きれいごとを言い続けてもきれいにはなれない(篠田麻里子)
「狩る家族に狩られる家族同じ家族なら狩らなきゃ損々!」というタイトルも考えたわけだが・・・。
まだ、早いんじゃないか・・・そのうちにそういう展開になるかもしれん。
ブラックと言えば理解できるという風潮もなんだが・・・ブラック老人ホームというのは凄く恐ろしいな。
「姥捨て山」の企業化だからな。
「電話一本でOKです」みたいな。
「お近くのコンビニで1000万円のD券を購入してください」みたいな。
「ご本人様に直接、お貼りください」みたいな。
「指定期日に玄関前に出しておいてください」みたいな。
「担当、佐藤が承りました」みたいな。
まあ・・・認知症の老人はある意味、粗大ごみのようなものだからな。
おいおいおいおいおいおいおいおいおいお・・・。
で、『家族狩り・第2回』(TBSテレビ20140704PM10~)原作・天童荒太、脚本・大石静、演出・坪井敏雄を見た。児童ケアセンターの児童心理司・氷崎游子(松雪泰子)がなだめ役の児童相談員・山賀葉子(財前直見)と警視庁の刑事・馬見原光毅(遠藤憲一)の側を通りすぎた時・・・その匂い・・・はしたのだった。游子の怪しさがミスリードである以上、第2回には登場すらしない・・・その人が・・・まあ、いいか。
家族の基本は・・・夫婦だろうか。それとも親子だろうか。
それは一種の鶏が先か、卵が先か・・・である。
一人家族というのは駄目ですか・・・それを家族というのは苦しいよね。単に一人暮らしだよね。
単身赴任だって一人暮らしです。
やはり・・・夫婦だな。
で、子供が出来ることによって・・・家族らしさは増すのだった。
子は鎹というが・・・父親と母親は子によって初めて肉親となる。
ただし、それは・・・かなり、理性的な意味でだ。
共通の肉親である子を持つことによって・・・父親は妻を、母親は夫を・・・我子の片親として認知することによって擬似肉親となるわけである。
つまり、逆に言えば・・・夫婦は常に赤の他人である。
清岡美歩(山口紗弥加)が妊娠を盾に私立高校の美術教師・巣藤浚介(伊藤淳史)に家族化の制度である結婚を迫るのは極めて真っ当なのである。
つまり、私の子の父親になることによってあなたを夫として認めます・・・というわけだ。
しかし、夫婦の仲は多極化することによってたちまち崩壊する。
子供に対する大人の責任というものがあるとすれば・・・「親」である前に「男」や「女」であろうとするものは「無責任」そのものということになる。
もちろん・・・子供がそれを「自由」として認めれば・・・親は責任から解放されるわけである。
そういう子供がいてもいいと思うが・・・基本、何をしでかすか・・・わからない子供である。
そのように考えると・・・家族の絆なんて・・・あってないようなものだな。
だが・・・「情」という不可解な心理が時にそれを曖昧なものにするわけである。
氷崎家はそういう意味では・・・ある時期までは非常に「情」にあふれた家族だっただろう。
人情味あふれた役人である清太郎(井上真樹夫)と夫唱婦随の色濃い民子(浅田美代子)の夫婦。
一人娘の游子は父親や母親のような大人になりたいと思って育ったはずだ。
しかし、清太郎がアルツハイマー型認知症を発症したことによって・・・家族は崩壊の危機にさらされる。居間は便所となり、あらゆるものが糞尿の匂いを漂わせる。
巣藤浚介と元教え子の電気屋・渓徳(北山宏光)が気楽に交わす排便の臭気の笑い話が笑い話ではすまないのだ。
夫が夫でなくなった時、民子の中の家族への情はたちまち枯渇していく。
母親の裏切りに・・・游子は子供として怒りを覚えるが・・・父親が父親でなくなっていくことは過酷な現実なのである。
それは・・・人間としての游子の生活にフィードバックしていく。
游子自身の家族作りの夢は途絶え・・・生活の基盤となる仕事にも影響していく。
酒乱の父親・駒田幸一(岡田浩暉)に虐待される娘・・駒田玲子(信太真妃)に対するケアはゆとりのないものになり・・・幸一の立ち直りや、玲子の幸せを促すとは言えない結果となる。
逮捕された幸一は謎の虐待盗撮動画投稿で結局、職を失うことになる。
父親を慕う玲子は施設を逃げ出し、父親不在の自宅で泣き寝入りをする。
結局・・・游子は・・・虐待される子供を誘拐する独身女のような思い切りはなく・・・自分の無力を思い知るのである。
一方、そういう挫折感の最中にも、知性を失った父親は徘徊し、疲れ果てた母親は娘に責任を押し付けようとする。
