでくるのか・・・絡まないのか・・・少し、気になります。あまりにもスルーだと・・・主人公がプレイボーイみたいなことに・・・。

(火)は「ハードナッツ」で八月まで行って後は谷間に。「GTO」に松岡茉優、三吉彩花が出るが・・・ともかく夏休みに学園ものって・・・微妙なんだよな。

(水)は「若者たち」・・・妻夫木聡、瑛太、満島ひかり、蒼井優、橋本愛、長澤まさみ・・・完全にキャパを越えているこのメンバーをどう処理するのか・・・楽しみだ。

(木)は小出恵介の「吉原裏同心」と武井咲の「ゼロの真実 ~監察医・松本真央~」が拮抗している・・・谷間候補としては申し分ない。

(金)は篠田麻里子の「家族狩り」・・・片瀬那奈、原幹恵の「匿名探偵」も捨てがたいが・・・荒涼とした陰湿度に期待が高まるからな~。

(土)は川口春奈の「金田一少年の事件簿N」・・・ただし(日)の「おやじの背中」・・・池端俊策、井上由美子、岡田惠和、鎌田敏夫、木皿泉、倉本聰、坂元裕二、橋部敦子、三谷幸喜、山田太一という意味不明の脚本競演が成功していれば予備日になるかもしれない。

ああ・・・夏だねえ。

普通に水着の女の子が見たいよねえ。そういうわかりやすいドラマが少ないよねえ。

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W2014s夏恒例・平成財閥・東京空中楼閣ビアガーデン。

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