それが嫌ならば・・・「老人ホーム」に清太郎を預けるしかないと游子に迫る民子。
薄情に見えるが他人である夫よりも肉親である娘を思いやっていると考えることもできる。
仕方なく・・・老人ホームの申し込み会場に出向く游子だったが・・・そこは産業廃棄物処理場を思わせるムードで游子をたじろがせるのだった。
赤の他人である巣藤浚介や渓徳の前で一瞬、正気に戻る清太郎も・・・現実的には何の救いにもならない。
浚介にとって家族は他人よりも遠い存在であるらしい。
その理由は明らかではないが・・・家族候補である美歩よりも・・・通りすがりの他人である游子や生徒の芳沢亜衣(中村ゆりか)に積極的に関わろうとする姿勢なのである。
今の処は軽いタッチで描かれる浚介だが・・・おそらく・・・このままではすまないはずだ。
大森、赤羽、世田谷と・・・連続して起る一家心中事件を連続殺人事件と断定する馬見原刑事だが・・・その私生活は暗澹たるものだった。
仕事に打ち込むことが家族のためという古典的な展開で・・・家族サービスを怠ったらしい馬見原刑事・・・。
長男・勲男(岡山智樹)は事故死、妻の佐和子(秋山菜津子)は精神を病み、長女の真弓(篠田麻里子)とは疎遠になった。
入院中の佐和子を一度も見舞わず・・・結婚して花屋を営む真弓から「母さんは私がひきとる」と言われる始末である。
しかし・・・何故か、佐和子は夫との同居を望むのだった。
未だに精神の不安定な妻に・・・落ちつかない気持ちを感じる馬見原刑事。
その心には・・・捜査中に知り合った冬島綾女(水野美紀)と研司(須田瑛斗)の母子が擬似家族として棲んでいる。
母子には・・・暴力団関係者の元・夫の油井善博が不気味につきまとっている。
馬見原刑事は自分の家族を破壊して・・・他人の家族を守ろうとする自己矛盾に・・・心穏やかではいられないのだった。
滲み出る人の愚かさである。
馬見原刑事の示唆により、心中事件を追う椎村刑事(平岡祐太)は事件の関係者として氷崎游子の名前が浮上したことに驚く。
もちろん・・・ミスリードだと思います。
関連するキッドのブログ→第1話のレビュー
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コメント
バカでもわかる!by村岡さん
游子に対する疑いがミスリードであるってーのは
アホなあたしでも気付くレベルずら~!
エンケンさんが嗅いだ匂いに関しては、
財前さんのモノである可能性も考えたけど
友情出演枠の人が犯人ってーのはアリなのですか~っ!?
そして水野美紀ちゃんの存在がイマイチ
わかりましぇん・・・あるあらすじには
「彼女との関係を清算しようと訪れたが」
って書いてあったけど、そうなのでしゅか?
これもミスリード???違
仕事一筋とはいえ、いくらなんでも2年も妻を見舞う事無く
娘の結婚にも無関心って・・・エンケンさんも
いつか狩られてまうぞっ!
投稿: まこ | 2014年7月13日 (日) 14時44分
●no choco●まこ☆ミキ様、いらっしゃいませ●no choco●
さすがはまこお嬢様、ミスリードにお気づきになるとは
天晴れでございますな。
野生の勘で「ひっかけ問題」だけは見抜くという
赤点克服の突破口なのですな。
そして・・・明らかに気配を消し過ぎて
怪しい・・・財前さん。
友情出演というのはギャラを値切られてるってことですので
その分、おいしい役でなければなりません。
ミステリでは主人公の次に美味しいのは・・・
「犯人」ですぞ~。
「被害者」だと大体、死んでますからな。
水野美紀ちゃんに
エンケンは
「妻が退院してくる・・・」と
ことわってますからな。
それに対して水野美紀ちゃんは
「甘えてしまってごめんなさい」とリアクション。
つまり・・・妻が入院中限定の
親密なお付き合いをしていたってことですぞ。
だから最後の思い出作りに
「富士山を見に行ったり」しているんですな。
まあ・・・いろいろなご意見があるでしょうが
「記念の擬似家族写真」をお持ち帰りのエノケン。
本妻およびその家族からは
「最低」と呼ばれるにふさわしい不始末でございます。
なんとなく・・・家族を壊していることを
他人のくせに許さなかった游子だから
エンケンは
「一家心中」に見せかけた「家族狩り」犯人と
断定しているわけですな。
捜査に私情を持ちこみすぎなのですなあ。
このドラマはエンケンが己の非を認め
悔い改めることができるかどうかが
焦点なのではないかと・・・
じいめは愚行いたしまする~
投稿: キッド | 2014年7月13日 (日) 22時21分